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2025年06月現在

慰謝料請求されたけどお金がない!支払えないときの対処法やNG行動を解説

慰謝料請求された お金がない

「慰謝料請求されたけどお金がない」「どうやって支払えばいいのかわからない」と困っている方もいるのではないでしょうか。

慰謝料とは相手に与えた精神的苦痛に対する損害賠償でですが、請求されたからといって必ず支払い義務が生じるとは限りません。

口頭やメール、内容証明郵便などで慰謝料請求を受けた時点では、支払うかどうかは任意となります。ただし、離婚に伴って慰謝料請求を受けており、調停や裁判で支払いが決まった場合、正式に慰謝料を支払う義務が生じます。

夫婦関係のトラブルや不倫などで慰謝料請求をされた場合、まずは以下のポイントを確認してみましょう。

確認事項 内容
慰謝料請求の差出人が誰なのか
(メール・内容証明郵便の場合)
本人・行政書士・弁護士のいずれかが差出人であることが多い
本当に慰謝料を支払うべきなのか 慰謝料請求の根拠や証拠の有無などを確認
請求額が相場より高すぎないか 裁判における離婚慰謝料の相場を確認

自分だけで慰謝料を支払うべきかどうか判断できない場合、弁護士に相談して判断してもらいましょう。

結果として慰謝料を支払う必要があっても、支払いが困難なときには以下のような対処法を検討してみてください。

  • 慰謝料の減額交渉をする
  • 慰謝料の分割払いができないか聞く
  • 家族に立て替えてもらう
  • 不倫相手に慰謝料を立て替えてもらう
  • 不倫相手に慰謝料の求償権(支払った慰謝料の一部の負担を不倫相手にも求めること)を行使する
  • 自己破産を検討する

例え慰謝料を請求されたとしても、正しく対処すれば上記のような方法で負担を軽減できる可能性があります。

お金がない状態で慰謝料請求をされたときに、どのような対処法を取るべきなのかは判断が難しいところもあるため、弁護士に相談して交渉や手続きを代行してもらうのがおすすめです。

本記事では、お金がないのに慰謝料請求をされたときに確認すべきことや、支払えない場合の対処法、避けるべき行為などについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

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南陽輔 弁護士
監修
一歩法律事務所
南 陽輔(弁護士)

慰謝料請求をされた時にまず確認するべきこと

慰謝料請求をされた場合でも、必ず支払い義務が生じるとは限りません。

また、相場よりも高額の慰謝料を請求されている可能性もあるため、お金がないからといって借金をしてまで慰謝料を支払うのは控えておきましょう。

慰謝料請求をされたときに、まず確認するべきポイントは以下のとおりです。

  1. 慰謝料請求の差出人が誰なのか確認する
  2. 本当に慰謝料を支払うべき事例に該当するのか確認する
  3. 請求された慰謝料が相場より高すぎないか確認する

上記の点を踏まえて慰謝料の支払いが必要と判断した場合に、初めて支払い方法や期間といった交渉を検討しましょう。それぞれの確認事項について、詳しく解説します。

慰謝料請求の差出人が誰なのか確認する

慰謝料の請求は、主に口頭やメール、内容証明郵便などを通じて行われます。

口頭やメールの場合は本人から直接請求の意思を伝えられることが多いですが、内容証明郵便は行政書士・弁護士などが送付しているケースもあるため、まず差出人の名義を確認しましょう。

なお、行政書士・弁護士が差出人だからといって、慰謝料の支払い義務が直ちに生じるわけではありません。請求を受けた時点では、慰謝料を支払うかどうかは任意となります。正式に慰謝料の支払い義務が生じるのは、協議・調停で示談金の支払いに合意したり、裁判で支払いを命じられたりした場合です。

請求者自身が差出人の場合、以下のような特徴がある場合は交渉の余地があると考えられます。

  • 感情的で過剰な慰謝料を請求している場合
  • 社会的制裁を示唆するために会社や報道機関の名前を出している場合
  • 金額が明記されず、自身の被害を強調して謝罪を求める場合

