総量規制の意外な抜け道!規制対象外になるもの4つ
総量規制とは、簡単にいうと「年収の1/3を超えた貸付を原則おこなってはいけない」とする法律ですが、中には例外が認められています。
つまり、総量規制以上に借り入れをおこなう方法はあるということ。
例外的に借り入れができるケースとしては、以下4つが挙げられます。
- 銀行からの借入
- 銀行のおまとめローンを活用した借り入れ
- 総量規制の例外貸付
- 総量規制の除外貸付
①銀行からの借入は総量規制の対象外
貸金業法によって定められている総量規制は、「貸金業者」が対象のため、銀行からの借入は総量規制の対象外です。
貸金業社とは何かというと、簡単に言えば銀行以外の金融業社と理解していただいて構いません。消費者金融やクレジットカード会社などは身近な貸金業社の一種です。
では、総量規制の対象外となる「銀行からの借り入れ」ですが、具体的には住宅ローン、教育ローンなどの目的別ローンや、銀行が発行するカードローンが該当します。
つまり、現時点で貸金業者からの借入が年収の1/3を超えて借入ができない状態の方も、銀行のカードローンを契約すれば借入が可能です。
以下に、主なカードローン対象銀行を記載しておきます。
※総量規制以上の借入を約束できるものではありません。
ワンポイント解説
【目的別ローンとは?】
目的別ローンとは、借入資金の使いみちが決められているローンのことを言います。例えば、住宅ローンや教育ローン、自動車ローンなどが目的別ローンに該当します。
現実的には年収の1/3を超えて貸付をおこなうことは滅多にない
しかし、銀行も過度な貸付を嫌います。そのため、総量規制の対象外としながらも、カードローンで年収の1/3を超えた貸付をおこなうことは滅多にありません。
銀行が総量規制の範囲を超えて貸付をおこなうのは、基本的に住宅ローンや教育ローン目的別ローンのみです。
もし総量規制を超えた借り入れをしたい目的が、住宅や車の購入など、「何かを購入する」という目的であれば、銀行の目的別ローンを利用すると良いでしょう。
ただし、目的別ローンを目的以外に利用することは認められていませんので注意してください。
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②銀行のおまとめローンを活用すれば、新たに借り入れ可能
この方法ははお勧めしません。危険だという意味での紹介です。
具体的にどういう方法かというと、銀行のおまとめローンは総量規制の対象外というスキをついた方法です。
貸金業者から借りている借金を銀行のおまとめローンにまとめれば、形の上では借金は総量規制の対象外ということになるため、また新たに貸金業者から借り入れをおこなうことができるようになります。
銀行のおまとめローンで借り入れ枠を作っても、家計が回らなくなる可能性大
ただし、総量規制を超えた借金は、基本的に家計がパンクしている状態だと認識してください。一時的にはお金を得られても、長期的に見れば返済不可能に陥ることがほとんどなはずです。
総量規制の抜け道としてネットなどで紹介されている方法ですが、これはほぼ返済不可能な借金を勧めるような手法になりますので、利用しないよう踏みとどまってください。
③「総量規制の例外貸付」に該当した場合も規制以上の借り入れが可能
貸金業法に定められている「総量規制の例外貸付」に該当した場合も、年収の1/3を超えた借り入れが可能です。
総量規制の例外貸付となるのは以下の通り。
- ・債務者(お金を借りた人)に有利となる借り換え(おまとめローンなど)
- ・借入残高を段階的に引き下げるための借り換え
- ・債務者や債務者の家族に対して支払う医療費の貸付(緊急性が必要)
- ・配偶者と合わせて年収の1/3以下の貸付(配偶者の同意が必要)
- ・個人事業者に対する貸付
- ・新たに事業を開始する個人事業者への貸付
- ・預金取扱金融機関(銀行)からの貸付があるまでの“つなぎ資金(融資が確実におこなわれること・1か月以内に返済がされることが要件)
引用元:日本貸金業協会
上記を踏まえて例外的な貸付と認められるケースを簡単にまとめると以下の通りになります。
- 債務者がお得になる借り換え
- 緊急性のある医療費
- 配偶者と合わせた収入の1/3以下
- 個人事業資金
上記の中でも、現実的に総量規制の抜け道として利用できそうなのが、“配偶者と合わせた1/3以下です。もちろん配偶者の同意が必要となりますが、自身の総量規制以上の借入が可能です。
