通っている風俗店がソープランドの場合は慰謝料請求できる可能性が高い
慰謝料は相手の不法行為によって精神的苦痛があったことを証明できれば請求できます。
したがって、風俗店の中でも性交渉を前提としたサービスが行われるソープランドは、不貞行為と見なされ、慰謝料請求ができる可能性が高いです。
日本の法律では婚姻中の配偶者には貞操義務が課せられていると解釈されており、「性交渉をサービスとして提供するソープランドの利用」はこれに違反します。
また、ソープランド通いが常習化しており、通う回数が多いほど慰謝料が増額されるケースもあります。
ただし、サービスを行った風俗嬢に対しての慰謝料請求は難しいでしょう。
実際に平成27年7月27日判決の判例では夫が風俗嬢と性交渉を繰り返していたものの、店内での行為自体は「対価を支払って成立するもの」とされ、風俗嬢側は不貞行為に該当しないと判断されています。
しかし、本件は風俗嬢がお店を辞めたあとも関係が続いていたこともあり、その点については慰謝料請求が認められています。
このように、慰謝料請求が認められるかどうかは状況や行為の継続性によって変わるため、夫の行動や頻度についてしっかりと証拠を集めることが重要です。
具体的な証拠には、利用履歴や会話記録、または探偵による調査結果が役立ちます。裁判を有利に進めるためにも、風俗が原因での慰謝料請求は離婚問題を扱う弁護士に相談することをおすすめします。
夫が通う風俗店が性交渉を行わない場合は慰謝料請求が難しい
夫が通っている風俗店が性交類似行為(口腔性交・手淫など)を行うピンクサロンやへルス、性感エステなどの場合は、慰謝料請求が難しいケースがあります。
これらの店舗は一般的に性交渉を伴わない性的サービスが提供されているため、法律上の貞操義務違反に当たるかどうかは一概に言えません。
弁護士によっても見解が異なるため、必ずしも慰謝料請求が認められるとは限らないのです。
ただし、女性側の感情としては「浮気と変わらない」と感じることが多く、精神的苦痛を主張したいケースもあるでしょう。
性交渉を伴わない風俗店でも、以下のようなケースでは慰謝料請求が可能になることがあります。
- 表向きは性交渉を行わないお店で性交渉を行っていた
- 店外で個人的に風俗嬢と恋愛関係にあった
- 頻繁に通っており、経済的・精神的な負担が大きい
しかし、実際に立証できるかは法律に関する専門的な視点での判断が必要不可欠です。
ソープランド以外のサービス内容は曖昧な点も多いため、必ず弁護士に相談して具体的な対応策を確認することをおすすめします。
不貞行為なしでも精神的苦痛で慰謝料を請求できるかは、下記で詳しく解説しているので参考にしてください。
風俗通いをする夫と離婚できる条件
風俗通いをする夫と離婚できる条件は、次の3つがあげられます。
- 協議や調停なら互いの同意があれば離婚できる
- 裁判では法定離婚事由があることを証明する必要がある
協議や調停なら互いの同意があれば離婚できる
風俗通いをする夫との離婚や慰謝料請求は、話し合い(協議や調停)を行って夫が同意すれば問題なく可能です。
協議を行い、離婚することに夫が同意しない場合は、離婚調停を実施します。
離婚調停とは家庭裁判所が実施する離婚問題を解決するための話し合いの場です。
裁判所の調停委員が仲介してお互いの主張を元に、当事者間が合意する形で解決を目指す制度です。調停中は夫婦別々の部屋で調停委員と話しながら進められるので、顔を合わせる必要はありません。
離婚調停が成立した場合は調停調書が作成され、記載された内容は法的拘束力を持ちます。
離婚調停でも話し合いがまとまらない場合は裁判に移行して、裁判所が法的根拠を持って離婚の妥当性や慰謝料の有無などを判断します。
裁判では法定離婚事由があることを証明する必要がある
離婚協議や離婚調停では話がまとまらず、離婚裁判にまで発展した場合は妻側が法廷離婚事由があることを証明しなければなりません。