本人から請求を受けたときに重要なのは、慰謝料の請求額や請求理由など、相手の要求内容を正確に把握することです。

たとえば「不倫の賠償として100万円を求める」など、具体的な金額や請求理由が判明すれば、心当たりがあるかどうか、金額が相場より高すぎないかを判断しやすいでしょう。

相手の具体的な要求が不明な場合、真意を確認するために詳しい説明を求めることも大切です。相手の要求を明確にすることで、話し合いでの解決や減額交渉などができるケースもあります。

差出人が行政書士や弁護士の場合でも、すぐに慰謝料を支払う必要はありませんが、示談や法的な手続きを前提としている可能性が高いです。

慰謝料請求の差出人が誰なのか確認する

行政書士は書類作成や送付を代行する権限はあるものの、相手と代理で交渉したり、調停・訴訟などを申し立てたりする権限は持ちません。そのため、行政書士が差出人の場合、相手は示談での解決を望んでいる可能性が高く、交渉の余地があると考えられます。

弁護士が請求してきた場合、相手は慰謝料の確実な支払いを求めており、必要に応じて裁判を起こす構えを見せているといえます。この場合、自己判断ではなくこちらも弁護士に相談し、交渉を依頼することが重要です。

弁護士との交渉は専門知識が求められるため、自力で対応すると不利になる可能性があります。弁護士名義の請求書を受け取った場合は、早めにこちらで弁護士を探して相談し、適切な対応を取りましょう。

本当に慰謝料を支払うべき事例に該当するのか確認する

慰謝料請求をされた場合、本当に慰謝料を支払うべき事例に該当するのかどうかを必ず確認しましょう。請求の根拠が存在しない場合や、請求者が誤解している可能性もあるためです。

確認すべき主なポイントは以下のとおりです。

  • 慰謝料請求に値する証拠があるか
  • 不貞行為での慰謝料請求の場合は肉体関係があったか
  • 【自分が不倫相手の場合】相手の夫婦関係が不倫前から破綻していたか
  • 【自分が不倫相手の場合】相手が既婚者だと知らないで付き合っていたか
  • 【自分が不倫相手の場合】既に相手が慰謝料を十分に払っているか
  • 不貞行為の相手から同意がない状態で関係を持たされたか
  • 不貞行為・傷害などをおこなった件について時効が成立しているか

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

慰謝料請求に値する証拠があるか

夫婦間での慰謝料請求は、不貞行為やモラハラ、DV、一方的な別居など、何かしらの不法行為があったときに行われるケースが多いものです。

請求者が不法行為を根拠に慰謝料を請求していても、証拠がなかったり誤解だったりする場合もあります。まずは相手に不法行為の証拠提示を求め、内容を確認してみましょう。

たとえば、不貞行為の場合はラブホテルに出入りしている写真など肉体関係を裏付けるもの、DVの場合は怪我の写真や病院の診断書など暴力を受けたことがわかるものが証拠になります。

客観的な証拠が揃っている場合、裁判に発展すると慰謝料請求を命じられる可能性が高いため、減額や分割払いの交渉をして示談で解決することをおすすめします。

一方、慰謝料請求に値する証拠を相手が持っていない場合、慰謝料を支払わずに済む可能性があります。

裁判では慰謝料を請求する側が「不法行為があったこと」を立証する必要があり、証拠の有無が争点になります。請求者が不法行為を立証できる証拠を持っていない場合、裁判では「慰謝料を支払う必要がない」という判決を出される可能性があります。

しかし、不法行為に心当たりがあり、相手に精神的苦痛を与えたことを反省しているのであれば、証拠がなくても倫理的には慰謝料を支払うべきといえるでしょう。

不貞行為での慰謝料請求の場合は肉体関係があったか

SNS上でのやり取りや食事だけでは 不貞行為と見なされないことが多い

不貞行為を理由に慰謝料請求をする場合、裁判においては「配偶者以外の異性と肉体関係を持ったかどうか」が主な争点となります。

たとえば、2人で食事に行ったりメッセージのやり取りをしていた証拠はあるものの、肉体関係までは証明できない場合、不貞行為とはみなされず慰謝料請求も認められない可能性が高いです。

