【ケース別で解説!】慰謝料を支払ってくれない浮気相手への対処法
浮気相手が慰謝料を払わない場合、大きく2つのパターンが考えられます。
- 浮気相手が慰謝料を支払う意思はあるがお金がない
- 浮気相手に慰謝料を支払う意思が見られない
浮気相手が慰謝料を支払わない理由によって、取るべき対処法が異なります。次の項目から、ケース別に慰謝料を支払ってくれない浮気相手への対処法を詳しく見ていきましょう。
浮気相手が経済的な理由で慰謝料を支払えない場合
浮気相手に慰謝料を支払う意思はあるものの、経済的な理由からすぐに支払えないというケースは珍しくありません。
たとえば、相手が学生や新社会人で収入が少ない場合、まとまった金額を一括で支払うことが難しいことがあります。
ただし、慰謝料は法的に支払う義務があるお金なので、「お金がないから払えない」といった理由だけでは免除されません。
相手に支払う意思があるなら、金額の調整や支払い方法の工夫によって解決を図ることができます。
慰謝料の減額や分割払いの提案など、相手の経済状況に応じた具体的な対処法について解説します。
慰謝料を減額して支払わせる
浮気相手に慰謝料を一括で支払う経済力がない場合は、請求額を減額することで支払ってもらえる可能性があります。
たとえば200万円の慰謝料を請求したところ、「150万円なら払える」と相手から提案された場合、減額に応じれば一括で支払ってもらえるでしょう。
一方、相手から具体的な金額の提示がなかったときは、こちらから一括で支払える現実的な金額を打診してみることで、支払いに応じてもらえる可能性があります。交渉の主導権を持ちつつ、相手の経済状況も見極めながら判断することが大切です。
どこまで減額すべきかは状況によっても異なるため、弁護士に相談して適切な金額を提案してもらうことをおすすめします。
なお、慰謝料を満額請求したい場合は分割払いという手もありますが、金額が大きいと浮気相手が支払いを延滞するリスクが生じます。
減額すると慰謝料金額は少なくなるものの、一括で支払ってもらった方がリスクは抑えられるでしょう。また、慰謝料を一括で支払ってもらえれば、浮気相手と関わる期間を最小限に抑えられるという点もメリットです。
すぐにでも慰謝料を一括で支払ってもらいたい場合は減額、できるだけ満額で慰謝料を受け取りたい場合は次に紹介する分割払いを検討してみてください。
分割払いを提案する
浮気相手にまとまった金額を支払う余裕がない場合は、分割払いを提案するのもひとつの方法です。すぐにお金を用意するのは難しくても、月5万円〜10万円など、分割で少しずつの支払いなら相手が合意するケースもあります。
ただし、分割払いにすると浮気相手が途中で支払いをやめてしまったり、逃げられてしまったりするリスクもあるため注意が必要です。
そのため、分割払いで慰謝料を払ってもらうときは、弁護士に相談のうえで分割払いの合意内容(示談書)を公正証書として作成しましょう。
公正証書とは、公証人の立会いのもとで作成される法的に有効な書面のことです。強制執行認諾文言を記載しておけば、相手が支払いを滞納した際に裁判をせず財産の差し押さえができます。
さらに、分割払いが滞った場合に備えて、遅延損害金が発生する条項を設けておくとよいでしょう。支払いが遅れた場合にペナルティがあることを伝えることで、浮気相手の逃げ得を防ぎやすくなります。
分割払いを提案する場合、将来的なリスクを最小限に抑えるためにも、弁護士に相談しながら公正証書の作成を進めましょう。
浮気相手が慰謝料を支払う意思を見せない場合
浮気相手が慰謝料を支払う意思を見せないときは、そもそも浮気を認めていなかったり、「無視すれば逃げ切れる」と思っている可能性があります。
慰謝料を支払う姿勢を浮気相手が見せない場合、以下のような対処法を取りましょう。
- 浮気の証拠を提示する
- 内容証明を使って慰謝料の催促をする
- 慰謝料請求の裁判を起こす
- 差し押さえで取り立てる
それぞれの対処法について、次の項目から詳しく解説します。
浮気を認めない場合は証拠を提示する
浮気相手が不倫の事実を否定し、慰謝料の支払いに応じない場合は、決定的な証拠を提示することが重要です。明確な証拠を示すことで言い逃れが難しくなり、浮気を認めて慰謝料の支払いに応じる可能性が高まります。
