慰謝料請求をされた時にまず確認するべきこと
慰謝料が請求された場合、ただ受け入れて支払うのは、賢明ではありません。請求があった場合は、慌てずにまずは以下の3点を確認しましょう。
- 慰謝料請求の差出人が誰なのか確認する
- 本当に慰謝料を支払うべき事例に該当するのか確認する
- 請求された慰謝料が相場より高すぎないか確認する
上記の点を踏まえて慰謝料の支払いが必要と判断した場合に、初めて支払い方法や期間といった交渉を始めましょう。
それぞれの確認事項について、詳しく解説します。
慰謝料請求の差出人が誰なのか確認する
慰謝料の請求は、通常口頭やメール、または手紙(内容証明郵便など)を通じて行われます。ただし差出人によっては、交渉や減額の度合いが異なるため、それぞれの状況を確認する必要があります。請求者自身が差出人の場合、直ちに慰謝料の支払いに応じる必要はなく、以下のような特徴がある場合は交渉の余地があります。
- 感情的で過剰な慰謝料を請求している場合
- 社会的制裁を示唆するために会社や報道機関の名前を出している場合
- 金額が明記されず、自身の被害を強調して謝罪を求める場合
重要なのは、相手の要求内容を読み取ることです。要求内容が明確であれば、慰謝料の減額交渉が成功する可能性が高まります。
行政書士が差出人の場合、慰謝料請求はある程度の根拠に基づいて行われていると判断されます。しかし行政書士は弁護士よりも費用が安く、示談解決を前提としています。また行政書士がもつ権限によっては、裁判調停の申立てや訴訟はできません。そのため行政書士名義の請求書を受け取った場合は、示談解決を希望している可能性が高いと考えられます。早めに対応し、減額交渉などに応じることが重要です。
弁護士が請求してきた場合、相手は慰謝料の確実な支払いを求めており、裁判も辞さない姿勢を示しています。この場合、自己判断ではなく弁護士に相談し、交渉を依頼することが重要です。弁護士との交渉は難しく、自身で対応することは望ましくありません。弁護士名義の請求書を受け取った場合は、早めに弁護士に相談し、適切な対応を取ることが肝要です。
本当に慰謝料を支払うべき事例に該当するのか確認する
慰謝料の請求がなされた場合、確認すべきポイントは請求の根拠です。請求の根拠が存在しない場合や、請求者が誤解している可能性もあります。本章では慰謝料請求をされた際にはまず確認すべきことを解説します。
慰謝料請求に値する証拠があるか
夫婦間において慰謝料を請求する場合、不貞行為の有無が争点となるケースが非常に多く見られます。実際に不貞行為があった場合、証拠の有無は非常に重要です。裁判においても、不貞行為があったことを立証できるかどうかが判断されます。したがって、慰謝料の請求者が不貞行為があったことを立証できる証拠を持っていない場合、慰謝料を支払う必要はないとされる可能性があります。不貞行為の証拠と認められるものは、以下の6つです。
- 会話の録音
- 写真やビデオ
- メールやSNSのやりとり
- クレジットカードの明細
- レシート
- 通話履歴
なお興信所へ依頼している場合は、調査結果をまとめた書類も不貞行為の証拠となり得ます。
不貞行為での慰謝料請求の場合は肉体関係があったか
肉体関係が存在しない場合、不貞行為とみなされることはありません。ただし、不貞行為が認定されない場合でも、慰謝料を支払う必要性がまったくないとは限りません。
食事やSNS上でのメッセージのやり取りだけであれば、不貞行為と見なされないことが多いです。しかし、相手との頻繁な接触や宿泊など、婚姻生活に影響を及ぼす可能性がある場合には、慰謝料の請求が認められることもあります。あらゆるケースを考慮して、慰謝料請求は無視せず、適切な対処(弁護士への相談など)を行うことが必要です。
【自分が不倫相手の場合】相手の夫婦関係が不倫前から破綻していたか
法的には、相手方の結婚生活に対して、不貞行為が影響を与えた場合にのみ慰謝料請求が生じます。そのため、相手方の夫婦関係がすでに破綻している場合、通常の婚姻生活が存在しないため、慰謝料を支払う必要がないことがあります。夫婦関係がすでに破綻しているか否かは、以下のポイントに沿って判断されます。
- 別居の有無
- 別居の理由
- 別居の期間
- 離婚協議の有無
- 別居中の夫婦関係
- 夫婦の生活状況
裁判では、上記のような評価基準に基づいて夫婦関係の破綻を判断します。しかし、判断によっては夫婦関係の破綻が認められないケースもあります。やはりこの点も、素人では判断が難しいポイントであるため、専門家からの助言が必要でしょう。
