【結論】不倫慰謝料は減額交渉が可能
不倫に対する慰謝料金額はあくまで相手の「希望額」であり、必ずしも適切な金額とは限りません。そのため、提示された慰謝料は減額交渉できます。特に話し合いの段階であれば、双方が合意できる金額に減額できます。
慰謝料を請求されると驚きや焦りを感じる気持ちもわかりますが、まずはその金額が本当に妥当かどうか、落ち着いて確認することが大切です。請求された金額と実際の相場を比較し、金額に大きな差がないかを冷静に見極めましょう。
また、これから紹介する「不倫慰謝料を減額できる可能性のあるケース」に、自分自身が当てはまっていないか見直してみてください。もし、どこまで主張できるのか迷った場合は、一人で抱え込まず弁護士などの専門家に相談しましょう。
不倫慰謝料の減額が可能とされているケース
不倫に対する慰謝料の減額が可能とされているケースは、主に以下の11通り挙げられます。
- 相場より高い金額を請求されている
- 相手夫婦が離婚や別居には至っていない
- 婚姻期間が短い
- 不倫相手から無理に誘われた
- 慰謝料を払えるほどの収入がない
- 不倫の期間が短い・回数が少ない
- 夫婦間に未成年の子どもがいない
- 不倫発覚後に不倫相手の配偶者から嫌がらせや脅迫を受けた
- W不倫している
- 請求先は自分のみで、不倫相手には請求されていない
- 不倫相手が退職や降格などといった社会的制裁を既に受けている
ここからは、それぞれのポイントについて1つずつ詳しく解説していきます。
相場より高い金額を請求されている
不倫の慰謝料にも一般的な相場があるため、相場よりも著しく高い金額を請求されている場合は、減額交渉できる可能性があります。法律で慰謝料の金額が厳密に定められているわけではないので、実際の金額は個々の状況によって変動します。
不倫に対する慰謝料の相場は、不倫によって離婚や別居に至ったかどうか、子どもの有無など、さまざまな事情によって変動します。まずは自身の状況と請求額が妥当かを冷静に見比べることが大切です。
不倫に対する慰謝料の相場が知りたい方はこちら
相手夫婦が離婚や別居には至っていない
不倫が発覚しても相手夫婦が離婚や別居に至っていない場合は、慰謝料を減額できる可能性があります。これは、婚姻関係の破綻度合いが慰謝料額を決める重要な判断基準となるためです。
一般的に、婚姻関係が継続している場合、不倫によって生じた権利侵害や精神的苦痛が比較的小さいと評価される傾向があります。つまり、不倫が発覚しても夫婦が普通に生活を続けているようであれば、「それほど深刻な被害ではなかった」と判断される可能性が高くなるのです。
この場合、慰謝料の減額交渉がスムーズに進む見込みがあるでしょう。
婚姻期間が短い
慰謝料額の算出において、婚姻期間の長さも判断材料のひとつです。一般的に、婚姻期間が長いほど夫婦の絆や信頼関係が深まっているとされ、不倫による精神的苦痛も大きいと評価される傾向があります。
一方で、婚姻期間が短い場合はまだ夫婦関係が発展途上であり、不倫によって失われた信頼関係も相対的に小さいと判断されることがあります。特に婚姻期間が3年未満のケースでは、裁判所も慰謝料の減額を認める傾向にあるといえるでしょう。
これは、婚姻期間が短いほど不倫によって侵害された「平穏な婚姻生活を送る権利」の価値が相対的に小さく評価されるためです。
ただし、婚姻期間が短くても結婚直後から不倫を始めていたり、同時に複数の相手と不倫関係にあったりと、不倫の態様が悪質であれば減額が認められにくくなることもあります。
不倫相手から無理に誘われた
不倫関係に至った経緯やきっかけも、慰謝料の減額判断に影響を与える重要な要素のひとつです。特に不倫相手から強く誘われたり、心理的圧力を受けたりした場合は慰謝料を減額できる可能性が高まります。
たとえば、不倫相手から「もう夫婦関係は実質的に破綻している」と偽りの説明を受けた場合や、「独身だ」と嘘をつかれていた場合などは、悪質性が低いと判断される可能性があります。このような場合、裁判所も不倫の責任を一部軽減する方向で判断するケースが少なくありません。
特に職場内での不倫において、上司が部下に対して権限や立場を利用して関係を迫った場合、部下側の責任が軽減される傾向があります。これは、雇用関係における力関係の不均衡が考慮されるためです。
上司からの誘いを断ることで、職場での評価や待遇に悪影響が及ぶことを恐れて関係に応じたようなケースでは、その事実を証明できれば慰謝料を減額できる可能性が高いといえます。
慰謝料を払えるほどの収入がない
慰謝料の額は不倫の態様や期間だけでなく、支払う側の経済状況も考慮して決定されることがあります。収入が少なく、請求された金額を支払う経済的余力がない場合は、減額交渉の余地が生まれる可能性があります。
