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不貞行為なしでも精神的苦痛で慰謝料を請求できる!相場や具体的な事例を解説

不貞行為なし 精神的苦痛 慰謝料相場

配偶者が不貞行為がなかったとしても、自分以外の異性と親密にしていると、精神的な負担やストレスを感じてしまうものです。このように、不貞行為がない場合でも、配偶者やその異性に対して慰謝料を請求できるのでしょうか?

結論から言えば、不貞行為なしでも、配偶者や婚約者と他の異性との密会や親密なやりとり行為によって精神的苦痛を受けた場合、慰謝料を請求できます。

ただし、この場合の慰謝料の相場は数十万円から100万円程度が相場となります。不貞行為があった場合と比較すると、慰謝料相場が数十万円から200万円程度低くなるのが一般的です。

なお、実際に慰謝料を請求したい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。こちらが持つ証拠次第では、スムーズに慰謝料を請求できる可能性が高いでしょう。

本記事では、不貞行為なしでも精神的苦痛を受けた場合に、請求可能な慰謝料の相場や、慰謝料の請求が認められた事例を紹介します。
また、以下についても詳しく解説します。

  • 不貞行為なしでも慰謝料や示談金を請求可能な事例
  • 不貞行為なしで慰謝料や示談金を請求する際の注意点
  • 配偶者や異性が不貞行為を認めない場合によくある反論
  • 不貞行為の証拠となるもの
  • 慰謝料や示談金を高額請求するためのポイント
  • 不貞行為がないのに慰謝料を請求された場合の対処法

配偶者や婚約者の不貞行為を証明できないものの、慰謝料を請求したいと考えている場合や、慰謝料の相場を知りたい場合は、最後までチェックしてください。

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南陽輔 弁護士
監修
南 陽輔(弁護士)

不貞行為なしでも精神的苦痛に対して慰謝料は請求できる

結論からいえば、不貞行為がなかった場合でも、配偶者の行動によって精神的苦痛を被った場合、相手に対して慰謝料を請求可能です。

ただし、不貞行為の有無によって慰謝料の相場は大きく異なります。
ここでは、不貞行為や精神的苦痛、慰謝料の定義について解説します。

不貞行為の定義と判断基準

不貞行為とは婚姻関係や婚約関係にある男女が、関係ない異性と自由な意思を持って肉体関係を持つことをいいます。

不貞行為は民法によって定められている貞操義務に違反することになり、法律によって離婚可能な「法定離婚事由」に該当します。

逆に肉体関係がなければ、不貞行為とは認められません。

そのため、精神的な苦痛を被った場合でも、不貞行為がある場合の相場での金額を請求することはできません。

精神的苦痛とは

精神的苦痛とは、深い悲しみやショック、恐怖、不安など、誰かから与えられた苦痛や損害のことを指します。

精神的苦痛の被害が認められた場合、被害者への賠償のために加害者から慰謝料が支払われます。
精神的苦痛を理由として慰謝料を請求する場合、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 相手方の不法行為が成立している
  • 被害者が精神的苦痛や苦しみなどの被害を受けている
  • 相手方の行動や言動と被害者の精神的苦痛との因果関係が認められる

なお、精神的苦痛による被害の大きさを判断する場合、個人が傷ついた度合いを基準にすると判断が難しくなります。そのため、法律においては、精神面苦痛が発生する場面に注目し、場面に応じた損害賠償を認めるという考え方を採用しています。

精神が傷ついた度合いではなく、傷つけた行為によって慰謝料支払いの可否を判断することになります。

慰謝料とは

慰謝料とは、精神的な苦痛を被った場合に、加害者に請求する金銭のことです。

より具体的にいえば、精神的苦痛を金銭に換算し、加害者に対して賠償を求めるお金のことで、被疑者が被った精神的苦痛の内容や程度、相手の不法行為の内容など、さまざまな要因が考慮されて金額が決定されます。
また、慰謝料には以下の3つの役割があると考えられています。

  • 被害者が被った精神的な苦痛・損害を補填する役割
  • 加害者に金銭を請求して支払わせることによって制裁を与える役割
  • 被害者が受けた精神的苦痛を和らげて満足させる役割

【数十万円~100万円】不貞行為なしでの精神的苦痛で発生する慰謝料の相場

不貞行為がなくても、相手の行為によって精神的苦痛が生じた場合、慰謝料の相場は、数十万円から100万円程度です。

不貞行為が原因の精神的苦痛に対する慰謝料は100万円から300万円程度が相場であることと比較すると、慰謝料金額が低くなるのが実情です。

これは、不倫関係を争う場合の裁判の考え方が影響しています。配偶者の不貞行為による精神的苦痛を賠償するための慰謝料の金額が基準にされていることから、不貞行為がない場合、精神的苦痛の程度が低いものと扱われるためです。

慰謝料は不倫相手との関係性や会っている頻度・回数、当事者の悪質性などが考慮されます。そのうえで、婚姻生活や婚約関係を破壊したと評価できるかを基準にして、慰謝料請求の可否が判断されます。

