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性格の不一致で離婚する方法は?離婚の切り出し方や離婚時のお金について詳しく解説

性格の不一致 離婚
南陽輔 弁護士
監修者
南 陽輔
大阪市出身。大阪大学法学部、関西大学法科大学院卒業。2008年に弁護士登録(大阪弁護士会所属)。大阪市の法律事務所に勤務し、離婚問題や債務整理などの一般民事事件のほか、刑事事件など幅広い法律業務を担当。2021年に一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成の支援、起業時の法的なアドバイスなどの予防法務を中心に業務提供をしております。皆さんが利用しやすく、かつ自由で発展的なビジネスが可能となるサービスを提供いたします。

令和5年度の「司法統計」の「第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別」によると、「性格が合わない(性格の不一致)」という理由で婚姻事件について申し立てている夫婦が、56,844人中24,938人と多いようでした。2位は「精神的に虐待する」で14,133人、3位は「生活費を渡さない」で12,778人(うち女性12,040人)です。

本サイトが実施したアンケートでも、離婚したいと思ったきっかけとして「性格の不一致」を挙げているのが、男女とも1位になっています。

離婚したいと思ったきっかけ 男性 女性
1位 性格の不一致(112票) 性格の不一致(209票)
2位 精神的な暴力(42票) 精神的な暴力(190票)
3位 愛情の薄れ(83票) 家事・育児に対する姿勢(159票)
4位 不倫(43票) 愛情の薄れ(155票)
5位 性の問題(35票) 不倫(131票)

※ツナグ離婚弁護士調べ(離婚経験者、男性227人、女性508人、複数回答可)

このように、性格の不一致が原因での離婚を考える人は非常に多いと言えます。性格の不一致に該当する具体例は、主に次の通りです。

性格の不一致に該当するもの 概要
価値観の違い 人間関係、食事の好み、趣味、時間感覚、生活習慣の違い
金銭感覚の違い 貯蓄について、資産運用について、借金の有無、浪費癖、倹約家
子どもの教育方針 習い事、進路方針(公立・私立など)、教育への介入具合、高卒・大卒
宗教観 信仰の違い、宗教活動の頻度、宗教観の強要
キャリア観 家庭に入るか、仕事を続けるか、出世を望むか

では、実際に性格の不一致を理由として離婚できるのでしょうか。結論から言えば、「話し合いの段階」か「裁判の段階」かで、性格の不一致を理由とした離婚ができるかが変わります。

離婚協議や離婚調停などの「話し合い」のタイミングなら、双方の合意があれば特に離婚の理由は問われないため、性格の不一致を理由にした離婚が可能です。

一方で離婚裁判にまで発展していると、性格の不一致を主張するだけでは離婚は成立しません。性格の不一致が原因で、民法に定められた法定離婚事由に該当することを、法廷で証明する必要があります。

そのため、性格の不一致を理由に離婚をしたいなら、協議または調停のときに成立させるのがよいでしょう。

協議・調停・裁判のいずれの段階であっても、弁護士に依頼することで、こちらの希望通りの離婚ができる可能性が上がります。あわせて慰謝料や養育費、親権などの争いにも対応してくれるので、離婚後の生活についても含めた総合的な相談が可能です。

本記事では、性格の不一致による離婚ができるかどうかや、損害賠償・財産分与・養育費などの請求について、離婚を決断する前に確認すること、性格の不一致を理由に離婚するための流れなどを解説します。

夫婦の話し合い(協議・調停)で合意すれば「性格の不一致」だけでも離婚できる

協議離婚・調停離婚といった夫婦同士の話し合いの段階でなら、性格の不一致だけを理由とした離婚ができる可能性があります。

協議離婚とは、裁判所などでの手続きが発生しない、当事者同士や弁護士などの間で行う「離婚協議」にて離婚を成立させる方法です。日本では離婚した夫婦のうち、約9割が協議離婚にて離婚が成立しています。

次に調停離婚とは、家庭裁判所にて裁判官や調停委員などの第三者を介する「離婚調停」にて、離婚を成立させる方法です。

協議と調停の違い 離婚協議 離婚調停
裁判所での手続き 不要 必要
実施場所 場所の指定はなし 家庭裁判所
第三者の有無 当事者同士のみでも可能 裁判官や調停委員
法的効力 離婚協議書を作成して証明 裁判官が調停調書を作成して証明
離婚裁判への移行 原則として協議のみでは裁判への移行は不可 調停が不成立になれば裁判へ移行可能

協議の段階だと、裁判所を介さない個人的な話し合いというイメージです。

一方で調停は、裁判のように裁判所に申し立てる必要があります。調停と裁判の明確な違いは、「裁判官が離婚について判断するか否か」が挙げられます。

調停では調停委員が夫婦の間に入ってアドバイスや進行サポートなどを行うものの、メインは当事者同士の話し合いです。離婚をすべきか否かの判断を、調停中に裁判官や調停委員が下すことはありません。