【自分が不倫相手の場合】相手の夫婦関係が不倫前から破綻していた場合
法的には、相手方の結婚生活に対して、不貞行為が影響を与えた場合にのみ慰謝料請求が生じます。そのため、相手方の夫婦関係がすでに破綻している場合、通常の婚姻生活が存在しないため、慰謝料を支払う必要がないことがあります。夫婦関係がすでに破綻しているか否かは、以下のポイントに沿って判断されます。
- 別居の有無
- 別居の理由
- 別居の期間
- 離婚協議の有無
- 別居中の夫婦関係
- 夫婦の生活状況
裁判では、上記のような評価基準に基づいて夫婦関係の破綻を判断します。しかし、判断によっては夫婦関係の破綻が認められないケースもあります。やはりこの点も、素人では判断が難しいポイントであるため、専門家からの助言が必要でしょう。
【自分が不倫相手の場合】相手が既婚者だと知らないで付き合っていた場合
法的には、相手方の結婚生活に対して、不貞行為が影響を与えた場合にのみ慰謝料請求が生じます。そのため、相手方の夫婦関係がすでに破綻している場合、通常の婚姻生活が存在しないため、慰謝料を支払う必要がないことがあります。夫婦関係がすでに破綻しているか否かは、以下のポイントに沿って判断されます。
- 別居の有無
- 別居の理由
- 別居の期間
- 離婚協議の有無
- 別居中の夫婦関係
- 夫婦の生活状況
裁判では、上記のような評価基準に基づいて夫婦関係の破綻を判断します。しかし、判断によっては夫婦関係の破綻が認められないケースもあります。やはりこの点も、素人では判断が難しいポイントであるため、専門家からの助言が必要でしょう。
【自分が不倫相手の場合】既に相手が慰謝料を十分に払っている場合
前述したように、不倫は共同不法行為に当たります。つまり1人では成立し得ないということです。必ず不倫相手が存在し、その相手がすでに十分な慰謝料を支払っている場合、あなたが慰謝料を支払う必要はないと認められるかもしれません。相場通りの慰謝料が支払われている場合、受け取る側は賠償はすでに完了していると見なされるためです。
不貞行為の相手から同意がない状態で関係を持たされたか
脅迫などによって不貞行為を強要された場合も、慰謝料を支払う必要はありません。合意なしに関係を迫られた場合、あなた自身もまた被害者と考えられます。
合意なしの強要とは、相手に恐怖心を与える行為のことです。暴力や嫌がらせをおこなって断れない状況下で関係を迫られた場合は、慰謝料の支払いを拒否できます。
不貞行為・傷害などをおこなった件について時効が成立しているか
慰謝料の支払い義務が生じる期間には、時効があります。ほとんどの不法行為に時効が定められており、時効が成立したあとであれば、慰謝料の支払いを拒否できます。時効の期間は、不法行為の内容によっても変わります。ここでは不貞行為を例に挙げて、時効の期間を解説します。
不貞行為の時効は、基本原則と生命・身体的な危機に脅かされた場合に分かれます。前者の場合、慰謝料の時効は以下のように定められています。
- 損害および加害者を知ったときから3年
- 不貞行為による被害が発生したときから20年
後者(生命・身体的な危機に脅かされた場合)の時効は、以下の通りです。
- 損害および加害者を知ったときから5年
- 不貞行為による被害が発生したときから20年
請求された慰謝料が相場より高すぎないか確認する
慰謝料を求められた際には、請求された金額が一般的な相場に合っているかを確認しましょう。相手の提示する金額を言われるままに支払ってしまうと、後からその金額を取り戻すのが難しくなります。相手が通常の相場よりも高額な請求をしている可能性も考えられるため、支払いをする前に慰謝料の相場をよく把握しておきましょう。
不貞慰謝料の場合、別居していない場合は50〜100万円、別居しているが離婚しない場合は100~130万円程度、離婚する場合は150~300万円程度が、一般的な相場とされています。
お金がない!慰謝料を払えない時の対処法
お金がない時に慰謝料請求をされても、焦って借金をしたり、請求を無視したりするのは厳禁です。
まずは落ち着いて、以下の対応から自分に合ったものを選んで対処するようにしましょう。
- 慰謝料の減額交渉をする
- 慰謝料の分割払いができないか聞く
- 家族に立て替えてもらう
- 【不倫の場合】不倫相手に慰謝料を立て替えてもらう
- 【不倫の場合】不倫相手に慰謝料の求償権を行使する
- 【最終手段】自己破産を検討する
それぞれの対処法について、詳しく解説します。
慰謝料の減額交渉をする
