妻の浮気が発覚!離婚すべきかどうか迷ったら?
たとえ妻の浮気が発覚したとしても、離婚するかどうかはすぐには決められないものです。
離婚は精神的にも身体的にも負担がかかるものであり、安易に決めることはできません。離婚するかどうか迷ったときは、次の3つの方法を取ることをおすすめします。
- 友人などの第三者に相談してみる
- 妻が反省している場合は夫婦でカウンセリングを受けてみる
- 「円満調停」を利用する
上記の方法を試しながら、離婚するかどうかを慎重に検討してみてください。
妻が反省している場合は夫婦でカウンセリングを受ける
妻が浮気を反省しているのであれば、夫婦で専門家によるカウンセリングを受けてみましょう。
離婚カウンセラーによるカウンセリングを受けることにより、浮気の根本的な原因が明らかになるケースがあります。
離婚カウンセラーは、夫婦間の離婚問題に対する相談を受け付け、アドバイスを提供する専門家です。
たとえば浮気の原因が婚姻生活の不満によるものだったのであれば、不満を取り除くことで、今後の浮気を防止しつつ夫婦仲を改善できるかもしれません。
離婚カウンセラーは離婚をしない夫婦でも利用できるため、「離婚しようかどうかまだ迷っている」という段階の方にもおすすめです。
なお、離婚カウンセラーは法的なアドバイスや手続きについての相談には応じていません。法的な支援が必要な場合は、弁護士に相談するようにしましょう。
「円満調停」を利用する
円満調停は、夫婦間で問題が生じた際に、夫婦関係を修復するための話し合いを裁判所で行う制度のことです。正式には「夫婦関係調整調停(円満)」と称されます。
円満調停の主な目的は、円満な夫婦関係を再建することです。
調停では、夫婦双方から個別に事情を聞き取り、夫婦関係が円満でなくなった原因を探ります。原因が判明したら、どのように改善すべきかの解決策や、今後の対応についてアドバイスを受けられます。
離婚をするかどうか迷っている場合でも、円満調停の利用は可能です。
心の整理がつかず、第三者からのアドバイスが必要と感じた場合には、円満調停を活用してみましょう。
友人などの第三者に相談してみる
離婚すべきかどうか迷っている場合、信頼できる友人に心の中を打ち明けてみるという方法もあります。
パートナーの浮気が発覚したときは感情が揺さぶられ、視野が狭くなりがちです。
第三者に相談することで、自分自身の感情や思考が整理され、より冷静に状況を見つめ直せるでしょう。
また、自分では気づかなかった視点や解決策を教えてもらえる場合もあります。
一人で抱え込むのがつらい場合は、友人や家族などの第三者に相談し、アドバイスを受けてみてください。
妻と離婚するかどうかの判断基準
妻の浮気が発覚した際には、離婚するか許して再構築をするかのどちらかを選ばなければなりません。
しかし、どのような基準で離婚の判断をすれば良いのかわからない方も多いでしょう。
妻と離婚するかどうか迷ったときは、以下のポイントを確認してみてください。
- 妻への愛情が残っているか
- 妻が浮気したことを心から反省しているか
- 両親の離婚が子供に悪影響を与えないか
- 離婚するのであれば親権は取れそうか
妻への愛情がまだ残っており、妻も浮気したことを反省しているのであれば、許して再構築するという選択肢もあるでしょう。
また、子供にとって両親が離婚するということは非常に大きな出来事であり、精神的ショックを与える恐れがあります。
特に子供がまだ幼い場合、なぜ離婚するのかが理解できず、不安やストレスを抱えてしまうかもしれません。
もしも子供と一緒に暮らしたい場合は、親権が取れそうかどうかも考える必要があります。子供の親権を獲得するためのポイントについては、次の章で詳しく解説します。
子供がいる場合:親権・養育費・面会交流について決める
子供がいる場合、親権や養育費、面会交流など子供に関する離婚条件について取り決める必要があります。
ここでは、以下の4つの項目に分けて子供に関する離婚条件について解説します。
- 親権を獲得するために必要な5つのポイント
- 親権が獲得できた場合にもらえる養育費の事例
- 親権が取れなかった場合「面会交流」「監護権」を求める
- 父親の親権獲得率は10%・・・父親が親権を取れた事例を紹介
親権を希望している場合や、養育費・面会交流などの離婚条件の詳細を知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
