離婚問題に強い弁護士を探すならツナグ離婚弁護士

不倫と浮気の違いとは?不貞行為の定義や慰謝料請求の方法を解説

不倫と浮気の違いとは?不貞行為の定義や慰謝料請求の方法を解説

不倫(ふりん)と浮気(うわき)は、いずれも男女関係において、特定のパートナーがいながらも別の異性と親密な関係になることを意味しています。どちらの言葉も、同じ意味として使う人は珍しくないでしょう。

実際のところ、不倫と浮気を同じ意味として使用しても問題はありません。いずれも法律用語ではなく、混同して使っても意味は通じるからです。

しかし一般的には、細かく使い分けされることもあります。

また「既婚者が配偶者以外の人と肉体関係を持つ」という行為は、「不貞行為」という法律用語で表せます。

不倫 既婚者が配偶者以外と恋愛的・性的な関係を持つこと(肉体関係が伴っていることが多い)
浮気 婚姻状態や肉体関係の有無にかかわらず、パートナーが別の異性と親密な関係を築いたり頻繁に交友したりすること
浮気かどうかの判断は、個人の価値観によって変化
不貞行為 既婚者が配偶者以外の人と肉体関係を持つこと

肉体関係が立証されると民法上の不法行為扱いとなり、不貞行為をした相手に対して慰謝料請求や離婚請求が可能です。

配偶者の不倫が疑われるときは、不倫の兆候を見逃さずに証拠を集め、不貞行為や不倫の事実を立証することが大切です。確実に立証したいときは、専門家である弁護士への依頼をおすすめします。

本記事では、不倫と浮気の違い、不倫や浮気に該当するケース、不倫や浮気の兆候とその見抜き方、不倫に関する慰謝料請求の概要・相場などを解説します。この記事を読めば不倫と浮気の違いが理解でき、適切な慰謝料請求ができるようになるでしょう。

不倫(ふりん)と浮気(うわき)の違い

ほぼ同じ意味で使われる不倫と浮気ですが、厳密には違う意味として使い分けられるケースが多いです。とくに不倫は、法律上の不貞行為とセットで語られます。

不倫と浮気の違い 不倫 浮気
婚姻関係 結婚している 婚姻関係は問わない
肉体関係 ほとんどあり 親密な関係なら肉体関係の有無は問わない
法的責任 不貞行為に該当すると損害賠償や離婚理由になる 婚姻や婚約関係でないなら肉体関係があろうと不法行為にはならない

以下では、不倫と浮気の違いについて見ていきましょう。

不倫は浮気の一部である

不倫とは、婚姻関係にある男女の一方が、パートナー以外の異性と恋愛的・性的な関係を持つことです。広義では「道徳から外れること」という意味もあります。「夫が職場の女性と性的関係を持つ」だと、不倫と言われるケースが多いです。

また不倫は、異性との肉体関係を伴って使われるのが一般的な解釈となります。

次に浮気とは、婚姻関係の有無にかかわらず、パートナー以外の異性へ関心を持ったりスキンシップしたりすることです。「付き合っていた彼女が、ほかの男性と2人で旅行に行った」だと、浮気と判断されます。

浮気は必ずしも異性との肉体関係を伴うわけではなく、さまざまなスキンシップに対して使われるのが一般的です。

以上のことから考えると、浮気は男女関係における幅広い不義理を表す言葉だと言えるでしょう。ただし、浮気の定義は価値観で変わることが多く、どこから浮気なのかは個人の考えや男女関係ごとの事情によって変わります。例えばカップルによっては、「キスは浮気じゃない」「手をつなぐだけでも浮気!」と定義が変化します。

そして不倫は、浮気の一部だと捉えられます。

なお、不倫と浮気の違いは一般的な解釈の話であり、法的な定義は決まっていません。例えば夫婦の一方が肉体関係を伴わない浮気をしている場合でも、不倫だと言われるパターンもあります。

そして損害賠償請求や離婚請求などを争う場合に関しては、不倫・浮気の呼び方は重要ではありません。男女関係の法的トラブルにおける争点の多くは、「肉体関係または肉体関係に類似する行為の有無」「男女関係の現状や不貞行為の原因」となります。

不倫は不貞行為に該当する場合がある

不貞行為とは、既婚者が自由意志の下に、配偶者以外の異性と性的関係を結ぶことです。不貞行為は民法上の法律用語であり、民法上の不法行為の一種になります。

不貞行為の定義は、以下の最高裁判所の判例がよく使われています。

民法七七〇条一項一号の不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない。
e-Gov法令検索 裁判所

肉体関係の有無が判断基準になるため、肉体関係のない浮気レベルだと不貞行為に該当しないことがほとんどです。一方で肉体関係がある不倫だと、原則として不貞行為に該当します。