浮気の決定的な証拠となるものの例は、以下のとおりです。
- ホテルに出入りしている写真・動画
- 性行為の写真・動画
- 会話の録音データ
- メッセージやメールのやり取り
- 不倫関係をうかがわせるSNSの投稿
- 配偶者が自白している音声・念書
- 探偵事務所の調査報告書
単体の証拠では相手に「誤解だ」と否定される恐れがあるため、複数の証拠を組み合わせて提示することがポイントです。
また、曖昧な状況証拠だけでは相手に否定される可能性もあるため、「肉体関係があった」とわかる明確な証拠を集めることが重要です。肉体関係を示す証拠がそろっていれば、交渉だけでなく、裁判になった場合でも有利に進められる材料になります。
内容証明を使って慰謝料の催促をする
浮気相手が慰謝料請求に応じず、連絡を無視している場合は、内容証明郵便を送付して催促する方法があります。
内容証明郵便とは、「いつ・誰に・どんな内容の文書を送ったか」を日本郵便が証明してくれる制度です。トラブル対応や法的手続きの前段階として用いられることが多いです。
内容証明に法的な強制力はありませんが、浮気相手が事態の大きさを認識することにより、慰謝料を自主的に支払う可能性があります。とくに、「無視していれば逃げられる」と考えている相手には、大きなプレッシャーを与えられるでしょう。
内容証明の作成や送付は自分でもできますが、弁護士に代行してもらうことでさらに効果が高まります。内容証明に弁護士の名前が入っているだけで、「裁判になるかもしれない」と相手に強いプレッシャーを与える効果が期待できます。
浮気相手が慰謝料の請求を無視し続けている場合は、内容証明で慰謝料請求の意思を明確に伝え、支払いについての対応を促しましょう。
慰謝料請求の裁判を起こす
内容証明を送っても相手が慰謝料請求に応じない場合、裁判を起こして慰謝料を請求しましょう。
裁判を起こすと、浮気相手には「訴状」と「第1回口頭弁論期日」の通知が届きます。被告(浮気相手)が反論を提出せずに欠席した場合、裁判所は原告(被害者)の主張を前提に審理を進め、慰謝料の支払いを命じる「欠席判決」が下される可能性があります。
結果として裁判所から浮気相手に慰謝料支払いが命じられるため、裁判にまで発展すると、必然的に無視を続けることはできなくなるでしょう。
なお、浮気相手が弁護士をつけて反論してきた場合、月に1回程度の頻度で開かれる口頭弁論で争うことになります。不貞行為(配偶者と浮気相手との肉体関係)の決定的な証拠があれば、慰謝料請求が裁判所に認められる可能性が高くなります。
浮気相手が慰謝料の請求に一切応じず、話し合いも拒否しているような場合は、裁判によって支払いを求める方法が現実的な選択肢となります。
ただし、裁判を起こすには訴訟費用や弁護士費用がかかるため、請求額が少額である場合は費用倒れになるリスクもあります。そのため、裁判を起こすかどうかは、弁護士から見積もりを取ったうえで慎重に判断しましょう。
【最終手段】差し押さえで取り立てる
裁判による判決で慰謝料請求の命令が下ったにもかかわらず、相手が支払いを無視するケースもあります。このような場合、強制執行の手続きをとって相手の財産を差し押さえることが可能です。
強制執行とは、判決に従わない相手に対し、裁判所の手続きを通じて国の権限で財産を差し押さえる制度のことです。具体的には、以下のような財産が差し押さえの対象になります。
- 給与(勤務先から差し押さえ)
- 銀行口座の預貯金
- 有価証券
- 不動産・車などの資産
浮気相手が働いている場合、確実に差し押さえが可能なことから、給与の差し押さえが優先しておこなわれるケースが多くみられます。
また、2020年4月に実施された法改正により、裁判所を通じて金融機関に対し財産開示を求められるようになり、預貯金口座の差し押さえがより現実的になっています。
今までは相手の財産の情報がわからず、口座の差し押さえに踏み切れないというケースも多くありました。法改正により、裁判所が金融機関に対して調査を依頼できるようになったため、相手の口座情報を知らなくても差し押さえを申し立てやすくなっています。
さらに、給与や銀行口座などが差し押さえられることで、勤務先や家族に浮気の事実が知られる可能性があるため、実行前に支払いに応じるケースも少なくありません。