請求された慰謝料が相場通りであっても、経済的な状況によっては支払いが難しいかもしれません。そのような場合には、慰謝料の金額を減額できないか交渉してみましょう。交渉や裁判の結果によっては、請求額が減額されるケースがあります。あらかじめ高めに設定された請求額よりも、実際の支払額が少ないことはよくあるケースです。
慰謝料の減額交渉は、回答書によっておこないます。回答書に理由とともに、減額を希望する旨を記載してください。理由に妥当性があるほど、減額交渉が成功する可能性は高まります。ただし同じ理由を述べる場合でも、書き方によって相手が受ける印象は大きく異なります。スムーズに減額交渉を進めるにためには、回答書の書き方も含め、弁護士のアドバイスを受けるのがおすすめです。
行為の結果や損害の程度に対して請求額が高額であれば、具体的な事例を挙げて請求額が適切でないことを主張すべきです。さらに、支払えない理由と合わせて支払い可能な金額を提示することで、減額交渉が成功する可能性が高まります。
請求された金額に対して、支払い義務のある者の収入・資産が足りていない場合は、減額される可能性が高いでしょう。相手が長期的な争いを避けたいと考えている場合、迅速な解決が見込まれるかもしれません。
また不貞行為やDVなどについて、事実関係に争いがない場合は、早期に非を認めて謝罪することが重要です。相手が慰謝料を請求しているということは、あなたを許せないという感情が強いことを意味します。
減額交渉を行う際には、相手の感情を逆なでするような発言は避け、謝罪の気持ちを示すことが必要です。
慰謝料の分割払いができないか交渉する
相手が慰謝料の減額に応じない場合、支払いを分割する提案が有効です。支払い計画と支払い遅延時のペナルティを提示しておくと、相手の了承を得やすくなります。支払い計画を立てる段階で、月々の支払額や予想される完済時期を設定しておきましょう。
また、少し上乗せして支払うことも効果的ですが、分割払いは問題を長引かせることになります。他にも、まとまった金額を事前に支払い、残りの慰謝料のみ分割にするといった方法もあります。全額を分割で支払うよりも、支払い期間が短くなるため、相手からの合意を得やすくなります。
分割払い提案時は公正証書で合意することが一般的です。公正証書を作成しておけば、あなたが支払いを怠った時に、請求者は強制執行できるようになるため、分割払いに応じてもらいやすくなるでしょう。公正証書とは、個人から委託された専門家が、取り決めた内容を公的文書としてまとめたものです。ただしこの場合、公正証書を作成する費用も負担しなければなりません。
【POINT:慰謝料の減額や分割について合意できたら示談書を作っておく】
慰謝料の減額や分割について、相手方と合意できたら、必ず示談書を作っておきましょう。
口頭だけで慰謝料の減額や分割について合意したとしても、「言った言わない」の揉め事に発展してしまうケースも多々あるようです。
示談書を作っておくことで、慰謝料の支払いについての条件についてのトラブルを防ぐことができます。
家族に立て替えてもらう
支払いが不可能な場合、両親や親族に支援を求めることも選択肢の1つです。支援を求めた際に激しく叱責される可能性は高いものの、利子がないため消費者金融などからお金を借りるよりもリスクは少ないでしょう。
彼らに状況を説明し、支援をお願いしてみましょう。ただし、あくまでも支払い義務はあなた自身にあります。たとえ両親であっても、彼らに支払いの責任はありません。この点を理解し、誠実に協力を求めることが重要です。
【不倫の場合】不倫相手に慰謝料を立て替えてもらう
不倫相手に慰謝料を立て替えてもらうという手段もあります。もちろん既婚者であることを知りつつ、不倫関係を結んでいた場合は、相手にも責任があり共同不法行為と認められます。
そのため慰謝料の支払い義務は不倫相手にもあるため、立て替えてもらう行為も問題ありません。どちらか一方が2人分の慰謝料を全額支払うことも可能です。
【不倫の場合】不倫相手に慰謝料を立て替えてもらう
不倫相手に慰謝料を立て替えてもらうという手段もあります。もちろん既婚者であることを知りつつ、不倫関係を結んでいた場合は、相手にも責任があり共同不法行為と認められます。
そのため慰謝料の支払い義務は不倫相手にもあるため、立て替えてもらう行為も問題ありません。どちらか一方が2人分の慰謝料を全額支払うことも可能です。
【不倫の場合】不倫相手に慰謝料の求償権を行使する
不倫は、不倫をした2人ともに責任がある「共同不法行為」です。
それにも関わらず、不倫相手の配偶者があなたにだけ慰謝料全額の支払いを求めることがあります。