親権を獲得するために必要な5つのポイント
日本では、離婚後9割近く母親が親権を獲得しており、父親の親権獲得は難しいとされています。
日本の法律においては、配偶者が浮気をしたとしても、その事実が親権取得に直接的な影響を与えることはありません。
親権は、子供の福祉や健全な成長を目指す、子供の利益を最優先する権利であり、夫婦間の問題とは別の視点で考えられるためです。
妻の浮気が離婚の原因であったとしても、これまで妻が主に育児を担当していた場合や子供がまだ幼い場合などでは、妻が親権を獲得する可能性が高くなります。
親権を獲得するためには、次の5つのポイントを押さえることが重要です。
- 妻が子供に対して悪影響を与えている
- 客観的な監護・養育実績や環境がある
- 子供の生活環境を変えずに現状維持が可能である
- 「子供の幸せ」のために面会交流をさせる意思を示している
- 子供が中学生以上の場合は子供自身の意思が最も重要
1つずつ詳しくみていきましょう。
妻が子供に対して悪影響を与えている
母親が子供の養育に適さない、または悪影響があると判断される場合は、父親が親権を得る可能性が高いです。
養育に適さないと判断されるのは、以下のようなケースです。
- 母親が子供に暴力や暴言で虐待している
- 母親に浪費癖があり、子供の生活費に困っている
- 母親が不倫を繰り返して育児放棄の状態になっている
- 母親が重い病気や精神障害を抱えている
上記のように、母親が子供の養育に適さないと判断されるには、具体的な事実が必要です。
たとえば「母親の生活態度が乱れている」など、抽象的な事情は親権者の選択にはほとんど影響しません。
妻が子供に悪影響を与えていることがわかる、明確な証拠を用意しましょう。
客観的な監護・養育実績や環境がある
子供の日常的な世話をしていたかどうかは、親権を決定する際に非常に重要です。
子供の監護・養育実績のある親は、将来的にも安定した養育を行う可能性が高いと見なされるためです。
監護・養育実績の具体例としては、以下のようなものがあります。
- 主に食事を作ってきたのは誰か
- 家族と一緒に食事を摂っていたか
- 主に子供の健康管理(病院への同伴、予防接種、健康診断への付き添いなど)をしていたのは誰か
- 主に一緒にお風呂に入っていたのは誰か
- 主に勉強、遊びに付き添っていたのは誰か
- 主に寝かしつけをしていたのは誰か
- 保育園・幼稚園・学校・塾・習い事への送り迎えをしていたのは誰か
- 保育園・幼稚園・学校・塾・習い事の行事、イベントごとに参加していたか
上記のような実績は、親権を決定する際の重要な参考となります。
ただし、これらの実績を作るだけでなく、子供を養育してきた具体的な事実を客観的に証明することも大切です。
たとえば自分の日記に記録を残したり、家族や友人からの陳述書を取りまとめたりすることなどが挙げられます。
また、父親としての育児経験や育児をサポートする環境が整っていることなど、継続可能な養育環境を事前に整えることが極めて重要です。
保育園や学童のお迎えに行けなかったり、子供が病気になったときに対応できなかったりすると、親権獲得で不利になりかねません。
残業や休日出勤を減らしたり、祖父母に子供の世話をお願いしたりするなど、周囲の助けを借りながら、子供のための環境を作る必要があります。
子供の生活環境を変えずに現状維持が可能である
子供の生活環境を変えずに現状を保てるかどうかは、親権を決める際に重要視されるポイントの1つです。
「離婚によって家庭環境が変わっても、子供の生活環境を安定させる方が子供の心理的・経済的な安定につながる」と考えられているためです。
子供にとって住む場所や周囲の環境が変わることは大きなストレスになるため、できるだけ慣れ親しんだ場所や人と離れないように配慮する必要があります。
そのため、仕事の都合で転勤が多かったり、父親についていくと学校が変わったりする場合は、親権を得るのが難しくなります。
反対に「母親が親権者になると転居や転校が必要になるが、父親が親権者になると現在の住まいや学校を続けられる」という場合は、父親の方が親権者に適しているとみなされる可能性が高いです。
さらに、子供の教育や将来のために必要な費用が確保できるかどうかも重要です。具体的に考慮されるポイントは以下のとおりです。
- 進路の希望を叶えられるか(大学に進学させられるかなど)
- 子供が希望する習い事をさせられるか
- 趣味や特技(部活動など)に関する費用が支払えるか
