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2025年03月現在

離婚の弁護士費用が払えない時は法テラスを活用しよう!費用相場やできるだけ費用を抑える方法

離婚 弁護士 費用 払えない

離婚問題にかかる弁護士費用の相場は20万~110万円といわれています。離婚成立のみを目指す場合は比較的費用が安く、財産分与や慰謝料請求、親権の獲得や養育費請求などを求める場合は成功報酬が発生するため費用が高くなる傾向にあります。

離婚を検討されている方のなかには「弁護士費用が高くて払えない」と不安に感じる方もいるでしょう。そんな場合に活用したいのが法テラスの代理援助です。

法テラスの代理援助では、弁護士費用を立て替えてもらえます。立て替えてもらった費用は、原則3年以内に支払いが完了するように分割で支払います。

ただし、代理援助は誰でも受けられるわけではありません。代理援助を利用する際は、下記の条件を満たす必要があります。

  • 収入と資産が一定以下であること
  • 勝訴の可能性があること
  • 報復や宣伝などの目的ではないこと

また、飛び込みで利用する場合は離婚問題に精通した弁護士に相談できない、代理援助の審査に2週間~1ヵ月ほどの時間を要するなどの注意点もあります。しかし、審査を通って代理援助を受けられれば、弁護士費用の支払いに猶予ができるため、負担軽減につながるでしょう。

なお、法テラスの代理援助が利用できない場合は、弁護士事務所に分割や後払いができないか相談したり、「日本弁護士連合会(日弁連)」の法律援助を申請したりする方法も検討しましょう。

弁護士費用は安くはありませんが、離婚問題が複雑な場合は弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。例えば、財産分与や慰謝料請求、婚姻費用の請求などがある場合は、専門知識を有する弁護士が心強い味方となります。親権獲得などを目指す場合も弁護士が必要となるでしょう。

本記事では、離婚の弁護士費用の建て替えを行う法テラスの代理援助についてや、代理援助が利用できない場合に検討したい方法について解説します。また、離婚問題にかかる弁護士費用の相場と内訳、費用を抑える対策、弁護士に依頼すべきケースなどにも触れていきます。

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南陽輔 弁護士
監修
南 陽輔(弁護士)

離婚の弁護士費用が払えない時の支援「法テラスの代理援助」

法テラスとは、国が設立した法的トラブルを解決するための総合案内所のことです。法テラスにはさまざまな制度がありますが、そのなかの1つに「代理援助」があります。

代理援助とは、経済的に余裕がない人に対して、弁護士や司法書士にかかる費用の立て替えを行うための援助を指します。簡単にいえば、弁護士費用を用意するのが難しい場合、その費用を一時的に肩代わりしてもらえる制度です。

法テラスの代理援助で立て替えてもらえた弁護士費用は、援助開始が決まってから分割で支払っていきます。最初の支払いは離婚問題を依頼した弁護士と契約してから原則2ヵ月後となります。

利用後は原則3年以内に支払いが完了するように月々分割で支払いとなり、離婚問題が解決するまでは5,000円〜1万円程度が月々の支払額となります。

つまり、代理援助を利用すれば、費用を一括で用意できない場合であっても、離婚問題を弁護士に依頼することができるのです。

法テラスの代理援助の利用条件

法テラスの代理援助を利用するには、下記の条件を満たす必要があります。

  • 収入と資産が一定以下であること
  • 勝訴の可能性があること
  • 報復や宣伝などの目的ではないこと

参照元:法テラス「民事法律扶助業務

利用条件が定められている以上、代理援助は誰でも利用できるものではありません。ここからは代理援助の利用条件をそれぞれ解説していくため、離婚の弁護士費用が払えない場合には参考にしてみてください。

収入と資産が一定以下であること

代理援助は経済的に余裕がない人を対象にした制度です。そのため、一定以上の収入と資産がある場合には、代理援助を利用できません。

まず、収入の条件については下記のように定められています。

家族構成 月収
単身者 182,000円以下
(200,200円以下)
2人家族 251,000円以下
(276,100円以下)
3人家族 272,000円以下
(299,200円以下)
4人家族 299,000円以下
(328,900円以下)

参照元:法テラス「代理援助及び書類作成援助資力基準」
※()内の金額は東京・大阪などの大都市の基準価格
※5人家族以上は、1人増えるごとに30,000円(33,000円)が加算される
※医療費、教育費などの出費がある場合、一定額が考慮される

ただし、家賃や住宅ローンを自身で負担している場合、以下の金額を最大として月収の条件に負担金額が加算されます。

  • 単身者:41,000円
  • 2人家族:53,000円
  • 3人家族:66,000円
  • 4人家族:71,000円

例えば、大都市以外の単身者の場合、代理援助の対象となるのは月収182,000円以下の場合です。しかし、自身で毎月5万円の家賃を負担している場合は41,000円が条件に加算されるため、月収の基準が223,000円に変わります。