そのような時は不倫相手に「求償権」を行使しましょう。
「求償権」とは、共同不法行為を行なった2人のうち1人が、自分の責任以上の額の慰謝料を支払った場合に、もう一人に対して自分の責任を超えた分の額を請求できる権利のことです。
多くの場合、折半されますが、配偶者がいるのにも関わらず不倫をした側の負担が多くなる場合もあります。
不倫をした当事者同士で、話し合って決めることもできるので、冷静に話ができる状態であれば、話し合って合意するようにしましょう。
話し合いが難しい場合や、不倫相手の配偶者があなたにだけ責任を取るように強要する場合は、自分だけで解決するのは難しいので、弁護士に相談して対処法を考えるのがおすすめです。
【最終手段!】自己破産を検討する
どうしても慰謝料が支払えない場合、最終手段としては自己破産という方法もあります。自己破産をすることで財産を処分されたり、自己破産完了から5~7年はクレジットカードを作成できなくなったり、ローンを組めなくなったりするといったデメリットがあります。しかし債務をほぼ帳消しにできるというメリットがあります。
そのため自己破産をすることで慰謝料の支払いを免れるかもしれません。しかし自己破産をしても慰謝料の支払いを免れないケースもあります。
非免責債権に該当する慰謝料の支払い義務は、自己破産をしても残ります。非免責債権の一例としては、自己破産者が悪意をもって不法行為をおこなったことで発生した損害賠償や、故意・重過失によって他者の生命・身体を害する行為によって生じた損害賠償です。
夫婦間の慰謝料(損害賠償)の場合、一般的な不倫行為に加えて、意図的に夫婦関係の破壊を促す言動が認められた際や、夫婦間にDVがあった場合では、自己破産をしても慰謝料の支払い義務が消えることはありません。
上記のようなケースに該当せず自己破産で慰謝料の支払いを免れる場合、自己破産は最終的な選択肢として考えられます。しかし私生活に大きな影響を与える行為であるため、実行の是非は弁護士などの専門家によく相談することをおすすめします。
慰謝料を払えないと裁判や差し押さえになる場合がある
慰謝料を支払えない場合でも、逮捕・借金の強制・親への請求はされません。
しかし慰謝料の支払いが難しい場合、相手方が裁判を提起する可能性は高まります。裁判の際には、和解の機会が提供されます。裁判官が仲介し、双方の話し合いを調整します。その結果、分割支払いや支払い期限の延期、減額といった条件で和解が成立することもあるでしょう。裁判に発展したからといって、和解の道が断たれるわけではありません。
しかし裁判でも和解が成立しない場合、裁判所が一括払いで支払いを命じる判決を下すことがあります。支払いが不可能な場合、給料や財産の差し押さえという措置がとられる可能性があるため注意してください。
裁判や差し押さえを回避するためには、まず裁判を起こされる前に弁護士に相談し、慰謝料を支払うべきケースなのかそうでないのか、支払いを免れないのであれば支払い条件について変更できないか弁護士を通して交渉することが大切です。
以下からは、お金がなく慰謝料を払えない時の対処法について詳細に解説していきます。
【注意!】慰謝料を請求された時のNG行動
慰謝料の請求を受けたにも関わらず、資金が不足している場合、通常、回避や金額の削減を望むことがあります。今回は、慰謝料の請求に対する適切でない行動に焦点を当ててみましょう。
慰謝料請求を無視する
慰謝料の支払いに十分な資金がなくても、請求を無視し続けることはより悪い結果を招く可能性があります。そのため、慰謝料請求を無視することは大きなリスクを伴います。
- 裁判に発展する可能性がある
- 示談交渉で不利になる
慰謝料請求を無視し続けると、相手側から訴訟を起こされる可能性があります。慰謝料請求は裁判を通さずに解決することもできますが、無視することで話し合いの機会を失う可能性があります。
また、慰謝料請求を無視し続けると、示談交渉がうまく進まなくなる可能性があります。慰謝料の金額はケースごとに異なるため、離婚調停の進行状況によっても変化します。無視し続けると、相手側からは反省の意思がないと受け取られ、結果として慰謝料の増額につながる可能性があります。慰謝料請求には真摯に対応することが重要です。
消費者金融などで借金をして支払う
慰謝料の減額や分割交渉に応じてもらえず、資金がない場合でも消費者金融からの借金だけは避けましょう。金利が高く、慰謝料を支払った後の生活を圧迫します。場合によっては生活を立て直すために、長い時間がかかってしまうため、まずは両親か親戚を頼りましょう。