特に分割払いの提案を併せて行うことで、誠意を示しながら現実的な解決策を提示できる可能性が高まります。裁判所も支払い能力を超えた慰謝料の請求については、実態に即した額に減額する傾向があると言えるでしょう。
ただし、相手は不倫によって深い精神的苦痛を受けた被害者であるということを忘れてはいけません。「お金がないから払えない」という一方的な主張だけでは相手の怒りを増幅させ、かえって和解を困難にする恐れがあります。
収入が少ないという事実だけで相手が減額に応じてくれるとは限らないため、誠意ある対応や謝罪の姿勢を示すことも、減額交渉を成功させるための重要な要素と言えます。
不倫の期間が短い・回数が少ない
不倫の期間が短かったり、不貞行為の回数が少なかったりする場合は、慰謝料を減額できる可能性があります。不倫期間が長く、不貞行為の回数が多いほど、裏切られた配偶者の精神的苦痛は大きくなると考えられているからです。
たとえば、数年にわたって継続的に不倫関係を続けていた場合と、一時的な過ちで1〜2回の不貞行為に及んだ場合では、前者の方が慰謝料が高額になる傾向があります。継続的な不倫関係は、単なる肉体関係だけでなく精神的な関係も伴うことが多く、配偶者への裏切りの程度がより深刻だと評価される傾向にあります。
ただし、不倫期間や回数について「これくらいなら減額される」という明確な目安は存在しません。数か月の不倫でも、その間にメールやLINEで頻繁にやり取りをしていた、週に複数回会っていたなどの事情があれば、実質的には深い関係性があったと判断される可能性もあるでしょう。
夫婦間に未成熟子がいない
夫婦間に未成年の子どもがいない場合は、慰謝料を減額できる可能性があります。これは、子どもの存在が不倫による精神的苦痛の程度に大きく影響するためです。
子どもがいる場合、「自分が育児や家事に追われている間に、配偶者が不倫相手と楽しい時間を過ごしていた」という配偶者の精神的苦痛は大きいものとなるでしょう。また、「子どもの教育費や生活費に使うべきお金を不倫相手との交際費に使っていた」と懸念される可能性もあります。
実際の判例として、東京地裁平成21年6月22日判決では、6歳と1歳の未成熟子がいる妻に対して突然の離婚を求めた夫と、その不倫相手に対して判断が下されました。
裁判所は「突然離婚を求められる事態になったことにより、原告の受けた精神的苦痛は相当に大きい」と認め、不倫相手に200万円の慰謝料を命じたという事例があります。
夫婦間に未成年の子どもがいない場合はこのような事情がないため、慰謝料が低く設定される可能性があるのです。
不倫発覚後に不倫相手の配偶者から嫌がらせや脅迫を受けた
不倫が発覚した後、不倫相手の配偶者から執拗な嫌がらせや脅迫を受けた場合は、慰謝料を減額できる可能性があります。このような行為は不倫された側の精神的苦痛に理解を示しつつも、許容範囲を超えた対応として評価されることがあります。
具体的には、職場や自宅への執拗な電話やSNSでの誹謗中傷、暴力的な脅迫などが挙げられます。これらの行為によって不倫をした側も精神的・社会的な被害を受けているとみなされた場合、慰謝料の減額要素として考慮される可能性が高まります。
W不倫している
W不倫(ダブル不倫)の状態、つまり双方の配偶者がそれぞれ不倫関係にある場合は、慰謝料を減額できる可能性があります。これは、不倫相手の配偶者自身も婚姻関係を損なう原因を作っているという事実が考慮されるためです。
W不倫のケースでは、お互いの配偶者が相手方に対して慰謝料を請求できる立場にあります。しかし双方が請求した場合、支払う慰謝料と受け取る慰謝料が実質的に相殺され、結果として大きな金銭的利益が生じないことがあるのです。
そのため、双方合意の上で「お互いに慰謝料請求をしない」という解決策が選ばれるケースもあります。
請求先は自分のみで、不倫相手には請求されていない
不倫の慰謝料請求において、自分だけに慰謝料を請求され、不倫相手には請求されていない場合でも、支払った慰謝料の一部を回収できる可能性があります。これは「求償(きゅうしょう)権」と呼ばれる権利を行使することで実現できます。
求償権とは、不倫慰謝料を支払った側が「共同不法行為者」である不倫相手に対して、支払った慰謝料の一部または半額を請求できる権利のことです。
共同不法行為は以下のように、民法第七百十九条に定められています。
第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
引用元 民法(明治二十九年法律第八十九号)
つまり、不倫の慰謝料請求が自分だけに来た場合でも、不倫相手に対して負担割合に応じた金額を請求できます。
不倫相手が退職や降格などといった社会的制裁を既に受けている