具体的な金額は状況や関係性などによって異なりますが、悪質性が高い場合は相場よりも高額な慰謝料が認められるケースもあります。

不貞行為なしで精神的苦痛を理由に慰謝料や示談金を請求できるケース

次に、不貞行為なしで精神的苦痛を受けたことを理由に慰謝料や示談金などを請求可能なケースについて解説します。

具体的には、以下のケースに該当する場合、慰謝料や示談金を請求できる可能性があります。

  • キスなどの身体的な接触
  • 配偶者以外の異性との密会
  • メールなどでの頻繁なやりとり
  • 高額なプレゼントを贈り合っていた証拠がある
  • 肉体関係はないものの2人でホテルに行った
  • 配偶者以外の異性と交際していた
  • 肉体関係はないもののアプローチを拒絶しなかった
  • 別の異性と結婚すると告げた

それぞれ詳しく見ていきましょう。

キスなどの身体的な接触

配偶者が自分以外の異性に対して、キスや身体に触れるなどの身体的接触を行った場合でも、不貞行為による慰謝料請求はできません。

なぜなら、身体的な接触だけでは、法律による不貞行為には該当しないためです。
しかし、婚姻関係もしくは婚約関係にある人と他の異性との間に身体的な接触があった場合、不貞行為ではないものの不適切な交際をしていると判断される可能性が高く、少額ですが精神的苦痛を理由にした慰謝料を請求可能です。

なお、一般的な性行為ではないものの、性行為に類似する行為を性交類似行為と呼びます。例えば、オーラスセックスや手淫、肛門性交、全裸同士で抱き合うなどが性交類似行為にあたります。

このような性交類似行為は性的な肉体関係にあり、不貞行為に該当するため、相手方と不倫相手に対して慰謝料を請求できます。

配偶者以外の異性との密会

配偶者ではない異性と頻繁に密会していたケースも、慰謝料や示談金を請求できる可能性があります。

こちらも、密会だけでは慰謝料請求が難しいですが、肉体関係であることを推認できるような状況や頻度で密会が行われていた場合、慰謝料や示談金の請求が認められる場合があります。

例えば、過去に不貞関係にあった者同士が密会していた場合、2人が不貞関係を再開したと考えるには十分な状況といえます。

夫婦の婚姻関係や婚約関係が破綻につながる行為であると推認できるため、慰謝料請求が可能なケースがあるのです。

メールなどでの頻繁なやりとり

メールやチャットなどで配偶者と別の異性が頻繁にやりとりしていた場合も、状況次第では慰謝料請求の対象となります。

ただやりとりをしていただけでは、不貞行為とはみなされないため、精神的苦痛を受けたといっても慰謝料請求は難しいでしょう。

しかし、連絡の頻度や、やりとりしていた内容次第では、慰謝料請求ができる可能性があります。

例えば、やりとりの中に明確な愛情表現がある場合や、肉体関係を想像させる文言がある場合、それらの行為全体を考慮して不貞行為なしでも慰謝料による賠償請求に値すると判断されることもあります。

高額なプレゼントを贈り合っていた証拠がある

配偶者や婚約相手が別の異性に高額なプレゼントを頻繁に贈ったり、送り合ったりしていた証拠がある場合、慰謝料請求や示談金請求が可能になるケースがあります。

例えば、別の異性に対して高額なプレゼントを購入したレシートやクレジットカードの明細が複数ある場合、他の要因と総合的に考慮されて婚姻関係の破綻につながったと判断されれば、慰謝料請求の対象となります。

また、高額なプレゼントを贈り合っていた証拠がある場合も、慰謝料請求が可能な場合があります。プレゼントを贈り合うのは、男女の関係であると推認できるためです。

プレゼントの贈答・交換の頻度や回数、タイミングなどから、男女関係を想定されるのに十分と判断される場合は、慰謝料請求を検討するといいでしょう。

肉体関係はないものの2人でホテルに行った

肉体関係はないものの、配偶者や婚約者が別の異性と2人でホテルに行った場合も、慰謝料請求ができる可能性が高いといえます。

不貞行為を証明するには、実際の行為中の写真や動画といった証拠が必要になりますが、実際にそのような証拠を確保するのは難しいものです。

そのため、2人がホテルに出入りする写真や動画、滞在を裏付けるレシートや明細書など、間接的な証拠を複数集めて不貞行為があったことを主張するのが一般的といえます。

例えば、配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りした写真を確保している場合、不貞行為があったと推認される証拠の1つとして扱われます。

もし、他の証拠が乏しく、不貞関係に合ったことが認められなかったとしても、不貞行為があったと推認されるような行為によって精神的苦痛を受けたと主張すれば、慰謝料が請求できるでしょう。

配偶者以外の異性と交際していた

婚姻関係や婚約関係にある人が、他の異性と交際していた場合も、慰謝料や示談金を請求できます。

特に、不倫相手と結婚を前提に交際していた場合は、慰謝料を請求できる可能性が高いでしょう。

例えば、結婚しているにもかかわらず不倫相手の両親に対して結婚の挨拶をしていたり、同棲していたりするような場合、悪質性が高い不法行為と判断されるケースが多いといえます。

