DVで身の危険を感じたらすぐに警察や民間シェルターへ
DVで身の危険を感じた場合、すぐに警察や民間シェルターへ相談するようにしましょう。
DVの被害者は、自分自身の安全が最優先であり、早期の対応が被害の拡大を防ぎます。
警察|DV被害者を保護し法的な手続きをしてくれる
警察はDVの被害者を保護し、必要な手続きを進めてくれます。
いきなり警察に連絡するのをためらう場合は、「#9110」を活用するのも1つの方法です。
「#9110」は、警察に対して緊急性の低い連絡を行うための全国共通の電話番号です。
犯罪や事故の発生にはいたっていないけれど、ストーカーやDV・悪質商法など、警察に相談したいことがあるときに利用できます。
「#9110」は、全国どこからでも、電話をかけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。
ただし、警察に相談する前には、逃げるための準備を必ずしておくことが重要です。
警察に相談した後にすぐに保護されない場合、家に帰った際に報復を受ける可能性があるためです。警察に相談する際は、必ず相談後の避難先を確保しておきましょう。
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電話番号 |
以下のウェブサイトから、全国各地の警察署の詳細とそれぞれの電話番号を確認できます。
全国警察署一覧 | 警察署、交番の所在地一覧
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受付時間 |
警察署の受付時間は一般的に午前8時30分から午後4時30分までとなっています。ただし、地域により受付時間が異なる場合があります。また、担当者が不在となる夜間等、緊急性が低い場合は平日の日中に訪問するように言われることもあります。
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民間シェルター|DV被害から緊急一時避難できる
民間シェルターとは、民間団体によって運営されている施設で、暴力を受けたDV被害者が緊急一時的に避難できる場所です。
民間シェルターでは、被害者の一時的保護だけでなく、相談対応や被害者の自立へ向けたサポートなど、被害者に対する様々な援助を行っています。
具体的には、以下のような支援を行っています。
相談対応では、被害者の問題や悩みに対して、専門的な知識を持つスタッフがカウンセリングをし、適切なアドバイスや情報提供を行います。
自立支援では、被害者が自立できるように、就労支援や生活スキルの指導、心理的ケアなどを提供します。
公的シェルターは基本的に無料で利用できますが、民間シェルターの利用には料金がかかります。
一般的な料金は、1日当たり約1000円〜1500程度です。
料金はかかりますが、民間シェルターでは、生活リズム(起床・食事・就寝時間など)が自由で、個室を提供している施設が多い傾向にあります。また、公的シェルターの利用期間は原則2週間程度ですが、民間シェルターの場合は1ヶ月程度、もしくは個人の状況に応じて期間を設定する場所が多くなっています。
なお、民間シェルターは被害者の安全確保のため、その所在地は公開されていません。具体的な利用方法や利用条件については、各施設に直接問い合わせるか、関連する公的機関にご相談ください。
【目的別】DVについて無料相談できる窓口12選!
