不倫相手の居場所を特定する際に必要な情報
不倫相手に対して慰謝料を請求するためには、まず相手と連絡を取る手段を確保しなければなりません。
慰謝料の請求方法には、不倫相手を呼び出して直接話し合うほか、内容証明郵便を送る方法や最終的に訴訟を起こす方法などがあります。
しかし、内容証明郵便の送付や訴訟などで慰謝料請求をする場合、不倫相手の居場所を特定することが必要不可欠です。不倫相手の氏名や住所(または勤務先)などがわかっていれば、居場所の特定は比較的簡単にできるでしょう。
氏名や住所がわからなかったとしても、メールアドレスや電話番号、車のナンバー、LINEのIDなどがわかれば、弁護士会照会を通して居場所を特定できるケースがあります。また、SNSのアカウントから交友関係や勤務先の手がかりを得られる場合もあるでしょう。
不倫相手の居場所がわからない場合は、些細な情報でもきちんとメモに残したうえで、弁護士や探偵などの専門家に相談しましょう。
不倫相手の居場所を特定する方法は3種類
不倫相手の居場所を特定する方法として、主に以下の3種類に大別されます。
- 自力で調べる
- 弁護士や司法書士・行政書士に依頼する
- 探偵に依頼する
自力で調べれば費用はかかりませんが、やり方を誤ると裁判で不利になる恐れがあるため、慎重に行動する必要があります。弁護士や司法書士、行政書士、探偵などの専門家に依頼した場合、費用は発生するものの適切な方法で居場所を特定してもらえます。
次の項目から、不倫相手の居場所を特定する方法について詳しく解説します。
自力で調べる
自分で不倫相手の居場所を特定する方法として、配偶者や不倫相手に直接聞いたり、尾行をしたりするという手段があります。しかし、この方法にはリスクが伴います。
たとえば相手に問い詰める際に脅迫とみなされるような言動をすると、脅迫罪に該当する可能性があります。また、相手の後をつけたり無断で情報を入手したりする行為は、プライバシーの侵害やストーカー規制法に抵触する恐れがあるため、注意が必要です。
このように、自力で調べる方法は一歩間違えれば違法行為になるリスクが伴います。配偶者や不倫相手から穏便に居場所を聞き出せそうにない場合、できるだけ自分で調査するのはやめた方がよいでしょう。
弁護士や司法書士・行政書士に依頼する
法的な手続きを利用して不倫相手の住所を特定したい場合は、弁護士や司法書士、行政書士に依頼しましょう。
上記の専門家は、業務に必要な範囲で住民票や戸籍謄本、戸籍の附票などの書類を取得することが可能です。慰謝料請求のための内容証明を作成する際にも、不倫相手の居場所の特定は業務範囲内となります。
なかでも、弁護士に依頼すれば「弁護士会照会」を利用し、些細な情報からでも不倫相手の居場所を特定できます。
弁護士会照会とは、職務活動を円滑に進めるために官公庁や企業などに対して、情報の照会を申し出ることができる制度のことです。
たとえば不倫相手の電話番号がわかっている場合、通信キャリアの企業に照会を申し出ることで、不倫相手の住所を特定できます。弁護士会照会を申し出て審査に通過すれば、担当弁護士に結果が報告され、不倫相手に慰謝料請求ができるようになるという流れです。
また、弁護士に依頼することで証拠集めのアドバイスや不倫相手との交渉の代理などをしてもらえるため、慰謝料請求をスムーズに進められるでしょう。不倫相手の居場所がわからずに困っている場合、まずは弁護士に相談してみてください。
探偵に依頼する
不倫相手の名前や行動パターンがある程度把握できている場合は、探偵に依頼して居場所を特定してもらうという方法もあります。
探偵事務所は、身辺調査や住所特定のプロフェッショナルであるため、自力で尾行するよりも安全かつ確実に不倫相手の情報を入手できます。
また、自分で尾行すると不倫相手にバレるリスクがあり、ストーカーやプライバシーの侵害などで通報されてしまいかねません。探偵なら尾行の技術を持っているため、不倫相手に気付かれることなく情報を集めることが可能です。
さらに、探偵には不倫の証拠集めの対応もしてもらえます。たとえば配偶者とラブホテルに出入りしている写真や調査報告書などは、裁判に発展した際に有力な証拠として提示できます。
不倫の証拠が十分に集まっていない場合は、探偵に居場所の特定と証拠集めを同時に依頼する方法がおすすめです。
不倫相手の居場所を自分で調べる際にNGな行為
不倫相手の居場所を特定したいからといって、手段を選ばずに行動を起こすのはやめておきましょう。調査のやり方によっては法律に違反し、逆に自分が罪に問われる恐れがあるためです。
