掲載件数
577
2025年05月現在

離婚調停に弁護士は必要?依頼するメリットや費用相場を解説

離婚調停に弁護士は必要?依頼するメリットや費用相場を解説

離婚調停とは、家庭裁判所を通じて夫婦で話し合いを行い、第三者である調停委員のもとで離婚の可否や条件についての合意を目指す制度です。

離婚調停を控えている方のなかには、「離婚調停に弁護士は必要?」「離婚調停について弁護士に依頼するべきか迷っている」と悩んでいる方も多いでしょう。

結論から述べると、離婚調停を有利に進めたいのであれば、弁護士に依頼するのがおすすめです。

離婚調停は自分だけで進めることもできますが、弁護士に依頼することで以下のようなメリットを得られます。

  • 離婚調停を早く終わらせられる可能性がある
  • 書類作成や証拠収集などの負担を軽減できる
  • 離婚調停に代理出席してもらえる
  • 適切な条件で離婚できる可能性が高まる

とくに相手と主張が大きく食い違っているケースや、子どもの親権、財産分与、慰謝料など複雑な争点があるケースでは、弁護士のサポートが強い味方になります。

また、相手が強く離婚を拒否していたり、弁護士をつけていたりする場合も、こちら側が不利にならないよう弁護士に依頼することをおすすめします。

状況によっては、調停が長期化して裁判に発展する可能性もあるため、早い段階から弁護士に相談しておくと安心です。

本記事では、離婚調停を弁護士に依頼するメリットや依頼したほうがよいケース、費用相場まで詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに弁護士にご相談を

ツナグ離婚弁護士で離婚に強い
弁護士を探す
南陽輔 弁護士
監修
一歩法律事務所
南 陽輔(弁護士)

離婚調停を弁護士に依頼する4つのメリット

離婚調停を弁護士に依頼する主なメリットは以下のとおりです。

  1. 離婚調停を早く終わらせられる可能性がある
  2. 書類作成や証拠収集などの負担を軽減できる
  3. 離婚調停に代理出席してもらえる
  4. 適切な条件で離婚できる可能性が高まる

ここでは、離婚調停を弁護士に依頼するメリットについて解説します。

1. 離婚調停を早く終わらせられる可能性がある

離婚調停を弁護士に依頼することで、調停の長期化を防ぎ、早期解決につながる可能性が高くなります。

調停では調停委員を介して話し合いを進めるのですが、特殊な場面であるため自分の主張をうまく伝えられないケースも少なくありません。

弁護士にサポートしてもらえば、こちら側の主張を整理したうえで法的根拠に基づいて的確に伝えてもらえるため、話し合いがスムーズに進む可能性が高まります。

とくに、離婚調停に精通した弁護士であれば「どこで妥協点を見つけるか」という交渉のコツも把握しており、調停が長引かないよう戦略的に進めてもらえます。

調停がスムーズに進めば、精神的なストレスや時間的な負担も軽減されるでしょう。

2. 書類作成や証拠収集などの負担を軽減できる

離婚調停においては、主張を裏付けるための書類作成や証拠収集など、多くの準備が必要になります。

まず離婚調停を申し立てる際には、調停申立書を作成したうえで所定の書類を集めて提出しなければなりません。必要書類は夫婦の戸籍謄本のほか、申立内容によって異なります。

弁護士に依頼していれば調停申立書の作成を代行してもらえるだけでなく、必要書類についても指定してもらえるため、手続きの負担を大幅に軽減できるでしょう。

また、親権や慰謝料について争う場合は、証拠となる資料の提出が重要になります。

たとえば離婚原因が配偶者の不倫であり慰謝料請求が争点となる場合、証拠がなければ相手に「不倫は誤解だ」と反論される可能性があります。

自力で証拠を収集するのは大きな労力がかかりますが、弁護士に依頼すれば「証拠を集めるにはどうしたらよいのか」「裁判も見越してどのような証拠が有効か」などのアドバイスを受けられます。