DVについて無料相談できる窓口を、3つの目的別に分けてご紹介します。
- 弁護士:DVを理由に離婚・慰謝料請求等の法的な手続きをしたい
- 公的機関:DVから逃れる方法を知りたい
- NPO法人:どんな専門家に相談すべきかわからない
それぞれの窓口について、詳しくみていきましょう。
弁護士:DVを理由に離婚・慰謝料請求等の法的な手続きをしたい
DVを理由に離婚を考えたり、慰謝料を請求したりする際には、法的な手続きについてアドバイスを提供できる弁護士に相談するとよいでしょう。離婚の慰謝料について無料相談できる弁護士の窓口は、以下の4つです。
- 弁護士事務所
- 市区町村の無料法律相談
- 法テラス
- 弁護士会の法律相談センター
1つずつ解説していきます。
弁護士事務所|法律のプロから法的なアドバイスをもらえる
弁護士事務所では、初回の法律相談は30分~1時間程度なら無料としているところが多いです。
有料であれば、30分で5,000円~10,000円程度が相場となっています。
弁護士事務所の無料相談の最大のメリットは、専門家の弁護士に相談できることです。
弁護士は法律の専門家であり、DVに関する法律や精度に精通しています。
DVの問題を法的な視点から分析し、離婚や慰謝料請求、養育費、財産分与、証拠集めについてのアドバイスをしてくれます。
また、無料相談後にそのまま依頼すれば、訴訟の代理や手続きなども行ってくれます。
相談する際は、DVやモラハラ、離婚問題などに強い弁護士事務所を選ぶことがおすすめです。
また、無料相談を受けたからといって、その弁護士に必ず依頼しなくてはいけないということはありません。
さらに、無料相談はあくまで参考程度のもののため、具体的な法律行為をするときは有料の相談を利用したほうがよいでしょう。
市区町村の無料法律相談|行きなれた役場で気軽に相談できる
市区町村の法律無料相談は、月に数回開催され、弁護士などの専門家に無料で相談できるサービスです。ただし、相談時間は大体15分〜20分程度と短めなので、事前に相談内容や質問事項を整理しておくとスムーズです。
市区町村の法律無料相談は、以下のような方にとくにおすすめです。
- 弁護士に有料で依頼する必要があるか確認したい方
- 短時間でシンプルな問題を相談したい方
- 弁護士に依頼する予定で、適切な弁護士を探したい方
- どのような弁護士に相談したらよいか迷っている人
ただし、市区町村の法律相談のデメリットとして、離婚問題に詳しい弁護士に必ずしも相談できるわけではありません。
そのため、相談内容が複雑であったり、裁判や調停が進行中であったり、具体的なアドバイスが必要だったりする場合は、初めから法律事務所で相談することをおすすめします。
法テラス|最大3回まで無料相談できる
法テラス(正式名称:日本司法支援センター)は、国によって設立された、法的トラブル解決のための総合案内所です。日本全国に支店を持っています。
国民がどこでも法的な問題を解決するために必要な情報やサービスを受けられるようにするという理念の下、平成18年4月10日に法務省の管轄下で設立されました。
法テラスでは、経済的に困難な状況にある方が法的な問題に直面した際に、弁護士や司法書士との面談をはじめ、電話による無料法律相談を受けられます。
一度の相談時間は約30分間で、最大3回まで無料です。
弁護士費用について不安を感じている方にとくにおすすめです。「弁護士にこんなことを聞いても大丈夫だろうか」という些細な疑問でも、法テラスでは気軽に相談できます。
ただし、無料法律相談を利用するためには、原則として収入や資産が一定の基準以下であることなどの条件が設けられています。
また、弁護士は選べないため、特定の専門分野の弁護士に相談するのは難しいかもしれません。DV問題に詳しい弁護士を必ず紹介してもらえるわけではないため、その点は注意が必要です。
項目 |
内容 |
電話番号 |
0570-078374
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受付時間 |
平日9:00〜21:00 土曜日9:00〜17:00
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URL |
法テラス 公式ホームページ
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弁護士会の法律相談センター|全国約300箇所に設置されている
弁護士会は、日本全国の弁護士が会員となっている団体です。
弁護士会が運営する「法律相談センター」は、地域により無料の法律相談を提供しています。
