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妻と離婚したい!離婚の前に確認すべき条件や離婚に応じない時の対処法

妻と離婚したい
南陽輔 弁護士
監修者
南 陽輔
大阪市出身。大阪大学法学部、関西大学法科大学院卒業。2008年に弁護士登録(大阪弁護士会所属)。大阪市の法律事務所に勤務し、離婚問題や債務整理などの一般民事事件のほか、刑事事件など幅広い法律業務を担当。2021年に一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成の支援、起業時の法的なアドバイスなどの予防法務を中心に業務提供をしております。皆さんが利用しやすく、かつ自由で発展的なビジネスが可能となるサービスを提供いたします。

性格の不一致やモラハラなどの理由から、妻と離婚したいと考える方もいるのではないでしょうか。

しかし、いざ離婚の話し合いをしようとしても、「切り出し方がわからない」「妻が離婚を拒否しており話し合いに応じない」と悩む男性も少なくありません。

また、親権や養育費など子供の問題が気がかりで離婚が切り出せないという方も多いでしょう。

妻と離婚したいと感じたときには、以下の条件を事前に確認する必要があります。

離婚条件 財産分与
財産分与 ・離婚の際に夫婦の共有財産を分ける制度
・割合は原則として夫婦で2分の1ずつ
年金分割 ・婚姻期間中に納めた年金を分ける制度
・妻が第3号被保険者の場合、夫の合意なく年金分割が認められる
慰謝料 ・離婚理由によって請求する場合と請求される場合がある
・割合は原則として夫婦で2分の1ずつ
親権 ・子供と共に暮らして養育する権利
・母親が親権を獲得するケースが多い
養育費 ・子供が社会的に自立するまでに必要とされる費用
・親権者にならなかった場合は支払う必要がある

離婚条件を確認した上で話し合いに臨めば、不利な条件での離婚を防止できる可能性があります。

本記事では、妻と離婚したい理由を紹介した上で、離婚の際に確認すべき条件や具体的な離婚の手順について解説します。妻と離婚したいと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

妻と離婚したい理由トップ5

家庭裁判所が公開しているデータを調査したところ、夫が妻と離婚したいと考えている理由トップ5は以下のとおりでした。

  • 第1位:性格が合わない
  • 第2位:精神的虐待・モラハラが酷い
  • 第3位:暴力を振るう
  • 第4位:異性関係・不倫問題
  • 第5位:浪費が激しい

性格の不一致が第1位の理由となっており、次いでモラハラや暴力、不倫問題、浪費などが挙げられています。

次の項目から、夫が妻と離婚したい理由について詳しく解説します。

第1位:性格が合わない

妻と離婚したい理由として最も多かったのが、性格の不一致です。

一口に性格の不一致といっても、具体的な内容は人によって異なります。妻と性格の不一致を感じることの例は以下のとおりです。

  • 生活習慣
  • 金銭感覚
  • 親族との付き合い方
  • 子供の教育方針
  • 宗教観
  • 性生活
  • 環境の変化による喧嘩の多発

生活習慣や金銭感覚などは、交際時には気にならなくても一緒に住むと徐々に価値観のズレを感じていくケースが多いようです。

また、親族との付き合い方や子供の教育方針など、夫婦以外の人間関係で性格の不一致を感じる場面もあるでしょう。

そのほか、宗教観や性生活、環境の変化なども、性格が合わないと感じる要因になっています。

第2位:精神的虐待・モラハラが酷い

妻と離婚したい理由で性格の不一致に次いで多かったのは、精神的虐待やモラハラです。

精神的虐待やモラハラは通常の夫婦喧嘩とは異なり、倫理に反する嫌がらせやいじめなどの行為が該当します。

夫が妻から受けるモラハラとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 暴言や人格否定
  • 無視・口をきかない
  • 些細なことでヒステリックを起こす
  • 行動の監視や束縛
  • 不機嫌な態度を見せる
  • 夫の分だけ家事をしない
  • お小遣いを渡さない