法定離婚事由に該当する行為は、以下を参考にしてください。
法定離婚事由 |
説明 |
不貞行為 |
・不倫に該当する行為
・自由意思を持って配偶者以外の異性と性的関係を持つこと
|
悪意の遺棄 |
・正当な理由がないにも関わらず、夫婦間の協力や同居・扶助などを行わないこと
・生活費を渡さない、家出を定期的に繰り返すなどが該当する
|
配偶者の生死が3年以上不明 |
・何らかの理由で配偶者の生死が3年以上不明の場合
・配偶者の知人などと連絡が取れている場合は該当しない
|
配偶者が強度の精神病で回復の見込みがない |
・配偶者が強度の精神病で回復する見込みがない場合は相互扶助ができないため離婚が認められる
・離婚によって相手の生活が困窮する可能性がある場合、裁判所は離婚を認めないケースもある
|
その他婚姻を継続しがたい重大な自由 |
・上記に該当せずとも、精神的・経済的・身体的な苦痛を伴うケース
・性格が合わない、親族間の不和などが該当する
|
夫の風俗通いが原因で離婚を考える場合、「不貞行為」と「悪意の遺棄」の法定離婚事由に該当する可能性が高いです。
不貞行為とは配偶者以外の第三者と自由意思に基づき性交渉を行う行為を指し、夫婦間の貞操義務に違反する不法行為として、離婚が認められます。
また、以下のようなケースでは、夫が正当な理由がなく夫婦間の協力や扶助を拒んでいるとして「悪意の遺棄」に該当する可能性もあるでしょう。
- 風俗嬢に夢中になり家に帰らず生活費を入れない
- 風俗通いに生活費を使い込んで家庭を経済的に困窮させている
民法では夫婦には同居し協力し合いながら生活する義務があると定められており、この義務を正当な理由なく果たさない行為は、離婚事由となり得ます。
さらに、「不貞行為」や「悪意の遺棄」に該当しなくても、以下のようなケースでは「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とし判断され、離婚が認められる可能性が高いです。
- 夫の風俗通いをやめるように求めても改善が見られない
- 夫の風俗通いによってセックスレスや別居が続いている
特に別居が5年以上続いている場合は、夫婦関係がすでに破綻しているとして離婚が認められやすくなります。
このように夫の行為がどの離婚事由に該当するかを明確にし、具体的な証拠を揃えることが重要です。適切な判断のためにも、離婚問題を扱う弁護士への相談を検討してください。
夫の風俗通いを証明するための証拠
裁判で離婚が認められるためには、夫の風俗通いを証明するための証拠を揃えることが必要です。証拠がなければ夫が事実を否認する可能性もあるため、以下のような証拠を冷静に揃えておきましょう。
- 風俗店の領収書やクレジットカード明細
- 風俗店の会員証やポイントカード
- 風俗店に出入りする姿の写真や動画
- 夫の自白やメール・LINEのやり取り
証拠を集める際には、違法な手段で取得しないよう注意が必要です。例えば、無断で夫のスマホを覗き見ることはプライバシーの侵害になる可能性があります。
そのため、離婚問題専門の探偵事務所や弁護士に相談し、合法的かつ確実な方法で証拠を集めることがおすすめです。
信頼性の高い証拠を揃えることで、離婚裁判を有利に進められる可能性が高まります。
夫の風俗通いで慰謝料請求が困難なケース
夫の風俗通いが発覚しても、以下のようなケースでは慰謝料請求が困難な場合があります。
- 不貞行為の証拠をつかめない
- 風俗の利用が数回程度に過ぎない
- 婚姻関係が既に破綻していた
それでは詳しく見ていきましょう。
不貞行為の証拠をつかめない
夫の風俗通いを理由に慰謝料請求を考えても、不貞行為を証明する証拠がない場合は請求が困難です。慰謝料請求の条件には、不貞行為があったことを示す確かな証拠が必要とされます。
まず、不貞行為は配偶者以外との自由な意思に基づく性交渉を指しますが、風俗店の場合はサービス内容によっては性交渉を伴わないケースもあります。
