「離婚成立前に配偶者が不倫相手と同棲を始めた」「単身赴任先で不倫相手と同棲していた」など、配偶者が不倫相手と同棲をするというケースがあります。
配偶者の不倫と同棲を理由に慰謝料請求を考えているものの、手続きの方法がわからず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
結論から述べると、配偶者や不倫相手に慰謝料を請求するためには「不倫・同棲によって夫婦関係が破綻した」ということを証明する必要があります。たとえば不倫される以前は夫婦円満に過ごしていたにもかかわらず、不倫して同棲を開始したのであれば、慰謝料請求が可能です。
反対に、不倫される以前から長期間の別居をしており、夫婦関係が破綻した状態で不倫・同棲を始めたのであれば、慰謝料請求は難しくなるでしょう。
なお、実際に慰謝料請求をするためには、証拠を事前に集める必要があります。十分な証拠が揃っていなければ、相手に不倫の事実を否定され、裁判で慰謝料請求が認められない可能性があるためです。
配偶者の不倫や同棲で慰謝料請求をする場合、離婚問題に強い弁護士に相談しましょう。弁護士であれば証拠集めの方法に関してアドバイスが受けられるうえ、慰謝料額の算定や相手方との交渉なども一貫して任せられます。
本記事では、不倫による同棲で慰謝料請求する際の条件や流れ、慰謝料相場などについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに弁護士にご相談を
- 北海道・東北
-
- 関東
-
- 東海
-
- 関西
-
- 北陸・甲信越
-
- 中国・四国
-
- 九州・沖縄
-
配偶者が不倫相手と同棲した場合に慰謝料請求できる条件
配偶者が不倫相手と同棲している場合、慰謝料を請求できる可能性はありますが、事前に確認すべきポイントがいくつかあります。
配偶者や不倫相手に慰謝料請求できる主な条件は、以下のとおりです。
- 不倫や同棲によって夫婦関係が破綻した
- 不倫相手にも故意・過失があった
- 上記のことを証明できる証拠が揃っている
次の項目から、それぞれの条件について詳しくみていきましょう。
不倫や同棲によって夫婦関係が破綻した
配偶者の不倫や同棲が原因で夫婦関係が破綻したり、離婚に至ったりした場合、損害賠償として慰謝料請求が認められます。不倫によって、平穏な婚姻生活を送る権利が侵害されたとみなされるためです。
ただし、不倫がある前から夫婦関係が悪化しており、夫婦の同居・協力・扶助の義務を果たしていなかった場合、原則として慰謝料の請求はできません。
夫婦の同居・協力・扶助の義務とは、夫婦で共同生活を送り、家事や育児を分担しながら経済的に支え合い家庭を維持する法的責任のことです。
たとえば不倫が始まる前から長期間にわたって別居をしていた場合、すでに夫婦関係が破綻していたと判断される可能性が高いです。
また「家事・育児を一方的に相手に押し付けられ、経済的支援も受けていなかった」「以前から離婚の話し合いをしていた」などの場合も、実質的に夫婦関係は破綻していたといえるでしょう。
反対に、配偶者が勝手に家を出ていき不倫相手と同棲した場合は、夫婦関係を壊した直接的な要因とされ、慰謝料請求が認められやすくなります。
不倫相手にも故意・過失があった
不倫相手にも慰謝料を請求する場合、不倫相手に故意または過失があったことを証明する必要があります。
不貞行為における故意・過失とは、肉体関係を持った相手が既婚者であることを知っていた、あるいは注意すれば既婚者であることに気付けた状態のことです。
既婚者だと知りながら関係を持った場合は故意、既婚者だとは知らなくても注意すれば気付ける状況にあった場合は過失が認められます。
たとえば配偶者が独身専用の婚活サイトなどで不倫相手と知り合い、既婚者であることを完全に隠していた場合、故意・過失がないと判断される可能性が高いでしょう。
しかし、SNSや友人関係を通じて既婚者であることを知る機会があったのに無視していた場合は、過失が認められる可能性があります。
