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2024年11月現在

離婚調停を弁護士に依頼するメリットとは?費用相場や弁護士の役割を解説

離婚調停 弁護士

離婚調停とは、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚することです。

離婚調停を控えていると、「離婚調停に弁護士は必要?」「離婚調停について弁護士に依頼するべきか迷っている」という疑問が浮かぶ方も少なくないでしょう。

離婚調停の手続きは、弁護士に依頼しなくても自分で行えます。
しかし、スムーズな解決や、自分に有利な解決を望むなら、弁護士に依頼するのがおすすめです。

本記事では、離婚調停を弁護士に依頼するメリットや費用相場、離婚調停での弁護士の役割について解説します。
弁護士に依頼したほうがよいケースについても詳しく解説するので、弁護士への依頼を迷っている人は、本記事を参考にして検討してみてください。

離婚調停の流れや手続き方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
「離婚調停って何をするの?」「離婚調停の詳しい手続きを知りたい」という人は、ぜひ参考にしてみてください。

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南陽輔 弁護士
監修
南 陽輔(弁護士)

離婚調停を弁護士に依頼する3つのメリット

弁護士に依頼すれば当然費用はかかります。しかしそれ以上に得られるメリットがあるため、少しでも早く解決したい場合や有利に進めたい気持ちがあるなら依頼を検討してみてもよいでしょう。ここでは、離婚調停を弁護士に依頼するメリットについて解説します。

  1. 離婚調停にかかる時間が短くなる
  2. 離婚調停を有利に運ぶためのサポート・アドバイスをしてもらえる
  3. 離婚調停に同席してもらえる

1. 離婚調停にかかる時間が短くなる

離婚調停の長期化を防げるという点が弁護士に依頼するメリットの1つです。

会社のプレゼンなど、慣れている状況ならまだしも、離婚調停という特殊な場面で、自分の意見を思いどおりに主張した上で、立証まで行える人はなかなかいません。
弁護士に相談していれば、調停で自分の主張を的確に伝えられるので、無駄なやり取りを減らすことができます。

また、離婚調停を弁護士に依頼することで、申立てに必要な書類を準備してもらえるため、慣れない作業を自分で行う必要がありません。

離婚調停に関する実績が豊富な弁護士なら、自分でできない部分をうまくサポートしてくれるので、離婚調停を申し立てたい場合も、離婚調停を申し立てられた場合も、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、離婚調停の上での妥協点も熟知しているため、話し合いが長期化しないように、調停を戦略的に進めてくれます。
問題が早期に解決すれば、その分感じるストレスや時間的負担も少なく済むでしょう。

2. 離婚調停を有利に運ぶためのサポート・アドバイスをしてもらえる

弁護士に依頼することによって、離婚調停を有利に進められる可能性があります。

また、弁護士に依頼した上で離婚調停に臨めば、調停委員と相手側に対して、「自分がどれだけ本気で離婚したいか」ということも示せるでしょう。
弁護士への依頼は必須ではありませんが、「自分で費用を負担してまで弁護士を付けている」という状況が、「離婚への強い意思」だと判断されることが多いようです。

親権を争う場合でも、弁護士に依頼していることで「何がなんでも親権を取りたい」という気持ちが調停委員に伝わります。

争点によっては証拠集めが重要になるケースもあります。
たとえば、離婚したい原因が相手の浮気であり、慰謝料が争点となっているのであれば、相手の不貞行為を証明できるような証拠が必要です。

自分だけで証拠を押さえるのはとても大変ですが、弁護士に相談していれば、証拠集めのアドバイスをもらったり探偵を紹介してもらったりできるため、調停を有利に進めることができるでしょう。

反対に、弁護士に依頼しなかったために、離婚が不成立になってしまったケースや、成立しても相場より低い婚姻費用や慰謝料で合意してしまったというケースもあります。

必ずしも希望通りになるとは限りませんが、弁護士に依頼することで、慰謝料や財産分与、養育費、親権などの様々な権利について、もれなく主張するためのサポート・アドバイスを受けられるため、希望に近い結果で調停を終えられる可能性が高くなるでしょう。

