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離婚した方がいい夫婦の特徴は?離婚するべきかどうかのチェックポイント

離婚した方がいい夫婦 特徴

「離婚した方がいい夫婦にはどんな特徴があるの?」「離婚したほうがよいか迷ったらどうすればいいの?」

夫婦関係が冷めきっており修復も困難になってくると、離婚した方がよいのか迷う人もいるでしょう。

令和4年度司法統計「婚姻関係事件の申立ての動機別・申立人別」のデータによると、離婚理由として男女ともに「性格が合わない」や「精神的に虐待する」が多くあげられています

このような理由に当てはまる夫婦は、離婚した方がよいといえるでしょう。

しかし、お互いに思う気持ちが残っているケースや金銭面での不安を払拭できないケースなどは離婚に慎重になるべきです。

離婚するかどうか迷っている人は、信頼できる第三者に相談したり別居したりするのも1つの選択肢です。

本記事では、データから見た離婚した方がいい夫婦の特徴や、離婚すべきかどうかのチェックポイントを紹介します。

離婚に慎重になったほうがよいケースや、悩んだときの対処法もまとめました。

離婚した方がいいのか迷っている人は、参考にしてください。

データで見る離婚した方がいい(離婚しやすい)夫婦の特徴

夫婦間において離婚する原因はさまざまです。

令和4年度司法統計「婚姻関係事件の申立ての動機別・申立人別」のデータは以下のとおりです。

夫婦間の離婚する原因
順位
1位 性格が合わない 性格が合わない
2位 精神的に虐待する 生活費を渡さない
3位 家族親族と折り合いが悪い 精神的に虐待する
4位 異性関係 暴力を振るう
5位 浪費する 異性関係
6位 性的不調和 浪費する
7位 暴力を振るう 性的不調和
8位 同居に応じない 家庭を捨てて省みない
9位 生活費を渡さない 酒を飲み過ぎる
10位 家庭を捨てて省みない 家族親族と折り合いが悪い

参照:令和4年度 第19表婚姻関係事件数―申立ての動機別・申立人別|司法統計(その他・不詳除く)

この統計は、離婚を申立てた理由を3つまであげる方法で調査をしています。

最も多い離婚原因は、男女ともに「性格が合わない」です

ただし、世間体が気になる人や、特段の理由がない人が「性格の不一致」にしている場合も多くあります

そのため「性格の不一致」のみを理由に離婚しているケースは見た目の数字よりも少ない可能性が高いでしょう。

ここでは、離婚を申立てた理由をもとに、離婚した方がいい夫婦の特徴を紹介します。

性格が合わない

1つ目の特徴は、性格が合わないことです。

性格の不一致は、男女とも離婚調停申立て理由の中で最も多く、男性は6割、女性は4割を占めています。

参照:令和4年度 第19表婚姻関係事件数―申立ての動機別・申立人別|司法統計

付き合っていたころは、一緒にいても落ち着くし気も合うと、相手の性格に魅力を感じ結婚する人も多いでしょう。

しかし、実際に結婚して生活を始めると、今まで気付かなかった価値観や金銭感覚のずれが見えてくることも多いです。

一緒に暮らしていくうちに遠慮がなくなり、本来の性格で接してくるため、態度が豹変したと感じる場合もあります。

価値観や金銭感覚などが合わない場合、一緒に生活しているとストレスがたまってしまいます。

お互いに歩み寄れない場合は離婚を視野に入れた方がよいでしょう。

一方で、お互いに愛情はなくなっていても離婚せず、表面上は仲の良い「仮面夫婦」を演じるという選択肢もあります

ただし、仮面夫婦を続けることすら苦痛に感じる場合は、離婚を考えた方がよいでしょう。

配偶者が浮気や不倫をしている

2つ目の特徴は、配偶者が浮気や不倫をしていることです。

異性関係に関しても男女ともに多い離婚調停申立て理由で、男性の4位、女性の5位にランクインしています。

参照:令和4年度 第19表婚姻関係事件数―申立ての動機別・申立人別|司法統計

不貞行為はパートナーの裏切り行為であり、浮気や不倫をされた側は相手を信頼できなくなってしまいます。

浮気や不倫相手に慰謝料請求をし、責任を追及したうえで修復を試みる夫婦も存在しますが、信頼関係は一度崩れたら再構築が困難です。

子どもやお金のためと割り切って生活を続けられるのであれば問題ありませんが、相手を信頼できない人や、配偶者の不貞行為が耐えられず心がつらい人は、早めに離婚した方がよいでしょう。

