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2025年06月現在

協議離婚の費用はどのくらいかかる?弁護士の相場や公正証書の作成費用目安を解説

協議離婚の費用はどのくらいかかる?弁護士の相場や公正証書の作成費用目安を解説

協議離婚を考えているけれど、どれくらいお金がかかるのかがわからず、不安を抱いている人もいるでしょう。

日本国内における離婚のうち、約90%は夫婦の話し合いで成立させる「協議離婚」といわれています。

協議離婚でかかる費用の目安は以下のとおりです。

  • 夫婦の話し合いで離婚が成立する場合は「0円」
  • 弁護士に依頼する場合は「20万~60万円」
  • 離婚協議書を公正証書にする場合は「5,000~2万3,000円」

夫婦だけで話し合いがまとまれば費用はかかりませんが、弁護士に交渉や書類作成を依頼する場合は弁護士費用、公正証書作成時には手数料が必要です。

また、親権や養育費の獲得、慰謝料の獲得などを求める場合は、費用は高くなる傾向にあります。

協議離婚を弁護士に依頼した場合の費用相場は以下のとおりです。

項目 費用相場
相談料 0円~1万円(1時間あたり)
※無料相談の弁護士事務所もあり
着手金 0円~30万円
※着手金が無料の弁護士事務所もあり
報酬金 離婚成立:20万~30万円
慰謝料請求:獲得金額の10~20%
財産分与:獲得金額の10~20%
親権の獲得:10万~20万円
養育費の獲得:合意金額の2~5年分の10~20%
日当 1日あたり3~5万円
実費 都度変動

弁護士費用は決して安いとはいえません。

しかし、配偶者との話し合いが難航しそうな場合や、自分にとって有利な条件で離婚を成立させたいのであれば、弁護士は強い味方となってくれます。

弁護士に依頼すれば、配偶者との交渉を任せられるため、精神的負担を減らせます。

専門的な知識を活かして、最善な条件で離婚成立を目指してくれるでしょう。

本記事では、協議離婚でかかる費用の目安や、弁護士に依頼した際の費用の内訳と相場を解説します。

離婚にかかる費用を抑えるコツや協議離婚を弁護士に依頼するメリット、注意点についてもまとめました。

協議離婚はどれくらい費用がかかるのか知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください。

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南陽輔 弁護士
監修
一歩法律事務所
南 陽輔(弁護士)

協議離婚でかかる費用の目安

協議離婚は、夫婦の話し合いで離婚を成立させる方法のため、基本的に費用はかかりません。

ただし夫婦だけでは話し合いがまとまらず、配偶者との交渉を弁護士に依頼する場合は、弁護士費用が発生します。また、離婚協議書を公正証書として作成する場合は、その手数料も必要です。

協議離婚でかかる費用は、以下を目安にするとよいでしょう。

  • 夫婦の話し合いで離婚が成立する場合は「0円」
  • 弁護士に依頼する場合は「20万円~60万円」
  • 離婚協議書を公正証書にする場合は「5,000円~2万3,000円」

それぞれの費用について詳しく解説します。

夫婦の話し合いで離婚が成立する場合は「0円」

協議離婚は夫婦での話し合いによって離婚について決めるため、基本的には費用が発生することはありません。市町村役場に離婚届を提出する際も手数料は不要です。

なお、離婚届は市町村役場の窓口であれば無料で受け取れるほか、インターネットからダウンロードすることも可能です。

ただし、弁護士に同席してもらって対応する場合や、夫婦で取り決める離婚条件によっては費用や支払いが発生する場合があります。

詳しくはこの後解説します。

弁護士に依頼する場合は「20万~60万円」

夫婦だけの話し合いでは協議が進まず、離婚条件がまとまらない場合は、弁護士に依頼して離婚話を進めることも可能です。協議離婚の弁護士費用は、離婚条件などによっても異なりますが、およそ20〜60万円が相場とされています。

弁護士に依頼するメリットについては「費用がかかっても協議離婚を弁護士に依頼するメリット」をご覧ください。

なお、協議離婚における弁護士費用は、依頼者の負担になるのが原則です。

離婚協議書を公正証書にする場合は「5,000円~2万3,000円」

協議離婚で決めた財産分与の内容、養育費や慰謝料の金額などは、離婚協議書として書面で残すのが一般的です。書面として残すことで、離婚後に「言った・言わない」でトラブルになることを防げます。

公正証書の作成費用は配偶者に請求する金額によって異なりますが、5,000円~2万3,000円程度の費用がかかります。

配偶者と養育費や慰謝料などの金銭のやり取りが発生する場合は、強制執行許諾文言付きの公正証書にしておくとよいでしょう。

支払いが滞った際に裁判を起こさずに給与や財産の差し押さえができるほか、公正証書の存在自体が支払い遅延の抑止力となるメリットがあります。

公正証書は当事者が揃えば公証役場で作成が可能です。

夫婦の話し合いだけで協議離婚が成立する場合も、離婚条件に金銭の支払いが含まれるなら、公正証書として残しておくことをおすすめします。

離婚協議書を公正証書にする場合の手数料

離婚協議書を公正証書にする場合の手数料は、慰謝料や養育費などの請求額によって異なります。具体的な手数料は以下のとおりです。

慰謝料や養育費などの金額 手数料(公正証書の作成費用)
100万円以下 5,000円
100万円超え200万円以下 7,000円
200万円超え500万円以下 11,000円
500万円超え1,000万円以下 17,000円
1,000万円超え3,000万円以下 23,000円
3,000万円超え5,000万円以下 29,000円
5,000万円超え1億円以下 43,000円
1億円超え3億円以下 43,000円に5,000万円までごとに13,000円を加算
3億円を超え10億円以下 95,000円に5,000万円までごとに11,000円を加算
10億円を超える場合 249,000円に5,000万円までごとに8,000円を加算