自分で不倫相手の居場所を特定する際のNG行為は以下のとおりです。
- 配偶者や不倫相手を脅して自白させる
- 配偶者や相手を尾行し、他人の敷地内に入る
- 配偶者のスマホのパスワードを入手して中身をチェックする
- 配偶者にGPSを仕掛ける
ここでは、不倫相手の居場所を特定する際に気をつけるべき行為について解説します。
配偶者や不倫相手を脅して自白させる
配偶者や不倫相手を強く問い詰めたり、脅したりして情報を引き出そうとする行為は、脅迫罪や強要罪に該当する危険性があります。たとえば「居場所を教えなければ、職場や家族に不貞行為をばらす」などの言動です。
また、そもそも配偶者が不倫相手の住所を知らない場合も多いため、強く詰め寄っても知りたい情報が得られるとは限りません。不倫相手の名前やLINEのIDなどを聞き出せたとしても、現住所や職場などは把握していない可能性があります。
なお、配偶者が離婚を望んでいない場合は「不倫相手の情報を教えることで関係を修復できる」と考えて協力してくれる場合もあるでしょう。しかし、情報が不十分だからといって脅迫すると、逆に訴えられるリスクがあるため注意が必要です。
配偶者や不倫相手から直接情報を聞き出す場合、脅迫や強要にならないよう、冷静に対応することを心掛けましょう。
配偶者や相手を尾行し、他人の敷地内に入る
不倫相手の居場所を特定するために、配偶者や不倫相手を尾行するという方法には大きなリスクが伴います。
まず尾行が相手にバレた場合、プライバシーの侵害やストーカー規制法に抵触する可能性があります。とくに相手が恐怖を感じて警察に通報した場合、法的な問題に発展することも考えられるでしょう。
また、尾行中に相手の住居や勤務先の敷地内に無断で入ると、住居侵入罪に問われる恐れもあります。たとえ短時間であっても、他人の敷地に入る行為は違法となるため、非常に危険です。
もしも上記のような罪に問われた場合、訴訟の際に自分の行動が問題視され、慰謝料請求が不利に働く場合もあります。
このように、自分で尾行すると思わぬトラブルに発展する可能性が考えられるため、基本的には探偵などの専門家に任せるようにしましょう。
配偶者のスマホのパスワードを入手して中身をチェックする
不倫相手の情報を得るために、配偶者のスマホのパスワードを入手し、通話履歴やSNS、メッセージアプリを確認するという方法を考える方も多いでしょう。
しかし、上記は違法行為に該当する可能性が高く、配偶者から訴えられるリスクを伴います。
たとえ夫婦であっても、配偶者の同意なしにスマホを勝手に操作する行為はプライバシーの侵害に当たります。また、SNSやメッセージアプリなどにログインすると、不正アクセス禁止法違反に問われる可能性があります。
上記のような行為が発覚すると、慰謝料請求を進めるどころか逆に自分が訴えられる恐れがあるため、スマホを勝手にチェックするのはやめておきましょう。スマホをチェックする際には、配偶者からの許可を得ることが大切です。
配偶者にGPSを仕掛ける
配偶者の車や持ち物などにGPSを仕掛けることで、不倫相手の居場所を特定できる可能性もあります。
しかし、相手の同意を得ずにGPSを設置して位置情報を取得する行為は、ストーカー規制法によって禁止されています。夫婦間であってもストーカー規制法は適用されるため、注意が必要です。
また、配偶者のスマホに無断でGPSアプリも同様に違法行為となります。ストーカー規制法のほか、不正アクセス禁止法や電波法違反などに問われる可能性があるため、絶対にやめておきましょう。
上記のように違法な手段を使ってしまうと、慰謝料請求が不利になるだけでなく、自分が罪に問われるリスクが生じます。弁護士や探偵などの専門家に相談のうえ、正規の手続きを踏んで不倫相手の居場所を特定するようにしましょう。
弁護士や探偵に不倫相手の居場所を調べてもらうときに必要な情報
弁護士や探偵に依頼する場合、不倫相手の居場所を特定するためにできるだけ多くの情報を提供することが重要です。
弁護士は主に弁護士会照会、探偵は尾行や身辺調査などの方法で居場所を特定しますが、いずれの場合も事前に不倫相手の手がかりを集めておくと、調査がスムーズに進みます。
不倫相手の居場所を特定する際に、有力な情報となるものの例は以下のとおりです。
- 携帯の電話番号
- 車のナンバー
- メールアドレス
- >LINEのID
それぞれの情報でどのように不倫相手の居場所を特定できるのか、次の項目から詳しく解説します。
携帯の電話番号
不倫相手の携帯電話番号がわかっていれば、弁護士会照会や独自の調査などによって住所を特定できる可能性があります。