極端に言えば「あなたのことが嫌いになった」という論点しかなくても、相手が納得すれば協議や調停でなら離婚できるのです。法的根拠やルールに縛られすぎず、柔軟な条件を設定できるのが協議・調停のメリットです。

協議・調停で離婚条件を自由に設定できる根拠は、民法における「契約自由の原則」が挙げられます。ただし違法な内容や公序良俗に反する離婚条件を結んだ場合は、法的効力が認められません。

もしも協議や調停でも解決せずに裁判まで進んでしまうと、性格の不一致という理由だけでは離婚は認められないでしょう。

裁判離婚を成立させるには、法廷で法定離婚事由や婚姻関係の破綻を立証しなければならないからです。

裁判では法定離婚事由や婚姻関係の破綻を証明する必要がある

離婚協議や離婚調停でも話し合いがまとまらず、引き続き離婚を求めるときは、裁判所にて「離婚裁判」の訴訟を起こします。

離婚裁判では主張や証拠を基に裁判官が判決を下すため、離婚できるか否かの結果が必ず出るメリットがあります。ただし離婚裁判は、原則として離婚調停にて離婚の成立・不成立が決まった後でないと提起できません。

離婚裁判では、「離婚の原因となった法定離婚事由があること」や、「すでに夫婦の婚姻関係は破綻している」といったことを主張します。性格の不一致のみで法定離婚事由を満たすのは難しいものの、婚姻関係の破綻であれば証拠次第で立証できる可能性があります。

以下では、性格の不一致を要因とした離婚裁判の詳細について見ていきましょう。

【前提】離婚裁判は調停後でないと提起できない

「協議や調停をせず、いきなり離婚裁判を起こせばよいのでは?」と思われるかもしれませんが、実は離婚裁判の訴訟は、離婚調停の手続きを経ないと原則として提起できません。

調停なしだと裁判へ移行できない旨は、家事事件手続法第257条1項「調停前置主義」として定められています。

(調停前置主義)
第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。
2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。
e-Gov法令検索 家事事件手続法

なぜ調停前置主義が設けられているかというと、離婚問題は人間関係の問題であるからです。

裁判で明確な白黒を付けてしまうと、離婚が成立しても将来的な人間関係に必要以上の遺恨を残す可能性が出てきます。

こうした事情から、「裁判ではっきりさせるより、双方が納得のうえで柔軟な解決法を選んだほうが望ましい」という考えの下、調停前置主義が設けられています。

それでも解決できないときに、最終手段として離婚裁判という流れになるのです。

ただし、裁判所が調停よりも裁判のほうが望ましいと判断した事件については、調停をせずにいきなり裁判へ進む可能性があります。

離婚裁判は裁判官が白黒をはっきりさせるという性質上、法的根拠や主張を基にした慎重な審理が行われます。

裁判離婚には法定離婚事由が必要

協議・調停と裁判ではっきり異なる点は、裁判離婚を成立させるための「法定離婚事由」が求められるか否かです。

法定離婚事由とは、民法第770条に定められた離婚訴訟を提起するために必要な5つの理由です。

法定離婚事由 概要
不貞行為 肉体関係や性交類似行為(口淫、手淫、裸でのハグ、長時間のラブホテル利用など)が認められるとき(強制的は除く)
悪意の遺棄 不倫相手との同棲、生活費の独占、複数回・一方的な家出、配偶者の看病放棄、健康体での意図的な労働放棄など
3年以上の生死不明 3年以上の配偶者の生死不明状態の継続
協議や調停が物理的に不可能であるため裁判で決着
回復の見込みがない強度の病気 統合失調症といった「同居、協力及び扶助の義務(民法第752条)を果たせないレベルの精神病」
その他婚姻を継続しがたい重大な事由 一方的な暴力行為、長期間の別居などの婚姻関係の破綻

(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
e-Gov法令検索 民法

離婚調停で離婚が不成立になったうえで上記の法定離婚事由がなければ、離婚裁判にて離婚が成立することはありません。

「性格の不一致」は直接的な法定離婚事由には該当しないことから、単に性格が合わないからと主張するだけだと、離婚は認められないと考えておいてください。

ただし性格の不一致が「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する場合は、裁判で離婚が認められる可能性があります。

「性格の不一致」が原因で婚姻関係が破綻していることが必要

性格の不一致が「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」の原因になっているときは、離婚裁判において性格の不一致を間接的な理由とした離婚が成立する可能性があります。