この場合、以下の項目について考慮されて慰謝料請求の可否が判断されます。

  • 不倫相手とどのような関係にあるのか
  • 不倫相手は既婚者と交際していたことを知っていたのか
  • 不倫相手との公開期間はどれくらいか

肉体関係はないもののアプローチを拒絶しなかった

配偶者と不倫相手との間に肉体関係こそないものの、片方がアプローチを拒絶しなかった場合も、慰謝料や示談金の請求が認められる場合があります。

こちらは実際に存在したケースですが、既婚者である男性からのアプローチに対して、明確な拒絶をしないまま密会を重ねていた女性がいました。

ただし、女性側は男性からの身体的接触を避けていた他、別々にホテルの居室に向かう、チェックアウトの時間をずらすといった行動を取っていました。

裁判所の判断は、両者に肉体関係があるとはいえないというものでした。

しかし、既婚者の男性が自分の妻に対して冷たく接していたことや、女性がアプローチを拒絶せずに複数回密会していたことに因果関係があると判断して、男性の妻に対して慰謝料請求を認めています。

2人の不貞関係を立証する証拠が乏しい場合でも、関係性や密会の回数次第では、上記のように慰謝料請求ができるケースがあることを理解しておくといいでしょう。

別の異性と結婚すると告げた

配偶者や婚約者が、別の異性と結婚すると実際に告げた場合も、慰謝料請求の対象となります。

こちらも実際にあったケースです。既婚者の男性が別の女性Aと結婚を前提に交際しており、女性Aに対して結婚を懇願していたそうです。

そして、配偶者の妻に対して別の女性と結婚したいと告げたうえ、夫婦は別居から離婚に至ったケースです。

なお、女性Aも既婚者の男性と結婚を前提に交際していました。

このケースでは、既婚者の男性と女性Aの肉体関係についてはなかった(あったとは判断できない)という前提のうえで、妻の精神的苦痛を認め、夫に対しての慰謝料請求を認めています。

不貞行為なしでの精神的苦痛に対する慰謝料請求が認められた事例

次に、不貞行為こそなかったものの、精神的苦痛を受けたことに対する慰謝料請求が認められた事例について解説します。

紹介するのは、以下の3つの事例です。

  • 配偶者以外の異性と結婚を前提に交際
  • 過去に不貞行為があった異性との密会
  • 配偶者以外の異性との身体的接触

それぞれ詳しく見ていきましょう。

配偶者以外の異性と結婚を前提に交際

配偶者以外の異性と結婚を前提に交際していたケースの判例です。

ある既婚者が、周囲の説得にも耳を傾けず、配偶者以外の異性と結婚を前提に交際していました。

既婚者と不倫相手は、配偶者に対してお互いに結婚したいと考えていることを表明していた他、既婚者は不倫相手と同棲するに至っていたそうです。

また、既婚者と不倫相手が身体を密着させたり、手をつないで歩いたりしていたことが分かりました。
このような事実関係を基に裁判が行われた結果、既婚者と不倫相手との間に肉体関係こそ認められないものの、配偶者の慰謝料請求を認める判決が下されました。

過去に不貞行為があった異性との密会

次に、過去に不貞行為があった既婚者と異性が密会していたケースの判例です。

ある夫が妻と男性の不貞行為を主張して、男性に慰謝料の請求を求めた裁判を起こしました。

裁判所は両者の主張や証拠などから、妻と元不倫相手との間に不貞行為はなかったと判断されます。

しかし、妻と男性はかつて不貞関係にあり、深夜に妻と男性が密会していたことが、不貞関係を再開したと疑うには十分な行為で、夫婦の婚姻関係を破綻させる可能性のある行為と結論付けます。

結果、今回の行為は不法行為に該当するものとして認めるのが相当であるとし、夫から男性に対する80万円の慰謝料請求を認める判決となりました。

配偶者以外の異性との身体的接触

次に、配偶者以外の異性と身体的接触によって慰謝料請求が認められたケースの判例です。

ある妻がアルバイト先の従業員である男性Aと不倫関係にあり、妻と男性Aはともに結婚することを望んでいました。

また、妻は男性Aの友人である男性Bとも親密な仲になり、妻と男性Bが体を密着させたり、手をつないだりしているところを夫に目撃されています。

このような状況で夫は男性Aと男性Bに対して慰謝料を請求する裁判を起こしました。

裁判では男性Aに対しては妻との肉体関係こそ認められませんでした。しかし、妻との結婚を希望して交際したことや、妻とともに夫に対して妻と結婚させてほしいと懇願し続けたことが、夫婦の離婚に至る原因となり、不法行為として認定されます。

結果、男性Aに対しては慰謝料70万円の支払いが命じられました。

男性Bは妻との肉体関係がなかったと主張したものの、数日にわたり同じ部屋に寝泊まりし、外出時には体を密着させた手をつないで歩いていたことから、男性Bと妻の間に肉体関係があったと認めるのが相当であると判断されます。

こちらも不法行為であり、夫の精神的苦痛に対する賠償義務があることから、男性Bにも慰謝料70万円の支払いが命じられることになりました。

不貞行為なしでの精神的苦痛による慰謝料や示談金を請求する際の注意点

これまで解説してきた通り、不貞行為がなかったとしても精神的苦痛を被った場合は、相手や不倫相手に対して慰謝料や示談金を請求できます。

ただし、請求する際にはいくつかの注意点があります。具体的な注意点は以下の通りです。

  • 証拠の有無が重要になる
  • 慰謝料請求権には時効がある
  • 慰謝料の請求と認められるかどうかは別であることを理解する
  • 相手を脅迫してはならない
  • 証拠集めで違法行為をしない

