色々なところから借金をしているので、借入を一本化する「おまとめローン」を検討しています。おまとめローンにはどのようなデメリットがありますか?
事前にしっかりシミュレーションしないと、前より金利が高くなったり、返済期間が延びて返済総額が増えてしまったりといったデメリットがあります。また、多少の減額効果は期待できますが、大幅に借金を減らすことは難しいでしょう。
おまとめローンより借金を減らせる方法はあるのでしょうか?
弁護士や司法書士に「債務整理」を依頼すれば、大幅な借金減額が可能です。まずは無料相談を使って、自分にとって最適な方法をアドバイスしてもらいましょう。
複数の借入があると、返済管理が複雑になり、返済金の準備が間に合わないなど多くのデメリットがあります。そのような多重債務を解決できるのがおまとめローンですが、よく考えて利用しないと思わぬ損失を受けてしまうので注意が必要です。
そもそも、おまとめローンでは大幅な借金の減額ができず、返済負担もそれほど改善できない場合も多々あります。場合によっては、現状より金利が高くなる恐れもあります。
すでに返済が滞っている、あるいは近い将来に滞納してしまうという人は、債務整理も検討しましょう。債務整理を行えば、借金の大幅な減額や帳消しが可能です。
まずは弁護士など、借金問題の専門家に相談してみましょう。法律の観点から、今の自分に合った最適な方法をアドバイスしてもらえます。
- おまとめローンを使えば、金利が下がって返済負担が軽くなったり、返済管理がしやすくなるなどのメリットがある。
- 使い方によっては、かえって金利が上がったり、返済負担の長期化などのデメリットがあるので注意が必要。
- おまとめローンを利用するときは、事前のシミュレーションが大切。
- 借金を減らしたいなら、債務整理の方が効果は大きい。
おまとめローンとは?
おまとめローンとは、複数の借入先を一つにまとめて返済していく方法です。一つの債権者から借りたお金で、その他の債権者に対して一括で返済し、その後は一つの債権者にだけ返済していきます。
おまとめローンには、大きく分けて「銀行系おまとめローン」と「消費者金融系おまとめローン」2つのタイプがあります。
銀行系おまとめローンには、以下のような特徴があります。
- 金利が比較的低い
- プランが豊富
- 追加の借り入れも可能
- ただし、消費者金融系に比べると審査が厳しくなる
消費者金融系おまとめローンの特徴は、以下のとおりです。
- 審査が比較的通りやすい
- 返済専用で追加の借り入れができない
- 金利がそれほど低くならない
おまとめローンのメリット
おまとめローンのメリットは、金利を下げ、返済管理を楽にできることでしょう。以下で詳しく解説します。
金利を下げられる可能性がある
消費者金融やクレジットカードのリボ払いなど、主に金利の高い債権者からの借り入れが多い場合は、おまとめローンにすることで金利を下げられる可能性があります。
以下で、主なおまとめローンを銀行系と消費者金融系に分けて、金利を比較しました。
<銀行系>
・横浜銀行 1.5%~14.6%(変動金利)
・みずほ銀行 2.0%~14.0%(変動金利)
・りそな銀行 6.0%~14.0%(固定金利)
・楽天銀行 1.9%~14.5%(変動金利)
・イオン銀行 3.8%~13.8%(変動金利)
・東京スター銀行 年9.8%・12.5%・14.6%(固定金利)<消費者金融系>
・アイフル 3.0%~17.5%
・プロミス 6.3%~17.8%
・SMBCモビット 3.0%~18.0%
以上のように、全体的に銀行系のおまとめローンの方が、消費者金融系よりも金利が低い傾向にあります。
返済管理が楽になる
おまとめローンの大きなメリットとして、毎月の返済が1回になるため管理が楽になるということが挙げられます。
債権者が多数いると、返済口座や返済日もばらばらになり、管理が難しくなります。どこにいくら支払うのかわからなくなることもあるでしょう。
おまとめローンで返済回数を月1回、1箇所だけにまとめられれば、返済管理は楽になるでしょう。
毎月の返済額を抑えられる可能性がある
適用される金利を抑えられれば、支払総額も減り、毎月の返済額も減らせる可能性もあります。
特に現在消費者金融などの金利の高い債権者を中心に返済をしている場合、おまとめローンで今より低い金利が適用されれば、毎月の返済額を抑えられるでしょう。