反対に、以下のような証拠が複数揃っていれば、肉体関係を持っていたと判断される可能性があります。

  • ラブホテルに出入りする写真・動画
  • 性交渉中の写真・動画
  • 肉体関係を匂わせるメッセージやり取り
  • 2人で宿泊していたことがわかるSNSの投稿
  • クレジットカードの明細・レシート
  • 探偵の調査報告書

ラブホテルへの出入りや性交渉中の写真・動画などは、単体でも決定的な証拠となります。

決定的な証拠がなくても、たとえば「肉体関係を匂わせるメッセージやり取り」と「ホテルのレシート」の日付が一致していれば、2人で宿泊していたことが推定され、慰謝料請求が認められるケースもあります。

なお、不貞行為が認められない場合でも、配偶者以外の異性との頻繁な接触によって婚姻生活に悪影響を与えたと判断されれば、慰謝料請求が認められる可能性もゼロではありません。

証拠とともに不貞行為の慰謝料請求を受けたときは、まず提示された証拠を弁護士のところに持ち込み、請求が認められそうかどうかを判断してもらいましょう。

【自分が不倫相手の場合】相手の夫婦関係が不倫前から破綻していたか

法的には、相手方の結婚生活に対して、不貞行為が影響を与えた場合にのみ慰謝料請求が生じます。そのため、相手方の夫婦関係がすでに破綻している場合、婚姻生活に影響を与えていないとみなされ、慰謝料の支払い義務も生じない可能性があります。

夫婦関係がすでに破綻しているか否かは、以下のポイントに沿って判断されます。

  • 別居の有無
  • 別居の理由
  • 別居の期間
  • 離婚協議の有無
  • 別居中の夫婦関係
  • 夫婦の生活状況

裁判では、上記のような評価基準に基づいて夫婦関係の破綻を判断します。

たとえば、夫婦が離婚に向けての話し合いを進めており、その中で別居が開始されたような状況の場合、不倫相手への慰謝料請求が認められる可能性は低いでしょう。

一方、単身赴任や介護などやむを得ない事情で別居をしている場合は、夫婦関係が継続しているものとみなされ、不貞行為の責任を問われる可能性があります。

夫婦関係が破綻しているかどうかを見極めるのは判断が難しい部分でもあるため、迷ったときは弁護士に相談してみましょう。

【自分が不倫相手の場合】相手が既婚者だと知らないで付き合っていたか

相手が既婚者だと知らないで付き合っていたか

相手が既婚者であることを知らずに交際していた場合は、慰謝料の支払い義務が生じない可能性があります。

慰謝料は、故意または過失によって精神的苦痛を与えた場合に発生するものだからです。

不貞行為における故意とは、相手が既婚者であると知りながら関係を持つことを指します。過失とは、注意を払えば既婚者であることに気付けたにもかかわらず、確認を怠ったことを指します。

相手が既婚者であると知り得ない状況で交際していた場合は、故意や過失が認められず慰謝料の支払い義務も生じません

ただし、故意・過失がなかったと認められるためには、「既婚者であると知り得ない状況であったこと」を客観的に証明する必要があります。

たとえば「相手がSNSに子供の写真を投稿していた」「共通の知人が既婚者であることを知っていた」などのケースでは、本人から既婚であることを聞いていなくても、過失があったと判断される可能性が高いでしょう。

しかし、どのようなケースで「知らなかったことが認められるのか」という点について、法律上明確な決まりはないため、弁護士など専門家の助言が必要でしょう。

【自分が不倫相手の場合】既に相手が慰謝料を十分に払っている場合

既に不倫相手が慰謝料を十分に払っている場合

不倫は加害者が2人いる共同不法行為とされており、慰謝料請求を受けたときは被害者に対して2人で賠償責任を負うことになります。

しかし、自分が慰謝料を支払っていなくても、もう一方の加害者が被害者に対して十分な慰謝料を支払っていれば、同じように慰謝料を支払う必要はないと判断される可能性があります。

すでに十分な金額の支払いが済んでいれば、被害者が二重に賠償を受け取ることはできないためです。

たとえば、慰謝料として100万円が妥当とされるケースにおいて、不倫をした配偶者がすでに100万円を支払っているとします。この場合、不倫相手に対して同じ額の100万円を再度請求し、合計200万円の慰謝料を得ることはできません。