それぞれ詳しく解説していきます。

証拠の有無が重要になる

不貞行為なしでの精神的苦痛による慰謝料や示談金を請求する場合、証拠の有無が重要になります。

一般的には、慰謝料を請求する側が配偶者の不法行為を証明する必要があるためです。

配偶者や不倫相手の好意によって精神的苦痛を被ったとして慰謝料を請求するためには、それが民法における不法行為による損害賠償となることを主張かつ立証しなければなりません。

そのためには、配偶者と不倫相手の関係性を証明できるような証拠をいくつか集めておく必要があります。

自分の周辺で確保できる証拠だけでは証拠能力に乏しい場合は、探偵に依頼して配偶者や不倫相手の行動を探ってもらうことも検討した方がいいでしょう。

なお、不貞行為がない状況で慰謝料を請求する場合に有効な証拠については、後ほど詳しく解説します。

慰謝料請求権には時効がある

慰謝料を請求する場合に気を付けたいのが、慰謝料請求権には時効があるということです。

慰謝料請求権の期間は民法第724条によって以下のように定められているためです。

  • 被害者が不法行為の事実や加害者(不倫相手)を知ったときから3年間
  • 不法行為があったときから20年間

参考:民法第724条 不法行為による損害賠償請求権の消滅時効|e-GOV 法定検索

なお、配偶者の行為による精神的苦痛を理由に慰謝料請求する場合は、証拠を確保してできるだけ早く行動した方が、問題を迅速に解決できます。時効での慰謝料請求権が消滅する前に、被害の回復を目指すことをおすすめします。

慰謝料の請求と認められるかどうかは別であることを理解する

不貞行為なしでの精神的苦痛に対して慰謝料を請求することは自由ですが、慰謝料の支払いが認められるかどうかは別であることを理解しておきましょう。

これは、慰謝料を請求する側にも、される側にもいえることです。

配偶者の裏切り行為によって精神的苦痛を受けたと主張して、慰謝料を請求するのは自由です。

ただし、慰謝料を請求したからといって、それが認められるかどうかは分かりません。例えば、不倫相手に故意や過失がないと求められた場合は、慰謝料請求ができないケースがあります。

また、配偶者などが慰謝料請求を拒んだ場合、最終的には裁判によって判断されますが、配偶者と不倫相手の不法行為を客観的に証明できる証拠がなければ裁判には勝てません。逆に、精神的苦痛を理由に慰謝料を請求された場合でも、必ず支払いが発生するとは限りません。特に、自身の身に覚えがなく、客観的な証拠も提出されない場合、慰謝料を支払う必要はないでしょう。

相手を脅迫してはならない

相手や不倫相手に慰謝料を請求する場合、脅迫してはいけません。
相手から脅迫されたと訴えられ、その訴えが認められた場合、脅迫罪による刑事責任が発生するためです。

脅迫とは、相手に恐怖心を抱かせることを目的にして、相手やその親族の命や財産、名誉、身体などに害悪を加えることを告知することです。刑法222条によって定められています。

害悪の告知に該当するのは口頭発言や電話、文書、メールなどの文言、態度、第三者経由の間接的方法などさまざまです。

また、一般人が恐怖を感じる内容であれば脅迫罪は成立します。害悪の告知の内容が犯罪行為をほのめかすものでなくても、内容によっては脅迫罪となるため注意しなければなりません。

なお、脅迫罪が適用された場合、3年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金となります。

配偶者と不倫相手の不法行為があった場合、怒りや悲しみ、憎しみから相手を糾弾したくなるケースがあります。しかし、感情的になりすぎてしまうと脅迫罪となってしまう恐れがあります。

冷静な話し合いができないと感じる場合は、弁護士に対応を依頼して協議を代行してもらう、もしくは同席してもらうようにしましょう。

証拠集めで違法行為をしない

配偶者や不倫相手に慰謝料を請求するための証拠を集める場合、違法行為を行ってはいけません。

以下のような方法で証拠を得ようとした場合、違法行為となる場合があります。

  • 配偶者の許可を得ないままスマートフォンの中身を確認する(プライバシーの侵害)
  • 配偶者のチャットやSNSのアカウントに不正ログインをして中身を確認する(不正アクセス禁止法違反)
  • 監視専用アプリや遠隔操作用アプリを配偶者の許可を得ずに勝手にインストールする(不正指令電磁的記録強要罪)

悪質であると判断された場合、証拠集めのための行動によって罰金刑や懲役刑になるケースもあります。

また、違法行為によって入手した証拠をそのまま提示した場合、違法行為であることから慰謝料の減額を求められたり、相手側から訴えられたりすることもあるため、十分注意しましょう。

配偶者や異性が不貞行為を認めない場合にされがちな反論

こちらが配偶者や不倫相手の不貞行為を指摘したとしても、相手側が素直に不貞行為を認めず、反論してくる可能性があります。

ここでは、配偶者や不倫相手が不貞行為を認めない場合によくある反論のパターンについて解説します。
よくある反論としては、以下のようなものがあります。

  • 不貞行為がないことを主張する
  • 相手が既婚者とは知らなかった
  • 慰謝料請求権の時効が消滅している
  • 不貞行為の前に婚姻関係が破綻していると思っていた

