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配偶者の不倫相手に慰謝料を請求したい!請求できるケースや流れを解説

配偶者の不倫相手に慰謝料を請求したい!請求できるケースや流れを解説
南陽輔 弁護士
監修者
南 陽輔
大阪市出身。大阪大学法学部、関西大学法科大学院卒業。2008年に弁護士登録(大阪弁護士会所属)。大阪市の法律事務所に勤務し、離婚問題や債務整理などの一般民事事件のほか、刑事事件など幅広い法律業務を担当。2021年に一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成の支援、起業時の法的なアドバイスなどの予防法務を中心に業務提供をしております。皆さんが利用しやすく、かつ自由で発展的なビジネスが可能となるサービスを提供いたします。

配偶者が不倫をしていることが発覚し、「不倫相手に慰謝料を請求したい」と考えている方も多いでしょう。

不倫は民法上の不貞行為に該当するため、不倫相手に対して慰謝料の請求が可能です。

ただし、慰謝料請求が認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 配偶者と不倫相手が肉体関係を持っており、その証拠がある
  • 不倫相手が配偶者のことを既婚者だと認識している
  • 不倫によって夫婦関係が悪化し、精神的苦痛を受けている

上記の条件を満たした上で慰謝料を請求すれば、認められる可能性が高いです。

また、不倫相手に慰謝料を請求する際は、不倫トラブルに強い弁護士への依頼がおすすめです。弁護士であれば法的根拠に基づいた主張ができるため、慰謝料請求を有利に進められます。

本記事では、配偶者の不倫相手に慰謝料を請求できるケースとできないケース、請求の流れなどについて詳しく解説します。

配偶者の不倫相手に慰謝料請求をできるケース

不倫相手に慰謝料請求をできるケースは以下のとおりです。

  • 配偶者と不倫相手が肉体関係にある
  • 配偶者のことを既婚者だと認識した上で交際を続けている
  • 夫婦関係の悪化に繋がり精神的苦痛を受けている

配偶者の不倫相手に慰謝料を請求するためには、不貞行為に該当することを証明しなければなりません。民法で定められている不貞行為とは、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことを指します。

他には、既婚者と知って故意で不倫をしたのか、不倫が夫婦関係の悪化につながったのかなどが重要視されます。

ただし、自分も不倫をしているなど配偶者だけが一方的に悪いと言えない状況の場合、慰謝料が減額される可能性があるため注意が必要です。

次の項目から、不倫相手に慰謝料請求をできるケースについて1つずつ見ていきましょう。

配偶者と不倫相手が肉体関係にある

配偶者と不倫相手が肉体関係を持っており、その証拠を押さえていれば不倫相手に対して慰謝料を請求できます。

夫婦は互いに貞操義務を負っており、配偶者以外の異性と性的関係を持ってはならないと定められています。そのため、一方の配偶者が不貞行為に及んだ場合は、被害者の配偶者に対して損害賠償をしなければなりません。

不貞行為をした配偶者と同様に、不倫相手も夫婦間の権利を侵害したことになるので、被害者の配偶者に対して賠償責任が発生します。

一方、肉体関係を持たないプラトニックな不倫であれば、原則として慰謝料請求は認められません。たとえば2人でデートをする、手をつなぐ、キス、ハグなどの行為が該当します。

不倫相手に対して慰謝料請求ができるかどうかは、肉体関係の有無が重要なポイントになると認識しておきましょう。

配偶者のことを既婚者だと認識した上で交際を続けている

不倫相手に対して慰謝料請求が認められるのは、故意または過失があった場合に限られます。

配偶者が結婚していることを知りながら肉体関係を持った場合、故意に不貞行為に及んだとして慰謝料の請求が可能です。

たとえば不倫相手と配偶者が同じ職場で既婚者であることが周知されていたり、メールや電話の録音などで既婚者と明らかに知っているやり取りをしているケースなどが該当します。

もしも既婚者だということを聞かされていなかったとしても、不倫相手に過失があれば慰謝料請求が認められます。過失とは、結婚していると気付ける状況であったにもかかわらず、不貞行為に及ぶことです。