また、「自由意志の有無(肉体関係を強要されたか、自ら進んで行為に及んだか)」も、不貞行為か否かを判断するのに重要な要素です。

直接的な肉体関係を立証できなくても、「ラブホテルに入るなど不貞行為が疑われる状況である」「肉体関係に類似する行為をした」といった場合だと、不貞行為として扱われることがあります。

なぜ不貞行為が不法行為に該当するかは、民法上から解釈するのが一般的です。まず前提として、民法第752条にて「夫婦は一緒に暮らして、お互いに協力・扶助しなければならない」とされています。

(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
e-Gov法令検索 民法第752条

上記の民法第752条に明記はないものの、条文にはいわゆる貞操義務(配偶者以外の異性と性的関係を持たない義務)が含まれていると解されています。つまり不貞行為は、貞操義務違反であると判断できるのです。

不貞行為はあくまで民法上の違反であり、刑法違反による犯罪行為ではありません。しかし、民法上の不法行為として離婚の理由になります。

不貞行為が裁判上の離婚理由となる根拠は、民法第770条にてはっきりと書いてあります。

(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
e-Gov法令検索 民法第770条

不貞行為は不法行為であることから、離婚の理由だけでなく損害賠償の対象です。

なお、これまで同性同士の肉体関係については不貞行為に該当しないとされていました。しかし、近年では同性同士の行為でも損害賠償が認められた事例も出ています。

2021年2月16日東京地裁の判決で、妻と不貞行為に及んだ女性に対して、「婚姻生活の平和を害するような性的行為の対象になる」として不貞行為を認めました。この判決まで、同性同士の不倫は法律上の不貞行為に該当しないのではとの見解が一般的でした。

どこからが浮気に該当する?

浮気は肉体関係が前提となる不倫と異なり、「該当するかもしれない行為」の幅が広いです。パートナーとの関係性や価値観、異性との距離感などによって、パートナーが浮気だと感じるかどうか変わってきます。

ここからはあくまで一般論の範囲で、浮気かどうか迷いやすい以下3つのケースについて、浮気に該当するか否かを考察します。

  1. キスは浮気に捉えられる可能性がある
  2. 外泊や旅行は参加人数や状況によって浮気になる可能性がある
  3. ハグや手をつなぐ行為は場合によって浮気の疑いがある

キスは浮気に捉えられる可能性がある

日本における異性とのキスは、一般的に恋愛的な意味で親密な間柄で行われる行為とされています。そのため、キスは浮気と捉えられても不思議ではありません。

さまざまなWebメディアや企業で実施されるアンケート結果を見ても、キスを浮気だと判断する人は多い傾向にあります。

株式会社エクスクリエが運営するメディアの調査では、3,379人中57%の人がキスを浮気と捉えています。

同調査で「わからない」と答えた人は、「シチュエーションやキスに込められた感情による」「不意打ちや避けられないキスがある」といった、キスをされた場面や双方の感情面によって浮気か否かが変わると回答していました。

ほかにも2024年4月に実施された株式会社しんげんの調査によると、キスを浮気と捉える人は男性200人中73.5%と高い数値が出ています。

このように、キスは浮気だと判断する人は、少なくとも過半数いると考えられるでしょう。また、キスする行為そのものよりも、キスをする関係性やキスをしたあとに肉体関係に発展することを気にするケースも見られました。

なお、パートナーが「肉体関係さえなければ浮気ではない」といった価値観を持っている人なら、キスでも浮気だと思われないケースもあります。

出典:ロバ耳「「キスは浮気に入る?」意識変化にコロナの強い影響あり【3379人の大調査で判明】(https://www.moratame.net/wp/robamimi/202207_003/)
出典:SHUFUFU「浮気に関するアンケート調査(https://shufufu.net/12799/)」

外泊や旅行は参加人数や状況によって浮気になる可能性がある

パートナー以外の異性と自宅に泊まる、宿泊を伴う旅行をするといった外泊・旅行は、肉体関係がある浮気と判断される行動の1つです。

これを既婚の方がやっていた場合、浮気かどうかの価値観の問題に収まらず、法律上の不貞行為に該当する可能性があります。

ただし、実際に外泊や旅行を浮気と判断するかは、参加人数や状況次第だという人も少なくありません。例えば以下のケースでは、浮気ではないと判断する人が多いと考えられます。

  • 参加人数の多い社員旅行
  • 仕事による出張で外泊するケース

一方で外泊や旅行までは行かずとも、異性と2人っきりで食事に行くことも浮気だと思う人もいます。2人での食事が浮気かどうかは、当該異性との関係性によって判断する場合が多いです。

例えば「上司や後輩などの仕事上での付き合い」、「仕事帰りで1軒だけ飲みに行く」といった行動なら許容範囲という反面、「パートナーに隠れて頻繁に会っている」「おしゃれなレストランを予約してディナーに行く」といった場合は浮気を疑われやすくなります。