性格の不一致で離婚したい場合、婚姻関係が破綻しているか否かが主な争点になるでしょう。

婚姻関係の破綻とは、「夫婦の婚姻関係を維持する意思がない」「今後、夫婦の共同生活が回復する見込みがない」という状態です。

「性格の不一致が原因で婚姻関係が破綻している」「性格の不一致と一緒に、法的に離婚が認められる事由がある」などのケースが挙げられます。

婚姻関係の破綻が認められるケースは、次の通りです。

  • 性格が合わず喧嘩が絶えず、長期間の別居状態や家庭内別居が続いている
  • 性格や考え方の違いから、配偶者からのDV・モラハラ行為が常習化している
  • 性生活や性格の不一致で愛情が薄れ、配偶者が不貞行為を行った
  • 金銭面の価値観の違いが原因で、家計に大きな影響が出た
  • 夫婦仲が険悪になり、配偶者へ生活費を一切渡さなくなっている
  • 宗教活動にのめり込み、家事や仕事を一切しなくなった

婚姻関係の破綻の判断は、背景情報や証拠を基に慎重に判断されます。上記に該当するからといって、必ずしも離婚が成立するわけではないと認識しておきましょう。

裁判離婚をするためには「証拠」が必要

裁判離婚を成立させるには、訴訟内容が法定離婚事由に該当するか否かを、法廷で立証しなければなりません。そのため、離婚が相当であると裁判官が判断するに足る証拠が必要になります。

例えば、配偶者が不貞行為をしている証拠、長年の家庭内別居を証明する証拠などが挙げられます。離婚裁判で使える証拠となるものは次の通りです。

  • 不倫関係を匂わせるSNSやメール
  • 不倫相手と配偶者が一緒に写ってる写真
  • ラブホテルや不倫相手の自宅に宿泊したことがわかるもの
  • 日常的なDV・モラハラの音声
  • 身体的・暴力的行為が原因の怪我・病気の診断書
  • 市役所、警察、その他相談センターへの相談記録
  • 双方が離婚を望んでいる音声・メール
  • 日常的な家事・子育ての放棄を示すもの(散らかった部屋の写真、子どもの証言など)
  • 日常的な浪費を示す各種明細表、領収書など
  • 離婚協議中の音声

違法行為で証拠を収集したときは、裁判で使えないばかりか、損害賠償や刑事事件に発展する可能性があります。

証拠にするものや証拠の集め方は、自分の判断だけでなく、弁護士といった専門家からのアドバイスを参考にするのがよいでしょう。

「性格の不一致」での離婚が認められた判例

性格の不一致を原因の1つとして離婚が認められた裁判は、これまでいくつか確認されています。

ここからは、性格の不一致で離婚が認められた裁判の判例を解説します。

夫婦の知的水準の隔たりによる価値観の不一致

世俗的な事物を極端に嫌い、高度な水準の知的生活を望む夫と、平凡な妻との間に大きな生活観・人生観の隔たりが生じてしまった。上記が原因となり、夫婦関係が修復不可能な状態まで陥ったと認められた(東京高裁判決昭和54年6月21日)。

知的水準が高い夫が、夫に劣等感や違和感を抱き非難した妻に対して離婚を請求し、請求が認められた事例です。

第一審では、妻による「夫婦関係が悪化したのは夫のわがままが原因」という抗弁が認められ、夫の離婚請求は棄却されています。

しかし高裁では、「価値観や人生観がかけ離れたことで、夫婦関係が破綻した」と認められました。妻が夫の価値観を非難したことが、夫婦関係を修復不可能にしたと高等裁判所は判断したのです。

このように不貞行為や暴力行為などが争点でないにもかかわわらず、婚姻関係の破綻が認められた判例も存在します。相手の人生観・価値観の否定は、夫婦関係を含む人間関係を悪化させる重大な事由になると言えるでしょう。

正当な理由がない性行為拒否や営みの阻害

いわゆるセックスレスが長期間継続したことによって、離婚が認められた事例は多数存在します。

例えば以下の判例は、「夫が性行為を拒否するにもかかわらず、ポルノビデオで自慰行為をしている」という理由で離婚が成立したうえで、慰謝料120万円の支払いも認められています。

肉体的に問題がないにもかかわらず、妻からの性交渉を拒否するのはおかしいとして、別居した妻が離婚を請求した事件。高等裁判所では「夫の態度は正常な夫婦関係からすると異常であり、婚姻関係を維持する意思がなく、妻への愛情も喪失している」と判断した(福岡高等裁判所平成5年3月18日判決)。

また、そもそも性交不能であることを隠して結婚したことを重大な事由として、離婚が認められた判例も存在します。

結婚してから1年半の同居期間中に一度も性交渉がなく、妻は婚姻前に性交不能だと知らなかった(最高裁昭和37年2月6日判決)。
結婚してから3年半の同居期間中に一度も性交渉がなく、夫が性交不能である事実を婚姻前に告知していなかった事案(京都地方裁判所昭和62年5月12日判決)。

