離婚調停が不成立になるのは15~20%程度
離婚調停が不成立で終わる割合は、15~20%程度です。令和2年の司法統計によると、離婚調停の年間総数が58,969件で調停不成立数は9,998件となっており、不成立の割合は約17%です。平成29年~令和元年のデータでも各年約17%と同等なので、毎年15~20%程度が不成立になる割合であると言えます。
参照:第14表 婚姻関係事件数-終局区分別 | 裁判所
なお、調停の途中に取下届を提出すると調停を取り下げることができますが、取り下げた場合は調停不成立として扱われることはありません。
「離婚調停の不成立」は話し合いでは解決できない場合に下される
離婚調停において当事者双方の主張が大きく異なり、話し合いでは調整のしようがないと調停委員会が判断した場合、調停不成立となります。
調停委員会とは、裁判官または調停官と、男女一人ずつの調停委員で構成された組織のことです。夫婦間に入り、お互いの主張や希望を伝聞の形で相手に伝えることで、解決へのサポートを担います。
離婚調停は裁判ではなく、離婚に関する結論を出すのは裁判官ではなくあくまでも当事者です。そのため、夫婦間で話し合いに納得できなければ調停が成立することはなく、実際に離婚調停が成立しているのはおよそ半分の割合です。
なお、不成立と似た言葉に「取下げ」があります。取下げの特徴については、以下で詳しく解説します。
「取下げ」は当事者のどちらかが申し立てをやめること
調停を申し立てた人自らが申し立てを取りやめることを、取下げと呼びます。不成立と混同しがちですが、不成立は当事者の合意が成立する見込みがない場合、不成立の希望はできるものの最終的には調停委員会(裁判所)の判断で決定されます。
対して取下げは、申立人自身が好きなタイミングで自由に行えるのが特徴です。相手の同意は必要なく、離婚を撤回したいときや調停の意味がないと判断した場合などに、裁判所に取下書を提出すれば調停を取下げられます。
ただし、離婚調停を経ていないと離婚裁判の申立てはできない点には注意しましょう。将来的に離婚裁判を起こすことを考えているなら、離婚調停は取下げではなく不成立で終了させる必要があります。
離婚調停が不成立となるケース
離婚調停が不成立になるのは、主に以下5つのケースです。
- 相手が離婚に合意しない
- 相手が離婚原因を認めない
- 相手が調停に出席しない
- 親権を双方が主張していて合意に至らない
- 財産分与や慰謝料などについて合意に至らない
調停を申立てても上記のようなケースだと一向に解決に至らず、ただ時間を無駄にしてしまう可能性が高いです。
順を追って詳しく解説します。
相手が離婚に合意しない
相手が離婚自体を拒否している場合は、調停での解決は困難です。離婚調停の成立には当事者双方の同意が必要になるので、どちらか片方が拒否すれば不成立となります。ただし、証拠を提出して「婚姻関係の継続が困難」と判断されれば、相手の意思と関係なく離婚できる可能性は高いです。
具体的な事項と有力な証拠について、主な例を以下にまとめました。
不貞行為 |
- 不貞行為がわかる映像や録音
- 不貞行為をにおわせるメールやLINEでのやりとり
- ホテル宿泊時の領収書やクレジットカードの明細書
- 不貞行為を認める内容が記録された録音や念書
- 興信所や探偵事務所の調査報告書
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DV・モラハラ |
- 医師の診断書
- DVによって負った外傷の写真
- DV・モラハラを受けている映像や録音
- DV・モラハラをにおわせるメッセージ履歴
- 警察への相談履歴
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悪意の遺棄 |
- 生活費の振り込みがないことがわかる家計簿や預金通帳のコピー
- 正当な理由なく家を出たことがわかるメッセージや置き手紙
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その他(セックスレスなど) |
- 性行為を拒否された、強要された日を記録した日記
- 夫婦の話し合いを録音したデータ
|
上記の項目は、婚姻関係の継続が困難な理由に該当します。ちなみに悪意の遺棄とは、正当な理由なく同居義務、協力義務、扶助義務・婚姻費用分担義務を放棄する行為を指します。
ただ、その事実があったと口頭で述べるだけでは信憑性に欠けることから、離婚理由として認められません。したがって調停委員を納得させ調停を成立させるためには、上記のような確実な証拠を用意しておく必要があります。