精神的虐待やモラハラは、妻よりも立場が弱い男性がターゲットになりやすいです。

日常的に妻から嫌がらせを受けて精神的に追い込まれたことにより、離婚を考える男性は少なくありません。

第3位:暴力を振るう

暴力やDVは、妻と離婚したい理由の第3位に入っています。

夫が妻からDVを受けるケースは珍しく感じるかもしれません。しかし、警視庁が公表しているデータによると、男性のDV被害は年々増加傾向にあります。

たとえば令和1年のDV被害の相談件数は17,815件でしたが、令和4年は22,714件と約5,000件も増加しています。

そのため、男性が妻と離婚したい理由の第3位に暴力が入るのも、納得のできる結果といえるでしょう。

DVは直接的な暴力だけでなく、包丁を持ち出して脅迫したり、夫の所有物を勝手に破壊したりする行為なども該当します。

暴力によって身体的にも精神的にも限界を感じ、妻と離婚したいという考えに至る方が多いようです。

参照:令和4年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等|警視庁

第4位:異性関係・不倫問題

妻の異性関係や不倫などが原因で離婚したいと考えている方も一定数います。

妻が不倫する理由はさまざまですが、夫との不仲やセックスレス、夫婦関係のマンネリ化などが多いようです。

また、妻が風俗店で働いていることが発覚したことにより、離婚したいと考えるケースもあります。

「生活費のためにやむを得ず働いた」という理由であっても、風俗店で異性と肉体関係を持つことは不貞行為に該当します。

どのような理由であれ、不倫は許される行為ではありません。もしも妻が夫以外の異性と肉体関係を持っていた場合、法定離婚事由の「不貞行為」に該当するため、離婚が可能です。

第5位:浪費が激しい

妻と離婚したい理由の第5位は、浪費の激しさです。妻の浪費によって家計が苦しくなり、離婚を考える男性は少なくありません。

たとえば収入に見合わない高価な買い物や交際費、ギャンブルに賭けるお金などが浪費に該当します。

夫婦の共有財産を切り崩して浪費を繰り返すだけでなく、何度も借金を繰り返す「借金依存症」に陥ってしまう方も一定数存在します。

妻の浪費が激しいと目先の家計が回らなくなるのはもちろん、老後の資産形成も危うくなってしまうでしょう。

将来的な不安により、浪費の激しい妻と離婚したいと考える男性は多いようです。

妻と揉めずに離婚するための離婚の切り出し方

妻に離婚を切り出す際には、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 感情的にならず冷静に話す
  • 相手の批判や悪口は言わない
  • 子供がいる前で離婚の話はしない
  • 複数回にわたって話し合う

それぞれ詳しく解説します。

感情的にならず冷静に話す

妻に離婚を切り出すときは、感情的にならず冷静に話すことを心掛けましょう。

感情任せに離婚を切り出したとしても、妻と口論になってしまい、建設的な話し合いができない恐れがあるためです。

そのまま険悪な雰囲気になると、話し合いによって円満に離婚することが難しくなります。

冷静に話し合いをするためにも、自分自身の気持ちが落ち着いているタイミングで離婚を切り出してみてください。

相手の批判や悪口は言わない

妻の不法行為などが原因で離婚を切り出す場合、話し合いの際に相手の批判や悪口を言ってしまうケースがあります。

しかし、相手の批判や悪口を言っても目の前の問題が解決するわけではありません。過度な批判をし過ぎると、妻が話し合いに応じなくなる可能性も考えられます。

また、相手の人格や容姿を否定するような言葉を投げかけると、録音されて「モラハラを受けた」と逆に慰謝料請求をされる恐れもあります。

相手の批判や悪口などは決して口にせず、淡々と必要なことだけを話し合うようにしましょう。

子供がいる前で離婚の話はしない

子供がいる前では、離婚の話し合いをしないように注意しておきましょう。

子供にとって両親の離婚というのはショッキングな出来事であるため、悪影響を最小限に抑えるように行動しなければなりません。

もしも子供の目の前で離婚の話し合いをしたり揉めている姿を見せたりすると、強い不安やストレスを与える恐れがあります。

幼少期に受けたストレスは、学習意欲の低下や精神的な問題の増加につながる可能性もあり、子供の成長に大きな影響を及ぼします。

離婚を切り出す際は、子供を祖父母に預けたり完全に寝静まった深夜にしたりなど、話を聞かれないように対策を取りましょう。

複数回にわたって話し合う

離婚に関する話し合いは、基本的に1回で終わるケースはほとんどありません。

妻が離婚に反対している場合は、時間をかけて話し合いを行い、離婚に納得してもらう必要があるためです。

また、仮に妻が離婚に肯定的であったとしても、親権や養育費など離婚条件に関する問題で揉めることがあります。

そのため1回の話し合いで決着をつけようとするのではなく、複数回にわたって話し合うことを前提に離婚を切り出してみてください。

最初の話し合いは離婚に関するお互いの気持ちを確認したり、離婚条件に関する希望を聞いたりする程度に留めておき、2回目以降の話し合いで細かいことを決めていくと良いでしょう。