不倫相手に過失があったと認められやすいケースは以下のとおりです。

  • 共通の知人に尋ねれば既婚者であることを知り得た
  • 会う日時はすべて相手の都合に合わせていた
  • 用もなく電話するのはやめるように言われていた
  • 家に行きたいと言っても頑なに招いてもらえなかった
  • 相手が結婚指輪を身に着けていた

上記のようなケースに当てはまる場合、相手が既婚者であることを疑わなければならないと判断されるため、慰謝料の請求が可能です。

不倫相手に慰謝料請求をする際は、故意または過失があったかどうかを調査しましょう。

夫婦関係の悪化に繋がり精神的苦痛を受けている

不倫相手への慰謝料請求が認められるためには、不貞行為が夫婦関係の悪化につながり、精神的苦痛を受けたかどうかも重要なポイントです。

不貞行為が発覚する以前は夫婦円満な関係を築いていたものの、不貞行為が原因で別居や離婚などにつながった場合は、不倫相手に慰謝料を請求できます。

離婚をしなかったとしても、強い精神的苦痛を受けた場合は慰謝料の請求ができる可能性があります。

たとえば不倫が原因でうつ病やPTSDなどの精神病を発症しており、病院から診断書を発行してもらえれば慰謝料請求が認められやすくなります。

反対に、不貞行為の前からすでに夫婦関係が破綻しており、精神的苦痛を受けていない場合、慰謝料請求は基本的に認められません。

配偶者の不倫相手に慰謝料請求をできないケース

配偶者の不倫相手に慰謝料請求をしたいと考えているときは、慰謝料請求ができないケースについても把握しておきましょう。

不倫相手に慰謝料請求をできないケースは以下のとおりです。

  • 配偶者の不倫相手に故意・過失がない
  • 長期間の別居で夫婦関係が破綻している
  • 3年の時効が成立している

それぞれのケースについて詳しく解説します。

配偶者の不倫相手に故意・過失がない

配偶者が結婚していることを知らずに関係を持っていた場合は、原則として不倫相手に慰謝料の請求はできません。

不倫相手に慰謝料を請求できるのは、故意・過失があった場合に限られるためです。

故意・過失がないと認められる可能性が高いケースは以下のとおりです。

  • 配偶者が独身だと偽っており、結婚指輪を外すなど巧みに隠していた
  • 独身者限定の婚活アプリやパーティーで知り合った
  • 配偶者に結婚をほのめかされていた
  • 配偶者が単身赴任中で、結婚していることに気付きにくい状況だった
  • 平日や休日問わず堂々とデートや電話をしていた
  • 脅迫・暴行によって肉体関係を持った

配偶者が不倫相手に独身と偽って肉体関係を持っていたのであれば、不倫相手は配偶者に騙されたことになります。

また、配偶者が既婚であることを巧みに隠しており、結婚していることに気付きにくい状況だった場合は過失も認められません。

故意・過失がないと認められるような状況だった場合、慰謝料の請求は難しいと認識しておきましょう。

なお、既婚者であることを知っていたとしても、配偶者の脅迫や暴行などによって無理やり肉体関係を持った場合は慰謝料の請求はできません

脅迫・暴行は不倫ではなく不同意性交罪に該当するため、反対に配偶者から訴えられる可能性もあります。

長期間の別居で夫婦関係が破綻している

長期間の別居をしている場合は、すでに夫婦関係が破綻しているとみなされ、不倫相手に慰謝料の請求ができない可能性があります。

不倫相手に慰謝料を請求する際には、不貞行為が夫婦関係の悪化につながったかどうかが重要です。そのため、不貞行為が行われる以前から夫婦関係が破綻していたのであれば、慰謝料の請求が難しくなります。

ただし、別居をしているからといって、必ずしも夫婦関係が破綻していると判断されるわけではありません。

夫婦関係が破綻しているかどうかは、生活状況や別居の期間、離婚協議の有無などの要素から総合的に判断されます。

たとえば別居はしているものの定期的に夫婦間で連絡を取り合っており、関係を修復する意思が見られるケースでは、夫婦関係が完全に破綻しているとはいえません。

反対に、別居期間が数年単位の長期間に及んでおり、夫婦間の接触も全くない場合、夫婦関係が破綻しているとみなされやすいです。

すでに夫婦関係が破綻していると判断されるような状況であれば、慰謝料の請求は難しいと考えておきましょう。

3年の時効が成立している

不倫相手に対しての慰謝料請求の時効は、不貞行為の事実および不倫相手を知った日から3年と定められています。

慰謝料の請求をせずに3年の時効が成立すると、原則として不倫相手への慰謝料請求はできません。

ただし、不貞行為の慰謝料請求には「不貞行為があった日から20年間」の除斥期間が設けられています。

不倫の事実や不倫相手を知ったのが3年以内だったとしても、不貞行為があった日から20年を過ぎてしまっていると除斥期間の経過により、慰謝料請求ができなくなるというものです。