相手が離婚原因を認めない
相手が離婚原因に納得していない場合や条件面での合意ができなかった場合、調停で話はまとまりません。離婚時に決めるべき条件には、たとえば以下のようなものが挙げられます。
- 財産分与
- 慰謝料額
- 子どもの親権
- 養育費
- 面会交流の有無
基本的には条件すべてに双方が同意しなければ不成立となります。ただし、先述した「婚姻関係の継続が困難な理由」の明らかな証拠があれば、調停委員から離婚する方向に働きかけてもらうことも期待できます。
相手が調停に出席しない
相手方が故意の場合も含めて調停に出席しない場合も、不成立になるケースの一つです。出席しなければ話し合い自体ができないため、成立する余地がありません。
もし調停を強く望むのであれば、家庭裁判所の事実調査を利用して相手方に出頭を要請したり、相手の都合に合わせて調停日を再度調整したりすることはできますが、欠席が続けば話し合いは困難として調停不成立となります。
親権を双方が主張していて合意に至らない
子どもの親権に関する主張がぶつかり合意に至らない場合も、調停は不成立になります。親権は離婚時にしっかりと決めなくてはならない大切な問題です。離婚時には、協議によって子どもの親権者を一方に定めなければならないと民法で定められています。
なお親権のみを争っている場合は、「協議に代わる審判」に移行して裁判官の判断を仰ぐこともあります。
審判については、「離婚審判に移行することもある」の項にて詳しく解説しています。
ただ、審判への移行は極めて例外的なケースであると言えます。親権で争っている場合は、離婚条件に優先順位をつけると合意に向かう可能性があります。
たとえば、「親権をくれれば面会交流はそちらの希望どおりに行う」などが提案例の一つです。
また、家庭裁判所による調査官調査でどちらに親権を渡すべきかを調査してもらうこともできます。調査官調査の対象は夫婦と未成年の子ども、監護を手伝っている親族や幼稚園などの関係機関です。専門的知識を持った調査官が多角的に調査をするため、自身に有利な結果が出れば裁判でも有利になる可能性が高いです。
財産分与や慰謝料などについて合意に至らない
財産分与や慰謝料など、金銭面での合意ができない場合も調停不成立になります。金銭面が問題になっている場合は判例も参考にして、裁判にするのか調停による解決を目指すのかを考えるのがよいでしょう。
たとえば、財産分与は原則2分の1ずつとされていますが、協議の上で割合を変更しても問題ありません。また、不貞行為やDV・モラハラがあった場合の慰謝料相場は50~300万程度です。
もし相手が財産隠しをしている場合、離婚調停や裁判の中で家庭裁判所に調査嘱託を申立てれば、財産の情報開示を要求することが可能です。
なお、財産分与や慰謝料は離婚時に必ず決めなければならないものではないため、先に離婚調停を成立させて後から詳しい条件を取り決めるという方法もあります。
ただ、離婚後に話し合おうとしても難航してしまうケースや、後回しにしすぎると時効を迎えてしまうリスクもあります。離婚による慰謝料は離婚してから3年以内なので、できる限り離婚前に条件について話し合っておくことが望ましいです。
離婚調停が調停不成立となった後の流れ
離婚調停が不成立で終了したら、次に行うべきは以下4つのどれかです。
- 改めて離婚協議を行う
- 離婚裁判を提起する
- 離婚審判に移行することもある
- 再度調停を申し立てることも可能ではある
それぞれ詳しく解説していきます。
改めて離婚協議を行う
調停が不成立に終わった後、相手と話し合いが可能なら、改めて夫婦で話し合いをしてみましょう。離婚調停で調停員や裁判官を交えた話し合いを経たことで、争点やお互いの意見が整理できてスムーズに話し合いが進む可能性もあります。
また、話し合いを長期化させることによる手間や精神的ストレスをデメリットに感じ、協議離婚に応じてくれるケースも考えられます。協議離婚になれば費用がかからず、調停や裁判のような複雑な手続きも不要なことがメリットですが、夫婦間があまりにこじれている場合は協議を成立させるのは難しいでしょう。
その場合はしばらく別居を続けてみて、タイミングを見てまた話し合いをすることを検討してみてください。
離婚裁判を提起する
どうしても双方の意見が食い違って離婚に至らない場合は、裁判を起こして裁判官に判決を出してもらう「離婚裁判」を行うという手段があります。離婚裁判をする場合、基本的に調停不成立から1年以内に提起したほうが良いでしょう。