物理的・精神的な暴力を行っている

3つ目の特徴は、物理的・精神的な暴力を行っていることです。

ドメスティック・バイオレンス(DV)やモラルハラスメント(モラハラ)が原因で離婚する人は男女ともに多い傾向があります。

DVとは配偶者や事実婚のパートナー、親子間など親密な関係にある人やあった人から振るわれる暴力のことです

殴る・蹴るなどの身体的暴力だけではなく、見下した発言をするといった精神的暴力や性行為を強要したり避妊しなかったりなどの性的暴力も含まれます。

また、生活費を渡さない・自分勝手に借金するなどの経済的暴力や、友人関係を制限する・外出を禁止するなどの社会的暴力もあります。

この中でも精神的暴力はモラハラとよばれ、相手の人格否定や長時間の無視などが該当します

結婚後や子どもが生まれた後から徐々にDVが悪化していくケースが多いです。

DVやモラハラを我慢しながら結婚生活を続けていると、自尊心や自信を失って心身に大きな傷を負い、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になってしまう場合もあります

また身体的暴力を受けている場合は命に関わることもあります。

警察署や女性相談支援センターなどに避難し、身の安全を確保したうえで、できるだけ早く離婚した方がよいでしょう。

なおDVが自分のみでなく、子どもに及んでいる場合も、早急に相手から離れた方がよいといえます。

子どもに対するしつけや教育から過剰な暴力にエスカレートしてしまい、子どもの命が奪われる可能性もあるからです。

配偶者が浪費する・生活費を渡さない

4つ目の特徴は、配偶者が浪費したり生活費を渡さなかったりすることです。

夫婦にはお互いに協力し助けあう義務がある(民法752条)と法律で定められています。

一方的な浪費や生活費を渡さない行為は、民法752条に違反する行為です。

住宅ローンや自動車ローンなど家庭に必要な借金をしたり、小遣いの範囲内でギャンブルを楽しんだりする分には問題ありません。

しかしギャンブルのために借金をしたり、生活費を使い込んで浪費を続けたりする人と暮らしていくのは困難です。

身勝手な浪費や借金、パートナーに理由もなくお金を渡さない行動は、経済的DVと呼ばれ家族の生活に多大な影響をあたえます

自分と子どもが生活できなくなる前に、離婚を考えましょう。

性的不調和(セックスレス)の状態が続いている

5つ目の特徴は、性的不調和(セックスレス)の状態が続いていることです。

セックスレスは離婚を考えるきっかけとなりやすい状態の1つです。

とくに理由もなく性交渉を拒否される状態が続くと、相手は不満を持ってしまいます。

短期間な場合や一時的なものであれば問題ありませんが、セックスレスが長期化すると夫婦関係が冷え込み、結婚生活の継続が難しくなります

セックスレスを解消するのは容易ではありません。

お互いにセックスレスを解消しようという気持ちがないのであれば、離婚を検討すべきでしょう。

ただし、配偶者が肉体的疲労や病気などが原因で性交渉を拒んでいるケースもあり得ます。

性交渉を拒否しているやむを得ない理由があるのか確認することも重要です。

またセックスレスだけでなく、パートナーと性的な好みが合わなかったり、性的嗜好を理解できなかったりする場合も離婚につながりやすいでしょう。

離婚するべきかどうかのチェックポイント

離婚するべきかどうかのチェックポイントは、以下のとおりです。

離婚するべきかどうかのチェックポイント
  • パートナーと話ができるか、DVを受けていないか
  • 相手と離婚したい気持ちは本物か
  • 離婚後の生活を維持できる資金を用意できるか
  • 離婚後の精神状態は大丈夫か
  • 子どもの心身は健康か