おまとめローンの主なデメリット5つ
おまとめローンは返済の煩雑さを解消し、金利を下げたり返済総額を減らしたりできる可能性があるなど、メリットの多い借り換え方法です。
ただし、実際に借り換えを行う前には以下のようなデメリットに注意が必要です。
- かえって金利が上がる可能性がある
- 返済期間が長期化しやすい
- 審査が厳しい傾向がある
- 追加の借り入れはできない場合がある
- そもそも借金減額目的には向かない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.かえって金利が上がる可能性がある
おまとめローンで債務を一本化することで、かえって金利が上がるケースもあるので注意が必要です。
たとえば、年利12%で100万円、年利15%で100万円の借入があるとします。これを年利14%のローンでまとめると、まとめた後の方が金利は高くなります。
・27万円÷200万円×100=13.5%
※おまとめローン(14%)の方が金利は高くなる
基本的に銀行系より消費者金融系の方が利率が高い傾向にあり、今の平均金利より、おまとめローンの金利の方が高くなってしまう可能性があるのです。
金利が増えれば当然利息も増えるので、月々の返済額、ひいては返済総額も高くなります。おまとめローンを組むときは、金利をよく比較し、毎月の返済額をしっかりと比較検討することが大切です。
2.返済期間が長期化しやすい
仮に金利を抑えられても、返済期間が長期化すると返済総額が増えてしまうかもしれません。
借金をまとめた後は、無理のない返済をしようと返済期間を長く設定しがちですが、その結果として利息負担総額が多くなってしまうことがあります。
借金の利息計算は、基本的に次のような計算式が用いられます。
上記の計算式を見ると、借入元金の残高(まだ返していない元金)が高いほど、利息も高くなります。つまり、返済期間が長引く(元金の減るスピードが遅い)ほど、利息が増えるということです。
利息負担総額が多くならないよう、返済期間にも注意しましょう。
3.審査が厳しい傾向にある
おまとめローンには、既に多重債務状態の債務者に対し、大きな金額を貸し付けるという特徴があるため、通常のローン審査よりも審査基準が厳しくなるという傾向があります。
特に銀行系のおまとめローンは、金利が低いだけに収入や現在の債務額が厳しく審査されます。借入額が大きくなるほど、債権者が多いほど審査が厳しくなるでしょう。
4.追加の借り入れはできない場合がある
消費者金融系のおまとめローンは、追加借り入れができない返済専用のおまとめローンです。
おまとめローンは債務者の完済を促すためのものでなければ、貸金業法の「債務者に一方的に有利な貸し付け」に該当しません。
追加の借り入れができると、債務者が再び返済不能に陥りやすくなるため、債務者に一方的に有利であるとはいえないと判断されます。
そのため、総量規制に抵触する消費者金融系のおまとめローンで借り換えをすると、これ以上の追加借り入れはできなくなります。
5.そもそも借金減額目的には向かない
おまとめローンは、複数ある借金を1社にまとめる方法です。もともとの金利差によって利息を多少減らせることもありますが、元金はそのまま残っています。
言い換えれば、おまとめローンは返済管理をしやすくするのが主なメリットであり、大幅な借金減額は期待できないということです。そのため、「利息が多少減ったところで完済は難しい」というような状況の場合、より減額効果の高い債務整理をおすすめします。
債務整理には以下3つの種類があり、いずれもおまとめローンより大幅な借金減額が期待できます。
- 任意整理:これから発生する利息を全て免除
- 個人再生:借金総額を最大1/10まで減額
- 自己破産:残債の全額免除(借金の帳消し)
債務整理について「どれだけ借金を減らせるか手っ取り早く調べたい!」という人は、下記の借金減額シミュレーターを使いましょう。簡単な質問に答えるだけで、債務整理でどのくらい借金を減らせるか弁護士が診断してくれます。
また、それぞれの詳しい仕組みは下記の関連リンクで解説しているので、よろしければ参考にしてください。
おまとめローンのデメリットへの対処法