次に、保有資産の条件です。保有資産には、「現金」「預貯金」「有価証券」「自宅と係争物件を除いた不動産」が該当します。

代理援助を利用するには、保有資産の価値の合計が下記の基準を下回っている必要があります。

家族構成 保有資産の合計金額
単身者 180万円以下
2人家族 250万円以下
3人家族 270万円以下
4人家族 300万円以下

※医療費、教育費などの出費がある場合は、相当額が控除されます

例えば、単身者の場合、保有資産に関する条件は180万円までです。現金や預貯金などの合計が180万円を超えていると、原則代理援助の対象外となります。

なお、法テラスでは、代理援助の利用条件を満たしているかの相談が可能です。収入と資産の条件は多少複雑であるため、条件を満たしているかを確認したい場合、法テラス「相談窓口・法制度」を参考にして相談することを検討してみてください。

勝訴の可能性があること

離婚問題を弁護士に依頼する場合、裁判に発展するケースもあります。その場合、勝訴の可能性があることが代理援助の条件となります。

勝訴とは、訴訟(裁判)に勝つこと、または有利な判決を受けることをいいます。あくまで例ですが、離婚問題における勝訴の見込みがないケースには下記が挙げられます。

  • 法テラスの利用者が離婚原因を作った人の場合
  • 法定離婚事由が存在しない場合
  • 法定離婚事由がある場合でも、証明する主張や証拠が不十分な場合

離婚の原因が自身にある場合、代理援助の条件を満たせません。また、法定離婚事由が存在しない、またはその主張や証拠が不十分な場合も同様です。

法定離婚事由とは、民放第770条(裁判上の離婚)によって定められている、裁判で離婚が認められる理由のことです。具体的には以下の5つが法定離婚事由として規定されています。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき(結婚している男女が配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと、貞操義務違反)
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき(正当な理由なく夫婦の同居義務・協力義務・扶助義務を放棄すること)
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかではないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり回復が見込めないとき
  5. その他婚姻を継続しがたい重大な理由があるとき

参考:民法第770条 裁判上の離婚|民法

離婚問題で裁判を視野に入れている場合、これらの法定離婚事由を証明できなければ、代理援助を利用できません。裁判を検討している場合には、条件を満たしているかを確認しておきましょう。

なお、離婚問題は必ず裁判になるわけではなく、和解や調停、示談で解決するケースもあります。その場合、いずれも「勝訴の可能性があること」の条件を満たせるのが一般的です。

報復や宣伝などの目的ではないこと

法テラスは「民事法律扶助の趣旨に適していること」を代理援助の利用条件として定めています。民事法律扶助とは、資力が乏しい人のために、法律相談を行ったり、司法書士や弁護士を利用する場合に発生する費用を立替えたりするものです。

弁護士に依頼する目的が、感情的な報復や宣伝、権利汎用的な訴訟などの場合、民事法律扶助の趣旨に反するため、代理援助だけでなく、法テラスも利用できません。

ほかにも、以下のようなケースでは民事法律扶助の趣旨から外れるため、法テラスの代理援助は利用できません。

  • 訴額が極端に少ない場合
  • 相手から資産を回収できない場合
  • 他人への嫌がらせが目的の場合
  • 反社会的な行為が目的の場合
  • 違法行為を目的とした場合
  • 立替費用の返済意思がない場合

代理援助は、あくまで「本当に弁護士の力が必要で、援助がなければ依頼できない」という人を対象にしているものです。例えば、「相手に仕返しをしてやりたい」という気持ちから弁護士に依頼することを考えている場合、基本的には代理援助を利用できません。

法テラスの代理援助を利用した場合の弁護士費用の支払方法

代理援助を利用すれば、発生した弁護士費用は法テラスが立て替えてくれます。立て替えてもらった費用は、弁護士と契約してから原則2ヵ月後から分割払いとなり、銀行などからの口座引き落としで毎月支払われます。

金融機関ごとの支払い日は以下の通りです。

ゆうちょ銀行 ゆうちょ銀行以外の金融機関
返済日 毎月15日または25日 毎月27日
引き落とし手数料 33円 40円

※返済日が土曜日・日曜日・祝日の場合は翌営業日に引き落とし

なお、担当弁護士に相談すれば、数ヵ月分をまとめて支払ったり、残額を一括返済したりすることも可能です。

「いまは費用の用意が難しくても、離婚問題解決後はある程度余裕ができる」という場合、返済を長引かせないためにも、まとめて支払うなどの対応を検討するとよいでしょう。

法テラスを利用する際の注意点

法テラスの代理援助を利用する場合、以下のポイントに注意しましょう。

  • 飛び込みで利用する場合は弁護士を選べない
  • 審査に時間がかかる
  • 無料相談は3回までしか受けられない
  • 熱心に対応してもらえない場合がある

ここからは法テラスの代理援助を利用する際の注意点をそれぞれ解説していきます。

飛び込みで利用する場合は弁護士を選べない

まず、法テラスを飛び込みで利用する場合、担当する弁護士は選べない可能性が高くなります。そのため、離婚問題で相談したいのに、離婚問題に精通していない弁護士が対応するケースがあり、相談者との間でミスマッチが起こることも想定されます。

ミスマッチを避けるためには、持ち込み方式を利用するのがおすすめです。持ち込み方式とは、法テラスと提携している弁護士の事務所で法テラスの制度を利用できることをいいます。

