配偶者に不審な行動が増え、LINEをチェックしたところ不倫が発覚といったケースは少なくありません。
不倫に関するLINEのスクリーンショット（以下：スクショ）は、内容次第で証拠能力を有します。裁判で離婚する際や、慰謝料請求をする際に重要なのは、配偶者と不倫相手の間に肉体関係があったことを立証することです。そのため、LINEに性行為をしたことがわかるようなやり取りや、裸や下着姿のふたりの写真などが残っている場合、それらをスクショすることで証拠として用いることができる可能性があります。
ただし、配偶者のスマホを操作してLINEをスクショする際は、相手にバレないように注意する必要があります。証拠集めの途中でバレてしまうと、証拠隠滅されるおそれがあります。
また、配偶者のスマホのロックを解除し、LINEのトーク履歴を確認することはプライバシーの侵害に該当する恐れがあります。また、例えば自分のスマホなどから、配偶者のLINEアカウントのパスワードやIDを使用してアクセスした場合は、不正アクセス禁止法違反に該当する恐れがあります。
ただし、配偶者のスマホを勝手に見る行為は違法性があり推奨されることではないにしろ、プライバシーを侵害する行為よりも不倫されることによる精神的損害の方が大きいと見られ、不倫した配偶者からの損害賠償請求が認められる確率は低い可能性があります。
「どのように慰謝料請求をすれば良いかわからない」「スクショを証拠に離婚を有利に進めたい」「加害者になるリスクを回避したい」といった場合は、不倫問題や離婚に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。法律や不倫問題、離婚などの専門知識を有している弁護士に相談することで、慰謝料請求や離婚の手続きをスムーズに行えるでしょう。
本記事では、不倫に関するLINEのスクショで証拠能力のある内容とない内容、LINEの証拠を残す方法、証拠集めの際の注意点を解説します。併せて、LINE以外で集めたい証拠、配偶者の不倫を疑うべきポイント、慰謝料請求の流れにも触れていきます。
不倫に関するLINEのスクショは内容次第で証拠になる
裁判で離婚する場合や、配偶者や不倫相手に慰謝料請求する場合、不貞行為の事実を示す証拠が必要となります。LINEのスクショも内容次第では証拠として示せます。例えば、「昨日のセックスが良かった」「昨日行ったラブホテルまた行きたいね」といった性行為があることがうかがえるトーク履歴やホテル内での写真や動画であれば、不貞行為を立証できる可能性があります。
一方で、お互いに好意を寄せる内容のやり取りなどだけでは性行為があったとは言い切れないため、LINEのスクショ以外の証拠が必要となる場合があります。
証拠能力のある内容
不貞行為の証拠となるのは、不倫相手と肉体関係があったり、宿泊したりしたことがわかるLINEのトーク、写真や動画などです。
例えば、下記のような内容をスクショしておけば、不貞行為の事実を示す際に有利に働きます。
- 性行為に対する感想や要望などの生々しいやり取り
- 自分たちで不倫してることを認めるような発言
- ホテルの予約や待ち合わせなどに関するやり取り
- ベッドインしている写真や動画
- 泊りがけの旅行にいったことがうかがえるやり取りや写真、動画
- 同棲しているとうかがえるやり取り
証拠能力のない内容
不貞行為の証拠は、肉体関係を立証する内容であることが重要です。LINEで親密なやり取りが行われていて、お互いに好意を寄せていることがうかがえる内容であっても、肉体関係を示せなければ不貞行為の証拠にはなりません。例えば、2人で会う約束をしていたり、実際にデートしていたりすることがわかるやり取りがあっても、不貞行為を示す証拠としては弱いといえます。
こういった場合はLINEのスクショに加えて、ラブホテルの領収書やクレジットカードの利用明細など、別の証拠も集めておく必要があります。
LINEの不倫の証拠を残す方法
