別居中に配偶者が不倫をしてしまった場合、精神的なショックは計り知れないものです。それに加えて「慰謝料を請求したいけど、別居中でも請求できるのかな」「どうやって進めればいいんだろう」といった疑問や不安も抱えている方が多いのではないでしょうか。
まず、別居中でも配偶者が不倫した場合、婚姻関係が破綻していないと判断されれば、慰謝料を請求できる可能性があります。しかし、すでに婚姻関係が破綻していると判断された場合や、そもそも不倫(不貞)だとみなされなかった場合は、慰謝料を請求できない場合があります。
慰謝料の請求が認められやすいケースとしては、以下のとおりです。
- 別居を始めたばかりだった
- 関係修復のための別居だった
- 離婚の意思のない別居だった
- 一方的にされた別居だった
- 離婚前提でも夫婦の交流があった
また、慰謝料を請求する手順としては、夫婦間での話し合い、話し合いでまとまらなければ調停、調停でまとまらなければ裁判の3ステップとなります。
まずは夫婦間の話し合いをすべきですが、まとまりそうにない場合や最初から話し合いが難しい場合は調停や裁判を行わなければなりません。そうなると専門知識が必要になり、手続きも複雑になるため、弁護士への依頼を検討しましょう。
本記事では、別居中の不倫で慰謝料の請求が認められやすいケースや条件、請求の手順、弁護士に相談すべき3つの理由について解説します。請求できる慰謝料の相場もご紹介しているので、参考にしてください。
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別居中の不倫で慰謝料を請求するには条件がある
不倫(不貞)は夫婦の信頼関係を壊す行為とされており、通常は慰謝料請求の対象となりますが、すべてのケースで慰謝料請求が認められるわけではありません。
重要なのは、不倫が「夫婦共同生活の平穏を侵害した」と判断されるかどうかです。夫婦共同生活の平穏を侵害したと判断された場合は、慰謝料を請求できる可能性が高くなります。
もし別居していても、婚姻関係がまだ続いていると認められさえすれば、請求できる場合があります。
しかし、別居中に婚姻関係がすでに破綻していたとみなされると、不倫があっても慰謝料の請求は難しくなります。
そもそも「不倫」と判断される典型的なケースは、配偶者以外の異性と性的関係をもった場合です。食事や親密な連絡のみでは不倫とみなされないこともあり、不倫かどうかの判断は当人の認識によっても変わってきます。
つまり、別居中でも婚姻関係が続いていて、性的関係をともなう不倫があったことが証明できれば、慰謝料を請求できる可能性が高くなります。
別居中の不倫で慰謝料請求が認められやすい5つのケース
別居中の不倫で慰謝料請求が認められやすい5つのケースは以下のとおりです。
- 別居を始めたばかりだった
- 関係修復のための別居だった
- 離婚の意思のない別居だった
- 一方的にされた別居だった
- 離婚前提でも夫婦の交流があった
それぞれ解説します。
別居を始めたばかりだった
別居してすぐに配偶者が不倫をした場合、慰謝料を請求できる可能性があります。
別居期間の長さは、婚姻関係が破綻しているかどうかを判断する重要な基準となります。別居からあまり時間が経っていないうちに不倫があった場合、婚姻関係はまだ続いているとみなされ、不倫に対して慰謝料を請求できることが多いです。
一方、別居が長期間におよんだ後の不倫については、婚姻関係がすでに破綻していると判断される可能性が高く、慰謝料請求が認められにくくなります。一般的に3~5年ほどの長期別居があると、婚姻関係は事実上、破綻しているとみなされることが多いです。
関係修復のための別居だった
婚姻関係の修復のために冷却期間として別居していたとき、配偶者が不倫すると、慰謝料を請求できる可能性が高くなります。
このような一時的な別居では、婚姻関係が破綻しているとはみなされにくく、夫婦としての関係がまだ続いていると判断されることが多いためです。
一方で、離婚を前提とした別居では、すでに婚姻関係が破綻していると判断される可能性が高いため、婚姻を継続する意思がないとみなされ、慰謝料請求が認められにくいです。
また、不倫された側が別居を「冷却期間」として捉えていた場合でも、相手が「離婚前提の別居だった」と主張し、慰謝料請求を拒否されるケースもあります。
そんなケースに備えて、別居中に不倫した相手に対して慰謝料請求を検討している場合、別居時の意図を明確にするための証拠を残しておくことが大切です。たとえば、お互いが署名した合意書や、別居の意図がわかるLINEやメールのやり取りなどが有効な証拠となります。
離婚の意思のない別居だった
単身赴任や出張、里帰り出産、別居婚など、離婚を前提としていない別居中に配偶者が不倫した場合、慰謝料請求が認められやすくなります。
このような別居は、明確な理由がある一時的なもので、婚姻関係が破綻しているとは判断されにくいためです。
しかし、別居中に夫婦仲が悪化し、離婚を前提とした別居に変わった場合は、単身赴任や出張、里帰り出産などの期間を別居期間として含めるかどうかが、慰謝料請求の可否を判断する重要な要素になります。