- 子供の将来のために貯蓄ができるか
現状の生活環境を保てることや経済的に問題ないことなどを主張すると、親権獲得で有利になる可能性があります。
「子供の幸せ」のために面会交流をさせる意思を示している
「子供の幸せ」のために面会交流を行う意思があることを示すことは、親権獲得で有利になります。
面会交流とは、離婚や別居によって子供と同居していない親と子供が定期的に親子の交流を持つことです。
別居や離婚をしても、子供にとって親は親であり、親子の交流は子供の健やかな成長に必要なものであると考えられています。
また、面会交流は親権を持たない親の権利であると同時に、子供が持つ権利でもあります。そのため、親権者が自分の都合だけで面会交流を制限することは、原則として認められません。
離婚の原因が不倫であっても、子供に夫婦の問題は関係ないため、相手が面会交流を希望している場合は受け入れる必要があります。
浮気をした妻に怒りはあるかもしれませんが、面会交流は子供のためでもあると割り切り、親権獲得の際は面会交流させる意思表示をしましょう。
子供が中学生以上の場合は子供自身の意思が最も重要
子供が12歳以上(中学生以上)であれば、子供自身の意思も親権を決める際に重要視されます。
子供が幼いうちは正しく判断できないと考えられ、親権者は両親の話し合いで決められるのが一般的です。
一方、子供が中学生以上になっており、判断能力があると認められると子供の意思を最大限に尊重して親権者が決定される傾向にあります。
そのため、子供が中学生以上で「父親と暮らしたい」と望んでいるのであれば、父親が親権を獲得しやすくなるでしょう。
親権が獲得できた場合にもらえる養育費の事例
親権を獲得した場合は、妻から子供の養育費を受け取れます。
養育費は、子供の生活や教育、成長に必要な費用のことです。親権を持たない親も、子供が社会的に自立するまでは養育費の支払い義務があります。
厚生労働省が行った「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」によれば、養育費の平均月額は母子世帯で50,485円、父子世帯で26,992円です。
ただし、上記の金額はあくまでも平均的な相場なので、実際の金額は子供の年齢や人数、必要なケアのレベル、両親の収入などによって異なります。
ここでは、親権が獲得できた場合にもらえる養育費の事例について紹介します。
<養育費の計算についての事例(平成28年8月9日東京家庭裁判所決定)>
本審判は、既に離婚が成立した元夫婦間での養育費請求に関するもので、年収2000万円を超える場合の養育費算定方法について重要な指針を示しました。
具体的には、元夫の年収が6000万円であったとしても、養育費の算定においては年収2000万円を上限とするべきだという結論を導き出しました。
その理由は、養育費は義務者の収入に応じて無制限に増加するものではないため、算定表上の義務者の収入の上限額(年収2000万円)を基準に算定すべきだという考え方からです。
裁判所は、元夫がいかに高額な所得者であっても、一定の金額を超える請求は認められないと判断しました。
結果として、元妻の収入が高いことを考慮に入れ、元夫が負担すべき養育費は月額12万円とされました。
なお、浮気をされて離婚したとしても、親権を得られなかった場合には、養育費を払う必要がある点には留意しましょう。
親権が取れなかった場合「面会交流」「監護権」を求める
親権を獲得できなかった場合でも、面会交流によって子供との関係を維持することができます。
面会交流は、子供との絆を保つため、また子供の精神的安定に寄与する重要な役割を果たします。面会交流の方法や頻度、時間、場所などは裁判所の決定にもとづいて調整されます。
面会交流の主な内容は以下のとおりです。
- 公園や遊園地などで遊ぶ
- カフェやレストランで食事をする
- 祖父母と面会させる
- 電話やメール、手紙で間接的に交流する
一般的な面会交流の頻度は、月に1回程度です。面会交流の時間は、3時間から1日程度で、子供の年齢や親子関係により異なります。
親権を取れなかった際には、子供の「監護権」を求めるという選択肢もあります。
監護権とは、子供の日常的な世話や教育を行う権利のことです。親権と監護権は父母で分けることができます。
監護権を持つことで、子供の住む場所を決めたり、子供をしつけたり、子供の結婚や養子縁組などの身分行為に同意したりできるようになります。