また、弁護士事務所によっては、浮気調査を得意とする探偵事務所や興信所の紹介をしてもらえます。アドバイスやサポートを受けることで、精神的な負担を軽減しつつ証拠収集を進められるのは大きなメリットといえるでしょう。

有利な条件で交渉を進めるためにも、弁護士にサポートしてもらいながら抜け漏れなく準備することが大切です。

3. 離婚調停に代理出席してもらえる

弁護士に依頼すれば、本人の代わりに離婚調停の代理人として出席してもらうことも可能です。

調停当日にどうしても都合がつかない場合や、精神的なストレスから出席が難しいという場合でも、弁護士に代理出席を任せることで調停を進められます。

調停では、調停委員や相手の弁護士とのやりとりの中で専門的な法律用語が出てくることも多く、自分だけで臨むと対応に不安を感じる場面もあります。弁護士に代理出席を依頼すれば、その場に応じて正確な判断をしてもらえるため、思わぬ誤解や不利な合意を避けられます。

また、調停の状況にあわせて柔軟に対応してもらえるので、複雑な争点がある場合でも、主張の整理や相手側との交渉をスムーズに進めてもらえるでしょう。

なお、弁護士に代理出席を依頼するのはあくまでも都合がつかないときに留めておき、基本的には「同席」という形で調停を進めるようにしてください。調停は本人の出席が原則とされており、実際に調停を進める中では、細かな部分で本人の意思確認が必要になる場面も多いためです。

調停期日に都合がつかないときは弁護士に早めに相談し、代理出席をあらかじめ依頼しておきましょう。

4. 適切な条件で離婚できる可能性が高まる

弁護士に依頼することで、適切な条件で離婚が成立する可能性が高くなります。

離婚する際には、慰謝料や財産分与、親権、養育費など、さまざまな条件に関する取り決めが必要です。もしも弁護士に依頼せず自分だけで調停を進めると、不利な条件で合意せざるを得なくなる恐れがあります。

弁護士であれば、依頼者の状況に応じて主張すべきポイントを整理し、法的知識に基づいて適切な交渉をすることが可能です。

また、相手の提示する条件が妥当かどうかも判断してもらえるため、感情に流されることなく、冷静に離婚条件を検討することもできるでしょう。

とくに相手が弁護士をつけている場合、こちらが弁護士をつけないまま調停を進めると、法的知識や交渉力に差が出やすく、結果的に不利な条件を受け入れてしまうケースもあります。

適切な条件で離婚をするためにも、離婚調停の際には弁護士に相談することをおすすめします。

離婚調停を弁護士に依頼するデメリットは高い費用がかかること

弁護士に離婚調停を依頼するデメリットは、合計50万円〜100万円ほどの弁護士費用が発生する点です。弁護士費用の内訳は以下のとおりです。

離婚調停にかかる弁護士費用の相場と内訳

とくに「自分の収入がない」「自由に使えるお金が少ない」という人にとっては、高額な弁護士費用は簡単に負担できるものではありません。

費用負担が不安な方には、少しでも費用を抑えられる支援制度の利用がおすすめです。

たとえば、弁護士によっては初回の無料相談を受け付けていたり、費用の分割支払いに対応してもらえたりします。また、行政が提供している「法テラス」では無料の法律相談が可能で、条件を満たせば弁護士費用の立替制度を利用できます。

なお、離婚調停の弁護士費用の相場については「離婚調停を弁護士に依頼する場合の費用相場・内訳」の項目で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

弁護士費用をあまりかけられない人は法テラスの「代理援助」の利用がおすすめ

経済的な理由で弁護士費用の工面が難しい方は、法テラスの「代理援助」制度が利用できないか検討してみましょう。

代理援助とは、弁護士に依頼する際にかかる費用を法テラスが一時的に立て替えてくれる制度です。離婚問題が解決したあとに、利息なしの分割払いで弁護士費用を返済できます。