判決が確定しても相手が慰謝料を支払わない場合には、強制執行により財産を差し押さえて回収する手続きが可能です。
慰謝料を払わない浮気相手へのNG行動
浮気相手が慰謝料を支払わないときは、以下のような行動を取らないように注意しましょう。
- 未払いの放置
- 浮気相手の職場・自宅に押しかけて罵倒する
- SNSなどで誹謗中傷する
- 浮気相手の両親・兄弟などに慰謝料請求をする
NG行動を取ると、浮気相手から慰謝料の請求ができなくなる可能性があります。それぞれのNG行動について紹介します。
未払いの放置
浮気相手が慰謝料を無視しているとき、未払いのまま放置すると、慰謝料請求の時効が成立してしまう可能性があります。
不貞行為における慰謝料請求の時効は、浮気の事実や相手の身元を知った日から3年です。すでに慰謝料を請求していても、未払いを放置して3年以上が経過すると、請求権自体が消滅する恐れがあります。
裁判を起こしたり内容証明などで請求の意思表示(催告)を行ったりすることで、時効を一時的に中断することは可能です。ただし、催告による時効の延長期間は6か月に限られており、その間に正式な裁判などを起こさないと再び時効が進行します。
なお、催告によって時効の完成を猶予できるのは一度きりである点にも注意しておきましょう。
さらに、長期間対応しないでいると、相手が引っ越しをして連絡が取れなくなるなど、回収がさらに難しくなるリスクもあります。
慰謝料を支払わない相手に対しては、放置せずに早めに弁護士に相談し、内容証明の送付や裁判など状況に応じた対応を進めましょう。
浮気相手の職場・自宅に押しかけて罵倒する
慰謝料を払わない浮気相手に対して腹が立っていたとしても、職場や自宅に押しかけて罵倒するような行為はやめておきましょう。
浮気相手の職場や自宅に押しかけて抗議すると、不法侵入や名誉毀損などの罪に問われる可能性があります。こうした違法行為は、かえってあなた自身が加害者と見なされ、訴訟を起こされるリスクも生じます。
感情的な行動は状況を悪化させるだけで、問題の解決にはつながりません。浮気相手に責任を取らせたいのであれば、正当な方法で慰謝料を請求することがもっとも効果的な対応です。
SNSなどで誹謗中傷する
SNSなどで浮気相手を誹謗中傷すると、名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪などの罪に問われる恐れがあります。
たとえばSNSで浮気相手と配偶者の関係性を詳細に投稿し、社会的に追い詰めようとする行為などが該当します。
投稿した内容が事実であったとしても、SNSなどで公然と浮気相手の社会的評価を下げると名誉棄損罪が成立する可能性があります。その結果、反対に浮気相手から慰謝料や損害賠償を請求されるリスクがあります。
感情のはけ口としてSNSを使ってしまうと、自分自身が不利な立場に追い込まれることになりかねません。どれだけ腹が立っていても、インターネット上での誹謗中傷は絶対に控えましょう。
浮気相手の両親・兄弟などに慰謝料請求をする
浮気相手が慰謝料を払わないからといって、相手の両親や兄弟に慰謝料を請求しても解決にはつながりません。
不貞行為の責任はあくまでも当事者が負うものであり、両親や兄弟に慰謝料を支払う義務はないからです。
慰謝料の支払い義務がない人に請求をすると、不当請求や恐喝罪と見なされる恐れがあります。
浮気相手の両親や兄弟などには決して慰謝料請求をせず、支払われないときは裁判や強制執行などの手続きを踏んで回収しましょう。
【ケース別】浮気相手が慰謝料を支払わない理由
浮気相手が慰謝料を支払わないときは、以下のような理由があると考えられます。
- お金がなくて慰謝料を支払えない
- 浮気相手側の弁護士に「支払う必要はない」と言われている
- 既婚者とは知ら図に付き合っていたため
- 無理やり誘われたと主張している・考えているため
- 夫婦生活が破綻していると聞いていたため
- 風俗店に勤務しているに過ぎないと主張しているため
- 慰謝料請求を甘く見ているため
- そもそも本当に浮気の事実がなかった
ケース別に、浮気相手が慰謝料を支払わない理由を詳しく解説します。
お金がなくて慰謝料を支払えない
慰謝料を支払う意思はあるものの、経済的な理由で支払えないケースは少なくありません。