不貞行為の事実や不倫相手の特定をするのに時間がかかると被害者が不利益を被ることから、このような制度が設けられています。

なお、配偶者に対しての慰謝料請求の時効は「不貞行為の事実を知ってから3年」または「不貞行為を原因に離婚した日から3年」のいずれかになります。

たとえば10年前の不貞行為を原因に離婚をする場合であっても、離婚した日から3年以内であれば、法的には慰謝料の請求が可能です。

しかし、不貞行為があってから10年間も夫婦関係を維持していたことを考慮すると、「過去の不貞行為が原因で離婚した」と立証するのは難しくなります。

そのため、不貞行為が過去になるほど慰謝料請求は難しくなるものと考えておきましょう。

配偶者の不倫相手に請求できる慰謝料の金額について

不倫相手に請求できる慰謝料の相場は50万〜300万円程度と、個別の事情によって金額に大きな差があります。

慰謝料の金額は、婚姻年数や子供の有無、不貞行為の悪質性、精神的苦痛の程度などを総合的に加味して決定します。

次の項目から、不倫相手に請求できる慰謝料の金額について詳しく見ていきましょう。

配偶者の不倫相手に請求できる慰謝料の相場は50万~300万円程度

不倫相手に請求できる慰謝料の相場は個別の事情によって異なるものの、一般的には50万円〜300万円程度の範囲内に収まることが多いです。

離婚・別居をした場合としなかった場合の慰謝料相場は以下のとおりです。

離婚・別居の有無 慰謝料相場
離婚をした場合 200万円~300万円程度
別居をした場合 100万円~200万円程度
離婚・別居をしなかった場合 50万円~100万円程度

不倫が原因で夫婦関係が破綻し、離婚や別居をしてしまった場合は慰謝料が高額になる傾向にあります。

離婚や別居をした場合、被害者の生活環境の変化や精神的ダメージが大きいことが予測されるためです。

一方、離婚や別居をしない場合、被害者の生活環境に大きな変化が生じないことから、慰謝料は100万円以内に収まることが多いです。

婚姻年数や損害・不貞行為の悪質性によって金額は決まる

不倫相手に請求できる慰謝料の金額は、婚姻年数や不貞行為の悪質性、精神的苦痛の程度などを総合的に考慮して増減されるケースもあります。

慰謝料の金額に影響するポイントは以下のとおりです。

慰謝料に影響するポイント 概要
婚姻年数 婚姻年数が長いと離婚による生活環境の変化が大きいことから、慰謝料が増額されやすい
子供の有無 子供がいる場合、離婚が子供に影響を与えることが考慮され、慰謝料が増額されやすい
子供の人数・年齢 子供の人数が多い・年齢が幼い場合、離婚による精神的・経済的な負担が大きいことから慰謝料が増額されやすい
不貞行為の期間・頻度 不貞行為の期間が長い、または頻度が多いと悪質性が高いことから、慰謝料が増額されやすい
不倫相手の認識 配偶者が既婚であることを知っていて不貞行為を繰り返していた場合、悪質性が高いとして慰謝料が増額されやすい
不倫相手の反省の有無 不倫相手から謝罪がない、反省の色が見えない場合、悪質性が高いとして慰謝料が増額されやすい
精神的苦痛の大きさ 被害者が精神病になるなど、精神的苦痛が大きいと慰謝料が増額されやすい
被害者の落ち度 被害者自身に落ち度(DV、モラハラ、一方的な別居など)があれば慰謝料が減額されやすい