弁護士に依頼した場合、不倫相手の携帯電話番号をもとに通信キャリアへ契約者情報の照会を申請できます。たとえばNTTドコモ、au、ソフトバンクなどの大手キャリアであれば、弁護士会照会によって氏名や住所情報などを提供してもらうよう申し出が可能です。
大半の電話会社は弁護士会照会に対応していますが、一部の格安SIM会社などは対応していないケースもあるため、その場合は別の方法を取る必要があります。
一方、探偵は個人情報を照会する権利はないため、携帯電話番号だけで住所を特定するのは基本的に難しいと考えましょう。しかし、携帯電話番号が不倫相手のSNSアカウントなどと紐づいていれば、SNSの情報をもとに交友関係や行動パターンを分析し、居場所を特定できる可能性があります。
車のナンバー
車のナンバーも、不倫相手の居場所を特定するための重要な情報のひとつです。配偶者が不倫相手の車に乗っているのを見る機会があれば、車のナンバーをメモに取っておきましょう。
弁護士に依頼すると、不倫相手の車のナンバーをもとに、弁護士会照会を利用して自動車検査登録事務所や軽自動車検査協会に対して所有者情報の開示を請求できます。ただし、車の所有者が家族名義で登録されているケースも考えられるため、その場合は他の手がかりと組み合わせた調査が必要になります。
一方、探偵を利用する場合、基本的に車のナンバーのみでの調査は難しいでしょう。しかし、車のナンバーのほかに、車種やカラー、おおよその住所や勤務先、最寄り駅などがわかっていれば、張り込みや尾行調査などによって居場所を特定できるケースもあります。
メールアドレス
メールアドレスからも、不倫相手の居場所を特定できる可能性があります。
弁護士に依頼する場合、携帯キャリアのメールアドレスであれば、弁護士会照会を通じて契約者情報の取得が可能です。携帯電話番号と同様、通信キャリアに紹介を申し出て情報を取得する流れになります。
注意点として、判明しているメールアドレスがGmailやYahoo!メールなどのフリーメールの場合、個人情報の開示請求はできません。そのため、携帯キャリアのメールアドレスを知っている場合にのみ有効な手段となります。
探偵を利用する場合は、携帯電話番号と同様、メールアドレスと紐づいているSNSアカウントなどを調査して情報を特定する形になるでしょう。この場合、携帯キャリアのメールでもフリーメールでも問題はありません。
LINEのID
不倫相手のLINEのIDがわかっていたり、プロフィールが見られる状態だったりする場合、居場所を特定できるケースがあります。
弁護士に依頼すれば、弁護士会照会を通じてLINE株式会社に情報の提供を申し出て、登録されている携帯電話番号を取得することが可能です。携帯電話番号が判明すれば、前述の通信キャリアへの照会をおこない、不倫相手の居場所を特定できます。
一方、探偵に依頼する場合、LINEのIDのみで居場所を特定することはできません。不倫相手のプロフィール情報が見られるのであれば、アイコン写真やタイムラインの投稿などから交友関係や勤務先を割り出せる可能性はあるでしょう。
相手の住所はわかっているが名前がわからない場合の対処法
不倫相手の住所はわかっているものの、名前やフルネームがわからないというケースもあります。住所から名前を調査する方法は、主に以下のとおりです。
- 不動産管理会社から情報を取得する
- 住民票の写しを取得する
- SNSや勤務先のホームページを確認する
それぞれの方法について、詳しく解説します。
不動産管理会社から情報を取得する
住所が判明しているのであれば、弁護士や司法書士を通じて、不動産管理会社から情報を取得する方法が取れます。
賃貸物件の場合、不動産管理会社や大家が入居者の氏名を把握しているため、正当な理由を示せば情報を開示してもらえる可能性は高いでしょう。
ただし、不動産管理会社ごとに対応が異なる点には注意が必要です。会社の方針によっては、プライバシー保護の観点から情報の開示を拒否されるケースもあります。
不動産管理会社から情報が取得できないときは、別の方法を検討しましょう。
住民票の写しを取得する
不動産管理会社に開示請求を拒否されたり、不倫相手が一戸建てに住んでいたりする場合は、住民票の写しを取得する方法があります。
ただし、自分や家族以外の住民票を取得するためには正当な理由を証明する必要があり、手続きが厳しく制限されています。具体的には、本人からの委任状や正当な使用目的を示す書類などが必要です。
基本的に個人で不倫相手の住民票を取得するのは難しいため、弁護士に依頼するのが現実的な方法となります。弁護士であれば、一定の要件を満たせば「職務上請求」という権利によって、他人の住民票を取得することが可能です。