たとえば、浮気相手が大学生や新社会人、専業主婦などの場合、収入が不安定でまとまったお金を用意するのが難しいことがあります。また、一見収入があるように見えても、生活費やローンの返済に追われているなどの理由で、慰謝料に充てる余裕がないケースも考えられます。
このような場合には、慰謝料の減額や分割払いなどで対応することが可能です。浮気相手に支払いの意思があれば、減額による一括払いや分割払いに合意してもらえる可能性は高いでしょう。
注意点として、お金がないと嘘をついて慰謝料の支払いから逃れようとするケースも存在します。
浮気相手に慰謝料を支払う意思があれば、誠意を見せるために分割払いや期日延長などを提案してくるでしょう。反対に、代案を出さず「お金がないから払えない」とだけ主張しているときは、そもそも支払う意思がない可能性が高いです。
お金がないという理由だけで慰謝料の支払い義務が免除されるわけではないため、必要に応じて弁護士に相談し、適切な対応を進めていきましょう。
浮気相手側の弁護士に「支払う必要はない」と言われている
浮気相手が弁護士に相談をしており、「慰謝料を支払う必要はない」と言われているケースも考えられます。
仮に浮気相手が都合の良い事実や嘘の話を弁護士に伝えたのであれば、支払う義務がないと判断される可能性はあるでしょう。弁護士は依頼者の話をもとに判断するため、情報が偏っていれば「支払い義務なし」とされてしまうこともあります。
しかし、不貞行為が事実であり、肉体関係の証拠がそろっているのであれば、慰謝料の支払い義務は法律上認められる可能性が高いです。
浮気相手が弁護士を通じて支払いを拒否してきた場合には、こちらも弁護士に依頼し、法的な立場から対応しましょう。弁護士同士のやり取りにすることで、感情的な衝突を避けつつ、請求の正当性を主張しやすくなります。
既婚者とは知らずに付き合っていたため
配偶者が既婚者とは知らずに関係を持ったと主張し、慰謝料の支払いを拒否するケースもあります。
浮気相手に慰謝料を請求するためには、故意または過失がなければいけません。
不貞行為における故意とは、既婚者と知りながら肉体関係を持つことを指します。過失とは、注意すれば既婚者だと気づけたはずの状況だったにもかかわらず、確認を怠ったことを意味します。
もしも配偶者が独身だと偽って関係を持っていた場合は、浮気相手に故意がなかったと判断される可能性があります。ただし、注意すれば配偶者だと気付けるような状況だったのであれば、浮気相手に過失があったと見なされ、慰謝料の請求が可能です。
たとえば浮気相手と配偶者が同じ職場である場合や、共通の知人がいる場合、既婚者だと知る機会はあったといえるでしょう。
浮気相手が「既婚者とは知らなかった」と主張していたとしても、状況次第では慰謝料を請求できる可能性があるため、弁護士と相談しながら事実関係を丁寧に確認することが重要です。
無理やり誘われたと主張している・考えているため
浮気相手が「配偶者に無理やり誘われた」と主張しており、自分には非がないとして慰謝料請求を拒否するケースもあります。
仮に配偶者が脅迫や暴行などの手段で肉体関係を持った場合、相手の主張が認められるため、慰謝料請求はできません。
しかし「配偶者から半ば強引に誘われた」という程度であれば、自由意思で肉体関係を持ったとみなされる可能性もあります。配偶者からの誘いを、断ろうと思えば断れる状況だったのかどうかが判断ポイントです。
また、浮気相手が慰謝料請求から逃れるために嘘をついている可能性も考えられます。
相手が無理やり誘われたと主張している場合、自由意思で肉体関係を持ったことがわかる証拠を集めましょう。たとえば親密なやり取りのメッセージや音声、ホテルに複数回出入りしている写真などが有効です。
夫婦生活が破綻していると聞いていたため
浮気相手は配偶者から「夫婦生活が破綻している」と聞いており、慰謝料を支払う義務はないと考えているケースもあります。
夫婦生活の破綻が事実であるならば、浮気相手の慰謝料請求はできません。たとえば長期間にわたって別居していたり、離婚に向けた具体的な協議が進んでいたりする場合、実質的に夫婦生活が破綻しているとみなされるでしょう。
反対に、夫婦関係が円満だったにもかかわらず、浮気相手が配偶者の言葉だけを鵜呑みにして関係を持った場合は、慰謝料請求が認められることがあります。