これまでの判例では、性生活も婚姻関係継続のうえで非常に重要な事案であると判断されています。

夫婦生活が破綻するほどの熱心な宗教活動

人生観や価値観と同じく、宗教観も信仰の事由として尊重されるべきものです。

しかし、夫婦生活が破綻するほどの宗教活動が行われると、婚姻関係の破綻の原因として認められるケースがあります。

妻の度を超す宗教活動が原因となり、日常生活や子供の養育にも支障が生じた事例。妻の行動が、夫婦間の協力扶助義務に反していると判断された(大阪高裁判決平成2年12月14日)。

宗教観や宗教活動そのものが悪いのではなく、熱心な宗教活動によって生活に支障をきたすときに、離婚が認められる可能性があります。

例えば子どもの強制的な宗教加入、宗教活動の活動費・寄付などによる家計の悪化などが挙げられるでしょう。上記の裁判例では、まさに子どもの養育や家計に大きな悪影響が生じているからこそ、離婚が認められました。

宗教活動を理由に離婚が認められるか否かは、宗教活動の具体的な中身や、夫婦生活にどのような支障を及ぼしているかなど、総合的に判断されます。

夫の犯罪行為や服役により家族への実害の発生

身内が犯罪者として悪名高いという事実は、家族の人生に大きな弊害を及ぼします。

例えば進学先や就職先が実質的に制限されてしまったり、友人関係の構築が難しくなってしまったり、社会生活が困難になるケースです。

犯罪行為や服役を繰り返している人間と婚姻状態であることは、配偶者や身内の信用問題にもかかわります。「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するのは妥当と言えるでしょう。

とはいえ、犯罪行為を行っただけでは、婚姻関係の破綻は認められないと言われています。犯罪行為は、法定離婚事由に含まれないからです。

犯罪行為に付随して発生する他の離婚事由や、犯罪行為を原因とした婚姻関係の破綻を訴えることが重要になるでしょう。実際に夫の犯罪とその他の付随行為が原因とした、離婚が認められた判例も存在します。

夫が犯罪行為や服役を繰り返した結果、妻や子供が社会的・経済的に窮地に追い込まれた事例。結婚前と後で合計4回の詐欺罪を犯した夫に離婚を請求した。夫は勤労せず、家庭内暴力を繰り返したことも離婚請求が認められる要因となった(新潟地裁判決昭和42年8月30日)。

性格の不一致以前に、倫理観・道徳観が欠如した相手と夫婦生活を継続できないと思うのは当然のことです。

判例では1度ではなく何度も犯罪と服役を繰り返していること、暴力を伴っていることなどを総合的に判断し、地裁の時点で離婚が認められていると考えられます。

「性格の不一致」以外に離婚原因がある場合は慰謝料請求できるケースもある

もしも性格の不一致以外にも離婚原因があるときは、慰謝料を請求できる可能性があります。慰謝料を請求できる主なケースは、配偶者に不法行為があったときです。具体的な例は次の通りです。

  • 不貞行為が原因で離婚した
  • DVやモラハラなどによる精神的負担が発生した
  • 悪意の遺棄(家事育児放棄、生活費の停止、ギャンブルなどの行き過ぎた浪費)があった
  • 正当な理由がないのに性交渉の拒否が続いていた

「慰謝料の請求事由が離婚の原因になった」「婚姻期間が長い」「子どもがいる」「一方の強い悪意で夫婦関係が破綻した」といった要素があると、慰謝料金額は高額になる傾向があります。

また、離婚に際して金銭のやり取りが発生するのは慰謝料請求だけではありません。双方の合意があれば、不法行為がなくても任意の金額で慰謝料が支払われる可能性があります。

協議や調停段階では、関係性維持のための解決金、当面の生活費の工面、罪悪感からくる言い値の支払いなど、さまざまな金額・理由を設定できます。

離婚裁判の場合は和解で決着すれば、判決よりも柔軟な形で慰謝料金額が決まることも珍しくありません。

一方、いくら離婚の原因になったとしても、裁判上での慰謝料請求の対象にならない離婚理由も存在します。慰謝料を請求できない可能性がある離婚理由は、次の通りです。

  • 不貞行為や悪意の遺棄といった不法行為がない
  • 夫婦の双方に離婚原因がある
  • 婚姻関係が破綻している
  • 慰謝料請求の時効(原則として離婚事実や損害事実があった日から3年)を迎えている

相手の不義理や性格が原因の離婚であっても、裁判においては損害賠償請求の対象になるものしか慰謝料が認められないと覚えておきましょう。

「性格の不一致」での離婚でも財産分与は原則「2分の1」ずつ

性格の不一致が原因で離婚した場合でも、他の理由で離婚したときと同じく、財産分与(婚姻期間に形成した財産の公平な分配)は原則2分の1ずつになります。離婚理由によって、財産分与の割合が変化することはありません。

例えば夫婦の財産が700万円であれば、夫と妻で350万円ずつを分け合う形となります。

ただし夫婦の話し合いによって財産分与の割合を決めることは禁止されていないため、夫と妻で6対4、2対8のように財産分与の割合を決めることは可能です。

夫婦で話し合っても財産分与の内容や分配の割合に折り合いがつかなければ、調停を申し立てるという選択肢もあります。

離婚原因が性格の不一致であっても、財産分与は原則として2分の1の割合となることを押さえておきましょう。

「性格の不一致」での離婚で親権・養育費はどうなる?