自分が不倫相手で慰謝料請求を受けたときは、不倫をした配偶者がすでに慰謝料を支払っているかどうかを確認してみましょう。

なお、慰謝料の二重取りについては以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

不貞行為の相手から同意がない状態で関係を持たされたか

不貞行為の相手から同意なく関係を持たされた場合

脅迫などによって不貞行為を強要された場合も、慰謝料を支払う必要はありません。合意なしに関係を迫られた場合、あなた自身もまた被害者と考えられます。

合意なしの強要とは、相手に恐怖心を与える行為のことです。暴力や嫌がらせをおこなって断れない状況下で関係を迫られた場合は、慰謝料の支払いを拒否できます

不貞行為・傷害などをおこなった件について時効が成立しているか

不法行為による慰謝料には時効が定められており、時効が成立したあとであれば慰謝料の支払いを拒否できます。

不法行為による損害賠償請求権の時効は以下のとおりです。

  • 損害および加害者を知った日から3年
  • 不法行為があった日から20年

たとえば不貞行為の場合、不倫の事実と不倫相手を知った日から3年以内に慰謝料請求をしなければ時効が成立します。不倫の事実を知らない場合でも、最後に不貞行為があった日から20年以内に慰謝料請求をしなければ時効が成立し、慰謝料の請求権が消失します。

慰謝料請求の理由となっている不法行為が3年以上前の出来事であれば、時効が成立している可能性があるため、弁護士などの専門家に相談しながら確認してみましょう。

請求された慰謝料が相場より高すぎないか確認する

慰謝料を求められた際には、請求された金額が相場より高すぎないかを確認しましょう。

相手の提示する金額を言われるままに支払ってしまうと、後からその金額を取り戻すのが難しくなります。相手が通常の相場よりも高額な請求をしている可能性も考えられるため、支払いをする前に慰謝料の相場をよく把握しておきましょう。

裁判をせず示談で解決する場合でも、一般的には過去の判例に基づいて慰謝料金額を決めるケースが多いものです。一例として、裁判における不貞行為の慰謝料相場は以下のとおりです。

ケース 慰謝料相場
離婚した場合 150万~300万円
別居した場合 50万~200万円
別居・離婚をしなかった場合 30万~100万円

不貞行為が原因で離婚や別居に至った場合、夫婦関係に与えた影響が大きいとみなされ、慰謝料金額も高額になる傾向にあります。

細かい金額についてはケースバイケースであるため、相手の請求額が妥当かどうかは弁護士に確認することをおすすめします。

お金がない!慰謝料を払えない時の対処法

お金がない時に慰謝料請求をされても、焦って借金をしたり、請求を無視したりするのは厳禁です。

まずは落ち着いて、以下の対応から自分に合ったものを選んで対処するようにしましょう。

慰謝料を払えない時の対処法

それぞれの対処法について、詳しく解説します。

慰謝料の減額交渉をする

請求された慰謝料が相場通りであっても、経済的な事情で支払いが困難な場合、慰謝料を減額できないか交渉してみましょう。

最初に提示される金額は高めに設定されていることが多く、交渉や裁判の過程で実際に支払う金額が下がるケースも少なくありません。

慰謝料の減額交渉は、本人と直接話し合うのがもっとも手早い方法ですが、感情的になりやすく交渉内容の記録が残りにくいというデメリットもあります。また、内容証明郵便で請求を受けた場合など、相手と直接交渉するのが難しいケースもあるでしょう。

そのため、基本的には「回答書」と呼ばれる書面を通じて減額交渉を進めていきます。

回答書には、減額を希望することと、その理由を記載します。理由に妥当性があるほど減額交渉が成功する可能性は高まりますが、同じ理由を述べる場合でも、書き方によって相手が受ける印象は大きく異なります。

スムーズに減額交渉を進めるにためには、回答書の書き方も含め、弁護士のアドバイスを受けるのがおすすめです。たとえば請求額が相場よりも高額の場合、弁護士に相談すれば具体的な事例を挙げつつ、請求額が適切でないことを主張してもらえます。