法テラスの代理援助を利用できる条件は以下のとおりです。

  1. 収入と資産が一定以下であること
  2. 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  3. 民事法律扶助の趣旨に適すること

収入・資産に関しては、お住まいの地域や住宅ローンの有無、家族の人数などによって基準が異なるため、最寄りの法テラスに問い合わせて確認してみましょう。

「勝訴の見込みがないとはいえないこと」は、代理援助を受けることによって問題解決の見込みがあることが求められます。たとえば離婚を請求する場合、「離婚成立の見込みがあるかどうか」が判断基準となるでしょう。

「民事法律扶助の趣旨に適すること」とは、「法的なトラブルを適正に解決するために援助が必要と判断されるケースであること」を指します。たとえば嫌がらせや報復、宣伝を目的とした訴訟など、正当な理由のない利用は対象外となります。

上記すべての条件を満たしていれば、法テラスの代理援助を利用できます。ただし、過去に同じ制度を利用したうえで、返済を滞納している場合は利用できないことがあるため、注意が必要です。

なお、法テラスの代理援助について、詳細な条件や内容は以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

離婚調停で弁護士を付ける割合は半数以上

裁判所が公表している資料の中に、半数以上の人が離婚調停を含む婚姻関係事件で弁護士を付けているとのデータがあります。令和4年の「手続代理人弁護士関与率」は以下のとおりです。

離婚調停で弁護士を付ける割合
双方に手続代理人弁護士あり 相手方のみに手続代理人弁護士あり 申立人のみに手続代理人弁護士あり 双方に手続代理人弁護士なし
32.6% 5.0% 27.0% 35.5%

手続代理人を当事者の双方が付けている割合(32.6%)、相手方のみが付けている割合(5.0%)、申立人のみが付けている割合(27.0%)を足した割合は64.6%です。そのことから、半数以上の人が離婚調停の際に手続代理人として弁護士を付けていることがわかります。

出典:裁判所「家庭裁判所における家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情等」

離婚調停で弁護士に依頼したほうがよいケース

離婚調停は自分だけでも対応することは可能ですが、以下のようなケースに当てはまる場合、弁護士に依頼したほうがよいでしょう。

  1. 双方の意見が食い違う争点が多いケース
  2. 相手が離婚を強く拒否しているケース
  3. 相手が弁護士に依頼しているケース
  4. 離婚調停が離婚裁判に発展しそうなケース

双方の意見が食い違う争点が多いケース

離婚調停で弁護士に依頼した方がよいケースのひとつは、争点が多い場合です。

夫婦間で大きな対立がなければ、弁護士なしでも円滑に調停が進むケースはありますが、複数の争点を抱えている場合は調整すべき点が多くなる分、調停が長引く可能性が高いでしょう。

たとえば、離婚条件として「財産分与の金額」だけを話し合う場合であれば、一定のラインで折り合いがつけば早期に解決することもあります。

しかし、財産分与に加えて親権や養育費、慰謝料なども争点になっているケースでは、それぞれに異なる判断基準や根拠が必要になるため、調停が複雑化しやすく解決までに時間がかかる傾向にあります。

そのため、離婚条件に関する争点が多い場合は、弁護士への依頼をおすすめします。

すべての条件が通るとは限りませんが、弁護士に依頼することで、「親権だけは譲りたくない」「絶対に離婚したい」などの譲れない希望を通しやすくなるでしょう。

相手が離婚を強く拒否しているケース

相手が離婚を強く否定しており話し合いにならないような場合も、弁護士に依頼したほうがよいでしょう。

「離婚するかどうか」自体で意見が食い違っている状況では、当事者のみのやり取りで調停を進めても、話が平行線のまま進まない可能性が高いためです。

離婚問題でよくあるのは、申立人の離婚したいという気持ちや理由が相手にまったく伝わっておらず「まだやり直せる」「離婚するほどのことではない」と考えているケースです。