3. 離婚調停に同席してもらえる

弁護士に離婚調停について相談すると、調停に同席してもらうこともできます。
弁護士に調停に同席してもらうことで、調停委員や相手の弁護士とのやりとりで飛び出す法律用語に圧倒されてしまう心配もないでしょう。

また、法律や離婚手続きに詳しくないと、「自分の考えや相手の要求が法的に正しいのか」ということがわからず、判断に迷いが生じやすくなります。

そのため、弁護士に相談することで、法的に正しい判断を下すことができ、離婚時に損をしてしまうことを防げるでしょう。

離婚調停を有利に進めやすくなるという点はもちろんのこと、「一人で戦っているわけではない」「弁護士に適切なアドバイスをしてもらえる・相談できる」という安心感を得るためにも、離婚調停を行う際には弁護士に相談するのがおすすめです。

離婚調停を弁護士に依頼するデメリットは高い費用がかかること

離婚調停を弁護士に依頼するデメリットは、法的な観点や時間的負担、精神的負担から見ても、基本的にはないと言えます。

しかし、以下のように高い費用がかかってしまうという点に限ってはデメリットだと言えるでしょう。

離婚調停にかかる弁護士費用の相場と内訳
  1. 相談料:5,000円〜1万円程度
  2. 着手金:20万円〜50万円程度
  3. 報酬金:20万円〜100万円程度
  4. 日当:3万円〜5万円程度

特に「自分の収入がない」「自由に使えるお金が少ない」という人にとっては、高額な弁護士費用は簡単に負担できるものではありません。

そういう場合、離婚自体を諦めてしまう人もいますが、支援を受けられる場合もあるので、諦めずに相談してみましょう。

弁護士費用をあまりかけられない人は法テラスの「代理援助」の利用がおすすめ

経済的な理由で弁護士費用を用意できず、離婚を諦めようとしている人は、ぜひ法テラスの「代理援助」という制度を利用できるかどうか確認してみてください。

法テラスの「代理援助」とは、弁護士に依頼する際に必要となる費用を立て替えてもらえる制度のこと。
事件解決後に、慰謝料などを利用して償還(返還)することが可能です。

利用できる条件は以下の通りです。

①収入・資産が一定以下であること。
日本人(日本に住所があり、在留権がある外国人も含む)であり、すべての資産(現金・預貯金・有価証券・不動産など)を合わせた額が、単身者の場合は180万円以下、2人家族なら250万円以下、3人家族なら270万円以下、4人家族なら300万円以下であることが条件になります。

離婚事件などの、配偶者が相手となる事件の場合は、配偶者の収入は考慮されないため、「相手の年収は高いけど、自分の資産はほとんどない」という場合でも安心です。

②個人の依頼であること。
③民事・家事事件の相談であること。
④勝訴の見込みがあること
「勝訴の見込み」は、厳格に判断されるものではなく、「何かしらの解決が見込める」という程度でも条件を満たせます。
つまり、慰謝料や離婚条件によって和解することが見込めるということが大切になる条件です。

⑤「民事法律扶助の趣旨」に適すること。
ほとんどの場合、この条件が満たされないことはありません。
この条件が満たされないケースというのは、以下のような場合です。

  • 弁護士に依頼する目的が相手方に対する嫌がらせ・報復などが目的である場合
  • 宣伝・売名を目的に訴訟を起こそうとしている場合
  • 訴訟をしても和解や解決が見込めない場合

基本的には、上記の条件を満たしていれば、「代理援助」を受けて、弁護士に相談することができます。

ただし、過去に同じ制度を利用した上で、償還を滞納してしまっている場合は利用できないことがあるので、注意が必要です。

離婚調停で弁護士を付ける割合は半数以上

裁判所が公表している資料の中に、半数以上の人が離婚調停を含む婚姻関係事件で弁護士を付けているとのデータがあります。令和4年の「手続代理人弁護士関与率」は以下のとおりです。

離婚調停で弁護士を付ける割合
双方に手続代理人弁護士あり 相手方のみに手続代理人弁護士あり 申立人のみに手続代理人弁護士あり 双方に手続代理人弁護士なし
32.6% 5.0% 27.0% 35.5%

