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不倫における示談書の書き方とは?テンプレ例文付きで徹底解説

不倫 示談書 書き方

不倫における示談書は、示談が成立したことを証明する証拠資料であるとともに、和解契約の一種として法的効力のある文書です。示談が成立したあとは、当事者は示談書で合意した内容以外の請求はできなくなります。

また、示談書を公正証書で作成することで、慰謝料の支払いが滞った場合には、裁判を経ずに強制執行することも可能となります。

このように示談書は不倫に関する紛争を解決する有効な手段となるため、示談書に記載する内容は非常に重要となります。不倫の事実関係や慰謝料に関することを規定するだけでなく、不倫関係を終わらせ、新たな紛争が発生しないように誓約事項などを盛り込むことが必要です。

示談書に記載すべき事項や慰謝料の請求額は、不倫関係の状況など、個別の事情によって変わる可能性があるため、適正な慰謝料を請求しながら不倫問題を解決するためには弁護士に依頼することも考えたほうがよいでしょう。

この記事では、示談書の書き方や作成する手順を解説するとともに、示談書を作成することでどういった効力が生じ、何に注意して作成しなければならないかについて紹介します。

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南陽輔 弁護士
監修
南 陽輔(弁護士)

不倫における示談書とは紛争解決のための当事者間の合意書

不倫によって不倫相手や配偶者を含めた紛争となった場合、その解決に向けて当事者間の合意事項を示談書で作成することがあります。

そもそも不倫とは、一般的に既婚者が配偶者以外の人と交際関係にあることを指します。

一般的に使われる「不倫」という言葉に対して、法律上の用語として使われるのが「不貞行為」です。不貞行為は、裁判上の離婚理由の1つです(民法770条)。

基本的に、不倫相手に慰謝料を請求したり、配偶者に離婚請求したりといった法的な請求をするには、不貞行為が必要と考えられています。

そして、不倫が発覚したときに当事者間で行われるのが示談です。

示談とは、裁判上の手続きによらず、当事者間のトラブルに向けて話し合いを行うことです。示談書は、その話し合いで被害者と加害者が合意した内容を記載した文書になります(和解書、合意書と呼ばれることもあります)。

示談は、法律上、民法695条における和解契約にあたり、示談の合意内容を記した示談書は法的効力が認められます。

示談は示談書を作成せず、口頭による合意だけでも有効です。ただし、合意内容を明確にし、あとから言った言わないといった紛争を防止するために、通常は示談書を作成します。

示談書と誓約書との違い

当事者間の紛争を解決するために、誓約書を作成する場合もあります。
この点、示談書は契約に基づくものであり、示談書に署名・捺印した当事者全員が守らなければならないのに対し、誓約書は、作成者(加害者)のみの約束を書面にしたものという違いがあります。

そのため、将来のトラブル防止の観点からは、誓約書より当事者全員に対して法的拘束力がある示談書のほうが望ましいといえるでしょう。

不倫における示談書の効力

示談は書面によらず口頭でも可能ですが、示談書を作成することでさまざまな効力があります。

  • 示談が成立した証拠資料になる
  • 不倫問題を円満に解決するための有効な手段になる
  • 不倫の再発防止に役立つ
  • 離婚した場合でも示談書の効力は基本的に認められる

示談が成立した証拠資料になる

示談書は、不倫の事実や不倫相手がそれを認めたという証拠書類になります。示談書は和解契約の1種として法的な効力が認められるため、のちのち裁判となった場合も有力な証拠になります。

また、なかには不倫について軽く考え話し合いに応じない、請求を拒否する不倫相手がいる可能性も考えられます。
この点、弁護士を通じて示談書を作成することで、不倫相手に精神的苦痛を受けたことやそれにともなう慰謝料請求の意思や本気度を明確に伝え、不倫相手の対応を変えられる場合があります。

不倫問題を円満に解決するための有効な手段になる

当事者が合意し、署名・押印した示談書には法的効力があり、不倫問題を円満に解決する有効な手段になります。

示談書で決めた金額や支払い方法、誓約事項などは後から変更することはできません。また、不倫相手が合意した内容を履行せず裁判になったとしても、示談書が有力な証拠書類となるため、最終的な解決につながりやすくなります。

不倫の再発防止に役立つ

示談書は、不倫相手に対し、配偶者との接触を禁じるなど誓約事項を含めて作成されます。不倫された側は、慰謝料を請求したい場合もありますが、それ以上に不倫関係を繰り返して欲しくないことを強く望むことも少なくありません。