性格の不一致を原因とした離婚を争うときは、他の離婚理由と同じく、子どもがいる夫婦は親権や養育費についても話し合いを行います。

他の離婚理由と同じく、協議・調停・裁判などを経て是非を決定します。原則として、離婚事由と一緒に話し合いや裁判を進めていくイメージになるでしょう。以下では、親権・養育費についての詳細を解説します。

親権:通常通り「協議・調停・審判・裁判」で決める

親権とは、未成年の子どもを成人に育てるまで負う権利・義務のことです。

性格の不一致が原因で離婚したときは、通常通り協議・調停・審判(調停でまとまらないときに家庭裁判所の裁判官が判断を下す方法)・裁判を通じて決定します。

調停離婚でも親権者が決まらなかった場合、以下のいずれかの方法で親権者を決定します。

  • 離婚のみ調停を成立させて、親権は審判で決定する
  • 離婚調停を不成立として、調停に代わって審判で親権を争う
  • 離婚調停を不成立として、調停に代わって裁判で親権を争う

親権者は、さまざまな証拠・環境・主張を総合して判断します。親権を決める要素は次の通りです。

  • 子供への愛情
  • 子供の年齢と意思
  • 親の健康状態
  • 離婚後の生活環境
  • 離婚後の生活状況

ただし母性優先の原則により、子供が幼ければ幼いほど母親に親権が認められやすいのが実情です。日本では母親の親権の獲得率が約90%を占めており、父親は10%程度しか親権を獲得できません。

父親が親権を獲得することは、相当難しいことを理解しておきましょう。そのうえで父親として親権を獲得したい場合は、以下の点を意識してください。

  • これまでの子どもの養育実績を主張・証明する
  • 離婚後の監護体制(生活環境や経済状況)を整える
  • 母親側の問題(不倫経験あり、収入が不安定、育児放棄経験あり)を主張する
  • 子どもとの信頼関係を証明する
  • 協議・調停段階で母親を説得する

ケースによっては、母親の不倫や収入状況が親権に影響することもあります。とはいえ一般的には「不倫は夫婦間の問題で子どもとは別問題」、「財産分与や養育費で収入不足をまかなえる」と判断されることから、不倫や収入状況は親権に影響しないようです。

親権者となれなかった側の親は、面会交流によって定期的に子供と会うことが認められます。

面会交流とは、離婚によって一方の親と離れて暮らす子供が、親子として交流を持つことです。一緒に遊んだり、電話で話をしたり、手紙のやり取りをしたりなどが例として挙げられます。

面会交流の条件も、離婚や親権と同じく夫婦の話し合いや裁判によって決定します。将来的に面会交流の条件で認識の相違を生まないためにも、離婚協議書などで合意内容を書面化することが望ましいでしょう。

養育費:基本的に離婚理由に関係なく支払いが必要になる

養育費とは子供の権利であり、子供を養育しない側の親が支払うことになります。

養育費は子供が18歳(成人)になるまで支払われることになっています。とはいえ実務上だと、20歳まで支払われるのが一般的です。養育費の支払いは法律上の義務ですが、いつまで養育費が受け取れるのかについては法律上の定めはありません。

養育費の金額は、夫婦の話し合いによって決定します。目安となる金額として、近年では裁判所が公表している養育費算定表を利用するケースが多いです。

厚生労働省の調査によると、養育費の平均相場は母子家庭で平均月額50,485円、父子家庭で26,992円です。養育費の算定で考慮される要素は、子供の年齢や人数・両親の年収などさまざまなものが挙げられます。

一例として、権利者の年収が400万円で14歳以下の子供が2人いるケースを確認してみましょう。養育費の相場は以下の通りとなります。

義務者の年収 相場(義務者が会社員) 相場(義務者が自営業者)
年収300万円 2~4万円 6~8万円
年収500万円 4~6万円 10~12万円

養育費はそれぞれの年収を考慮して算出されます。そのため権利者の年収が高いと、義務者の年収によっては養育費が少なくなる可能性も考えられます。

養育費について当事者同士で話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて、養育費の支払いを求めることになるでしょう。調停で解決できないときは、裁判官が審判で判断する流れとなります。