配偶者が「すでに離婚の話は進んでいる」と偽っていたとしても、浮気相手が真偽を確認せずに関係を持ったのであれば、安易な判断による過失と評価される可能性が高いでしょう。
このように、夫婦関係が破綻していたかどうかは、一方の表面的な言葉ではなく、実際の状況や証拠によって判断されます。
風俗店に勤務しているに過ぎないと主張しているため
浮気相手が風俗店やキャバクラに勤務しており、「これは仕事であって不貞行為には当たらない」と主張してくるケースもあります。確かに業務の範囲内での接客であれば、不貞行為と認められる可能性が低いため、慰謝料請求は難しいでしょう。
しかし、勤務先とは無関係に店外で会って性的関係を持っていたり、私的なやり取りを経て個人的に関係を深めていた場合は、仕事を超えた関係と判断される可能性が高くなります。
たとえば、対価を受け取っていたとしても、店舗外で自由意思により性的行為が行われていた場合は不貞行為とみなされ、慰謝料請求が認められることがあります。
浮気相手が「風俗店に勤務しているに過ぎない」と主張している場合でも、慰謝料について弁護士に相談しながら冷静に対応するようにしましょう。
慰謝料請求を甘く見ているため
慰謝料請求を自分だけで行なっていたり、弁護士に依頼していても示談で済ませようとしている場合には「裁判にまではならないだろう」と、浮気相手が慰謝料請求を甘くみている場合があります。
また、十分な証拠を示していない場合も浮気相手が慰謝料請求を甘くみることがあるでしょう。
慰謝料請求を行う際は、十分な証拠を提示しつつ、必要であれば裁判も検討していることを明確に伝えることが大切です。最初から毅然とした態度で対応すれば、浮気相手に慰謝料請求の重みを認識させやすくなるでしょう。
そもそも本当に浮気の事実がなかったため
浮気相手が慰謝料の支払いを拒否するときは、そもそも浮気の事実がなかったというケースもあります。
不貞行為で慰謝料請求をするためには、肉体関係があったことを客観的に証明しなければなりません。
相手と配偶者の間に肉体関係がなく、単純に2人で会っていただけだった場合、慰謝料の請求はできません。
浮気相手への慰謝料請求は、決定的な証拠を揃えてからにしましょう。
浮気相手に慰謝料請求ができるケース
浮気相手に慰謝料を請求する際には、以下のポイントに当てはまるかどうかをチェックしましょう。
- 肉体関係があった
- 浮気相手の自由意思で性交渉をした
- 浮気相手に故意や過失があった
- 浮気が原因で夫婦関係が破壊されたと言う証拠がある
次の項目から、浮気相手に慰謝料請求ができるケースについて詳しく解説します。
肉体関係があった
浮気による慰謝料請求をするためには、配偶者と浮気相手の間に肉体関係があったかどうかを確認する必要があります。
民法で定められている不貞行為の定義は「配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと」とされているからです。
そのため、単純に食事に行ったりデートをしていたりするだけなのであれば、不貞行為とは認められず、慰謝料請求も難しくなります。
浮気相手との肉体関係を示す決定的な証拠は、ホテルに2人で出入りしている写真や性行為の動画などです。配偶者と浮気相手の間に肉体関係があったことを客観的に証明できれば、慰謝料の請求が認められやすくなります。
なお、肉体関係を証明できなかった場合でも、精神的苦痛が認められれば慰謝料を請求できるケースもあります。不貞行為なしの慰謝料請求については、以下の記事を参考にしてみてください。
浮気相手の自由意思で性交渉をした
浮気相手に慰謝料を請求する際には、浮気相手の自由意思で性交渉をしたかどうかが重要です。
たとえば配偶者が既婚者ということを知りながら、自分の意思で肉体関係を持ったのであれば、自由意思に当たります。
仮に相手から強引な誘いを受けて関係を持ったとしても、最終的に性交渉に合意したのは自分自身なので、自由意思で性交渉をしたことになります。
浮気相手が乗り気であったかどうかにかかわらず、自由意思で性交渉をしたのであれば、慰謝料の請求が可能です。
浮気相手に故意や過失があった
浮気相手に慰謝料を請求するときには、故意や過失があったかどうかも重要視されます。