婚姻年数が長かったり、子供がいたりする場合、慰謝料が増額されやすい傾向にあります。

離婚による生活環境の変化が大きい上、精神的なダメージも大きいことが予測されるためです。

また、不貞行為の期間や不倫相手の認識など、不貞行為の悪質性も慰謝料の金額を増減するポイントになります。

反対に、DVやモラハラなど被害者側にも何かしらの落ち度がある場合は、慰謝料が減額される可能性があります。

配偶者の不倫相手に慰謝料請求できた判例

過去の裁判を見てみると、不倫相手に対する慰謝料請求が成功している判例が存在します。次の項目から、慰謝料請求できた判例について詳しく紹介します。

不倫相手に100万円の慰謝料請求できた判例

夫の不貞行為によって妻が裁判を起こし、不倫相手に100万円の慰謝料請求が命じられた判例です。

夫の不貞行為が発覚し、妻が不倫相手に1000万円の慰謝料を請求。

不倫相手は既婚であることを知りながら関係を持っており、不貞によって円満だった夫婦関係が危機に追い込まれた。しかし、夫婦が離婚せず同居を続けていたことが減額要素となり、不倫相手に100万円の慰謝料請求が命じられた。
(名古屋地方裁判所 平成3年8月9日判決)

こちらの判例では妻の精神的苦痛に対する慰謝料は認められましたが、離婚や別居をしなかったことが考慮され、最終的な慰謝料金額は100万円になりました。

不倫相手に300万円の慰謝料請求出来た判例

夫の長年の不貞行為に対して妻が不倫相手に慰謝料請求し、300万円の支払いが命じられた判例です。

夫と不倫相手の20年以上にわたる不貞行為が発覚し、妻が不倫相手に1200万円の慰謝料を請求。

不貞行為によって夫婦関係は破綻に追い込まれ、裁判当時には夫婦双方が離婚の意思を示していた。不貞行為の長さの期間が考慮され、不倫相手に300万円の慰謝料請求が命じられた。
(大阪地方裁判所 平成11年3月31日判決)

不貞行為が20年以上と長期に及んでいたことや、夫婦関係が破綻に追い込まれたことなどが考慮され、不貞行為の慰謝料相場の上限額である300万円の支払いが命じられています。

不貞行為の期間が長期間になるほど、慰謝料が増額されやすいことがわかります。

不倫相手と配偶者に500万円の慰謝料請求できた判例

不倫相手と配偶者の双方に慰謝料を請求し、総額500万円の支払いが命じられた判例です。

暴言や経済的DVなどをしていた夫の長年に渡る不貞行為が発覚し、妻が夫と不倫相手に3000万円の慰謝料を請求。

不貞行為の期間やモラハラの悪質性などから、総額500万円(うち200万円が不倫相手の支払い分)の慰謝料請求が命じられた。
(東京地方裁判所 平成15年11月10日判決)

こちらの判例では、配偶者と不倫相手の双方に総額500万円の慰謝料請求が命じられています。不貞行為だけでなく、配偶者の暴言や経済的DVなども考慮された金額となっています。

配偶者の不倫相手に慰謝料請求をする流れ

配偶者の不倫相手に慰謝料請求をする流れは以下のとおりです。

  1. 配偶者の不倫相手に慰謝料請求が可能であるかを確認する
  2. 不倫の証拠を集める
  3. 内容証明郵便を送付して慰謝料を請求をする
  4. 配偶者の不倫相手と直接交渉をする
  5. 交渉が決裂すれば調停または訴訟を提起する