妻との離婚の前に確認するべき条件

妻と離婚する際には、夫婦で築き上げた財産や養育費、年金、慰謝料などお金の問題や、親権などを確認する必要があります。

離婚に際して争点になりやすい問題は以下のとおりです。

  • 財産分与|原則として夫婦の共有財産の1/2を分ける
  • 年金分割|婚姻期間中に納めた年金を分ける
  • 慰謝料|離婚する理由によって請求できる場合・請求される場合がある
  • 養育費|子供の親権者にならなかった場合に子供のために支払う
  • 親権|9割方母親が親権を獲得する

次の項目から、妻と離婚する前に確認しておきたい条件について詳しく解説します。

財産分与|原則として夫婦の共有財産の1/2を分ける

財産分与とは、夫婦で築き上げた共有財産を夫婦で分け合うことです。

基本的に、財産分与の割合は夫婦で2分の1ずつとなります。

もしも妻が専業主婦だとしても、夫の財産分与の割合が増えることはありません。婚姻中に築いた財産は、夫婦のどちらもが同じだけ貢献していると考えられているからです。

反対に、夫婦の一方が個人的に所有している財産は「特有財産」とみなされ、財産分与の対象とはなりません。

財産分与の対象となるものと、ならないものの例は以下のとおりです。

財産分与の対象 財産分与の対象外
・預貯金
・有価証券
・住宅(マイホーム)
・退職金
・生命保険の解約返戻金
・婚姻生活に必要な借金(住宅ローンなど)
・独身時代に築いた財産
・別居中に築いた財産
・親から相続した財産
・婚姻生活に不必要な借金(ギャンブルなど)

財産分与では、借金も原則として2分の1ずつ残債を負担することになります。ただし、ギャンブルなど個人的な浪費で作った借金は財産分与の対象とはならず、借金を作った方が全額返済しなければなりません。

夫婦で協力して築いた共有財産や、婚姻生活に必要だった負債は財産分与の対象になると認識しておきましょう。

年金分割|婚姻期間中に納めた年金を分ける

年金分割は、婚姻期間中に納付した厚生年金を分割し、夫婦それぞれに分け合う制度です。年金分割の方法には以下の2種類があります。

年金分割の方法 概要
合意分割 ・夫婦が共働きで厚生年金を納めていた場合に適用される
・夫婦双方の合意によって分割の割合を決める
3号分割 ・夫婦の一方が国民年金第3号被保険者の場合に適用される
・第3号被保険者からの請求により、相手の合意なく婚姻期間中に納めていた年金を1/2で分割できる

合意分割は、夫婦が共働きの場合に双方の合意によって分割割合を決める方法です。

一方の3号分割は、国民年金第3号被保険者からの請求により、相手方の年金を1/2で分割する方法です。

たとえば妻が専業主婦で3号分割を請求された場合、結婚してから離婚するまでに納めた厚生年金の1/2が妻のものになります。

自分が会社員や公務員などで妻が専業主婦の方は、年金分割によって老齢年金が減額される可能性があることを頭に入れておきましょう。

慰謝料|離婚する理由によって請求できる場合・請求される場合がある

離婚する理由によっては、慰謝料を請求できる場合と請求される場合があります。

もしも自分が不倫などの不法行為をしていた場合、妻から慰謝料を請求されるかもしれません。離婚原因によって慰謝料の相場は異なりますが、一般的には50万円〜300万円程度です。

反対に、妻の不法行為が原因で離婚する場合には、慰謝料を請求できます。

なお、慰謝料請求の際は相手と揉める可能性が高いため、離婚問題に強い弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談すれば、妥当な金額を提案してもらえたり、妻との交渉を代行してもらえたりします。