手続代理人を当事者の双方が付けている割合(32.6%)、相手方のみが付けている割合(5.0%)、申立人のみが付けている割合(27.0%)を足した割合は64.6%です。そのことから、半数以上の人が離婚調停の際に手続代理人として弁護士を付けていることがわかります。

出典:裁判所「家庭裁判所における家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情等」

離婚調停で弁護士に依頼したほうがよいケース

離婚調停は自分だけでも対応することは可能です。

しかし、以下のように弁護士に依頼した方がスムーズに調停が進むケースもあります。

  1. 双方の意見が食い違う争点が多いケース
  2. 相手が離婚を強く拒否しているケース
  3. 相手が弁護士に依頼しているケース
  4. 離婚調停が離婚裁判に発展しそうなケース

双方の意見が食い違う争点が多いケース

離婚調停で弁護士に依頼した方がよいケースのひとつは、争点が多い場合です。

夫婦間の意見がそう大きく食い違っていないのであれば、スムーズに進むこともあるでしょう。
しかし、お互いの意見が食い違う争点が多いと調停が滞り、長期化しやすい傾向にあります。

たとえば、子どもの養育費だけでもめているケースと、養育費だけなく親権や財産分与、婚姻費用も争点に上がっているケースがあったとします。
上記の例のうち、争点が子どもの養育費のみのケースでは、養育費の問題が片付けば解決に向かいます。

一方、争点が養育費以外にもあるケースは、たとえ養育費の問題がクリアできたとしてもほかの問題が残っており、それら全てに折り合いをつけようと思うとどうしても時間がかかってしまうのです。そのため、争点が多い場合は弁護士への依頼をおすすめします。

すべての希望が通るとは限りませんが、弁護士に依頼することで話し合いが有利に進み、「親権だけは譲りたくない」「絶対に離婚したい」といった、必ず通したい要望がかなう確率が上がります。

相手が離婚を強く拒否しているケース

相手が離婚を強く否定していて話し合いにならないような場合も、弁護士に依頼したほうがよいでしょう。
争点でもめるどころか離婚する・しないで意見が食い違っている状態では、ひとりで離婚調停を進めることが困難であるためです。

離婚問題でよくあるのは、申立人の離婚したいという気持ちや理由が相手にまったく伝わっていないケースです。
申立人が長年離婚を考えていたことに、相手が少しも気づいておらず、調停に発展しても「離婚するほどではない」と思っていたり、「まだやり直せる」と考えていたりすることもあります。

このようにお互いの気持ちがすれ違っている場合は、法律・交渉の専門家である弁護士を間に入れることでスムーズにいく可能性があります。
当事者間だけの話し合いでは離婚に応じない相手にも、弁護士に依頼することでこちらの「本気度」が伝わるでしょう。

なお、弁護士は証拠集めや書類の作成だけでなく、離婚調停への同席も可能です。
専門的なアドバイスはもちろん、精神的にも大きな支えにもなるため、調停に対する不安や負担が大きいときは弁護士に相談することをおすすめします。

相手が弁護士に依頼している

相手が弁護士に依頼しているときは、できるだけ早く弁護士に依頼することをおすすめします。
相手だけに弁護士が付いていると、相手の主張の方が通りやすくになる可能性があるためです。

弁護士は法律や交渉のスペシャリストです。
自分だけで離婚調停について勉強して臨んだとしても、法的な知識・経験の面で弁護士に敵わないため、対等な交渉が難しくなる可能性があります。

なお、相手が弁護士に依頼しているかどうかは「調停期日呼出状」で確認できます。

「調停期日呼出状」とは、1回目の離婚調停日を知らせるための書状のことです。
裁判所から、受け取りの際に本人確認やサインが必要な「特別送達」という方法で送られてきます。
相手が弁護士に依頼していれば、調停期日呼出状に弁護士の名前が記載されているので、確認するようにしましょう。

離婚調停を申し立てられた側は、呼出状を見てはじめて自分が調停を申し立てられたことを知るケースがほとんどです。
人によっては思わぬ展開にショックを受けたり、感情的になってしまうかもしれませんが、落ち着いて調停の準備をする必要があります。

