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2025年05月現在

任意整理をしても車を残したいときの完全マニュアル!車を残せる条件や任意整理後に車を利用する対策まで解説

借金の返済が苦しい場合、任意整理を検討することもあるでしょう。その場合、「任意整理をすると車はどうなるのか」「車が差し押さえられてしまうのか」のように考えるかもしれません。

結論、任意整理をすることで車を失ってしまう可能性はあります。とはいえ、必ず失うわけではなく、下記の両方を満たす場合には車が回収されてしまいます。

  • 自動車ローンを任意整理の対象にする
  • 自動車ローンに所有権留保がある

これに該当しない場合、任意整理によって車を失うことはありません。そのため、任意整理で車がどうなるのかを知りたい場合、「自動車ローンを任意整理の対象にするのか」「そのローンに所有権留保があるのか」の2点を確認しておくのがよいでしょう。

当記事では、任意整理をしても車を残したいときの完全マニュアルをテーマに、車を残せる条件や失うケースについて解説していきます。また、任意整理後に自動車を利用するための対策も解説していくため、任意整理を検討している場合には参考にしてみてください。

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監修
ゆら総合法律事務所
阿部 由羅(弁護士)

任意整理をしても車を残すことはできる!車が回収されないケース

任意整理をしても必ず車が引き上げられるわけではありません。下記のようなケースであれば、任意整理後も車を残せます。

  • 自動車ローンを任意整理の対象にしないケース
  • 返済中の自動車ローンに所有権留保がないケース
  • 自動車ローンを完済している、またはローンを利用していない

これらのいずれかに該当している場合であれば、任意整理をしても車は回収されません。任意整理を検討している場合、自身の状況が車が回収されるケースに該当していないかどうかを確認しておきましょう。

自動車ローンを任意整理の対象にしないケース

任意整理をしても車が回収されないケースとして、自動車ローンを任意整理の対象にしない場合が挙げられます。

前提として任意整理とは、返済条件を見直してもらうために、債権者に交渉をする手続きのことです。ほかの債務整理手続きとは異なり、任意整理によって交渉をする債権者を債務者自身が自由に選べます。

たとえば、自動車ローンとクレジットカードのキャッシング、カードローンの3つから借入があるケースを想定します。任意整理では、クレジットカードのみ、カードローンのみなど、借金の一部のみを対象として交渉が可能です。

任意整理の対象から自動車ローンを外すことで、今までどおり返済を行う必要はありますが、ローンの残債がある自動車が回収されてしまうことはありません。

返済中の自動車ローンに所有権留保がないケース

任意整理をしても車が回収されないケースとして、返済中の自動車ローンに所有権留保がない場合が挙げられます。

自動車ローンにおける所有権留保とは、車のローンを完済するまでは、その車の所有権がローン会社にあることを指します。車の売り手が売買代金を担保する目的で所有権留保が設定されます。

車のローンが残っていて所有権留保がある場合には、その車の所有権は債権者にあります。詳しくは後述しますが、この場合に任意整理をすると、所有者である債権者がその車を引き上げる権利があるのです。

とはいえ、所有権留保はすべての自動車ローンで必ずつけられるわけではありません。そのため、返済中の自動車ローンに所有権留保がなければ、自動車ローンを任意整理したとしても、自動車を残すことができるのです。

所有権留保がない自動車ローンの例としては、下記が挙げられます。

  • 銀行の自動車ローン
  • 信用金庫の自動車ローン
  • JAバンクの自動車ローン

たとえば、銀行の自動車ローンは自動車購入費用を銀行から借りて、債務者自身が車を購入するローンです。つまり、債務者が所有者になる仕組みであるため、任意整理をしても車は引き上げられません。

なお、利用している自動車ローンに所有権留保があるかどうかを確かめる場合、そのローンで購入した車の車検証を確認してみてください。車検証の「所有者の氏名又は名称」の欄が自身の名前ではなく債権者になっている場合は、所有権留保があると判断できます。

自動車ローンを完済している、またはローンを利用していない

なかには「自動車ローンを完済している」「自動車ローンを利用していない」という場合で任意整理を検討している人もいることでしょう。

インターネットには「債務整理をすると車が引き上げられる」という情報もみられます。このような情報から、「ローンを完済している、または利用していない状態では車はどうなるのか」のように考える人もいるかもしれません。

結論、「自動車ローンを完済している」「自動車ローンを利用していない」という場合であれば、任意整理をしても車が回収されることはありません。この場合は車の所有権は自身にあり、任意整理をしても自身が所有する財産が差し押さえられることはないためです。

なお、債務整理手続きの1つである自己破産の場合、手続きをすると持ち家や車といった財産が差し押さえられてしまいます。

この情報があるために、インターネットでは「債務整理をすると車が差し押さえられる」のような情報がみられると考えられますが、任意整理においては自身名義の車を処分する必要はありません。

所有権留保がある自動車ローンを任意整理すると車を失う

前述したように、自動車ローンを利用すると所有権留保がつけられる場合があります。所有権留保がなければ、任意整理をしても車が回収されることはありません。

しかし、自動車ローンが残っている状態で所有権留保がある場合に任意整理をすると、車が回収されてしまいます。これは所有権留保がある車は、本来債権者が所有者であり、任意整理があった際にはその車を回収する権利があるためです。