夫が通っていた風俗がソープランド以外の場合は、性交渉が証明できない限り「不貞行為」と認められず、慰謝料請求の対象にはならない可能性が高いです。
相手の不貞行為を認めさせるには夫が風俗店やホテルに出入りしている写真や動画、または風俗店の領収書や会員証などの具体的な証拠を用意する必要があります。
証拠を掴めない場合は探偵事務所に依頼して調査してもらうことも一つの手段ですが、費用や時間がかかる点は理解しておきましょう。
また、証拠が曖昧なまま慰謝料請求をしても逆に夫から反論される可能性もあるため、確実な証拠が集まるまでは慎重に進めることが大切です。
風俗の利用が数回程度に過ぎない
夫の風俗通いが数回程度であれば、慰謝料請求が認められない可能性があります。慰謝料は夫婦間の信頼を著しく損なう不貞行為に対する損害賠償として認められます。
しかし、風俗の利用が一時的で回数も少ない場合は夫婦関係の破綻にまで至ると判断されにくいです。
夫の風俗利用が数回にとどまる場合でも精神的苦痛を感じる方は多いですが、法的に慰謝料を認めてもらうには利用回数や夫婦関係の状況が重要な判断要素となります。
そのため、慰謝料請求を検討する場合には具体的な証拠の有無や、現在の夫婦関係の状態をしっかりと整理することが大切です。
婚姻関係がすでに破綻していた
夫婦関係が風俗利用以前からすでに破綻していた場合、慰謝料の請求は難しくなります。主に以下のようなケースは、婚姻関係がすでに破綻しているとして慰謝料の請求が認められにくいです。
- 長期間の別居やセックスレス
- 夫婦間の会話がなく愛情が完全に冷め切っている
- 一方が家庭の役割や義務を放棄している
- 夫婦間で暴力や精神的虐待がある
- 互いに修復の意思がないと認められる
上記のようなケースでは、裁判所は「夫婦の共同生活の平和を維持する権利がすでに存在していない」と判断する可能性が高いでしょう。
そのため、夫が風俗を利用したとしてもそれが夫婦関係の破綻原因とは認定されず、不貞行為としての慰謝料は認められにくくなります。
風俗通いを原因とする慰謝料の相場は100万〜300万円
風俗通いを原因とする慰謝料の相場は100万~300万円程度とされています。
ただし、風俗通いが原因による性病感染や暴力など、不貞行為以上の精神的あるいは肉体的苦痛を味わった場合はより高額になるケースもあります。
また、逆に風俗通いが1回のみの場合など常習性が低い際には、慰謝料の減額や離婚そのものが認められない可能性が高いです。
風俗通いによる慰謝料相場は不倫より低い傾向
風俗通いによる慰謝料は、一般的な不倫の場合の慰謝料と比べて低い傾向にあります。
理由としては、風俗通いが金銭を支払い提供されるサービスであり、通常の不貞行為に比べて夫婦間の信頼を裏切る精神的苦痛が比較的少ないと判断されるためです。
不倫では自由意思に基づいて継続的な関係が築かれるため、婚姻関係への影響が大きく、慰謝料が高額になりやすいです。
しかし、風俗店の場合はあくまでサービスの一環であり、夫婦関係の破綻が直接的でないと見なされることが多く、慰謝料の相場は100万~300万円程度にとどまるケースが目立ちます。
ただし、風俗通いが頻繁に行われている場合や、家計に負担をかけるほど大きな金額を費やしている場合は増額されます。
例えば、以下のような場合は家庭に与える影響は重大と判断され、慰謝料が増額される可能性が高いです。
- 風俗通いが原因で借金を作った
- 生活費を削って通い続けた
- 風俗通いが原因でセックスレスになった
- 風俗通いを理由に長期の別居に発展した
- 約束を破られるなど精神的苦痛を受けた
慰謝料の金額は風俗通いの回数や夫婦関係への影響、家庭への経済的な負担の大きさなど、さまざまな要素を考慮して決定されます。
風俗通いで慰謝料の請求が認められた裁判事例
ここからは、実際に夫の風俗通いが原因で慰謝料請求が認められた裁判事例を紹介します。