親権を持つ親が子供の最善の利益を守れないと判断された場合、監護権の獲得が認められるケースがあります。親権を獲得できなかったものの、子供の養育に関わっていきたい場合は、監護権を主張しましょう。
父親の親権獲得率は10%・・・父親が親権を取れた事例を紹介
司法統計によると、令和4年に父親が親権を獲得できた割合はわずか11.0%となっており、父親は親権を非常に取りにくい状況であることがわかります。
年度によって変動はあるものの、いずれの年も父親の親権獲得率は10%前後に留まっています。
参照:親権を行う子をもつ夫妻の親権を行う子の数・親権者(夫-妻)別にみた年次別離婚件数及び百分率
ここでは、父親が親権を取れた事例を紹介します。
<面会交流の一方的拒否により親権者が変更された事例(平成26年12月4日福岡家庭裁判所審判)>
この事例では、面会交流を一方的に拒否した母親が親権者の地位を父親に移されるという結果になりました。親権者変更という一種のペナルティが適用されたと評価できる貴重なケースです。
この事例では、母親は「子供が父親に会いたくない」と主張し、面会交流を拒否しました。
しかし、裁判所は、子供が父親を拒絶するようになった原因は母親にあると判断しました。
具体的には、母親が子供の前で父親への否定的感情を隠さず、子供が父親との面会を楽しむことに罪悪感を覚えさせるような行動をとっていたことを明らかにしました。
その結果、裁判所は親権者を母親から父親に変更することを命じ、一方で監護権については母親に留保することを命じました。
上記の事例では、子供の利益を保護するために親権者が変更されました。親が子供の感情を操作するような行動を取ると、親権を失う可能性があることがわかります。
父親が親権を獲得できる確率は低いですが、決してゼロではないため、子供と一緒に暮らしたい場合は諦めずに親権を主張しましょう。
夫婦の共有財産がある場合:財産分与の条件を決める
財産分与とは、夫婦が共に築き上げた財産を公平に分ける制度のことです。財産分与の割合は、原則として夫婦で2分の1ずつと決められています。
もしも妻が専業主婦であっても、夫が仕事に専念できるのは妻の支えがあるからという視点があるため、割合は変更されません。
また、財産分与は離婚の原因とは別の問題として扱われます。そのため、妻の浮気が原因で離婚するとしても、財産分与の権利を奪うことはできません。
ただし、妻が不倫をした場合、夫が妻に対して請求する慰謝料と同額を財産分与から差し引くというケースは存在します。
次の項目から、財産分与の方法や分与の対象となる財産について詳しく解説します。
財産分与の方法
財産分与の一般的な流れは、以下のとおりです。
- 財産の洗い出し
- 財産の評価
- 財産の分配
- 協議と調停
- 公正証書の作成
それぞれの内容について、1つずつ解説していきます。
1.財産の洗い出し
まずは、財産分与の対象となる財産をすべて洗い出します。洗い出しが必要な財産の例は以下のとおりです。
- 現金・預貯金
- 有価証券(株式や投資信託など)
- 不動産
- 保険の解約返戻金(生命保険や学資保険など)
- 退職金
- ローン(住宅や自動車など)
洗い出しが完了したら、「どの財産が」「いくらあるのか」をリストにまとめておきましょう。
なお、財産分与の対象になるものとならないものを区別する方法は、後の見出しで詳しく解説していきます。
2.財産の評価
次に、各財産について適切に評価します。
現金や預貯金はそのまま評価額になりますが、不動産や退職金などは評価方法が異なります。
評価方法が複雑になる場合は、専門家への依頼も検討してみてください。
3.財産の分配
評価が完了したら、財産の分配方法を決めていきます。
財産形成において、夫婦の貢献度は等しいものと考えられているため、財産分与の割合は2分の1となるのが原則です。
ただし、夫婦双方が合意している場合は、2分の1以外の割合で財産を分配しても問題ありません。
なお、どの財産をどのように分配するのかは、夫婦間の話し合いで自由に決められます。
たとえば妻が評価額1,000万円の住宅を取得する場合、夫は1,000万円相当の現金を取得し、残りの現金は均等に分け合うというケースもあります。
4.協議と調停
財産の分配方法について夫婦間で協議を行い、お互いの合意が得られれば次のステップに進みます。
もしも合意が得られない場合は、家庭裁判所に調停の申し立てを行い、調停の場で分配方法を決めていくことになります。
5.公正証書の作成