先に解説した通り、おまとめローンはよく比較して計画的に組まなければかえって返済負担が重くなることや、審査が厳しいなどといったデメリットがあります。
このデメリットに対処するには、以下のようにあらかじめしっかり対策しておくことが必要です。
1.金利がどの程度下がるか事前にシミュレーションをする
まずは、おまとめローンを組んで逆に返済負担が増えてしまった、ということがないように、事前にしっかりシミュレーションを組みましょう。
おまとめローンの返済シミュレーション
たとえば、以下のような場合について検討してみましょう。
借入額 | 金利 | 返済回数 | 返済額/月 | 返済総額 | |
---|---|---|---|---|---|
A社 | 20万円 | 18% | 24回 | 9,984円 | 239,616円 |
B社 | 30万円 | 15% | 36回 | 10,399円 | 374,364 円 |
C社 | 35万円 | 15% | 36回 | 12,132円 | 436,752円 |
D社 | 15万円 | 18% | 12回 | 13,751円 | 165,012 円 |
合計/平均 | 100万円 | 平均16% | 最長36回 | 最大4万6,266円 | 121万5,744円 |
上記のように4社から合計100万円を借り入れていた場合、最長36回で支払うとすると、毎月の返済額は最も多いときで4万6,266円、返済総額は121万5,744円になります。
これをおまとめローン金利12%、2年間で返済すると、以下のようにシミュレーションができます。
借入額 | 金利 | 返済回数 | 返済額/月 | 返済総額 | |
---|---|---|---|---|---|
おまとめローン | 100万円 | 12% | 36回 | 3万3,214 円 | 119万5,704 円 |
ただし、返済回数を伸ばすと毎月の返済額は減っても、返済総額が増えてしまうので注意が必要です。
おまとめローンを設けている各社のホームページでシミュレーションできるので、正確なシミュレーションは各社のページでしっかりおこないましょう。
2.審査対策として借り入れ件数をなるべく少なくしておく
おまとめローンを組む前には、できるだけ借り入れ件数を少なくしておくといいでしょう。借り入れ件数が多いほどおまとめローンの審査が通りにくくなる傾向にあるからです。
おおむね4社以上になると審査に通るのが難しくなると言われています。
借り入れ先が多い場合は、完済できそうな債権者から支払いを済ませ、なるべく債権者数を減らしておきましょう。
おまとめローンより債務整理の方が減額できる
先述した通り、借金の減額目的であれば、おまとめローンより債務整理の方が効果が大きくおすすめです。
しかし、実際にどのような違いがあるのか、イメージしにくいと感じる人も多いと思います。
ここからは、具体的な返済額等のシミュレーションやデメリットを比較し、それぞれの違いを見ていきましょう。
おまとめローンVS債務整理のシミュレーション
債務整理の中でも、個人再生(借金を最大1/10)と自己破産(借金全額免除)は、おまとめローンより大幅に減額できるのが一目瞭然です。そのため、ここでは任意整理との比較をしていきましょう。
利息をカットする任意整理は、おまとめローンと近い効果があります。しかし、実際の減額幅は圧倒的に任意整理の方が上です。
以下は、おまとめローンと任意整理でどれだけ減額効果の違いがあるかをまとめた表です。100万円を36回払い(3年)で返済する場合、以下のようになります。
借入額 | 金利 | 返済回数 | 返済額/月 | 返済総額 | |
---|---|---|---|---|---|
おまとめローン | 100万円 | 12% | 36回 | 3万3,214 円 | 119万5,704 円 |
任意整理 | 100万円 | 0% | 36回 | 2万7,778 円 | 100万円 |
この表のとおり、任意整理をおこなうことで金利が0%になれば、毎月の返済額は約5,400円、返済総額は19万5,704円減額できます。
任意整理をすることで、今後の利息だけでなく、現在まで発生している遅延損害金分も免除できる可能性もあるため、おまとめローンより減額効果が高いといえるでしょう。
債務整理はおまとめローンよりデメリットが大きい?