不貞行為の故意とは、既婚者だと知っていたにもかかわらず関係を持つことです。
もしも相手から既婚者だと直接聞いていなかったとしても、職場が同じなど既婚者であることが周知の事実だった場合、故意に不貞行為に及んだと判断されます。
不貞行為の過失とは、注意すれば相手が既婚者であることを知る機会があったにもかかわらず、不注意によって気付かなかったことを意味します。
たとえば頑なに家に招いてもらえなかったり、平日の夜や土日は電話ができなかったりする場合などです。
配偶者が独身だと偽って関係を持っていたとしても、不自然な点に気付けなかった過失として慰謝料の請求ができます。
浮気が原因で夫婦関係が破壊されたと言う証拠がある
浮気が原因で夫婦関係が破綻したかどうかも、慰謝料請求をするうえで重要なポイントです。
夫婦関係がもともと円満であった場合、浮気によって家庭環境が大きく変わったとして、高額の慰謝料請求ができる可能性が高くなります。
一方、すでに夫婦関係が冷え込んでいたり、口論や別居が続いていたりするような場合は、慰謝料の金額が減額されるか請求自体が難しくなることもあります。
とくに、長期間の別居やお互いに離婚の意思を持っていたなどの事情がある場合、夫婦関係がすでに破綻していたとみなされ、慰謝料請求が認められない可能性が高くなります。
浮気相手に慰謝料を請求できるのは、あくまでも夫婦関係を壊されたときに限られます。
そのため、浮気以前は夫婦関係が円満だった証拠や、夫婦関係の変化を示す証拠などが必要です。たとえば、浮気前後の夫婦間のメッセージやり取りや、別居開始時期を示す賃貸借契約書などが証拠になるでしょう。
慰謝料請求をしても回収できないケース
配偶者が浮気していたからといって、必ずしも慰謝料請求ができるわけではありません。
浮気相手に慰謝料請求ができないケースは以下のとおりです。
- 証拠がない
- 時効期限が過ぎている
- 浮気相手に故意や過失がない
- 浮気相手に自由意思がない
- 既に慰謝料を受け取っている
- 浮気が発覚する前から夫婦関係が破綻していた
それぞれのケースについて、それぞれ詳しく解説します。
証拠がない
浮気相手と配偶者が肉体関係を持っていたことの証拠がない場合、慰謝料の請求は難しいです。証拠がない状態で慰謝料請求をすると、浮気相手に「不倫をしていない」と反論される恐れがあります。
証拠がなく浮気相手も不倫を認めないとなると、相手の不貞を追及できません。
裁判では証拠に基づいて判決が下されるため、証拠が全くなければ慰謝料請求は困難になると考えましょう。浮気相手に慰謝料請求をする際は、必ず証拠集めを先に行ってください。
不倫の証拠となるものの例は以下のとおりです。
- ホテルに出入りしている写真・動画
- 性行為の写真・動画
- 肉体関係を持っていたとわかるメールのやり取り
- 不倫を自白した音声データ
- 宿泊したことがわかるSNSの投稿
- 探偵会社の調査報告書
とくに写真や動画、音声データなどは決定的な証拠になりやすいです。徹底的に証拠集めをしたうえで浮気相手に慰謝料を請求しましょう。
証拠の集め方がわからない、または自分で集めるのが難しい場合、探偵事務所や興信所に相談するのも一つの手段です。
時効期限が過ぎている
慰謝料の請求には時効が設けられている点に注意が必要です。不貞行為の慰謝料の時効には、主に以下の2種類があります。
- 消滅時効:不貞行為があったことを知った日から3年
- 除斥期間:不貞行為があった日から20年
慰謝料請求の時効は、原則として消滅時効の3年です。不倫の事実や浮気相手が判明してから3年以内に慰謝料を請求しなければ、慰謝料請求権が消失します。
一方の除斥期間は、不貞行為に気付かなかったり浮気相手の特定に時間がかかったりした場合に、被害者が不利益を被らないための制度です。
たとえば不貞行為があったのが10年前だとしても、浮気相手が判明してから3年以内であれば、慰謝料は請求できます。
消滅時効や除斥期間が過ぎる前に、浮気相手に慰謝料を請求しましょう。
浮気相手に故意や過失がない
浮気相手に故意や過失がなかった場合は、慰謝料の請求ができません。
故意や過失がないというのは、浮気相手は配偶者が既婚だということを知らず、結婚を前提に交際していると考えていたケースなどです。