しかし厚生労働省の調査によると、そもそも養育費の取り決めをしているのは母子世帯で46.7%、父子家庭で28.3%と半分以下となっています。

理由としては、「相手と関わりたくない」「自分の収入だけで養える」「相手に支払う意思がないと思った」などが挙げられていました。

養育費は、法律上当然に請求できます。性格の不一致などでもう会いたくないと思う場合でも、子どもの将来のために養育費については取り決めておくことをおすすめします。

養育費については「公正証書」に詳細を残すことで、相手が養育費を支払わない場合に法的な主張が可能です。ケースによっては、相手に強制執行をかけられます。

参考:令和 3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要
参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所

「性格の不一致」で離婚する前に準備すること

生活の不一致を強く感じて離婚を考えるときであっても、衝動的に離婚を決めてしまうと後悔する可能性があります。

「本当に離婚をすべきか」「離婚する準備はできているか」などを、事前に確認しておきましょう。

性格の不一致で離婚する前に準備しておくべきことは、主に次の通りです。

  • 夫婦関係が修復可能か確認する
  • 離婚後の住居や収入を確保する
  • 子どもへの悪影響を迎える準備をする
  • 調停や裁判に発展しても余裕があるか検討する
  • 別居する場合は別居の同意を得る

それぞれ順番に見ていきましょう。

夫婦関係の修復が可能か確認する

離婚は多大な労力を伴う行為であり、成立後も生活面や気持ちの面で大きな負担がかかることになります。日本の再婚率は約26%(片方のみの再婚含む)となっており、少なくとも4組中3組以上は元の夫婦に戻ることがありません。

実際に離婚に向けて動く前に、夫婦関係が本当に修復できないのかあらためて確認してみましょう。確認すべきポイントは次の通りです。

  • 一時的な喧嘩やトラブルなどが怒りの原因ではないか
  • 相手の性格や価値観などが本当に受け入れられないのか
  • 子どもがいるなら、子どもの気持ちを考慮したうえでの決定か

「元々こういう人なんだ」と割り切れれば、自然と感覚が慣れてくる可能性もあります。

相手に適度にストレスを感じている状態であれば、むしろストレス発散のために新しい趣味に取り組んでみる原動力にもつながるかもしれません。

参考:内閣府「結婚と家族をめぐる基礎データ

離婚後の住居や収入を確保する

離婚後は夫婦で暮らしている家から出る予定の人は、離婚後に生活する場所の確保や、実家へ移動する準備など、離婚後の住居をあらかじめ確保しておきましょう。

離婚に伴って「遠方へ引っ越すので今の職場を離職する」、「専業主婦(主夫)だったが今後は働く」といったときは、収入源となる仕事を見つけることも大切です。

離婚後に住居や仕事を探しても、なかなか見つからなければ生活自体が破綻するリスクがあります。子どもがいる場合はなおさらです。そのため住居や仕事は離婚する前に、ある程度目星を付けておくことを推奨します。

子供への悪影響を抑える準備をする

夫婦の離婚は、子どもの人生に大きなマイナスを背負わせることにつながります。生活環境や収入はもちろんのこと、進学、就職、友人関係、習い事、学校行事などにも大きな影響が出るでしょう。

親権者は、自分の子どもを健全に育成する義務があります。

そのため、離婚を決意したときは子どもへの悪影響を抑える準備をおきましょう。具体的な例は次の通りです。

  • 子どもとの生活費となるお金(慰謝料、財産分与、養育費)を取り決める
  • できる限り転校が発生しないようにする
  • 面会交流のルールを決め、両親と会える環境を作る

お金や生活環境面を整えても、子どもには寂しい思いをさせるなどの精神的負担を強いることになります。とくに子どもが幼いときは、精神的なケアができる体制を整えておいてください。

調停や裁判に発展しても余裕があるか検討する

離婚事由や離婚に附随する事由(慰謝料や親権など)を争う場合、調停や裁判だと決着まで2~3年以上かかるケースもあります。弁護士に対応を依頼するときは、発生する弁護士費用も加味しなければなりません。

もし離婚調停や裁判が長引いても、スケジュールやお金に問題がないかを検討しておきましょう。

別居する場合は別居の同意を得る

裁判で性格の不一致を理由とした離婚が認められるケースとして、3~5年間の別居の事実が存在することが挙げられます。あらかじめ別居の事実を作っておけば、婚姻関係が破綻しているとして離婚裁判でも離婚が認められやすくなるでしょう。

ただし、別居するときは配偶者の同意を得たうえで行う必要があります。

配偶者に無断で家から出ていくと、出ていった側が有責配偶者(婚姻関係を破綻させた側)となって、裁判で不利になる可能性が高くなるからです。

勝手に別居するデメリットは次の通りです。

  • 民法第752条における「同居義務違反」として、慰謝料請求の対象になる
  • 子どもを放って行ったときは、悪意の遺棄に該当する可能性がある
  • こどもを連れて行ったときは、連れ去り行為になる可能性がある