それぞれの流れについて、順番に解説します。

1.配偶者の不倫相手に慰謝料請求が可能であるかを確認する

まず、配偶者の不倫相手に対して慰謝料の請求が可能かどうかを確認しましょう。

不倫相手に慰謝料が請求できる条件は以下のとおりです。

  • 配偶者の不倫相手の間に肉体関係がある
  • 不倫相手に故意または過失がある
  • 不貞行為が原因で夫婦関係が破綻し、精神的苦痛を受けた

不貞行為の慰謝料は、肉体関係がなければ原則として請求ができません。そのため、まずは配偶者と不倫相手の間に肉体関係があったかどうかを調べてみてください。

また、不倫相手が故意または過失によって不貞行為を行ったかどうかも重要です。

配偶者と不倫相手が同じ職場だったり、配偶者が休日は必ず家族と過ごしていたりした場合、故意や過失が認められる可能性は高いでしょう。

なお、不貞行為が発覚する前から長期間の別居をしていたなど、夫婦関係がすでに破綻していた場合は慰謝料請求ができない可能性があるため、注意してください。

2.不倫の証拠を集める

次に、不倫相手と配偶者の間に肉体関係があったという証拠を集めましょう。不貞行為の証拠がなければ、慰謝料の請求が難しくなるためです。

不倫の証拠となるものの例は以下のとおりです。

  • 2人でホテルに出入りしている写真・動画
  • 性交渉をしている写真・動画
  • 旅行・宿泊したことがわかるSNSの投稿
  • 肉体関係を持っていたことがわかるメッセージのやり取り
  • 不貞行為を自白している録音や書面
  • 不倫相手との通話履歴
  • 不倫相手から受け取った手紙やメッセージカード
  • ホテルの領収書やクレジットカードの明細

特に2人でホテルに出入りしていたり、性交渉をしていたりする写真や動画などは、不貞行為の強力な証拠になります。

宿泊や肉体関係を持っていたことがわかるSNSの投稿、メッセージやり取りも重要な証拠なので、見つけた際はスクリーンショットなどで残しておきましょう。

もしも不貞行為の証拠が見つけられなかった場合、探偵や弁護士などの専門家に相談しながら証拠の収集を行ってください。

3.内容証明郵便を送付して慰謝料を請求をする

証拠集めが完了したら、内容証明郵便で不倫相手に慰謝料を請求しましょう。

内容証明郵便は、送付した事実や年月日、内容などを証明するものです。不倫相手が内容証明郵便を受け取れば、慰謝料を請求したという事実を客観的に残せます。

そのため、内容証明郵便を送付しておけば「慰謝料の請求をされていない」と不倫相手から言い逃れをされる心配がなくなります。

内容証明郵便には、不貞行為による慰謝料請求であることや、慰謝料の金額、振込先、支払期日などの詳細を記しておきましょう。

内容証明郵便は個人でも送付できますが、弁護士に依頼すれば弁護士事務所から代理で送付してもらうことも可能です。

弁護士が送付したからといって慰謝料請求に強制力が生じるわけではないものの、不倫相手にプレッシャーを与えられます。

4.配偶者の不倫相手と直接交渉をする

不倫相手と連絡が取れるのであれば、内容証明郵便を送るのではなく、直接会って慰謝料の交渉をしても問題はありません。

直接交渉する際に取り決めるべき内容は以下のとおりです。

  • 慰謝料の金額
  • 慰謝料の支払い方法や支払期日
  • 配偶者との連絡・接触の禁止
  • 不倫に関する口外の禁止
  • 名誉毀損や誹謗中傷の禁止
  • 分割払いを滞納した際のペナルティ
  • 取り決めた内容に違反した際のペナルティ

交渉で取り決めた内容は示談書にすべて記載し、不倫相手に署名捺印をさせてください。示談書を残しておけば、取り決めた内容を後から覆されずに済みます。

なお、不倫相手との慰謝料の交渉は弁護士に代行してもらうことも可能です。不倫相手と直接顔を合わせたくない場合は、弁護士に依頼して代わりに交渉してもらいましょう。

5.交渉が決裂すれば調停または訴訟を提起する

内容証明郵便を無視されたり直接交渉が決裂したりした場合、民事調停または民事訴訟を提起して慰謝料の請求をします。

民事調停は、家庭裁判所の調停委員を介して話し合いを行い、和解や合意を目指す手続きです。あくまでもお互いの合意によって成立するものであるため、強制力はありません。

一方の民事訴訟では、裁判の判決によって強制的に慰謝料を支払わせることができます。

裁判の判決で不倫相手に慰謝料請求が命じられた場合、不倫相手は被害者に対して必ず慰謝料を支払わなくてはなりません。もしも判決後に慰謝料の支払いを拒否したとしても、財産や給料が差し押さえられ、強制的に支払いが実行されます。

不倫相手と話し合いの余地がありそうなら手続きが簡潔に済む民事調停、不倫相手が反省しておらず証拠も揃っている場合は民事訴訟を提起しましょう。

なお、調停や訴訟は弁護士に依頼することで手続きや話し合い、出廷などを代行してもらえます。

特に裁判にまで発展すると手続きが複雑化することから、弁護士への依頼が必須です。

配偶者の不倫相手に慰謝料請求をする際の注意点

配偶者の不倫相手に慰謝料請求をする際には、以下のポイントに注意しましょう。

  • 不倫の決定的な証拠を確保する
  • 話し合いで感情的にならない
  • 口約束ではなく書面として残しておく
  • 求償権を放棄させる
  • 慰謝料の二重取りはできない