さらに、支払えない理由と合わせて支払い可能な金額を提示する方法も有効です。請求された金額に対して、支払い義務のある者の収入・資産が足りていない場合は、減額される可能性が高いでしょう。相手が長期的な争いを避けたいと考えている場合、迅速な解決が見込まれるかもしれません。

また不貞行為やDVなどについて、事実関係に争いがない場合は、早期に非を認めて謝罪することが重要です。相手が慰謝料を請求しているということは、あなたを許せないという感情が強いことを意味します。減額交渉を行う際には、相手の感情を逆なでするような発言は避け、謝罪の気持ちを示すことが必要です。

慰謝料の分割払いができないか交渉する

相手が慰謝料の減額に応じない場合、支払いを分割する提案が有効です。支払い計画と支払い遅延時のペナルティを提示しておくと、相手の了承を得やすくなるでしょう。

また、分割にする代わりに慰謝料を上乗せして支払う方法も効果的です。ただし、分割払いは問題を長引かせることになるため、まとまった金額を最初に支払い、残りの慰謝料のみ分割にするという方法をおすすめします。全額を分割で支払うよりも支払い期間が短くなるため、相手からの合意を得やすくなります。

分割払い提案時は公正証書で合意することが一般的です。公正証書を作成しておけば、あなたが支払いを怠った時に、請求者は強制執行できるようになるため、分割払いに応じてもらいやすくなるでしょう。

公正証書とは、個人から委託された専門家が、取り決めた内容を公的文書としてまとめたものです。ただしこの場合、公正証書を作成する費用も負担しなければなりません。

【POINT:慰謝料の減額や分割について合意できたら示談書を作っておく】
慰謝料の減額や分割について、相手方と合意できたら、必ず示談書を作っておきましょう。

口頭だけで慰謝料の減額や分割について合意したとしても、「言った言わない」の揉め事に発展してしまう可能性があるためです。

示談書を作っておくことで、慰謝料の支払いについての条件についてのトラブルを防ぐことができます。

家族に立て替えてもらう

支払いが不可能な場合、両親や親族に支援を求めることも選択肢の1つです。

支援を求めた際に激しく叱責される可能性は高いものの、利子がないため消費者金融などからお金を借りるよりもリスクは少ないでしょう。

ただし、あくまでも慰謝料の支払い義務は自分自身にあり、家族に支払いの責任はありません。この点を理解し、誠実に協力を求めることが重要です。

【不倫の場合】不倫相手に慰謝料を立て替えてもらう

不倫相手に慰謝料を立て替えてもらうという手段もあります。もちろん既婚者であることを知りつつ不倫関係を結んでいた場合は、相手にも責任があり共同不法行為と認められます。

そのため慰謝料の支払い義務は不倫相手にもあるため、立て替えてもらう行為も問題ありません。どちらか一方が2人分の慰謝料を全額支払うことも可能です。

【不倫の場合】不倫相手に慰謝料の求償権を行使する

不倫は、不倫をした2人ともに責任がある「共同不法行為」です。

慰謝料を誰に請求するのかは被害者自身が決められるため、2人に折半で請求するケースもあれば、どちらか一方にのみ全額請求するケースもあります。

もしも自分だけが慰謝料請求を受け、不倫相手は慰謝料請求を受けなかった場合、相手に対して「求償権」を行使しましょう。

求償権とは

求償権とは、共同不法行為を行なった2人のうち1人が、自分の責任以上の額の慰謝料を支払った場合に、もう一人に対して自分の責任を超えた分の額を請求できる権利のことです。

負担割合は当事者同士で話し合って決めても問題ありませんが、裁判においては配偶者がいる不倫当事者のほうが割合が大きくなるケースが多いようです。

話し合いが難しい場合や、不倫相手の配偶者があなたにだけ責任を取るように強要する場合、自分だけで解決するのは難しいので、弁護士に相談して対処法を考えるのがおすすめです。

【最終手段!】自己破産を検討する

自己破産とは

どうしても慰謝料が支払えない場合、最終手段としては自己破産という方法もあります。

自己破産とは、裁判所に申し立てを行い、すべての借金を免除してもらう手続きです。原則として慰謝料も免除の対象となります。

自己破産をすれば、慰謝料を含め原則としてすべての借金が免除されます。そのため、お金がなく慰謝料を支払えないときには、最終手段として自己破産を検討することになるでしょう。

