【ケース別で解説!】慰謝料を支払ってくれない浮気相手への対処法
浮気相手が慰謝料を支払わないときは、以下2つのケースが考えられます。
- 浮気相手が慰謝料を支払う意思はあるがお金がない
- 浮気相手に慰謝料を支払う意思が見られない
浮気相手がどのような態度を取っているのかにより、対処法が異なります。
次の項目から、ケース別に慰謝料を支払ってくれない浮気相手への対処法を詳しく見ていきましょう。
浮気相手が慰謝料を支払う意思はあるがお金がない場合
浮気相手は慰謝料を支払う意思を見せているものの、お金がなくすぐに支払えないパターンは多いです。
たとえば浮気相手が学生や新社会人などの場合、慰謝料を支払えるだけの経済力がなく、支払いができないと言われることもあります。
しかし、浮気の慰謝料は不法行為の責任であるため、お金がないという理由で支払いが免除されることはありません。
浮気相手の経済力が原因で支払いがされない場合、慰謝料の減額または分割の提案で対処しましょう。それぞれの対処法について詳しく解説します。
慰謝料を減額して支払わせる
慰謝料の請求額を一括で支払う資力がないという場合、減額することで支払ってもらえる可能性があります。
たとえば200万円の慰謝料を請求し、相手が「150万円なら払える」と言ってきた場合、提案通りの金額にすれば一括で支払ってもらえるでしょう。
満額を請求したい場合は分割払いの方が良いのですが、金額が大きいと相手が将来的に支払いを延滞するかもしれません。
減額すると慰謝料金額は少なくなるものの、一括で支払ってもらった方がリスクは抑えられます。
また、慰謝料を一括で支払ってもらえれば、浮気相手と関わる期間を最小限に抑えられるという点もメリットです。
慰謝料を一括で支払ってもらいたい場合やリスクを避けたい場合は、減額を検討してみてください。
なお、減額の幅をどの程度にするのかは、弁護士に判断を仰ぎましょう。弁護士に相談すれば、状況に応じた適切な金額を提案してもらえます。
分割払いを提案する
浮気相手がまとまったお金を所有していない場合、分割払いを提案しましょう。
すぐにお金を用意するのは難しくても、月5万円〜10万円など、分割で少しずつの支払いなら相手が合意するケースもあります。
ただし、分割払いにすると相手が将来的に支払いから逃げる可能性がある点には注意が必要です。
分割払いを提案する場合、弁護士に依頼して公正証書を作成してもらいましょう。
公正証書とは、公証人の立会いのもとで作成される書面のことです。
公正証書には法的効力があるため、慰謝料が支払われなかったときに裁判を起こさず強制執行による財産の差し押さえができます。
また「支払いが遅れたときに遅延損害金が発生する」と取り決めておけば、浮気相手が支払いを滞納するリスクを抑えられます。
分割払いを提案する場合、将来的なリスクを最小限に抑えるためにも、公正証書を必ず作成してください。
浮気相手に慰謝料を支払う意思が見られない場合
浮気相手に慰謝料を支払う意思が見られない場合、浮気の事実を認めていなかったり、無視していれば逃げられると考えていたりする可能性があります。
慰謝料を支払う姿勢を浮気相手が見せない場合、以下のような対処法を取りましょう。
- 浮気の証拠を提示する
- 内容証明を使って慰謝料の催促をする
- 慰謝料請求の裁判を起こす
- 差し押さえで取り立てる
それぞれの対処法について、次の項目から詳しく解説します。
浮気を認めない場合は証拠を提示する
相手が浮気を認めず慰謝料の支払いを拒否している場合、決定的な証拠を提示しましょう。
証拠を提示すれば浮気を認めざるを得ない状況になり、相手が慰謝料の支払いに応じる可能性があります。
浮気の決定的な証拠となるものの例は、以下のとおりです。
- ホテルに出入りしている写真・動画
- 性行為の写真・動画
- 会話の録音データ
- メッセージやメールのやり取り
- SNSの投稿
- 探偵事務所の調査報告書
浮気相手に慰謝料を支払わせるためには、配偶者と肉体関係を持っていたことがわかる証拠が必要です。
複数の証拠を提示し、相手が言い逃れできない状況を作りましょう。