離婚時に妻に慰謝料請求をしたい場合に必要な準備

慰謝料請求の際に確認しておきたいのが、妻への慰謝料請求が成立しそうかどうかです。

たとえば「性格の不一致」や「妻が家事をしない」などの理由では、基本的に慰謝料請求はできません。

一方、不貞行為やDV、モラハラなどの不法行為を妻から受けていた場合は、慰謝料の請求が可能です。

ただし、不法行為があれば必ず慰謝料請求が成功するわけではなく、不法行為があったことの証拠が必要になります。

なお、不法行為に対する慰謝料請求についての詳細は、後ほどの「妻と離婚したい場合に準備すべきこと」の項目で詳しく解説します。

養育費|子供の親権者にならなかった場合に子供のために支払う

養育費は、子供の親権者にならなかった方が子供の監護や教育のために支払う費用のことです。

夫婦が離婚しても父母には子供の扶養義務があるため、子供が自立するまでは養育費の支払いを続けなくてはなりません。

一般的に養育費は男性が支払っているイメージが強いのですが、夫が親権を取った場合、妻にも当然養育費の支払い義務が生じます。

そのため、親権を男性側が取る場合には、妻に養育費を請求できることを念頭に置きましょう。

反対に、妻が親権を取った場合には夫が養育費を支払わなければなりません。

養育費の金額や期間は、夫婦の収入や子供の人数、年齢などから算定されます。

養育費の目安として裁判所が年収別に養育費の算定表を公開していますが、状況によっては算定表通りに決まらない可能性もあります。

そのため、養育費の金額は自己判断をするよりも、離婚問題に強い弁護士に相談して算定してもらうようにしましょう。

親権|9割方母親が親権を獲得する

父親は母親と比べ、親権を取りにくいとされています。

多くの家庭では母親が子供の面倒を見る機会が多く、父親の養育実績が少ないためです。

父親が親権を獲得するためには、離婚するまでに以下のような行動を取りましょう。

  • 子供の「養育実績」を作る
  • 妻よりも良い養育環境を準備しておく
  • 母親が十分に子を養育できないことを証明する
  • 親権が得られない場合は「監護権」を得られるように働きかける

どのように行動すれば良いのか、次の項目から具体的に解説します。

子供の「養育実績」を作る

子供の親権を取るために最も重要なのは養育実績です。養育実績とは、生活を送る中で子供と関わってきた実績のことです。

たとえば以下のようなものが子供の養育実績に当てはまります。

  • 保育園の送り迎え
  • 食事の用意
  • 病気時の看病
  • 洗濯や掃除
  • 学校行事への参加
  • 習い事の付き添い

子供の身の回りの世話をはじめ、学校行事や習い事などにもどれだけ携わってきたのかが重視されます。

そのため、子供の親権を取りたい場合は、可能な限りの時間を使って子供と接するようにしましょう。

子供の世話の大半を妻に任せていると、親権を取ることが難しくなります。

なお、養育実績の証拠として、日記などに育児記録を残しておくと親権の取得が認められやすくなります。子供の身の回りの世話をしたときや変化に気付いたときなどは、こまめに日記に書くようにしてみてください。

妻よりも良い養育環境を準備しておく

親権を取るに当たっては、離婚後の養育環境も重要視されます。

父親が親権を取りにくい理由の1つは、仕事をしている時間が長く子育てができる環境ではないと判断されやすいからです。

親権を得るためには、まず勤務時間や残業など仕事の時間を調整し、子供を優先できるようにしておきましょう。

加えて、保育施設や両親のサポートなど、自分が多忙なときでも子供に影響を与えない環境づくりをすることが大切です。

妻よりも良い養育環境が準備できれば、親権を取れる可能性が高まります。

母親が十分に子を養育できないことを証明する

親権争いは母親が有利になることが多いのですが、母親が子供を十分に養育できないことを証明すれば、父親の親権が認められやすくなります。

母親が親権争いで負ける可能性のあるケースは、以下のとおりです。

  • 虐待や暴言がある
  • 育児放棄(ネグレクト)をしている
  • 精神病に陥っている
  • 子供が父親と暮らすことを望んでいる

母親が虐待や暴言、育児放棄などをしていると、子供へ悪影響を与えるとして親権が認められない可能性が高いです。

重度の精神病や依存症などに陥っており、養育・監護ができない状況と判断された場合にも、親権の取得が難しくなります。

また、子供が概ね12歳以上(中学生以上)で父親と暮らすことを望んでいる場合、子供の意思が最大限に尊重される傾向にあります。

母親が子供を養育できないことを証明するためには、客観的な証拠が必要です。たとえば虐待や暴言がある場合には、怪我の写真や病院の診断書、録音データなどが有力な証拠となります。