それぞれ解説します。

パートナーと話ができるか、DVを受けていないか

1つ目のチェックポイントは、パートナーと話ができるか、DVを受けていないかです。

話しかけても無視されたり、暴力を振るってきたりするほどの状態であれば、離婚も視野に入れましょう

とくに身体的暴力を受けた場合は、命に関わることもあるため、配偶者暴力相談支援センターや警察に相談してください。

また、人格を否定されたり暴言をはかれたりといった精神的暴力を受けていると、判断能力が鈍る場合があります。

「全部自分が悪いんだ」と思い込み、精神的暴力の被害にあっていることに、気がつかない可能性もあるのです。

嫌悪感を抱く発言が原因で心が傷つくようであれば、親や友人など身近な人に相談して客観的な意見を聞いてみてください。

常に対等に意見し合える関係を築けないようであれば一緒にいても苦しい状態が続きます

自分を守るためにも、DVをする配偶者とは早急に離婚した方がよいでしょう。

相手と離婚したい気持ちは本物か

2つ目のチェックポイントは、相手と離婚したい気持ちが本物かどうかです。

離婚後に後悔しないためにも、パートナーに対して率直にどんな気持ちを抱えているのか考える必要があります。

相手に対してまだ少しでも愛情があるのか、完全に気持ちが離れていて一緒に生活するのがつらいのかによって選択肢は変わってきます。

周りの反応や社会的な問題は抜きにして、自分が相手に好意を持てないのなら、離婚を考えるのもよいでしょう。

ただし、暴力を振るわれた直後や相手の浮気が発覚した直後などは、感情的になっていて冷静な判断ができなくなっている場合も多いです。

そのようなときは、いったん実家に帰るなどして、心が落ち着くのを待ちましょう。

感情的にならず、冷静に状況を判断して、2人にとってよりよい選択をすることが大切です。

離婚後の生活を維持できる資金を用意できるか

3つ目のチェックポイントは、離婚後の生活を維持できる資金を用意できるかです。

金銭面は離婚を考えるうえで非常に大きな問題のため、無視できません。

離婚後にお金で後悔しないためにも、次のことを整理しておきましょう。

  • 現在、生活費を稼げる仕事に就いている
  • 今は無職だが、離婚後の就職先は決定している
  • 今は無職だが、当座の生活費をまかなえる預金と資産がある
  • 離婚時の財産分与や慰謝料が期待できる
  • 離婚後も夫から定期的な支援を受けられる保証がある
  • 離婚後に住む場所がある
  • 離婚後に頼れる人がいる

総務省統計局の調査によると、母子世帯の1ヵ月平均消費支出は191,309円です

参照:母子世帯の家計|総務省統計局

子どもの人数や実家に頼れるかなど状況によって生活費も異なりますが、最低でもこちらの金額を目安にするとよいでしょう。

はじめから養育費や慰謝料が貰えるものだと思っていると、養育費が滞ったり慰謝料が貰えなかったりしたときに生活ができなくなってしまいます

相手次第で変わるものはあてにせず、自分の収入を基準に経済面について検討するとよいでしょう。

また子どもがいる場合は、児童手当や児童扶養手当など、国や自治体の公的支援が受けられる可能性があります

就業支援制度や経済的支援制度など、さまざまな支援があるため、利用できるものがないか事前に調べておくとよいでしょう。

なお、離婚すると今まで居住していた自宅を出ていかなければならないことも考えられます。

賃貸住宅を契約できるか、実家に戻れるかなどを確認し、離婚後も不安なく生活できるよう準備しておくことが大切です。

離婚後の精神状態は大丈夫か

4つ目のチェックポイントは、離婚後の精神状態は大丈夫かです。

生活環境の変化や経済的な不安、寂しさや孤独感から、離婚後に精神的ストレスを抱える場合があります。

離婚後に後悔しないためには、離婚しても1人で心身ともに健康でやっていけるか考えることが重要です。

離婚前には次を参考にして、自分の心身の状態が離婚に耐えられるか確認してみましょう。

  • 心身の健康に自信がある
  • 離婚後1人になっても精神的に耐えられる自信がある
  • 離婚を隠さず、周りからの誹謗中傷にもめげない覚悟がある
  • 離婚後も子どもと良好な関係を続ける自信がある