ハグや手をつなぐ行為は場合によって浮気の疑いがある

浮気の判断基準として肉体関係の有無を挙げるパートナーなら、ハグや手をつなぐといった行動までなら浮気と言えないことになります。好ましい行動ではないものの、恋愛感情や下心なしにスキンシップの手段として使ったり、お酒の席のテンションや雰囲気のなかでの行動だったりするからです。

しかし、自分以外の異性とハグや手をつなぐ行為自体に嫌悪感を持つ人も、当然ながら存在します。すでに浮気を疑われている状態で長時間かつ頻繁にしている場合は、パートナーからの疑念をより深める結果になるでしょう。

また親密なハグや手つなぎは、裏での不貞行為を連想させるには十分な行動です。パートナーの捉え方によっては、「絶対に肉体関係を持っている」と疑われるのも不自然ではないでしょう。

ハグや手つなぎ以外には、顔や髪を触る、頭や背中をなでるといった行動が、浮気の兆候として疑われやすいです。

浮気や不倫における5つの兆候

浮気や不倫をしている者は、パートナーに対してその事実を隠そうとするのが一般的です。しかし、浮気や不倫をしている者には、さまざまな兆候が出ています。浮気や不倫における5つの兆候は次の通りです。

  1. 生活パターンや行動が変化した
  2. 機嫌を取るような言動などコミュニケーションが変化した
  3. 容姿やおしゃれに突然気を遣い出した
  4. 夜の営みの頻度ややり方が変化した
  5. 接し方や態度が変化した

それぞれの詳細を見ていきましょう。

1.生活パターンや行動が変化した

普段の生活パターンや行動に変化が見られるときは、浮気や不倫の兆候の1つとして捉えられます。時間の使い方を変えることで、浮気相手と会ったり連絡したりするタイミングを作っている可能性があるからです。

具体的な例は次の通りです。

  • 残業や休日出勤、取引先との会食が増えた
  • 睡眠に入るのが早かったのに、自分が寝るまで起きるようになった
  • 友達や近所付き合い関係の用事で家を開けることが多くなった
  • こちらの行動パターンや留守の時間を気にするようになった
  • 家に帰ってきたらすぐにシャワーを浴びるようになった
  • 連絡が取れる時間に連絡が返ってこなくなった
  • スマートフォンを隠れて使うようになった

2.機嫌を取るような言動などコミュニケーションが変化した

パートナーのこちら側に接する態度が急に優しくなったときも、浮気・不倫の傾向として判断できます。こちら側の機嫌を取ることで、怪しまれないようにしている可能性があるからです。浮気・不倫をしている後ろめたさ・罪悪感から、優しく接しているパターンもあります。

浮気・不倫の傾向として、よくあるコミュニケーションの変化をまとめました。

  • 急に家事や育児へ積極的になった
  • こちらの機嫌を取るような言動が増えた
  • これまでしなかったプレゼントをするようになった

とはいえ純粋にこちらへの感謝の意を伝えている可能性もあるので、コミュニケーションの変化以外にも浮気・不倫の兆候がないかをしっかりチェックしてみてください。浮気の事実がないのに執拗に疑えば、それが離婚の原因になる可能性があります。

3.容姿やおしゃれに突然気を遣い出した

これまで髪型や体型などの容姿や服装・アクセサリーなどのおしゃれに興味がなかったのに、突然外見に気を遣い出したら、浮気や不倫をしている兆候と言えます。とくにファッションの趣味がガラッと変わったときは、浮気相手の好みに合わせている可能性があります。

具体的な例は次の通りです。

  • ファッショントレンドを気にするようになった
  • 高い美容院に通うようになった
  • ダイエットや筋トレを始めるようになった
  • ヘアワックスやメイク、香水を欠かさないようになった
  • 下着にこだわり始めた(とくに注意したい兆候)

当然ながら、こちらも浮気・不倫の兆候か否かを判別するには、ファッション関係が変わる前後の事実関係の確認が大切です。パートナーがあなたのためにファッションを変えたり、浮気相手ではなく仕事の影響で外見を意識し始めたりといったパターンもあるからです。

4.夜の営みの頻度ややり方が変化した

カップルや夫婦生活における夜の営みについて変化があったときも、浮気・不倫の兆候である可能性があります。パートナーへの愛情が変化してそっけなくなる、浮気相手の性事情に合わせているなどが考えられるためです。

具体的な兆候は次の通りです。

  • 夜の営みの頻度が極端に減った
  • 性行為のテクニックが変化した、上達した
  • 性行為に義務感が出て、愛情を感じられな
  • これまでになかった体位や動きを要求された
  • 性行為中に名前を間違える、名前を呼ばなくなる