内容証明を使って慰謝料の催促をする
相手が慰謝料請求を無視している場合、内容証明を送付して慰謝料の催促をしましょう。
内容証明とは、送付した事実や日付、内容などを証明するための郵便です。
内容証明に記載されている内容に従う義務はないものの、浮気相手が事態の大きさを認識することにより、慰謝料を自主的に支払う可能性があります。
なお、内容証明の送付は自分でもできますが、弁護士に依頼することにより、相手が慰謝料を支払う確率が高くなります。
内容証明に弁護士の名前が入っていると、浮気相手が「裁判になるのではないか」と精神的プレッシャーを感じることが予想されるためです。
浮気相手が無視で逃げようとしているときは、内容証明でプレッシャーを与えましょう。
慰謝料請求の裁判を起こす
内容証明を送っても相手が慰謝料請求に応じない場合、裁判を起こして慰謝料を請求しましょう。
裁判を起こすと、浮気相手に訴状と第1回口頭弁論期日の通知が届きます。
もしも裁判を無視した場合、原告の主張がすべて認められることになるため、裁判所から浮気相手に慰謝料の支払いが命じられます。
そのため、裁判にまで発展すると、相手は必然的に無視ができません。
裁判になると弁護士費用も高額にはなるものの、決定的な証拠さえあれば、高確率で慰謝料の請求に成功します。
浮気相手が慰謝料請求に頑として対応しないときは、裁判を起こして判決により慰謝料を支払わせましょう。
注意点として、慰謝料の請求額によっては弁護士費用の方が慰謝料金額を上回り、結果的にマイナスになってしまう可能性があります。そのため、裁判を起こすかどうかは、弁護士から見積もりを取ったうえで慎重に判断しましょう。
【最終手段】差し押さえで取り立てる
裁判による判決で慰謝料請求の命令が下ったにもかかわらず、相手が支払いを無視するケースもあります。
浮気相手が判決を無視した場合、強制執行の申し立てをして財産を差し押さえましょう。
強制執行とは、相手の財産を国が強制的に差し押さえる手続きのことです。
主に給与や預貯金、不動産、車などが差し押さえられ、その中から慰謝料が支払われる形になります。
強制執行によって給与が差し押さえられると、勤務先や家族に不倫の事実が発覚します。そのため、強制執行が実行される前に慰謝料の支払いに応じる人が大半です。
しかし、中には裁判の判決を無視する人も存在するため、慰謝料が支払われないときの最終手段として、強制執行による回収ができることを把握しておきましょう。
慰謝料を払わない浮気相手へのNG行動
浮気相手が慰謝料を支払わないときは、以下のような行動を取らないように注意しましょう。
- 未払いの放置
- 浮気相手の職場・自宅に押しかけて罵倒する
- SNSなどで誹謗中傷する
- 浮気相手の両親・兄弟などに慰謝料請求をする
NG行動を取ると、浮気相手から慰謝料の請求ができなくなる可能性があります。それぞれのNG行動について紹介します。
未払いの放置
浮気相手が慰謝料を無視しているとき、未払いのまま放置すると時効期限が過ぎる恐れがあります。
先述したとおり、慰謝料請求の時効は不貞行為の事実や浮気相手が判明した日から3年です。
慰謝料を請求した後、未払いのまま3年間が経過すると、時効が切れて慰謝料をもらうことができなくなります。
また、未払いの状態で長く放置していると、浮気相手が引っ越しをして行方をくらませる可能性もあります。
浮気相手が慰謝料を支払わないときは、弁護士に相談して内容証明を送ったり裁判を起こしたり、適切な対処を取るようにしてください。
浮気相手の職場・自宅に押しかけて罵倒する
慰謝料を払わない浮気相手に対して腹が立っていたとしても、職場や自宅に押しかけて罵倒するような行為はやめておきましょう。
たとえば勝手に職場に押し入って「自分の配偶者と浮気した」と吹聴すれば、不法侵入や名誉棄損などの罪に問われる可能性があります。
違法行為によってこちらが加害者となり、反対に相手から訴えられてしまうかもしれません。
浮気相手の職場や自宅に押しかけて罵倒しても自分が不利になるだけなので、正当な方法で慰謝料を請求しましょう。
SNSなどで誹謗中傷する