- 夫の風俗通いで2回性病を移されたケース【慰謝料250万円】
- 風俗店に入り浸って家庭を顧みなかったケース【慰謝料500万円】
なかには相場を大きく上回る慰謝料請求が認められているケースもあるので、参考にしてください。
夫の風俗通いで2回性病を移されたケース【慰謝料250万円】
平成22年2月5日の判例では、夫の風俗通いや不倫が原因で妻が性病を2回感染させられたことによる精神的苦痛の大きさが認められ、東京地裁から慰謝料250万円の支払いが命じられています。
この事例では、夫の暴力や深夜帰宅など複数の問題行為が重なり、妻の苦痛が深刻なものであると判断されています。
妻が詳細な日記や通院記録を証拠として提出したため、性病や暴力の事実が認められ、夫の風俗通いが家庭内に深刻な影響を及ぼしていることが明らかになったのです。
裁判所は上記の証拠のほか、約5年間の婚姻期間や子供の存在も考慮して夫の行為が婚姻共同生活の平和を著しく害するものであると認定しています。
本事例からも分かるように風俗通いが原因で性病感染という具体的な被害が発生し、証明する証拠が揃っている場合は高額な慰謝料請求が認められる可能性が高まります。
裁判では日記や通院記録といった証拠が非常に重要となるため、被害を受けた場合には冷静に記録を残しておくことが大切です。
風俗店に入り浸って家庭を顧みなかったケース【慰謝料500万円】
東京地方裁判所平成16年6月17日の判決では夫が風俗店に入り浸り、家庭を完全に顧みなかったことが原因で500万円という高額な慰謝料が認められました。
具体的には夫は子供のために貯めていた150万円の貯金や、夫婦の定期預金550万円を無断で使い果たし、さらに生命保険を解約して返戻金約100万円を受け取るという行為に及んでいます。
その後、夫は一方的に家を出て所在不明となり、妻や子供の生活は経済的に困窮することとなりました。
裁判所は夫の風俗店通いが単なる一時的なものではなく、婚姻共同生活を破壊し、夫婦関係の完全な破綻を招いたと判断しています。
これに加え、経済的な損失と妻の精神的苦痛が非常に大きいとして、慰謝料500万円が相当であると結論づけました。
上記ケースのように風俗通いに加えて家庭崩壊を引き起こすほどの経済的・精神的被害が認められた場合、慰謝料は高額になる傾向があります。
夫の行動が悪質であるほど裁判所は妻側の精神的苦痛を重く受け止め、慰謝料額に反映することがあるのです。
風俗通いで慰謝料が増額されるケース
風俗通いによる離婚で慰謝料が増額されるケースには、以下があげられます。
- 風俗に通う回数が多く、期間も長い
- お客と風俗嬢の関係を超えている
- 風俗に行かないと約束をしたが破られた
- 生活費を風俗通いに使い込んだ
それぞれ詳しく解説します。
風俗に通う回数が多く、期間も長い
夫が風俗に通う回数が多く、利用期間が長い場合、慰謝料が増額される可能性があります。
不倫の場合と同様に不貞行為が継続的に行われているケースでは、妻側の精神的苦痛が大きくなるためです。
例えば、夫が数ヶ月または数年にわたり風俗に通い続けていた場合、妻にとっては繰り返し裏切られ続けることとなり、信頼関係の崩壊が深刻になります。
また、風俗に通う回数が多いことは婚姻生活を軽視しているという見方をされ、婚姻関係に対する誠意が欠如していると判断される可能性が高いです。
夫が頻繁に風俗に通っている証拠が揃っていれば、慰謝料額の増額が認められることがあります。
お客と風俗嬢の関係を超えている
夫と風俗嬢が客とサービス提供者の関係を超えた関係を築いている場合、慰謝料が増額される可能性が高まります。
風俗店でのサービス利用にとどまらずプライベートで会うなど、継続的な肉体関係や親密な関係が認められると、これは不貞行為として通常の不倫と同様に扱われるためです。
夫が風俗嬢と店外でデートや性交渉を行っていたり、金銭のやり取りを超えて関係が継続している場合は風俗利用だけでなく、不倫分も上乗せした慰謝料請求が認められる可能性があるでしょう。