離婚裁判では一方が離婚を拒否していたとしても、それまでに提出された証拠や主張をもとに、裁判官が離婚可否や子どもの親権、慰謝料などについての判決を下します。なお離婚裁判においては、以下5つの法定離婚事由に該当するものがなければ離婚は認められません。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 強度の精神病(回復の見込みがない)
- その他婚姻を継続し難い重大な事由(DVやモラハラ、セックスレスなど)
離婚理由として最も多いとされる「性格の不一致」は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当します。
ただし、上記に当てはまる項目があればただちに離婚が認められるわけではなく、それをふまえた上で今後の婚姻継続が可能かどうかが判断されます。
なお、一人で裁判を提起するのは法的な知識面でも労力面でも困難なので、弁護士に依頼することをおすすめします。
離婚審判に移行することもある
調停で、おおむね離婚に合意できているが意見の一部に相違がある場合や、遠隔地に居住しているなどの特別な事情があって調停に参加できない場合、調停不成立後に離婚審判に移行することもあります。
離婚審判とは、当事者の合意がなくても裁判官の職権で離婚の判断を下せる手続きのことです。子どもの親権や慰謝料など、細かい条件のみ合意できていない場合に裁判官が審判の手続きを行うことがあります。
もし審判の内容に不服なら、2週間以内に異議申立てが可能です。その場合審判の効力はなくなり、通常の離婚裁判での解決を目指すことになります。
再度調停を申し立てることも可能ではある
離婚調停の回数に制限はないため、再調停を申し立てることは可能です。ただし、不成立直後など前回と状況が何も変化しないうちに再調停を申し立てても、結果は変わらない可能性が高いです。
たとえば一方が就職・転職をして経済面に余裕が出たタイミングや、子供が独り立ちをしたときなどに再び調停を起こせば、心境の変化により離婚が成立することも考えられるでしょう。
離婚調停が不成立になった場合の弁護士費用
離婚調停が成立しなかった場合、弁護士への報酬は発生しません。ただし、離婚調停と同時に申し出ていた調停で成果が出れば報酬を支払う必要があります。
また、審判移行時に追加費用がかかるかどうかは事務所の料金体系により異なります。調停を経て裁判を提起することになった場合は、追加費用を負担しなければならないケースが多いです。
離婚調停不成立時の弁護士費用について、詳しく解説します。
離婚調停の報酬は発生しない
離婚調停が不成立となった場合、弁護士に依頼した成果を得られていないことになるため、調停に対する報酬は発生しません。しかし、離婚調停と一緒に婚姻費用や面会交流に関する調停の申し立ても行っていた場合、そちらで成果が出れば成功報酬が発生します。
婚姻費用とは、夫婦や未成年の子にかかる生活費全般のこと。面会交流とは、離婚後に親権を持たない親と子の面会および交流のことです。
なお、事務所によっては成果に関係なく、調停終了時に基本報酬として報酬が発生する場合もあります。のちに審判や裁判を依頼することになれば不要になるケースも多いですが、料金体系は事務所によっても異なるため、依頼前にしっかり確認しておきましょう。
審判移行時の追加費用は弁護士事務所次第である
審判移行に伴い追加費用がかかるかどうかは、弁護士事務所の料金体系によります。調停と審判を同じ料金で対応している事務所の場合は、審判移行時に追加費用はかかりません。
一方で審判移行時に改めて着手金がかかる事務所なら、追加費用が発生します。
離婚裁判の場合は改めて着手金が必要である
離婚調停が不成立に終わり離婚裁判を提起することになった場合、通常は改めて着手金(追加費用)を負担する必要があります。ただ、発生する追加費用は離婚裁判の着手金全額というわけではなく、調停と裁判の着手金の差額のみであるケースが多いです。
たとえば調停の着手金が20万円、裁判の着手金が40万円の場合、調停に引き続き裁判を依頼することになった際の追加費用は20万円ということになります。
料金体系 |
調停不成立の場合の報酬金 |
離婚達成で50万円 |
0円 |
|
10万円(引き続き裁判を依頼する場合は0円) |
離婚裁判を起こす際のポイント
離婚裁判を起こす際には、以下4つのポイントをチェックしましょう。
- まずは調停を行う必要がある
- 調停の内容や流れは裁判とは無関係である