SNSなどで浮気相手を誹謗中傷すると、名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪などの罪に問われる恐れがあります。
たとえばSNSで浮気相手と配偶者の関係性を詳細に投稿し、社会的に追い詰めようとする行為などが該当します。
投稿した内容が事実であったとしても、公然と相手の社会的評価を下げたとして名誉棄損罪が成立する可能性が高いです。
浮気相手から慰謝料を請求される恐れもあるため、SNSや掲示板などでの誹謗中傷は絶対にやめましょう。
浮気相手の両親・兄弟などに慰謝料請求をする
浮気相手が慰謝料を払わないからといって、相手の両親や兄弟に慰謝料を請求しても解決にはつながりません。
不貞行為の責任はあくまでも当事者が負うものであり、両親や兄弟に慰謝料を支払う義務はないからです。
慰謝料の支払い義務がない人に請求をすると、不当請求や恐喝罪と見なされる恐れがあります。
浮気相手の両親や兄弟などには決して慰謝料請求をせず、支払われないときは裁判や強制執行などの手続きを踏んで回収しましょう。
【ケース別】浮気相手が慰謝料を支払わない理由
浮気相手が慰謝料を支払わないときは、以下のような理由があると考えられます。
- お金がなくて慰謝料を支払えない
- 浮気相手側の弁護士に「支払う必要はない」と言われている
- 既婚者とは知ら図に付き合っていたため
- 無理やり誘われたと主張している・考えているため
- 夫婦生活が破綻していると聞いていたため
- 風俗店に勤務しているに過ぎないと主張しているため
- 慰謝料請求を甘く見ているため
- そもそも本当に浮気の事実がなかった
ケース別に、浮気相手が慰謝料を支払わない理由を詳しく解説します。
お金がなくて慰謝料を支払えない
慰謝料を支払う意思はあるものの、お金がなくて支払いができないケースは多くみられます。
たとえば浮気相手が大学生だったり、一人暮らしを始めたばかりの新社会人だったりする場合、まとまったお金を持っていない可能性が高いです。
一定の収入や資産を持っていても、生活費やローンの返済に追われており、慰謝料に回すお金がないというパターンもあります。
浮気相手から「お金がなくて支払えない」と言われた場合は、減額や分割払いなどで対処しましょう。
なかには「お金がない」と嘘をつき、慰謝料の支払いから逃れようとする浮気相手も存在します。
しかし、浮気相手が本当に支払う意思があってもお金を持っていない場合は、慰謝料を支払う誠意を見せるために、分割払いや期日延長などを提案してくるはずです。
そのため、浮気相手が分割払いや期日延長などを提案してきたときは、前向きに検討してみてください。
お金がないというのは、慰謝料を支払わなくても良い理由にはならないため、泣き寝入りする必要はありません。
浮気相手側の弁護士に「支払う必要はない」と言われている
浮気相手が弁護士に相談をしており、「慰謝料を支払う必要はない」と言われているケースも考えられます。
仮に浮気相手が都合の良い事実や嘘の話を弁護士に伝えたのであれば、支払う義務がないと判断される可能性はあるでしょう。
しかし、不貞行為が事実で証拠も押さえているのであれば、浮気相手は慰謝料を支払う必要があります。
浮気相手が弁護士をつけて慰謝料の支払いを拒否してきた場合、こちらも弁護士を通して対処しましょう。
既婚者とは知らずに付き合っていたため
配偶者が既婚者とは知らずに関係を持ったと主張し、慰謝料の支払いを拒否するケースもあります。
浮気相手に慰謝料を請求するためには、故意または過失がなければいけません。
もしも配偶者が独身と偽って浮気をしていた場合、故意による不貞行為ではなかったと判断されます。
ただし注意すれば配偶者だと気付けるような状況だったのであれば、浮気相手に過失があったと見なされ、慰謝料の請求が可能です。
たとえば浮気相手と配偶者が同じ職場である場合や、共通の知人がいる場合、既婚者だと知る機会はあったといえるでしょう。
浮気相手が「既婚者とは知らなかった」と主張していたとしても、故意や過失があれば慰謝料を請求できます。
無理やり誘われたと主張している・考えているため