特に相手が離婚調停を申し立てている場合は、申立ての時点で弁護士に依頼していることが多いため、呼出状を受け取ったらできるだけ早く弁護士に相談するようにしましょう。

離婚調停が離婚裁判に発展しそうなケース

離婚調停で和解に向けて話し合ったものの、どうしても相手の主張とのすり合わせができず、合意ができないという場合もあるでしょう。

そのような場合は、調停による離婚が成立せず、離婚裁判に発展する場合があります。

離婚裁判では、調停以上に、流れや手続き、ルールなどが調停よりも複雑なので、より専門的な法律知識が必要になります。

離婚調停が泥沼化してしまった場合や、離婚裁判に発展しそうになった時は、離婚問題に強い弁護士にできるだけ早く相談するようにしましょう。

離婚問題に強い弁護士の選び方

「離婚調停について弁護士に依頼する」といっても、「弁護士ならどんな弁護士でも良い」というわけではありません。

納得のいく離婚成立を目指すには「離婚問題に強い弁護士」を選ぶのがおすすめです。

「離婚問題に強い弁護士ってどんな弁護士?」という疑問がある人は、以下の選び方を参考にしてみてください。

  1. 離婚問題に注力していて解決実績が多い弁護士を選ぶ
  2. 料金体系がわかりやすい事務所の弁護士を選ぶ
  3. 配偶者の不貞等を調査したい場合は探偵とつながりがあるか確認して選ぶ
  4. 返信や連絡が早い弁護士を選ぶ
  5. デメリットや不利になることについても説明してくれる弁護士を選ぶ
  6. 親身になって話を聞いてくれる弁護士を選ぶ
  7. 同性であることにこだわりすぎずに選ぶ

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

離婚問題に注力していて解決実績が多い弁護士を選ぶ

離婚に関する問題に関して相談するときは、離婚問題に集中的に関わっている弁護士を選ぶのがおすすめです。

離婚問題を専門にしているということに加えて、解決実績の多さにも注目しましょう。

解決実績が多ければ、過去の判例を参考にして、あなたの悩みに合ったアプローチも提案してくれるでしょう。

また、離婚問題に注力していて解決実績が多い弁護士は、不利になってしまう点についての説明や対策についても丁寧におこなってくれます。

複雑な問題についても、経験や知識をもとに適切なアプローチを考えてくれるので、弁護士の専門性や経験についてはしっかり注力して選ぶようにしましょう。

料金体系がわかりやすい事務所の弁護士を選ぶ

弁護士に依頼すると、相談料、着手金、報酬金などの費用がかかります。

決して安い金額ではないので、「何にどれくらいのお金がかかるのか」ということをしっかりと把握しておくことが大切です。

後から高額な報酬金を要求されてしまうことがないように、「総額でいくらくらいかかるのか」ということを、依頼前にしっかりわかりやすく教えてくれる弁護士事務所に依頼するようにしましょう。

配偶者の不貞等を調査したい場合は探偵とつながりがあるか確認して選ぶ

離婚したいの理由が配偶者の不貞だった場合は、探偵などの専門家との繋がりがあるかということも弁護士を選ぶときに確認するのがおすすめです。

特に不貞行為については、その行為を証明する明確な証拠が必要になるため、法律の知識だけでなく、証拠集めの専門家との連携を取れる弁護士に相談することで、よりスムーズな解決を目指せるでしょう。

返信や連絡が早い弁護士を選ぶ

離婚問題に限らず、依頼するのであれば返信や連絡が早い弁護士を選ぶのがおすすめです。

依頼する前の相談はもちろん、依頼後に質問したいことや相談したいことが出てきたときに、連絡や返信が遅いと、不安になってしまいます。

そのため、できる限りその日のうちに返信や連絡をくれる弁護士を選びましょう。

なお、質問内容や相談内容によっては、すぐに返信できないものもあります。

確認や検討が必要な質問であった場合には、「〜日後までにはお返事します」などの連絡を返してくれる弁護士であれば、より安心して頼ることができます。

返信や連絡が早いかどうかは、依頼する前の相談メールなどで判断するようにしましょう。

デメリットや不利になることについても説明してくれる弁護士を選ぶ

離婚問題は、相手の落ち度が多い場合でも、全てが思い通りに解決するとは限りません。

確実に勝てるような案件でも、多少のリスクが存在します。

そのため、デメリットや不利になるようなことについてもしっかり説明してくれる弁護士を選ぶことで、「予期せぬハプニング」だと感じることを減らせるでしょう。

依頼前の相談時に、自分の離婚したい理由や現状についてできるだけ詳しく話しておくと、懸念されるリスクについてもしっかり説明してくれるはずなので、相談前に自分の悩みをしっかりまとめておくことも大切です。