財産分与の合意が得られた場合は、公正証書を作成します。
公正証書とは、公証人が個人や法人から受けた依頼にもとづき作成する公的な文書のことです。公証人は公務員であり、その権限をもとに公正証書を作成します。
公正証書は、その高い証明力と執行力により、法的な信頼性を持ちます。
財産分与についてお互いの合意をもとに取り決めたにもかかわらず、相手が後から内容を覆そうとしてくる可能性があります。
公正証書を残しておけば、相手が財産分与に合意したという客観的な証明になるため、一度取り決めた内容を覆されることはありません。
財産分与の話し合いで取り決めた内容は、必ず公正証書で残しておきましょう。
財産分与の対象になる財産
財産分与における分配対象となる財産は、夫婦の協力によって形成された「共有財産」のみです。
夫婦の一方が個人的に築いた財産は「特有財産」とみなされ、財産分与の対象には含まれません。
財産分与の対象になる財産と、ならない財産の例を以下の表にまとめました。
財産分与の対象 |
財産分与の対象外 |
・現預金
・各種保険
・土地や建物などの不動産
・有価証券(株式や債権など)
・家具、家電
・退職金、年金
・自動車
・へそくり
・負債(住宅ローンや学費ローンなど)
|
・婚姻前から保有する財産
・別居後に取得した財産
・相続や生前贈与で得た財産
・夫婦それぞれの衣類や装身具
・結婚生活に関係のない借金
|
財産分与の対象はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれます。
財産分与では、プラスの財産とマイナスの財産を合計し、その半分が一人の取り分になる点を念頭に置いておきましょう。
ただし、原則として結婚生活に関係のない借金は財産分与の対象外です。たとえば夫婦の一方が個人的な趣味やギャンブルのために作った借金などが該当します。
一方、結婚生活に関連した借金であれば、財産分与の対象となります。たとえば、生活のためにした借金や子どもの学費ローン、自動車ローンや住宅ローンなどです。
したがって、財産分与の名のもとに個人的な負債の半分を肩代わりするよう要求されても、応じる必要はありません。
財産分与を行う際には、何が分配対象となるのかをしっかりと理解した上で話し合いを進めましょう。
慰謝料請求をする場合:慰謝料の金額を決める
妻の浮気が離婚の原因となった場合は、慰謝料請求が可能です。
不倫が原因で離婚する場合の慰謝料の平均的な金額は、約100万円から300万円とされています。
ただし、実際の金額は不貞行為の具体的な内容、離婚に至るまでの経過、子供の存在によって変動するものです。
ここでは、浮気の慰謝料請求について次の3つの項目に分けて解説します。
- 浮気の慰謝料の決め方
- 妻の浮気で慰謝料をもらった事例
- 妻の浮気相手に慰謝料請求することも可能
- 妻が浮気しても慰謝料をもらえない場合もある
妻に慰謝料請求することを検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
浮気の慰謝料の決め方
浮気の慰謝料は、主に以下の要素を考慮して決定されます。
- 夫婦の婚姻期間
- 浮気が始まった経緯・期間・不貞行為の回数
- 浮気相手に金銭等の援助をしていたか
- 浮気が与えた夫婦生活への影響
- 子供の有無
- 浮気相手との子供の有無
- 反省・謝罪等の有無
- 浮気された側の落ち度の有無
婚姻期間や不貞行為の回数、幼い子供の有無、夫婦生活に与えた影響などの要素で増減が左右されます。
たとえば婚姻関係が長かったり子供がいたりする場合は、離婚による生活環境の変化が大きいことが予測されるため、慰謝料が増額される傾向にあります。
浮気の慰謝料に決められた計算方法は存在しないので、具体的な請求金額は弁護士と相談の上で決めると良いでしょう。
妻の浮気で慰謝料をもらった事例
妻の浮気で慰謝料をもらった事例をご紹介します。
<慰謝料500万円が認められた事例(昭和60年1月30日 浦和地方裁判所)>
この事例では、相場よりも高額な500万円の慰謝料が認められました。
元夫と元妻は25年間婚姻関係にあり、元妻の不倫が離婚の原因となりました。
元妻は、不倫相手との交際のために600万円以上を借り入れ、その借金を元夫が代わりに返済していました。
また、元妻は家事や育児を放棄するようになったという事実もありました。