ただし、自己破産をしても「非免責債権」に該当する慰謝料の支払い義務は残ります。たとえば、自己破産者が悪意をもって不法行為をおこなったことで発生した損害賠償や、故意・重過失によって他者の生命・身体を害する行為によって生じた損害賠償などが該当します。

夫婦間の慰謝料(損害賠償)の場合、不貞行為に加えて意図的に夫婦関係の破壊を促す言動が認められた際や、夫婦間にDVがあった場合などは、自己破産をしても慰謝料の支払い義務が消えることはありません

上記のようなケースに該当しない場合、自己破産をすることによって慰謝料の支払いを免れる可能性があります。

しかし、自己破産をすると財産を処分されたり、5〜10年はクレジットカード作成やローンができなくなったりするというデメリットがあります。私生活に大きな影響を与える行為であるため、実行の是非は弁護士などの専門家によく相談することをおすすめします。

慰謝料を払えないと裁判や差し押さえになる場合がある

経済的な理由で慰謝料が支払えないからといって何も対応せずにいると、相手方が裁判を提起する可能性が高まります。

裁判の際には和解の機会が提供されるため、その際に分割支払いや支払い期限の延期、減額といった条件で合意を目指すことも可能です。裁判に発展したからといって、和解の道が断たれるわけではありません。

しかし、裁判でも和解が成立しない場合、裁判所が一括で支払いを命じる判決を下すことがあります。支払いが不可能な場合、給料や財産の差し押さえという措置がとられる可能性もあります。

裁判や差し押さえを回避するためには、まず裁判を起こされる前に弁護士に相談し、慰謝料を支払うべきケースなのかそうでないのか、支払いを免れないのであれば支払い条件について変更できないか弁護士を通して交渉することが大切です。

【注意!】慰謝料を請求された時のNG行動

慰謝料の請求を受けた際に、適切ではない行動の例は以下のとおりです。

慰謝料を請求された時のNG行動

それぞれのNG行動について、次の項目から詳しく解説します。

慰謝料請求を無視する

慰謝料の支払いに十分な資金がなくても、請求を無視し続けることはより悪い結果を招く可能性があります。そのため、慰謝料請求を無視することは大きなリスクを伴います。

  1. 裁判に発展する可能性がある
  2. 示談交渉で不利になる

慰謝料請求を無視し続けると、相手側から訴訟を起こされる可能性があります。慰謝料請求は裁判を通さずに解決することもできますが、無視することで話し合いの機会を失う可能性があります。

また、慰謝料請求を無視し続けると、示談交渉がうまく進まなくなる可能性があります。慰謝料の金額はケースごとに異なるため、離婚調停の進行状況によっても変化します。

無視し続けると、相手側からは反省の意思がないと受け取られ、結果として慰謝料の増額につながる可能性があります。慰謝料請求には真摯に対応することが重要です。

消費者金融などで借金をして支払う

慰謝料の減額や分割交渉に応じてもらえず、資金がない場合でも消費者金融からの借金だけは避けましょう

消費者金融は金利が高めに設定されているため、慰謝料を支払った後の生活を圧迫する可能性があります。場合によっては生活を立て直すために長い時間がかかってしまうため、まずは両親か親戚を頼りましょう。

さまざまな場所へお願いしても資金を用意できない場合は、弁護士に相談のうえ、どのように対処すればよいのか判断を仰ぎましょう。

相手の言いなりになって書類にサインする

自分に非がある場合でも、すべてを相手の言うがままに進めるのは賢明ではありません。

もちろん自分が悪い場合、最終的には認めるべき点は認め、謝罪する必要はあるでしょう。しかし早期から相手の要求通り、書類にサインをしたりお金を支払ったりするのは避けてください

一度書類にサインをしてしまうと、後から事実と異なる点があった場合や、負うべきでない責任を負わされた場合でも撤回するのが難しくなってしまいます

慰謝料を請求されて慌ててしまうかもしれませんが、まずは冷静になって、請求内容の妥当性や証拠の有無を弁護士へ相談してください。

感情的な対応をする

感情的になって、相手方に都合の良い言動をしてしまうことも注意してください。

思慮のない発言や行動は、本来は負担する必要のない慰謝料を課されたり、慰謝料請求の金額が増加する可能性があります。自らの立場を損なわないように、冷静な対応が求められます。

慰謝料請求をされたら弁護士に相談するべき!