現実逃避の手段として離婚をすると、周囲に迷惑をかけたり罪悪感や後悔の気持ちがあったりしてメンタルにダメージを受ける場合があります。

離婚後、心身の健康を保つには、自分の気持ちを決めて離婚に納得することが大切です。

ただし、配偶者の存在や言動が原因で心身に不調がでている場合、結婚生活を無理して続けていると心身が壊れてしまう危険性があります。

DVやモラハラなどにより常に配偶者におびえていたり、人格を否定されるような発言がストレスになっていたりする場合は、離婚を検討するのもよいでしょう。

とくに身体的DVがひどい場合は、一旦避難したうえで、できるだけ早く離婚を前提にした別居を検討する必要があります。

なお近年は夫婦のうち3組に1組が離婚していると言われており、離婚自体は珍しいものではありません。

しかし、不貞行為やモラハラ、借金などが原因で離婚したのではないかと勘ぐられることも多く、周囲から心無い発言をされることもあります。

周囲からの目が気になり精神的に不安定になるケースもあるため、できるだけリアルに考えておくことが大切です。

子どもの心身は健康か

5つ目のチェックポイントは、子どもの心身は健康かどうかです。

子どもに影響を及ぼす状態であれば、離婚を検討すべきです。

子どものためを思って離婚をためらってしまう人もいると思いますが、子どもに悪影響が及ぶなら無理して結婚生活を続ける必要はありません。

配偶者から子どもが身体的暴力を受けている場合、子どもの命に関わります

直接的な暴力はなくても人格否定をされたり罵倒されたりすると、子どもの心は傷ついてしまいます。

友人とのトラブルや不登校といった形でストレスが噴出する場合もあり、家庭環境の悪さは子どもにとってマイナスにしかなりません。

人格を否定され続けた子どもは、大人になってからも自己肯定感が低かったり、依存症や人格障害などの精神的な影響が出てきたりするケースもあります

子どもの命や心を守れるのは親だけです。

なるべく早く配偶者から離れて安全なところに避難しましょう。

頼れる人がいない場合は、配偶者暴力相談支援センターや女性相談支援センターなど公的支援窓口に相談してみてください。

また、子ども自身がなにもされていなくても、自分が配偶者からDVを受けているようなことがあれば見せないようにすることが大切です。

子どもの前での夫婦喧嘩が日常的だったり、子どもへ八つ当たりのように当たり散らしたりしているような場合は、離婚を検討した方がよいでしょう。

離婚に慎重になるべきケース

離婚は人生を左右する決断のため、慎重に考えたいと思う人もいるでしょう。

離婚したいと思っていても、次の項目に該当する人は離婚に慎重になるべきです。

離婚に慎重になるべきケース
  • お互いを思う気持ちがまだ残っているケース
  • 自分にも責任があるケース
  • 金銭面での不安を払拭出来ないケース
  • 子どもが育つ環境をしっかりと用意できないケース