お互いの気持ちがすれ違っている場合は、法律・交渉の専門家である弁護士にサポートを依頼すれば話し合いが進みやすくなる可能性があります。法的な観点で冷静な話し合いができるだけでなく、弁護士に依頼することで離婚に対する真剣度を伝える手段としても有効です。

なお、弁護士は証拠集めや書類作成のほか、調停への同席も依頼できるため、精神的に大きな支えにもなるでしょう。相手が離婚を強く拒否しており、調停に対する不安や負担が大きい場合は、弁護士への相談がおすすめです。

相手が弁護士に依頼している

相手が弁護士に依頼している場合は、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。

もしも弁護士をつけずに調停に臨むと、法的な知識や主張の伝え方に差が生じてしまい、結果として相手の主張が通りやすくなる恐れがあるためです。

自分で離婚調停の手続きについて調べて臨んだとしても、法的な知識や経験の面では弁護士に太刀打ちできず、対等な交渉が難しくなるケースもあります。

なお、相手が弁護士に依頼しているかどうかは「調停期日呼出状」で確認できます。

調停期日呼出状とは、1回目の離婚調停日を知らせるための書状のことです。受け取りの際に本人確認やサインが必要な「特別送達」という方法で裁判所から送られてきます。

相手が弁護士に依頼していれば、調停期日呼出状に弁護士の名前が原則記載されているので、確認するようにしましょう。

離婚調停を申し立てられた側は、呼出状を見てはじめて自分が調停を申し立てられたことを知るケースが多いものです。相手から調停を申し立てられた場合はすでに弁護士に依頼している可能性が高いため、まずは落ち着いて内容を確認し、早めに弁護士に相談することが大切です。

離婚調停が離婚裁判に発展しそうなケース

離婚調停で話し合いを重ねても、どうしても相手と意見のすり合わせができず合意に至らない場合は、離婚裁判に発展する可能性があります。

離婚裁判では、調停以上に複雑な手続きや法律の知識が求められ、証拠の提出や主張の整理なども本格的に行う必要があります。

そのため、離婚調停が複雑化してしまった場合や、離婚裁判に発展しそうになった場合は、離婚問題に強い弁護士にできるだけ早く相談するようにしましょう。

調停の段階から弁護士に依頼しておけば、万が一裁判に発展した場合でも、これまでの経緯を把握したうえでスムーズに対応してもらえる点も大きなメリットです。

独自アンケート!離婚問題に強い弁護士の選び方は?

離婚問題に詳しい弁護士へ相談する際、多くの人が重視していたのは「実績や経験の豊富さ」で、全体の34.8%を占めました。次いで「自宅からの近さ」が18.6%、「説明が具体的で理解しやすかったから」が16.1%という結果になっています。

そのほかにも「弁護士の人柄が良かった」が13%、「費用が安かった」が11.8%という結果が出ています(複数選択式)。

弁護士事務所にはそれぞれ得意とする分野があり、なかには離婚問題を専門に取り扱っている事務所もあります。離婚問題に強い弁護士のなかでも「DVやモラハラに関する相談が得意」「親権争いの対応実績が豊富」などのように、取り扱う問題によって得意分野が異なるケースもあります。

今回のアンケート結果からも、「自分の悩みに対して専門性があった」「実績がHPや口コミで確認できた」などの理由で弁護士を選んだという声が多く寄せられました。

また、弁護士とのやりとりの中で感じた誠実さや説明のわかりやすさ、過去に別の相談をした際の信頼感が決め手になったという人も少なくありません。

一方で「信頼できる実績を持っており、自宅からのアクセスも良かった」というように、距離の近さを基準に選ぶ人もいます。最近ではオンライン相談を取り入れる事務所も増えていますが、実際に通いやすい場所を選びたいというニーズも根強いようです。