所有権留保のある自動車ローンの例としては、下記が挙げられます。

ローンの例 概要
信販ローン 信販会社がディーラーや自動車販売店と提携しているローンのこと。

□具体例

・ジャックス

・オリコ

・アプラス など
ディーラーローン 信託会社やクレジットカード会社、保証会社などが提供しているローンのこと。

□具体例

・トヨタファイナンス

・日産フィナンシャルサービス

・マツダクレジット など
自社ローン 自動車販売店が独自で用意している自動車ローンのこと

これらの自動車ローンの残債がある場合、その借金を任意整理すると車が回収されてしまいます。まずは、車検証の「所有者の氏名又は名称」の欄が債権者になっていないかを確認してみるのがよいでしょう。

任意整理後の最長5年間は車をローンで買うのは難しい

なかには、「任意整理後は車のローンを組めるのか」のように考える人もいるかもしれません。

結論から述べれば、任意整理後は車をローンで買うのは難しいです。これは、任意整理後はいわゆる「ブラックリスト入り」になってしまうことが関係します。

前提として、「ブラックリスト」というのは一般的に使用されている表現であって、金融機関がその存在を公表しているわけではありません。インターネットなどでは「ブラックリスト」という表現が一般化されている傾向がありますが、実は俗称に過ぎないのです。

一般的には、「返済能力を疑われやすい情報が信用情報に登録されており、ローンなどの審査に通りづらい状態」をブラックリスト入りと呼ばれています。簡単にまとめれば、任意整理をするとその履歴が一定期間残ってしまうことで、ローンなどの審査に通りづらくなってしまうのです。

そして、金融機関が提供する自動車ローンの申込後に行われる審査では、申込者の信用情報が必ず確認されます。任意整理の履歴が残っている場合、返済能力を疑われやすくなることから、審査に通りづらく自動車ローンを組むのが難しくなるのです。

なお、任意整理の履歴は借金を完済した日から最長5年間残ります。つまり、任意整理によって借金を完済できてから5年が経過しなければ、車をローンで買うのは難しいといえます。

任意整理後は自動車ローン以外からの借入も難しい

任意整理によってブラックリスト入りになると、自動車ローン以外からの借入も難しくなります。具体的には、下記のようなローンが挙げられます。

  • フリーローン
  • カードローン
  • 住宅ローン
  • ショッピングローン

なかには、「自動車ローンが難しければフリーローンなどから車の購入代金を借りればいいのでは」のように考える人もいるかもしれません。しかし、任意整理後の最長5年間はローンの利用が難しいため、このような対策は現実的ではありません。

任意整理後はカーリースの利用も難しくなる

カーリースとは、毎月定額を支払うことで、一定期間車を利用できるサービスです。簡単にいえばカーリースを提供する会社から車を貸してもらうものです。

カーリースを利用する場合、申込者に支払い能力があるのかなどを判断するための審査が行われます。その際には信用情報の照会が行われるのが一般的です。

任意整理の履歴が信用情報として残っている場合には返済能力を疑われやすく、カーリースの審査にも通らない可能性があります。そのため、債務整理をした後にカーリースを使うのは難しいといえます。

任意整理後に自動車ローンを組むための対策

前述したように、任意整理後には自動車ローンの審査に通るのは難しいです。とはいえ、「任意整理後は絶対にローンを組めない」という決まりがあるわけではありません。

そのため、下記のような対策を講じておくことで、任意整理後に自動車ローンを組める可能性はあります。

  • 信用情報から任意整理の履歴が消えてから自動車ローンに申し込む
  • 自社ローンや日本オートローンを利用する
  • 家族名義で自動車ローンを契約してもらう

ここからは、任意整理後に自動車ローンを組むための対策について、それぞれ解説していきます。

信用情報から任意整理の履歴が消えてから自動車ローンに申し込む

任意整理の履歴は最長5年間残ります。この間は自動車ローンなどの審査に通りづらいですが、任意整理の履歴が抹消された後であれば、任意整理が原因で自動車ローンに落ちることはありません。

そのため、信用情報から任意整理の履歴が消えてから自動車ローンに申し込むのも対策の1つになります。

自身の信用情報は、個人信用情報機関に開示請求をすることで確認できます。開示請求をすれば任意整理の履歴が残っているかどうかも確認できるため、任意整理後に車のローンに通るかどうかを判断する材料にもなります。

自社ローンや日本オート保証を利用する

任意整理後に自動車ローンを組むための対策としては、自社ローンや日本オート保証を利用することも1つの手です。

自社ローン

自社ローンとは、中古車販売店が自社で行っているローン契約のことを言います。

自社ローンでは、各自動車販売店によって独自の審査基準を設けています。そのため、任意整理後でも自社ローンを利用することで車を購入できる可能性があります。

任意整理後に車が必要なのであれば、自社ローンを扱っている販売店へ相談してみることも検討してみてください。

ただし、自社ローンは一般のローン会社と比べて金利が高い傾向にあります。また、借りられる金額が比較的低く設定されていることもあるため、状況次第では「車を買うのに必要な金額が借りられない」「毎月の返済額が高くて手が出ない」ということにもなりかねません。

