単身赴任中の配偶者が浮気したり、残った側の配偶者が寂しさを感じたりなど、単身赴任を原因とした離婚を考える夫婦は少なくないでしょう。
協議離婚や調停離婚といった、話し合いによる離婚なら離婚の理由は問われないため、単身赴任のみが理由であっても離婚は成立します。一方で、離婚を求める裁判の提起には民法上の「法定離婚事由」が必要になり、単身赴任のみが離婚したい理由だと訴訟を起こせません。
単身赴任をきっかけとして離婚が成立しやすいおよび離婚裁判を訴訟できるのは、「単身赴任中に配偶者が浮気した」「単身赴任中の配偶者から生活費が送られてこない」といった、民法上の法定離婚事由に該当するケースになります。
もし単身赴任を理由とした離婚を検討するときは、法的手続きが必要な調停・裁判離婚となる前に、協議の段階で円満に解決するのが望ましいです。
また、単身赴任以外に法定離婚事由(相手が不貞行為をした、生活費の分配を拒否するといった悪意の遺棄がある、すでに婚姻関係が破綻しているなど)が存在するときは、その法定離婚事由での離婚を検討しましょう。
本記事では株式会社Clamppyが1,000人に対して実施したアンケートを基に、単身赴任中の離婚の可否、単身赴任で離婚が認められるケース、単身赴任をきっかけとした浮気の原因や対処法などを解説します。
また、実際に単身赴任をきっかけとした離婚の見破り方、離婚前に確認したい注意点、離婚を進める手順などをまとめています。単身赴任中の離婚を検討されている方は、一度ご覧いただき参考にされてみてください。
単身赴任のみを理由にした離婚はできない
単身赴任を理由にした離婚ができるかは、話し合いでの離婚(協議離婚・調停離婚)か裁判所を通じた離婚かで変わります。
双方の合意の下で成立する「協議離婚」と「調停離婚」は、単身赴任のみを理由にした離婚でも成立する可能性があります。しかし、裁判まで話がもつれ込む場合だと、単身赴任だけを理由にした離婚は民法上できません。
以下では、単身赴任を理由とした協議離婚、調停離婚、裁判離婚の違いを見ていきましょう
話し合い(協議や調停)なら単身赴任を理由に離婚できるが、裁判での離婚は難しい
前提として、離婚の話し合いで夫婦双方が納得のうえでなら、単身赴任を理由とした離婚でも成立します。単身赴任に限らず、「性格が合わない」「ほかに好きな人ができた」などの理由でも離婚が可能です。
協議離婚は文字通り双方の協議によって離婚の有無や条件を決定する方法で、離婚全体の9割を占めています。家庭裁判所に申し立てる調停で離婚を求めるときも、調停のベースは双方の話し合いであるため、双方の合意があればどのような条件でも離婚は成立します。
しかし、片方が同意しない場合は、最終的に裁判にて離婚を認めてもらう必要があります。裁判所に離婚を認めてもらうには、以下の法定離婚事由に該当しなければいけません。
法定離婚事由 | 内容 |
---|---|
不貞行為 | 配偶者以外の人物と性的関係を持つ |
悪意の遺棄 | 無断別居、収入があるのに生活費を渡さない(経済的DV)など、夫婦間の義務を放棄する行為 |
3年以上の生死不明 | 消息を絶ってから3年経過している |
回復の見込みのない強度の精神病 | 統合失調症や認知症など、精神科医の判断により回復の見込みがないと判断される |
その他婚姻を継続しがたい重大な事由 | DVやモラハラ、正当な理由のない一方的で継続的な性行為の拒否などが該当 |
参考:e-Gov法令検索「民法」
単身赴任は、法定離婚事由には該当していません。
つまり、夫婦で話し合いが進まず、最終的に裁判所に離婚を認めてもらうことになる場合、単身赴任が理由では離婚ができないといえるでしょう。
単身赴任による別居は法定離婚事由に該当しない
長期にわたる別居は「夫婦関係が破綻している」と判断され、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当することがあります。
「ただ単に配偶者が長期にわたって別居をしている」「別居をして家庭から離れようとしており夫婦として継続する意思がない」という場合は、明確な意思の下で夫婦関係を破綻させているものとして、離婚が認められる可能性があるでしょう。