それぞれ詳しく見ていきましょう。

不貞行為がないことを主張する

よくある反論の1つが、配偶者もしくは不倫相手が不貞行為がないと主張するものです。

不貞行為の有無を争う場合、慰謝料を請求する側が不貞行為の事実を立証する必要があります。

もし、不貞行為を立証する確たる証拠が得られなかった場合、不貞行為(法定離婚事由)に対する慰謝料請求はできません。

ただし、判例では肉体関係が認められないものの、キスをしたり、抱き合ったりするなどの身体的接触があったと認められ、その行為によって被害者が精神的苦痛を被った場合、賠償するための慰謝料請求を認める場合があります。

なお、配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りする写真や滞在時間を証明するものなどといった不貞行為を立証する証拠を提示された場合、加害者側が反論するためには、不貞行為がなかったことを立証しなければなりません。

ただし、不貞行為がなかったことを立証するのはかなり難しい他、仮に肉体関係が認められなくても慰謝料請求につながる可能性があります。

相手が既婚者とは知らなかった

よくある反論として、交際相手が既婚者とは知らなかったというものがあります。

被害者側の慰謝料請求が認められる、つまり不法行為が成立するには故意もしくは過失が必要です。

故意とは、不倫相手が交際相手を既婚者と知っていながら交際していたことを指し、過失とは不倫相手が既婚者とは知らなかった場合に、知らなかったことに対する不注意があることを指します。

故意で不貞関係を持っていた場合は、不倫相手も慰謝料請求の対象となります。

一方、過失が認められた場合も慰謝料を請求できますが、一般的には、配偶者が自分を独身と偽って交際していた場合、不倫相手には独身かどうかを疑い調査する義務はないと考えられています。

ただし、不貞行為が継続的に行われていた場合、交際相手が既婚者であることを知り得るきっかけは存在しているとも考えられるため、既婚者であること知らなかったことに対する過失を主張・追及して慰謝料請求につながるケースもあります。

例えば、メールやチャット、SNSの投稿などから交際相手が既婚者であるような記載が確認されれば、知らなかったとの主張に理由がないことを立証できるため、不貞行為による慰謝料請求が可能です。

慰謝料請求権が時効により消滅している

不貞行為を認めない場合のよくある反論として、慰謝料請求権が時効により消滅していると主張するケースがあります。

前述のように、慰謝料請求権は配偶者と不倫相手の不貞行為を認識した日から3年で時効になります。
ただし、不貞行為を理由に慰謝料請求する旨を内容証明によって配偶者や不倫相手に送付することで、時効は一旦中断する仕組みになっています。

また、内容証明の送付から6カ月以内に裁判を起こせば、慰謝料請求権が時効にかかることはありません。

さらに、不貞行為の事実を認識してから3年経過した後でも、配偶者や不倫相手が被害者に対して不貞行為に対する慰謝料の支払い意思を示していた場合は、時効が消滅していると主張できなくなります。

不貞行為の前に婚姻関係が破綻していると思っていた

肉体関係は合ったものの、その前に婚姻関係が破綻していると思っていたという反論もよくあります。

これは、配偶者からも不倫相手からも主張されることが多い反論です。

かつて、婚姻関係が破綻していた場合、婚姻生活における平和の維持や法的保護に値する利益があるとはいえず、不倫相手との肉体関係が認められても、慰謝料請求を認めないという最高裁判所の判決が出たことがあります。

しかし、一般的には夫婦の婚姻関係が破綻しているという主張が認められる判例は多くありません。

なぜなら、婚姻関係の破綻を証明することが難しいためです。

1つの基準となるのが、夫婦の別居です。配偶者と不倫相手の肉体関係が認められた時点で、夫婦が長期の別居状態にあることが認められる場合には、婚姻関係の破綻が認められることがあります。

しかし、現時点で別居していない場合や、別居をしていてもお互いにやりとりをしている場合は、婚姻関係が破綻していたとは認められないケースが多いため、不貞行為に対する慰謝料請求が可能です。

不貞行為の証拠があれば慰謝料請求が認められやすい

不貞行為に対する慰謝料を請求する場合、不貞行為の事実を客観的に立証する証拠があれば、慰謝料請求が認められやすくなります。

ここでは、どのようなものが不貞行為の証拠となるのか解説します。不貞行為の証拠となるのは、以下の通りです。

  • 写真・動画
  • メール・チャット・SNSなどの文面
  • 日記・メモ・手紙
  • 明細書・領収書
  • 第三者からの証言
  • 本人による自白・念書
  • 探偵による調査報告書

仮に不貞行為を証明できなかった場合でも、精神的苦痛による慰謝料請求が可能になる場合もあるため、証拠の存在は重要です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

写真・動画

写真や動画は、不貞行為を証明する証拠となります。

配偶者と他の異性との性行為中の写真や動画、ホテルに出入りする写真や動画は、不貞行為があったことを推認させるのに重要な証拠となります。

なお、配偶者と他の異性が手をつないでいる、もしくは2人で密会している写真や動画だけでは、不貞行為の証拠としては弱くなります。

しかし、他の証拠と合わせて提示すれば、不貞行為を立証できる場合もあります。

メール・チャット・SNSなどの文面

配偶者と他の異性とのメールやチャット、SNSでのやりとりも不貞行為の証拠となり得ます。

2人が性行為に及んだことが記載されていれば、不貞行為の証拠になります。また「昨日はよかった」など、直接的ではなく少しぼかした表現のやりとりであっても、ホテルの明細書やクレジットカードの履歴などと合わせることで、不貞行為が立証できるケースもあります。