浮気相手が「配偶者に無理やり誘われた」と主張しており、自分には非がないとして慰謝料請求を拒否するケースもあります。
仮に配偶者が脅迫や暴行などの手段で肉体関係を持った場合、相手の主張が認められるため、慰謝料請求はできません。
しかし「配偶者から半ば強引に誘われた」という程度であれば、自由意思で肉体関係を持ったと見なされます。配偶者からの誘いを、断ろうと思えば断れる状況だったのかどうかが判断ポイントです。
また、浮気相手が慰謝料請求から逃れるために嘘をついている可能性もあります。
相手が無理やり誘われたと主張している場合、自由意思で肉体関係を持ったことがわかる証拠を集めましょう。
たとえば親密なやり取りのメッセージや音声、ホテルに複数回出入りしている写真などが有効です。
夫婦生活が破綻していると聞いていたため
浮気相手は配偶者から「夫婦生活が破綻している」と聞いており、慰謝料を支払う義務はないと考えているケースもあります。
夫婦生活の破綻が事実であるならば、浮気相手の慰謝料請求はできません。たとえば長年別居していたり、離婚届を出す話がまとまっていたりする場合などです。
しかし、夫婦生活が破綻していなかったのであれば、浮気相手に慰謝料の請求ができます。
もしも配偶者が嘘をついていたとしても、根拠のない話を安易に信じたとして、浮気相手の過失となる可能性が高いです。
風俗店に勤務しているに過ぎないと主張しているため
浮気相手が風俗店やキャバクラ店に勤務しているため「仕事に過ぎない」と考えている・主張している場合は慰謝料請求に応じない可能性があります。
ただし、業務以上の私的な関係を持っていると言う十分な証拠がある場合には、慰謝料を支払わせることができます。
例えば、対価を受け取っていたとしても店舗外で性的な行為をしていたり、店のサービス外で私的にやり取りをして性的な行為をしていた場合は「仕事を離れて性的関係を持った」と判断され、慰謝料請求ができる可能性が高いので、浮気相手が「風俗店に勤務しているに過ぎない」と主張している場合でも、慰謝料について弁護士に相談しながら冷静に対応するようにしましょう。
慰謝料請求を甘く見ているため
慰謝料請求を自分だけで行なっていたり、弁護士に依頼していても示談で済ませようとしている場合には「裁判にまではならないだろう」と、浮気相手が慰謝料請求を甘くみている場合があります。
また、十分な証拠を示していない場合も浮気相手が慰謝料請求を甘くみることがあるでしょう。
慰謝料請求を行う際は、証拠をしっかり示しながら、期日までに支払わない場合は裁判に発展する可能性もあることを示唆することで、浮気相手を「はじめから慰謝料をしっかり支払おう」という気持ちにさせることができる可能性があります。
そもそも本当に浮気の事実がなかったため
浮気相手が慰謝料の支払いを拒否するときは、そもそも浮気の事実がなかったというケースもあります。
不貞行為で慰謝料請求をするためには、肉体関係があったことを客観的に証明しなければなりません。
相手と配偶者の間に肉体関係がなく、単純に2人で会っていただけだった場合、慰謝料の請求はできません。
浮気相手への慰謝料請求は、決定的な証拠を揃えてからにしましょう。
浮気相手に慰謝料請求ができるケース
浮気相手に慰謝料を請求する際には、以下のポイントに当てはまるかどうかをチェックしましょう。
- 肉体関係があった
- 浮気相手の自由意思で性交渉をした
- 浮気相手に故意や過失があった
- 浮気が原因で夫婦関係が破壊されたと言う証拠がある
次の項目から、浮気相手に慰謝料請求ができるケースについて詳しく解説します。
肉体関係があった
浮気による慰謝料請求をするためには、配偶者と浮気相手の間に肉体関係があったかどうかを確認する必要があります。
民法で定められている不貞行為の定義は「配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと」とされているからです。
そのため、単純に食事に行ったりデートをしていたりするだけなのであれば、不貞行為とは認められず、慰謝料請求も難しくなります。