不貞行為の証拠となるLINEのやり取りを残すのには、下記のような方法があります。
- スクリーンショットを自分に送信する
- 自分のスマホで相手のトーク履歴を撮影する
- トーク履歴を動画で撮影する
- LINEのトーク履歴をテキストファイルにして転送する
証拠集めをしていることを配偶者に知られたくない場合は、自分のスマホでの画像や動画の撮影がおすすめです。それぞれのやり方や注意点を解説します。
スクリーンショットを自分に送信する
配偶者のスマホで直接LINEのやり取りをスクショし、自分のスマホに送信する方法です。直接スクショする分、文字も読みやすい鮮明な状態で保存できます。
先述した証拠能力のある内容、つまり肉体関係の事実を示すメッセージや写真、動画を優先してスクショしましょう。日付や時間、送信相手が不倫相手であることがわかるように撮影するのもポイントです。
ただし、配偶者のスマホでスクショ、自分とのトークで送信するのに加え、配偶者の画像フォルダからスクショを削除、自分とのトーク履歴から送信履歴を削除など工数が多いといったデメリットがあります。
また、スクショや送信履歴などの削除ができなかった場合、不倫の証拠集めをしているのが配偶者にバレる可能性があり、リスクの高い方法といえます。
自分のスマホで相手のトーク履歴を撮影する
配偶者のスマホでのスクショの送信は、不自然な送信履歴が残ってしまいます。送信履歴を残したくない場合は、配偶者と不倫相手とのトーク履歴を、自分のスマホで撮影すると良いでしょう。
肉体関係の事実を示す内容を中心に撮影し、メッセージが長い場合や前後のやり取りの流れなどがわからない場合は、複数回に分けて撮影しましょう。
トーク履歴を動画で撮影する
配偶者と不倫相手とのLINEのやり取りが多い、不倫相手と関係が始まったと思われるタイミングから今までの履歴を残したい場合は、動画で撮影するのがおすすめです。配偶者と不倫相手のトーク履歴をスクロールしながら撮影するだけなので、画像を何枚も撮影する手間を省け、比較的簡単に証拠を残せます。
早くスクロールしすぎるとメッセージを確認しづらいため、ゆっくりとスクロールしながら撮影しましょう。また、送信日時などがはっきりわかるように、鮮明な画質で撮影するのもポイントです。
LINEのトーク履歴をテキストファイルにして転送する
LINEは下記のような方法で、トーク履歴をテキストファイルにして保存でき、自分のスマホに転送できます。
- 配偶者のスマホで、不倫相手とのトーク画面を表示させる
- 画面右上の三本線のメニューをタップする
- 歯車マークの設定を開く
- 「トーク履歴を送信」をタップする
- 送信先で自分の名前を選択し、ファイルを転送する
- 自分のスマホで、ファイルを保存する
- 配偶者のスマホで、ファイルの「送信取消」を行う
テキストファイルは、不倫相手とのLINEのやり取りをすべて確認できます。画像は保存できませんが、配偶者のスマホを触る時間があまりない時、不貞行為が長期にわたり過去のやり取りまで確認したい時に便利です。
ただし、ファイルの送信履歴を消しても、自分と配偶者のトークに「メッセージの送信を取り消しました」の文章は残るため、スマホを触ったことを疑われる可能性はあります。
また詳しくは後述しますが、LINEデータの転送は不正アクセス禁止法違反に該当するおそれがあります。テキストファイルはスクショと異なり、改ざんが可能なため、証拠としては不十分と判断される場合もあります。そのため、テキストファイルの確認は証拠となるやり取りの洗い出しに使用し、別途怪しいやり取りをスクショや写真撮影で保存すると良いでしょう。
LINEのスクショで不倫の証拠集めをする際の注意点
不貞行為の証拠集めで配偶者のスマホを触り、スクショなどをする際は下記のような点に注意してください。
- 証拠集めには細心の注意を払う
- すぐ配偶者に問い詰めない
- 不倫相手に連絡しない