各地の弁護士会館をはじめ、全国約300箇所で法律相談を行っています。
たとえば、大阪弁護士会総合法律相談センターでは、離婚に関する法律相談を30分間無料で提供しています。予約はインターネットや電話で可能で、「ひまわり相談ネット」を利用すれば24時間いつでも相談予約が可能です。法律相談後には、相談を担当した弁護士に直接依頼することも可能です。
公的機関:DVから逃れる方法を知りたい
DVから逃れるための方法を知りたい場合、公的機関が提供する無料相談窓口が有用です。公的機関による無料相談窓口は、以下の7つが挙げられます。
- DV相談プラス
- 東京ウィメンズプラザ
- 配偶者暴力相談支援センター
- よりそいホットライン
- 婦人相談所
- 女性の人権ホットライン
- 児童相談所
これらの窓口では、DV被害者が自身の安全を確保するためのアドバイスや心のケア、シェルターへの案内などが提供されています。それぞれの窓口について、詳しくみていきましょう。
DV相談プラス|DVに関するあらゆる問題について相談できる
DV相談プラスは、内閣府が運営するDV専門の相談窓口です。配偶者やパートナーからのあらゆる形の暴力について、専門知識を持った相談員が対応します。
24時間対応の電話相談、メール相談、オンラインチャット相談(受付時間:12:00〜22:00)が利用可能です。さらに、相談員が必要と判断した場合には、面接や同行支援などの直接的な援助、安全な避難場所の提供も行います。
「これはDVなのかな?」「暴力を受けている」「すぐにパートナーから逃げたいけれどどうしたらいいの?」「子供たちの安全も心配」など、DVに関するあらゆる問題について、何でも相談できます。
項目 |
内容 |
電話番号 |
0120-279-889
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受付時間 |
電話・メール:24時間受付
チャット相談:12:00~22:00
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URL |
DV相談プラス|内閣府
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東京ウィメンズプラザ|東京都に在住・在勤・在学の方におすすめ
東京ウィメンズプラザは、男女平等参画社会の実現に向けた、具体的で実践的な活動を推進する場所として、都民と行政が共同で取り組んでいます。
原則として、東京都に在住、在勤、在学の方を対象に、配偶者からの暴力(DV)や交際相手からの暴力(デートDV)に悩む方の無料相談を受け付けています。相談は匿名で行うことが可能で、秘密は厳守されます。
相談は電話により、毎日9時から21時まで(年末年始を除く)受け付けています。また、必要に応じて面接による相談(予約制)も提供しています。
さらに、電話相談だけでなく、女性弁護士による法律相談や精神科医師による面接相談も行っています(これらは上記の電話で予約が必要です)。
項目 |
内容 |
電話番号 |
03-5467-1721
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受付時間 |
毎日9:00~21:00(年末年始を除く)
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URL |
東京ウィメンズプラザ
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配偶者暴力相談支援センター|全ての都道府県に設置されている
配偶者暴力相談支援センターは、全ての都道府県に設置されている公的な機関です。このセンターでは、配偶者からの暴力を防ぎ、被害者を保護するためのさまざまなサービスを提供しています。具体的には以下のようなサービスがあります。
- 相談や相談機関の紹介
- カウンセリング
- シェルターでの一時保護
- 裁判所への保護命令の申立
- 自立生活のための支援や情報提供
相談を希望する場合は、事前に電話で連絡を取り、その上で訪問することをおすすめします。
よりそいホットライン|DV被害を受けているかわからない場合も相談できる
よりそいホットラインは、妊娠、中絶、性的被害、DV、セクハラ、パワハラ、離婚など、さまざまな問題に直面している女性たちを支援するための相談窓口です。専門の相談員が、問題に対する情報と支援を提供します。
「これはDVと言えるのかな?」や「これは性暴力に該当するの?」といった疑問を抱いている場合でも相談できます。
相談は電話の場合、24時間利用可能です。
全国どこからでも、誰でも相談することができます。