現実には、不倫が発覚後も関係が解消されず、そのまま継続されるケースもあります。示談書に、誓約事項ならびに誓約事項に違反した場合のペナルティを記載しておくことで、不倫の再発防止に役立ちます。

離婚した場合でも示談書の効力は基本的に認められる

示談後に離婚することになった場合でも、示談書の効力は認められると考えられています。離婚したかどうかは、基本的に示談書の内容に影響しないとされているためです。

ただし、不倫相手と配偶者の接触禁止事項などの誓約条項は、離婚後までその必要性や合理性が認められるかは判断が分かれる可能性があります。詳しくは専門家に確認してもらうとよいでしょう。

また、離婚を考える場合、不倫した事実は親権などに影響する可能性もあります。このとき配偶者から不倫はしていないと言われるとそれを立証することが難しい場合もあります。

このとき示談書を作成していれば、法的な効力をもった証拠書類となりますので、裁判になった場合も有利に進めることができるでしょう。

不倫における示談書の書き方【テンプレ例文付き】

では、不倫における示談書はどのように作成すればよいのでしょうか。のちのちの紛争を防止するために、示談書に盛り込む記載事項があります。ここでは不倫における示談書の書き方を具体的に紹介します。

  • 不倫の事実を記載する
  • 慰謝料の詳細を記載する
  • 期限の利益の喪失と遅延損害金について記載する
  • 誓約事項を記載する
  • 求償権の放棄について記載する
  • 守秘義務について記載する
  • 清算条項を記載する

不倫の事実を記載する

不倫があった事実を記載し、不倫相手に認めさせる必要があります。

  • 不倫の期間(いつからいつまで行われたのか)
  • 不倫の当事者(誰と誰が不貞行為したのか)
  • 不倫によって精神的苦痛など被害を受けたこと
  • 不倫行為の事実を認める内容
  • 不倫した当事者の謝罪

このような内容を記載することで、あとから「不倫した覚えがない」といった不倫相手の主張を防ぐことができます。

【記載例】
乙は甲に対し、令和●年●月●日から令和●年●月●日までの間、甲の配偶者である〇〇との間で不貞関係にあり、甲と丙の婚姻生活の平穏を害し、甲に対して精神的苦痛を与えたことを認めるとともに、これについて謝罪する。

慰謝料の詳細を記載する

慰謝料の支払い義務があることを含めて、慰謝料の金額や支払い方法、支払い期間などを記載します。

  • 慰謝料の額
  • 支払い方法(銀行の振込先や現金払いかなど)
  • 慰謝料を振込む期限・回数(分割払いの場合)
  • 振込み手数料をどちらが負担するか

なお、不倫の慰謝料の相場は、離婚したかしなかったかなどで変わりますが50~300万円です。具体的な金額は、不倫期間や婚姻期間、不倫の悪質性などによって変わります。

【記載例】
乙は甲に対して、本件不貞行為に基づく慰謝料として、金〇〇〇円の支払い義務があることを認め、本示談書締結日から●●日以内に甲が指定する下記口座へ振り込むことにより支払うものとする。なお、振込手数料は乙の負担とする。


金融機関名:●●銀行〇〇支店
口座番号:(普)〇〇〇〇〇〇
口座名義:●●●●

期限の利益の喪失と遅延損害金について記載する

慰謝料の支払い方法が分割払いの場合、万一支払いが滞った場合に備え、期限の利益の喪失と遅延損害金についても記載することが一般的です。

期限の利益の喪失とは、代金などの支払い義務を負う債務者が、期限までに支払わないことで、返済期限までに支払えばよいという債務者の利益を失うことです。期限の喪失事由に該当した場合、債務者は分割払いができなくなり、一括返済を求められます。

期限の利益の喪失について記載することで、不倫に関する紛争を解決に導くだけでなく、債務者に対し支払い期日を守ることを意識させる効果があります。

また、遅延損害金は、法定利率(民法404条)や利息制限法に基づく上限金利を参考にしながら、示談交渉の話し合いのなかで決めることが可能です。ただし、あまりに高い利率は、公序良俗違反を理由として無効とされる可能性があります。

【記載例】

1、乙は甲に対し、前記慰謝料を下記のとおり分割して、●●銀行〇〇支店の甲名義の普通預金口座(口座番号:〇〇〇〇〇)に振り込む方法で支払うものとする。なお振込み手数料は乙の負担とする