※出典:日本公証人連合

また、公正証書の数量が4枚以上となる場合、1枚当たり250円の手数料が発生します。記述される内容が多い場合は、手数料が高くなると考えておきましょう。

なお、公正証書を作成する際には、手数料のほかに印紙代や謄本代などの実費も必要になります。

印紙代は一般的に数百円〜1,000円程度、謄本代は1通あたり250〜500円程度が相場です。

離婚協議書の作成は弁護士や行政書士に代行依頼可能

離婚協議書を公正証書にしたい場合、弁護士や行政書士に代行してもらうことも可能です。

弁護士、または行政書士に依頼する際の違いを以下にまとめました。

弁護士と行政書士の比較
弁護士 行政書士
メリット ・法的アドバイスを受けられる

・交渉の代理ができる

・交渉を有利に進めやすい
・費用を抑えられる
デメリット ・費用が高い ・交渉や法的助言ができない
費用の目安 ・作成のみ:5万~10万円

・公証役場同行:3万~5万円
・作成のみ:2万~10万円

・公証役場同行:別途費用(事務所による)

弁護士に依頼すれば、法律的判断に基づく助言を受けられるほか、相手との交渉も代理で任せることが可能です。

そのため、交渉が難航しているケースや、相手と直接話したくない場合に向いています。

一方、行政書士は法律文書作成の専門家なので、必要事項や形式を満たした正確な離婚協議書を作成できます。

なお、公正証書を作成する際は、依頼者本人が公証役場に出向く必要があり、代理での手続きはできない点に注意が必要です。

協議離婚を弁護士に依頼した際の費用の内訳と相場

先述した通り、協議離婚の対応を弁護士に依頼した場合の費用は20~60万円が相場とされています。

弁護士費用の内訳と相場は以下のとおりです。

項目 費用相場 内容
相談料 0円~1万円(1時間あたり)
※無料相談の弁護士事務所もあり
弁護士に相談する際に発生する費用。支払いのタイミングは、相談終了後が一般的。
着手金 0円~30万円
※着手金無料の弁護士事務所もあり
弁護士に離婚問題の解決を依頼する際に発生する費用。依頼時に支払いが発生する。
報酬金 離婚成立:20万~30万円
慰謝料請求:経済的利益の10~20%
財産分与:経済的利益の10~20%
親権の獲得:10万~20万円
養育費の獲得:合意金額の2~5年分の10~20%
離婚成立および、慰謝料請求や財産分与などの希望がかなった際に発生する費用。離婚問題の解決後に支払いが発生する。
日当 1日あたり3~5万円 弁護士が相手方の居住地で交渉にあたるなど、事務所外で活動した際に発生する費用。離婚問題の解決後に支払うのが一般的。
実費 都度変動 弁護士の交通費、切手代、書類の取り寄せなどで発生する費用。離婚問題の解決後に、ほかの費用とまとめて支払うのが一般的。

それぞれの項目について詳しく解説していきます。

相談料:1時間あたり0円~1万円

相談料とは、その名のとおり弁護士に相談した際に発生する費用です。

弁護士への依頼を決める前に「離婚できるケースであるか」「離婚できる場合はどのような離婚条件を相手に求められるか」「依頼する場合の弁護士費用がどれくらいになるか」などを相談できます。

弁護士事務所によって費用は異なりますが、1時間あたり0円〜1万円が相場です。「初回相談無料」や「30分無料相談」「電話相談無料」などを設けている弁護士事務所もあります。

相談料の支払いは、弁護士への相談が終了したタイミングで支払うのが一般的です。

なお、相談したからといって、必ずしもその弁護士に依頼する必要はありません。「依頼するか時間をかけて考えたい」「弁護士との相性が合わない」といった場合は、一旦持ち帰って検討することも可能です。

着手金:0円~30万円

着手金とは、弁護士に離婚問題の対応を依頼し、弁護士が問題解決のために仕事に着手する際に支払う費用です。

着手金の費用は問題解決の難易度によって異なり、<協議離婚の場合は0円〜30万円が相場とされています。

弁護士事務所によって着手金の料金体系は異なり、交渉の時間の上限を設けているケースもあります。たとえば、交渉5時間までを定額の着手金にし、超過時間については1時間ごとに追加料金が発生するといった料金体系が取られている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

着手金を支払うタイミングは、弁護士への依頼時が一般的です。弁護士が仕事にとりかかるための費用であるため、離婚が成立しなかったり、希望の離婚条件がかなわなかったりした場合も返金されません。