それぞれの注意点について詳しく解説するので、ぜひチェックしてください。

不倫の決定的な証拠を確保する

不倫相手に慰謝料請求をする際は、言い逃れができないほど決定的な証拠を確保しましょう。

もしも不倫の証拠が揃っていない状態で慰謝料を請求しても、「不倫の事実はない」と言い訳をされる可能性があるためです。

不倫相手が言い逃れできない決定的な証拠は以下のとおりです。

  • 肉体関係があったことが推測できる写真や動画
  • 旅行・宿泊したことがわかるSNSの投稿

ラブホテルや不倫相手の家に出入りしている写真・動画は、不倫の決定的な証拠になります。

性交渉中の写真・動画も証拠になるので、配偶者のスマホなどにデータが残されていないか確認してみてください。

また、SNSに投稿された写真や文章などから配偶者と不倫相手が旅行・宿泊していることが推測されれば、不倫の証拠の1つになり得ます。

そのほか、不倫相手との通話履歴やメールのやり取り、手紙、ホテルの領収書などは、上記の決定的な証拠と組み合わせて提示するようにしましょう。

たとえば「不倫相手の家に出入りしている写真」と「肉体関係があったことがわかるメールやり取り」の2つを提示すれば、「用事があって家に寄ってもらっただけ」という言い訳はできなくなります。

1人で証拠集めをするのが難しい場合、浮気調査に強い探偵への依頼がおすすめです。調査費用は発生しますが、写真や動画などの客観的な証拠を集めてもらえます。

証拠集めの方法についてアドバイスを受けたい場合は、弁護士に相談してみてください。

話し合いで感情的にならない

不倫相手と話し合いをするときは、感情的にならないように気を付けておきましょう。

直接交渉をする場合、相手の態度が悪かったり憎しみが募っていたりすると、怒りに任せて暴言を吐いてしまうケースもあります。

しかし、相手の命や社会的地位を脅かすようなことを言ってしまうと恐喝罪に抵触し、逆に訴えられてしまうかもしれません。

そのため、話し合いの際は事前に決めた内容だけを伝えるようにし、淡々と進めるように心掛けてみてください。

感情をコントロールする自信がない場合、弁護士に同席してもらうか、交渉を代行してもらう方法がおすすめです。弁護士が主体となって交渉を進めることで、感情的にならず冷静な話し合いが望めます。

口約束ではなく書面として残しておく

不倫相手との交渉が成立したときは、取り決めた内容を必ず書面として残すようにしてください。

口約束のみで話し合いを終わらせてしまうと、後から不倫相手が「慰謝料の支払いに同意していない」などと言い、合意内容を覆す恐れがあるためです。

慰謝料の請求について合意を得た場合は示談書、慰謝料は請求しないが次に配偶者と接触すれば請求をするという場合は誓約書を作成しましょう。

なお、示談書や誓約書は公正証書として作成することをおすすめします。

公正証書とは、公証役場で公証人が当事者から聞き取った内容に基づいて作成する公文書です。

公正証書は公証役場で作成されるため、不倫相手が内容に合意したことの客観的な証拠になります。また、不倫相手が期日までに慰謝料の支払いをしなかった場合、差し押さえによる強制執行が可能です。

不倫相手との話し合いで慰謝料請求が成立した場合、公正証書として書面に残すようにしてください。

求償権を放棄させる

配偶者には慰謝料を請求せず、不倫相手にのみ慰謝料を請求する場合、求償権を行使される可能性があります。

求償権とは、自分の責任割合以上の金額の慰謝料を支払った際に、負担割合に応じた金額の返還を求める権利のことです。

不貞行為の賠償責任は配偶者と不倫相手の両方に発生するため、基本的には連帯責任で被害者に慰謝料を支払わなくてはなりません。

たとえば慰謝料の金額が200万円で責任割合が1:1の場合、不倫相手が負担する分は100万円になります。

被害者は一方の加害者に対して慰謝料の全額を請求する権利があるので、配偶者には慰謝料を請求せず、不倫相手にだけ慰謝料の全額を請求するということも可能です。

しかし、不倫相手に慰謝料全額を支払わせた場合、後から求償権を行使される可能性があります。上記の例だと、求償権を行使されたときは100万円を不倫相手に返還しなくてはなりません。