また、電話での相談が難しい方は、FAXを利用して相談することも可能です。
さらに、「困りごと情報提供女性相談」では、専門の相談員にオンラインでチャット相談できます。
返答は、水曜日・木曜日の15~21時です。
婦人相談所|女性に関するさまざまな問題を相談できる
婦人相談所は、女性に関するさまざまな問題に対応するための婦人保護事業の一部です。この施設は、もともと売春を行う可能性のある女性への相談、指導、一時保護を目的として設立されました。しかし、時代の変化とともにその役割も進化し、平成13年4月に施行された配偶者暴力防止法により、配偶者暴力相談支援センターの一部としての機能を担うようになりました。
婦人相談所は、国籍や年齢に関係なく、問題を抱える女性からの相談に対応し、自立に向けた適切な支援を提供します。売春防止法第34条に基づき、各都道府県には必ず1つの婦人相談所が設置されており、一時保護所も併設されています。電話相談の後、面接相談や巡回相談が可能な場合もあります。
女性の人権ホットライン|どこに相談すればよいのか迷っているときに
女性の人権ホットラインは、DVをはじめとするさまざまな人権問題に対する相談窓口として機能しています。電話相談は、最寄りの法務局に直接つながり、女性の人権問題に精通した法務局職員や人権擁護委員が対応します。受付時間は平日の8時30分から17時15分までです。
また、インターネットを通じての相談も可能です。相談フォームに必要な情報(氏名、住所、年齢、相談内容等)を記入し送信すると、最寄りの法務局から後日、メールや電話、場合によっては面談による回答が提供されます。
児童相談所|子供への暴力についても相談したいときに
児童相談所は、18歳未満の子供に関するあらゆる問題に対する相談を受け付け、支援を提供する機関です。DVについての相談も受け付けています。
「児童相談所虐待対応ダイヤル」に連絡すると、最寄りの児童相談所につながります。通告や相談は匿名で行うことが可能で、通告や相談した内容は厳密に秘密として保持されます。
DVが発生している家庭では、子供が直接的な暴力を受けるだけでなく、夫婦間の暴力を目の当たりにする(面前DV)ことも、子供にとっては心理的な虐待になります。
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内容 |
電話番号 |
児童相談所虐待対応ダイヤル:189(お住まいの地域の児童相談所に電話がつながります)
また、以下のウェブサイトから、全国各地の婦人相談所の詳細とそれぞれの電話番号を確認できます。
児童相談所一覧|こども家庭庁
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受付時間 |
受付時間は児童相談所によって異なります。事前に各施設にお問合せください。
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URL |
児童相談所一覧|こども家庭庁
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NPO法人:どんな専門家に相談すべきかわからない
どんな専門家に相談すべきかわからない場合は、NPO法人に相談することも1つの方法です。ここでは、NPO法人よつばについてご紹介します。
NPO法人よつば|各分野の専門カウンセラーが対応している
NPO法人よつばは、男女間の問題や夫婦間の問題、浮気や不倫についての相談を受け付ける非営利団体で、離婚やDVなどの問題にも対応しています。電話(受付時間:9時〜20時)やインターネットを通じて、年中無休で相談を受け付けています。土日や祝日でも、メールまたは電話で相談することが可能です。
直接面談を希望する場合は、無料相談フォームを利用するか、電話で予約を入れる必要があります。
NPO法人よつばでは、各分野の専門カウンセラーが相談に応じます。相談者一人に対して、一人または複数のカウンセラーが対応します。また、自分がDV被害者であることに気づかない場合や、自分がDV被害者であるかどうか確信が持てない場合でも相談できます。
DV被害を専門家に相談するべき理由
DV被害についての相談は、決して恥ずかしいことではありません。
むしろ自分だけで解決しようとすると、精神的、身体的なダメージが増大する可能性があります。
DV被害に対して専門家に相談するべき理由は以下の通りです。
- 自分では気が付きにくいDV被害を客観的に判断してくれる
- DVに対する具体的な対処方法がわかる
- DVで離婚したい場合は今後の動き方も教えてくれる