法テラスと提携する弁護士の中で離婚問題に精通している弁護士を探し、法テラスの法律扶助制度を利用したいことを伝えてみるとよいでしょう。承諾してもらえる場合は、その弁護士が相談・手続きなどを担当してくれます。

審査に時間がかかる

法テラスでは代理援助の審査が長い点にも注意が必要です。

審査は必要書類の提出から2週間~1ヵ月程度かかるケースもあるため、急ぎでの対応が必要な場合は代理援助の利用が難しいかもしれません。

法テラスの利用を検討している場合は、審査の期間を考慮して早めに相談しておきましょう。代理援助が間に合わない場合は分割払いや後払いなどに対応してくれる弁護士事務所を探すことも検討してみてください。

無料相談は3回までしか受けられない

法テラスは、法律の無料相談に対応しています。法テラスでの無料相談は3回が上限となっており、各回の相談時間は30分までとなっています。

30分の相談時間では離婚問題に関して知りたかったことを聞けない場合もあるため、悩みや不安をすべて解決できるとは限りません。

できるだけ時間を有効活用するために、現在の状況や弁護士に聞きたいことを書面にまとめておくなどの工夫が必要となるでしょう。

熱心に対応してもらえない場合がある

法テラスの担当弁護士が熱心に対応してくれないケースも考えられます。法テラス経由で仕事を受けた場合、費用が安くなるためです。

相談する前に法テラス経由での費用でも対応してもらえるか確認したり、実際の対応で見極めたりする必要があるでしょう。信頼関係を築けない場合は、自分で弁護士を探したほうがいいかもしれません。

法テラス以外で離婚の弁護士費用を払う方法

法テラスの代理援助は利用条件があるため、誰でも必ず利用できる制度ではありません。そのため、「弁護士費用を払えないうえに代理援助も利用できない」という場合もあるかもしれません。

そのような場合であっても、弁護士に依頼する方法はあります。

  • 着手金の分割や後払いに対応してもらえるか相談する
  • 日弁連の法律援助を申し込む

それぞれの方法について、詳しく解説していきます。

着手金の分割や後払いに対応してもらえるか相談する

弁護士事務所によっては、着手金の分割や後払いに対応しています。そのような事務所であれば、弁護士費用を一括で用意する必要がないため、「費用が足りない」という場合でも弁護士に離婚問題を依頼できます。

弁護士費用の着手金は契約時に支払うのが一般的ですが、絶対的なルールとして定められているわけではありません。そのため、事務所や弁護士との交渉次第では、分割払い・後払いが利用できるケースもあるのです。

例えば、以下のような状況で交渉した場合、分割払いや後払いが認められる可能性があります。

  • 事件の終結後に経済的利益を得られる可能性が高い
  • 弁護を依頼する際に経済的に困窮している
  • すぐには着手金を用意できないが、近い将来に収入が確実に見込める
  • 弁護士と依頼者の間に信頼関係が構築されている

ただし、分割払いや後払いにした場合、通常通りに弁護士費用を支払う場合と比較して、支払う総額が高くなる可能性があります。

少しでも弁護士費用を抑えながら、弁護士に離婚問題の解決を依頼したい場合は、複数の弁護士事務所に相談して見積もりを出してもらい、比較することが大切です。

着手金を通常通り支払う場合と、分割払い・後払いにする場合を比較したり、弁護士事務所ごとの費用を比較したりして、自分に合った弁護士事務所や支払い方法を選びましょう。

日弁連の法律援助を申し込む

日本全国すべての弁護士が登録をしている「日本弁護士連合会(日弁連)」は、法律援助事業も行っています。

日弁連の法律援助事業は、法テラスの制度の対象とならない場合をカバーするための事業であり、依頼者の弁護士費用の援助を行っています。

そのため、法テラスの代理援助を利用できない場合でも、日弁連の法律援助を申請することで弁護士に離婚問題を依頼できる可能性があるのです。

日弁連の法律援助の申請は、弁護士を通して行う必要があります。また、援助を受けられるかどうかは依頼者の状況次第であるため、弁護士に離婚問題を相談する際に、日弁連の法律援助を受けられるかどうかも相談してみるとよいでしょう。

離婚問題にかかる弁護士費用の相場は「20~110万円」

離婚問題にかかる弁護士費用の相場は20~110万円とされています。費用に幅があるのは、問題解決の難易度によって費用が変動するためです。一般的には、協議離婚が費用が低く、離婚裁判が費用が高くなる傾向にあります。

具体的な弁護士費用としては相談料や着手金、成功報酬、日当・実費が発生します。それぞれの相場は以下の通りです。

  • 相談料は5,000円~1万円が相場
  • 着手金は20万円~40万円が相場
  • 報酬金は20~30万円(+経済的利益の10%~20%)が相場
  • 日当は1日3万円~5万円が相場
  • 実費は都度発生

それぞれ詳しく見ていきましょう。

相談料は5,000円~1万円が相場

相談料とは弁護士が依頼を受ける前に、利用者がどのような悩みを抱えているのかヒアリングする際に発生する費用です。

多くの弁護士事務所は、初回相談を無料に設定しています。2回目以降の相談については有料対応となるケースが多く、相談をするたびに費用を負担しなければなりません。

相談料は弁護士事務所によって異なりますが、時間当たりの単価が設定されるのがほとんどで、弁護士への相談料の一般的な相場は30分で5,000円~1万円程度となります。