目的別ローンや担保のある貸付も総量規制の対象外
先ほど説明した目的別ローンや担保のある貸付の一部は、総量規制の対象外です。これらを「総量規制の除外貸付」と言います。
繰り返しになりますが、目的別ローンの具体例としては教育ローン、自動車ローンが挙げられます。
また、有価証券や不動産を担保とした貸付、売却予定不動産の売却代金により返済が約束されている貸付も「総量規制の除外貸付」に該当します。
つまり、目的別ローンと担保のある貸付は総量規制の除外貸付に該当するため、総量規制の抜け道になり得ます。
ただし、目的別ローンを目的以外に利用することは認められていませんし、担保がなければ総量規制の除外貸付を利用できませんので注意してください。
\返済督促はストップできます!/
④年収額を増やせば総量規制の上限もアップする
銀行からの借入も、総量規制の例外貸付・除外貸付の条件も満たせない方は、年収を増やすことで、現在の総量規制以上の借入が可能となります。当然のことですが、「年収が増える=総量規制対象額がアップ」です。
総量規制は過度な貸付を防止する目的から、年収の1/3を超えた貸付を原則禁止とする法律です。つまり、年収を増やせれば、借入可能額も増えます(貸金業者の審査にもよる)。
しかし、突然会社に「毎月1万円、年間12万円の給与アップは可能ですか?」と聞いて「はい」と答える会社はないはずです。
仮に毎月の給与が1万円アップし、年間12万円の給与がアップしても、新たに4万円の借入が可能となるだけ。
年収をアップさせるためには、副業等で収入をアップさせる方法が一番効率が良いでしょう。
副業で収入を得ることは総量規制をあげるだけでなく、借金返済にも一役買う
副業を始めることで収入はアップするため、新たな借入も可能となりますし、副業収入も増えるため、生活にゆとりが生まれます。しかし、「副業」と言ってもさまざまなお仕事があります。
コンビニ等でのアルバイトや投資、クラウドソーシングなどさまざまです。そして、これらの副業の中で注意しなければいけないのが、「収入」です。
貸金業法では「収入」として認めるものを下記のように定めています。
- ・給与
- ・年金
- ・恩給(公務員等が退職・死亡した際に受け取るお金)
- ・定期的に受け取る家賃収入
- ・年間の事業所得
引用元:日本貸金業協会
上記以外のものは年収として認められないため、たとえ副業で「収入」が増えても総量規制の上限アップには寄与しません。
例えば、アルバイトで得た収入は「給与」であるため、貸金業法の収入にあたります。一方で、株式投資などで得た収入は「配当所得」に該当するため、貸金業者の収入にはあたらず、総量規制の対象額が増えることはありません。
また、最近ではクラウドソーシングにて「業務委託契約」として、お仕事を受注し、お金を稼いでいる方がいます。これらは、「個人事業」であれば貸金業法の「年間の事業所得」に該当するため年収として認められますが、個人事業でなければ、雑所得になってしまうため、貸金業法の定める年収には該当しません。
個人事業として認められるためには、税務署へ開業届の提出をおこなう必要があります。つまり、同じことをやっていても、個人事業として認められているかどうかで、「年収」として認められるかどうかが変わりますので十分に注意してください。
同じ理由からギャンブルで得た収入も、「安定した収入」であっても貸金業法の収入としては認められません。総量規制の対象額を増やしたい、抜け道を作りたいと考えるのであれば、アルバイトや就職、個人事業を開業するなど別の方法で収入をあげる努力をしてください。
※借金返済のために副業を始めたい方はこちらの記事もご覧ください。
総量規制の抜け道を考える前に知って欲しいこと
もし今総量規制以上の借り入れを考えているのであれば、その前に知って欲しいことが2つあります。
- 債務整理をおこなえば合法的に返済を止めることができる
- 規制上限以上に借りてもいいことはない
①債務整理をおこなえば合法的に返済を止めることができる
総量規制の抜け道を探している人は、目前に迫った返済に間に合わせようとなんとか借り入れ先を探している人も多いのではないでしょうか。
一つお伝えしておくと、借金を借金で返そうとするよりも、債務整理を検討した方がよほど懸命です。
なぜなら、債務整理をおこなうことで返済を合法的に止めることができるからです。
弁護士に依頼することで取り立てや支払いを一時的にストップできる