- スクショを改ざんしたり捏造したりしない
- プライバシーの侵害に注意する
- 不正アクセス禁止法に注意する
感情的になって配偶者に証拠集めをしていることがバレれば、裁判での離婚や慰謝料請求の際などに不利になるおそれもあります。注意点を踏まえて冷静に証拠集めをしましょう。
証拠集めには細心の注意を払う
LINEのスクショなどによる証拠集めをする際は、相手にバレないように振る舞うことが重要です。相手が気づいてしまうとLINEのメッセージを削除されるおそれがあります。
不貞行為の証拠集めを理由に、LINEの運営元に削除されたメッセージの開示請求を行うのは困難です。また、削除されたトーク履歴の復元ができる場合もありますが、復元の際にアカウント情報が必要になり、配偶者にバレる可能性が高いといえます。
不貞行為の事実を確定させる証拠を掴むまでは、こちらの行動に気づかれないように細心の注意を払いましょう。
すぐ配偶者に問い詰めない
LINEのやり取りなどから配偶者の不倫を知っても、相手をすぐに問い詰めるのは避けましょう。不倫がバレたとわかれば、配偶者が証拠隠滅をするリスクがあるためです。
感情的になりやすいシーンではありますが、不貞行為の確定的な証拠を得るまでは冷静に行動しましょう。
不倫相手に連絡しない
配偶者の不倫が発覚しても、不倫相手に直接連絡するのは避けましょう。感情的な言葉をぶつけたり、いやがらせ行為を行ったり、家族や会社にバラすと発言したりすれば、脅迫罪や恐喝罪などで罪に問われるおそれがあります。
また、接触することで不倫相手にも証拠隠滅のきっかけを与えてしまうため、できるだけ感情を抑えて自分からアクションを起こさないことが重要です。
スクショを改ざんしたり捏造したりしない
LINEのスクショを改ざんしたり、捏造したりした場合は、慰謝料請求が認められなくなるおそれがあります。裁判で離婚する際も不利に働くでしょう。自分が加害者として訴えられる可能性もあるため、オリジナルデータには手を加えないようにしましょう。
プライバシーの侵害に注意する
配偶者のスマホのロックを解除し、LINEのトーク履歴を確認することはプライバシーの侵害に該当し、損害賠償を請求されるおそれもあります。ただし、不倫を疑うだけの事情がある場合は、損害賠償の程度は低いと判断される可能性が高いといえます。
なお、プライバシー侵害に該当したとしても、LINEのスクショなどの証拠能力には影響しません。
不正アクセス禁止法に注意する
不正アクセス禁止法とは、ネットワークを経由して他人のIDやパスワードを用いて、PCやスマホにアクセスするのを禁止することを指します。配偶者がLINEにパスワードロックを設定しており、配偶者のパスワードやIDを使用してアクセスし、データの転送などを行った場合は、不正アクセス禁止法違反に該当するおそれがあります。
通常であれば「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処せられる行為ですが、夫婦間の問題であるため、警察の捜査が及ぶ可能性は低いといえます。また、不正アクセスによって得られた証拠であっても、証拠能力が否定されることはほとんどありません。
LINEの不倫の証拠を隠滅することに対する対策
先述した通り、不貞行為の証拠を掴むまでは、配偶者にこちらの動きを悟られてはいけません。証拠集めをしていることがバレれば、証拠隠滅をはかられるおそれがあります。
削除されたデータは復元できないことがほとんどのため、不倫を疑っていること、LINEの確認をしていることに気づかれないようにしましょう。
なお、LINEのトーク画面を確認している時に、万が一不倫相手からメッセージがきた場合は既読がつき、証拠集めに気づかれるリスクがあります。こういったことを防ぐためにも、トーク画面を開く前にスマホを機内モードに変更し、メッセージを受信しない状態にしておくと良いでしょう。
不倫の立証に役立つLINE以外の証拠