なお、無料相談に対応してもらったからといって、その弁護士事務所に必ず依頼しなければならないわけではありません。離婚問題で悩んでいる場合は、まず相談することから始めましょう。

着手金は20万円~40万円が相場

着手金とは、実際に弁護士に対応を依頼する際に支払う手付金のことです。

着手金は弁護士が仕事に取り掛かる際に必要になる費用です。そのため、依頼した結果が自分の希望したとおりにならなかった場合や、途中で依頼をやめた場合でも返金されることはありません。

着手金の金額は仕事の内容や複雑さ、解決できるかどうかの見込み具合などで金額が異なります。離婚問題では20万円~40万円程度になるのが一般的ですが、依頼する弁護士事務所によっても変動します。

なお、着手金を無料としている弁護士事務所もあります。ただし、その分成功報酬が高めに設定されているケースもあるため、事前に確認することをおすすめします。

報酬金は20~30万円(+経済的利益の10%~20%)が相場

報酬金とは、離婚が成立した場合や、離婚により経済的利益が得られた場合に支払う弁護士への報酬のことです。

事務所によって報酬金の設定は異なりますが、一般的には下記のような金額が相場とされます。

  • 離婚成立:20万~30万円
  • 慰謝料請求:経済的利益の10~20%
  • 財産分与:経済的利益の10~20%
  • 親権の獲得:10万円~20万円
  • 養育費の獲得:合意金額の2~5年分の10~20%

例えば、「離婚成立で20万円」「経済的利益×10%」を報酬金としている弁護士事務所に依頼した場合は、報酬金の計算は下記のようになります。

例)離婚成立、財産分与500万


20万円+(500万円×10%)=70万円

なお、報酬金に関しては、依頼者と弁護士の間で何をもって成功とするのかをあらかじめ決めておく必要があります。また、弁護士が離婚問題に対応して、依頼者に利益がまったく発生しなかった場合は報酬金が発生しません。

日当は1日3万円~5万円が相場

日当とは、弁護士が事務所外で活動した場合に発生する費用を指します。裁判所への出廷や、相手方との交渉で居住地に出向く際などに発生します。

1日当たり3万円~5万円程度である場合が多いですが、旧日弁連基準に沿って10万円程度(往復4時間以上の場合)に設定されているケースもあります。

日当は弁護士事務所によって発生要件や費用が異なるため、依頼時に確認しておくと良いでしょう。

実費は都度発生

実費とは、離婚問題の解決に際して弁護士が実際に出費した費用を指します。具体的には、収入印紙代や切手代、コピー代、交通費、宿泊費、保証金、供託金実費、公正証書作成費用などが該当します。

実際にかかった費用を精算して請求されるのが一般的ですが、事務所によっては着手金に実費が含まれているケースもあります。依頼時に、実費の扱いについても確認しておきましょう。

離婚問題を弁護士に依頼した場合の費用相場については、下記の記事も参考にしてみてください。

離婚問題の弁護士費用は自己負担が原則

離婚問題への対応を弁護士に依頼する場合、弁護士費用の負担は自己負担となるのが原則です。弁護士費用を相手に請求するのは基本的に難しいと考えておきましょう。

仮に、配偶者が離婚を切り出し、こちらが離婚を望んでいない場合、配偶者が離婚調停を申し立てたとします。ここで、こちらが弁護士に対応を依頼した場合でも、基本的には自分で費用を支払う必要があります。

ただし、当事者どちらか一方の非が大きい場合に限り、損害額の10%を弁護士費用として請求できるケースがまれにあります。

例えば、配偶者の不貞行為が原因で離婚訴訟となり、慰謝料400万円の請求が認められた場合、その10%(40万円)を弁護士費用として上乗せできます。あくまでも離婚訴訟で判決が出た場合に限ります。

また、示談による条件交渉となった場合は、相手方に弁護士費用を請求可能です。

つまり、状況によっては相手から弁護士費用を請求できるケースもあるということです。弁護士に離婚問題を相談する際には、相手に費用を請求できるのかも聞いておくとよいでしょう。

離婚の弁護士費用を少しでも抑えるための対策

離婚の弁護士費用は決して少額ではないため、少しでも費用を抑えたいと考えることでしょう。その場合、下記のような対策をとってみてください。

  • 無料相談を利用する
  • 協議や調停の段階で解決できるように弁護士に相談をする
  • 複数の弁護士事務所に費用を見積もってもらう
  • 裁判なら訴訟救助制度を活用する
  • 親族や知人から支援してもらう

1つでも多く対策を講じることで、離婚問題の弁護士費用をさらに抑えられます。弁護士費用を抑えたい場合、対策のなかで実践できそうな方法を探してみてください。

無料相談を利用する

離婚問題の弁護士費用を抑える対策には、無料相談を利用するのもおすすめです。

弁護士事務所は無料相談に対応しているのが一般的です。無料相談では、費用をかけずに弁護士からの専門的な意見を聞くことができるうえに、離婚問題や弁護士費用の目安についても相談できるため、今後の見通しを明確にできるなどのメリットがあります。