なお、協議離婚で離婚が成立せず、調停や裁判に移行した場合は、支払い済みの着手金が考慮されるケースがあります。

仮に離婚調停の着手金が30万円で、離婚協議の着手金20万円を既に支払っている場合、差額の10万円を支払うことで離婚調停の着手金を支払ったことになるケースもあります。

着手金や報酬金をできるだけ抑えたい場合は「協議離婚にかかる費用を少しでも抑えるコツ」も参考にしてください。

報酬金:20万~30万円/獲得金額の10~20%

報酬金とは、弁護士への依頼で離婚が成立した際に発生する費用です。離婚以外に慰謝料請求や財産分与、親権や養育費の獲得といった争点がある場合は、それらの希望がかなった分の成功報酬も発生します。

弁護士事務所によって報酬金の算出方法は異なりますが、以下の金額が相場とされています。

  • 離婚成立:20万~30万円
  • 慰謝料請求:経済的利益の10~20%
  • 財産分与:経済的利益の10~20%
  • 親権の獲得:10万円~20万円
  • 養育費の獲得:合意金額の2~5年分の10~20%

経済的利益とは、離婚問題の解決によって得られた金額です。たとえば、慰謝料100万円を獲得した場合は、10〜20万円が報酬金となるイメージです。

養育費の報酬金も弁護士事務所によって異なり、仮に報酬金の設定が「合意金額2年分の10%」で、月6万円の養育費を獲得できた場合は「6万×24ヵ月×10%=14万4,000円」となります。

なお、報酬金は問題解決後に支払うのが一般的ですが、支払いのタイミングは事務所によって異なる場合があります。

日当:1日あたり3万円~5万円

日当とは、弁護士が事件を解決するために、事務所以外の場所で業務を行った場合に請求される費用です。すでに別居していて、相手が遠方の実家にいるようなケースや、現地調査で遠方に出張する場合などに発生します。

日当の相場は、1日あたり3万~5万円程度です。出張半日程度で3万~5万円、1日出張で5万~10万円となる弁護士事務所もあります。

日当は、問題解決後に支払うのが一般的です。また、どの程度の出張で日当が発生するかは、弁護士事務所によって対応が異なります。配偶者が別居して遠方に住んでいる場合は、事前に確認しておきましょう。

日当は弁護士の拘束時間に対する費用であり、交通費などの「実費」とは別の請求項目です。

実費:都度変動

実費とは、弁護士が立て替えて支出した費用を指します。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 弁護士が調停や面談のため裁判所へ出向く際の交通費
  • 依頼者や相手方に郵送物を送る際の切手代
  • 依頼者にお金を振り込む際にかかる振込手数料
  • データ処理費用、資料費用、情報料、書類の取り寄せ費用など

事務所によっては、着手金に実費が含まれるケースもありますが、基本的には実際に発生した支出が請求されると考えておきましょう。

なお、実費の支払いのタイミングは、問題解決後であるのが一般的です。協議離婚の場合、実費が高額になるケースは少ないといわれています。

協議離婚を弁護士に依頼した場合の費用をシミュレーション

協議離婚にかかる費用の種類や金額の目安について解説してきましたが、ここでは弁護士に依頼した場合、実際にどれくらいの費用がかかるのかシミュレーションしていきます。

条件は以下のとおりです。

  • 弁護士への相談料:無料
  • 協議離婚への着手金:20万円
  • 日当:8万円
  • 実費:6万円
  • 配偶者に請求する慰謝料:300万円
  • 配偶者に請求する財産分与:300万円
  • 弁護士への成功報酬:依頼人が得た経済的利益の10%

この場合、発生する弁護士費用は94万円です。

弁護士費用の項目 金額
弁護士への相談料 0円
協議離婚への着手金 20万円
日当 8万円
実費 6万円
弁護士への成功報酬 60万円(300万円×10%+300万円×10%)
合計金額 94万円

また、同じケースで離婚協議書の作成代行を弁護士に依頼した場合もシミュレーションしてみましょう。追加の条件は以下のとおりです。

  • 弁護士への離婚協議書の作成代行:5万円
  • 公正証書化するための手数料:1万7,000円
  • 弁護士の公証役場への同席にかかる費用:3万円

この場合、9万7,000円が追加費用として発生するため、103万7,000円の弁護士費用がかかります。

ただし、離婚協議書の作成や公証役場への同席にかかる費用については協議離婚の着手金や報酬に含まれており、別途費用が発生しない弁護士事務所もあるため、依頼前に確認しておくとよいでしょう。

協議離婚にかかる費用を少しでも抑えるコツ

協議離婚にかかる弁護士費用の目安やシミュレーションの結果をみて、高いと感じる方もいるかもしれません。

普段から貯蓄をしていて自由に使える資金があるなら問題ありませんが、そうではない場合は大きな出費となるケースもあるでしょう。

ここでは、協議離婚にかかる費用を少しでも抑えるコツを紹介します。

具体的なコツは以下のとおりです。

  • 当事者間で話し合いをまとめる
  • 無料相談を活用して複数の弁護士事務所を比較する
  • 着手金が無料または安い事務所に依頼する
  • 早めに弁護士へ相談する
  • 自力で離婚協議書を作成する
  • 法テラスの立替制度を活用する