5.接し方や態度が変化した

接し方や態度が以前よりも変化したときも、浮気・不倫の兆候となります。とくに、こちらに対する態度が極端に冷たくなったときは要注意です。こちら側に対する愛情が薄れて、異性や家族として見られていない可能性があります。

口数が減る、冷たくあしらわれる、反対意見が多くなるといった変化が顕著に見られるときは注意しましょう。もし浮気や不倫をしていなくても、これから浮気や不倫が始まる兆候かもしれません。

浮気や不倫を見抜く・見破る方法

浮気や不倫をしている人の多くは、普段ではありえないさまざまな行動や痕跡を残しています。浮気や不倫の証拠となるものを押さえれば、相手へ慰謝料請求や離婚請求をするときに有利に進められるでしょう。

浮気や不倫を見抜く・見破る方法として有効なのは、次の3つです。

  • お金の動きや財布の中身をチェックする
  • 携帯の中身をチェックする
  • 浮気や不倫が疑わしい矛盾がある場合、カマをかけてみる

お金の動きや財布の中身をチェックする

浮気・不倫をしているときは、浮気相手へ使うお金の分だけお金の動きが大きく変化します。浮気・不倫中に発生する支出は次の通りです。

  • プレゼント代
  • ホテル代
  • 交通費・ガソリン代
  • 食事代
  • 服装代

お金の動きや財布の中身をチェックすることで、浮気や不倫を見抜くことが可能です。お金の動きや財布の中身で、とくに見るべきものを以下でまとめました。

  • クレジットカードや通帳の明細に乗っている会社・サービス名
  • レストラン、ホテル、ガソリン、プレゼントなどの領収書やレシート
  • アダルトグッズや避妊具の購入履歴
  • ラブホテルや風俗店のポイントカード、デートスポットの入場券

携帯の中身をチェックする

携帯(スマートフォンなど)の中身をチェックし、浮気相手との連絡履歴が残っていないかを確認します。携帯は浮気相手との連絡を取るための必要なツールであるため、浮気・不倫に関する何かしらの証拠が残っている可能性が非常に高いです。携帯を見たときにチェックすべきところは次の通りです。

  • メールやSNSに残っているやり取り
  • 着信履歴や電話帳にある異性の名前
  • フォトギャラリーなどに残っている異性とのツーショット写真
  • スケジュールやメモアプリにある今後の予定
  • 出会い系サイトへのアクセス履歴、マッチングアプリのインストール

とはいえ携帯の中身を見るには、携帯やSNSのパスコードを知る必要があります。パートナーが携帯を開くときにパスコードを覗き見るのが、パスコードを知る現実的な方法です。パスコードを推測して打ち込む方法もありますが、間違えるとロックがかかってパートナーにバレる危険性があります。

もし携帯が開けない場合は、ほかの電子機器で証拠になりそうなものをチェックしてみましょう。例えばカーナビやETCの利用履歴が残っていれば、浮気相手と行動した証拠が取れる可能性があります。また、こちらがカーナビの履歴を残す設定に変えた後、故意に履歴を消している傾向があれば、浮気・不倫を疑うのに十分な根拠となるでしょう。

浮気や不倫が疑わしい矛盾がある場合、カマをかけてみる

浮気や不倫の疑いやパートナーの発言の矛盾などがあるときは、カマをかけて相手の失言やボロを期待する方法も有効です。クロのときは、明らかに動揺したり自白したりする可能性があります。

カマをかける質問の例は次の通りです。

  • 「スマホ見ちゃった」
  • 「この前に緒にいた男(女)の人、誰?」
  • 芸能人や友人などの浮気について話題を出して「浮気についてどう思う?」
  • 「最近楽しそうだけど、何か良いことあった?」
  • 「私に隠し事してない?」
  • 「このアクセサリー、誰のか知らない?」

ただし、浮気や不倫をしていなかったときは信頼関係にヒビが入る可能性があります。カマをかけるのは、ある程度浮気や不倫の根拠が集まってから実行するのがよいでしょう。

既婚者における浮気率

既婚者であるにもかかわらず、実は浮気をしたことがある人は少なからず存在します。

株式会社Liamが運営するマッチングアプリ情報メディア「ふくむすび」が20~60代の既婚男女500人を対象に調査したところ、既婚者の浮気率は男性が41.7%、女性が21.1%となっていました。

男性が浮気をした理由は「性欲を満たしたかった」、女性が浮気をした理由は「夫婦関係が悪かった」が多くなっています。また男女ともに1/4を占めていた浮気の理由は、「魅力的な人に出会った」というものです。

さらに同調査によると職場で浮気相手に出会うことが多く、男性が35.9%・女性37.9%と、どちらも1/3以上を占めていました。出会い系アプリを通じた出会いは男女ともに20%前後なっており、スマートフォンが普及したこからこその出会いルートも登場しています。