また、無料相談に対応してくれる弁護士を信頼できると感じた場合、無料相談後にそのまま見積もりや対応を依頼することも可能です。

無料相談を利用する場合、離婚問題について相談できることを謳っている弁護士事務所を利用するのがおすすめです。弁護士事務所が無料相談に対応するジャンルは、その弁護士事務所が注力している分野である可能性が高いためです。

弁護士に相談するためのお金の余裕がない場合は、離婚問題に強い弁護士事務所の無料相談を利用しましょう。

ただし、無料相談の多くは初回相談に限られ、時間も30分から1時間程度と短くなっています。制限が設けられている点には注意してください。

無料相談の窓口については、下記の記事でも詳しく解説しています。

協議や調停の段階で解決できるように弁護士に相談をする

離婚問題にかかる弁護士費用は、問題が深刻化するほど高額になるのが一般的です。前述したように、裁判にまで発展すれば100万円ほどの費用がかかるケースもあります。

そのため、可能であれば協議や調停の段階で離婚問題を解決させることが弁護士費用を抑える対策ともいえます。

離婚問題を弁護士に依頼する場合、裁判に発展しないようにどのようなことをすればよいかを相談しておくのもよいでしょう。

複数の弁護士事務所に費用を見積もってもらう

弁護士費用は事務所や依頼する人などによって変わります。そのため、依頼したい弁護士が定まっていない場合は、複数の事務所に費用を見積もってもらうのがよいでしょう。

複数の事務所に費用を見積もってもらうことで、各事務所でかかる費用を比較検討できます。それによって、どこの事務所に依頼をすれば費用を最も抑えられるのかを確かめられます。

一般的に法律事務所では、初回無料相談に対応しています。初回無料相談の際には、離婚問題の相談だけではなく、具体的にどれくらいの費用がかかるのかも聞いておくようにしてみてください。

裁判なら訴訟救助制度を活用する

離婚問題によっては、裁判が必要なケースもあります。裁判に発展した場合、弁護士費用だけでなく、裁判所に支払う費用も必要です。

裁判所に支払う費用は、裁判の内容によって異なります。たとえば、離婚のみを求める場合には13,000円、離婚とともに慰謝料や財産分与などの判決も求める場合には20,000円ほどの費用がかかるのが一般的です。

これらは弁護士費用に加えて支払いが必要なため、負担に感じる場合もあることでしょう。その場合、訴訟救助制度を活用するのも1つの手です。

訴訟救助制度は、裁判を起こすために必要な費用を用意するのが難しい人を対象にした制度です。制度を利用することで、裁判費用の支払いを裁判終了時まで猶予してもらえます。

ただし、訴訟救助制度を利用できるのは、勝訴の可能性がある場合のみです。訴訟救助制度を利用したい場合、依頼する弁護士に勝訴の可能性があるかを尋ねたうえで申請手続きをするとよいでしょう。

親族や知人から支援してもらう

離婚問題の弁護士費用を少しでも抑えるには、親族や知人に支援してもらうことも1つの方法です。

離婚について弁護士に対応を依頼したい旨を真剣に相談すれば、支援してくれる親族や知人が現れる可能性があります。

離婚は人生において大きな出来事の1つです。弁護士に対応してもらえなかったために、不利な条件で離婚してしまい、後悔してしまうケースもあります。

弁護士への依頼が必要でも経済的な余裕がない場合は、ひとまず自分が頼りにしている人に相談してみてください。

ただし、援助を得られることになった場合でも、その後に支払いトラブルに発展することがないように、契約書を作っておくことをおすすめします。離婚問題が解決した後は、速やかに費用を返済しましょう。

費用がかかっても弁護士に依頼すべきケース8選

これまで解説してきたとおり、離婚問題を弁護士に依頼すると弁護士費用が発生します。費用が負担になる場合は、弁護士への依頼をためらってしまうケースもあるかもしれません。

しかし、たとえ費用が発生しても、弁護士に対応を依頼したほうがよい場合があります。具体的には以下について協議する場合です。

  • 財産分与
  • DV被害
  • 親権争い
  • 面会交流権の争い
  • 養育費争い
  • 慰謝料争い
  • 婚姻費用争い
  • 年金分割争い

これらのケースでは離婚成立以外に、金銭の請求や子どもに関する決まりといった争点があるため、弁護士に依頼することで自分の希望が叶う可能性が高まるでしょう。それぞれのケースについて詳しく解説します。

財産分与

財産分与について協議する場合、弁護士に対応を依頼したほうがよいでしょう。財産分与は離婚条件として争いになるケースが多く、当事者同士の対立が激しくなりやすいためです。

財産分与とは、結婚してから夫婦が協力して築いた財産を、離婚する際に公平に分け合う制度のことをいいます。

結婚生活を営む中で取得した財産は、原則としてすべて共有財産となります。例えば、夫が支払って取得した家や自動車などの財産でも、妻の協力があって取得できたものとして考えられるため、片方の収入が少ない場合でも夫婦の共有財産となるのが一般的です。