さまざまな場所へお願いしても資金を用意できない場合は、弁護士に相談してください。資金を作るためのアドバイスがもらえるかもしれません。
相手の言いなりになって書類にサインする
自分に非がある場合でも、すべてを相手の言うがままに進めるのは賢明ではありません。もちろん自分が悪い場合、最終的には認めるべき点は認め、謝罪する必要はあるでしょう。しかし早期から相手の要求通り、書類にサインをしたりお金を支払ったりするのは避けてください。
一度書類にサインをしてしまうと、後から事実と異なる点があった場合や、負うべきでない責任を負わされた場合でも撤回するのが難しくなってしまいます。
慰謝料を請求されて慌ててしまうかもしれませんが、まずは冷静になって、請求内容の妥当性や証拠の有無を弁護士へ相談してください。
感情的な対応をする
感情的になって、相手方に都合の良い言動をしてしまうことも注意してください。思慮のない発言や行動は、本来は負担する必要のない慰謝料を課されたり、慰謝料請求の金額が増加する可能性があります。自らの立場を損なわないように、冷静な対応が求められます。
慰謝料請求をされたら弁護士に相談するべき!
慰謝料請求を受けた場合、自分が加害者である認識があっても、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士費用はかかってしまうものの、個人では難しい減額や分割払いの交渉についてアドバイスを受けることができます。夫婦問題に特化した弁護士も存在し、慰謝料の減額や分割払いについて、最善の方法を相談できます。
アドバイスだけでなく、示談や交渉を弁護士に委託することも可能です。依頼には費用がかかりますが、相手方が弁護士を雇っている場合、個人交渉では対抗できません。また、弁護士に代理交渉を頼んだ場合、慰謝料の減額や示談成立の可能性も高まります。
慰謝料請求された時に無料相談できる弁護士の窓口4選!
「慰謝料の請求が難しいし、弁護士に頼む余裕もない」と考えている方でも、無料相談窓口を利用すれば、簡単な相談ができるかもしれません。法律に関連した相談先には、以下のような場所があります。
- 法律事務所の無料相談
- 法テラス
- 弁護士会
- 市区町村の法律無料相談
それぞれの相談先について詳しく解説いたします。
法律事務所の無料相談|専門の弁護士に出会いやすい
法律事務所には「無料相談」を提供するところと、有料の相談を行うところがあります。有料の場合、例えば相談30分で5000円〜1万円程度の料金がかかります。無料相談を行っている法律事務所も多く、その分費用を節約できる可能性があります。
専門の弁護士に出会いやすく、相談後に依頼することまで考えているなら、最初から法律事務所を探すのがおすすめです。もちろん相談したからといって、その事務所に依頼しなければならないという決まりはありません。
法テラス|3回まで無料で相談できる
「法テラス」とは、政府が設けた法的トラブル解決の窓口です。公式には「日本司法支援センター」と呼ばれており、慰謝料や離婚問題に限らず、あらゆる法律上の相談ができます。相談が3回まで無料なので、弁護士費用に不安がある人におすすめです。依頼には一定の費用がかかりますが、条件を満たせば弁護士費用の支援も受けられます。
ただし弁護士が選べないため、専門の弁護士に相談するのは難しいかもしれません。また法テラスの利用には、所得や資産の制限があります。
弁護士会|地域によっては無料で相談できる
各地方裁判所の管轄区域ごとに、弁護士会が設置されています。北海道と東京を除く各府県には1つずつ、東京には3つ、北海道には4つの弁護士会が存在します。弁護士会では、一般向けの法律相談や弁護士の紹介を定期的に行っており、費用も各弁護士会によって異なります。地域によっては無料で相談できるため、気軽に相談できるかもしれません。自治体ごとの弁護士会は、以下で探してみてください。
参照:全国の弁護士会の法律相談センター
市区町村の法律無料相談|初めての方でも安心
各地方裁判所の管轄区域ごとに、弁護士会が設置されています。北海道と東京を除く各府県には1つずつ、東京には3つ、北海道には4つの弁護士会が存在します。弁護士会では、一般向けの法律相談や弁護士の紹介を定期的に行っており、費用も各弁護士会によって異なります。地域によっては無料で相談できるため、気軽に相談できるかもしれません。自治体ごとの弁護士会は、以下で探してみてください。
参照:全国の弁護士会の法律相談センター
【慰謝料請求した方向け】慰謝料請求した相手が「お金がない」と言ってきたら?