理由としては、一般的に「婚姻関係が破綻して修復の見込みがない」と判断される別居期間は3~5年とされているためです。
たとえば、相手が単身赴任を始めて10年経過していて、離婚を前提とした別居に変わってから5年が経過していた場合は、婚姻関係が破綻していたとみなされ、慰謝料が請求できないことがあるわけです。
別居期間の長さが慰謝料請求の可否を左右するため、別居が始まった際のタイミングや状況、その後の夫婦間のやり取りを記録しておきましょう。
ただ、双方がすでに離婚に合意している場合や、離婚協議・調停・裁判が進んでいる場合は、基本的に婚姻関係が破綻しているとみなされるため、不倫があっても慰謝料請求が認められる可能性は低くなります。
一方的にされた別居だった
民法752条では、夫婦は同居し、互いに協力し助け合わなければならいないと定められています。そのため、正当な理由がないまま一方的に別居することは、同居義務違反となる可能性があります。もし、配偶者が一方的に別居を始め、不倫した場合、慰謝料を請求できる可能性が高くなります。
ただし、一方的に別居が始まったとしても、婚姻関係が破綻しているとみなされないケースもあります。たとえば、片方が離婚を望んで別居を強行した場合でも、もう一方が離婚を考えていなければ、婚姻関係は継続していると判断されるケースが多いです。
また、別居に正当な理由がある場合、たとえば「DVやモラハラから逃れるため」や「親の介護のため」といった場合は、同居義務違反にはあたりません。このような場合には、慰謝料請求の可否も個別の事情に左右されます。
離婚前提でも夫婦の交流があった
たとえ離婚を前提とした別居中であっても、家族同然の交流が続いていた場合、配偶者の不倫に対して慰謝料を請求できる可能性があります。
たとえば、一緒に食事をする機会が多かったり、相手の家で家事を手伝っていたりしているといった場合です。
相手が「離婚を前提にした別居だ」と主張したとしても、実際には家族としての交流が続いていたことを示す証拠(メールやLINEのやり取り、写真など)があれば、慰謝料の請求が認められる可能性があります。
別居中の不倫で慰謝料を請求する手順
別居中に相手が不倫していた場合の慰謝料を請求する手順は以下のとおりです。
- 夫婦で話し合いをおこなう
- 話し合いでまとまらなければ調停を行う
- 調停でまとまらなければ裁判を行う
それぞれ解説します。
夫婦で話し合いをおこなう
まず、配偶者と直接話し合える場合は、感情的にならず冷静に話し合うことが大切です。話し合いの段階で、慰謝料について合意を得た場合は、合意内容を書面に残しておきましょう。書面を作成することで、後々のトラブルを防ぐことが可能です。
さらに、合意内容を公正証書として残しておくとなおよいです。公正証書は公証人が作成し、公証役場に保管されるため、紛失や偽造の心配がありません。とくに「強制執行認諾文言付き公正証書」を作成すると、相手が慰謝料を支払わなかった場合に、訴訟をせずに財産を強制的に差し押さえることが可能です。
もし、話し合いがうまく進まない場合は、弁護士への相談も検討しましょう。弁護士が代理として交渉を進めてくれるため、スムーズな問題解決が期待できます。
話し合いでまとまらなければ調停を行う
もし、夫婦間での話し合いで合意に至らなかった場合は、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てます。
調停では、男女1人ずつの調停委員があなたと配偶者を交互に呼び出し、お互いの主張を聞きながら、慰謝料問題の解決を目指します。調停委員が間に入ることで、夫婦が直接顔を合わせることなく話し合いができるため、感情的な対立を避け、冷静に話し合えます。
調停中は、別居の経緯や離婚を前提としていたかどうかなど、具体的な質問がされることがあります。そのため、事前にきちんと答えられるように準備しておくことが重要です。
弁護士に依頼しておけば、慰謝料請求や離婚の意思が本気だと相手に示せるので、優位に事を運ぶことができます。
「上手く説明できないかもしれない」といった調停に対する不安を感じることなく、きちんと調停委員に詳細を伝えられるため、夫婦間での話し合いでは解決が見込めないと分かった段階で依頼しておくとよいでしょう。
調停でまとまらなければ裁判を行う
調停が不成立となった場合、最終的には裁判が行われます。裁判では、裁判官が最終的な判断を下すため、不倫の事実を証明する証拠の有無が重要になります。
証拠がしっかりしていれば有利な立場に立てますが、証拠の提出方法や主張の仕方によって反対に不利になる場合があるため注意しなければなりません。
また、裁判に向けた手続きでは、訴状や準備書面、陳述書など、専門知識が必要な書類を作成する必要があります。
裁判における主張や手続きは、知識のない一般人には難しいため、基本的に弁護士へ依頼するとよいです。
弁護士は専門家として、依頼人が配偶者に慰謝料をきちんと請求できるように、証拠の提出手続きや適切な主張をしてくれるため、安心して裁判に臨めるでしょう。