浮気が増える年数は、夫婦生活がマンネリ化するであろう2~3年目、出産や子育てが関係する5年目以降が多くなっています。

パートナーの浮気を疑うときは、こうしたアンケート結果を基に調査や対策を進めるとよいでしょう。

出典:ふくむすび「既婚者の浮気率はどのくらい?男女500人に不倫の経験についてアンケート調査(https://liaminc.jp/matching/)」

不貞行為に該当するケース

パートナーの価値観で決まる浮気とは異なり、法律上の不貞行為は裁判や判例を基に判断されてきました。不貞行為に該当すると、損害賠償請求や離婚請求に発展する可能性があります。

不貞行為に該当する主なケースは次の通りです。

  • 配偶者以外の異性と肉体関係があるケース
  • 性交類似行為を行ったケース
  • 売春・買春を行ったケース

それぞれのケースの詳細を解説します。

配偶者以外の異性と肉体関係があるケース

既婚者であるにもかかわらず、配偶者以外と肉体関係を持つことは完全な不貞行為です。

逆に言えば、性行為を伴わないプラトニック不倫、キスやハグ、メールやSNSでのやり取り程度の行動では、原則として法律上の不貞行為に該当しません。配偶者が不倫や浮気だと個人的に感じたとしても、民法においては慰謝料請求や離婚の理由にはならないのです。

ただし裁判上では、直接的な性行為の証拠がなくても「このシチュエーションなら不貞行為をした可能性が極めて高い」と判断されると、不貞行為として認定される可能性があります。不貞行為を立証できる主な証拠は次の通りです。

  • 配偶者と異性が長時間ラブホテルへ入っていた
  • ビジネスホテルやシティホテルへ同じ異性と頻繁に宿泊している(1~2回程度なら難しい)
  • 2人っきりで宿泊を伴う旅行をしている
  • 異性が住んでいる部屋へ入り長時間出てこなかった
  • メールやSNSで肉体関係を匂わせるやり取りをしていた

性交類似行為を行ったケース

挿入を伴う肉体関係がなくても、「性交類似行為」をしているときは不貞行為に該当する可能性があります。性交類似行為とは、以下に示した肉体関係に類似する性的に密接な行為のことです。

  • 手淫
  • 口淫
  • 前戯
  • 裸での抱き合う
  • 一緒にお風呂へ入る
  • そのほか射精が伴う行為

性交類似行為による不貞行為も、肉体関係による不貞行為と同じく法的責任を問われる可能性があります。

売春・買春を行ったケース

既婚者が売春・買春した場合も、性行為を伴っていることから不貞行為に該当します。そもそも売春・買春行為は「買春禁止法」で禁止されている行為です。

買春禁止法自体に罰則規定はありません。しかし相手が未成年(18歳未満)だったときは、児童買春、児童ポルノ製造、青少年健全育成条例違反などによる刑事罰の対象になります。

では、自由恋愛という体がある風俗サービスにて肉体関係を持った場合はどうなるのでしょうか。結論から言えば、風俗店に通って性行為を複数回行っているときは不貞行為に該当する可能性があります。不貞行為の判断は、恋愛感情の有無ではなくあくまで肉体関係の有無です。

判例のなかには「夫の風俗通いが原因で婚姻関係が破綻した」として、慰謝料が認められたものがあります。

大阪高裁2020年9月3日の判例、未成年の子あり。妻からの小遣いで夫がピンサロ、ファッションヘルス、キャバクラなどの風俗通いや風俗店の女性店員との食事をしたことが婚姻関係の破綻として大きな原因として、原審の慰謝料100万円から120万円に増額されました。

一方で、1~2回程度の少数の利用なら不貞行為とは認められないケースが多いです。以下の判例では、「複数回の風俗利用は認められず、1回のピンクサロンの利用では不貞行為があったとまでは言えない」としています。

東京地裁2021年11月29日の判例で、夫の財布の中に風俗ヘルスのポイントカード、高級ソープランドの会員書、ホテルヘルスのスタンプカードなどがあり、自宅でも別の風俗店のメッセージカードが捨てられていました。夫は「友人から冗談半分で渡された」と主張しています。夫の主張に客観的証拠はないものの、これらの証拠だけではピンクサロン1回以外の風俗利用を認める証拠は乏しく、不貞行為があったとは認められず、婚姻が継続し難い重要な事由とは認められないとしています。

上記の判例は、風俗利用での不貞行為の立証の難しさも示しているとも言えるでしょう。

ほかの風俗関係の不貞行為の例として挙げられるのは、夫婦の片方が風俗店の従業員となっているケースです。

風俗の仕事として客と肉体関係を結んだ場合、不貞行為になるケースがあります。ただし、風俗サービスに肉体関係や類似サービスが含まれていない、配偶者が風俗店勤務を強要したといった場合は、不貞行為として認められない可能性が高いです。