弁護士は債務整理手続きの依頼をもらうと、債権者(お金を貸した側)に対して受任通知という書類を発送します。
これを受け取った債権者は債務者(お金を借りた側)に対して直接連絡をしてはいけないと法律で定められています(貸金業法21条)。
ですから、弁護士に依頼した時点でまず取り立てや支払いのストレスから解放されます。
弁護士費用の心配をする方もいらっしゃるかもしれませんが、支払いが止まっているので、毎月返済に当てていた分の一部または全部を分割で弁護士に支払っていけば問題ありません。
このように、弁護士に相談することで借金問題の解決に向けて確実に前進できます。
もし今、借金の返済で新たな借金をしようと思っている方がいれば、弁護士への相談を検討してください。
今ある借金がどれぐらい減るのかも、弁護士に相談することで見通しがたちます。当サイトで紹介している弁護士は初回相談無料で対応している事務所ですので、よろしければ以下のリンクボタンからお問い合わせください。
自分に適する債務整理手続きを選ぶことで、リスクを最小限に抑えられる可能性も
債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの種類があります。どの債務整理を検討すべきかは、各債務者(お金を借りている人)の状況によって異なります。まずは弁護士に相談をし、自分に合った債務整理を検討されてみてはどうでしょうか。
任意整理で債務をすべて整理して完済を目指す
任意整理という債務整理手続きは、将来の利息をカットし、元金のみを返済して完済を目指します。任意整理は、債務者(お金を借りた人)と債権者(お金を貸した人)の間でおこなう“交渉です。
裁判所を介しておこなう手続きではないため、法的強制力はありません。その一方で、債務整理の中でも比較的簡単におこなえるうえに安価でおこなえるため、メリットが多いのも事実です。
任意整理を検討すべき人は、“返済ができている人です。現時点でかろうじて返済ができているのであれば、将来の利息をカットすることで、生活にもゆとりができます。ゆとりができれば、無理のない範囲で確実に借金を完済できることでしょう。
年収の1/3以上の借入があるならば、個人再生もしくは自己破産を検討
総量規制の抜け道を利用して、年収の1/3以上の借入がある方、借金で首が回らなくなってしまっている方は、個人再生もしくは自己破産を検討してください。総量規制は、消費者の生活破綻を防ぐためにできた規制です。
それにも関わらず抜け道をくぐり抜け借金をし、支払えずに新たな抜け道を探しても同じことの繰り返しです。今すぐ個人再生もしくは自己破産をおこないましょう。本来であれば、借金が0になる自己破産を検討したほうが良いでしょう。
しかし、住宅や車などの資産を残したいのであれば、個人再生も視野に入れた債務整理を検討すべきです。ただひとつ言えることは、「総量規制を超えた借入がある方は、任意整理ではなく自己破産や個人再生での解決が良い」です。
総量規制が始まった理由と現在の生活を考えればわかることでしょう。現在“生活破綻を起こしているためです。債務整理をおこなうのであれば、早ければ早いほうが良いです。現在支払いに充てている費用を生活費に回すなど、生活再建を目指しましょう。
②規制上限以上に借りてもいいことはない
まず最初にお伝えしたいのが、総量規制以上の借り入れをおこななってもいいことはないということ。
借り入れをおこなう目的にもよりますが、総量規制の抜け道をついてまで借り入れをおこなうことはやめたほうが賢明です。
規制上限に達しているということは収入と返済のバランスが崩れている可能性が高い
というのも、総量規制の上限に達しているということは、一般的に収入と返済のバランスが崩れている可能性が高いと考えられるからです。
借金の返済が難しくなった場合にとる手続き(法的に借金の減額や、支払い義務を免除してもらう手続き)として、債務整理が挙げられますが、債務整理をおこなうべき一つの目安として、「借金が年収の1/3以上に達したとき」があります。
総量規制の上限に達しているということはまさにこれに該当しており、本来ならば債務整理手続きを開始してもいい段階にきているということです。
ここから新たな借り入れをおこなっても、返済していくことは非常に困難なはず。ですから、総量規制以上の借り入れはかなり危険な借り入れとなるので、慎重に判断するようにしてください。
借り入れ目的によっては、借り入れしないほうが良いことも
総量規制を超えてまで借り入れをおこないたい人の理由は様々なかと思います。