第1回支払い期日:●年●月●日 金:〇〇〇円
第2回支払い期日:●年●月●日 金:〇〇〇円
第3回支払い期日:●年●月●日 金:〇〇〇円

2、乙が前項の支払い義務を1回でも怠った場合には、当然に期限の利益を喪失し、乙は甲に対し直ちに第〇条(慰謝料の額)から既に支払った金銭を控除した残額を支払わなければならない。この場合、乙は、期限の喪失日の翌日から支払い済みまで、残額に対して年●%(年365日日割計算)の割合による遅延損害金を付して支払う。

誓約事項を記載する

慰謝料の支払い以外に、不倫相手に誓約させたい内容について記載できます。

  • 不貞行為を継続することの禁止
  • (メールやSNSを含めた)配偶者との接触禁止
  • 付きまといや嫌がらせなど迷惑行為の禁止

誓約事項を記載することで、不倫の再発防止につながります。

なお、誓約事項が守られることを担保するために、違反した場合のペナルティも記載しておいたほうがよいでしょう。

【記載例】
・乙は、甲に対し、正当な理由なく、今後、メール、SNS、面会など手段の如何を問わず、 甲の配偶者である〇〇と一切接触しないことを約束する。

・乙は、甲に対し、甲の居宅を訪問すること、甲の名誉を害すること、その他甲に不利益となる一切の行為を行わないことを約束する。

・乙は、甲に対し、本件示談書に定めた事項に違反した場合、1回の違反行為につき各●●万円を甲に支払うことを約束する

求償権の放棄について記載する

不倫の慰謝料は、不倫の相手方と配偶者の両方に請求することも、どちらか一方だけに請求することもできます。

不倫の相手方と配偶者の両方に慰謝料を請求する場合、不倫行為は配偶者と不倫相手の共同不法行為にあたり(民法719条)、慰謝料の支払い義務(損害賠償責任)を2人で責任を負うことになります。このときの債権者(慰謝料を請求する人)と2人の関係は、法的には連帯債務になります。

そのため、例えば、200万円の慰謝料を2人に請求する場合、不倫相手と配偶者は、200万円全額について連帯して支払う義務があり、どちらか一方に200万円全額を請求することも可能です。

このとき、1人の債務者が全額を支払った場合、もう一方の連帯債務者に負担割合に応じて請求する権利が認められています(民法442条)。これを求償権といいます。

不倫相手に対し慰謝料を請求したときに、不倫相手から配偶者へ求償権を行使してもらいたくない場合は、示談書に求償権を放棄する旨を規定しておく必要があります。

【記載例】
乙は、〇〇に対する、本件不貞行為に基づく慰謝料支払債務に関して、求償権を放棄する。

守秘義務について記載する

不倫について、第三者への口外、インターネットへの書き込みなど一切禁止する守秘義務を記載します。配偶者が不倫した事実を職場や知人関係に知られることで信頼を失うことを避けるために、一般的に設けられる条項です。

【記載例】
乙は、甲に対し、本件に関し、インターネットへの書き込み、口頭、その他いかなる手段によっても、本件に関する情報をみだりに第三者に対し口外しないことを約束する

清算条項を記載する

清算条項は、示談書で定めた内容以外に、当事者間で金銭、その他の請求を一切しないことを確認するために設けられる条項です。

再度不倫した場合などを除き、示談書で交わされた内容ですべて清算することを定めることで、法律関係を明確にします。

例えば、示談後に不倫相手から「示談交渉にあたり、名誉を棄損された、いやがらせを受けたため損害賠償を請求したい」といった主張を避けることができます。反対に、不倫相手に対しても示談書で定めた以外の請求は一切できません。

【記載例】
甲及び乙は、甲と乙の間に、本示談書の定めるもののほかに、本件に関し、なんらの債権債務も存在していないことを相互に確認する。

示談書の作成手順

ここでは不倫問題の慰謝料を含めた示談書を作成する手順について解説します。

  • 1.慰謝料金額や条件の交渉
  • 2.示談書案の作成・修正
  • 3.示談書に署名・押印

1.慰謝料金額や条件の交渉

示談書を作成する前に、慰謝料の金額や支払いの条件、今後の不倫相手との関係性など、示談内容を交渉していく必要があります。

金額などが決まる前に示談書を作成、提示しても、その内容で合意する可能性は低いですので、まず示談が可能か、可能であればどういった内容で示談書を作成するかをある程度合意することが必要です。