それぞれ詳しくみていきましょう。

当事者間で話し合いをまとめる

協議離婚にかかる費用を抑えるためのコツは、当事者間で離婚の話し合いをまとめることです。当事者同士の話し合いで離婚や条件に合意できた場合、弁護士費用が発生しないためです。

ただし、当事者同士の協議は感情的になりやすい点に注意しましょう。スムーズに協議を進めるためには慰謝料や養育費など、金銭的な部分について譲歩することも大切です。

また、夫婦の関係性によっては、不利な条件を提示され、金銭的な損失が大きくなる恐れもあります。離婚問題を解決するための方針を総合的に考えて、当事者間での協議を行うかどうか判断しましょう。

無料相談を活用して複数の弁護士事務所を比較する

協議離婚にかかる費用を抑えるには、複数の弁護士事務所の費用を比較することが重要です。

平成16年4月以降、弁護士の報酬は自由化されており、事務所ごとに相談料や着手金、成功報酬の金額が異なります。

同じ内容を依頼しても、事務所によって費用が高くなったり、安く抑えられたりする場合があるため、複数の事務所を比較検討しましょう。

具体的な費用を把握したい場合は、無料相談を活用して「どのくらいの費用になるのか」を質問したり、見積もりをだしてもらったりするのがおすすめです。

自分の予算をあらかじめ伝えることで、弁護士から「予算内でできる対応内容」や「分割払いの可否」など、費用面での提案を受けられる場合もあります。

無料相談では弁護士からアドバイスを受けられるほか、対応方針や人柄、相性を確認することもできます。

初回30〜60分程度の時間制限が設けられているケースが多いため、相談前に質問内容をまとめておくと効率的です。

なお、無料相談を利用したからといって、その弁護士に必ず依頼しなければならないわけではありません。

複数の弁護士事務所の無料相談を利用し、費用や対応内容を比較したうえで、依頼する弁護士を選ぶとよいでしょう。

着手金が無料または安い事務所に依頼する

協議離婚にかかる費用を抑えたい場合、着手金が無料または安い弁護士事務所を選ぶのも一つの方法です。

着手金の金額は弁護士事務所ごとに異なるため、着手金を無料または安く設定している事務所も存在しています。

ただし、着手金が安い分、成功報酬が高額に設定されているケースもあります。

とくに「完全成果報酬型」の場合、初期費用は抑えられても、最終的に支払う費用がほかの事務所と変わらなかったり、かえって高額になったりすることもあるでしょう。

初期費用の負担を軽くしたい方には、着手金が無料または安い事務所が向いていますが、弁護士費用全体を抑えたい場合は、着手金だけでなく成功報酬を含めた「支払総額」で比較・検討することが大切です。

早めに弁護士へ相談する

協議離婚にかかる費用を抑えたいなら、離婚の話し合いや交渉が長引く前に、早めに弁護士へ相談することが重要です。

話し合いがこじれてしまうと、弁護士に依頼したあとも解決までに時間がかかり、結果として費用が増えるおそれがあります。

さらに、協議で離婚に合意できず調停や裁判に発展すると、弁護士の業務量が増えるため、費用も高額になりがちです。

一方で、離婚協議の初期段階から弁護士に相談しておけば、法的観点から適切なアドバイスが受けられ、話し合いがスムーズに進みやすくなります。

結果として、速やかに離婚が成立し、余計な費用や時間の負担を減らせるでしょう。

配偶者との関係がすでに悪化していて、冷静な話し合いが難しい場合は、最初から弁護士に仲介を依頼するのがおすすめです。

自力で離婚協議書を作成する

協議離婚にかかる費用をできるだけ抑えたい場合は、自分で離婚協議書を作成する方法もあります。

離婚協議書は自力で作成することも可能なため、弁護士や行政書士などに作成を依頼するための費用を浮かせられます。公正証書にする場合も、自分で手続きできるため、離婚協議書を自力で作成すれば、その分の費用の節約が可能です。

なお、離婚協議書を自力で作成する場合も、印鑑証明書や戸籍謄本、公証人手数料などの実費は必要です。これらの実費は、弁護士や行政書士に依頼した場合でも別途負担がかかります。

また、離婚協議書を公正証書にした場合、あとから内容を変更するのは困難です。法的な効力があり、相手に約束を守らせる離婚協議書を作成するには、内容や書き方に法的なルールがあるため、誤りなく慎重に作成する必要があります。

離婚協議書を公正証書として正しく作成する自信がない場合は、弁護士や行政書士に作成代行を依頼することも検討しましょう。

法テラスの立替制度を利用する

法テラスの立替制度を活用すれば、離婚にかかる費用を抑えられます。

法テラス(日本司法支援センター)とは、刑事事件・民事事件を問わず、国民がどこでも法的なトラブルの解決に必要な情報・サービスの提供を受けられるように設立された公的法人です。

法テラスが行う業務の1つが「民事法律扶助業務」で、経済的に余裕がない方に対して無料の法律相談を提供し、必要に応じて弁護士費用などを立て替える制度です。

協議離婚について弁護士に依頼したいけれど金銭的に難しい場合、法テラスを利用すれば離婚協議の交渉代行、調停・裁判に進んだ場合の手続きの代理などにかかる費用を立て替えてもらえます。