そのため、不倫相手と交渉する際には、求償権を放棄することに合意させましょう。不倫相手から合意を得られたときは、示談書や誓約書などに不倫相手が求償権を放棄する旨の記述をしてください。

あらかじめ求償権を放棄させておけば、慰謝料トラブルの再発を防止できます。

慰謝料の二重取りはできない

不貞行為の慰謝料は配偶者と不倫相手の両方に請求できますが、原則として二重取りはできません。

先述したとおり、不貞行為の賠償責任は配偶者と不倫相手が連帯して負うものです。

たとえば慰謝料の金額が200万円である場合、配偶者と不倫相手は2人で合計200万円を被害者に支払うということになります。

配偶者と不倫相手の両方に対して200万円を請求し、合計400万円の慰謝料をもらうということはできません。

そのため、先に配偶者から慰謝料の全額を受け取っていた場合、不倫相手は慰謝料の支払いを拒否することができます。

不倫相手に慰謝料を請求したいときは、配偶者から慰謝料の全額を受け取らないように注意してください。

なお、慰謝料の二重取りができないというのは、あくまでも裁判での決まりです。

そのため、個人的に配偶者と不倫相手と話し合いを行い、双方が慰謝料の支払いに応じた場合は二重取りが可能です。

慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット

不倫相手への慰謝料請求は個人でも行えますが、不倫トラブルに強い弁護士に依頼することをおすすめします。

慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。

  • 配偶者の不倫相手への慰謝料請求を有利に進められる
  • 配偶者の不倫相手に事の重大さを認識させられる
  • 配偶者の不倫相手や配偶者と連絡を取らなくて済む

それぞれのメリットを解説するので、弁護士に依頼しようかどうか迷っている場合は、ぜひ参考にしてください。

配偶者の不倫相手への慰謝料請求を有利に進められる

慰謝料請求を成功させるためには、証拠に基づいて冷静に不倫相手と話し合いを進めることが重要です。

交渉は自分だけでも可能ではあるものの、不利になりそうな情報を不倫相手に伝えてしまったり、感情的になったりしてしまい、慰謝料請求が難航するリスクがあります。

弁護士に依頼すれば法的根拠に基づいて冷静に交渉をしてもらえるため、不倫相手への慰謝料請求を有利に進められるでしょう。

さらに慰謝料請求が有利になる証拠集めのアドバイスも受けられるので、証拠が見つからず不安に思っている場合も弁護士への相談がおすすめです。

また、不倫トラブルに強い弁護士は、養育費の請求にも精通していることが多いです。そのため、不倫相手への慰謝料請求と配偶者への養育費の請求を同時に進められるというメリットもあります。

慰謝料や養育費の請求を有利に進めたい場合は、弁護士への依頼を検討してみてください。

配偶者の不倫相手に事の重大さを認識させられる

被害者が直接不倫相手に連絡を取るよりも、弁護士から連絡をしてもらった方が不倫相手に事の重大さを認識させやすいです。

不倫相手が不貞行為のことを重大に捉えていないケースは多々あります。そのため、被害者が直接慰謝料を請求しても「無視していれば良い」と考え、請求に応じないことも少なくありません。