不貞行為に該当しないケース

浮気だと思われるケースのなかにも、法律上の不貞行為には該当しないケースがいくつかあります。不貞行為に該当しない場合、いくら男女関係での不義理を働いたとしても、不貞行為を理由とした損害賠償請求や離婚を成立させるのは難しいでしょう。

不貞行為に該当しないケースは次の通りです。

  • 肉体関係がない浮気をされたケース
  • 配偶者が性行為を強要され、肉体関係をもったケース

それぞれを見ていきましょう。

肉体関係がない浮気をされたケース

配偶者の浮気が発覚しても、浮気において肉体関係がないときは不貞行為として認められません。いくら配偶者と浮気相手がお互いに恋愛感情を持っていても、浮気にとどまり不法行為とは言えなくなります。

浮気に該当しそうでも、不貞関係とはまでは言えない行為の例は次の通りです。

  • 二人っきりで食事やデートをしているだけで終わっている
  • 親密ながら肉体関係を一切匂わせないメールやSNSのやり取りしかしていない
  • 数回程度のキスやハグでとどまっている

では肉体関係なしの浮気が原因で家庭が破壊されても、配偶者と不倫相手に一切の責任はないのでしょうか。

結論から言えば肉体関係がなくても、配偶者の度を超えた浮気行為が精神的苦痛や婚姻関係破綻の原因となるケースでは、不貞行為とは別で慰謝料や離婚請求が可能です。不貞行為なしで慰謝料請求になるケースは次の通りです。

  • 配偶者と浮気相手が結婚を前提に交際していた
  • 恋愛感情や性的興味が認められるメールを複数回送っている
  • 浮気相手が配偶者に対して何度も別居・離婚を要求した
  • 高価なプレゼント交換をした
  • キスやハグなどの親密なスキンシップを頻繁に行っていた
  • 浮気相手と頻繁に密会を繰り返していた

上記のような「婚姻共同生活の平和の維持」に反する行為に対して、慰謝料を請求できます。不貞行為をされたときよりも慰謝料の相場は低め(数十万円~100万円程度)です。ただし、これらの行為で離婚にまで発展したときは、離婚に関する慰謝料も請求できます。

配偶者が性的行為を強要され、肉体関係をもったケース

配偶者が浮気相手から性的行為を強要されて肉体関係を持ったときは、配偶者の不貞行為とは判断されません。これは前述した最高裁判所の不貞行為の定義に「自由意志に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」とあることからもわかります。

例えば性的行為を強要するにあたって暴力や脅迫などがあったときは、浮気相手に対して強制性交等罪が科せられる可能性があります。浮気相手が上司だったときは、上司の立場を利用したパワハラとして強要されたと判断できるでしょう。

一方で、「強く迫られたから」「嫌とは言えない空気だった」といった程度だと、強要されたとは言い難いです。このケースでは、配偶者へ慰謝料請求ができる可能性は高いでしょう。強要されて断れないうちに、気持ちが変わって不倫関係を継続したといった場合も、配偶者へ慰謝料を請求できる事由となります。

不貞行為を立証できれば裁判でも離婚できる

不貞行為を立証できれば、裁判上の離婚理由の根拠となる民法第770条第1項「配偶者に不貞な行為があったとき。」に基づいて、離婚請求ができます。

配偶者が離婚を認めず離婚調停や離婚裁判で争うことになっても、不貞行為の事実はこちら側に有利に働くでしょう。不貞行為が発覚した時点で相手側が不利なケースが多いため、相手が裁判を望まず、話し合いと合意で済む協議離婚で争いが終わるかもしれません。

ただし、いくら不貞行為を立証しても、離婚請求や慰謝料請求、財産分与などを有利に進めるには専門知識が必要です。相手側が弁護士を立ててくるときは、「そちらにも非がある」「その証拠では立証したことにならない」と反撃されるかもしれません。そのため、不貞行為を理由に離婚を検討する際は、弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

不倫であれば慰謝料請求ができる

不貞行為が発覚したり、不倫による精神的苦痛が発生したりしたときは、不倫を理由とした慰謝料請求が可能です。

まず前提として、不貞行為や不倫は犯罪ではないので、いくら相手が悪くても不倫関係を理由とした刑罰が科せられることはありません。しかし民法上の不法行為に該当することから、損害賠償の対象になります。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
e-Gov法令検索 民法第709条

以下では、不倫に関する慰謝料について解説します。

不倫の慰謝料の相場は50万~300万円程度

配偶者の不倫によって相手側に請求できる慰謝料の相場は、50万~300万円です。相場金額にバラツキがあるのは、夫婦関係の状態、不倫の状況、離婚の有無、子どもの有無、精神的苦痛の大きさなどによって金額が変動するからです。