ただし、不貞行為を認めさせるには、証拠の確保が重要です。夫が自ら関係を白状した場合はその発言を録音しておくか、何らかの書面に記録させることが大切です。
また、メールやLINEのやり取り、探偵の調査報告書も有力な証拠となります。証拠が揃えば裁判でも不貞行為と認められ、より慰謝料請求が認められやすくなるでしょう。
風俗通いだけでなく不倫として不貞行為が認められる場合は、風俗嬢側に対しても慰謝料を請求できる可能性があるので証拠はしっかり掴んでおくことが大切です。
風俗に行かないと約束をしたが破られた
夫の風俗通いが一度発覚し「もう二度と行かない」と約束をしたにも関わらず再び破った場合、妻に与える精神的苦痛は非常に大きく、慰謝料が増額される可能性があります。
ただし、裁判で増額を認めてもらうためには、二度と行かないと約束した証拠が必要です。念の為、書面により二度と風俗に行かない旨を書いてもらうようにしましょう。
書面があることで「約束の存在」と「その破棄」が証拠として認定されやすく、慰謝料の増額が認められる可能性が高まります。
夫の約束破りが繰り返されればその行為は悪質性が高いと見なされ、さらに増額が認められる場合もあるでしょう。
生活費を風俗通いに使い込んだ
夫が風俗通いに生活費を使い込んだ場合、慰謝料の増額が認められる可能性が高まります。
風俗店の利用は決して安価ではなく、定期的に通えばお小遣いの範囲を超えて家庭の経済状況に大きな悪影響を与えることも少なくありません。
法律上、婚姻費用は夫婦が共同生活を営むために分担すべきものとされています。そのため、大切な生活費を勝手に風俗通いに使い込む行為は、婚姻費用を横領しているのと同じと見なされる可能性が高いです。
特に夫の風俗通いによって生活費が不足して、家賃の滞納などの被害が出ている場合は、妻の精神的苦痛が大きいと判断されやすく慰謝料が高額になる傾向があります。
経済的な困窮の証拠として、銀行の引き落とし履歴や生活費の不足がわかる記録などを備えることが重要です。
夫の風俗通いによって家族が経済的に困窮した場合は悪質性が高く、慰謝料の請求や離婚が認められやすくなるでしょう。
風俗通いで慰謝料が減額されるケース
夫が風俗に行っていたことが事実でも、以下のケースでは慰謝料が減額されるケースもあります。
- 風俗に通ったのは1度だけ
- 妻が夫からの性交渉を拒み、セックスレスが長期化
- 妻が夫に「風俗に行ってもいい」と発言した
それぞれのケースを詳しく解説します。
風俗に通ったのは1度だけ
夫が風俗に通った回数が1度だけの場合、裁判所では婚姻関係が完全に破綻しているとは判断されにくいです。
そのため慰謝料請求が認められない、もしくは認められても減額される可能性が高くなります。
特に夫が反省して誠実に謝罪している場合は、裁判所が婚姻関係の修復を促す立場を取ることもあります。
「一度きりの過ちだった」と主張して裏付けとなる証拠がある場合は、慰謝料の請求はさらに厳しくなるでしょう。
ただし、1度の風俗通いであっても妻が強い精神的苦痛を受けた事実がある場合は、少額の慰謝料が認められることもあります。
慰謝料請求を検討する場合には具体的な状況や夫婦関係の状態を整理し、弁護士に相談することが大切です。
夫からの性交渉を拒み、セックスレスが長期化
夫の風俗通いの原因がセックスレスの長期化にあるケースでは、慰謝料が減額される場合があります。
特に妻が夫からの性交渉を拒み続け、夫が欲求の解消のために風俗店に通い始めたという状況では慰謝料請求が認められにくくなる可能性が高いです。
法律上、夫婦には同居・協力・扶助の義務があり、性的関係もその一つと見なされることがあります。
夫婦間のセックスレスが長期間続き夫が精神的に追い詰められた末の行動であれば、裁判所も夫の行為に一定の理解を示すケースがあるのです。