親権が得られない場合は「監護権」を得られるように働きかける

監護権とは、子供と同居して身の回りの世話をする権利義務のことです。

通常、監護権は親権の中に含まれるものですが、過去の裁判例を見てみると、親権と監護権を分けているケースがわずかに存在します。

親権を取れなかったとしても監護権を取ることに成功すれば、子供と共に暮らせます。

なお、親権と監護権を分けるケースは非常に珍しいため、監護権の取得を目指すのであれば親権問題に強い弁護士に相談しましょう。

万が一、親権も監護権も得られなかった場合は、面会交流権についての取り決めが必要です。

面会交流は、子供と離れて暮らしている親が定期的に子供と会って話す機会のことです。

面会交流権は親権を持たない親の権利であると同時に子供の権利でもあるため、親権者の都合で拒否することはできません。

面会交流の話し合いをする際には、子供と会う頻度や時間、場所などを取り決めておきましょう。

面会交流について取り決めておけば、親権や監護権を取れなかったとしても子供の様子を定期的に確認できます。

妻と離婚したい場合に準備すべきこと

妻と離婚したい場合、以下の準備をしておきましょう。

  • 貞行為がある場合は客観的な証拠を集める
  • DVやモラハラがある場合は日記・音声データなどを用意しておく
  • 離婚後の生活について考えておく

次の項目から、妻と離婚した場合に準備すべきことについて詳しく開設します。

不貞行為がある場合は客観的な証拠を集める

妻が不貞行為をしている場合は、不倫相手と肉体関係を持っていたことがわかる客観的な証拠を集めましょう。

不貞行為の証拠となるものは以下のとおりです。

  • 不倫相手とホテルに出入りしている写真や動画
  • 性行為の写真や動画
  • 不倫相手とのメッセージやり取り
  • 不貞行為を認める発言の録音
  • 探偵・興信所の調査報告書

ホテルへの出入りや性行為中の写真・動画などが押さえられれば、肉体関係を持っていたことの客観的な証明になります。

また不倫相手とのメッセージやり取りの中に、肉体関係を持っていたことがわかる内容が含まれていれば、証拠になる可能性があります。

ただし、メッセージやり取りは「ふざけていただけ」と反論される恐れもあるので、ホテルの領収書やクレジットカードの明細など、他の証拠と組み合わせて提示しましょう。

また妻が不倫行為を自白したのであれば、証拠がなくても慰謝料の請求が可能です。あとから発言を覆されないよう、録音しておきましょう。

どうしても証拠が見つからない場合、探偵・興信所に調査を依頼する方法がおすすめです。

探偵・興信所に依頼すれば客観的な証拠を集めてもらえるだけでなく、調査報告書も不貞行為の証拠になります。

DVやモラハラがある場合は日記・音声データなどを用意しておく

妻からDVやモラハラを受けている場合、どのような被害を受けたのかを客観的に証明する必要があります。

DVやモラハラの証拠となるものの例は以下のとおりです。

  • モラハラ・DVの内容を書いた日記
  • 音声や動画のデータ
  • メッセージやり取り
  • 怪我・壊されたものの写真
  • 病院の診断書・通院歴
  • 警察・公的機関への相談履歴