離婚調停を弁護士に依頼する場合の費用相場・内訳

離婚調停にかかる弁護士費用の相場は、一般的に50万円〜100万円程度といわれています。

離婚の可否のみを争うのであれば大きな費用はかかりにくいですが、親権や養育費、財産分与、慰謝料請求など争点が多くなる場合は成功報酬が加算されることが多く、費用も高額になる傾向にあります。

内訳 相場 概要
相談料 5,000円〜1万円程度

(無料相談を実施している事務所あり)
依頼を相談する際に発生する費用
着手金 20万円〜50万円程度

(着手金無料の事務所あり)
実際に依頼する際に発生する費用
成功報酬 20万円〜100万円程度 依頼が解決した際に発生する費用
日当・実費 3~5万円程度 弁護士が活動する際に発生する費用

着手金と成功報酬が大きな割合を占めるケースが多く、とくに成功報酬は依頼する事務所によって大きく金額が異なります。費用がどの程度かかるのかを、依頼前に確認しておいたほうがよいでしょう。

離婚調停を弁護士に依頼する場合の費用相場について、内訳別に次の項目から詳しく解説します。

相談料:5,000円~1万円程度

相談料とは、実際に契約する前の法律相談の対価として支払う費用のことです。

費用相場は「30分につき5,000円〜10,000円程度」とされており、弁護士事務所によっては初回相談のみ60分間無料のところや、正式な依頼に至ったときは完全無料になるところもあります。

なお、相談は依頼の前段階であるため、相談したからといって必ず依頼をする必要はありません。そのため、複数の弁護士事務所で無料相談したうえで、正式に依頼するところを選ぶことも可能です。

初回の無料相談は、弁護士との相性や対応の丁寧さを見極める機会にもなるため、まずは気軽に相談してみるのもよいでしょう。

着手金:20万円~50万円程度

着手金とは、正式に依頼したあとに前払いで支払う費用のことです。離婚調停の着手金の相場は、20万円〜50万円程度とされています。

弁護活動を開始するために必要な費用であるため、思うような結果にならなかったとしても、原則として返金はありません。たとえ途中で依頼をキャンセルしても、基本的には返ってこないお金と認識しておきましょう。

事務所によっては「着手金◯円」というように、金額を固定しているところもあります。できるだけ費用を抑えたい場合は複数の弁護士事務所を比較し、着手金の負担が少ない事務所を選ぶのも一つの手段です。

ただし、金額が固定されている場合でも、事案の難易度によっては追加料金がかかる可能性があります。また、着手金が安めに設定されていても、その分成功報酬が高いケースなどもあるため、総額でどの程度の費用が発生するのかを依頼前にしっかり確認しておきましょう。

成功報酬:20万円~100万円程度

成功報酬とは、弁護士に依頼した事件が完了したときに発生する費用のことで、報酬金とも呼ばれます。

成功報酬の相場は弁護士事務所によって大きく異なっており、20万円〜100万円程度とされています。

なお、弁護士事務所ごとに「何をもって成功とするか」の定義や報酬規定は異なります。

離婚調停の場合、「離婚成立で○万円」のように、固定で成功報酬が決められている事務所が多いものです。財産分与や慰謝料などについては「依頼者が得た利益の○%」が成功報酬として設定されている事務所が多くみられます。

たとえば「離婚成立で20万円」「得た利益の20%」を成功報酬として設定している弁護士事務所に依頼するとします。離婚調停によって離婚が成立し、さらに慰謝料や財産分与で200万円の利益を得た場合、成功報酬は合計60万円になります。

注意が必要なのは、依頼者自身が成功したと思っていなくても、事務所にとっての「成功」の定義にあてはまる可能性がある点です。成功報酬の計算方法について、依頼前に確認しておいたほうがよいでしょう。