不倫によって職場での評価が下がり、降格処分や退職が決まった場合、すでに社会的制裁を受けているとして慰謝料を減額できる可能性があります。このような社会的制裁は、不倫によって生じた責任の一部をすでに負っていると評価される場合があるためです。
例えば、会社内での不倫が発覚して懲戒処分を受けた場合や、職場環境が悪化して退職せざるを得なくなった場合などは、経済的・社会的に大きな損失を被ったと考えられます。これらの事情は、不倫相手の配偶者が被った精神的苦痛に対する一定の償いとして考慮される可能性があります。
ただし、社会的制裁を減額の根拠として主張する場合は、その事実を客観的に証明できる証拠(懲戒処分の通知書、給与明細の変化など)が必要です。
不倫慰謝料を支払わなくていい可能性のあるケース
以下のケースに該当する場合、不倫慰謝料の減額ではなく支払わなくていい可能性があります。
- 不倫の時効が過ぎている
- 既に相手の夫婦関係が破綻していた
- 肉体関係には至っていない
- 相手が既婚者であることを知らなかった
- 不貞行為の証拠がない
それぞれ詳しく解説します。
不倫の時効が過ぎている
不倫慰謝料の請求権には時効があります。時効の期間は以下のように、不倫を知った日と不倫が行われた日によって期間が異なります。
- 被害者が「加害者を知った時」から3年
- 不倫が行われてから20年
たとえば、2022年5月に不倫して2023年5月にその事実と相手を知った場合、そこから3年後の2026年5月を過ぎると時効になります。また、不倫したのが2005年5月だった場合、20年後の2025年5月以降が時効なので、その後不倫の事実を知った・知らないに関わらず請求できません。
ただし、時効は以下の行動をとることで中断(リセット)されたり、猶予(延長)されたりします。
不倫の時効が中断・猶予される行為
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概要
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裁判による訴訟や調停
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裁判上で慰謝料請求をした場合、裁判が確定するまで時効は中断し、時効の経過期間はゼロに戻ります。
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催告される
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内容証明などで慰謝料の支払いを求められると、時効が6か月だけ延びます。
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話し合いの合意記録がある
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慰謝料の協議をする合意を文書やメールで残っている場合、最長で5年間まで時効の完成が延びます。
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債務を認める
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慰謝料の支払い義務を認めると時効が中断され、債務承認の日に時効が再スタートします。
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このように、相手の対応や請求の方法次第で時効が中段・延長されるケースもあるため、慎重に確認する必要があります。
時効が成立していることが確認できれば、法的には慰謝料を支払う義務はなくなるため、支払いを拒否できる可能性が高いと言えます。
既に相手の夫婦関係が破綻していた
不倫相手とその配偶者の夫婦関係が、不倫当時すでに破綻状態にあったと認められる場合、慰謝料を支払わなくてもよい可能性があります。これは、法的に夫婦関係が破綻している場合、もはや「平穏な婚姻生活を侵害した」とは言えないという考え方に基づいています。
夫婦関係の破綻状態とは単なる不仲ではなく、実質的に夫婦としての共同生活が終了していると客観的に判断できる状態です。破綻の判断は、不仲を理由とした別居の有無と期間が重視されます。
ただし、仕事や介護などによる別居は、破綻の証拠とは認められにくい点に注意が必要です。
肉体関係には至っていない
不倫慰謝料が請求されるための最も重要な要件は「不貞行為」の存在です。法律上、不貞行為とは配偶者以外の者と性的関係を持つことを指すため、単なる精神的な関係やスキンシップだけでは不貞行為として原則認められません。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元 民法(明治二十九年法律第八十九号)