以下では、不倫でよくあるケース別の慰謝料相場をまとめました。

不倫の状況 相場
別居しない 50万~100万円
別居した 100万~200万円
離婚に至った 200万~300万円

離婚が伴う、子どもがいる、配偶者と不倫相手の責任が大きいといったときは、慰謝料は増額されます。一方で不倫発覚後に夫婦の関係修復がなされている、もともと夫婦関係が悪かった、離婚していないといったケースだと、慰謝料は低めになる傾向が見られます。

配偶者と不倫相手両方に慰謝料請求ができる

不倫に関する慰謝料は、不倫の当事者である配偶者と不倫相手の両方に請求できます。ただし、あくまで1つの不倫に対する慰謝料請求であるため、双方からの慰謝料の二重取りはできません。例えば離婚に至る不倫で慰謝料200万円が発生する場合、配偶者100万円、不倫相手100万円といった請求になります。

不倫されてもこちら側が離婚に至らなかったときは、実質的に不倫相手にのみ慰謝料請求することになります(配偶者へ請求しても夫婦の共有財産からの支出になるため)。

このとき、不倫相手に求償権(自己負担を超える金銭を支払ったときに、超えた分の返還を求める権利)を行使されると争いの期間が伸びるため、求償権の放棄について話し合うなどの対策も必要です。不倫の慰謝料請求については、以下の記事で詳しく解説しています。

不倫相手と直接交渉する方法や訴訟を起こす方法がある

不倫相手に慰謝料を請求するときは、不倫相手とのやり取りが必ず発生します。不倫相手へ慰謝料を請求するときは、内容証明郵便を送ったり直接交渉したりして、話し合いを開始しましょう。話し合いで解決できるときは、金額やそのほか条件を合意したうえで示談金として慰謝料を支払ってもらいます。

話し合いで解決できないときは、調停(慰謝料請求調停や離婚調停)や離婚裁判など、裁判所を通じて法的な解決を求めていきましょう。

慰謝料請求をするには証拠が必要

不倫に関する慰謝料を請求するには、配偶者と不倫相手が不倫したことを立証する必要があります。不倫を立証する客観的証拠がなければ、不倫の事実は認められず、慰謝料請求は難しくなるでしょう。

不倫の証拠としては、「ラブホテルに出入りしている写真・動画」「肉体関係を匂わせるメールやSNSのやり取り」といった直接的なものに加えて、「不倫相手との頻繁な通話履歴」「ホテルの領収書やクレジットカードの明細」といった間接的なものが挙げられます。

不倫されていても慰謝料請求できない場合がある

不倫の事実や不貞行為を立証したとしても、ケースによっては慰謝料請求ができない可能性があります。不倫されていても慰謝料請求できない場合は次の通りです。

  • 時効を迎えて請求権が消滅している
  • 婚姻関係がすでに破綻している
  • 既婚者と知らずに不倫していた
  • ダブル不倫だった

それぞれのケースについて見ていきましょう。

時効を迎えて請求権が消滅している

不法行為などに対する慰謝料は、時効を迎えると請求権が消滅して請求ができなくなります。慰謝料請求の時効は、「不倫の事実と不倫相手を知ったときから3年」または「最後の不法行為のとき(最後に性行為した日)から20年」です。

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
e-Gov法令検索 民法第724条

なお慰謝料請求の時効は、内容証明郵便を送る、慰謝料請求に関して提訴する、相手側に債務を認めさせるといった方法で、時効の停止や更新ができます。

婚姻関係がすでに破綻している

配偶者が不倫・不貞行為をした場合でも、すでに婚姻関係が破綻している場合は慰謝料請求が認められない可能性があります。婚姻関係が破綻していると、不倫や不貞行為によって害される権利・利益がないと判断されるからです。

婚姻関係の破綻が認められる可能性があるケースは次の通りです。

  • 離婚を前提とした別居が長期間続いている
  • 離婚調停を行っているなど、離婚に向けた具体的な話し合いをしている
  • 配偶者に対してDVやモラハラ行為を長年続けていた
  • 不倫時点でお互いに夫婦関係を修復する意思がない
  • 借金、宗教活動、両親の不和、性生活の不一致などで夫婦関係が長年悪化している

相手側から婚姻関係の破綻を証明する証拠が提出されると、慰謝料の減額や請求却下になるかもしれません。

既婚者と知らずに不倫していた

不倫相手が、こちらの配偶者のことを未婚者だと完全に信じていたときは、不倫相手に対する慰謝料請求が難しい可能性が高いです。ただし不倫相手に責任がないと言えるのは、不倫相手に一切の過失がない場合です。不倫相手の過失がないケースとは、「配偶者に巧妙に騙されるなどして、相手が既婚者だと気づくのが困難であること」が挙げられます。