メールやチャットなどのやりとりを証拠として押さえる場合は、スマートフォンの画面を写真に撮ることが大切です。やりとりが表示されている状態で、スマートフォン全体を写真に収めることで、誰のスマートフォンでどのようなやりとりがあったのかを示せます。

また、テキストメッセージが送信された日時の他、メッセージの前後の文脈が分かるように撮影することも重要です。

日記・メモ・手紙

日記やメモ、手紙なども不貞行為を立証する証拠となる場合があります。
例えば、配偶者の手帳に他の女性と会うことが記されていた場合、不貞行為を疑われる可能性があります。手帳ではなく、メモや手紙、日記などでも同じことになります。

これだけでは証拠として弱いものの、写真や動画、ホテルの明細書などがあれば、他の証拠と合わせて総合的に判断され、不貞行為が認められるケースもあります。

なお、証拠の有力性は記載されている内容によって異なります。

明細書・領収書

明細書や領収書も、不貞行為を立証する証拠になる場合があります。
例えば、ホテルに出入りする配偶者と他の異性の写真や動画の証拠があった場合、その日にホテルを利用した後のクレジットカードの明細書や領収書があれば、写真や動画の裏付けとなります。

メールやチャットでのやりとりなど、他の証拠も押さえているのであれば、証拠能力はさらに高くなるでしょう。

第三者からの証言

夫婦以外の第三者からの証言も、不貞行為の証拠になり得ます。

裁判において第三者が証言(証人尋問)した場合、その発言は証拠として扱われることになるためです。

証人尋問とは、事件の当事者や関係者が法廷で証言し、その内容を証拠とする手続きのことです。

第三者が証人尋問に参加する場合、自分の証言が真実であることを宣戦しなければならず、うその証言をした場合は偽証罪に問われ3ヶ月以上10ヶ月以下の懲役刑になる可能性があります。

例えば「配偶者や他の異性とラブホテルに入るところを目撃した」と妻の友人が証言した場合、不貞行為の事実を推認させる証拠になります。

ラブホテルに男女2人で入っている場合、通常であればそこで性行為があったと推認されるためです。
その証言内容が他に提示されている証拠と一致している場合、証言や証拠との信頼が高くなり、不貞行為を証明することにつながるのです。

本人による自白・念書

不貞行為を行った本人による自白や念書も、不貞行為の証拠となります。
特に第三者が同席している状況で、不貞行為を認めた自白データや自認書、念書は大きな効力のある証拠として扱われます。

一方、当事者同士のみが協議をしている状況で書かれた自認書や念書は、脅迫されて書くことを強要されたと相手に主張される恐れがあるため注意が必要です。

また、不貞行為について配偶者から追及されている立場で、不貞行為がない場合は、自認書や念書は絶対に書いてはいけません。

例え本当に不貞行為がない場合でも、相手に追及されて面倒になったり、相手の怒りを抑えたいがために自認書や念書を書いてしまうと、不貞行為を認めることになります。

探偵による調査報告書

興信所もしくは探偵事務所による調査報告書は、不貞行為の重要な証拠となります。

調査報告書には、対象者の行動や事実関係が正確にまとめられているためです。
調査で入手できた写真や動画、音声も証拠となるため、慰謝料を請求する場合は有利になるでしょう。

また、興信所や探偵事務所は調査のプロであるため、法に触れるような方法で証拠を入手することがなく、安心して調査を依頼できます。
調査にかかる費用は興信所や探偵事務所ごとに異なりますが、信頼できるところに調査を依頼すれば、自分では集められないような証拠を集めてくれるでしょう。

不貞行為なしでの精神的苦痛に対して高額の慰謝料や示談金を請求するためのポイント

不貞行為がない場合、精神的苦痛が生じても慰謝料の相場が低くなりやすいのは、解説した通りです。
しかし、被害者側からすれば、耐え難い悲しみや怒りを感じていることもあり、できるだけ高額の慰謝料を請求したいと考えるケースもあるでしょう。
ここでは、不貞行為なしでの精神的苦痛に対し、高額の慰謝料や示談金を請求するためのポイントを解説します。具体的なポイントは以下の通りです。

  • 話し合いによって合意を得る
  • 慰謝料の分割払いを提案する
  • 慰謝料の代わりに現物支給を提案する
  • 公正証書を作成する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

話し合いによって合意を得る

不貞行為なしでの精神的苦痛に対して高額の慰謝料を請求したい場合は、話し合いによって合意を得ることが重要です。
相手の合意さえ得られれば、慰謝料の金額はいくらでも自由に設定できるためです。
場合によっては、一般的な相場や裁判所の判例よりも高い金額の慰謝料や示談金の支払いによって和解できる可能性があります。

一方、慰謝料請求を裁判で争うと、不貞行為がない場合や、不貞行為を明確に立証できる証拠がない場合、被害者側が不利になるケースが多い傾向にあります。

不貞行為がない状況で、不貞行為があったことを立証するのが、かなり難しいためです。
高額な慰謝料を請求したい場合は、裁判になる前の当事者間での協議段階で、示談を引き出すことを目指しましょう。