浮気相手との肉体関係を示す決定的な証拠は、ホテルに2人で出入りしている写真や性行為の動画などです。
配偶者と浮気相手の間に肉体関係があったことを客観的に証明できれば、慰謝料の請求が認められやすくなります。
浮気相手の自由意思で性交渉をした
浮気相手に慰謝料を請求する際には、浮気相手の自由意思で性交渉をしたかどうかが重要です。
たとえば配偶者が既婚者ということを知りながら、自分の意思で肉体関係を持ったのであれば、自由意思に当たります。
仮に相手から強引な誘いを受けて関係を持ったとしても、最終的に性交渉に合意したのは自分自身なので、自由意思で性交渉をしたことになります。
浮気相手が乗り気であったかどうかにかかわらず、自由意思で性交渉をしたのであれば、慰謝料の請求が可能です。
浮気相手に故意や過失があった
浮気相手に慰謝料を請求するときには、故意や過失があったかどうかも重要視されます。
不貞行為の故意とは、既婚者だと知っていたにもかかわらず関係を持つことです。
もしも相手から既婚者だと直接聞いていなかったとしても、職場が同じなど既婚者であることが周知の事実だった場合、故意に不貞行為に及んだと判断されます。
不貞行為の過失とは、注意すれば相手が既婚者であることを知る機会があったにもかかわらず、不注意によって気付かなかったことを意味します。
たとえば頑なに家に招いてもらえなかったり、平日の夜や土日は電話ができなかったりする場合などです。
配偶者が独身だと偽って関係を持っていたとしても、不自然な点に気付けなかった過失として慰謝料の請求ができます。
浮気が原因で夫婦関係が破壊されたと言う証拠がある
浮気が原因で夫婦関係が破壊されたのかどうかも、慰謝料請求をするうえで重要なポイントです。
夫婦関係がもともと円満であった場合、浮気によって家庭環境が大きく変わったとして、高額の慰謝料請求ができる可能性が高くなります。
反対に夫婦関係が険悪である場合には、浮気相手が与えた影響は少なかったとして、慰謝料が少なくなる傾向にあります。
また長期間にわたり別居していたり、夫婦ともに離婚の意思を持っていたりなど、すでに夫婦関係が破綻している場合は慰謝料の請求自体ができません。
浮気相手に慰謝料を請求できるのは、あくまでも夫婦関係を壊されたときに限られます。
慰謝料請求をしても回収できないケース
配偶者が浮気していたからといって、必ずしも慰謝料請求ができるわけではありません。
浮気相手に慰謝料請求ができないケースは以下のとおりです。
- 証拠がない
- 時効期限が過ぎている
- 浮気相手に故意や過失がない
- 浮気相手に自由意思がない
- 既に慰謝料を受け取っている
- 浮気が発覚する前から夫婦関係が破綻していた
それぞれのケースについて、それぞれ詳しく解説します。
証拠がない
浮気相手と配偶者が肉体関係を持っていたことの証拠がない場合、慰謝料の請求は難しいです。
証拠がない状態で慰謝料請求をすると、浮気相手に「不倫をしていない」と反論される恐れがあります。
証拠がなく浮気相手も不倫を認めないとなると、相手の不貞を追及できません。
裁判では証拠に基づいて判決が下されるため、証拠が全くなければ慰謝料請求は困難になると考えましょう。
浮気相手に慰謝料請求をする際は、必ず証拠集めを先に行ってください。
不倫の証拠となるものの例は以下のとおりです。
- ホテルに出入りしている写真・動画
- 性行為の写真・動画
- 肉体関係を持っていたとわかるメールのやり取り
- 不倫を自白した音声データ
- 宿泊したことがわかるSNSの投稿
- 探偵会社の調査報告書
とくに写真や動画、音声データなどは決定的な証拠になりやすいです。徹底的に証拠集めをしたうえで浮気相手に慰謝料を請求しましょう。
時効期限が過ぎている
慰謝料の請求には時効が設けられている点に注意が必要です。不貞行為の慰謝料の時効には、主に以下の2種類があります。
- 消滅時効:不貞行為があったことを知った日から3年
- 除斥期間:不貞行為があった日から20年
慰謝料請求の時効は、原則として消滅時効の3年です。不倫の事実や浮気相手が判明してから3年以内に慰謝料を請求しなければ、慰謝料請求権が消失します。