同性であることにこだわりすぎずに選ぶ

「同姓の方が安心感がある」「同性の方が悩みを話しやすい気がする」という理由で、自分と同性の弁護士を探す人は少なくありません。

しかし、同性であることにこだわりすぎてしまうと、自分と相性がよく優秀な弁護士と出会う機会を失ってしまうことがあります。

自分が悩みを話しやすいことは一番大切ですが、同性であることにはこだわりすぎず、視野を広く持って優秀な弁護士を探すようにしましょう。

親身になって話を聞いてくれる弁護士を選ぶ

ここまでの選び方を満たした上で、あなたの悩みや解決したいことに対して親身になって話を聞いてくれる弁護士を選びましょう。

評判の良い弁護士であっても、あなたとの相性が悪い場合もあります。

「話していて信頼できる」「親身になって話を聞いてくれた」と感じる弁護士に依頼することで、安心して離婚問題を任せることができるので、依頼前の相談時に自分との相性もしっかり見極めるようにしましょう。

離婚調停を弁護士に依頼する場合の費用相場・内訳

離婚調停にかかる弁護士費用の相場は、一般的に50万円〜100万円程度といわれています。大きな開きがあるのは、依頼する弁護士によってサポート内容などが異なるためです。費用内訳と相場は以下のとおりです。

  1. 相談料:5,000円〜1万円程度
  2. 着手金:20万円〜50万円程度
  3. 報酬金:20万円〜100万円程度
  4. 日当:3万円〜5万円程度

着手金と報酬金が大きな割合を占めるケースが多く、とくに報酬金は依頼する事務所によって大きく金額が異なります。費用がどの程度かかるのかを、依頼前に確認しておいたほうがよいでしょう。

なお、内訳には上記のほか、申立て費用や書類の取得費といった実費も含まれます。内訳の項目別に、以下の見出しで解説します。

相談料:5,000円~1万円程度

「相談料」の相場は5,000円〜1万円程度です。法律事務所によっては、初回相談のみ60分間無料としているところや、正式な依頼に至ったときにかぎり相談料の請求を行わないところもあります。

相談=正式な依頼ではなく、相談は依頼の前段階です。相談した結果、そのまま依頼する場合に正式な申し込みをします。

なお、相談を受けたからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。「弁護士」と一口にいってもさまざまなタイプの弁護士がおり、人によって相談しやすいと感じる基準や合う・合わないなどは異なるため、相談したときの印象や対応で実際に依頼するかどうかを決めるのもよいでしょう。

着手金:20万円~50万円程度

「着手金」の相場は20万円〜50万円程度です。

着手金とは、正式に依頼したあと最初に支払う費用をいいます。業務にかかってもらう際にかかる費用であるため、思うような結果にならなかったとしても支払う必要があります。たとえ途中で依頼をキャンセルしても、基本的には返ってこないお金と認識しておきましょう。

事務所によっては「着手金◯円」というように、金額を固定しているところもあります。できるだけ費用を抑えたい場合は複数の事務所を比較し、着手金があまりかからない事務所を選ぶのもひとつです。

ただし、金額が固定されている場合でも、事案の難易度によっては追加料金がかかる可能性があります。また、着手金が安めに設定されていても、その分報酬金が高いケースなどもあるため、費用については正式に依頼する前によく確認することをおすすめします。

報酬金:20万円~100万円程度

「報酬金」の相場は20万円〜100万円程度です。

報酬金とは、弁護士に依頼した事件が完了したときに発生する費用のことで、「成功報酬」ともいいます。報酬金は依頼内容によって大きく異なり、離婚調停の場合は離婚できたか・できなかったかによって発生するかしないかが分かれることが多いです。

事務所ごとに「何をもって成功とするか」の定義や報酬規定が定められており、多くの場合、離婚調停によって依頼者が得た経済的利益の10〜20%が設定されています。たとえば「財産分与や慰謝料に関しては経済的利益の20%」というように決まっている事務所もよく見られます。