不倫による慰謝料相場
不倫の慰謝料相場は以下のとおりです。
ケース
|
慰謝料相場
|
不倫で離婚した場合
|
100~500万円程度
|
不倫で離婚しなかった場合
|
50~200万円程度
|
慰謝料の金額は、ケースごとに大きく変わる可能性があるので、具体的な金額を知りたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
不倫で離婚した場合の慰謝料相場
不倫が原因で婚姻関係が破綻し、離婚に至った場合は、精神的苦痛が大きくなるため、慰謝料が高額になる傾向があります。
一般的には、100~500万円が相場です。慰謝料の金額は、婚姻年数や不倫の頻度・期間、子どもの有無などによっても変動します。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
不倫で離婚しなかった場合の慰謝料相場
不倫が発覚しても離婚しなかった場合、慰謝料の金額は離婚した場合よりも低くなる傾向があります。精神的苦痛が比較的小さく見積もられることが理由で、慰謝料としては50万~100万円程度となることが多いです。
ただし、慰謝料の金額は、不倫の期間や頻度、または夫婦間の状況によって増減する可能性があります。
別居中の不倫で慰謝料請求したい場合は弁護士への相談がおすすめな理由
別居中の不倫で慰謝料請求したい場合は弁護士に相談することをおすすめします。その理由は以下のとおりです。
- 慰謝料請求が可能かどうかアドバイスしてもらえる
- 相手との交渉を任せられる
- 証拠集めについてもアドバイスがもらえる
それぞれ解説します。
慰謝料請求が可能かどうかアドバイスしてもらえる
弁護士に相談することで、婚姻関係が法的に破綻しているかどうかを判断してもらい、慰謝料を請求できるかどうかのアドバイスを受けられます。
慰謝料請求が可能な場合、請求金額の算出や、請求の手続きについても弁護士がサポートしてくれるため、安心して問題解決に向けて動けるでしょう。
相手との交渉を任せられる
弁護士に依頼すると、代わりに相手と交渉してもらえます。配偶者や浮気相手と直接やり取りをする必要がなくなるため、精神的な負担が大幅に軽減されます。
交渉のストレスから解放されれば、冷静に状況を整理できるので、より問題解決に集中できるのもメリットです。
証拠集めについてもアドバイスがもらえる
弁護士に相談すると、どのような証拠を集めればよいか、証拠収集の方法などについて具体的なアドバイスがもらえます。
別居中の相手の不倫の証拠を、一人で集めるのは難しい場合も少なくありません。しかし、弁護士に依頼すれば、慰謝料請求に有利な証拠を効率よく集めることができ、より確実な請求につなげることができます。
まとめ
別居中の不倫に対する慰謝料請求の可否や請求できる額は、婚姻関係の状況や証拠の有無によって異なります。
まずは弁護士に相談し、慰謝料請求が可能かどうかを判断してもらうことが大切です。弁護士に依頼すれば、相手との交渉や証拠集めもサポートしてもらうことができ、精神的な負担も軽減できます。
的確なアドバイスを受けながら進められるため、正当に慰謝料を請求することが可能です。
もし、別居中に配偶者が不倫をして、慰謝料の請求を検討している場合は早めに弁護士に相談して、最善の結果を目指しましょう。
別居や離婚についてよくある質問
家庭内別居だった場合は慰謝料請求が認められる?
夫婦が離婚に合意していて、家庭内別居が長期間にわたって続いている場合は、婚姻関係が破綻しているとみなされる可能性が高いため、配偶者が不倫をしても、慰謝料を請求することは難しいです。
ただし、家庭内別居の状態が証明されなければ、婚姻関係が破綻しているとはみなされず、慰謝料の請求が認められる場合があります。
慰謝料請求する場合にどんな証拠が必要?
不倫した配偶者や不倫相手に慰謝料を請求するためには、証拠が重要です。証拠が不十分だと、配偶者や不倫相手に不倫の事実を否定され、言い逃れされる可能性があります。
慰謝料請求で有効な証拠となるものは以下のとおりです。
- 性行為中の写真や動画
- ラブホテルに出入りする写真や動画
- 配偶者が不倫相手の家に出入りする写真や動画
- 不倫を認める音声データ(無理やり言わされたと主張されないように、全体のやり取りを記録)
- LINEやメールなどの不倫を示すやり取りの記録(他の証拠の補強に有効)
そもそも別居婚だった場合は慰謝料請求が可能?
別居婚であっても婚姻関係が存在するため、同居している夫婦と同様に慰謝料の請求は可能です。
そもそも別居婚とは、入籍しても夫婦が一緒に暮らさず、別々に生活を続ける夫婦のかたちです。夫婦仲が良好であることが前提として婚姻関係が成り立っているため、配偶者が不倫した場合は慰謝料が請求できるわけです。
しかし、別居婚が長期間続き、夫婦のコミュニケーションがほとんどない場合は、婚姻関係が破綻しているとみなされ、慰謝料の請求ができない、もしくは減額となる場合があります。
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