とはいえ、よほど緻密に騙されない限りは、不倫相手に過失がないと判断されることはありません。裁判所においても、過失がないと認められる判例は珍しいと言われています。

ダブル不倫だった

ダブル不倫とは、既婚者同士での不倫関係のことです。ダブル不倫の場合、双方の夫婦の被害者同士が慰謝料を請求し合うケースだと、慰謝料が相殺されて請求行為自体が無意味になる可能性があります。

例えばどちらの夫婦も離婚していない場合、夫の浮気相手に慰謝料請求をしても、浮気相手の妻から夫へ慰謝料請求することになります。お互いの請求金額が近いと、請求する必要性があまりないでしょう。

ただし「こちらは離婚して浮気相手の夫婦は離婚していない」というケースでは、こちら側への慰謝料のほうが大きくなる可能性が高いので、配偶者と浮気相手夫婦の両方へ請求する意味があります。

また、ダブル不倫でどちらの夫婦も離婚しているときは、独身になった元配偶者と浮気相手へ請求することになるので相殺されることはありません。むしろ元配偶者と浮気相手は、あなたと浮気相手の配偶者の両方に慰謝料を支払う必要性が出てきます。

不倫の慰謝料請求は弁護士に依頼するのが得策

不貞行為を伴う不倫や浮気による精神的苦痛に対する慰謝料を請求するときは、弁護士に依頼して対応するのが得策です。15万~30万円程度の着手金といった弁護士費用がかかるものの、慰謝料請求の話し合いや裁判を有利に進めやすくなります。

不倫の慰謝料請求で弁護士に依頼する具体的なメリットは次の通りです。

  • 専門知識と実務経験で適切に慰謝料請求手続きを進めてくれる
  • 手続きや交渉を代行してくれるので、不倫相手と会う必要がなくなる
  • 示談交渉で解決しやすく、裁判する必要がなくなるケースが多い
  • 不貞行為や不倫に関する証拠集めのアドバイスを受けられる

弁護士事務所の多くは、30分程度の無料相談を受け付けています。弁護士への依頼を検討している人は、ぜひ利用してみてください。

まとめ

不倫と浮気の違いは、肉体関係の有無や男女の関係性などが挙げられます。原則として不倫は、「既婚者が配偶者以外の異性と肉体関係になること」です。一方で浮気は、「婚姻関係にかかわらず、パートナーがほかの異性に関心を示すこと」と定義できます。浮気のなかに、不倫という概念があるイメージです。

不倫と浮気は、民法上の法律用語ではありません。既婚者が配偶者以外の異性と性行為をすることを、民法上では不貞行為と呼びます。不貞行為を立証できれば、配偶者や不倫相手に対して慰謝料請求が可能です。逆に、肉体関係が伴わない浮気に対しては、慰謝料請求はできません(浮気による精神的苦痛に対しての請求は可能なケースあり)。

不貞行為に該当するケースやしないケースはある程度傾向が決まっているので、慰謝料請求を検討する際は「本当に請求する理由があるのか」をしっかりチェックしましょう。慰謝料請求をするときは、専門知識での的確なサポートや不倫相手との交渉代行などを行ってくれる、弁護士への相談を推奨します。

浮気と不倫の違いなどに関するQ&A

一度の浮気でも慰謝料を請求できますか?

配偶者の浮気でかつ肉体関係が伴っているときは、1度の浮気でも慰謝料を請求できます。離婚にまで発展するなら、高額な慰謝料を請求できる可能性もあるでしょう。

ただし、複数回の肉体関係に対して請求できる慰謝料よりも、請求できる金額は少なくなる傾向にあります。また1回だけの不貞行為は、民法第770条における離婚理由として不十分になることが想定され、離婚が認められないケースも考えられます。

そもそも婚姻関係にないカップルだった場合は、パートナーと浮気相手が肉体関係にあっても不貞行為には該当しないので、何度浮気しようが慰謝料請求の対象になりません。

婚約や内縁関係でも不貞行為に対する慰謝料を請求できますか?

法律上の婚姻関係でない婚約関係や内縁関係の間柄であっても、不貞行為に関する慰謝料請求が認められる可能性があります。

正式に婚約関係を結んでいる場合、「将来的な結婚の約束という契約」「婚姻への明確な意思」が認められます。不貞行為そのものではなく、不貞行為に伴う契約破棄や精神的苦痛への慰謝料が、パートナーに発生する事由となります。婚約期間の長さ、結婚準備の有無、妊娠の有無、結婚式場のキャンセル料、結納金、引越費用などが、慰謝料の請求金額を決める要素です。

また、内縁関係とは法律上の事実婚であるため、内縁関係を立証できれば法律上の婚姻関係に準ずると判断されます(最高裁判所1958年4月11日判例)。そのため、貞操義務違反などに基づき、不貞行為による慰謝料が発生するとされています。ただし、法律婚と比較すると浮気相手が内縁状態に気づくのは難しいことから、浮気相手の過失が認められないケースが考えられるでしょう。