慰謝料請求を受けた場合、自分が加害者である認識があっても、弁護士に相談することをおすすめします。

とくに相手方が弁護士をつけている場合は、交渉の際に法的知識の差で不利になってしまう可能性が高く、減額や分割の交渉が上手く進まないリスクがあります。

弁護士費用はかかってしまうものの、個人では難しい減額や分割払いの交渉についてアドバイスを受けることができるうえ、交渉を代行してもらうこともできます。

お金がない場合には、「なるべく裁判にならないように交渉する」「分割払い・減額といった妥協案を提案する」など、金銭的な負担を抑える方向で対応してもらうことも相談してみましょう。また、請求された慰謝料の金額と弁護士費用を比較しながら、どのように対処すれば最も負担が少なくなるのかを考えてもらえます。

離婚や夫婦問題を専門とする弁護士に相談すれば、状況に応じて最適な対処法を提案してもらえるでしょう。慰謝料請求をされて困っている方は、まず弁護士の無料相談を活用してみてください。

慰謝料請求された時に無料相談できる弁護士の窓口4選!

「慰謝料の請求が難しいし、弁護士に頼む余裕もない」と考えている方でも、無料相談窓口を利用すれば、簡単な相談が可能です。

法律に関連した相談先には、以下のような場所があります。

  • 法律事務所の無料相談
  • 法テラス
  • 弁護士会
  • 市区町村の法律無料相談

それぞれの相談先について詳しく解説いたします。

法律事務所の無料相談|専門の弁護士に出会いやすい

法律事務所には「無料相談」を提供するところと、有料の相談を行うところがあります。

有料の場合、たとえば相談30分で5000円〜1万円程度の料金がかかります。無料相談を行っている法律事務所も多く、その分費用を節約できる可能性があります。

離婚問題に精通した弁護士を探しやすいため、相談後に依頼することまで考えているなら、最初から法律事務所を探すのがおすすめです。もちろん相談したからといって、その事務所に依頼しなければならないという決まりはありません。

法テラス|3回まで無料で相談できる

法テラスとは無料法律相談で 弁護士を紹介してもらえる公的機関のこと

「法テラス」とは、政府が設けた法的トラブル解決の窓口です。公式には「日本司法支援センター」と呼ばれており、慰謝料や離婚問題に限らず、あらゆる法律上の相談ができます。

要件を満たせば相談が3回まで無料なので、弁護士費用に不安がある人におすすめです。依頼には一定の費用がかかりますが、条件を満たせば弁護士費用の支援も受けられます。

ただし弁護士が選べないため、専門の弁護士に相談するのは難しいかもしれません。また法テラスの利用には、所得や資産の制限があります。

詳細な利用条件については以下の記事で解説しているので、弁護士費用の支払いが難しい方は参考にしてみてください。

弁護士会|地域によっては無料で相談できる

各地方裁判所の管轄区域ごとに、弁護士会が設置されています。北海道と東京を除く各府県には1つずつ、東京には3つ、北海道には4つの弁護士会が存在します。

弁護士会では、一般向けの法律相談や弁護士の紹介を定期的に行っており、費用も各弁護士会によって異なります。地域によっては無料で相談できるため、気軽に相談できるかもしれません。自治体ごとの弁護士会は、以下で探してみてください。

参照:全国の弁護士会の法律相談センター

市区町村の法律無料相談|初めての方でも安心

市区町村の法律無料相談は、各自治体が実施している公的な相談窓口です。

弁護士が住民の法律問題に無料で応じてくれる仕組みで、慰謝料請求や離婚問題など幅広い内容に対応しています。自治体によって制度の仕組みは異なりますが、30分程度の無料相談に対応してもらえるケースが多いようです。

法律相談の開催日や相談時間などの詳細については、各市区町村の公式サイトで確認してみてください。

【慰謝料請求した方向け】慰謝料請求した相手が「お金がない」と言ってきたら?