モラハラやDVの内容を書いた日記に加え、音声や動画のデータが記録できれば、客観的な証拠になり得ます。

また人格否定の発言や過度に束縛する発言など、モラハラと捉えられるメッセージやり取りも重要な証拠です。

DVを受けている場合、怪我や壊されたものの写真を撮影しておきましょう。

そのほかに、病院の診断書や警察・公的機関への相談履歴なども、モラハラやDVの証拠になります。

離婚後の生活について考えておく

妻と離婚する際には、離婚後の生活について具体的にイメージしておきましょう。

たとえば妻が家事の大半を担っているのであれば、離婚後は自分1人で仕事と家事を両立しなければなりません。加えて、親権を取る場合は育児もこなす必要があります。

反対に、親権を持たないのであれば毎月養育費を支払わなければならないので、生活が苦しくなるケースも考えられます。

勢いに任せて離婚すると後悔する可能性があるため、離婚後にどのような生活になりそうなのか、あらかじめ考えてみてください。

「妻と離婚したい!」と考えた時の相談先

妻と離婚したいと考えているときは、1人で思いつめずに第三者に相談してみましょう。主な相談先は以下のとおりです。

  • 弁護士|ある程度離婚の決意が固まっている場合
  • 離婚カウンセラー|離婚をするかどうかまだ迷っている場合
  • 家庭裁判所の家事相談室|離婚の手続きについて詳しく知りたい場合

どのような相談ができるのか、次の項目から順番に詳しく解説します。

弁護士|ある程度離婚の決意が固まっている場合

離婚の決意がある程度固まっている場合は、弁護士に相談してみてください。

離婚問題の経験が豊富な弁護士に相談すれば、どのように行動すれば良いのかを具体的にアドバイスしてもらえます。

もしも慰謝料請求を考えている場合、証拠集めの方法や妥当な金額などの相談も可能です。

ほかにも親権や面会交流、財産分与など、離婚問題に強い弁護士であれば離婚に関するあらゆる問題の相談に乗ってもらえます。

弁護士の相談料は一般的に30分5,000円程度ですが、初回無料相談ができる弁護士事務所も多いです。

離婚に向けて具体的な行動を起こしたい方は、弁護士に相談してみましょう。

離婚カウンセラー|離婚をするかどうかまだ迷っている場合

妻と離婚するかどうかまだ迷っている場合、離婚カウンセラーに相談して意見を聞いてみましょう。

離婚カウンセラーは離婚や夫婦に関する一定の知識を持っており、悩みを聞いて客観的なアドバイスをするサービスを提供しています。

離婚に踏み切れず迷っているときは、夫婦関係や悩みなどを離婚カウンセラーに相談してみることで、解決につながる可能性があります。

なお、離婚カウンセラーはあくまでも話を聞いてアドバイスをするだけなので、最終的に離婚するかどうかは自分で決めなければなりません。

しかし、離婚カウンセラーに相談することで気持ちが楽になったり、離婚の決意が固まったりすることもあります。

離婚の決意が固まらず背中を押してもらいたい方や、夫婦関係について客観的なアドバイスが欲しい方は、ぜひ利用してみてください。

家庭裁判所の家事相談室|離婚の手続きについて詳しく知りたい場合

離婚の手続きについて詳しく知りたい場合は、家庭裁判所の家事相談室で相談してみましょう。

家庭裁判所の家事相談室では、離婚に必要な手続きや書類、実際にかかる費用などの詳細を教えてもらえます。

家事相談室は無料で利用できるため、調停や裁判の可能性がある場合は、事前に相談しておくと良いでしょう。

なお、家事相談室はあくまでも離婚に関する手続きについて相談する場です。離婚の法的相談やカウンセリングなどのサービスは提供していません。

すでに離婚する意思が固まっており、具体的な手続きが知りたい場合に家事相談室を利用しましょう。

離婚が認められるケースと認められないケースを紹介

離婚が認められるケースと、認められないケースの例は以下のとおりです。

離婚が認められるケース 離婚が認められないケース
・妻が離婚に合意している
・法定離婚事由に当てはまっている
・性格の不一致や価値観の相違
・妻が家事を怠っている
・夫婦喧嘩が多く疲れている
・相手の親族との付き合いが負担になっている
・子供の教育方針の違い

それぞれのケースについて、次の項目から具体的に解説します。

離婚が認められるケース

妻との離婚が認められるケースは、主に以下の2通りです。

  • 妻が離婚に合意している
  • 法定離婚事由に当てはまっている

妻が離婚に合意していれば、特に離婚理由は問われません。離婚届に夫婦双方がサインし、役所に提出するだけで離婚が成立します。

もしも妻が離婚に反対していても、以下の法定離婚事由に当てはまっていれば離婚が可能です。

法的離婚事由 内容
不貞行為 自由意思に基づき、配偶者以外の異性と性的関係を持った
悪意の遺棄 正当な理由なく、夫婦の同居・協力・扶助の義務を怠った
3年以上の生死不明 配偶者の生死が不明な状態が3年以上続いている
強度の精神病で回復見込みがない 配偶者が回復見込みのない強度の精神病にかかり、夫婦の協力義務を果たせない状況になった
その他に婚姻を継続しがたい重大な事由 DV、モラハラ、アルコール依存症、借金、長期間の別居など