また、夫が風俗通いをセックスレス解消の手段として利用したことが明らかで妻側にも一定の責任があると判断された場合、慰謝料請求自体が棄却されることもあります。
妻が夫に「風俗に行ってもいい」と発言した
妻が夫に対して「風俗に行ってもいい」と発言していた場合は夫の風俗通いを容認する意思表示と受け取られるため、慰謝料の減額が認められる可能性があります。
たとえ軽い冗談やその場しのぎの発言であったとしても、夫がそれを真に受けて行動に移した場合、裁判では「妻の発言にも落ち度があった」と判断される可能性が高いです。
特にその発言が録音やメッセージ履歴などの形で証拠として残っている場合は、夫側の主張が強まり慰謝料の請求が難しくなるでしょう。
ただし、実際の裁判では発言した前後の状況や夫婦関係の状態も考慮されます。
例えば、妻がやむを得ず発言した背景や、夫の風俗通いが頻繁で家庭に悪影響を及ぼした場合には、慰謝料が認められるケースもあるでしょう。
慰謝料の支払額は妻の発言の意図や精神的苦痛、夫側の事情なども考慮された上で慎重に決定されます。
浮気や不倫で離婚する際の慰謝料相場については、下記記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
風俗嬢に対しては原則慰謝料を請求できない
風俗嬢に対して慰謝料を請求することは原則難しいです。なぜなら、風俗嬢は業務として性的サービスを提供しており、それはあくまで「商取引の一環」と見なされるからです。
ただし、例外として夫と風俗嬢が店舗外で関係を持った場合には、風俗嬢側も不貞行為として認められる可能性があります。
風俗店を通さずにプライベートで性交渉や性交類似行為を行っていた場合、その関係は通常の不倫と同様に扱われます。
夫と風俗嬢が店外で会っていたことを示すLINEのやり取りや写真、夫が自白した録音などがあれば、風俗嬢に対しても責任を追及することが可能です。
風俗通いをする夫に慰謝料を請求する流れ
風俗通いをする夫に慰謝料を請求する流れは以下のとおりです。
- 裏付けるための証拠を集める
- 夫と話し合い慰謝料を請求する
- 話し合いがまとまらないときは離婚調停を申し立てる
慰謝料請求するまでの流れを段階的に解説しているので参考にしてください。
1.裏付けるための証拠を集める
夫の風俗通いに対して慰謝料を請求するには、確実な証拠を集めることが重要です。証拠がない場合、夫が風俗通いを否定して慰謝料請求が認められない可能性が高まります。
夫の風俗通いを裏付ける証拠の例は、以下のとおりです。
- 風俗店の領収書やクレジットカード明細
- 風俗店の会員証やポイントカード
- 夫が風俗店に出入りしている写真や動画
- 夫の自白や会話の録音データ
- LINEやメールでの風俗店利用のやり取り
これらの証拠は風俗通いの事実を具体的に裏付けるものとして有効です。
例えば、領収書やクレジットカード明細は利用した店舗名や金額が明確に示されており、風俗通いを立証するための強力な裏付けとなります。さらに会員証やポイントカードがあれば、夫が風俗店に継続的に通っていた可能性を追求できるでしょう。
また、探偵に依頼して夫が風俗店に出入りする写真や動画を記録することで、客観的かつ確実な証拠を得ることも可能です。
夫の自白や会話の録音、LINEやメールでのやり取りもあれば、盤石な状態で裁判に臨めるでしょう。
ただし、自分のスマホから配偶者のLINEアカウントにアクセスするなどの違法な手段での証拠収集はかえって自分自身を不利にするケースもあるため、必要に応じて弁護士や専門家に相談しながら進めることが大切です。
2.夫と話し合い慰謝料を請求する
夫の風俗通いに対する証拠が集まったら、話し合いを通じて慰謝料を請求します。
話し合いであれば裁判のように相場通りではなく、夫婦の状況に応じて柔軟に慰謝料の金額を決定することが可能です。
なお、話し合いの中で夫が風俗通いや妻の慰謝料請求を認める場合は、当事者同士の合意内容を書面に残すことが重要です。