DVは、相手を身体的、精神的に追い詰める行為です。もし自分がDVの被害者かもしれないと感じたら、すぐに専門家に相談するようにしましょう。
自分では気が付きにくいDV被害を客観的に判断してくれる
DV被害は、自己認識が難しい問題です。その理由は、加害者が暴力を段階的にエスカレートさせることで、被害者が暴力を「通常の行為」と誤解することがあるからです。
さらに、日常的にDVを経験すると、適切な判断力が失われる可能性もあります。
「これは自分のためを思っての行動なのでは」「これくらいはみんな我慢している」と思っている場合でも、まず相談してみてはいかがでしょうか。
専門家への相談は、自身がDV被害者であるかどうかを客観的に知る機会となります。
カウンセリングを通じて、DVの兆候を特定し、被害者が自分自身の状況を理解する手助けをしてくれるのです。
DVに対する具体的な対処方法がわかる
DV被害を受けている場合、その状況から抜け出し、再び被害に遭わない生活を送るための方法を検討しなければなりません。そのためには、DV被害への具体的な対策を理解することが重要で、専門家の支援が不可欠です。
専門家は、適切なサポートサービスの紹介、法的手段の適用方法、一時的な保護施設(シェルター)への案内などを行ってくれます。このように、専門家へ相談することで、自身の安全を確保するための具体的な対処方法がわかります。
DVで離婚したい場合は今後の動き方も教えてくれる
DV被害から脱出し、離婚を検討している場合、専門家は今後の動きについてもアドバイスしてくれます。
相手がDV加害者であっても、離婚が必ずしも可能とは限りません。
交渉や調停による離婚では、相手の合意を得る必要があったり、離婚するためにはDV被害を受けたことを証明する証拠が必要となったりするからです。ちなみに裁判の場合は、一方が離婚を拒否していても、裁判所が離婚成立の判決を下せば、離婚が成立します。
離婚の手続きには協議、調停、裁判の順番があるため、例えば裁判を行うためには調停を経なければなりません。また、それぞれの段階で資料や話す内容についての準備が必要です。
さらに、離婚の合意が得られた場合は、離婚の条件について詳細に話し合い、決定することになります。離婚の条件とは、たとえば子供の親権問題や財産分与、慰謝料などです。
専門家は、こうした離婚に向けての法的な手続きや、生活の再建に向けたキャリアカウンセリング、心理的ケアについてもサポートしてくれます。
DVの相談をする上で気をつけるべきこと
DV被害を受けている場合、専門家への相談は非常に重要です。しかし、相談を行う際には以下の3つの注意点を頭に入れておくことが必要です。
- 加害者にバレない時間に相談する
- DVにより怪我をしたら写真や診断書をバレない場所に残しておく
- DV相談の履歴はバックアップを取った上でスマホ等の端末自体からは消しておく
DV被害から適切に逃れ、自身の安全を確保するためにも、これらのポイントをしっかりと理解しましょう。
加害者にバレない時間に相談する
DVについて相談する際は、その事実が加害者に知られないようにすることが重要です。
加害者が相談の事実を知ると、その行動はエスカレートし、さらに深刻な暴力行為を引き起こす可能性があります。
そのためDVについて相談する際は、加害者に知られない時間帯を選んで相談しましょう。たとえば、加害者が仕事や趣味で外出している時間、あるいは深夜や早朝など、加害者が睡眠中の時間帯がよいでしょう。
DVにより怪我をしたら写真や診断書をバレない場所に残しておく
DVを警察に報告する、またはDVを理由に離婚や慰謝料を求める際には、「証拠」が必要です。
DVによる怪我の写真や診断書は、法的手続きにおいて重要な証拠資料となります。
そのため、これらの証拠は、加害者に見つからない安全な場所に保管することが大切です。
DV相談の履歴はバックアップを取った上でスマホ等の端末自体からは消しておく
DVについて相談する際は、その履歴をバックアップした上で、スマートフォンなどのデバイスから削除することが大切です。これは、DV加害者が被害者の通話履歴やメール履歴を監視・管理する可能性があるためです。先述のとおり、加害者に相談を知られると、行動がエスカレートし、さらなる暴力を引き起こす可能性があります。
ただし、相談の履歴は、DV被害の証拠として重要な役割を果たします。そのため、削除する前に必ずバックアップを取ることを忘れないようにしましょう。
また、インターネットでDVやDVの相談窓口について調べた際も、ブラウザの検索履歴を消去することが重要です。これらの対策をしておくことで、DV加害者に相談した事実を知られずに、安全に相談を進められます。
「DV」にあたる行為とは?