不貞行為を立証するためには、LINE以外の証拠も集めておきましょう。主に下記のようなものが証拠として役立ちます。
- LINE以外のSNSやメールの履歴
- 顔が判別できる写真や動画
- 会話などの録音
- 領収書やクレジットカード明細
- 通話履歴やカーナビの履歴
- 興信所や探偵事務所の調査報告書
LINE以外のSNSやメールの履歴
メールやSNSでの不倫相手とのやり取りも、内容によっては不貞行為の証拠となります。行為についての生々しいやり取りなど、肉体関係があることがわかる内容であることが望ましいです。「昨日は最高だったね」など、曖昧な表現の場合は肉体関係があったとは証明しづらく、証拠としては不十分となる場合があります。
証拠として残す際は、配偶者のスマホであることがわかるように、画面だけでなくスマホ全体を撮影しましょう。送信日時も確認できる状態で撮影することもポイントです。
顔が判別できる写真や動画
裸や下着姿での2ショット写真や動画は証拠能力が高いといえます。旅行で同じ部屋に宿泊している、ラブホテルのベッドで過ごしているなどの写真や動画も証拠となり得ます。
なお、ラブホテルや自宅に出入りする写真を証拠とする場合は日時と場所、同じ部屋でどのくらいの時間を一緒に過ごしていたかがわかるように、入る時と出た時の両方の写真を撮影する必要があります。
また、顔が判別できないものは証拠として不十分とみなされる可能性があるため、配偶者と不倫相手の顔がしっかりと判別できるものを証拠として残しましょう。
会話などの録音
配偶者と不倫相手との会話の録音データも、肉体関係を証明できる内容であれば証拠となります。例えば、配偶者のバッグや車の中にICレコーダーを入れておき、不倫相手と性交渉に及んでいる音声や、肉体関係をもっていることがわかる会話などがとれれば、証拠として認められます。
領収書やクレジットカード明細
ラブホテルや旅館、避妊具などの領収書、クレジットカードの明細も不貞行為の証拠となります。不倫相手へのプレゼント、デートで利用したレストランの領収書などだけでは証拠としては弱いため、肉体関係の事実を示せる証拠を集めましょう。
1つの証拠だけでは不十分でも、LINEのスクショなどと組み合わせ、証拠を複数集めることで不貞行為を立証しやすくなります。
通話履歴やカーナビの履歴
不倫相手との通話履歴やカーナビの履歴、ETCの履歴などは、単体では証拠として弱いですが、他の証拠と組み合わせることで不貞行為の立証に役立ちます。
通話履歴だけでは肉体関係を証明できませんが、やり取りが多ければ、それだけ親密な関係であることを示せるでしょう。カーナビの履歴はラブホテルなどが登録されていれば、LINEのスクショや領収書と組み合わせることで、不貞行為の立証につながります。不自然なETCの履歴があれば、不倫相手とのデートなどで車を使用した可能性も考えられます。
興信所や探偵事務所の調査報告書
興信所や探偵事務所に不倫調査を依頼し、受け取った報告書も不倫の立証に役立ちます。例えば、配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りする姿を捉えた写真など、肉体関係を立証できる内容が盛り込まれた報告書であれば、証拠能力を有します。先述した通り、顔がはっきりとわかる状態の写真であること、ラブホテルの滞在時間がわかるようにホテルに入った時間と出た時間が示せる内要であることが条件です。
写真はあるものの対象者の顔がわからない、報告書の内容が曖昧といった場合は証拠能力に欠けるとみなされる可能性があるため、実績のある興信所や探偵事務所に依頼すると良いでしょう。
LINE以外で配偶者の不倫を疑うべきポイント
配偶者が不倫をしているか判断がつかない場合は、配偶者の行動に変化がないかチェックしてみてください。不倫を疑うべきポイントは下記の通りです。
- 急な残業や出張が増えた
- 身だしなみに気を遣うようになった