日当:3万円~5万円程度

日当とは、弁護士が事件処理のために事務所を離れて業務を行う場合や、移動などで時間を拘束されたときに発生する費用です。費用相場は3万円〜5万円程度です。

金額設定は事務所によって異なりますが、弁護士の1時間あたりの費用は1万円程度であるため、半日なら3万円〜5万円程度、1日であれば5万円〜10万円程度と考えておけばよいでしょう。

ただし、事務所によっては「1回の出張でいくら」というように決まっていたり、ある程度日当が発生することを想定してあらかじめ着手金に含まれていたりすることもあります。

注意点は、移動距離が長くなればその分日当も増える点です。たとえば、東京の依頼者が東京で離婚調停を行うケースを例に考えてみましょう。

依頼した弁護士事務所も東京にあるなら大きな費用はかかりませんが、名古屋の弁護士に依頼した場合、名古屋・東京間の往復に時間がかかるため、その分日当がかさみます。評判がよいからと、遠方の弁護士に依頼してしまうと思ったより多く費用がかかる可能性があることを覚えておきましょう。

実費

実費とは、弁護士が離婚調停に対応するにあたって実際に要した費用のことです。主に以下のような費用が実費に該当します。

  • 申立手数料(収入印紙1,200円分)
  • 書類(夫婦の戸籍謄本など)の取得費
  • 切手代(書類の郵送料)
  • コピー代
  • 振込手数料
  • 交通費
  • 宿泊費

申請手数料や書類の取得費、郵送料などは、弁護士に依頼しなければ自分で支払う費用です。交通費と宿泊費は、弁護士が出張した際にかかったものが該当します。

日帰りで済むなら宿泊費はかかりませんが、日帰りできないほど遠方まで出向く必要がある場合は、出張のたびに交通費と宿泊費がセットでかかります。できるかぎり費用を抑えたいのであれば、直接出向かず電話やZoomなどで対応できないか弁護士に相談してみましょう。

離婚調停の全てを弁護士に丸投げできるわけではない

弁護士に依頼したからといっても、離婚調停に関するすべてを弁護士に丸投げできるわけではありません。

弁護士は依頼者本人から聞き取りをしたうえで書面の作成などを行うためです。調停委員と話す際も、事情や依頼者の気持ちを正確に把握していなければ依頼者の意向に沿った話ができません。

そのため、打ち合わせのための時間を確保する必要があります。

また、離婚は身分にかかわる行為であり、調停へは当事者本人の出席が原則とされています。やむを得ない事由があるときは例外的に代理人のみ出席することも認められていますが、もっとも重要なのは本人の意思であるため、できれば本人が出席することが望ましいでしょう。

なお、「やむを得ない事由」とは以下のことをいいます。

  • 本人の病気やけが
  • 海外出張
  • 親族や近親者の危篤・葬儀

実際には「仕事を休めない」「多忙で出席できない」というような理由でも、弁護士のみが調停に出席し、話し合いを進めるケースは珍しくありません。しかし、本来仕事や多忙などは「やむを得ない事由」にはあたらないといわれています。

そのほか、本人の意向がわからない内容についてはその場で答えられないという問題があります。たとえば弁護士のみが出席した調停で新たな提案があった場合、弁護士はその提案をいったん持ち帰り、本人と協議しなければなりません。

このように、弁護士が付いていても、離婚調停は丸投げできません。弁護士に依頼する・しないにかかわらず、調停に出席する必要があることを念頭に置いておきましょう。

離婚調停中にやるべきではないこと

離婚調停中は、調停やそのあとに行うかもしれない訴訟などで不利にならないよう、さまざまなことに注意して過ごす必要があります。

とくに、以下の点を守らなければ裁判官や調停委員の心証が悪くなる恐れがあるため、注意しておきましょう。

離婚調停中にやるべきではないこと

ここでは、離婚調停中にやるべきではないことについて解説します。

無断で欠席する

離婚調停を無断で欠席することはやめましょう。離婚調停は1〜2ヶ月に1回程度、平日の日中に行われます。初回は裁判所が申立人と協議して期日を決めるため、申し立てられた相手方としては都合がつかないこともあるでしょう。