- 自らの主張を通すには証拠が必要である
- 和解による解決も視野に入れる
順を追って解説していきます。
まずは調停を行う必要がある
離婚裁判をする前に、まずは離婚調停を起こす必要があります。離婚の手続きにおいては「調停前置主義」が原則であり、最初から裁判官に判断してもらうのではなく、まずは当事者同士で話し合うべきであるとされています。
したがって、調停を経ずにいきなり裁判をすることはできません。ただし例外として、以下のようなケースでは話し合いの場を設けることが難しいと判断され、調停を経ずに裁判を行うことが認められています。
- 配偶者の行方・生死が不明
- 配偶者が回復の見込みがない強度の精神病を患っている
- 調停を行っても合意に至る見込みが全くない
離婚調停を行い不成立になった場合、調停が不成立になったことを証明する「不成立証明書」を裁判所から交付してもらえます。訴訟をする際には、裁判を行う裁判所に不成立証明書を提出する必要があります。
調停の内容や流れは裁判とは無関係である
調停と裁判はそれぞれ独自の手続きのため、調停で主張したことや提出した書類が裁判に引き継がれることは基本的にはありません。そのため、裁判を行う場合は資料を一から準備して提出し、裁判官に認めてもらえるよう主張する必要があります。
ただし、相手方が調停で提出した資料や証拠を提出する可能性があることに加え、調停および裁判を担当した裁判官が同じだった場合、調停での主張と裁判での主張に一貫性がないと、裁判官への心証が悪くなることが考えられます。
したがって調停から事実のみを正確に述べるのはもちろんのこと、調停での流れやそれぞれの主張を書面にまとめておくと、裁判をスムーズに進行できます。
自らの主張を通すには証拠が必要である
法定離婚事由があることをただ主張しても、その証拠がなければ事実として認めてもらうことは難しいです。「相手が離婚に合意しない」の項でも解説したとおり、離婚事由ごとに必要となる主な証拠があります。
離婚や慰謝料の請求が通りやすくなるようにするため、不貞行為やDV・モラハラなどの証拠を事前に集めておきましょう。なお日記を提出する場合は、改ざんを疑われないためにも被害を受けた日時や場所、内容をできる限り具体的に記録しておくことでより有力な証拠になります。
和解による解決も視野に入れる
裁判が長引くと金銭的にも精神的にも負担が大きくなるため、和解も一つの解決方法です。和解とは、裁判中に当事者同士が譲歩して成立させる解決方法のことです。
口頭弁論のあと、裁判官が双方の事情を汲んだ和解案を提示した上で和解することを勧めてくることがあります。和解による離婚を選択すれば、裁判による判決を待つよりも短期間で離婚を成立させられるため、弁護士費用や婚姻費用などの金銭的負担が少なくなるメリットがあります。
また和解離婚をすると、判決と同等の法的効力を持つ「和解調書」というものを裁判所が作成します。相手が条件を守らず慰謝料や養育費の支払いが滞った場合などには、強制執行の申し立ても可能です。
調停を不成立にさせないためのポイント
離婚調停を不成立にさせないために、以下4つのポイントを確認しましょう。
- 離婚条件を整理して優先度を決めておく
- 相手に分かりやすく伝えることを心がける
- 証拠を集める
- 弁護士に依頼する
上記は、スムーズに調停を進めるためにも重要なポイントです。順を追って解説します。
離婚条件を整理して優先度を決めておく
複数ある離婚条件のうち、譲れる点と譲れない点を明確にしておくことが大切です。調停はあくまでも当事者双方の意見を調整する場であり、すべての条件を通そうとすると、相手と衝突する一方で話し合いが平行線になってしまいます。
離婚条件を整理し、優先順位を決めておくことで交渉・譲歩する姿勢を裁判官や調停員に示すことができるでしょう。また条件の優先度を決めた結果、自分が重視する点と相手が重視する点が異なる場合もあるため、お互いの主張を把握でき折り合いがつけやすくなります。
相手に分かりやすく伝えることを心がける
離婚調停では、感情的に自分が言いたいことを言うだけでは相手に伝わらないので、争点がどこなのかをお互いに理解できるよう、冷静にわかりやすく話すことを心がけましょう。
一方的に相手への不満や落ち度を訴えるだけでは、話し合いをしても一向に解決しません。第三者である調停員にとっても、わかりやすく話したほうが心証がよくなります。
端的に伝えるためには、事前に意見や要望をまとめておくことがおすすめです。ただ、相手にも調停員にもわかりやすい内容にまとめるのは一人では難しいため、弁護士に相談した上で伝える内容をまとめておくことが大切です。