- お金の使い方が変わった
- 車の中に違和感を覚えた
- スマホを肌身離さず持ち歩くようになった
急な残業や出張が増えた
異動や昇進などのタイミング以外で、不自然に急な残業や接待、飲み会、出張などが増えた場合は、これらを口実に不倫相手と会っている可能性が考えられます。仕事が増えたにもかかわらず、給料に反映されていないなどの場合が特に要注意です。
配偶者の行動が気になる場合は予定変更になった日時などを記録しておき、後に他の証拠と組み合わせて検証すると良いでしょう。
身だしなみに気を遣うようになった
身だしなみに無頓着だった人が、急に服装や髪型などに気を使い出したら、配偶者以外の人にモテたいと考えている可能性が高いといえます。
下記のような行動は、不倫の兆候の可能性があります。
- ファッションのテイストが変わった
- 香水をつけるようになった
- スキンケアをするようになった
- 新しい下着が増えた
- ブランドものを使い始めた
- 筋トレを始めた
これらの行動以外にも、スマホをコソコソとチェックしているなどの不審な行動がないか様子を観察し、実際に不倫をしているのかを見極めましょう。
お金の使い方が変わった
不倫をしていると身だしなみを整える費用、不倫相手とのデートやホテル代、プレゼント代など出費が増えます。不倫によって、お金の使い方に変化が生じるケースも多い模様です。例えば、買い物をした様子がないのに急に節約を意識しだしたり、お小遣いが足りないと前借りをお願いされたりすることがあります。
配偶者のお金の使い方が変わったと感じる場合は、財布のレシートや、クレジットカードの明細などをさりげなくチェックしてみましょう。
車の中に違和感を覚えた
車に乗った際に違和感を感じるのなら、配偶者が不倫相手を車に乗せた可能性も考えられます。
具体的な違和感は下記の通りです。
- 助手席やミラーの位置が変わっている
- シートが不自然に倒れている
- 車内がいつもよりきれいになっている
- いつもと違う香りがする
- アクセサリーなどの小物が落ちている
- 配偶者とは別の銘柄のタバコの吸い殻がある
- 家族以外の髪の毛が残されている
- 普段行かないような場所へのカーナビの履歴がある
不倫相手が香水をつけていた場合、その香りを隠すために車内に消臭スプレーをかけている可能性があります。この段階では証拠として不十分なため、その他の証拠も集めながら不貞行為を立証しましょう。
スマホを肌身離さず持ち歩くようになった
今まで部屋に無造作に置かれていたスマホをお風呂やトイレなどへも肌身離さず持ち歩くようなら、不倫相手と連絡をとっている可能性も考えられます。
また、スマホの画面を下向きにして置いているのなら、LINEの通知を見られたり、着信の名前を見られたりするのを防いでいるのかもしれません。着信に気づいても電話に出ないのであれば、不倫相手からの着信であった可能性もあり、怪しい兆候といえるでしょう。
不倫の慰謝料請求をする流れ
不倫相手に慰謝料請求を行う場合は、下記のような流れになります。
- 当事者の特定を行う
- 自認書（念書）を書いてもらう
- 相手と直接示談交渉する
- 内容証明郵便で慰謝料請求する
- 慰謝料請求の訴訟を起こす
3の示談交渉で話がまとまれば良いですが、不倫相手が話し合いに応じない場合は内容証明郵便を送ったり、話し合いで折り合いがつかない場合は訴訟に発展したりする可能性もあります。
1.当事者の特定を行う
まずは、不倫相手の氏名や住所、連絡先などを把握し、相手の特定をする必要があります。直接交渉に行く場合は必要ないように思えるかもしれませんが、相手が逃げることも考えられます。また、慰謝料請求で民事訴訟を起こす場合は、訴状に相手方の氏名や住所の記載が必要となります。
配偶者から不倫相手の情報を聞き出せれば良いですが、不倫相手をかばって打ち明けない可能性も考えられます。その場合は弁護士に依頼し、弁護士のみに認められた情報収集である「弁護士照会制度」を用いて、不倫相手の情報を割り出してもらうと良いでしょう。弁護士以外では、探偵に依頼して身元調査を行う方法もあります。