なお、法テラスの立替制度を利用できるのは、以下の3つの条件をすべて満たした場合です。

  1. 収入や世帯人数などが一定額以下である
  2. 勝訴の見込みがまったくないとはいえない
  3. 民事法律扶助の趣旨にあっている

また、法テラスにおける資力基準には、収入要件と資産要件があります。法テラスを利用するための収入要件は以下のとおりです。

申込者と同居している人数 手取月収額の基準 家賃もしくは住宅ローンを支払っている場合に加算できる限度額
1人 182,000円以下(200,200円以下) 41,000円以下(53,000円以下)
2人 251,000円以下(276,100円以下) 53,000円以下(68,000円以下)
3人 272,000円以下(299,200円以下) 66,000円以下(85,000円以下)
4人 299,000円以下(328,900円以下) 71,000円以下(92,000円以下)

出典:収入要件|法テラス
※離婚案件で配偶者と争っている場合は収入を合算しない。
※申込者と同居中の家族の収入は、家計貢献の範囲で申込者の収入に合算。
※東京や大阪などの生活保護一級地の場合、()内の基準を適用。以下、同居する家族が1名増えるごとに基準額に3万円(3万3,000円)を加算。
※申込者が家賃もしくは住宅ローンを支払っている場合、基準表の額を限度に負担額を基準に加算。居住地が東京都特別区の場合()内の基準を適用。

次に法テラスを利用するための資産要件は以下のとおりです。

申込者と同居している人数 資産合計額の基準
1人 180万円以下
2人 250万円以下
3人 270万円以下
4人以上 300万円以下

出典:資産要件|法テラス
※申込者及び配偶者が不動産や有価証券などの資産を持っている場合は、その時価と現金、預貯金との合計額が上記金額を満たすことが条件。
※無料法律相談の利用の際は、申込者などが持つ現金、預貯金の合計額で判断。
※離婚案件で配偶者と争う場合は収入を合算しない。
※将来負担すべき医療費や教育費などがある場合は、相当額が控除される。無料の法律相談を利用する場合は、3ヵ月以内に出費の予定があることが条件となる。

法テラスの立替制度を利用する場合、原則として契約締結の2ヵ月後から、3年以内に完済できる範囲で分割返済を行います。

弁護士費用を支払うのが経済的に難しい場合は、法テラスの利用を検討するとよいでしょう。

法テラスについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

協議離婚で相手側に請求できる費用

離婚協議では、離婚条件や約束ごとを相手と協議・交渉します。相手方に請求できるのは以下のような費用です。

  • 婚姻費用
  • 財産分与
  • 養育費
  • 慰謝料

それぞれ詳しくみていきましょう。

婚姻費用

婚姻費用とは、夫婦や未成熟の子どもが生活するのに必要な生活費です。夫婦の負担能力に応じて分担することが法律によって義務付けられています。

離婚が成立する前に別居しており、相手の収入が自分の収入よりも高い場合は、婚姻費用を請求可能です。

婚姻費用の詳細がわかっている場合はそのまま請求することも可能ですが、費用をこれから決める場合は「養育費・婚姻費用算定表」を参考に相場を把握できます。

ただし、婚姻費用の請求は、婚姻費用の分担請求調停を申し立てた時点から起算されます。別居期間が長く、過去分の婚姻費用を請求したいと考えても、さかのぼって請求はできません。

参考:
民法第760条 婚姻費用の分担|e-GOV法令検索

参考:養育費・婚姻費用算定表|裁判所

婚姻費用については、以下の記事も参考にしてください。

財産分与

財産分与とは、結婚してから夫婦が協力して築いた財産を、離婚する際に公平にわけあう制度です

夫婦間の収入の差を問わず、財産を公平に半分にわけて双方が受け取れます。

民法においても、離婚の際には相手に対して財産分与を請求できると定められています。

参考:民法第768条1項 財産分与 第771条 裁判上の離婚

財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に夫婦で築いた財産で、名義が夫婦のどちらであっても公平にわけられます。

対象となる財産の例は以下のとおりです。

  • 現金
  • 不動産
  • 有価証券
  • 家電・家具
  • 年金
  • 退職金
  • 自動車
  • 保険の解約返戻金

一方、結婚前にもっていた預貯金や株式、贈与などで得た財産は、財産分与の対象となりません。

財産分与の対象となるもの・ならないものについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

養育費

養育費とは、子どもを監護・教育するための費用です。子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要な費用で、衣食住のための経費や教育費、医療費などが養育費にあたります。

離婚する夫婦のうち、親権をもたない親には養育費の支払い義務が発生します。既出の「養育費・婚姻費用算定表」を参考にすれば養育費の相場も把握できます。

子どもが自立するまで、毎月支払われるお金になるため、支払う側にとって負担が大きくなりすぎないよう配慮することも大切です。

また、相手に請求する養育費が高額すぎる場合や、請求に対して提示する養育費の金額が低すぎる場合は、離婚条件の交渉が難航したり、離婚後に金銭トラブルに発展したりする恐れがあります。