それぞれ解説します。

お互いを思う気持ちがまだ残っているケース

1つ目は、お互いを思う気持ちがまだ残っているケースです。

配偶者にまだ愛情が残っている場合や、お互いに尊重する意思がある場合は、離婚に慎重になった方がよいでしょう。

たとえば浮気や不倫、セックスレスなどのトラブルはあるものの、お互いに別れたくないと感じるのもよくあるケースです。

愛情が残っているのに離婚してしまうと、後悔の念が残り続けます

夫婦間で話し合う機会を持ち、コミュニケーションをとって気持ちを伝えあってみましょう。

お互いの考え方や気持ちを理解できれば、離婚せずにすむ可能性もあります。

ただし、離婚すると相手が孤独になってかわいそうという気持ちは愛情ではなく同情です。

愛情と同情は別物として考えるとよいでしょう。

自分にも責任があるケース

2つ目は、自分にも責任があるケースです。

離婚を検討している現状に対して、自分にも責任があると考えられるのであれば、離婚は慎重に検討した方がよいでしょう。

たとえば配偶者の浮気が原因で離婚を検討する場合があるとします。

しかし浮気自体は不貞行為でも、自分が性交渉を拒否していたり夫婦間でのコミュニケーションが不足する状況を作っていたりすることも少なくありません。

問題を解決するためには、自分から行動してみることが大切です。

自分の態度や行動を改めることで話し合いの余地があるのなら、関係を修復できる可能性はあります

相手を理解するよう心がけるとストレスが減り、夫婦間の問題も生じなくなるでしょう。

ただし、自分にも責任があると考えすぎてしまうのはよくありません

モラハラやDVを受けてる人は「自分が至らないから悪いんだ」と自分に責任があるように考える人が多く、傷が深くなってしまう場合もあるためです。

自分に対してどれだけの負担がかかっているのか考え、専門家に相談してみるのもよいでしょう、

金銭面での不安を払拭できないケース

3つ目は、金銭面での不安を払拭できないケースです。

離婚を検討するにあたって金銭的なマイナスが大きいと感じるようなら、慎重に検討すべきでしょう。

離婚当初は別れてよかったと思うかもしれませんが、冷静になってくると、経済的な問題に不安や不満を持つ人も多いです。

自分の収入のみで生活できるだけの稼ぎや貯蓄があるのなら問題ありません。

しかし、資力がないまま離婚して「離婚しなければよかった」と後悔する人がいるのも事実です。

とくに専業主婦(主夫)だった場合は、仕事を見つけようと思ってもブランクがあり採用されにくいこともあります。

そのため、離婚前から就職先を見つけたり貯金をしておいたりしておくとよいでしょう。

なお離婚後は、以下の表にある費目を受け取れます。

離婚後にもらえる金員
離婚時にもらえる金員 概要
財産分与 結婚時に夫婦で協力して貯めた財産を均等に分配すること
慰謝料 配偶者の不法行為によって精神的苦痛を生じた場合に受け取れる賠償金
養育費 子どもの監護や養育に必要な費用
年金分割 婚姻中に支払った厚生・共済年金を当事者間で分配する制度

ただし、親権があれば養育費の支払いを受けられる権利がありますが、養育費を支払ってくれなかったり支払いが滞ってしまったりする場合もあります

夫婦の共有財産がほとんどなかったり、貯蓄があっても債務が超過したりしている場合は、財産分与はほとんどもらえないことも多いです。

なお、年金分割は離婚時に受け取れるものではありませんが、将来必要なものになるため、忘れずに手続きしておきましょう。

離婚を考えるにあたって金銭面は決して無視できない問題です。

金銭的なデメリットがどれくらいあるのか検討し、離婚しても自分の収入で生活できる経済的な基盤を作っておくことが大切です。

子どもが育つ環境をしっかりと用意できないケース

4つ目は、子どもが育つ環境をしっかりと用意できないケースです。

子どもがいるのであれば、離婚にあたっても子どもを中心に考えてあげるべきです。

両親の離婚によって、子どもは父親や母親と暮らせなくなってしまうため、悲しみや寂しさを感じる危険性があります

引っ越しや転校をしなければいけなくなったり名字が変わったりなど、子どもの環境にもさまざまな変化が起こります。

そのため、子どもの心身に影響をあたえる可能性もあるでしょう。

経済的に余裕がなくなってしまい、子どもに習い事を我慢させたり、大学進学ができなかったりなど進学に影響が出てくることも考えられます。

また、子どもによっては、親の離婚を受け入れられないケースもあります。

経済的不安や環境の変化、子どもに寂しい思いをさせることなどが問題になるなら離婚は慎重に検討した方がよいでしょう。

ただし、家庭環境が悪いと子どもに悪影響がでる場合もあります。

状況を冷静に判断して子どもや自分にとって最善の方法を探ることが大切です。

離婚すべきか悩んだときの対処法

離婚すべきか悩んだときの対処法は、以下のとおりです。

離婚すべきか悩んだ時の対処法
  • 離婚したい理由が何か明確にする
  • 別居をしてみる
  • 離婚に向けた準備をする
  • 信頼できる第三者に相談する
  • 弁護士に相談する