自社ローンの利用を検討する際には、「借りられる金額はいくらなのか」「その金額を借りられた場合には毎月いくらの返済が必要なのか」などを販売店の方に相談してみてください。

日本オート保証

日本オート保証とは、他社でローン審査に通らなかった方を対象にしたサービスのことです。GPS機能やエンジン停止機能などの制限をつけることによって、より多くの人が車を利用できるようにしているサービスです。

日本オート保証は他社のローン審査に断られた方でも利用できる可能性があります。このサービスを利用するための条件としては下記が挙げられます。

  • GPS装置の設置とエンジン起動システムの設置
  • 第三者の利用禁止
  • 保証料の支払い

いずれも、通常の自動車ローンでは設定されていない条件です。GPS機能やエンジン起動システムの利用目的は、万が一支払いが滞ったときに、GPSで車が安全な場所に停車していることを確認して、車のエンジンをかからなくするためです。

こうすることで、支払いに不安がある方に対しても車のローン審査に通りやすくしています。もちろん、支払いが滞らなければエンジンがかからなくなったりGPS機能位置を確認されたりすることはありません。

任意整理後に車がほしいのであれば、日本オートローン保証の利用を検討されてみてはどうでしょうか。

家族名義で自動車ローンを契約してもらう

任意整理後に車のローンを組む対策として、両親や配偶者といった家族にローンを契約してもらうのも一つの方法です。この場合、任意整理をした自身がローンを組むわけではないため、信用情報に債務整理の履歴が残っていても車のローンの審査に通る可能性はあります。

ただし、家族名義で自動車ローンを契約してもらう場合、前提として以下の条件が必要なので注意してください。

  • 家族の年収や年齢、勤続年数などが車のローンの申込条件を満たしている
  • 家族の信用情報に任意整理などの債務整理の履歴が登録されていない

任意整理後にローン以外で車を利用するための対策

任意整理後に車を利用する方法は、ローンで購入することだけではありません。ほかにも、下記のような対策が挙げられます。

  • レンタカーやカーシェアリングを利用する
  • 自動車ローンを使わずに車を一括で購入する

ここからは、任意整理後にローン以外で車を利用するための対策について解説していきます。

レンタカーやカーシェアリングを利用する

「たまにだけど車に乗りたい」という方であれば、レンタカーやカーシェアリングの利用を検討するのも良いでしょう。

たまにしか車を利用しない方であれば、利用する時間、目的、人数等に応じてぴったりな車を借りられるのはとてもお得です。車を維持する費用を考えれば、圧倒的にカーシェアリングやレンタカーの方がお得です。

任意整理後の方でも利用ができるのでぜひ検討してください。

自動車ローンを使わずに車を一括で購入する

任意整理後は自動車ローンの審査に通るのが難しいです。そのため、そもそもローンを利用せずに車を一括購入することも検討してみてください。

現金で一括購入する場合、車の購入の審査は行われません。そのため、任意整理後であっても車を購入できます。

中古車のなかには、10万円ほどと比較的安価に購入できる車も少なくありません。借りるのではなく、自身名義の車が必要な場合には、中古車などの一括購入も視野に入れてみましょう。

まとめ

任意整理をすると自動車が回収されてしまうケースもありますが、それは「自動車ローンを任意整理の対象にする」「自動車ローンに所有権留保がある」の2つを満たすケースです。

これらに該当しない場合であれば、任意整理が原因で車が回収されてしまうことはありません。

なお、任意整理後は最長5年間ブラックリスト入りになります。その期間は金融機関が提供するローンやクレジットカードの審査に通りづらくなるため、自動車ローンを組みづらくなります。

そのため、任意整理後に自動車ローンを組みたい場合、「家族名義でローンを組む」「自社ローンを利用する」などの対策を講じることを検討してみてください。

任意整理のよくある質問

任意整理なら車を残して手続きできますか?

はい、可能です。
任意整理では手続きする債務を選ぶことができます。

任意整理後は車を購入できませんか?

任意整理後、5年程度は信用情報に事故情報が登録されます。
その間はローン審査が通らないため、ローンを組んでの購入は難しいです。
一括購入なら可能です。
また、自社ローンや日本オートローン保証のサービスを利用すれば、任意整理後でも車をローン購入できる可能性があります。

任意整理をするべきか悩んでいます。どこに相談したらよいですか?

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任意整理にかかる期間はどれくらいですか?

依頼から和解成立までは最短3ヶ月程度です。
依頼件数や滞納状況によってはもっと長くかかる場合もあります。
和解成立から完済までは原則3~5年です。

任意整理をした後も返済が辛い場合はどうすればいいですか。

もう一度任意整理をし直す(再和解)、もしくは個人再生や自己破産の手続きへ方針転換することができます。
着手金などをはじめとした弁護士費用は再度支払うことになるため注意しましょう。

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更新日 : 2025年05月08日
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