財産分与の対象となる代表的な財産は以下の通りです。

  • 共有名義の財産(建物や土地などの不動産)
  • どちらのものがわからない財産(家具、家電などの家財)
  • 単独名義の財産(夫婦どちらかの不動産や車、預貯金、有価証券など)

基本的に財産分与は夫婦同士の判断に委ねられますが、簡単には解決できないケースも少なくありません。

知識がないままで財産分与の取り決めをした場合、大きな損となる恐れがあるうえに、財産が多いほど夫婦間の対立が激化する原因になり得ます。

財産分与の協議の対応を弁護士に依頼すれば、保有財産を公平に分与できます。また、交渉を代行してもらえば、時間や労力の節約やストレスの軽減にもつながります。

財産分与について離婚後に協議することもできますが、相手が財産を処分したり、使ったりするリスクがある他、離婚から2年が経過すると財産分与を受ける権利が消失するなど、トラブルに発展する可能性もあります。

財産分与については、離婚成立前に弁護士に入ってもらい、スムーズに協議を終わらせることが大切です。また、そもそも共有財産がどれくらいあるのか正確に把握するために、助言してもらう段階から弁護士に相談すれば、その後の交渉を依頼する場合も安心できるでしょう。

財産分与の対象となるもの・ならないものについては下記の記事を参考にしてみてください。

DV被害

DV被害を受けている場合も、弁護士に対応を依頼したほうがよいでしょう。弁護士に協力を依頼することで、依頼者の安全が確保されるためです。

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者や恋人のような親密な関係にある人から振るわれる暴力のことです。身体的な暴力の他、精神的暴力、経済的暴力、性的暴力、社会的暴力などもDVに含まれます。

DV被害を受けている場合、対応を弁護士に依頼するメリットは次の通りです。

  • 相手との交渉を代行してくれる
  • 保護命令の申し立てを依頼できる
  • 適正な慰謝料を請求できる

弁護士は相手方との交渉を代行してくれるため、DVを働く配偶者と顔を合わせることなく離婚できるのが大きなメリットです。調停や裁判に至った場合でも、対応を任せられるため、依頼者は安全に離婚手続きを進められます。

また、状況に応じて裁判所に対して保護命令の申し立てを依頼できるのもメリットです。保護命令には、以下の5種類があります。

  1. 接近禁止命令(6ヶ月間、申立人の身辺や住居、勤務先に近づくことを禁止する)
  2. 電話等禁止命令(面会要求、行動監視、粗野・乱暴な言動、無言電話、連続メールなどを禁止する)
  3. 子どもへの接近禁止命令(申立人と同居する子どもの身辺や学校などに近づくことを禁止する)
  4. 親族等への接近禁止命令(申立人の親族や関係者の身辺や勤務先などに近づくことを禁止する)
  5. 退去命令(2ヶ月、相手方に対して家から出ていくよう命じ、家の付近の徘徊を禁止する)

参考:保護命令の申し立てを希望される方へ|裁判所

相手方が保護命令に違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の制裁が加えられます。

なお、保護命令の申し立てには、DV被害について相談した事実を記載する必要があります。申し立ての前にDVセンターや警察にDVについて相談しておくようにしましょう。

さらに、離婚の原因が相手のDV行為の場合、不法行為に基づいた損害賠償請求が可能です。50万円~300万円が相場といわれており、DVの程度や結婚していた年数などによって金額は変動します。

DV被害によって離婚を考えている場合は、弁護士に対応を依頼して安全かつ有利に離婚手続きを進めましょう。

DVの無料相談ができる窓口については、下記の記事で詳しく解説しています。

親権争い

親権争いが発生する場合も、弁護士に対応を依頼するのが賢明です。子どもの親権を夫婦のどちらが得るのかは、離婚協議での争点になりやすいためです。

離婚時の子どもの親権は、母親が有利とされていますが、主体的に育児を行っていたかどうかで判断されます。親権争いの対応を弁護士に依頼した場合のメリットは次の通りです。

  • 交渉を有利に進められる
  • 調停や訴訟を見据えて交渉できる
  • 調停や訴訟で有利になる証拠を集められる
  • 手続きを任せられる

親権争いを弁護士に依頼する大きなメリットが、親権の交渉を有利に進められることです。調停前の交渉の時点で弁護士に依頼する人は少ないためです。交渉が有利に進めば、調停が訴訟になる前に、有利な条件で親権問題を解決できる可能性があります。

また、調停や訴訟になることを視野に入れている場合も、弁護士に対応を依頼するのが有効です。相手に対して粘り強く交渉できる他、依頼者の有利になる証拠や状況を調査した上で、客観的な主張を行ってくれます。

さらに、調停や訴訟にはさまざまな手続きが伴いますが、すべて弁護士が代行してくれるのもメリットとなります。親権をどうしても獲得したい場合は、弁護士に対応を依頼するとよいでしょう。