慰謝料の分割払いを提案する

不貞行為なしでの精神的苦痛に対して慰謝料を高額にしたい場合は、相手に分割払いを提案するのも1つの手段です。
相手方に慰謝料に充てるまとまった資金がない場合に有効な方法といえます。

例えば、50万円の慰謝料請求に合意を得た場合でも、相手方が現金一括で支払えないケースもあります。
この場合、月額5万円の分割払いを認め、その代わり12ヶ月の支払い(合計60万円)とすることを提案するのです。合意を得られれば慰謝料を増額できます。
ただし、分割払いにする場合は、途中で相手が支払わなくなるケースもあるため、分割払いの提案については慎重に検討しましょう。

慰謝料の代わりに現物支給を提案する

相手方の行為によって精神的苦痛を被ったうえに離婚に至る場合は、現物支給を提案することも検討しましょう。

例えば、相手方に慰謝料を支払うまとまった資金がない場合、自宅や自家用車の名義を自分に変更するよう提案します。
合意が得られれば、一般的な慰謝料の相場よりも高い価値のある資産を手にでき、売却すれば現金と交換することも可能です。

相手の状況に応じてうまくカードを切れば、高額な慰謝料を請求できるケースもあるでしょう。

公正証書を作成する

相手方との協議によって慰謝料の金額や支払い方法に合意を得られた場合、公正証書を作成しましょう。

公正証書とは個人や法人からの依頼を受け、公証人が権限に基づき作成する公文書です。

公文書には形式的な証明力が働き、公正の効力が生じるため、完全な証拠力を持ちます。
そのため、公正証書に記載されている内容次第では、相手方の慰謝料の支払いが滞った場合に裁判所での手続きを得ずに強制執行ができるようになります。

また、相手に慰謝料の支払い義務が生じるような何らかの行為をしたことについて、自白があることを証明できるのも、公正証書にするメリットです。
慰謝料の支払いを確実に完了させるためには、合意内容を公正証書化することを検討してください。

【慰謝料請求された側】不貞行為なしにもかかわらず精神的苦痛に対して慰謝料や示談金を請求された場合の対処法

自分は不貞行為をしていないものの、精神的苦痛から慰謝料を請求された場合、どのように対処するべきなのでしょうか。
ここでは、慰謝料を請求される側の対処法について紹介します。具体的な対処方法は以下の通りです。

  • 当事者同士での話し合いによって解決を図る
  • 示談書にはその場でサインしない
  • 弁護士に相談する
  • 状況別の具体的な対処事例

それぞれ詳しく見ていきましょう。

当事者同士での話し合いによって解決を図る

自分は不貞行為をしていないものの、配偶者から慰謝料を請求された場合は、配偶者との話し合いによる解決を目指しましょう。

不貞行為があったものとして慰謝料を請求されている場合は、誤解を解く必要があるためです。
話し合いでは、以下のポイントについて確認しましょう。

  • 慰謝料を請求される理由を確認する
  • 相手方が持つ証拠の内容を確認する
  • 請求された慰謝料の金額が妥当か確認する
  • 慰謝料以外に不当な要求がないか確認する
  • 慰謝料請求権が時効になっていないか確認する

慰謝料を請求される理由を確認する

慰謝料を請求されている場合は、その理由を確認しましょう。
相手が主張する慰謝料請求の理由を明確にしなければ、論点が定まらなくなるためです。また、理由と事実が食い違うこともあります。
話し合いによって誤解であると分かり合えた場合は、相手は慰謝料請求を取り下げてくれるかもしれません。

何を理由に不貞行為があったと勘違いされているのか、どのような行為に対して精神的苦痛が生じたのか、相手とよく話し合って解決を図ってください。

相手方が持つ証拠の内容を確認する

慰謝料請求の際に相手が証拠を提示してくる場合は、その内容をしっかり確認しましょう。
証拠の有無や内容によって、どのように対応すべきかが分かるためです。
こちらが不貞行為をしていない場合でも、相手が提示してきた証拠が不貞行為を疑わせるようなものであった場合は、その疑いを解消するための証拠をこちらが提示しなければなりません。
こちらも証拠を提示でき、相手の誤解だったことが分かれば、慰謝料の支払いが不要になるケースもあります。

なお、話し合いでは、明確な証拠がなくても様子見で慰謝料を請求される場合あります。この場合も証拠の有無や内容を確認する必要があります。
相手が証拠を提示してこない場合は、慰謝料請求には応じなくても大丈夫でしょう。

請求された慰謝料の金額が妥当か確認する

慰謝料を請求された場合は、請求金額の妥当性を確認しましょう。
不貞行為の有無にかかわらず、相手が請求している慰謝料の金額が相場よりもかなり高額な場合があるためです。

不貞行為がないケースでの慰謝料は、数十万円から高くても100万円程度が上限です。しかし、慰謝料の協議においては請求できる慰謝料の上限は決まっていないため、相手方が自由に設定できるため、相当高額な慰謝料を要求される場合もあります。

相場と大きく乖離する金額の慰謝料は支払う必要はなく、減額を交渉するべきです。
ただし、高額な慰謝料の支払いに同意した場合は、支払い義務が発生するため注意してください。