慰謝料を求める配偶者や不倫相手から「お金がない」と主張された場合、慰謝料はどのように請求するのでしょうか。このようなケースでは、まず相手の経済状況を正確に把握することが肝要です。相手の資力を調査する方法はいくつかあります。相手の主張通り、本当に支払える余裕がない場合は、状況に応じて減額や分割払いも検討しましょう。
しかし相手が「お金がない」といっていても、実際には払える資金があるというケースも存在します。このような場合は資産開示の交渉や訴訟、強制執行を検討します。
弁護士に依頼して慰謝料請求した相手の「資力調査」をして本当にお金がないか確かめる
資力調査は、以下のようなポイントに焦点を当てて進めます。
- 収入の調査
- 不動産の調査
- 預貯金の調査
相手の財産状況を把握するためには、いくつかの手法がありますが、自身で行うことも可能です。ただし専門知識がない場合は、相手に言いくるめられてしまい、財産を明らかにできないことがあります。そのため弁護士に相談・依頼することが望ましいでしょう。
また相手の職業や経歴によって、必要な調査手法が異なる場合があります。弁護士に相談することで、最適な調査方法を提案してもらえます。
相手にお金がなかったら相手の親族からの建て替えや減額・分割払いを検討する
相手に慰謝料を支払える財力がない場合は、相手の親や親族に支援を求めることも可能です。ただし、慰謝料の支払い義務は本人にしか課されておらず、相手の親や親族に法的な支払い義務はありません。したがって、彼らが自発的に支援してくれる場合にのみ利用できます。
一括での支払いが困難な場合でも、請求額を見直し、減額することで可能になるかもしれません。金額を減額することで、将来的に未支払いのリスクを軽減することもできます。
支払い能力に応じて分割払いを検討することもあります。ただし、分割払いにする場合は、将来的な支払い遅延のリスクがあるため注意しなければなりません。公正証書の作成を検討することで、将来的な支払いリスクを軽減できるため、必ず作成しておきましょう。弁護士のサポートを受けると、公正証書の作成手続きもスムーズに進みます。
相手がお金を持っていた場合は資産開示の交渉や訴訟、強制執行を検討する
相手がお金を隠している疑念がある場合、まずは交渉により、全ての資産を開示するように促します。また弁護士に相談することで、慰謝料の支払いに関する合意が成立した際に、将来的な執行の可能性を考慮に入れ、公正証書を作成できます。
相手が自発的に資産を開示しない場合や慰謝料の支払いを拒否する場合、裁判所に慰謝料の請求訴訟を起こすことになります。離婚に伴う慰謝料の請求では、訴訟を提起する前に離婚調停を申し立てることも必要です。
裁判では慰謝料を要求する側が、相手が不貞行為をしたことを立証する必要があります。したがって裁判を進めるには、専門的なサポートを提供する弁護士が不可欠です。裁判の結果、慰謝料の支払いを求める勝訴判決が下されたとしても、相手が自発的に支払わない場合は、強制執行の申し立てが必要です。強制執行を行う際には、申立人が相手の財産を特定する必要があります。つまり相手の財産が不明な場合は、強制執行ができません。
弁護士は、財産の開示手続きや第三者からの情報取得手続きを通じて、相手が隠している財産を明らかにできます。相手が「お金がない」と主張しても、弁護士に依頼することで、慰謝料が回収できるかもしれません。
まとめ
慰謝料の請求に行き詰まった場合、まずは弁護士に相談してみましょう。財政的に余裕がないため、弁護士に依頼することが難しいと思われるかもしれませんが、最近では無料相談を提供している法律事務所が増えています。無料相談を利用し、弁護士からの助言を受けるだけでも、今後の進め方を決める上で役立つでしょう。慰謝料の請求に関してお悩みの方は、ぜひ無料相談の活用も検討してみてください。
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