支払いが遅れた場合の罰則や利息などについても詳しく決めておきましょう。

養育費の相場や計算式は以下の記事を参考にしてください。

慰謝料

慰謝料とは、精神的な苦痛を受けた場合に、加害者に請求する賠償金のことで、離婚する場合に請求する慰謝料を離婚慰謝料といいます。

離婚慰謝料とは、離婚に至る主な原因をつくった有責配偶者から、精神的苦痛を受けた無責配偶者に対して支払われる賠償金です。

とくに、以下のような行為によって精神的苦痛を受けると、慰謝料を請求できる場合があります。

  • 不貞行為:100万~300万円程度
  • DVやモラハラ:50万~300万円程度
  • 悪意の遺棄:50万~200万円程度
  • 借金(結婚後に配偶者の浪費やギャンブルで発生したもの):50万~200万円程度
  • セックスレス:100万円程度

不貞行為やDV、モラハラ、悪意の遺棄は、法律で認められている離婚理由(法定離婚事由)とされています。

また、結婚後の借金やセックスレスが、法定離婚事由の一つである「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する場合があります。

このような行為があった場合や、不法行為ではないものの精神的苦痛を受けたと認められる場合は、配偶者に対して慰謝料請求が可能です。

ただし、慰謝料を請求するには不法行為などを客観的に証明する証拠が必要です。証拠がない場合は慰謝料請求ができず、金銭を受け取れない場合もあるため注意しましょう。

慰謝料請求については、以下の記事を参考にしてください。

協議離婚で相手側に請求できない費用

協議離婚の際に相手に対して請求できないのは、財産分与の対象にならない費用です。

財産分与の対象となるのは、夫婦で協力して築いた共有財産のみで、夫婦のどちらか一方が独自に手にした財産は、対象外となります。

財産分与の対象外(特有財産)となるのは以下のようなものです。

  • 親族からの贈与や相続によって取得した不動産や預貯金
  • 独身時代に築き上げた預貯金
  • 独身時代に購入して所有している株式や有価証券
  • 独身時代に購入した自動車や不動産
  • 退職金のうち結婚前に勤務した期間に対応する部分

また、結婚式や新婚旅行などの費用を夫婦のどちらか一方がすべて負担している場合でも、離婚時に相手に請求できない可能性が高いといえます。

これは、夫婦の片方が費用を全額負担した後に、相手に対して金額を請求していないケースがほとんどであるためです。

そのため、結婚式や新婚旅行の費用を相手に対して求めないという暗黙の合意があったと判断される可能性が高くなります。

式や旅行の費用を分担することを明記した合意書でも作成していない限り、半額分の精算を求めるのは難しいと考えておきましょう。

<

費用がかかっても協議離婚を弁護士に依頼するメリット

すでに解説した通り、協議離婚の仲介を弁護士に依頼すると、決して安くない費用がかかります。

しかし、費用がかかったとしても、協議離婚の仲介を弁護士に依頼するメリットがあります。

具体的には以下のとおりです。

  • 弁護士が交渉を代行することで話し合いがスムーズに進められる
  • 弁護士の法的根拠に基づく交渉で不利な条件を避けられる
  • 離婚調停に進んだ場合もそのまま対応してもらえる
  • 面倒な書類作成を任せられる