慰謝料以外に不当な要求がないか確認する

慰謝料請求の話し合いでは、慰謝料の他に不当な要求がないか確認しましょう。

配偶者から慰謝料を請求される際、引っ越しや退職を要求される場合があります。これらは正当な要求ではないため、基本的に応じる必要はありません。
相手が求める内容に納得できない場合は、その旨を主張する他、示談書などへのサインはしないようにしましょう。

なお、要求が不当かどうかの判断が難しい場合は、その場で判断せず弁護士に相談することも検討しましょう。

慰謝料請求権が時効になっていないか確認する

慰謝料を請求された場合は、時効になっていないか確認しましょう。
慰謝料請求権の時効が過ぎてから慰謝料を請求されても、認められないためです。
不貞行為に対する慰謝料請求の時効は、不貞行為の事実を認識してから3年で、夫婦間の場合は離婚してから6ヶ月は時効になりません。
不貞行為がなかった場合でも、念のために時効を確認し、時効が経過している場合は時効完成を主張しましょう。

示談書にはその場でサインしない

不貞行為がないにもかかわらず、精神的苦痛を理由に慰謝料を請求されたとしても、話し合いの場で示談書にサインしてはいけません。
示談書にサインをするということは、示談が成立して慰謝料の支払いを受け入れることになるためです。

示談は一度成立すると、協議のやり直しはできなくなります。安易な気持ちでサインするとトラブルに発展する可能性が高いため、注意しましょう。
話し合いの最後に示談書を提示された場合は、内容をよく確認したうえで持ち帰り、弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に相談する

不貞行為なしで慰謝料を請求された場合は、弁護士に相談しましょう。
弁護士に対応を依頼すれば、誤解が解消しやすくなるためです。

慰謝料を請求した配偶者がこちらの話に耳を傾けてくれれば話し合いができますが、中には全く聞く耳を持たないケースもあります。
不貞行為を誤解している場合は、こちらを信用してないケースも多いため、冷静な話し合いが難しい場合もあるでしょう。

弁護士に相談して協議への同席、こちらの意見の主張を任せられれば、相手方もこちらの話を聞かざるを得なくなります。
また、明確な証拠がない場合、不貞行為があってもなくても慰謝料請求が難しいことを、法律の専門家として助言してもらうこともできます。
自分1人で解決しようとせず、専門家の知識を借りて問題のスムーズな解決を目指しましょう。

状況別の具体的な対処事例

配偶者から慰謝料を請求されている場合、状況によって対処が異なる場合があるので紹介します。

  • 精神的苦痛が発生している場合の対処法
  • 夫婦の権利侵害に対する対処法
  • 疑わしいことがない場合の対処法

それぞれ詳しく見ていきましょう。

精神的苦痛が発生している場合の対処法

配偶者が精神的苦痛を被った場合でも、明確な証拠が提示されない、または存在しない場合は、裁判に発展しても慰謝料の支払い義務が発生することはないでしょう。
ただし、以下の場合は慰謝料請求が認められる可能性が高いといえます。

  • 自分の行為が原因で精神的な病を負った場合
  • 自分の行為の悪質性が認められる場合

配偶者が精神疾患を患ってしまい、診断書や診察の記録、日々の日記などの証拠が揃っている場合、裁判になれば配偶者の精神的苦痛が認められるケースが多いでしょう。
また、自分の行為に悪意があることが明確に立証された場合も、慰謝料の支払い義務が発生する可能性が高いといえます。
このようなケースでは素直に謝罪し、不貞行為がないことを伝えたうえで慰謝料の減額を相談しましょう。

夫婦の権利侵害に対する対処法

夫婦が平穏に生活する権利の侵害を配偶者が主張しており、慰謝料を請求されている場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
不貞行為がなかったとしても、関連する行為やその他の行為によって夫婦の権利侵害を主張されている場合、話し合いが長くなり、まとまりにくくなります。
基本的には夫婦関係に傷を付けたことを認め、謝罪のうえで慰謝料の減額を交渉することになるでしょう。

しかし、話し合いがスムーズに進まない場合や、交渉がまとまらない場合は、弁護士に相談して協議に参加してもらい、話がまとまるように対応してもらいましょう。

疑わしいことがない場合の対処法

不貞行為が全くない場合の対処法は、慰謝料の請求を拒否するか、もしくは減額交渉するかのいずれかとなります。
配偶者が証拠を提示して不貞行為を主張している場合は、不貞行為がないことを立証できれば慰謝料は認められなくなります。

ただし、不貞行為がなかったことを証明するのはかなり難しいため、慰謝料の減額を交渉するのが一般的ともいえます。
不貞行為の疑いをかけられるような行動をしたことを謝罪して、配偶者と相談してください。

なお、泥酔状態でホテルに連れていかれたような場合は、慰謝料を拒否するのが有効な場合もあります。いずれにせよ、弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

不貞行為なしでも、精神的苦痛を被った場合は慰謝料を請求できる場合があります。
慰謝料の相場は不貞行為がある場合と比較して低くなるものの、状況や相手の悪質性によっては慰謝料が高額になるケースもあります。

ただし、慰謝料を請求する場合は、証拠の有無が重要になる他、慰謝料請求権には時効があるといった注意点があることは把握しておきましょう。
本記事を参考に、不貞行為なしでも精神的苦痛を被った場合は、慰謝料請求について検討しましょう。

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更新日 : 2024年11月18日
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