親権問題の無料相談先や、子連れ離婚になる場合に知っておきたいことについては下記の記事で詳しく解説しています。

面会交流権の争い

相手方と面会交流権を争う場合も、弁護士に対応を依頼したほうがよいでしょう。依頼者にとって有利な条件で面会交流権に関する取り決めができるためです。

面会交流権とは、子どもと別居する親が、子どもと交流する権利のことで、民法(第776条)によって規定されています。

交流のための面会を認めるかどうかは「子どもの利益」が優先されます。つまり、子どもの希望や都合、与える影響について考慮される必要があります。

面会交流権の協議について弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。

  • 冷静な協議や取り決めができる
  • 面会交流権を認める場合でも拒否する場合でも有利になる
  • 公正証書を作成して将来の紛争を避けられる

夫婦同士の感情がもつれている場合、冷静な話し合いが難しくなります。弁護士に対応を依頼し、協議に同席してもらったり、協議の代理人になってもらったりすることで、適切な交渉ができるようになります。

また、面会交流権を認めてほしい場合や、認めたくない場合でも、弁護士が入ることで適切に判断できるようになります。不利益な条件を被ることなく、正当な理由で面会交流権を拒否できたり、逆に獲得できたりしやすくなるのです。

さらに、面会交流権の行使や交流の方法が決まったら、合意書を作成した公正証書にすることで、将来的に紛争が発生するのを避けられるメリットがあります。これらの手続きは、すべて弁護士に一任できるのも魅力でしょう。

面会交流については、下記の記事も参考にしてみてください。

養育費争い

相手方と養育費について争う場合も、弁護士に対応を依頼するのが得策です。子どもの利益を確保できる他、養育者の負担を軽減できるためです。

養育費とは、子どもの監護や教育に必要な費用のことをいいます。一般的には子どもが経済的・社会的に自立するまで必要な費用で、衣食住に必要な経費や教育費、医療費などが養育費にあたります。

夫婦が離婚した場合でも、子どもを養育する義務があります。そのため、相当資力が乏しい場合を除いて親権を持つ側が親権の無い側に請求可能です。

養育費争いへの対応を弁護士に依頼するメリットは以下の通りです。

  • 適正な養育費の金額が算定できる
  • 相手方と直接交渉する必要がなくなる
  • 調停や訴訟になっても対応しやすくなる
  • 未払いへの対策を講じられる

養育費の目安は養育費算定表を目安にできますが、具体的な金額は離婚の原因や健康状態、子どもの状況などから算出されます。

弁護士に対応を依頼することで、子どもや養育者の事情を考慮して適正な養育費の金額を算定できる他、有利に交渉を進めてもらえます。

希望すれば交渉を代行してもらえるため、相手方と顔を合わせる必要がなくストレスを感じにくくなる他、調停や訴訟になったとしても対応しやすくなります。

また、養育費に関する取り決めについて公正証書を作成することで、金銭的な損失を防止できる点もメリットです。

養育費の算出方法については、下記の記事で詳しく解説しています。

慰謝料争い

離婚に際して慰謝料が発生する場合も、弁護士に対応を依頼したほうがいいでしょう。適切な慰謝料の金額や請求方法に関する交渉を有利に進められるためです。

慰謝料(離婚慰謝料)とは、離婚の原因を作った側(有責配偶者)に対して、精神的苦痛や不法行為に対して請求する金銭のことです。夫婦間で不貞行為やDV、モラハラ(モラルハラスメント)の被害があり、それが離婚の原因となった場合、相手方に慰謝料を請求できます。

以下に該当する場合、慰謝料を請求できる可能性があります。

  • 不貞行為(不倫・浮気)
  • 暴力
  • 悪意の遺棄(経済的DV、精神的暴力、社会的暴力など)
  • 性交渉の拒否
  • 婚姻生活の維持への不協力

※個別の事情によっては慰謝料請求が認められない場合もある

妥当な慰謝料の金額は状況に応じて異なる他、冷静な判断が難しいため、夫婦間の交渉がまとまらない可能性が高いでしょう。

弁護士に対応を依頼すれば、状況や前例などから適切な慰謝料の金額を算出してもらえる他、交渉を有利に進めやすくなり、相場よりも高い慰謝料を請求できる可能性があります。

また、慰謝料を請求される側も弁護士に対応を依頼するのがおすすめです。請求された慰謝料の金額に対して減額や分割払いを求める場合の交渉を代行してもらえるためです。

減額や分割払いを主張する然るべき証拠や状況があれば、相手方と粘り強く交渉してもらえるでしょう。

婚姻費用争い

婚姻費用について争う場合も、弁護士への依頼がおすすめです。婚姻費用をスムーズに回収できる場合が多いためです。

婚姻費用とは、家族(夫婦と未成熟の子ども)が収入や財産、社会的な地位に応じて通常の生活を維持するために必要な生活費のことをいいます。居住費や食費、医療費、教育費などが婚姻費用にあたります。

法律において、婚姻費用に関しては夫婦が負担できる能力に応じて分担する義務を負います。離婚が成立してない場合、たとえ別居状態でも義務がなくなることはありません。

特に、収入が多い人は、収入が低い配偶者に対して婚姻費用を負担しなければなりません。

婚姻費用はまず夫婦間で協議しますが、金額や支払時期、支払方法が決まらないケースがあります。弁護士に対応を依頼することで、適切な金額を算出できる他、金額や支払時期、方法などについて交渉してもらえるため、婚姻費用をスムーズに請求・回収できます。

