元金より利息が高いのはおかしい?利息が元金を上回る場合の解決策とは?

借金の返済明細を見ると、利息が元金を上回っていました。このまま返済を続けて完済できるのか不安です。


元金より利息が高い状態だと、返済総額が元金の倍になってしまうケースもあります。返済額を上げて元金を減らすのがむずかしければ、任意整理で将来利息をカットするのがおすすめです。
「過払金請求で利息を取り戻せる」と聞いたことがあるのですが、そういった方法を取ることは可能ですか?


過払金請求はグレーゾーン金利で払い過ぎた利息を取り戻す方法なので、適正金利の借金だと請求できません。おおむね2010年以降は、過払金はないと考えましょう。
月々の返済額のうち、利息が元金を上回っている状態で、借金がなかなか返せないという人は少なくありません。
元金より利息が高い状態は、返済総額が必要以上に高くなって元金の倍になってしまう危険性もあります。
対処法としては月々の返済額を上げて元金を早く減らすのが理想ですが、現状の返済で精一杯な人にはむずかしい話です。
そこで、返済が苦しくなっているような人は、将来分の利息をカットする「任意整理」という方法をおすすめします。
任意整理をおこなえばその時点から利息はゼロになり、元金のみを無理のない期間で返済することになります。弁護士や司法書士に相談して、任意整理による返済負担の軽減をおこないましょう。

- 利息が元金を上回っていると返済総額が倍になってしまう恐れがある。
- 月々の返済額を上げることがむずかしければ、任意整理による利息カットを検討したほうがよい。
- 現行のローンにグレーゾーン金利はないため、どれだけ利息が多くても過払金請求はできない。。
利息が元金を上回っていると返済総額が倍になってしまう恐れがある
月々の返済額の内訳が「元金>利息」の場合、当然ながら元金の減るスピードは遅くなります。
借金の利息は、基本的に「利用残高×実質年率÷365(日)×利用日数」で決まります。月々の返済額における利息割合も、利用残高が多いほど高くなるのが原則です。
利用残高(元金)が減らなければ月ごとの利息は高いままですし、利用日数(返済期間)が長引けば全体の利息は増えるため、「元金>利息」の状態は悪循環に陥っているといえます。
元金が利息を上回っている状態とそうでない状態の返済総額比較
利息利息が元金を上回る主な原因は、返済期間が長く設定されることです。例えば、100万円を年利15%で借りたとして、返済期間を10年と3年で比較してみます。
返済期間 | 10年計画の返済額 (元金分/利息分) |
3年計画の返済額 (元金分/利息分) |
---|---|---|
1ヵ月 | 16,133円 (3,633円/12,500円) |
34,665円 (22,165円/12,500円) |
2ヶ月 | 16,133円 (3,679円/12,454円) |
34,665円 (22,443円/12,222円) |
3ヶ月 | 16,133円 (3,725円/12,408円) |
34,665円 (22,723円/11,942円) |
4ヶ月 | 16,133円 (3,771円/12,362円) |
34,665円 (23,007円/11,658円) |
3年0ヶ月 | 16,133円 (5,612円/10,521円) |
34,659円 (34,232円/427円) |
10年 | 16,133円 (15,934円/199円) |
完済済み |
返済総額 | 1,935,960円 (1,000,000円/935,960円) |
1,247,940円 (1,000,000円/247,940円) |
※元利均等返済で計算
10年返済計画のほうが月々の返済額は少なくなりますが、「元金>利息」の状態が長くなり、最終的な利息総額は935,960円まで膨らんでしまいます。
一方、3年返済計画だと月々の返済額は多いのですが、割合は初回から「元金>利息」で、最終的な利息総額は247,940円です。
「元金>利息」の状態で返済を続けていると、結果的に返済総額がかなり膨らんでしまうことが改めてお分かりいただいたかと思います。
将来利息を負担に感じるなら任意整理の検討も有効
「元金>利息」の状態を解消したければ、月々の返済額を高くし、元金充当(返済額における元金の割合)を上げるのが基本的な方法です。
しかし、実際は「経済的な余裕がない」「現状の返済額で精一杯」という人も多いでしょう。そのように借金の返済で苦しんでいる場合は、任意整理を検討することをおすすめします。