同意の取り付けは、LINEやメールなどのテキストでも問題ありません。

なお同意がなくても、暴力行為やモラハラから逃げるためや、子どもを虐待から救うためといった正当な理由があれば、別居しても同居義務違反にはなりません。

「性格の不一致」で離婚するための流れ

性格の不一致を理由とした離婚をするためには、おおよそ以下の流れに沿って動きます。

離婚するまでの流れ 概要
離婚の検討 ・自分の気持ちの確認
・相手の不法行為や婚姻関係破綻の証拠集め
・住居や収入の確保
離婚協議 ・配偶者との話し合い
・弁護士を入れて交渉するのもあり
離婚調停 ・家庭裁判所での申立
・1~2ヶ月間隔での期日にて話し合い
・成立・不成立・取り下げなどで終了するまで継続
離婚裁判 ・離婚調停不成立後に裁判所にて訴訟提起
・1~2ヶ月間隔で弁論準備、本人尋問、証人尋問を実施
・裁判結審後、2~3ヶ月で判決
・和解なら裁判途中でも成立
控訴審・上告審 ・裁判結果に納得いかなければ14日以内に控訴
・控訴審でも納得行かないときは上告(憲法違反が認められるとき)

離婚裁判まで進んだときは、解決まで2~3年以上必要なことがあります。

また、協議・調停・裁判などについて弁護士に対応を依頼するときは、数百万円の費用がかかるでしょう。とはいえ弁護士に依頼すれば、妥当な慰謝料・財産分与・養育費を勝ち取れば中長期的に収支がプラスになる可能性が上がります。

離婚協議、離婚調停、離婚裁判についての詳細は、以下の関連記事でわかりやすく解説しています。

離婚を切り出す際のポイント

性格の不一致による離婚の切り出し方は、明確な理由を伴わないケースもあるため、なかなか難しいと感じる方もいるかもしれません。

以下では、性格の不一致による離婚を切り出すときのポイントをまとめました。「決意が固まらない」「切り出し方がわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。

離婚したい理由を整理する

離婚したい理由を整理して客観視することで、離婚への決意をあらためて固められます。

またあらかじめ離婚したい理由を理路整然にまとめておけば、離婚協議や離婚調停での話し合いでも、感情的にならず論理的に進めやすくなります。

離婚したい理由を整理するには、自分の気持ちを紙などに書き出すことがおすすめです。自分の主張や希望、話し合いの争点が明確になり、配偶者や弁護士に話が通じやすくなります。

性格の不一致が原因の理由としては、以下のものが考えられます。

  • 日々の些細な言い争いに疲れてしまった
  • 金銭感覚が合わず、互いの楽しみを共有できない
  • 自分の価値観や生き方を否定されて精神的負担が大きい

洗い出した離婚理由を立証するための証拠集めも、最初の段階で進めておきましょう。

明確な証拠を突きつけた状態なら、相手がとぼけたり反論してきたりする可能性が低くなります。離婚裁判に発展した場合も、早めに主張と証拠を裁判官に示せば、争点が明確になって裁判期間の短縮につながります。

子どもの進学・自立や退職時などの節目の時期に伝える

もしも離婚を切り出すタイミングに悩んでいるなら、子どもの進学や自立、仕事の退職時などの節目の時期こそ離婚を切り出しやすい時期となります。

子どもが幼い場合は、学校が変わるタイミングであれば通学や友人関係にも支障が出にくいです。気持ちを切り替えやすいことから、新しい環境にも馴染めるかもしれません。

子どもが成人や就職で自立するタイミングであれば、きっと夫婦の決断を尊重してくれるはずです。

仕事の退職はライフステージの変化をもたらすため、人生の転機として冷静に受け止めてもらえる可能性があります。

ただし定年退職時に離婚を切り出すと、相手の性格次第では生活の変化を望まずに離婚を拒まれるケースも想定されます。その場合は、定年退職を迎える数年前のタイミングで離婚を切り出すことも視野に入れてみましょう。

弁護士などの第三者に相談しておく

離婚協議、離婚調停、離婚裁判などへ進む前に、あらかじめ弁護士などの第三者へ離婚について相談しておくことをおすすめします。

自分には後ろ盾があることを相手に伝えれば、相手にも自分の本気度が伝わり、誠実に対応してくれる可能性が上がるからです。

とくに後ろ盾が弁護士なら、より相手や調停委員に本気度をアピールできます。他にも弁護士に相談することには、法的アドバイスをもらえる、代理交渉を任せられるといったメリットも存在します。

「性格の不一致」で離婚したい場合、弁護士に相談するべき理由

性格の不一致を原因とする離婚を求めるときは、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談するべき理由は次の通りです。