もし、不倫相手が事実関係を否定、認めない場合や慰謝料の金額や支払い方法で合意が難しい場合は、弁護士などに依頼することをおすすめします。

2.示談書案の作成・修正

慰謝料の金額や支払い方法などが一定程度決まれば、示談書案を作成し、メールや郵送、FAXなどで相手方に送付し確認してもらいます。

話し合いの段階では詰め切れていなかった内容を含めて、当事者全員が内容を確認し、最終的な合意内容に向けて加筆、修正していきます。

なお、示談書は当事者であれば誰でも作成することはできますが、示談書案の作成は自ら進んで行うことが大切です。

自ら示談書案を作成したほうが、誓約事項などを含めて自分の要望を盛り込みやすく、有利にすすめやすくなります。

3.示談書に署名・押印

示談書の内容に当事者全員が合意できれば、当事者の数だけ作成しそれぞれに署名・押印します。

直接面談し署名・押印することもできますが、顔を合わせたくない場合は、一方が先に署名・押印したものを郵送し、もう一方が署名・押印したうえで返送する方法も可能です。また、示談書の偽造、変造を防止する意味で、複数の示談書にまたがった割印をするケースもあります。

不倫における示談書を作成する際の注意点

示談書を作成する際の注意点について解説します。

  • 不倫相手に示談を強要するのは避ける
  • 公序良俗に反する内容は避ける
  • 具体的かつ明確に記載する
  • 当事者全員が署名・捺印する
  • テンプレートをそのまま流用しない
  • ダブル不倫の場合は四者間での示談書の作成が必要

不倫相手に示談を強要するのは避ける

不倫相手に示談を強要するのは避けなければなりません。

示談に応じなければ「自宅に乗り込む」「職場に不倫したことをばらす」などの強要があると、刑法上の強要罪や脅迫罪になる可能性もあります。

また、感情的になり、不倫相手につきまとったり、SNSなどに不倫の事実を不特定多数の人に知らせたりすると、ストーカー規制法や名誉棄損罪に問われる場合もあります。冷静に対処することが難しい、どのように対処すべきか分からないときは、弁護士に相談しましょう。

公序良俗に反する内容は避ける

示談書の内容が、不倫相手にあまりに厳しすぎる内容だと、公序良俗に反するものとして無効になる可能性があります。

民法90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」と規定しています。簡単にいうと、社会一般的に妥当性を欠く契約内容などに基づく請求は認めないということです。

不倫の示談内容として問題となりやすいのは、慰謝料の額や誓約事項に違反した場合の違約金が法外な金額に設定されている場合などです。精神的に受けたショックが大きすぎるからといって、その苦痛に見合わない金額を請求すると示談書が無意味になる場合がありますので注意が必要です。

具体的かつ明確に記載する

示談書の内容は、具体的かつ明確に記載することが重要です。示談書は法定効力をもつ文書ですので、当事者間の権利関係が分かりやすいものであることが必要です。

曖昧な表現で別の解釈ができる余地を残してしまうと、示談書の内容自体でさらに争うことになりかねず示談の意味がなくなってしまいます。

必要な内容を過不足なく盛り込み、誰が見ても同じ解釈ができる明確な表現で記載しましょう。

当事者全員が署名・捺印する

示談書には当事者全員が署名・捺印することが必要です。
当事者の代わりに他の人が署名・捺印すると、「示談内容に合意した覚えはない」「示談は捏造されたものだ」など、新たな紛争に発展する可能性があります。

示談書の有効性をより確実にするために、可能であれば、印鑑登録した実印で押印してもらい、印鑑登録証明書を添付してもらうとよいでしょう。印鑑登録証明書は、原則本人しか取得できないため、示談の内容を知らないという反論を防ぐことができます。

テンプレートをそのまま流用しない

不倫に関する示談書のテンプレートは、インターネット上でも数多くアップロードされていますが、そのまま流用しないようにしましょう。

不倫の状況や示談書の当事者の数などはケースバイケースで異なり、示談内容として盛り込むべき項目が変わる可能性があります。また、示談書で合意した内容は、原則変更できません。

記載事項や示談書の作成の進め方が分からない場合は弁護士に相談するのがよいでしょう。

ダブル不倫の場合は四者間での示談書の作成が必要

既婚者同士が不倫する、いわゆるダブル不倫の場合、四者間で示談書を作成することが必要なケースもあります。

一方の慰謝料請求の問題だけ合意しても、もう一方の慰謝料請求の問題が残ると、紛争が完全に解決したことにはなりません。夫婦が同じ家計で生活していることも少なくなく、一方の不倫相手から慰謝料を受領しても、不倫相手の配偶者から慰謝料請求された場合、受領した慰謝料と同等の額を支払う可能性が残ります。