それぞれ詳しく解説します。

弁護士が交渉を代行することで話し合いがスムーズに進められる

弁護士に交渉を任せることで、スムーズに話し合いを進められるのも、協議離婚を弁護士に依頼するメリットです。

弁護士が間に入ることで、夫婦間の感情的な対立が和らぎ、冷静に話し合いができる可能性が高まります。

また、弁護士は法律の知識や交渉スキルに長けているため、要点を押さえた話し合いで離婚条件を決めてもらうことが可能です。

相手が話し合いに応じない場合や、相手の顔を見るのも嫌な場合、DV・モラハラの被害を受けて会うのが怖い場合も、弁護士が代わりに交渉を行ってくれます。

なお弁護士からの連絡は書面や内容証明郵便で届くことが多く、無視しにくいため、相手も「離婚に本気だ」と感じやすく、話し合いが進みやすくなるでしょう。

交渉の場に直接立ち会う必要がなくなるため、精神的負担が軽くなり、離婚後の生活や今後の収入について落ち着いて考える時間を確保できます。

調停や裁判に進まずに済む可能性も高まり、離婚が成立するまでの期間短縮にもつながるでしょう。

弁護士の法的根拠に基づく交渉で不利な条件を避けられる

法的根拠に基づいた主張ができ、不利な条件を避けられるのも、協議離婚を弁護士に依頼するメリットです。

弁護士に依頼すれば、法律を根拠にした説得力のある主張が可能です。

離婚の原因が不貞行為やDV、モラハラなどの法定離婚事由に該当する場合、相手が離婚に応じなくても、法的裏付けのある要求をしやすくなります。

さらに、証拠がそろっている場合は、慰謝料の請求も可能です。

法的知識に基づく交渉は説得力があり、相手の主張の妥当性も見極めてもらえるため、冷静かつ有利な条件で話し合いを進められます。

当事者同士の話し合いでは感情的になったり、相手に押し切られたりするリスクもありますが、弁護士に依頼することで、自分の希望を明確に伝えてもらえます。

不利な条件が含まれていた場合も適切に反論し、解決を図ってもらえるでしょう。

離婚調停に進んだ場合もそのまま対応してもらえる

協議で離婚に合意できず、離婚調停に進んだ場合でも、弁護士にそのまま対応してもらえるのも、協議離婚を依頼するメリットです。

モラハラ気質や、頑なに自分の意見を譲らない相手の場合、弁護士が仲介に入っても離婚に合意できないケースがあります。

しかし、弁護士に依頼を継続すれば、調停に進んでも以下の手続きを任せられます。

  • 調停のための準備
  • 調停申立てのタイミングの判断
  • 申立書の作成
  • 裁判所とのやりとり

弁護士は調停の代理人となれる資格があるため、本人に代わって申立てや書類提出などの手続きを行ったり、調停の場で発言したりできます。

ただし、調停や裁判に進んだ場合、弁護士費用の総額が増加する点には注意が必要です。

面倒な書類作成を任せられる

離婚に関する書類作成を任せられるのも、協議離婚を弁護士に依頼するメリットです。

協議によって離婚が合意に至った場合、離婚協議書を作成します。様式や記載する内容はとくに決まっていないため、自力でも作成可能です。

ただし、法律的に有効な書類にするには専門的な知識が必要となり、法的効力の面で不安が残る場合があります。

あいまいな離婚協議書を作成した場合、離婚後にトラブルになるおそれもあるでしょう。

抽象的すぎる文言や、子どもの福祉に反する内容、離婚後の行動を過度に制限する内容が含まれていると、たとえ合意があっても無効になる可能性があります。

このような事態を避けるためにも、交渉や契約に長けた弁護士にサポートしてもらうとよいでしょう。

さらに、作成した離婚協議書を公正証書にする場合も、内容の吟味が必要なうえ、公証役場を訪問する手間もかかります。

弁護士に依頼すれば、適切な離婚協議書を作成してもらえます。

公正証書作成のサポートや、公証役場への同行も依頼できるため、書類作成の手間やストレスによる負担を軽減できるでしょう。

協議離婚で弁護士費用を支払う際に注意すべきこと

協議離婚の仲介を弁護士に依頼した場合、弁護士費用の支払いが発生します。実際に費用を支払う場合は、以下のポイントに注意しましょう。

  • 弁護士費用を2回請求されるケースもある
  • 弁護士費用は自分の固有財産から支払う

それぞれ詳しく解説します。

弁護士費用を2回請求されるケースもある

離婚協議がまとまらずに調停や裁判へ移行した場合、その都度着手金や報酬金が新たに発生する可能性があります。

弁護士事務所によっては「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」を別々の案件として扱うケースがあるためです。

そのため「協議では着手金20万円+調停で追加着手金20万円+裁判でも追加着手金」と複数回支払わなければならない場合もあります。

また、離婚の成立だけではなく、財産分与や養育費、親権争いなどの交渉代行も依頼した場合、それぞれの成功報酬が請求されます。

弁護士事務所によって支払い方法は異なるため、依頼前に確認しておくことが大切です。

弁護士費用は自分の固有財産から支払う

協議離婚の仲介を弁護士に依頼した場合、弁護士費用は依頼人の固有財産から支払うのが一般的です。

固有財産(特有財産)とは、個人が所有する財産のうち、結婚前から持っていた預貯金や、相続・贈与によって得た財産など、財産分与の対象外となるものを指します。

弁護士に対応を依頼するための固有財産がない場合は、本記事でも解説した法テラスの立替制度の利用を検討しましょう。

また、弁護士事務所によっては、分割払いや後払いに応じてくれる場合もあります。

協議離婚後にかかる費用

協議離婚の際にはいくらか費用がかかる場合がありますが、協議離婚後にもなにかと費用がかかるものです。

具体的に必要になるのは以下の費用です。

  • 生活費
  • 子どもの学費
  • 引っ越し代

離婚後は、どのような費用が必要になるのか把握して、準備しておくことが大切です。それぞれ詳しくみていきましょう。

生活費

協議離婚の後に必ずかかる費用の1つが生活費です。

とくに、専業主婦(主夫)として生活していた方が離婚した場合、相手からの生活費の支払い義務がなくなるため、生活に困窮する可能性が高くなります。

統計局が発表している「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」によれば、単身世帯(平均年齢58.7歳)の1世帯当たりの平均消費支出月額は169,547円(前年比名目1.1%増)でした。

また、2人以上世帯の消費支出の平均月額は300,243円(前年比名目2.1%増)でした。

出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2024年平均結果の概要」

離婚して単身世帯となった場合や、親権を獲得して子どもと生活していく場合は、最低でも上記程度の生活費を捻出する必要があります。

子どもの学費

協議離婚によって子どもの親権を獲得した場合、子どもの学費(教育費)が必要になります。

文部科学省が発表している「令和5年度子供の学習費調査」によれば、幼稚園から全日制の高等学校までの学習費の総額は以下のようになっています。

  • 幼稚園:公立約18万5,000円、私立約34万7,000円
  • 小学校:公立約33万6,000円、私立約182万8,000円
  • 中学校:公立約54万2,000円、私立約156万円
  • 高等学校(全日制):公立約59万8,000円、私立約103万円