任意整理とは?
将来分の利息をカットし、元金のみを3~5年で返していく債務整理の方法。
任意整理をおこなえばその時点から利息がなくなり、残っている元金のみを返していくことになります。
元金より利息が高い状態の人ほど、借金の減額効果が高い解決方法です。
任意整理をすれば将来分の利息をカットできる
任意整理をした場合の減額効果を見ていきましょう。
「年利15%・借入額100万円・10年返済計画」の借金を、6ヶ月目に任意整理(5年返済計画)した場合、次のようになります。
そのまま返済 | 任意整理後(5年で返済) | |
---|---|---|
月々の返済額 | 16,133 | 16,666円 |
残りの返済回数 | 114回 | 60回 |
7ヶ月目以降に発生する利息 | 69,780円 | 0円 |
全体の返済総額 (元金/利息) |
1,935,960円 (1,000,000円/935,960円) |
1,074,305円 (1,000,000円/74,305円) |
利息は6ヶ月目までしか支払わないことになるので、全体で見ても7万円弱にしかなりません。そのまま返済を継続するより、返済総額を大幅に減らせます。
ただし、任意整理はあくまで債権者との交渉であり、実際の減額幅や返済期間などは個別の事情で変わります。
交渉にあたる弁護士・司法書士の交渉力にも左右されるので、借金問題に注力しているところへ相談しましょう。司法書士は140万円までの案件しか受けられないので、借入額が高額な場合は弁護士に依頼します。
信用情報にキズがつくリスクには注意
任意整理をおこなう際に注意すべきなのが、信用情報にキズが付くという問題です。
個人の借入や返済履歴は、信用情報機関を通して銀行や貸金業者、クレジットカード会社に共有されます。
任意整理をおこなうと、その情報が信用情報に登録(いわゆるブラックリスト入り)されます。おおむね5年間は、新規借入やクレカ使用ができなくなるのです。
その他、任意整理のデメリットについては下記の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
ただし、返済が苦しくなって滞納を続けてしまった場合も、同じようにブラックリスト入りになってしまいます。同じブラックリスト入りなら、早めに任意整理をしたほうが無駄な利息を払わずに済むのでおすすめです。
リスクがあるため任意整理をためらう人もいますが、今後返済ができなくなる可能性が高い場合や、すでに滞納しているときは、速やかに任意整理を検討してみましょう。
任意整理意外に利息負担を軽減する改善策はあるのか?
「ブラックリスト入りは嫌だ」あるいは「任意整理をしても返済が苦しい」といった理由で、任意整理以外の対処法を取りたい人もいるでしょう。
他の対処法としては、下記の2つが候補となります。
- 低金利ローンに借り換える
- 自己破産・個人再生
ブラックリスト入りを避けたい場合は借り換え、任意整理をしても返済が無理な場合は自己破産・個人再生がおすすめです。
ただし、いずれの方法も一長一短なので、個々の状況や自分の希望に応じて選びましょう。
どの方法が適切かわからない場合は、弁護士や司法書士の無料相談でアドバイスをもらうことも可能です。
低金利ローンに借り換える
現在の金利より低いところに借り換えれば、利息を減らして返済総額を抑えられる可能性があります。
例えば「年利15%・借入額100万円・10年返済計画」の借金を金利12%のローンに借り換えた場合、次のようになります。
そのまま返済 | 借り換え | |
---|---|---|
返済期間 | 毎月返済額 (元金分/利息分) |
|
1ヵ月 | 16,133 (3,633/12,500) |
14,347 (4,347/10,000) |
2ヶ月 | 16,133 (3,679/12,454) |
14,347 (4,391/9,956) |
3ヶ月 | 16,133 (3,725/12,408) |
14,347 (4,435/9,912) |
4ヶ月 | 16,133 (3,771/12,362) |
14,347 (4,479/9,868) |
3年0ヶ月 | 16,133 (5,612/10,521) |
14,347 (6,159/8,188) |
10年 | 16,133 (15,934/199) |
14,261 (14,120/141) |
返済総額 | 1,935,960円 (1,000,000円/935,960円) |
1,721,640円 (1,000,000円/721,640円) |
表の通り、返済総額を20万円ほど抑えることが可能です。任意整理ほどではありませんが、負担を軽減できるといえるでしょう。
ただし、借り換え目的の融資審査は必ずしも希望条件で借りられるとは限らず、借入額が少なかったり、金利が下がらない場合もあります。
まずは審査を受けてみて、実際の借入条件を見てから借り換えるかどうか決めるとよいでしょう。
借り換え先の候補としては、次のローンがあげられます。
カードローン | 上限金利(年率) |
---|---|
楽天銀行スーパーローン | 14.5% |
auじぶん銀行カードローン「じぶんローン」 | 15.0% |
みずほ銀行カードローン | 14.0% |
三菱UFJ銀行カードローン「バンクイック」 | 14.6% |
東京スター銀行「おまとめローン(スターワン乗り換えローン)」 | 9.8%・12.5%・14.6% |
アイフル「おまとめMAX」 | 3%~17.5% |
プロミス「おまとめローン」 | 6.3%~17.8% |
自己破産・個人再生
自己破産や個人再生は、裁判所に申し立てて借金を減額・帳消しにする方法です。
自己破産 | 個人再生 | |
---|---|---|
内容 | 借金をすべて免責(帳消し)にする | 借金を1/5~1/10に減らし、原則3年間で分割返済する「再生計画」を立てる |
メリット | 借金の返済がゼロになる | 自宅を残したまま借金を大幅に減らせる |
デメリット | ・おおむね10年間のブラックリスト入り ・ほぼすべての財産を処分 ・資格・職業の一時的な制限 |
・おおむね10年間のブラックリスト入り ・自宅以外のほぼすべての財産を処分 |
任意整理より借金の負担は軽減できますが、10年間のブラックリスト入りなどリスクも大きくなります。
任意整理をしても返済できないほど困窮している場合は検討すべきですが、経済的にまだ余力があるなら、任意整理をおこなったほうがデメリットは少ないのでおすすめです。
自己破産や個人再生についても弁護士・司法書士に相談できるので、任意整理と合わせてどの方法がベストなのかアドバイスしてもらうとよいでしょう。
払い過ぎた利息を取り返すことは可能?
CMなどで「過払金請求で払い過ぎた利息を取り戻すことができます」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
元金より利息が高くて悩んでいる人のなかには、過払金請求で利息を取り戻して、元金の返済に充てられるのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、現行のローンでは原則として過払金はできず、どれだけ利息を払っていても取り戻すことはできません。
先に解説した通り、任意整理など別の方法で返済負担を軽くすることを検討しましょう。
現行のローンだと利息を取り戻す「過払金請求」は原則不可能
過払金請求とは、グレーゾーン金利で払いすぎた利息を取り戻す手続きです。