それぞれ解説します。

離婚したい理由が何か明確にする

1つ目の対処法は、離婚したい理由が何か明確にすることです。

離婚したい理由が何なのかを書き出して整理すると、理由がはっきりする可能性があります。

理由がはっきりすれば、離婚以外の選択肢が見つかる場合があるかもしれません。

カウンセリングを受けてみたり、夫婦間で話し合ったりすることもできるでしょう。

なお、離婚したい理由を書き出して整理しておくと、話し合いにおいても役立ちます

離婚したい理由を明確にしておけば、自分にとって最善の解決策を見出せる可能性も高くなります。

また離婚話がこじれて裁判に進んだ場合を想定し、自分の思っている離婚理由が法定離婚事由(法的に認められる離婚事由)に当てはまるかチェックしておきましょう。

裁判では法定離婚事由がないと離婚が認められません。

法定離婚事由とは、民法第770条で定められている、裁判で離婚する際に必要となる離婚理由です。

離婚が認められるかにも関わってくるので、離婚したい理由は整理しておきましょう。

別居をしてみる

2つ目の対処法は、別居をしてみることです。

別居には次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット ・離婚後の生活をイメージできる
・同居によるストレスを軽減できる
・配偶者に離婚の意思を示せる
・自分がどうしたいのか冷静に判断する時間ができる
・子どもに夫婦喧嘩を見せなくてよい
・長期別居した場合、離婚が認められやすくなる
デメリット ・夫婦関係がさらに悪化し、やり直すことが難しくなる
・余分な生活費がかかる
・子どもが不安や寂しさを感じてしまう
・世間体が気になる
・証拠収集や財産調査が難しくなる
・婚姻費用の支払いが生じる
・引越しなどの手間がかかる