慰謝料を請求した相手から「お金がない」と主張された場合、まず相手の経済状況を正確に把握することが重要です。相手の主張通り、本当に支払える余裕がない場合は、状況に応じて減額や分割払いも検討しましょう。

しかし、相手が「お金がない」と主張していても、実際には払える資金があるというケースも存在します。このような場合は資産開示の交渉や訴訟、強制執行を検討します。

不倫相手から「お金がない」と主張されたら

弁護士に依頼して慰謝料請求した相手の「資力調査」をして本当にお金がないか確かめる

資力調査は、以下のようなポイントに焦点を当てて進めます。

  1. 収入の調査
  2. 不動産の調査
  3. 預貯金の調査

相手の財産状況を把握するためには、弁護士による専門的な調査が必要となります。たとえば、法務局での不動産登記の取得、金融機関への照会(弁護士会照会)などが挙げられます。

また相手の職業や経歴によって、必要な調査手法が異なる場合があります。弁護士に相談することで、最適な調査方法を提案してもらえます。

相手にお金がなかったら相手の親族からの建て替えや減額・分割払いを検討する

相手に慰謝料を支払える財力がない場合は、相手の親や親族に支援を求めることも可能です。

ただし、慰謝料の支払い義務は本人にしか課されておらず、相手の親や親族に法的な支払い義務はありません。したがって、相手の家族が自発的に支援してくれる場合にのみ利用できます。

また、一括での支払いが困難な場合でも、請求額を見直して減額することで承諾してもらえる可能性もあります。

減額してもまとまった資金を支払えないというときは、分割払いを検討することになります。ただし、分割払いにする場合は、将来的な支払い遅延のリスクがあるため注意しなければなりません。

公正証書の作成を検討することで、将来的な支払いリスクを軽減できるため、必ず作成しておきましょう。弁護士のサポートを受けると、公正証書の作成手続きもスムーズに進みます。

相手がお金を持っていた場合は資産開示の交渉や訴訟、強制執行を検討する

相手がお金を隠している疑念がある場合、まずは交渉により、全ての資産を開示するように促します。また弁護士に相談することで、慰謝料の支払いに関する合意が成立した際に、将来的な執行の可能性を考慮に入れ、公正証書を作成できます。

相手が自発的に資産を開示しない場合や慰謝料の支払いを拒否する場合、裁判所に慰謝料の請求訴訟を起こすことになります。離婚に伴う慰謝料の請求では、訴訟を提起する前に離婚調停を申し立てることも必要です。

裁判では慰謝料を要求する側が、相手が不法行為をしたことを立証する必要があります。したがって裁判を進めるには、専門的なサポートを提供する弁護士が不可欠です。

裁判の結果、慰謝料の支払いを求める勝訴判決が下されたとしても、相手が自発的に支払わない場合は、強制執行の申し立てが必要です。強制執行を行う際には、申立人が相手の財産を特定する必要があります。つまり相手の財産が不明な場合は、強制執行ができません。

弁護士は、財産の開示手続きや第三者からの情報取得手続きを通じて、相手が隠している財産を明らかにできます。相手が「お金がない」と主張しても、弁護士に依頼することで、慰謝料が回収できるかもしれません。

まとめ

慰謝料請求をされたもののお金がない場合、まずは慰謝料を本当に支払う必要があるのかどうかを確認しましょう。

不法行為の証拠を相手から提示された際には、慰謝料の支払い義務が生じる可能性が高いです。ただし、請求額が相場よりも高額であれば、交渉によって減額してもらえるケースもあります。

慰謝料の減額をしても一括での支払いが難しいという場合は、分割で支払ってもよいかどうかを相手と交渉してみてください。その際に慰謝料の上乗せや公正証書の作成などを自分から提案すれば、分割に応じてもらえいやすくなるでしょう。

慰謝料請求の交渉は自分だけで進めるのが難しい部分もあるため、まずは弁護士の無料相談で状況を説明し、必要に応じて交渉や書面作成などを依頼することをおすすめします。

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更新日 : 2025年06月10日
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