これらの事情が考慮され、元妻の不倫相手のために作った借金を何の罪もない元夫が代わりに返済していたことが大きく影響し、相場よりも高額な500万円の慰謝料が認められました。
通常の相場を大幅に上回る500万円の慰謝料が認められたのは、元妻の不倫や借金、家事や育児の放棄といった行為が、元夫に大きな精神的苦痛を与えたことを反映していると考えられます。
このように、妻の落ち度が大きいと認められる場合、相場以上の慰謝料を請求できるケースもあります。
妻の浮気相手に慰謝料請求することも可能
妻が浮気をした場合、浮気相手に対しても慰謝料の請求が可能です。
配偶者の浮気相手には、自分と配偶者との信頼関係を破壊し、精神的苦痛を与えた責任があるからです。
具体的な慰謝料の金額は、浮気の頻度や期間、その結果生じた精神的苦痛の程度、浮気相手が配偶者を既婚者と知っていたか、浮気相手の経済力などによります。
一般的には50万円〜300万円程度が相場とされていますが、具体的な金額は個々のケースによって異なります。
注意点として、妻と浮気相手の両方に慰謝料を二重請求することはできません。
たとえば「不倫の慰謝料は100万円が妥当」と判断された場合、妻と浮気相手から合計で100万円もらうという形になります。それぞれに100万円を請求し、合計200万円の慰謝料をもらうことはできません。
なお、請求する割合は被害者が自由に決められるため、浮気相手に全額請求して妻には請求しないということも可能です。
妻が浮気しても慰謝料をもらえない場合もある
妻が浮気をしたとしても、必ずしも慰謝料をもらえるわけではありません。
以下に、慰謝料をもらえない可能性がある状況をいくつか紹介します。
- 証拠が不十分な場合
- 夫も浮気をしていた場合
- 浮気前から婚姻関係が破綻していた場合
浮気の証拠が不十分であると、慰謝料を請求することは難しくなります。客観的な証拠がなければ、浮気を立証することは困難であるためです。
夫自身も浮気をしていた場合も、双方が浮気をしていたという事実が慰謝料請求の根拠を弱めるため、慰謝料がもらえない可能性があります。
また、5年以上の長期間にわたって別居しており連絡もほぼ取り合っていなかったケースなどは、慰謝料請求が難しくなります。浮気によって婚姻関係が破綻したのではなく、最初から婚姻関係が破綻していたとみなされるためです。
慰謝料請求ができるかどうかは判断が難しい部分もあるので、詳しいことは弁護士に相談の上で判断してもらいましょう。
妻の浮気が発覚したときにやるべきこと
妻の浮気が発覚したとしても、すぐに離婚を切り出すのは得策ではありません。
証拠を掴んでいない状態で離婚を切り出しても「浮気なんてしていない」と否定される可能性があるためです。
また、妻と本当に離婚しても良いかどうかを熟考せず、感情的に離婚を切り出すと後悔する恐れもあります。
妻の浮気が発覚した際、離婚を切り出す前に具体的にやっておくべきことは、次の2つです。
- 妻が浮気をしたという客観的な証拠を集める
- 妻がいない生活について考える
上記の準備を事前にしておくことで、協議離婚中や離婚後のトラブルを未然に防げるため、しっかり理解していきましょう。
妻が浮気をした客観的な証拠を集める
離婚を提案する前に、妻の浮気の証拠を確実に集めることが重要です。なぜなら、離婚を提案した後に証拠が隠される可能性があるためです。
調停や裁判に発展したときは証拠が重要視されるため、証拠がなければ離婚の成立や慰謝料請求が難しくなってしまいます。
法定離婚事由の「不貞行為」に該当することを証明するためには、妻と浮気相手が肉体関係を持っていたことの客観的な証拠が必要です。
具体的には、以下のような証拠が有効になります。
- 浮気相手とラブホテルに出入りしている写真
- ラブホテルの利用を示すクレジットカードの明細
- 浮気相手の家に何度も出入りしている写真
- 浮気相手と肉体関係を持っていることがわかるメッセージやり取り
上記のような証拠により、浮気相手との肉体関係を証明できなければ、不貞行為を理由とする慰謝料請求は難しくなります。
そのため、浮気が発覚したときは妻に気付かれないよう、証拠を集めていきましょう。
なお、仕事などで忙しく自分で証拠を集めるのが難しい場合、探偵事務所に調査を依頼するという選択肢もあります。
妻がいない生活について考える
離婚を提案する前に、離婚後の生活について冷静に考えることも重要です。
感情に流されるままに離婚すると、思わぬことで苦労して後悔するかもしれません。