別居にはメリットとデメリットがありますが、一時的にでも距離をとるとお互いが冷静になり、話し合いがスムーズに進む場合もあります。

仮に離婚することになった場合でも、別居をしていれば離婚に向けた準備もスムーズに進められるでしょう。

別居すると離婚後の生活のイメージが持て、離婚するかしないか判断するきっかけになる可能性もあります。

また、3〜5年の長期間の別居をした場合、法律上離婚が認められやすくなります

結婚期間が短ければ、もっと短期間の別居でも離婚が認められるかもしれません。

なお別居した際、収入の多い配偶者は少ない配偶者に生活費(婚姻費用)を渡す必要があります。

配偶者が離婚を拒否していても、婚姻費用の負担が大きく「こんなに婚姻費用を支払うくらいなら、早く離婚したい」と思ってくれる可能性もあるでしょう。

ただし、理由もなく突然別居してしまう行為は、民法752条の夫婦の同居義務違反に牴触する場合があります

民法752条に牴触すると有責配偶者になってしまい、離婚が認められない可能性もあるため注意しましょう。

離婚に向けた準備をする

3つ目の対処法は、離婚に向けた準備をすることです。

離婚後の生活に不安があるようなら、離婚後の準備を進めることも重要です。

仕事を探したり住む場所を探したりして不安がなくなれば、本当に離婚したいのかどうか考えがまとまりやすくなります。

専業主婦(主夫)の場合は就活をしたり、引っ越し費用など離婚後の生活費を貯蓄したりしておくとよいでしょう。

子どもがいる場合は、自治体による公的支援制度が利用できます。

母子家庭だけでなく、父子家庭が受けられる自治体の手当もあるため、確認しておきましょう。

ひとり親世帯が受けられる公的支援は、以下のとおりです。

公的支援 概要
児童手当 中学校を卒業するまでの児童を養育している家庭が一律で受け取れる手当
児童扶養手当 離婚や死別でひとり親になった家庭に対して地方自治体が手当を支給される制度
医療費助成制度 ひとり親家庭の保護者や子どもが病院で治療を受けた場合、自治体が自己負担分を代わりに払ってくれる制度
こども医療費助成制度 ひとり親家庭の子どもが病院で治療を受けた場合、自治体が自己負担分を代わりに払ってくれる制度
住宅手当 家賃補助をしてくれる制度
特別児童扶養手当 20歳未満で精神又は身体に障害がある子どもを家庭で監護、養育している世帯に支給される手当
障害児福祉手当 精神または身体に重度の障害があるため、日常生活において常時の介護が必要な状態にある在宅の20歳未満の子どもに支給される手当
生活保護 世帯の収入のみでは国が定める保護基準(最低生活費)に満たない場合に受けられる制度
児童育成手当 児童の心身の健やかな成長に寄与することを目的に支給される手当
遺族年金 亡くなった被保険者の遺族に支給される年金
寡婦・寡夫控除 配偶者と離婚または死別した夫や妻が一定の要件に該当したときに受けられる所得控除
自立支援訓練給付金 シングルマザーやシングルファーザーが教育訓練の対象となる講座を修了した際に、かかった費用の60%(上限は20万円)を給付する制度
保育料負担軽減制度 保育料の一部を軽減する制度
交通費の割引制度 JRや私鉄、市営バスなどの通勤定期乗車券を3割引で購入できる制度
上下水道の減免制度 水道料の基本料金を免除してくれる制度
所得税・住民税の免除・減免制度 給与収入金額が年間204万円以下の場合、所得税と住民税を支払わなくてもよい制度

なお自治会独自の制度もあるため、制度の有無や詳細については、各自治体に確認してください。

離婚したい理由が、配偶者の不貞行為やDV、モラハラなどである場合は慰謝料を請求できる可能性があります。

離婚を認めさせるための証拠を集めれば、よりスムーズに離婚を進められるようになるでしょう。

「10月5日に妻と不倫相手が〇〇県の△△ホテルに宿泊をした」といったように、いつ何があったかを時系列でまとめておくことも大切です。

正当な離婚理由を証明するのに有効な証拠になるものは、以下のとおりです。

離婚原因 証拠の例
不貞行為 ・肉体関係があったと推測可能な内容のメールやLINE、通話記録など
・ホテルに出入りしている写真や動画
・配偶者や不貞相手が不貞行為を認めた録音
DV ・暴力を振るわれてケガをした際に病院でもらった診断書
・暴力を振るわれてできたあざや傷の写真
・警察や公的機関への相談の記録
・日記やメモなどDVを受けたときの記録
モラハラ ・モラハラが原因で発症した精神疾患に対する医師の診断書
・心療内科や精神科などへの通院歴
・モラハラを受けている場面の音声や動画
・相手の言動の具体的な記録
悪意の遺棄 ・生活費が振り込まれなくなったことが分かる通帳の入金記録
・相手が別のところに居住していることが分かる資料
セックスレス ・夫婦間の言い争いを録音したもの
・夫婦関係を書き留めた日記やメモ