不貞行為の具体的な定義は、配偶者以外の異性と自由な意思に基づいて性的関係を持つこととされています。よって「デートや食事に行くこと」や「手を繋いだ」、「ハグした」というだけでは、不貞行為とは認められません。
ただし、肉体関係がなくてもその関係が原因で不倫相手と配偶者が離婚に至ったケースでは、「婚姻関係破壊」による慰謝料が認められることがあります。たとえば頻繁な連絡や会話、愛情表現などで関係性が崩れて離婚に至った場合、肉体関係がなくても慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。
このようなケースでは肉体関係の有無よりも、その関係が婚姻関係に与えた影響の程度が重視されます。
相手が既婚者であることを知らなかった
不倫相手が既婚者であることを知らなかった場合、慰謝料支払いの義務が免除される可能性があります。これは、慰謝料請求の前提となる不法行為の成立には「故意または過失」が必要とされるためです。
たとえば、相手が独身だと明言していた場合や、職場や友人関係などの環境で相手の既婚状態を知る機会がなかった場合は、「既婚者と知らず故意がなかった」という主張が認められやすいといえます。
ただし、相手から独身だと伝えられていたとしても、実は既婚だという事実を知りうる状態にいた場合、「過失」があったとして慰謝料の支払い義務が認められる可能性もあります。
不貞行為の証拠がない
不倫による慰謝料請求が認められるためには、不貞行為を証明できる証拠が必要です。証拠なしに「不倫していた」と主張されても、法的には慰謝料支払いの義務は発生しません。
具体的な証拠として、次のような内容が挙げられます。
- ラブホテルや旅館に一緒に入る様子を撮影した写真や動画
- 不貞行為を認める内容のメールやLINEのやり取り
- ホテルの領収書やクレジットカードの利用明細
こうした証拠がない場合、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されても、「不倫の事実はない」と主張して支払いを拒否できます。
不倫慰謝料の相場金額
不倫慰謝料の相場金額は以下の通りです。
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慰謝料相場
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別居や離婚をしていない
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50万円~100万円程度
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不倫が原因で別居した
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100万円~200万円程度
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不倫が原因で離婚した
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200万円~300万円程度
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上記の相場金額より著しく高額な慰謝料を請求された場合は、減額交渉の余地があります。ただし、相場金額はあくまで目安であり、以下のケースによって変動する点に注意が必要です。
- 不倫の期間や回数
- 不倫前の夫婦関係の状態
- 未成年の子どもの有無
- 不倫の悪質性や個別的な事情
また、不倫がきっかけで子どもができた場合は、相場を大きく超える慰謝料が認められるケースもあるでしょう。なお、話し合いで解決する場合、相手の納得さえ得られれば相場を下回る金額での和解も可能です。
不倫慰謝料の減額交渉の流れ
不倫慰謝料における減額交渉の流れは以下の通りです。
- 不倫慰謝料請求に対する返答をする
- 減額請求の条件提示を書面で行う
- 合意後は合意書を作成する
- まとまらないなら調停や訴訟する
それぞれの流れについて、順番に解説します。
1. 不倫慰謝料請求に対する返答をする
不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されたら、まずは請求に対する回答をしましょう。この時点では、「金額が不当だから減額してほしい」という直接的な要求は避けるべきです。
まずは反省の意思を示すことが最優先です。
「不倫という行為で相手に精神的苦痛を与えたことを反省しています」
と誠意ある謝罪の姿勢を伝えましょう。