法定離婚事由に当てはまっていることを裁判で証明すれば、離婚を望まない相手と強制的に離婚できます。

離婚が認められないケース

先述したとおり、妻が離婚を望んでいない場合は、法定離婚事由に該当しなければ原則として離婚が認められません。

たとえば以下のようなケースでは、離婚は認められないものと考えておきましょう。

  • 性格の不一致・価値観の相違
  • 妻が家事を怠っている
  • 夫婦喧嘩が多く疲れている
  • 相手の親族との付き合いが負担になっている
  • 子供の教育方針の違い

性格の不一致は離婚理由で第1位に入っていますが、法定離婚事由には当てはまらないため、裁判では離婚が認められないケースが大半を占めています。

その他のケースについても、夫婦で協力して乗り越えるべき問題とみなされる可能性が高く、原則として離婚は認められません。

そのため、法定離婚事由に該当していない場合は、妻と話し合いをして離婚の合意を得ましょう。

妻が離婚に応じてくれない時の対処法

妻が離婚に頑なに応じてくれないときは、以下のような対処法がおすすめです。

  • 長期的な対応も可能なら【別居】からはじめてみる
  • 離婚条件を妻に有利なものに譲歩する
  • 夫婦関係が修復できない状態であることを冷静に伝える

それぞれの対処法について詳しく紹介します。

長期的な対応も可能なら【別居】からはじめてみる

長期的な対応が可能であれば、妻と別居するところからはじめてみましょう。

別居をすることにより、妻が次第に「1人でも生活していけるのでは」と考えるようになり、離婚に応じてくれる可能性があります。

また、別居が長期間にわたれば法定離婚事由の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するため、離婚裁判による離婚もできるようになります。

ただし、別居する際は一方的に出ていくのではなく、妻ときちんと話し合いをしましょう。

「離婚したい」という理由だけで一方的に別居すると、同居義務違反であるとして妻から慰謝料を請求される恐れがあります。

なお、自分よりも妻の方が収入が低い場合、婚姻費用の支払いが必要です。婚姻費用は、夫婦が生活するために必要な費用の事です。

婚姻費用のことも含め、妻としっかり話し合ったうえで別居をはじめてみてください。

離婚条件を妻に有利なものに譲歩する

妻が離婚後の環境の変化を不安視して離婚に応じない場合は、妻に有利な離婚条件を提示してみましょう。

とくに妻が子供を引き取ることになる場合、経済的な不安から離婚を躊躇するケースが多くみられます。

妻の財産分与の割合を増やし、養育費の支払いについてもしっかりと取り決めれば、経済的な不安を取り除ける可能性があります。

離婚条件を譲歩することにより、妻が離婚に応じる可能性が高まるため、一度話し合いをしてみてください。

夫婦関係が修復できない状態であることを冷静に伝える

妻が頑なに離婚に反対しているときは、夫婦関係が修復できない状態であることを冷静に伝えましょう。

離婚の意思を妻に何度も伝えても、「時間が経てば気が変わるだろう」と考えているケースがあります。

このような場合、離婚を決めた理由や経緯、時間が経っても気持ちが変わることはないということを冷静に伝え、離婚の意思が強いことを示さなければなりません。

両親や共通の知人など、信頼できる第三者がいる場合は、立ち会ってもらいながら話し合う方法もおすすめです。

なお、離婚の話し合いは、弁護士に立会いを依頼することもできます。

弁護士に立ち会ってもらえれば離婚に対する真剣度を示せるうえ、離婚条件についての建設的な話し合いが可能です。

妻が離婚に絶対に応じないという姿勢を見せているときは、弁護士に立ち会ってもらうことも視野に入れてみてください。

妻と離婚するための具体的な手順

妻と離婚するためには次の手順を踏んで話し合いを進めていきましょう。

  • 協議離婚|まずは話し合いで離婚を目指す
  • 調停離婚|協議離婚が難しい場合は家庭裁判所の「調停」を利用する
  • 裁判離婚|調停でも合意できず「法定離婚事由」がある場合に申立てる