例えば、「家族や自分の高額医療費のため」「車の購入資金」「子どもの教育資金」など、明確な“目的が決まっているのであれば、まだ良いかもしれません。
一方「借金を返せない」「生活が苦しい」などの理由で抜け道を探しているのであれば、借り入れは今すぐやめるようにしてください。
特に「借金を借金で返しているような状況」はかなり危険
特に借金を借金で返済しているような人はかなり危険です。
そもそもなぜ、総量規制という規制が始まったのかを理解していれば、自分の置かれている現実に気付けるはずです。総量規制は、“過度な借入から消費者を守るためにできた規制です。
つまり、総量規制ができる前は年収に見合わない借入をおこない、借金の返済ができずに生活破綻を起こしてしまう方が非常に多くいました。事実、総量規制が全面施行された2010年以降、「なぜもっと早く導入しなかったのか」という声はあっても「なぜ総量規制を導入したんだ」という批判はありません。
消費者の最低限の生活を守るためには「最高でも年収の1/3以内が限度でしょう」というわけで施行されているのです。つまり、1/3以上の借入は生活破綻を起こしかねない“危険な状態です。
おそらく、抜け道を探されている方のほとんどは、「借金を返済するための資金が必要」「借金を返済したらお金がなくなって、生活費が足りない」といったところでしょう。
借金の返済ができない、生活が苦しいのであれば、根本的な解決をしなければ改善しません。「借金を返済するため」「生活資金を用意するため」総量規制を超えた借入をおこなえば、一時の生活はうまくいくかもしれません。しかし、来月、再来月、3か月後、半年後、借金を払えるかどうか、ということまで考えることが大切です。
数か月後に収入がアップしている確約があるならば、その場しのぎでお金を工面しても良いでしょう。しかし、ほとんどの方は収入アップの見込みすらないのではないでしょうか。であれば、現時点でもう債務整理をおこない、根本的な解決を目指すべきでしょう。
まとめ
今回は、総量規制の抜け道についてお伝えしました。
「借金=年収の1/3以内まで」と、思われている方は多く、決して間違った知識ではありません。しかし、総量規制の抜け道として、銀行からの借入や総量規制の例外・除外を利用すれば、年収1/3以上の借入も可能。
ただ、借入が可能であるからと言って、目的もなしに借入をおこなうのは危険です。何かしらの明確な目的があり、返済計画をしっかりと立てられるのであれば、総量規制の抜け道を模索して実行しても良いでしょう。
しかし、生活資金確保や借金返済のお金工面のために、総量規制の抜け道を利用してはいけません。もしも、返済や生活が厳しいのであれば、今すぐにでも債務整理を検討しましょう。
総量規制についてよくある質問
総量規制とは何ですか?
総量規制とは、簡単にいうと「年収の1/3を超えた貸付を原則おこなってはいけない」とする法律のことです。
総量規制の限度額に達しているのですが、どうしてもお金が必要です。これ以上借りる方法はありますか?
全ての借金が総量規制の対象となるわけではないので「銀行からの借入」「総量規制の例外・除外貸付」などを利用すれば、総量規制以上に借りることは可能です。
総量規制の限度額以上に借りるのはなぜ危険なのですか?
総量規制の限度額に達している時点で、収入と借り入れのバランスがすでに崩れている可能性が高いです。そのような状態で総量規制以上にお金を借りると、家計がパンクする恐れがありとても危険です。
総量規制の限度額に達している状況ですが、生活や借金返済の資金が足りません。総量規制の抜け道を利用する以外に解決策はありますか?
生活資金や借金返済が厳しく、総量規制以上の借入をしなければならない状態なら、総量規制の抜け道ではなく債務整理を検討してください。法律事務所へ相談して債務整理を依頼すれば、借金を減額でき、取り立てや返済も一時的にストップできます。
債務整理とはどのようなものですか?
債務整理は、利息や元金をカットし返済総額を大幅に減らせる国が認めた借金救済制度です。債務整理には複数の方法があり、主に「任意整理」「自己破産」「個人再生」を用いて借金問題を解決します。どの方法が適しているかは個人によって異なるので、法律事務所へ直接相談して確認するとよいでしょう。
最短即日取立STOP!
一人で悩まずに士業にご相談を
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