相手の気持ちに配慮しつつ、現実的な解決策を提案する姿勢が、減額交渉をスムーズに進めるポイントです。
2. 減額請求の条件提示を書面で行う
減額交渉を進める際は、条件を書面で提示することが重要です。口頭での合意は後から「そんなことは言っていない」といった食い違いが生じる可能性があるため、書面化することでトラブルを防止できます。
また、減額の根拠となる事情(経済状況や本記事で紹介した減額要素など)についても、具体的に説明することが効果的です。
書面での提示は内容証明郵便を利用することで、書面を送付した証拠も残るため、後々のトラブル防止に役立ちます。
3. 合意後は合意書を作成する
慰謝料の減額について双方が納得できる条件で合意できたら、必ず合意内容を書面にまとめた合意書を作成しましょう。合意書には以下の内容を明確に記載します。
- 最終的な慰謝料の金額
- 支払方法(一括か分割か)
- 支払期日
- その他の特記事項
合意書を作成することで、後日のトラブルを防止できるのがメリットです。口頭での合意だけでは、「もっと高い金額で合意したはず」「支払期限はもっと早かった」などの認識の食い違いが生じる可能性があります。
書面に残すことで合意内容を明確化し、双方の権利義務関係を明らかにできます。
4. まとまらないなら調停や訴訟する
交渉によって合意ができない場合は、調停や訴訟という法的手続きに移行することも選択肢のひとつです。
調停とは,私人間での紛争を解決するために,裁判所(調停委員会)が仲介して当事者間の合意を成立させるための手続です。
引用元 調停委員
裁判所が関与することで、過去の判例や慰謝料の一般的な相場に基づいた客観的な判断が期待できます。特に、相手が著しく高額な慰謝料を要求している場合や、交渉が感情的になっている場合は、裁判所の判断を仰ぐことで適正な金額に落ち着くことが期待できます。
不倫慰謝料の減額請求に成功した事例
不倫に対する慰謝料の減額請求に成功した事例について解説します。紹介するのは、以下の3つの事例です。
- 悪質性が低く150万円から25万円まで減額できた事例
- 同棲との不倫で300万円から230万円まで減額できた事例
- 350万円から実質負担額50万円まで減額できた事例
それぞれ詳しく見ていきましょう。
悪質性が低く150万円から25万円まで減額できた事例
不倫慰謝料を150万円から25万円まで減額することに成功した、ある女性会社員の約2年間にわたる不倫関係の事例です。
不倫相手の配偶者から弁護士を通じて150万円の慰謝料請求があり、社内不倫であったことから、会社にも責任が問われる可能性があると伝えられていたようです。
回答書にて不快な思いをさせてしまったことに謝罪をしつつも、慰謝料額が過大であることや悪質性が低いことを根拠に交渉を重ねました。その結果、約4か月で25万円への減額に成功しました。
また、裁判例の傾向を説明することで会社への責任追及も回避できました。
同棲との不倫で300万円から230万円まで減額できた事例
女性同士の不倫で、慰謝料300万円を230万円まで減額した事例です。
40代の女性が既婚女性と交際関係となり、肉体関係(性交類似行為)を持ったことから、不倫相手の夫から300万円の慰謝料を請求されていました。
同性間の不倫に関する判例を調査した結果、300万円という請求額が過大であると判断。相手方との交渉では判例調査の結果に基づいた説明を重ね、最終的に70万円での和解が成立し、230万円もの減額に成功しています。
350万円から実質負担額50万円まで減額できた事例
既婚女性との不倫で慰謝料350万円を大幅減額し、実質50万円で解決した事例です。
40代男性が出会い系サイトで知り合った既婚女性と不倫関係になり、関係が発覚して相手方夫婦は離婚したようです。その後、女性の夫から慰謝料350万円を請求されました。
交渉では、相手方女性が複数の男性と交際していた事実や、離婚の際に夫が女性から財産分与名目で実質的な慰謝料を受け取っていた点などを主張しました。結果として、慰謝料を100万円に減額する和解が成立しました。
さらに、不貞行為は共同不法行為であることを根拠に相手方女性にも負担を求め、女性が50万円を支払うことで合意。これにより、男性の実質的な負担額は50万円に抑えることができました。
不倫慰謝料を減額するために心掛けること
不倫慰謝料を減額するためには、以下の内容を心がけることが大切です。
- 誠意のある対応をする
- 相手の請求を鵜呑みにせず、冷静に対応する
- 弁護士へ相談する
各内容について詳しく解説します。
誠意のある対応をする
不倫慰謝料の減額を実現するためには、誠意ある対応が重要です。嘘をついたり、請求を無視したりする態度は相手の怒りを増幅させ、かえって高額な慰謝料を請求される可能性があります。