証拠が集まっていると、配偶者は離婚もやむを得ないと調停や裁判まで持ち込まず、協議離婚もスムーズに進められる可能性があります

配偶者のDVや不倫などを理由に慰謝料を請求したいと考えている場合も、証拠があれば相手が言い逃れできなくなり、有利に進められるでしょう。

また離婚をする際は、次の条件を話し合い取り決めておきましょう。

取り決めておくべき条件 概要
財産分与 ・結婚生活のなかで夫婦が協力しながら築き上げた財産を、離婚時に公平に分配すること
・分配割合は1/2が原則
・夫婦それぞれが結婚前に貯めた財産や相続でもらった財産は対象外
年金分割 ・婚姻期間中に納めた厚生・共済年金を夫婦で分割する制度
・婚姻期間中に納めた年金を分割する
慰謝料 ・離婚時の精神的苦痛に対して支払われる賠償金
・50~300万円が多い
親権 ・未成年の子どもを成人まで育て上げるために親が負っている一切の権利や義務
・子どもに対する愛情や、子どもを育てるための経済力や監護能力、子どもの年齢・性別や本人の意思などによって決められる
養育費 ・子どもが経済的・社会的に自立するまでの養育に必要とする費用
・月々の支払金額や支払期間、支払方法を取り決めておく
面会交流 ・子どもを養育していない親と子どもが、定期的に会ったり、面会以外でやり取りをしたり、贈り物をしたりすること
・面会交流の可否・面会方法・頻度・面会する日時や場所などを取り決めておく

不利な条件で離婚することにならないよう、自分はどうしたいのか事前に決めておくことが大切です。

離婚条件を取り決めたら、必ず離婚協議書を作成しておきましょう

信頼できる第三者に相談する

4つ目の対処法は、信頼できる第三者に相談することです。

誰かに相談するだけでも、心が軽くなることはあります。

場合によってはアドバイスをもらったり、何らかの手助けを受けられたりする可能性もあります

離婚した方がよいか迷ったときは、次に相談してみるとよいでしょう。

相談するとよい人 メリット デメリット
親・兄弟姉妹・友人 ・お金をかけずに気軽に話を聞いてもらえる ・中立な意見や客観的なアドバイスがもらえない
・専門的な意見が聞けない
・内容によっては話しにくい
離婚カウンセラー ・状況に応じたアドバイスをしてもらえる
・精神的な面のサポートが受けられる
・法的なアドバイスはできない

夫婦間での解決が難しい場合は、1人で悩まず第三者に相談すると解決策が見つかる場合もあります

専門的なアドバイスがほしい場合は専門家への相談を検討するのもよいでしょう。

弁護士に相談する

5つ目の対処法は、弁護士に相談することです。

気持ちが離婚に大きく傾いているようであれば、弁護士に相談するのもよいでしょう。

とくに配偶者とコミュニケーションが取れない場合は、円滑に話を進めてストレスを回避するためにも、弁護士委任は重要です。

弁護士なら相談者の代わりに配偶者と話し合い、離婚条件を取り決めてもらえます

不貞行為やDV、結婚生活の維持への不協力があれば、状況に応じ慰謝料請求も対応可能です。

なるべく有利に離婚したいと思っている場合は、財産の調査方法や離婚協議の進め方などについて、法律に基づいたアドバイスをもらえます。

また各種手続きの方法や必要書類の作成など、離婚問題に関するさまざまなことを依頼することも可能です。

財産分与や慰謝料、養育費など金銭面でこじれそうな場合にも適切な金額を計算し、配偶者側と交渉できるため、適正な条件で離婚できる可能性が高まります。

裁判が必要な場合も対応を任せられるため、精神的・時間的な負担を減らし、安心して離婚を進められるでしょう。

まとめ

自分や子どもがDVやモラハラを受けている場合は、なるべく早く離婚すべきです。

とくに身体的暴力を受けている場合は、命に関わります。

警察署や女性相談支援センターなどに避難して身の安全を確保したうえで、できるだけ早く離婚した方がよいでしょう。

離婚すべきか悩んだときは、離婚したい理由が何なのかを書き出して整理すると、理由がはっきりする場合があります。

また別居してみると、お互いが冷静になり、話し合いがスムーズに進む場合もあるでしょう。

なお、離婚したい気持ちが固まったら、弁護士に相談するのがおすすめです。

なるべく有利に離婚したいと思っている場合は、財産の調査方法や離婚協議の進め方などについて、法律に基づいたアドバイスをもらえます

また各種手続きの方法や必要書類の作成など、離婚問題に関するさまざまなことを依頼することも可能なため、精神的・時間的負担も減らせるでしょう

離婚問題は1人で抱え込まず、弁護士に相談して解決を目指しましょう。