  • 離婚の条件などのアドバイスがもらえる
  • 相手との代理交渉を任せられる
  • 慰謝料請求の相談や手続きを任せられる

順番に見ていきましょう。

離婚の条件などのアドバイスがもらえる

弁護士に相談することで、協議離婚や調停離婚による話し合いで離婚を成立させるサポートを、全面的に行ってくれます。

弁護士が個別に状況を把握することで、慰謝料請求の可否や相場も、具体的に提示してくれるでしょう。

離婚協議・離婚調停の時点で解決できれば、離婚のために法定離婚事由を証明する必要がありません。時間や労力をかなり削減できます。

離婚問題の早期決着や、性格の不一致を理由とした離婚における円滑な交渉を求めるときは、弁護士に相談するのがよいでしょう。

相手との代理交渉を任せられる

協議離婚においては、弁護士があなたに代わって交渉を行ってくれるため、あなたは配偶者や不倫相手などと直接会う必要がなくなります。そのため、ストレスを感じることなく離婚に向けた話し合いを進めることが可能です。

もしも相手と直接やり取りした場合、相手の対応に感情的になってしまい、膠着状態に陥ることも十分に考えられます。

また第三者が介入することで、双方が合意できる妥協点を見つけやすくなることもメリットです。

当事者同士での話し合いがそもそも進まないという状況でも、弁護士に相談するだけでも事態は進展するかもしれません。

慰謝料請求の相談や手続きを任せられる

離婚を決意した場合、財産分与や親権獲得や離婚後の生活など、決めなければならない離婚条件が多数存在します。

弁護士に相談すれば、絶対に譲れない部分から折り合いを付けるべき部分まで、法的な観点から専門的にアドバイスを行ってくれます。

また、裁判所での手続き、弁論準備、相手への反論などもすべて任せることが可能です。

多くの方にとって離婚は初めての経験であり、どのように問題に対処すればよいのか分からないはずです。弁護士が親身に相談に乗ることで、あなたの精神的な不安も解消されるでしょう。

まとめ

性格の不一致を原因とした離婚は、離婚協議や離婚調停であれば、相手との合意によって成立します。協議・調停はあくまで話し合いがベースであり、双方が納得すれば柔軟な離婚条件を設定できるからです。

一方で離婚裁判まで進んだ場合だと、性格の不一致だけでは民法の法定離婚事由を満たせず、離婚が認められない可能性があります。

性格の不一致を原因とした裁判離婚を成立させるには、性格の不一致が原因で婚姻関係が破綻したことを証明しましょう。

もしも婚姻関係の破綻が証明できなくても、相手の不貞行為や悪意の遺棄などが認められれば、離婚は成立します。不貞行為や悪意の遺棄に関しては、同時に慰謝料を請求できるかも見ておいてください。

協議・調停・裁判のいずれの段階であっても、弁護士に協力を依頼することを推奨します。離婚成立のための各種サポートをお願いできることに加え、妥当な慰謝料、財産分与、養育費の金額設定や、親権獲得のためのアドバイスを行ってくれるからです。

当サイト「ツナグ離婚弁護士」なら、離婚問題に強い弁護士をお住いの地域や相談内容ごとに検索が可能です。サイトの利用は無料であるため、ぜひお気軽にご活用ください。

「性格の不一致」での離婚についてよくある質問

子供がいない夫婦の場合は、性格の不一致での離婚は認められやすいですか?

子どもがいない場合は親権、養育費、面会交流などの取り決めが必要ないので、比較的離婚しやすくなると言われています。

とはいえ離婚裁判に発展したときは、性格の不一致によって法定離婚事由が発生したことが認められなければ、離婚は成立しません。

性格の不一致で離婚した後、元夫の不倫が発覚しました。慰謝料は請求できますか?

離婚後であっても、配偶者の不貞行為に対して、配偶者および不倫相手へ慰謝料を請求できます。後からでも不倫が婚姻関係破綻の原因だと立証できれば、多くて300万円程度の慰謝料をもらえる可能性があります。

ただし、損害賠償請求の時効が過ぎてしまうと慰謝料は請求できなくなるので注意が必要です。起算日となる不倫を知った日を証明するのは難しいことから、不倫発覚後は速やかに行動に移すことをおすすめします。

性格の不一致を理由に離婚を迫られていますが、私は離婚したくありません。どんな対策を取れば良いですか?

離婚を拒否したいときは、まず相手にその旨をはっきりと伝えましょう。その後、「なぜ離婚したいのか」「問題は本当に解消できないのか」などを整理し、離婚協議(弁護士の有無は問わない)を進めましょう。

例えば身に覚えのない不倫を疑われているときは、身の潔白を示す証拠を揃える必要があります。「子育てや家事をしてくれない」と不満をぶつけられたときは、分担割合をあらためて一緒に検討することが大切です。

協議で解決しないときは、離婚調停・離婚裁判にて離婚不成立を目指すことになります。

もし配偶者が勝手に押印して離婚届を提出する恐れがあるときは、あらかじめ「離婚届不受理申出書」を提出しておくのも1つの手です。