たとえば、請求を無視して催促されてから渋々対応するより、請求を受けた後すぐに連絡を取り、真摯な態度で交渉に臨む方が好印象を得られる可能性が高いでしょう。
まずは不倫相手の配偶者の感情に配慮し、真摯に謝罪する姿勢を示すことが大切です。請求書が届いてから速やかに連絡を取り、誠意をもって対応する姿勢を見せることが減額への第一歩となります。
相手の請求を鵜呑みにせず、冷静に対応する
不倫相手の配偶者から慰謝料を請求された場合、まず冷静さを保つことが重要です。感情的になって相手の請求をそのまま鵜呑みにしたり、逆に「払えません」と一方的に拒否したりすることは避けるべきです。
高額な金額に驚いて即答してしまうのではなく、一度冷静になって状況を整理することから始めましょう。
相手とのやり取りでは感情的にならず、謝罪の姿勢を示しつつも対等な立場で交渉する意識を持つことが大切です。
弁護士へ相談する
不倫慰謝料の減額交渉は法律的な知識が必要なため、自分だけで対応するのは難しい場合が多いでしょう。相手側に弁護士がついている場合は、さらに交渉が難航する可能性があります。
そのため、不倫慰謝料の減額交渉を行う際は、早い段階で弁護士に相談することがおすすめです。弁護士は法律的な観点から、あなたのケースで減額が可能かどうか、どの程度の減額が見込まれるかを客観的に判断してくれます。
また、弁護士に依頼すれば交渉を代行してもらえるため、精神的な負担を軽減できるのもメリットです。
不倫慰謝料の減額請求に応じてもらえない場合の対処法
不倫慰謝料の減額請求に応じてもらえない場合は、以下の対処方法を検討しましょう。
- 時間をおいて再度交渉する
- 分割払いの交渉をする
- 第三者に間に入ってもらう
それぞれ詳しく見ていきましょう。
時間をおいて再度交渉する
不倫関係を認めて誠意ある謝罪をしたにもかかわらず、相手が減額に応じてくれない場合は、一度交渉に時間をおくことも有効な選択肢です。不倫の発覚直後は相手が強い怒りや悲しみといった感情を抱えており、冷静な判断ができない状態にある可能性があります。
このような状況では、どれだけ合理的な減額理由を提示しても、感情的な拒絶反応を示されるケースが多いです。
不倫慰謝料の減額請求に応じてもらえない場合、時間をおいて相手の怒りが収まっているかどうかを見極めながら、慎重に交渉を再開しましょう。
分割払いの交渉をする
減額交渉が難しい場合は、金額はそのままで分割払いを提案する方法もあります。特に請求額が高額で一括払いが現実的に難しい場合、分割払いは双方にとって受け入れやすい解決策となる可能性が高いでしょう。
分割払いの合意が得られたら、必ず以下の内容を含む書面を作成しましょう。
- 総支払額
- 月々の支払金額
- 支払日(毎月の何日に支払うか)
- 支払方法(振込先口座など)
- 支払完了予定日
- 支払いが遅れた場合の取り扱い
具体的な支払条件を書面化することで、後々のトラブルを防止できます。また、毎回の支払いの証拠(振込明細など)は必ず保管しておくことも忘れないようにしましょう。
第三者に間に入ってもらう
交渉が難航している場合は、弁護士などの第三者に間に入ってもらうことも効果的な方法です。弁護士に相談することで、慰謝料の適正金額やどの程度の減額が見込めるかなど、専門的な知識に基づいたアドバイスが受けられます。
また、弁護士が代理人として交渉を行うことで、感情的な要素を排除した冷静な話し合いができます。弁護士への依頼には費用がかかりますが、高額な慰謝料を減額できる可能性を考えれば、十分に検討する価値があるといえるでしょう。
まとめ
不倫慰謝料は法律で厳密に定められていないため、減額交渉できる可能性があります。減額が認められやすいケースは以下の通りです。
- 相場より高い金額を請求されている
- 相手夫婦が離婚や別居には至っていない
- 婚姻期間が短い
- 不倫相手から無理に誘われた
- 慰謝料を払えるほどの収入がない
- 不倫の期間が短い・回数が少ない
- 夫婦間に未成年の子どもがいない
- 不倫発覚後に不倫相手の配偶者から嫌がらせや脅迫を受けた
- W不倫している
- 請求先は自分のみで、不倫相手には請求されていない
- 不倫相手が退職や降格などといった社会的制裁を既に受けている
また、慰謝料を支払わなくてもよい可能性があるケースには、不倫の時効が過ぎている場合や相手の夫婦関係が既に破綻していた場合、肉体関係に至っていない場合などがあります。
減額交渉を成功させるためには、誠意ある対応を心がけることが重要です。請求を無視したり感情的になったりせず、冷静に対応しましょう。相手が減額に応じない場合は時間をおいて再交渉したり、弁護士などの第三者に間に入ってもらうといった選択肢が有効です。
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