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」

また、同調査では幼稚園3歳から全日制の高等学校の第3学年までの15年間の学習費総額を単純計算したデータも紹介されています。

幼稚園から高等学校まですべて公立だった場合と、すべて私立だった場合の学習費の総額は以下のとおりです。

  • すべて公立だった場合:約596万円
  • すべて私立だった場合:約1,976万円

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」

子どもの教育費は相当な金額になることがわかります。離婚相手からの養育費も含めて、これらの費用をどのように捻出するか考える必要があるでしょう。

引っ越し代

協議離婚の後に発生する費用の1つが引っ越し代です。

引っ越しにかかる費用は、引っ越しをする時期や移動距離、運ぶ荷物の量によって異なります。

一般的な相場からいえば、単身で引っ越す場合は3万~10万円程度、2人以上で引っ越す場合は8万~30万円程度の費用が必要です。

なお、協議離婚によって引っ越しが必要になった場合、その費用を離婚相手に請求することはできません。

民法によって婚姻中は夫婦がお互いに協力する義務があるものの、離婚した後はその義務がなくなるためです。

そのため、仮に相手の不貞行為やDV・モラハラなどで離婚した場合でも、引っ越し費用は自分で工面する必要があります。

引っ越し費用は依頼する業者によっても金額が異なるため、いくつかの業者を比較して選ぶことが大切です。

協議離婚後の費用を抑えるには?

協議離婚となった後にも費用がかかることは解説したとおりですが、すぐに社会復帰できない場合や、離婚してから仕事を探す場合は、できるだけ費用を抑えたいものです。

協議離婚後の費用を抑えるための方法は以下のとおりです。

  • 実家に戻る
  • 持っていく荷物は最小限に留める
  • 仕事や家計について見直す

それぞれ詳しく見ていきましょう。

実家に戻る

協議離婚後の出費を抑える方法の1つが、実家に戻ることです。

賃貸物件を借りる場合、引っ越し費用に加えて、物件を契約するための敷金や礼金、保証金などが発生するほか、火災保険料や保証会社に支払うお金などがかかります。

賃貸物件を契約する際の初期費用は、家賃の4〜6ヵ月分が相場となっているため、出費が大きくなる可能性が高いです。

実家に戻れるなら、これらの出費を抑えられます。仕事がみつかり、経済的に落ち着いてから引っ越しをするだけでも、精神的なストレスは大きく変わってくるでしょう。

また、子どもと引っ越す場合、自分の両親に育児や家事をサポートしてもらえるのも実家に戻るメリットです。自分1人で子どもと生活する場合と比べれば、負担を軽減できます。

持っていく荷物は最小限に留める

離婚後の出費を抑えたい場合は、引っ越し先に持っていく荷物を最小限にしましょう。

引っ越し費用が決まる要素の1つが、運ぶ荷物の量であるためです。

引っ越す前に不用品を多く処分し、運ぶ荷物を少なくすれば、トラックの台数や作業員の人数が少なくなるため、引っ越し費用は安く済みます。

場合によっては数万円程度の金額差となる場合もあり、決して馬鹿にできません。

すぐに引っ越さなければならない場合は、リサイクルショップや中古品の譲渡サイトなどを利用して、不用品の処分を目指しましょう。

引っ越しまでに時間の余裕がある場合は、インターネットオークションやフリマアプリなどを利用して、不用品を現金化するのもおすすめです。出品するものによっては高値で買い取ってもらえる場合もあるでしょう。

また、財産分与で家具や家電を受け取った場合、置いていく代わりに現金として受け取れないか交渉するのも1つの手段です。うまくいけば、処分の手間が省けるうえに、現金も手にできるでしょう。

仕事や家計について見直す

離婚後の出費を抑えたい場合は、仕事や家計についてみなおしましょう。

離婚後に自立して生活したり、子どもを育てたりする場合、将来的に正社員を目指せる仕事や、現状より時給や月給がよい仕事への転職を考えたほうがよいかもしれません。

また親権を獲得した場合は、子育てと仕事を両立できる仕事や、職場に移ることを検討すべきでしょう。

さらに離婚後は、元配偶者の収入をあてにして生活することはできなくなります。できる範囲での節約や、ライフスタイルの変更なども考える必要があるでしょう。

離婚によってこれまでの生活が大きく変わる可能性があることを理解しておきましょう。

まとめ

協議離婚は基本的に費用がかからず、離婚届の提出も無料です。

ただし、弁護士に交渉や書類作成を依頼する場合は20万〜60万円程度、公正証書作成には5,000〜2万3,000円程度の費用がかかります。

弁護士に依頼することで、法的根拠に基づく説得力のある交渉ができ、不利な条件を避けやすくなります。

また、相手と直接交渉せずに済むため、精神的負担が軽減されるのもメリットです。

調停や裁判に移行した場合も、継続して対応してもらえます。

なお、調停や裁判に進むと追加の着手金が発生することがあります。

弁護士費用は原則として依頼人の固有財産から支払うため、どの費用が、いつ・いくらかかるのか、事前に確認しておきましょう。

費用を抑えたい場合は、無料相談の活用や複数事務所の比較、法テラスの立替制度なども検討しましょう。

自分に合った方法で、無理なく納得できる離婚を目指すことが大切です。

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更新日 : 2025年06月30日
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