また、不払いへの対策を講じてもらいやすい他、未払い分の請求、交渉代行も依頼できるメリットがあります。

婚姻費用については、下記の記事も参考にしてみてください。

年金分割争い

年金分割について争う場合も、弁護士に対応を依頼しましょう。交渉や手続きをサポートしてもらえる他、年金分割をした後の見通しについても相談できるためです。

年金分割とは、離婚した夫婦が婚姻期間中に納めた年金の保険料を分割して公平に分け合う制度のことです。受け取る年金を分割するのではなく、納めた保険料を分割することで将来的に支払われる年金額を算定する仕組みです。

年金分割によって、年金が少ない側が将来受け取れる年金額が増える可能性があります。

年金分割の協議への対応を弁護士に依頼すれば、代理人として交渉してもらえるため、相手方と顔を合わせることなく協議できます。年金分割の申請に必要な書類や手続きなどを代行してもらうことも可能です。

また、年金分割は制度が複雑であるため、利益やメリットについて判断しづらいという欠点があります。制度に精通した弁護士に対応を依頼することで、分割後の見通しが立ちやすくなるでしょう。

年金分割ができないケースも存在します。詳しくは、下記の記事も参考にしてみてください。

離婚問題を弁護士に依頼しない場合に知っておきたいこと

離婚の手続きは、弁護士を依頼せずに進めることも可能です。夫婦の話し合いで解決する協議離婚はもちろん、家庭裁判所で行う離婚調停、裁判所に離婚の成立・不成立を委ねる離婚裁判も弁護士なしで進められます。

しかし、離婚の成立を叶える、自分にとって有利な離婚条件で話をまとめるには、専門的な知識が必要です。そのため、弁護士に正式に依頼しない場合も、相談だけでも利用してアドバイスを受けるのがよいでしょう。

なお、離婚裁判の場合は弁護士がいないと自分にとって不利な条件で話がまとまるおそれがあります。相手方が弁護士を雇っている場合は太刀打ちできないことも考えられるでしょう。

弁護士への相談だけでも利用する

裁判官に離婚を認めてもらう離婚裁判と異なり、協議離婚や離婚調停は夫婦の合意による離婚を目指す場です。そのため、弁護士に依頼しなくても、夫婦の話し合いで離婚を進められる可能性もあります。

ただし、相手が離婚に同意しない可能性がある、財産分与や慰謝料請求、親権や養育費の獲得など離婚成立以外の争点がある場合は、弁護士の助言を受けることをおすすめします。相談料を支払えば、弁護士に正式に依頼しなくても法的相談は可能です。

「離婚できるケースか」「慰謝料や養育費の相場はいくらか」「離婚協議書はどのように作成すればよいか」といった疑問を弁護士への相談で解消しておけば、不利な状況に陥ることを避けられるでしょう。

離婚裁判の場合は弁護士がいないと不利になる

離婚裁判に弁護士をつける義務はありません。しかし、裁判の手続きや証拠の提出、離婚原因や離婚条件の主張には法的知識が必要となります。弁護士のいない状況では自分の主張がうまく伝わらず、不利な条件で話がまとまるおそれがあります。相手が弁護士に依頼している場合は、なおさら不利となるでしょう。

また、離婚裁判の期間は1~2年といわれていますが、弁護士に依頼しない場合は争点や主張が裁判官に伝わりづらく、期間が長引くおそれもあります。裁判は平日の日中に開催されるため、出廷のたびに仕事や家庭の都合を調整する必要も生じるでしょう。

裁判まで発展した場合は、弁護士への依頼を検討するのが賢明といえます。

まとめ

離婚問題に関して弁護士費用の支払いが難しい場合でも、法テラスの代理援助を利用することで、弁護士に依頼することが可能です。また、着手金の分割や後払いに対応してもらったり、日弁連の法律援助を利用したりすれば、法テラスの代理援助を利用できない場合でも、離婚問題を弁護士に依頼できます。

弁護士費用の相場を紹介しましたが、状況によって金額は変動するため、見積もりを依頼して具体的な金額を確認してください。

また、離婚に関連する協議では、当事者同士の協議ではなく、弁護士に対応を依頼したほうがいいケースもあります。自分が不利益を被ることがないよう、弁護士に相談することをおすすめします。

離婚問題をスムーズに解決したい場合は、弁護士の力を借りることを検討してみてください。

離婚問題の弁護士費用に関するFAQ

どうしても弁護士費用が払えないときは1人で問題解決するしかありませんか?

法テラスの代理援助などを利用できないうえ、費用を分割でも払えない場合であっても、無料相談を活用して弁護士に相談をしてみてください。費用の支払いが難しい状況でも、離婚問題を解決するためのアドバイスをもらえます。

協議離婚、離婚調停、離婚裁判の弁護士費用はどのくらいかかりますか?

夫婦の話し合いで離婚を成立させる「協議離婚」の場合は20~60万円、調停委員を挟んで話し合う「離婚調停」の場合は50~100万円、裁判で離婚を認めてもらう「離婚裁判」の場合は60~100万円の費用がかかるといわれています。

協議離婚、離婚調停、離婚裁判の弁護士費用については、下記の記事を参考にしてみてください。

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更新日 : 2025年03月31日
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