グレーゾーン金利とは?
かつて利息制限法と出資法の間にあった「上限金利の差分」の金利帯。
貸金業者が取れる金利上限は利息制限法で年15~20%とされていますが、刑事罰を定める出資法では、かつて上限金利を年29.2%としていました。
つまり、本来なら15~20%を超える金利は無効なのに、実際に罰せられるのは29.2%より上なので、多くの貸金業者がその中間であるグレーゾーン金利を取っていったのです。
2010年6月の法改正で出資法の上限金利は20%に引き下げられているため、現行のローンにグレーゾーン金利は発生しません。
参照:e-Govポータル「利息制限法第1条」
参照:e-Govポータル「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第5条第2項」
上記の解説にある通り、2010年の法改正※でグレーゾーン金利はなくなったため、現在は基本的に適正金利で貸し付けられています。
適正金利である以上、利息総額が元金を越えようとも利息は取り戻せないということになります。
※各貸金業者は法改正前に自主的な金利引き下げをおこなったため、実際に過払金請求ができる借入時期は各社で異なります。
過払金請求が可能でも時効が成立している場合がある
借入時期が法改正前でも、時効の成立によって過払金請求ができない場合もあります。
過払金の時効は、最後の取引があった日から10年間(もしくは権利の行使が可能と知ってから5年間)で成立します。
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
2 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
※条文の「権利を行使することができる時」は、2007年の最高裁で「取引が終了したとき(借金を完済したとき)」からと判断されています。
仮に2020年12月31日に完済したのであれば、遅くとも2030年の12月30日までに請求をしなければ、過払金は消滅してしまうのです。
借入時期がグレーゾーン金利時代で、完済してから10年未満しか経っていない人は、早めに弁護士・司法書士に相談のうえ過払金請求を検討しましょう。
まとめ
利息が元金を上回っていると、そのまま返済を続けても完済するまでが長く、返済総額も不必要に多くなってしまいます。
月々の返済額を上げて元金を減らすのがむずかしければ、任意整理で利息をカットし、元金のみを返す方法にシフトしましょう。
現代で主流のリボ払いは、コツコツと返済を続けられる真面目な人ほど、利息が積み重なってしまうことが多々あります。
返済で生活が苦しいのであれば、決して無理をすることはありません。どんな借入状況でもなんらかの解決方法はあるので、遠慮せず積極的に弁護士・司法書士へ相談してみましょう。
利息についてよくある質問
利息が元金を上回っていると、完済まで長期化し、返済総額も増えてしまいます。月々の返済額を上げるなど、早急に対処したほうがよいでしょう。
細かい条件にもよりますが、元金の倍以上になるケースもあります。
将来分の利息をカットする「任意整理」をおこなえば、月々の返済額を抑えて支払い総額を減らすことが可能です。
借金問題を積極的に取り扱っている弁護士や司法書士に相談しましょう。当サイトでも、相談無料で任意整理に対応している弁護士・司法書士を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。→【任意整理で将来利息をカット!】借金問題に強い弁護士・司法書士こちら
過払金請求はグレーゾーン金利で払いすぎた利息を取り戻す方法なので、現行のローンでは請求できません。仮にグレーゾーン金利で借りていたとしても、完済から10年が経つと時効が成立してしまいます。

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