証拠を集める
調停を成立させるためには、証拠を用意する必要があります。法定離婚事由があったとしても証拠が何もなければ、調停員を納得させることはできません。証拠を集めることは、調停だけでなく当事者間での協議は裁判においても重要です。
証拠に提出義務はないものの、用意しておくことで自分の意見を有利にできる材料になります。なお具体的に必要となる証拠については、「相手が離婚に合意しない」の項で解説しています。
弁護士に依頼する
弁護士に依頼しておけば、離婚調停に一緒に参加してもらえます。調停は自身だけで行うこともできますが、慣れない場での対応に不安に思う方は多いでしょう。弁護士のサポートがあれば適切なアドバイスを受けられることに加え、専門家として相手の主張にも対応してくれるため安心です。それに伴い、調停がスムーズに進みやすいこともメリットと言えます。
また万が一、調停不成立になり裁判に移行した場合、調停で提出した資料や経緯が重要になることもあります。したがって少しでも裁判に発展する可能性がある場合は、調停から弁護士に依頼するのがおすすめです。
離婚調停不成立後の別居に関するポイント
離婚調停不成立後に別居をする場合、以下3つのポイントに注意しましょう。
- 相手に同意を得ておく
- 証拠の収集は大切である
- 別居期間が3~5年になると離婚事由に該当する可能性がある
別居をするなら、将来的に自分が不利にならないように必ず相手の同意を得ることが大切です。また、必要があれば別居前に証拠集めをしておきましょう。
以下で詳しく解説していきます。
相手に同意を得ておく
調停不成立後に別居をする際は、別居する旨をしっかりと説明し、了解を得ておきましょう。民法で、夫婦には同居する義務があると定められています。
そのため勝手に家を出て別居すると、法定離婚事由の一つである「悪意の遺棄」があったとして有責配偶者と判断され、裁判で不利になってしまう可能性があります。慰謝料の支払い義務が発生する恐れもあるため、家を出る前には相手に必ず別居する旨と理由を伝えておくことが大切です。
また親権を持ちたい場合は、住居が変わったとしても子どもと同居するのが望ましいです。一緒に暮らすことで監護実績になるため、親権者として認められやすくなります。
証拠の収集は大切である
裁判で有利に進めるためには、十分な証拠を確保しておく必要があります。別居をするとなると、相手の行動を把握しづらくなるため証拠を集めにくくなることがデメリットです。
たとえば、不貞行為があったと証明できる証拠には不倫相手とのメッセージ履歴やクレジットカードの明細書などがありますが、別居すればこれらを自分の手元に証拠として残すのは非常に難しいと言えるでしょう。そのため離婚理由が不貞行為やDVなどであれば、別居前に証拠を集めておくべきです。
別居期間が3~5年になると離婚事由に該当する可能性がある
別居をしている期間が3~5年程度になると、法定離婚事由の一つである「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとして、裁判で離婚が認められる可能性があります。長期間別居していることで、婚姻関係が修復不可能であると判断されるためです。
ただしこの期間はあくまでも目安であり、相手がDVや不貞行為などをしていた場合は、別居期間が3年に満たなかったとしても離婚が認められるケースもあります。
また、裁判所は「同居期間と別居期間の長さの対比」から婚姻関係の破綻について判断します。したがってそもそもの結婚期間が短ければ、別居期間が3年未満でも離婚が認められる可能性があるでしょう。
まとめ
離婚調停では、相手が離婚や条件について合意しなかったり、調停に出席せず話し合い自体ができなかったりする場合に不成立となります。離婚が成立しなければ改めて夫婦で離婚協議を行うか、審判もしくは裁判に移行することになるケースが多いです。
調停でも裁判でも、証拠と第三者にもわかりやすい主張が重要になります。不貞行為やDVがあった場合は、自分側が有利に進められるよう十分な証拠を集めておくべきです。また離婚を認めてもらうには、相手はもちろん調停員や裁判官も納得できるようなわかりやすい主張を心がけましょう。
一人での対応が不安なら、弁護士に依頼をするのがおすすめです。適切なサポートをしてもらえるため、離婚手続きをスムーズに進められます。
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