2.自認書（念書）を書いてもらう
不倫相手に慰謝料請求する前に、配偶者に不貞行為を認める自認書（念書）を作成してもらいましょう。具体的には、下記のような内容を記載します。
- 自認書の作成日
- 不貞行為の事実を認める内容
- 不倫相手の氏名、住所、生年月日
- 不倫期間と回数
- 不貞行為に及んだ場所
- 配偶者の氏名、住所、押印
配偶者の自認書は不貞行為の事実を示す証拠となるため、不倫相手に慰謝料請求する際の切り札となります。
3.相手と直接示談交渉する
不倫相手と直接話し合いができる場合は、上記の自認書にあるような配偶者の話の内容に相違がないかを不倫相手に確認のうえ、示談交渉を進めます。話し合いでの「言った」「言わない」を防ぐためにも、相手の同意を得た上で会話を録音しておくと安心です。慰謝料の金額や支払い方法、期限などの取り決めをし、双方が合意すれば示談書を作成します。
なお、慰謝料の支払いが心配な場合や分割払いなどになる場合は、示談書の内容をもとに公正証書を作成するのをおすすめします。公証役場にて、強制執行認諾文言付公正証書を作成しておけば、支払いが滞った場合などに相手の給与や銀行口座を差し押さえる強制執行の手続きが可能となります。
4.内容証明郵便で慰謝料請求する
不倫相手が直接の話し合いに応じない場合は、内容証明郵便にて慰謝料請求を行います。内容証明とは、「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたか」を差出人が作成した謄本によって日本郵便が証明する制度です。
内容証明郵便自体に法的な効力はありませんが、相手に郵便を送った証拠を残せ、さらに不倫相手に心理的なプレッシャーを与えられます。
5.慰謝料請求の訴訟を起こす
内容証明郵便を送っても無視される、話し合いによる示談交渉が平行線を辿るといった場合は、家庭裁判所に訴状を提出し、慰謝料請求訴訟を起こします。
慰謝料請求訴訟では裁判所から和解を打診をされることが多く、双方が条件等に納得すれば判決を待たずに終了します。和解に至らなかった場合は裁判所が判決をくだし、慰謝料支払いの有無や金額が決定します。
LINEで不倫の証拠を見つけたらまず弁護士に相談を
LINEで不倫の証拠を見つけたら、早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。先述した通り、弁護士だけが利用できる「弁護士照会制度」を用いて不倫相手の特定を進められるのに加え、証拠集めやプライバシー侵害や不正アクセス禁止法違反などが心配な場合のリスク回避についてのアドバイスがもらえます。
不倫問題に強い弁護士に相談すれば、自分に有利な条件で不倫相手や配偶者との話を進めてくれるのはもちろん、第三者と話すことで冷静になれるメリットも得られるでしょう。
まとめ
LINEのスクショを不倫の慰謝料請求や裁判での離婚に役立てたい場合は、配偶者と不倫相手の肉体関係を立証できる内容であるかを見極めましょう。性行為の写真や動画、裸や下着姿の2ショットなどがあれば決定的な証拠となりますが、LINEのスクショだけで不貞行為を立証するのが難しそうな場合は、ラブホテルに出入りする写真やホテルや旅館の領収書、クレジットカードの明細など、その他の証拠と組み合わせて証拠能力を高める必要があります。
「LINEのスクショを保存したが、実際に証拠になるかわからない」「不倫相手に慰謝料請求したいが、どうすれば良いかわからない」「離婚を有利に進めたい」と悩んでいる方は、不倫問題や離婚に詳しい弁護士に相談してみてください。慰謝料請求や離婚を有利に進めてくれるのはもちろん、不倫相手と直接やり取りしないですむ分、ストレスも軽減されます。不倫相手を攻撃してしまい、逆に向こうから訴えられるといったリスクも防げるでしょう。