一方、弁護士を通して不倫相手に連絡をすれば、慰謝料請求の本気度が伝わり、相手が真摯に対応するようになる可能性があります。

不倫相手が慰謝料請求に対応しない場合や、早期解決を目指したい場合、弁護士への相談がおすすめです。

配偶者の不倫相手や配偶者と連絡を取らなくて済む

弁護士に慰謝料請求の交渉を依頼すると、基本的に弁護士がすべてのやり取りを行うことになります。

不倫相手や配偶者と直接連絡を取る必要がないため、精神的負担の軽減につながり、ストレスを感じることなく慰謝料請求が可能です。

また、不貞行為で慰謝料請求をするときには、不倫相手や配偶者に対して強い怒りを抱えていることが予測されます。

怒りを抱えている状態で相手と交渉すると、冷静な話し合いができずトラブルにつながる恐れがあります。

弁護士に依頼すれば相手とのトラブルも防止できるため、メリットは非常に大きいといえるでしょう。

弁護士を選ぶ際のポイント

不倫相手への慰謝料請求で弁護士を選ぶ際は、不倫問題に強い弁護士に依頼することをおすすめします。

具体的には、不倫トラブルに関して100件以上の解決実績を持つ弁護士であれば、不倫問題に強い弁護士であるといえるでしょう。

不倫問題の解決実績が豊富な弁護士は、経験則から慰謝料請求の交渉を上手く進めてくれる可能性が高いです。

解決件数が多ければ必ず良い弁護士というわけではありませんが、実績の豊富さは弁護士を選ぶ指標の1つになります。

また、初回の相談料が無料かどうかも弁護士を選ぶ上で大切なポイントです。

弁護士を探す際には、複数の弁護士事務所に相談し、比較しながら選ぶケースが多いものです。

相談料がかかってしまうと弁護士を探すだけで多額の費用がかかってしまうため、基本的には初回相談が無料の弁護士を選ぶようにしましょう。

多くの弁護士事務所では初回の相談料は無料にしており、2回目以降から30分5,000円程度の相談料が発生します。

まとめ

不倫相手に慰謝料を請求したい場合、まず配偶者と不倫相手の間に肉体関係があったかどうかを確認しましょう。肉体関係を持っていたという証拠があれば、慰謝料を獲得できる可能性が高いです。

慰謝料請求が認められるためには、不倫相手に故意・過失があったかどうかや、夫婦関係の破綻につながったかどうか、精神的苦痛を受けたかどうかなども重要視されます。

不倫相手への慰謝料請求を有利に進めたい場合、弁護士への相談がおすすめです。弁護士に相談すれば証拠集めのアドバイスをもらえたり、交渉を代行してもらえたり、さまざまなメリットがあります。

不倫問題の実績が豊富な弁護士に相談し、不倫相手から慰謝料を勝ち取りましょう。

【Q&A】配偶者の不倫相手に慰謝料請求をする際によくある質問

ダブル不倫でも配偶者の不倫相手に慰謝料請求はできる?

不倫関係にある男女2人ともが結婚している「ダブル不倫」の状態である場合、不倫相手への慰謝料請求は難しくなります。

法律上は不倫相手に対して慰謝料請求は可能ではあるものの、相手の配偶者からも自分の配偶者に対して慰謝料請求をされる可能性が高いです。

配偶者と離婚しない場合は共有財産から慰謝料を支払うことになるため、不倫相手に慰謝料請求をしても経済的なメリットはありません。

そのため、ダブル不倫の場合はお互いの慰謝料を相殺して和解するケースが多いようです。

離婚した後でも配偶者の不倫相手だけに慰謝料請求はできる?

離婚した後でも、時効が成立する前であれば不倫相手に慰謝料を請求できます。

離婚の際は精神的な余裕がなく、慰謝料請求のことまで頭が回らないというケースも少なくありません。離婚をしたからといって、慰謝料を請求する権利が消失するわけではないので、安心しましょう。

ただし、離婚に際して配偶者から十分な慰謝料を受け取っている場合、不倫相手への慰謝料請求はできません。

不貞行為の慰謝料は配偶者と不倫相手が連帯で支払う決まりになっており、どちらか一方が十分な金額を支払った場合、もう一方は支払う必要がなくなるためです。

離婚後に慰謝料を請求する際は、配偶者に不貞行為の慰謝料をもらっていないことと、3年の時効を過ぎていないことが条件になります。

配偶者の不倫相手から逆に慰謝料請求をされた場合はどうすればいい?

不倫相手から慰謝料請求をされたときは、なぜ慰謝料請求されているのかを確認の上、弁護士に相談してください。

たとえば配偶者が独身だと巧みに嘘をついて肉体関係に及んだ場合、貞操権侵害として相手から訴えられる可能性があります。

また、不倫相手を妊娠・中絶させたケースや暴力を振るっていたケースなどでも、慰謝料を請求されることがあります。

不倫相手からの慰謝料請求を無視すると状況が悪化する可能性も考えられるため、弁護士に相談の上で適切な対処を取りましょう。