たとえば、もしも妻が家事の大半を担っていた場合、離婚後は自分自身で家事をこなしながら働く生活が待っています。
結婚生活中にも家事を行っていた場合は問題ないかもしれませんが、仕事と家事を両立するためには多大な労力が必要です。
また、一人の生活に戻ると、孤独感が増すかもしれません。離婚後は、生活の大半を一人で過ごす孤独感にも耐える強さが求められます。
さらに、経済的な影響についてもよく考えておく必要があります。
離婚は、収入や財産分与、税金や保険など、さまざまな面で経済的な状況を変える可能性があります。特に子供がいる場合は、養育費や教育費などの問題も考慮しなければなりません。
離婚後も経済的に安定した生活を送るために、離婚をすることで経済的にどのような影響があるのかも事前に考えておきましょう。
離婚をすると生活に大きな変化が生じるため、自分だけでなく子供への影響も考慮した上で決断してください。
離婚までの流れ
妻と離婚する際の主な流れは以下のとおりです。
次の項目から、離婚までの流れについて詳しく見ていきましょう。
協議離婚
協議離婚は、夫婦の話し合いによって離婚条件を決める方法です。日本では、9割以上の夫婦が協議離婚によって離婚を成立させています。
まず、配偶者との間で離婚の意志が一致しているかどうかを確認しましょう。財産分割や親権、養育費、慰謝料などについて取り決めが必要な場合は、離婚協議書を作成します。
話し合いがまとまったら、お互いに離婚届を書き、役所に提出することで離婚が成立します。
協議離婚は夫婦双方の意思に基づいて決定するものであるため、離婚理由は特に問われません。
もしも協議離婚で話し合いがまとまらなかった場合は、次の段階である調停離婚に進みましょう。
離婚調停
離婚調停は、裁判所で調停委員を介して話し合いを行い、離婚の可否や離婚条件を決める制度です。離婚調停の一般的な流れは以下のとおりです。
- 調停申立て
- 調停開始
- 協議
- 調停成立
離婚調停では、調停委員のもとで離婚に関連する事項(財産分割、親権、養育費など)について協議します。夫婦は別々の部屋で調停委員と話すことになるので、直接話し合うことはありません。
調停の末に合意が得られた場合、調停が成立し、離婚が法的に成立します。合意が得られない場合は調停不成立となり、離婚裁判の手続きに移ります。
調停は資料の準備や手続き、各人のスケジュール調整などの兼ね合いもあり、一般的に3ヶ月〜6ヶ月以上の時間がかかります。
話がまとまらない場合は長引くケースもあるため、弁護士に相談して条件等のアドバイスや、代理交渉をしてもらうことをおすすめします。
離婚裁判
離婚裁判は、離婚調停が不成立になった場合に、裁判所を通じて離婚を進める手続きです。
裁判では判決によって強制的に離婚させることが可能であるため、夫婦双方の合意は必要ありません。
離婚裁判の一般的な流れは以下のとおりです。
- 離婚訴訟の提起
- 証拠の提出と審理
- 判決
裁判所に離婚訴訟を提起して裁判を起こすと、月に1回ほどのペースで口頭弁論が実施されます。口頭弁論では、夫婦双方の証言や証拠の評価、証人尋問などが行われます。
裁判所は提出された証拠や証言などに基づいて、離婚の可否や親権、慰謝料などについての判決を下します。
裁判で離婚の判決が下った際には、10日以内に役所に離婚届を提出しましょう。離婚届の提出を忘れていた場合、罰金を科される恐れがあるので注意してください。
妻の浮気で離婚を決心したら弁護士へ相談がおすすめ
妻の浮気によって離婚を決心したら、離婚問題に強い弁護士に相談するのがおすすめです。
離婚問題に強い弁護士は、財産分与や親権、養育費など離婚に関連する法的知識に精通しており、的確なアドバイスを提供してくれます。
さらに、離婚をスムーズに進行させるための証拠集めなどについても助言をしてくれます。
また、弁護士は配偶者との交渉を代行することが可能なため、配偶者と直接交渉することが困難である場合にも有効です。
夫婦間の協議だけでは折り合いがつかない場合、調停や裁判に移ることがありますが、その際でも同席して法律に基づいた主張を行ってくれます。
相手が浮気をした場合、深い傷を負ってしまうことがあり、自力で問題解決に向けて動くのが難しいこともあります。
弁護士の支援を得ることで、精神的なストレスや負担が軽減され、離婚に向けて適切な行動が取れるようになるでしょう。
妻の浮気で離婚!夫のその後を調査
妻の浮気が原因で離婚した方のその後の生活は、どのように変化したのでしょうか。ここでは、妻と離婚した夫のその後の体験談を紹介します。