配偶者から受けた行為が、本当にDVなのかどうか判断に迷っている方も多いでしょう。そこで、ここからはどのような行為がDVに該当するのかを具体的に解説します。具体的には、以下のような行為はDVにあたります。
- 身体的暴力|殴る、蹴るなど
- 精神的暴力|暴言を吐く、物を壊すなど
- 性的暴力|性行為を強いる、中絶を強要するなど
- 経済的暴力|十分な生活費を渡さないなど
- 社会的暴力|外出させない、携帯を細かくチェックするなど
- 子どもを巻き込む暴力|子供に暴力を見せる、子供を取り上げるなど
上記のように暴力とは、殴るや蹴るなどの身体的な行為だけでなく、怒鳴るなどの心理的な攻撃や、生活費を与えない、働くことを制限するなどの経済的な圧迫も含まれます。また、相手が嫌がっているにも関わらず性的な行為を強要することも、性的な暴力として認識されます。
DVとは何か、どこからがDVと判断されるのかを理解することは、自分自身の状況を客観的に見つめ直せます。1つずつ詳しくみていきましょう。
身体的暴力|殴る、蹴るなど
DVにあたる行為の1つに、殴る、蹴る、首を絞める、包丁を突き付ける、物を投げつける といった身体的な暴力があります。
これらの行為は身体に危害を及ぼすものであり、刑法第204条の傷害や第208条の暴行に該当する違法行為です。配偶者間で行われても処罰の対象となります。
身体的な暴力を受けると、被害者は身体的な痛みだけでなく、心理的なトラウマも受けます。
たとえば、暴力を受けた際の恐怖感が消えず、情緒不安定になることや、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症するなど、心の健康に深刻な影響を及ぼすことがあります。
このような行為は、一度でも許されるべきではありません。
また、直接刃物で傷を負わせるわけではなくても、刃物を振り回すなどの行為は、DVにあたります。直接的な傷害がなくても、命を危険にさらす行為として、相手に大きな恐怖を与える行為だからです。これらの行為は身体的な危害だけでなく、恐怖感や不安感など、精神的なダメージも引き起こします。被害者の心に深い傷を残し、その影響は長期にわたって続くこともあります。
精神的暴力|暴言を吐く、物を壊すなど
暴言を吐く、物を壊すなどの行為は、DVの中の精神的暴力にあたります。ほかにも、「何でも従え」と言ったり、何を言っても無視したりすることも精神的暴力に該当します。また、大声で怒鳴る行為もDVに該当します。これらは物理的な暴力(例えば、殴る、蹴るなど)以外の方法で、言葉や態度によって被害者に攻撃を加える行為です。
これらの行為は、パートナーに対して圧力をかけ、恐怖を感じさせます。こういった行為により被害者は深い精神的なストレスを感じ、自尊心が低下する可能性があります。
性的暴力|性行為を強いる、中絶を強要するなど
パートナーに無理やり性行為を強いるのもDVにあたります。これは、パートナーに対する支配欲や所有欲からくるものです。
相手が頼んでいるのに避妊に協力しないこと、望まないにも関わらずポルノビデオやポルノ雑誌を見せつけること、子供ができないことを一方的に避難すること、中絶を強要することなども、性的暴力の範疇に含まれます。
これらの行為は、相手の意志を無視し、精神的な苦痛を与えるものであり、決して許されるべきではありません。性的DVの被害は他人に相談しにくく、またDV被害に遭っているものと気が付きにくい場合もあります。
経済的暴力|十分な生活費を渡さないなど
経済的暴力とは、配偶者やパートナーなどから金銭的な自由を奪う行為を指します。
具体的な行為としては、生活費を渡さない、外で働くことを妨害する、家計を厳しく管理するなどがあります。
生活費や小遣いを渡さない行為は、パートナーに対する経済的な支配を行うものです。被害者は生活資金を得られず、経済的な困難に直面します。
このような行為は、被害者の経済的な自由や選択肢を制限し、依存状態を作り出す可能性があります。
しかし、夫婦間には「扶養義務」が存在するため、生活費を提供しないことは「扶養義務」に違反する行為となります。
社会的暴力|外出させない、携帯を細かくチェックするなど
社会的暴力とは、パートナーの社会的な行動を制限する行為です。
具体的には、自由に外出させない、交友関係を監視・制限する、電話やメールを細かくチェックするなどがあります。
これらは配偶者を社会的に孤立させ、自分以外の人との交流を絶つことで、配偶者を支配しようとする行為です。社会的暴力は、配偶者の自由を奪い、精神的な苦痛を与える可能性があります。
子どもを巻き込む暴力|子供に暴力を見せる、子供を取り上げるなど
子供に暴力を見せる、子供を取り上げるという子供を巻き込む暴力行為はDVにあたり、子供に対する深刻な影響を及ぼします。
子供が直接暴力を受けていなくても、夫婦間の暴言や暴力を目の当たりにすることで、子供は心に大きなダメージを受けます。これは「面前DV」とも呼ばれ、子供への心理的虐待にあたります。
また、加害者が「子どもを被害者から引き離す」と脅す行為は、子供を失う恐怖を被害者に与え、加害者に対する抵抗を難しくさせます。