なお、不倫相手の故意・過失は、あくまでも不倫相手に慰謝料を請求する場合の条件です。不倫相手の故意・過失が認められなかったとしても、配偶者への慰謝料請求は可能なので、その場合は配偶者のみに慰謝料請求することも考えてみてください。
上記のことを証明できる証拠が揃っている
慰謝料請求を成功させるためには、不倫の事実や夫婦関係の破綻を証明できる証拠が必要です。
注意点として、別居後に配偶者が不倫相手と同棲したという事実だけでは、不倫によって夫婦関係が破綻した証明にはなりません。たとえば別居してから一定期間後に同棲を開始した場合、「別居によって夫婦関係が破綻したから交際を始めた」と反論される可能性があります。
そのため、慰謝料請求をする際には「不倫相手と肉体関係を持っていたこと(不貞行為)」および「同棲を開始した時期」に関する証拠を集めなければなりません。夫婦で同居中に不倫相手と肉体関係を持っていたり、一方的に同棲を始めたりした証拠があれば、慰謝料請求が成功する可能性が高まります。
不貞行為や同棲の証拠として有効なものの例は、以下のとおりです。
- ラブホテルに出入りしている写真・動画
- 性交渉中の写真・動画
- 肉体関係があったことが推定されるメッセージやり取り
- ラブホテルの領収書やクレジットカード明細
- 同棲先に頻繁に出入りしている写真・動画
- 同棲先の賃貸契約書や光熱費の支払い履歴
- 探偵事務所の調査報告書
確実に慰謝料を請求するためには、不貞行為や同棲の証拠を複数集めたうえで相手との交渉に臨みましょう。
なお、不倫に関する証拠集めは法律的な知識が必要なため、離婚問題や慰謝料請求に強い弁護士に相談するのがおすすめです。また、慰謝料請求が得意な弁護士は探偵事務所と提携していることも多く、証拠収集から慰謝料請求までを包括的に依頼できるというメリットもあります。
配偶者が不倫相手と同棲していた場合の慰謝料請求の流れ
配偶者が不倫相手と同棲していた場合、以下の流れで慰謝料請求を行います。
- 書面で不倫相手と交渉する
- 対面で不倫相手と直接交渉する
- 相手が事実を認めたら示談書・公正証書を作成する
- 話がまとまらない場合は調停または裁判を行う
慰謝料請求の流れについて、次の項目から詳しく解説します。
書面で不倫相手と交渉する
まずは不倫相手に書面を送付し、慰謝料請求の意志があることを伝えましょう。
書面を送付する際は「普通郵便」と「内容証明郵便」のどちらかになりますが、時効が迫っていない限りは普通郵便でも問題ありません。しかし、不倫相手に緊迫感や威圧感を与えるためには、内容証明郵便で送る方法が効果的です。
内容証明郵便とは「いつ・誰から誰に・どのような文書が送られたか」を郵便局が証明する制度です。
内容証明郵便は個人でも送付できますが、弁護士の名義で送付すれば不倫相手にさらなるプレッシャーを与えられます。相手が無視できない状況を作るためにも、弁護士名義で書面を送付することも検討してみてください。
対面で不倫相手と直接交渉する
不倫相手が直接交渉に応じるのであれば、対面で慰謝料請求をする方法もあります。
対面で直接交渉する場合は、事前に相手に聞き出す内容をまとめておきましょう。不倫相手と話すべき内容は主に以下のとおりです。
- いつから配偶者と肉体関係を持っていたのか
- いつから配偶者との同棲を始めたのか
- 既婚者ということを知っていたか
- 不倫関係・同棲を解消する意思はあるか
- 慰謝料を支払うだけの経済力はあるか
直接交渉する際のポイントとして、事前にICレコーダーなどを準備し、相手との会話内容を録音しておきましょう。録音したデータは、裁判に発展した際に証拠として使用することが可能です。
なお、当事者同士の会話を録音する際は、相手の承諾を得る必要はありません。相手の承諾なしに録音する行為は「秘密録音」と呼ばれ、第三者に漏洩しない限り違法行為には当たらないためです。
不倫相手との交渉や示談書の作成は自分だけでもできますが、不倫相手にプレッシャーを与えるという意味でも、弁護士に立ち会ってもらうことをおすすめします。弁護士に交渉を代行してもらえば、感情的にならず建設的に交渉を進めやすくなるでしょう。