たとえば配偶者が単身赴任先で独身と偽って浮気をしていたとすれば、夫婦が同居している状態よりも既婚者であることに気付きにくいと考えられます。
このように、浮気相手に故意や過失がないと判断される状況の場合、慰謝料請求は難しくなるでしょう。
また、配偶者が既婚者であることを巧みに隠して「結婚したい」などと発言していた場合は、反対に相手の方から慰謝料を請求される恐れもあります。
浮気相手に自由意思がない
浮気相手に自由意思がない状態で配偶者が肉体関係を持った場合、慰謝料の請求はできません。
自由意思がない状態というのは、脅迫や暴行で相手を制圧したり、お酒や薬で相手を眠らせて関係を持ったりするケースなどが挙げられます。
脅迫や暴行、昏睡状態などで無理やり肉体関係を持つのは、浮気ではなく強姦です。
慰謝料請求ができないのはもちろん、反対に配偶者が相手に訴えられる可能性もあります。
既に慰謝料を受け取っている
不貞行為の慰謝料は配偶者と浮気相手の双方に請求できますが、すでに配偶者から十分な額の慰謝料を受け取った場合、浮気相手に慰謝料請求はできません。
たとえば不貞行為の慰謝料が100万円相当であると考えられる場合に、すでに配偶者から100万円を受け取っていたとします。
この場合、すでに不貞行為の慰謝料として十分な金額を受け取っていると判断され、浮気相手の慰謝料請求が難しくなります。
不貞行為の慰謝料は、配偶者と浮気相手が共同で支払うものと考えられているためです。仮に配偶者から受け取った慰謝料が50万円である場合、残りの50万円を浮気相手に請求する形になります。
浮気相手と配偶者に対し、慰謝料を二重で請求することはできないため、注意しておきましょう。
浮気が発覚する前から夫婦関係が破綻していた
浮気の慰謝料は、浮気によって夫婦関係が破綻した場合にのみ請求が認められます。
浮気が発覚する前から夫婦関係が破綻していた場合は、「浮気によって夫婦関係が壊された」とは言えないため、慰謝料請求を退けられてしまう可能性があります。
また、実際には浮気によって夫婦関係が破綻したとしても、相手側から「もともと夫婦関係は破綻していた」と主張されてしまうと、請求が不利になってしまいます。
このような事態を防ぐためにも、浮気が発覚する前は夫婦関係が良好であったことを示す証拠も残しておくと良いでしょう。
たとえば、夫婦間のメッセージやり取りや2人で外出・旅行をした写真、レストランの予約履歴、周囲の証言などが夫婦関係を示す証拠になります。浮気が発覚する直前まで円満な関係が続いていた証拠があれば、「浮気によって夫婦関係が破綻した」と主張しやすくなります。
浮気相手が慰謝料を払わない時は弁護士に相談して対応を決めるのがおすすめ
浮気相手が慰謝料の請求に応じない場合、弁護士に相談して対応を決めるのがおすすめです。
とくに不倫や離婚問題に強い弁護士であれば、慰謝料請求に関する法的知識に精通しており、正しい対処法を提示してもらえます。
また、相手が弁護士をつけて慰謝料の請求を拒否してきた場合でも、こちらに弁護士がついていれば対等な交渉が可能です。
たとえ浮気の決定的な証拠を持っており、有利な立場であったとしても、弁護士をつけずに戦うと法的知識の差で不利になる可能性があります。
浮気相手から慰謝料を勝ち取るためにも、弁護士に相談しながら対処しましょう。
まとめ
浮気相手が慰謝料を払わないときには、大きく分けて「経済的な理由で支払えないケース」と「そもそも支払う意思がないケース」の2つのパターンが考えられます。
経済的な理由で支払えない場合、減額や分割払いの提案をすることで、支払ってもらえる可能性があります。また、浮気相手のほうから減額・分割の提案をされることもあるため、その際は弁護士に相談しながら対応を進めましょう。
一方、浮気相手に慰謝料を支払う意思がない場合、内容証明の送付や裁判、強制執行などの手続きが必要になる可能性が高いです。
まずは内容証明郵便の送付で様子を見つつ、反応がなければ裁判、強制執行と段階を踏んで慰謝料請求を進めていきます。
浮気相手への慰謝料請求は自分だけでもできますが、支払いを拒否されているときはトラブルに発展する恐れもあります。不倫問題に強い弁護士に早めに相談し、慰謝料を支払わない浮気相手に適切な対処をしましょう。
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