- 離婚に満足している経験談
- 離婚をして後悔している経験談
- 離婚せずに再構築した経験談
それぞれ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
離婚に満足している経験談
毎日、向こうの言動に対して私の頭を悩ませていたことから(質問攻め、家事に協力しないなど)完全に離れられた、そしてそれらの悩みから自由になれたことが離婚してよかったと感じたことです。
離婚して、別々での生活になったのでもう余計な喧嘩をする必要もありませんし、喧嘩時に感じていた負の気持ちを感じる必要もありませんし、それにより心の平静を取り戻し平和な日常を取り戻すことができました。離婚をしてよかったと感じています。
引用元 離婚体験談の広場
一人の時間が増えたことで、新たなことへのチャレンジができるようになったことです。
今は仕事に活かせるようなスキルを身に付けるべく、さまざまな勉強をしています。
その他に、「家族」がいないので自分一人のために生きることで相手への気遣いなどのストレスが格段に減りました。
金銭的にも精神的にも重圧を感じていたので気持ちが楽になりました。
また、新たな趣味を見つけるべく、色々なところに外出をしたり自分の人生を楽しめるようなことに時間を費やせるようになりました。
引用元 離婚体験談の広場
両者とも離婚により自分自身の生活を向上させられたと感じているようです。
悩みが消えたり自己研鑽の時間が取れたりするなど、離婚が必ずしもネガティブな結果をもたらすとは限らないようです。
離婚をして後悔している経験談
「離婚したことで、週末は一人で過ごすことが多くなりました。家族といたときは気づかなかったが、一人の時間がこんなにも寂しいとは思わなかった。友人と会うことも少なくなり、孤独感は日に日に増しています。」:40代前半、男性
引用元 トクチラボ
「以前は家族で過ごした休日が、離婚後は一人の時間になりました。最初は自由な時間を楽しんだが、徐々に孤独を強く感じるようになった。趣味を見つけようとしたが、なかなか心が動かないです。孤独感に打ち勝つために、新しい交友関係を築くことが次の課題です。」:30代後半、男性
引用元 トクチラボ
離婚後の生活は1人の時間が増え、それに伴い孤独感を感じることが多くなっているようです。
離婚しようかどうか迷っている際は、1人の時間が増えることも想定して、本当に後悔しないかどうかをじっくり考える必要があるでしょう。
離婚せずに再構築した経験談
両親の勧めで妻と一緒にカウンセリングを受けることになった。
結果としては、カウンセリングを通して、お互いの不満や好きなことをを知ることができた。
自分が普段の生活の中で相手を傷つけていたことを知ることができた。
それから妻の気持ちを考えて行動するようになってからは、体調不良もよくなり、仕事も以前のようにこなすことができるようになってきた。
不倫をするのはいいことではないし、パートナーを大きく傷つけてしまうが、この経験を通してこれまで考えもしなかった夫婦の将来について考えることができた。
夫婦関係の再構築は時間がかかるが、互いの気持ち次第では不可能なことではないと思う。
引用元 探偵学校
夫婦がカウンセリングを通じてお互いのコミュニケーション不足や相手への配慮の不足に気づき、それに対処することで夫婦関係が改善されたようです。
また夫婦関係の再構築は、時間とお互いの気持ち次第では不可能でないことも示されています。
まとめ
妻の浮気が発覚しても離婚すべきかどうか迷ったときは、次の3つの対処法を試してみてください。
- 妻が反省している場合は夫婦でカウンセリングを受ける
- 「円満調停」を利用する
- 友人などの第三者に相談してみる
どうしても妻のことを許せず離婚を視野に入れる場合、妻のいない生活になっても問題はないか、親権は取れそうかどうかを考慮する必要があります。
また、離婚の際には財産分与や養育費、慰謝料などの離婚条件を決めなければなりません。
自分だけで離婚の手続きを進めるのが難しいと感じた場合は、離婚問題に強い弁護士に相談し、アドバイスを受けながら行動しましょう。
離婚は人生の大きな転換点であるため、弁護士による適切なサポートが必要です。自分自身のため、そして家族のために最善の選択をしていきましょう。
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