減額効果の高い債務整理ですが、相応のデメリットもあります。主なデメリットとして、以下を押さえておきましょう。
- 信用情報に事故情報が記載される
- 債務が連帯保証人に請求される(自己破産・個人再生の場合)
- 99万円以下の現金および価値が20万円以上の財産はすべて処分(自己破産の場合)
- 手続き中は職業や資格を制限される(自己破産の場合)
- 手続き中は郵便物が破産管財人に転送される
特に重要なのは、信用情報に事故情報が登録されることです。一般的に「信用情報に傷がつく」「ブラックリストになる」といわれるのも、この事故情報の登録を指しています。
事故情報が登録されると、新規借入やクレジットカードを利用できず、生活に制限がかかります。任意整理なら約5年、個人再生や自己破産なら約10年が登録期間です。
ただし、事故情報の登録は、借金を滞納した時点で行われます。つまり、現状のまま借金を放置したり、おまとめローンの利用後に滞納したりしても、同じようにブラックリスト入りするということです。
債務整理のタイミングが早ければ早いほど、事故情報の登録期間も早く終わります。債務整理のデメリットは決して軽いとは言えませんが、近い将来に返済が滞るようであれば、一刻も早く手続きしたほうが状況の悪化を防げるでしょう。
おまとめローンは返済能力が残っている人向け
おまとめローンは、返済能力がある人でなければ利用できない方法です。収入が不安定で返済に不安がある場合は、そもそもおまとめローンの審査に通らないからです。
おまとめローンは、比較的大きな金額を一括で貸し付ける方法です。そのため、安定した収入があり、返済が見込まれる人でなければ、貸し付けの審査はおりません。
返済能力がなく、おまとめローンに通らなかった人は、債務整理を検討すべきでしょう。
- 現時点で返済に困っているわけではないが、将来的に継続して返済していくことに不安がある方
- 安定した収入はあるが、利息の負担を重く感じている方
- 返済はできているが、もっと有利な方法があれば変更したい方
- 現在既に多重債務状態になっている方
- 返済のために借り入れをしている方
- 収入が不安定で返済に不安がある方
- 滞納をしたことがある方
おまとめローンがおすすめな人
現在すでに返済に困っている方は、おまとめローンよりも債務整理を検討することをおすすめします。おまとめローンをおすすめできる人は、以下のようにまだ返済能力があり、そのうえで今よりも返済を楽にしたいと考えている方です。
返済の管理を一本化で楽にしたい人
毎月の返済を一本化して管理を楽にしたい人は、おまとめローンに借り換えることをおすすめします。
いくつもの金融機関から借り入れをしていると、毎月返済をするだけで煩わしく、いつになったら完済できるのかもわかりづらくなるでしょう。毎回振込手数料がかかるならそれだけで負担にもなります。
おまとめローンにして返済を一本化することで、返済管理が楽になり、いつ完済できるかも明確に把握できます。将来設計もしやすくなるでしょう。
返済能力はあるが、金利を下げたい人
返済が滞るほどではないが、利息が高くて残元金が思うように減らない方は、おまとめローンをおすすめします。
返済能力がある今なら、おまとめローンの審査も通りやすいでしょう。今より低い金利で借り換えができる可能性も大いにあります。
おまとめローンで債務を一本化し、さらに金利が下がれば、元金返済も思うように進むでしょう。
まとめ
おまとめローンは、何社もある債権者を一つにまとめ、返済管理をしやすくしたり、金利を下げて返済負担を軽減したりできる方法です。
毎月何社も返済するのが負担になっている方や、とにかく金利を下げて早く完済したい方などにはとても有効な手段でしょう。
ただし、組む前によくシミュレーションをしないと、今より返済負担が大きくなってしまいます。また、既に返済が難しくなっている方にとっては、おまとめローンでは解決できないこともあるでしょう。
おまとめローンのシミュレーションをしてみてもやはり負担が重かったり、審査に通らなかったりした場合は、債務整理を検討しましょう。任意整理手続きなら、今まで発生した遅延損害金や、今後発生する利息のカットも期待できます。
おまとめローンを組むなら、よくシミュレーションをしたうえで、返済に無理があれば債務整理も視野に入れて検討することをおすすめします。
おまとめローンに関するQ&A
おまとめローンのデメリットは何ですか?
・かえって金利が上がってしまうこともある
・支払総額が増えてしまう可能性がある
・追加の借り入れができない場合がある
・審査が厳しい
おまとめローンを組む際は、事前にしっかりシミュレーションをしましょう。また、審査を申し込む前に1社でも完済しておくことで、審査も通りやすくなるでしょう。
おまとめローンを申し込む際に注意すべきことは何ですか?
また、なるべく債権者数を減らしておくと、審査に通りやすくなります。
申し込みを予定している金融機関の公式サイトなどであらかじめシミュレーションをして、本当に返済負担が減るかを確認してから申し込むようにしましょう。
おまとめローンを検討した方がいいのはどのような場合ですか?
①毎月の返済管理が煩雑で、一本化したい人
②返済能力はあるが、金利が高くてなかなか債務が減らない人
おまとめローンをしても返済は続くため、既に返済が困難であれば、おまとめローンよりも債務整理の検討をおすすめします。