協議離婚で話がまとまらなかった場合、調停離婚に進みます。それでも離婚が成立しなかったときは、裁判で決着をつけることになります。

次の項目から、それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。

協議離婚|まずは話し合いで離婚を目指す

協議離婚は、夫婦間で話し合いをして決める離婚のことです。話し合いでお互いが納得すれば、弁護士に依頼しなくても円満に離婚できます。

厚生労働省が開示しているデータによると、日本では約88%の夫婦が協議離婚によって離婚をしています。

まずは妻に離婚したいことを告げ、離婚条件を話し合いで決めましょう。お互いが離婚条件に納得すれば、市役所に離婚届を提出するだけで離婚が成立します。

注意点として、協議離婚で話し合った内容は「離婚協議書」に記録しておきましょう。

もしも記録をしていなければ、あとから妻に話を覆されてしまう恐れがあるためです。

協議離婚で話し合いがまとまらなければ、調停離婚の段階に進みます。

調停離婚|協議離婚が難しい場合は家庭裁判所の「調停」を利用する

調停離婚は、家庭裁判所に調停を申し立て、調停委員を介して離婚の話し合いを進める方法です。

調停委員が夫婦双方の意見を聞きながら話し合いを進めていくため、妻と直接話す必要はありません。

妻が頑なに話し合いに応じないときや離婚を断固拒否している場合は、調停で第三者を通すことにより、スムーズに話し合いが進む可能性があります。

調停で取り決めた離婚条件にお互いが納得すれば調停成立となり、調停調書が作成されます。調停調書は、離婚調停で取り決めた内容が記載された書面です。

調停が成立した後は、調停調書と離婚届を10日以内に市役所に提出する必要があります。提出は原則として申立人が行います。

裁判離婚|調停でも合意できず「法定離婚事由」がある場合に申立てる

調停離婚でも話し合いがまとまらず不成立となった場合、裁判の判決によって離婚をするかどうかを決めることになります。

裁判離婚で妻との離婚が認められるためには、法定離婚事由が必要です。法定離婚事由に1つでも当てはまっており証拠も持っている場合、妻と離婚できる確率は非常に高いです。

反対に、性格の不一致や家事を怠っているという程度では法定離婚事由に当てはまらないため、裁判で離婚するのは難しいといえます。

裁判離婚を有利に進めるためには、離婚分野を専門とする弁護士への依頼が必須です。

裁判を視野に入れて離婚を進める場合、早い段階で弁護士に相談しておきましょう。

まとめ

妻と離婚したい理由は、性格の不一致やモラハラ、DV、不倫問題、浪費など人によって異なります。

離婚する際には財産分与や親権、養育費、面会交流など離婚条件を細かく取り決める必要があります。

妻が離婚に応じなかったり、離婚条件の話し合いで揉めたりしたときは、離婚問題に強い弁護士に相談しましょう。

早い段階で弁護士に相談しておけば、裁判になったときでも安心して任せられます。1人で悩むのが苦しいときは、弁護士に相談して適切な対処法をアドバイスしてもらってください。

妻と離婚したいという人からよくある質問

自分に他に好きな人がいる場合(不倫・浮気をしている場合)でも離婚を切り出すことはできますか?

自分が不倫や浮気をしている場合でも、相手が納得すれば離婚は可能です。

もしも相手が納得していない場合、協議や調停で話し合いをして離婚するかどうかを決めていきます。

不倫をした有責配偶者からの離婚請求では、別居期間や未成熟子の存在などが考慮されます。また、離婚によって妻が経済的・社会的に大きな負担がかからないかどうかも、重要なポイントです。

ただし不倫による離婚では、妻から慰謝料を請求される可能性があるため、注意しておきましょう。

妻の不法行為が原因で離婚する場合は親権争いで有利になりますか?

不倫やモラハラなど、妻の不法行為が原因で離婚をするとしても、基本的には親権争いに影響を与えることはありません。

夫婦間で発生した問題と、親子の問題は法的には別物として扱われるためです。そのため、妻が不法行為をしていたとしても、親権争いでは養育実績のある方が有利になります。

ただし、妻が子供に虐待をしていたり、不法行為が原因で育児放棄などをしていた場合は、親権争いに影響を与える可能性が非常に高いです。