住民票の写しを取得して名前を確認したい場合は、弁護士に依頼するようにしてみてください。
SNSや勤務先のホームページを確認する
住所のほかに不倫相手のSNSや勤務先などがわかっている場合、SNSの投稿や勤務先のホームページで名前を確認できる可能性があります。
たとえば、Facebookのように実名で登録するSNSであれば、不倫相手のアカウントを突き止めるだけで名前を知ることが可能です。また、InstagramやXなどのSNSにも、本名に関する情報が記載されている可能性もあるでしょう。
また、不倫相手が勤務している会社のホームページの社員紹介ページなどにも、本名が記載されている場合があります。近年はプライバシー保護の観点から実名を記載するケースは減ったものの、会社によっては顔写真と本名が掲載されています。
SNSや勤務先のホームページであれば自力でも確認できるため、一度チェックしてみてください。
まとめ
不倫相手に慰謝料請求をするためには、まず居場所を突き止めて連絡を取る手段を確保する必要があります。
情報収集は自力でもできますが、知らず知らずのうちに違法行為を犯してしまうリスクがあるため、注意が必要です。脅迫や強要、プライバシーの侵害、住居侵入などをすると逆に自分が訴えられてしまい、慰謝料請求が不利になる恐れがあります。
安全かつ確実に不倫相手の居場所を特定したい場合、弁護士や探偵などの専門家に依頼することをおすすめします。費用は発生しますが、些細な情報からでも合法な手段で居場所の特定が可能です。
とくに離婚問題に強い弁護士に相談すれば、居場所の特定のみならず証拠集めに関するアドバイスや、慰謝料請求のことまで一貫して任せられます。また、離婚や慰謝料請求に強い弁護士は探偵と提携していることも多く、必要に応じて探偵事務所の紹介もしてもらえます。
不倫相手の居場所がわからず困っている方は、まずは弁護士の無料相談を活用してみてください。
不倫相手の居場所に関するよくある質問
不倫相手の勤務先がわかっている場合は勤務先に内容証明郵便を送っても良いのでしょうか?
不倫相手の勤務先がわかっていれば、勤務先に内容証明郵便を送り慰謝料請求の意思を伝えることは可能です。
ただし、勤務先に不倫の事実が知られてしまうと、不倫相手から名誉毀損で訴えられるリスクがあります。そのため、勤務先に内容証明郵便を送る場合は「親展」や「重要書類」などと記載のうえ個人宛で送るなど、勤務先に不倫の内容が知られないよう配慮しなければなりません。
弁護士や探偵に住所の特定を依頼すると費用は発生しますが、勤務先に内容証明郵便を送付すると上記のようなリスクを伴います。リスクを避けるためには、費用がかかってでも専門家に調査してもらった方がよいでしょう。
不倫慰謝料を請求する場合、氏名や住所以外に必要な情報はありますか?
慰謝料請求を行うためには、不倫相手の氏名や住所を特定するだけでなく、不貞行為(肉体関係)があったことを証明できる証拠が必要です。話し合いの段階で不倫相手が慰謝料請求に応じれば証拠は不要ですが、裁判に発展した場合、客観的な証拠の提示が必ず求められます。
不貞行為の証拠となるものの具体的な例は以下のとおりです。
- ラブホテルに2人で出入りしている写真・動画
- 肉体関係を持っていたことが推測できるメールやLINE
- 性交渉中の写真・動画
- ホテルの領収書やクレジットカードの明細
- 探偵事務所の調査報告書
不貞行為の証拠を集める際には、プライバシー侵害や違法行為にならないよう注意が必要です。前述したとおり、配偶者にGPSを仕掛けたりスマホを勝手に見たりすると、違法行為として訴えられる恐れがあります。
不倫相手の居場所を特定するときと同様、違法行為をしないように心掛けながら証拠を集めるようにしてください。
不倫相手の場所を特定した後もやってはいけないことはありますか?
不倫相手の居場所を特定した場合、手に入れた情報を悪用しないように心掛けましょう。
たとえば、SNSやインターネット掲示板などで不倫相手を名指しで誹謗中傷したり不倫の事実を公に晒したりする行為は、名誉棄損罪や侮辱罪に該当します。たとえ不倫が事実であったとしても、相手の社会的評価を著しく低下させるような行為は処罰の対象となります。
また、不倫相手の勤務先や家に押しかけて問い詰めるなどの行為も、ストーカー規制法や威力業務妨害罪などに該当する可能性があります。
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