相手が事実を認めたら示談書・公正証書を作成する
不倫相手が不貞行為や同棲の事実を認めた場合、示談書を作成します。
示談書とは、トラブルが話し合いで解決したことを証明する文書です。示談書には当事者双方が合意した内容を記載します。
不倫相手から慰謝料支払いの合意を得たとしても、口約束だけでは後から「やっぱり支払いたくない」と覆される可能性があります。そのため、必ず示談書を作成し、書面として残しておくことが大切です。
不倫における慰謝料請求で、示談書に記載すべき項目は以下のとおりです。
- 不貞行為・同棲の事実
- 慰謝料の条件(金額・支払期日・支払い方法など)
- 誓約事項
- 違反した場合の制裁
- 清算条項
- 求償権の放棄
誓約事項には慰謝料以外の約束事について記載します。たとえば「不倫関係・同棲を解消すること」「不倫の件について口外しないこと」などが含まれます。
清算条項とは、示談書の作成後に新たな不倫の事実などがない限り、さらなる慰謝料請求はしないことを確認するための条項です。
不倫相手のみに慰謝料を支払ってほしい場合は、求償権の放棄についても記載しておきましょう。不倫の慰謝料における求償権の放棄とは、簡単にいうと「不倫相手が支払った慰謝料について、後から配偶者に負担を求める権利を放棄すること」です。
なお、慰謝料請求に関する示談書を作成する際は、公正証書もあわせて作成するのが一般的です。
公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公文書のことです。法的効力が強く、私文書よりも証拠として有効とされています。
また、公正証書に「強制執行認諾文言」を記載しておけば、相手が支払いを怠った場合に裁判を起こさずに財産や給与を差し押さえられます。
示談書や公正証書の作成・手続きは自分だけでもできますが、内容に不備がある場合、証拠としての効力が薄まる可能性があります。示談書の作成後に支払いを拒否されないためにも、弁護士に依頼のうえで示談書と公正証書を作成することをおすすめします。
話がまとまらない場合は調停または裁判を行う
話し合いで慰謝料請求についての合意が得られない場合、調停または裁判によって慰謝料請求をすることになります。
配偶者と不倫相手、どちらに慰謝料請求をするのかによって申し立てる調停や裁判の種類は異なります。具体的な種類は以下のとおりです。
請求相手 |
調停 |
裁判 |
配偶者 |
離婚調停 |
離婚裁判 |
不倫相手 |
慰謝料請求調停または民事調停 |
民事裁判 |
配偶者に慰謝料請求をする場合、離婚調停を申し立て、離婚条件や慰謝料問題について話し合います。離婚などの家事事件には「調停前置主義」という制度があるため、調停をせずに裁判を起こすことはできません。
一方、不倫相手に慰謝料請求をする際は調停前置主義が適用されないので、調停か裁判かを選択できます。交渉する余地がありそうなら、まずは調停から申し立てるのが一般的です。
調停による話し合いで合意が得られれば、合意内容に基づいて慰謝料が支払われます。しかし、調停で決着しない場合は裁判へ進み、最終的に裁判所の判断によって慰謝料の支払いが決定されます。
なお、調停や裁判で有利に立ち回るためには、法的知識が必要不可欠です。必ず離婚や慰謝料請求に強い弁護士に依頼のうえ、しっかりと準備を整えてから調停や裁判に臨みましょう。
離婚前に不倫相手と同棲していた場合の慰謝料相場
離婚が成立する前に配偶者が不倫相手と同棲していた場合、慰謝料相場は150万円〜300万円程度になると考えられます。
一般的に、不倫の慰謝料相場は50万円〜300万円程度とされており、状況によって高くなるケースと低くなるケースがあります。慰謝料の金額は、主に以下のような要素を総合的に考慮して決定されます。
- 離婚や別居をするかどうか
- 婚姻期間
- 不倫の期間や頻度
- 不倫の悪質性
- 子どもの有無