注意が必要なのは、依頼者自身が成功したと思っていなくても、事務所にとっての「成功」の定義にあてはまる可能性がある点です。報酬金の計算方法について、依頼前に確認しておいたほうがよいでしょう。

日当:3万円~5万円程度

「日当」の相場は3万円〜5万円程度です。日当とは、弁護士が事件処理のために事務所を離れて業務を行う場合や、移動などで時間を拘束されたときに発生する費用です。

金額設定は事務所によって異なりますが、弁護士の1時間あたりの費用は1万円程度であるため、半日なら3万円〜5万円程度、1日であれば5万円〜10万円程度と考えておけばよいでしょう。ただし、事務所によっては「1回の出張でいくら」というように決まっていたり、ある程度日当が発生することを想定してあらかじめ着手金に含まれていたりすることもあります。

注意点は、移動距離が長くなればその分日当も増える点です。たとえば、東京の依頼者が東京で離婚調停を行うケースを例に考えてみましょう。

依頼した弁護士事務所も東京にあるなら費用はそれほどかかりませんが、名古屋の弁護士に依頼した場合、名古屋・東京間の往復に時間がかかるため、その分日当がかさみます。評判がよいからと、遠方の弁護士に依頼してしまうと思ったより多く費用がかかる可能性があることを覚えておきましょう。

実費

実費とは、弁護士が離婚調停に対応するにあたって実際に要した費用であり、弁護士の収入にはなりません。以下のような費用が実費に該当します。

  • 申立手数料(収入印紙1,200円分)
  • 書類(夫婦の戸籍謄本など)の取得費
  • 切手代(書類の郵送料)
  • コピー代
  • 振込手数料
  • 交通費
  • 宿泊費

申請手数料や書類の取得費、郵送料などは、弁護士に依頼しなければ自分で支払う費用です。交通費と宿泊費は、弁護士が出張した際にかかったものが該当します。

日帰りで済むなら宿泊費はかかりませんが、日帰りできないほど遠方まで出向く必要がある場合は、出張のたびに交通費と宿泊費がセットでかかります。できるかぎり費用を抑えたいのであれば、直接出向かず電話やZoomなどで対応できないか弁護士に相談してみましょう。

離婚調停の全てを弁護士に丸投げできるわけではない

いくら弁護士に依頼したからといっても、離婚調停に関する全てを弁護士に丸投げできるわけではありません。
弁護士は依頼人本人から聞き取りをしたうえで書面の作成などを行うためです。
調停委員と話す際も、事情や依頼者の気持ちを正確に把握していなければ依頼者の意向に沿った話ができません。
そのため、打ち合わせのための時間を確保する必要があります。
また、離婚は身分にかかわる行為であり、調停へは当事者本人の出席が原則とされています。
やむを得ない事由があるときは例外的に代理人のみ出席することも認められていますが、もっとも重要なのは本人の意思であるため、できれば本人が出席することが望ましいでしょう。
なお、「やむを得ない事由」とは以下のことをいいます。

  • 本人の病気やけが
  • 海外出張
  • 親族や近親者の危篤・葬儀

実際には「仕事を休めない」「多忙で出席できない」というような理由でも、弁護士のみが調停に出席し、話し合いを進めるケースは珍しくありません。しかし、本来仕事や多忙などは「やむを得ない事由」にはあたらないといわれています。

そのほか、代理人には新たに提案されたことなど、本人の意向がわからないものについてはその場で答えられないという問題があります。たとえば弁護士のみが出席した調停で新たな提案があった場合、弁護士はその提案をいったん持ち帰り、本人と協議しなければなりません。

このように、弁護士が付いていても、離婚調停は丸投げできません。弁護士に依頼する・しないにかかわらず、調停に出席する必要があることを念頭に置いておきましょう。

離婚調停中にやるべきではないこと

離婚調停中は、調停やそのあとに行うかもしれない訴訟などで不利にならないよう、さまざまなことに注意して過ごす必要があります。とくに、裁判官や調停委員の心証が悪くなるようなことは控えるべきでしょう。ここでは、離婚調停中にやるべきではないことについて解説します。