特に今後のトラブルを防ぐために慰謝料の支払い方法や金額について公正証書として残しておけば、法的効力を持たせられます。
万が一、夫が慰謝料の支払いを怠った場合でも、強制執行が可能となるため確実に慰謝料の取り立てが可能です。
3.話し合いがまとまらないときは離婚調停を申し立てる
夫との話し合いで慰謝料や離婚の合意が得られない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
離婚調停とは夫婦間の直接の話し合いではなく、調停委員が中立の立場で間に入り、双方の意見を聞きながら話し合いを進める制度です。
慰謝料の金額や支払い方法、離婚の条件について、家庭の状況や夫の風俗通いの事実を基に調整を行います。
夫婦だけでは解決が難しい問題でも、第三者が入ることで冷静かつ公平に話し合いを進めやすくなるでしょう。
ただし、調停が不成立に終わった場合は、離婚訴訟や慰謝料請求訴訟を起こす必要があります。
訴訟になると裁判所が証拠を基に判断を下すため、風俗通いの証拠や夫婦関係の破綻を示す資料をしっかり揃えておくことが重要です。
調停や訴訟は時間や費用がかかるため、事前に弁護士へ相談し、確実に進めることをおすすめします。
風俗通いで慰謝料請求をする場合は弁護士に依頼するのが最適
夫の風俗通いを理由に慰謝料を請求する場合、弁護士に依頼することが最適な方法です。
自分だけで証拠を集めたり夫との話し合いで慰謝料を支払ってもらうことは、精神的にも難しく現実的ではありません。
弁護士に依頼すれば夫に内容証明郵便を送付してくれ、法的に強い意思表示ができるため、夫の態度が変わることもあります。
また、話し合いがまとまらず調停や裁判に進む場合でも、弁護士が代理人として手続きを進めてくれるので安心です。
さらに、弁護士は慰謝料請求に必要な証拠の収集方法や有効な証拠の揃え方についても適切なアドバイスを行ってくれます。
風俗通いの証拠を確実に集める手段なども教えてもらえるので、法的に有利に進められる可能性が高いでしょう。
一人で抱え込まず、早い段階で弁護士に相談し介入してもらうことが、慰謝料請求や離婚問題を解決するための確実なステップです。
不倫の慰謝料請求を依頼する弁護士の選び方は、次の記事で詳しく解説しています。
また、自分で不倫の慰謝料請求をする場合は、下記の記事が参考になるでしょう。
まとめ
今回は夫の風俗通いに対する慰謝料請求を解説しました。
結論、夫の風俗通いに対してはソープランドの場合は不貞行為として認められ、慰謝料請求できる可能性が高いです。
しかし、ソープランド以外の性交渉を前提としないサービスでは、不貞行為と認められるかどうかは弁護士内でも判断が分かれるところです。
家庭への影響や精神的な苦痛の大きさによっても変わるため、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
また、以下のようなケースでは慰謝料が増額される可能性もあります。
- 風俗に通う回数が多く、期間も長い
- お客と風俗嬢の関係を超えている
- 風俗に行かないと約束をしたが破られた
- 生活費を風俗通いに使い込んだ
これらの状況が確定しており証拠も抑えられる場合は、相場よりも多くの慰謝料を請求可能です。
ただし、法的な知識がないまま証拠を手に入れるのは、自分自身がプライバシーの侵害など法律違反を犯してしまう危険性もあります。
弁護士に相談することで法律違反せずに証拠を集めるアドバイスが得られます。様々な手続きなども全て代行してくれるので、心強い味方になってくれるでしょう。
無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに弁護士にご相談を
- 北海道・東北
-
- 関東
-
- 東海
-
- 関西
-
- 北陸・甲信越
-
- 中国・四国
-
- 九州・沖縄
-