これらの行為は、DV被害者に苦痛を与えるだけでなく、子供の成長にとって大切な安全・安心を根底から壊し、子供の心や身体に様々な影響を与えるとされています。
また、子供を巻き込む暴力の影響は長期間残るといわれており、人間関係がうまく築けないなど「次世代への暴力連鎖」も懸念されます。
DV被害を相談するタイミング
DV被害に直面している、またはその可能性について疑問を抱えている方々は、相談すべきタイミングについて迷うことがあるでしょう。ここでは、DV被害を相談する適切なタイミングについて解説します。DV被害を相談するべきタイミングは、以下の通りです。
- 配偶者が暴力と謝罪を繰り返す
- 夫または妻を「怖い」と感じるようになったとき
- 夫・妻から暴力を受けても「自分が悪い」と感じる
- 夫・妻が子供に暴力をふるったとき
これらの状況は、DV被害が深刻化している可能性があります。一つひとつの状況を詳しくみていきましょう。
配偶者が暴力と謝罪を繰り返す
DVの被害者が相談するタイミングの1つは、配偶者が暴力と謝罪を繰り返すときです。暴力と謝罪を繰り返すのはDVのサイクルの一部であり、暴力行為後の謝罪は、被害者を混乱させ、問題が解決したように錯覚させます。しかし、反省は一時的なものであり、暴力は再び繰り返されます。
このサイクルが繰り返されることで、暴力の発生頻度が増し、その程度も悪化すると言われています。
このような状況に直面した場合、被害者は自分自身の安全を確保し、適切な支援を求めることが重要です。
夫または妻を「怖い」と感じるようになったとき
夫または妻を「怖い」と感じるようになったときもDVの相談をするタイミングの1つです。パートナーに対する恐怖が生じ、自身の安全を脅かされていると感じた時点で、DVの兆候である可能性があります。
このような感情は無視せず、適切な支援を求めることが必要です。自分自身の感情を大切にしましょう。
夫・妻から暴力を受けても「自分が悪い」と感じる
DVの被害者が相談するタイミングの1つは、夫または妻から暴力を受けても「自分が悪い」と感じる場合です。加害者は上記のように、暴力の原因が被害者にあると思わせてきます。
被害者は、自己責任を感じ、自分自身を責める傾向にありますが、DVは絶対に被害者の責任ではありません。
相談しないままでいると、暴力は次第にエスカレートしていくこともあります。
「自分が悪いのかも」と感じ始めたときもすぐに相談するようにしましょう。
夫・妻が子供に暴力をふるったとき
配偶者が子供に対して暴力をふるった場合、それはDV被害の相談を真剣に考えるべき警告信号です。
このような行動は、家庭内で児童虐待が発生していることを示しており、子供の身体的な安全はもちろん、心理的な健康と発達にも深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。
子供たちは自分を守ることが難しく、保護者として適切な支援を求める責任があります。
また、家庭内で暴力が発生し、子供がそれを目撃する場合、たとえ子供が直接的な暴力の対象ではなくても、その経験は心理的なトラウマを引き起こす可能性があり、その影響も決して軽視できません。
まとめ
本記事では、DVに関する無料相談ができる窓口や、DVの相談を行う際の注意点、DVとみなされる行為の具体例、DVを相談する適切なタイミングについてわかりやすく解説しました。
DVかもしれないと感じたら、早めに専門家に相談しましょう。
DVを相談する上で気をつけなければならないことは以下の3つです。
- 加害者にバレない時間に相談する
- DVにより怪我をしたら写真や診断書をバレない場所に残しておく
- DV相談の履歴はバックアップを取った上でスマホ等の端末自体からは消しておく
家庭内でDVを受けているとき、誰にも相談できずに我慢してしまう人は少なくありません。
しかし、DVは深刻な問題であり、個人だけで解決するのは非常に困難です。
1人で悩むことなく、専門家から適切な支援を受けることをおすすめします。
無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに弁護士にご相談を
- 北海道・東北
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- 関東
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- 東海
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- 関西
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- 北陸・甲信越
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- 中国・四国
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- 九州・沖縄
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