離婚や別居をしない場合は50万円〜100万円程度、不倫が原因で離婚や別居をする場合は100万円〜300円程度が一般的な慰謝料の相場です。
しかし、配偶者が不倫相手と同棲している場合は不倫の悪質性が高いとされ、慰謝料が相場よりも高額になる傾向があります。
慰謝料額に明確な決まりはありませんが、不貞行為や同棲の証拠がある場合、相場よりもやや高額な150万円〜300万円程度の慰謝料請求も可能です。
現実的にどの程度の慰謝料請求が可能なのか、詳しく知りたい方は離婚問題や慰謝料請求に強い弁護士に相談してみてください。
まとめ
配偶者が不倫相手と同棲していた場合、不倫によって夫婦関係が破綻したことを証明できれば慰謝料の請求が可能です。確実に慰謝料請求を成功させるためにも、不倫相手と肉体関係を持っている証拠と同棲時期に関する証拠を徹底的に集めましょう。
反対に、不倫が発覚する前から長期間にわたって別居しているケースでは、すでに夫婦関係が破綻していたとみなされ、慰謝料請求が認められません。
不倫による慰謝料相場は状況によって異なりますが、不倫相手と同棲しているケースでは150万円〜300万円程度の慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料請求は自分だけでも可能ですが、法的知識が必要な場面も多々あるため、離婚や慰謝料請求に強い弁護士に一任するのがおすすめです。不倫による精神的な負担を軽減するためにも、早めに専門家に相談し、解決のための一歩を踏み出してみてください。
配偶者が不倫相手と同棲した場合の慰謝料請求でよくある質問
配偶者と不倫相手のどちらに慰謝料請求すべき?
不倫による慰謝料は、配偶者と不倫相手のどちらに請求しても問題ありません。どちらか一方に全額請求しても、両方に折半する形で請求することも可能です。
少しでも多くの慰謝料を獲得するためには、不倫相手の収入や資産状況を推測したうえで、配偶者と不倫相手のどちらに慰謝料を請求するのかを決めましょう。
なお、裁判で一方からすでに慰謝料をもらっている場合、もう一方に慰謝料を請求しても慰謝料額が減額される傾向があります。
不倫相手だけに慰謝料請求は可能?
配偶者には慰謝料を請求せず、不倫相手にだけ慰謝料を請求することも可能です。不倫の慰謝料は配偶者と不倫相手が連帯して支払い義務を負うものであり、どちらに請求するのかは被害者が自由に決められます。
なお、配偶者と不倫相手の双方に慰謝料を請求する場合でも、2倍の金額を求めることはできません。たとえば慰謝料金額が200万円の場合、不倫相手と配偶者の2人合わせて200万円の請求となります。配偶者と不倫相手それぞれに200万円ずつの請求はできないため、注意しておきましょう。
もしも不倫相手または配偶者のいずれかが慰謝料を全額支払った場合、もう一方に対して負担を求めることができます。たとえば不倫相手が200万円の慰謝料全額を支払った場合、求償権の行使によって配偶者に半分の100万円を請求できます。
不倫相手にだけ慰謝料を支払わせたいときは、示談書に「求償権の放棄」について記載しておくとよいでしょう。
配偶者が不倫相手と同棲したけど解消させる方法はある?
配偶者や不倫相手への慰謝料請求は法的に認められますが、裁判を起こしたとしても、判決によって同棲を解消させられる可能性は低いです。
過去には同棲の差し止めを求める裁判が起こされた判例もありますが、裁判所は「夫婦関係の修復は困難」と判断し、請求は棄却されました。
不倫相手と同棲をしているなど、婚姻関係が破綻しているとみなされる状況の場合、裁判所は夫婦関係の修復に努めない傾向があります。
そのため、配偶者と不倫相手の同棲を解消させるためには、配偶者と話し合って自主的に同棲をやめてもらうしかないでしょう。
無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに弁護士にご相談を
- 北海道・東北
-
- 関東
-
- 東海
-
- 関西
-
- 北陸・甲信越
-
- 中国・四国
-
- 九州・沖縄
-