離婚調停中にやるべきではないこと
  1. 無断欠席は過料が科されたり心証が悪くなるため、欠席する場合は連絡を入れる
  2. 調停中の録音や撮影は禁止されているため、記録したいことがあるならメモを取るようにする
  3. 不貞行為に認定されると調停で不利になるため、疑われるような行動は慎む

無断で欠席する

離婚調停を無断で欠席することはやめましょう。離婚調停は1〜2ヶ月に1回程度、平日の日中に行われます。初回は裁判所が申立人と協議して期日を決めるため、申し立てられた相手方としては都合がつかないこともあるでしょう。

しかし、都合が悪いからといって無断欠席してしまうと、5万円以下の過料が科されたり、裁判官や調停委員の心証が悪くなったりと、さまざまなデメリットが発生します。なお、実際に過料が科されるケースはほとんどありませんが、少なくとも心証が悪くなることは避けられません。

ほかにも無断欠席したことがもとで調停が不成立になったり、不成立になったあとの離婚訴訟で不利になる要因となることもあるため注意が必要です。なんとか都合をつけられるのが一番ですが、どうしても調停に出席できないときは、必ず裁判所に連絡を入れましょう。

なお、離婚調停では解決しないことがわかっており、出席しても意味がないという考えから欠席するのもおすすめできません。調停で解決できないなら、調停を不成立にしてもらったあと、審判や訴訟で争うことになります。調停に出席してできる限り争点を整理しておいたほうが、その後の訴訟もスムーズに進めることができます。

調停中に録音や撮影をする

調停中の録音や撮影はやめましょう。離婚調停では、撮影や速記、録音などが家事事件手続規則で禁止されているためです。

たとえ悪用する意思はなく、相手方の発言をただ証拠として残したい場合や自分の覚えとして記録しておきたいようなケースでも、基本的には認められません。法律上、裁判官が許可すれば可能であるとされていますが、許可になるケースは極めてまれであると思っておいたほうがよいでしょう。

ただし、メモを取るだけであれば問題ありません。メモ帳や筆記用具の持ち込み、記入は禁止されていないため、覚えておきたいことはその都度メモを取りましょう。

不貞行為とみなされる行動をする

離婚調停中は、不貞行為とみなされる行動も慎んだほうがよいでしょう。不貞行為とみなされる行動をした場合、離婚したくても離婚の請求が認められない、離婚したくないのに相手側の離婚請求が認められる、といった事態に陥る危険性があるためです。

やましいことはなくても、ただ異性と連絡を取ったり会ったりしただけで不貞行為とみなされるおそれがあります。また、調停を申し立てたあとに交際を始めた場合でも、申立てと別居の時期が近ければ別居前からの交際を疑われ、不貞行為と認定されてしまうケースもあります。

調停で不利になる材料を自ら作ってしまわないよう、離婚調停中の行動には注意しましょう。

なお、婚姻関係がすでに破綻していると判断される場合、不貞行為があったとしても調停で不利にならないことがあります。しかし、「婚姻関係が破綻している」といえるかどうかの判断基準は一般的な認識とは異なります。

いくら離婚調停中でも裁判所から認められない場合があるため、離婚問題が解決するまでは不貞行為を疑われるような行動をしないようにしましょう。

まとめ

離婚調停を弁護士に依頼するメリットや費用相場、弁護士の役割について解説しました。

離婚調停は自分での対応が可能です。しかし、スムーズかつ有利に進めるなら弁護士に依頼することをおすすめします。とくに争点が多い、相手が離婚を否定しているなど、問題解決までに時間がかかる可能性のあるケースは弁護士を頼ったほうがよいでしょう。

ただし、裁判所には依頼者本人の出頭が必要です。弁護士に依頼した場合でも、丸投げはできない点に注意しましょう。

弁護士費用は50万円〜100万円が相場です。弁護士事務所によって大きく異なるほか、成功の定義も事務所ごとに規定があるため、費用や何をもって成功とするのかを確認してから正式な依頼に進むと安心です。

なお、離婚調停中は調停の無断欠席や調停中の録音・撮影、不貞行為とみなされる行動などに注意する必要があることを覚えておきましょう。

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更新日 : 2024年11月28日
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