一方の除斥期間は、不貞行為に気付かなかったり浮気相手の特定に時間がかかったりした場合に、被害者が不利益を被らないための制度です。
たとえば不貞行為があったのが10年前だとしても、浮気相手が判明してから3年以内であれば、慰謝料は請求できます。
消滅時効や除斥期間が過ぎる前に、浮気相手に慰謝料を請求しましょう。
浮気相手に故意や過失がない
浮気相手に故意や過失がなかった場合は、慰謝料の請求ができません。
故意や過失がないというのは、浮気相手は配偶者が既婚だということを知らず、結婚を前提に交際していると考えていたケースなどです。
たとえば配偶者が単身赴任先で独身と偽って浮気をしていたとすれば、夫婦が同居している状態よりも既婚者であることに気付きにくいと考えられます。
このように、浮気相手に故意や過失がないと判断される状況の場合、慰謝料請求は難しくなるでしょう。
浮気相手に自由意思がない
浮気相手に自由意思がない状態で配偶者が肉体関係を持った場合、慰謝料の請求はできません。
自由意思がない状態というのは、脅迫や暴行で相手を制圧したり、お酒や薬で相手を眠らせて関係を持ったりするケースなどが挙げられます。
脅迫や暴行、昏睡状態などで無理やり肉体関係を持つのは、浮気ではなく強姦です。
慰謝料請求ができないのはもちろん、反対に配偶者が相手に訴えられる可能性もあります。
既に慰謝料を受け取っている
不貞行為の慰謝料は配偶者と浮気相手の双方に請求できますが、すでに配偶者から十分な額の慰謝料を受け取った場合、浮気相手に慰謝料請求はできません。
たとえば不貞行為の慰謝料が100万円相当であると考えられる場合に、すでに配偶者から100万円を受け取っていたとします。
この場合、すでに不貞行為の慰謝料として十分な金額を受け取っていると判断され、浮気相手の慰謝料請求が難しくなります。
不貞行為の慰謝料は、配偶者と浮気相手が共同で支払うものと考えられているためです。
仮に配偶者から受け取った慰謝料が50万円である場合、残りの50万円を浮気相手に請求する形になります。
浮気相手と配偶者に対し、慰謝料を二重で請求することはできないため、注意しておきましょう。
浮気が発覚する前から夫婦関係が破綻していた
浮気の慰謝料は浮気によって平穏な夫婦生活が壊された場合に請求できるもの。
浮気が発覚する前から夫婦関係が破綻していた場合は、「浮気によって夫婦関係が壊された」とは言えないため、慰謝料請求を退けられてしまう可能性があります。
もし、本当に浮気によって夫婦関係が破綻したとしても、浮気相手や配偶者が「夫婦関係は最初から破綻していた」という主張をされてしまうと、慰謝料請求の面で不利になってしまうこともあるので、浮気が発覚する前は夫婦関係が良好であったことを示す証拠も残しておくと良いでしょう。
浮気相手が慰謝料を払わない時は弁護士に相談して対応を決めるのがおすすめ
浮気相手が慰謝料の請求に応じない場合、弁護士に相談して対応を決めるのがおすすめです。
とくに不倫や離婚問題に強い弁護士であれば、慰謝料請求に関する法的知識に精通しており、正しい対処法を提示してもらえます。
また、相手が弁護士をつけて慰謝料の請求を拒否してきた場合でも、こちらに弁護士がついていれば対等な交渉が可能です。
たとえ浮気の決定的な証拠を持っており、有利な立場であったとしても、弁護士をつけずに戦うと法的知識の差で不利になる可能性があります。
浮気相手から慰謝料を勝ち取るためにも、弁護士に相談しながら対処しましょう。
まとめ
浮気相手が慰謝料を支払わないときには、主にお金がなくて払えないケースと、支払う意思がないケースの2通りのパターンがあります。
お金がなくて払えない場合、減額や分割の提案などで支払ってもらえる可能性があります。
一方、浮気相手に慰謝料を支払う意思がない場合、内容証明の送付や裁判、強制執行などの手続きが必要になる可能性が高いです。
不倫の慰謝料請求に強い弁護士に相談のうえ、慰謝料を支払わない浮気相手に適切な対処をしましょう。
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