そのため、双方の慰謝料の問題をまとめて解決するために、四者が当事者となり進めることがあります。

なお、ダブル不倫の場合、お互いの家庭で不倫が発覚したものの双方とも離婚せず、二度と不倫した当事者同士が接触しないことを定めたうえで慰謝料請求はお互いにしないという示談内容となることもあります。このとき、「不倫した男性の妻」ならびに「不倫した女性の夫」双方とも、慰謝料の請求権を放棄する条項を設けることが重要です。

ダブル不倫の場合、一方の不倫された配偶者が不倫の事実を知らないケースがあり、不倫の事実を知らせるかどうかによって示談の内容も変わります。権利関係が複雑になりますので、弁護士に相談することをおすすめします。

示談書の法的な効果を得るためのポイント

示談書の実効性を高めるためのポイントについて解説します。

  • 必要事項を漏れなく記載する
  • 公正証書にする
  • 弁護士に示談書の作成を依頼する

必要事項を漏れなく記載する

示談書には法定の書式はありません。そのため、当事者同士で合意すれば、自由に書式や盛り込む条項を設けることができます。ただし、最低限次の事項は示談書に記載したほうがよいでしょう。

  • 紛争内容(不倫の事実関係)
  • 合意内容
  • 示談の成立日
  • 当事者の氏名・住所および捺印

これらはあくまで最低限示談書に盛り込むべき条項です。示談書には次のものは記載すべきでしょう。

  • 不倫行為の事実関係
  • 不利相手が事実関係を認め謝罪すること
  • 当事者間の合意したこと
  • 慰謝料ならびに慰謝料の支払い方法
  • 慰謝料の支払いをしなかった場合の取り決め
  • 求償権の放棄について
  • 誓約事項
  • 誓約事項などに反した場合の罰則
  • 守秘義務
  • 清算条項
  • 示談成立日
  • 当事者全員の署名・押印

公正証書にする

不倫の示談書は、公正証書にすることでより問題解決につながりやすくなります。特に、慰謝料の支払い方法が分割払いのケースでは有効です。

公正証書とは、公証役場で中立公正な公証人が立ち合い、法律の規定に従って作成される公文書です。公正証書は、公正な効力が生じることで、反証がない限り完全な証拠能力を有します。

示談書を公正証書とすることで、偽造や変造を疑われるリスクをなくせます。加えて、強制執行認諾文言を記載しておけば、不倫相手から慰謝料が支払われない場合にも、裁判手続きを経ずに強制執行が可能です。

強制執行認諾文言

参照:公正証書によって強制執行するには|法務省

公正証書にすることで、裁判なしで相手方の財産に強制執行による取立てが可能ですので、不倫相手が期日に間に合うように支払いすることを促す効果も期待できるでしょう。

弁護士に示談書の作成を依頼する

示談書は自分でも作成できますが、弁護士に依頼するメリットもあります。

  • 法的に不備のない示談書が作成できる
  • 第三者が入ることで感情的な衝突が避けられる
  • 適正な金額の慰謝料を請求できる
  • 示談後のトラブルにも対応できる

示談書の内容は、慰謝料の金額を含め、公序良俗に反するものでないことが必要です。また、個別の事案にあわせ、必要な事項が盛り込まれていない場合や複数の解釈が可能な曖昧な文言で作成すると、更なるトラブルに発展する可能性があります。

弁護士に依頼することで、こういったリスクを無くせるとともに、示談後に慰謝料の未払いや不倫相手と配偶者の再接触などが生じた場合にも、対応や交渉を任せることが可能です。

また、慰謝料の額は、不倫や婚姻生活の状況など個別の事情を考慮して決められるため、被った精神的苦痛に見合う適正な慰謝料を請求するためにも弁護士とともにすすめることをおすすめします。

まとめ

不倫における示談書は、当事者間の紛争解決に役立つ法的な効力をもつ文書です。

ただし、不倫に関する紛争を完全に解決するには、示談書に盛り込む内容や進め方が非常に重要です。示談書には、不倫の事実関係から慰謝料に関すること、今後の不倫関係を継続させないための誓約事項、守秘義務など、当事者全員の合意を得て作成しなければなりません。

示談書で合意した後は、当事者全員の同意がない限り、示談書の内容以外の請求は一切できなくなります公正証書で作成することで、不倫相手から慰謝料の支払いがされない場合、裁判手続きを経ずに強制執行することも可能です。

このように法的に重要な意味をもつ示談書は自分でも作成することはできますが、弁護士に依頼することも検討したほうがよいでしょう。弁護士に依頼することで、当事者間の感情的なぶつかり合いを避けながら、適正な慰謝料を請求でき、最終的な解決に向かいやすくなるでしょう。

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更新日 : 2024年11月18日
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