しかし、都合が悪いからといって無断欠席してしまうと、5万円以下の過料が科されたり、裁判官や調停委員の心証が悪くなったりと、さまざまなデメリットが発生します。なお、実際に過料が科されるケースはほとんどありませんが、少なくとも心証が悪くなることは避けられません。

ほかにも無断欠席したことがもとで調停が不成立になったり、不成立になったあとの離婚訴訟で不利になる要因となることもあるため注意が必要です。都合をつけて出席するのが最善ですが、どうしても調停に出席できないときは、必ず裁判所に連絡を入れましょう。

なお、離婚調停では解決しないことがわかっており、出席しても意味がないという考えから欠席するのも控えましょう。調停で解決できない場合は、調停が不成立になった後、審判や訴訟で争うことになります。調停に出席してできる限り争点を整理しておいたほうが、その後の訴訟もスムーズに進められます。

調停中に録音や撮影をする

調停中の録音や撮影はやめましょう。離婚調停では、撮影や速記、録音などが家事事件手続規則で禁止されているためです。

たとえ悪用する意思はなく、相手方の発言をただ証拠として残したい場合や自分の覚えとして記録しておきたいようなケースでも、基本的には認められません。法律上、裁判官が許可すれば可能であるとされていますが、許可が出るケースは極めてまれであると思っておいたほうがよいでしょう。

なお、調停中にメモを取るだけであれば問題ありません。メモ帳や筆記用具の持ち込み、記入は禁止されていないため、覚えておきたいことはその都度メモを取りましょう。

不貞行為とみなされる行動をする

離婚調停中は、不貞行為とみなされる行動も慎むようにしましょう。不貞行為とみなされる行動をした場合、離婚したくても離婚の請求が認められない、離婚したくないのに相手側の離婚請求が認められる、といった事態に陥る危険性があるためです。

やましいことはなくても、ただ異性と連絡を取ったり会ったりしただけで不貞行為とみなされるおそれがあります。また、調停を申し立てたあとに交際を始めた場合でも、申立てと別居の時期が近ければ別居前からの交際を疑われ、不貞行為と認定されてしまうケースもあります。

調停で不利になる材料を自ら作ってしまわないよう、離婚調停中の行動には注意しましょう。

なお、婚姻関係がすでに破綻していると判断される場合、不貞行為があったとしても調停で不利にならないことがあります。しかし、「婚姻関係が破綻している」といえるかどうかの判断基準は一般的な認識とは異なります。

離婚調停中でも裁判所から認められない場合があるため、離婚問題が解決するまでは不貞行為を疑われるような行動をしないようにしましょう。

まとめ

離婚調停は自分でも対応できますが、スムーズかつ有利に進めたい場合は弁護士に依頼するのがおすすめです。

とくに、争点が多い場合や相手が離婚を強く拒否している場合など、問題解決までに時間がかかる可能性のあるケースは弁護士にサポートを依頼したほうがよいでしょう。

ただし、調停は原則として本人の出席が必要となるため、依頼したからといってすべてを任せられるわけではありません。弁護士と協力しながら、問題解決に向けて動いていく姿勢が求められます。

離婚調停の弁護士費用は一般的に50万〜100万円ほどが相場ですが、事務所によって料金体系や成功の定義が異なるため、依頼前に内容をしっかり確認しておくと安心です。

多くの弁護士事務所では初回の無料相談を行っているため、まずは気軽に相談し、自分に合った弁護士を探してみてください。

無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに弁護士にご相談を

ツナグ離婚弁護士で離婚に強い
弁護士を探す

離婚調停に関するコラムはこちら

離婚に強い弁護士を探す

掲載事務所
577
更新日 : 2025年05月16日
検索
ツナグ離婚弁護士なら離婚に強い弁護士が見つかる!