しかし、仕事の都合によって単身赴任をし別居となっている場合では、たとえ単身赴任が長期にわたったとしても、法定離婚事由には該当しません。仕事の都合による別居と、配偶者の意思による別居は異なるためです。
なお、単身赴任中の不倫や、単身赴任中に生活費がもらえないといった経済的DVなど、単身赴任がきっかけで法定離婚事由に該当する原因が発生することはあります。
仕事の都合で単身赴任をしているだけなら離婚は認められませんが、このように単身赴任がきっかけで離婚が認められるようになるケースがあることは理解しておきましょう。
単身赴任がきっかけで離婚が認められやすいケース
単身赴任がきっかけで離婚が認められる主なケースは以下のとおりです。
- 配偶者が浮気(不倫)をした
- 配偶者から生活費をもらえなくなった
- 別居が長期化し夫婦関係が破綻した
それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
配偶者が浮気(不倫)をした
単身赴任によって不倫や浮気、具体的には配偶者以外の人と性的関係を持っていた場合は、法定離婚事由である「不貞行為」に該当します。そのため、相手が離婚を拒否したとしても、最終的には裁判で離婚を認めてもらえる可能性が高くなります。
もちろん、これは単身赴任によって赴任する側、残される側どちらも同じです。
なお、不貞行為と浮気・不倫の違いは以下のとおりです。
婚姻関係 | 性的関係 | |
---|---|---|
不貞行為 | あり | あり |
不倫 | あり | 問わない |
浮気 | 問わない | 問わない |
一般的に不倫は婚姻関係がある状態で配偶者以外の人と恋愛関係を持つことを指します。浮気は婚姻関係にかかわらず、パートナー以外の人と恋愛関係を持つことを指します。
しかし、不倫や浮気の定義はあいまいで「手をつないだら浮気」「キスだけなら浮気じゃない」というように、人によって考え方はさまざまです。
対して、不貞行為は性的関係を持つか、または状況証拠的に性的関係があった可能性が極めて高いかどうかで判断します。
民法七七〇条一項一号の不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない。
引用元 裁判例結果詳細 | 裁判所
そのため、一方が「不倫・浮気された」と考えていても、法定離婚事由である「不貞行為」に該当しなければ、不倫・浮気を理由に離婚をするのは難しいと言えるでしょう。
離婚をするためにパートナーの「不倫・浮気」の証拠を探す場合は「2人でラブホテルに入る写真」「不貞行為を認めるようなメッセージのやり取り」などが必要になります。
配偶者から生活費をもらえなくなった
配偶者から生活費をもらえなくなった場合は、法定離婚事由である「悪意の遺棄」に該当します。悪意の遺棄とは、婚姻の本質的義務である「同居・協力・扶助義務」を、積極的かつ正当な理由なく履行しないことです。
民法の第752条にて「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定められており、これに沿って夫婦は「同居・協力・扶助義務」を果たさなければいけません。
(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
e-Gov法令検索
民法
単身赴任によって生活費をもらえない場合、扶助義務を果たしていないことになるため、結果として離婚が認められる可能性が高くなります。
ただし「積極的かつ正当な理由」であるかどうかも肝心です。
たとえば、勤務先からの給料の支払いが遅れたことによって生活費の支払いができなくなった場合は、やむを得ない理由があるため悪意の遺棄に該当しません。
なお、単身赴任も同居義務を果たしていないように見えますが、仕事の都合という正当な理由があるため悪意の遺棄には該当しません。
別居が長期化し夫婦関係が破綻した
単身赴任で夫婦が離れている期間は、離婚原因となる別居とは別扱いです。しかし、単身赴任期間が終わった後も家に帰ってこないのは、仕事に関係のない一般的な別居として扱われます。
もし単身赴任の期間が終わった後も、長期にわたって別居が続く場合は「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性があります。
単身赴任期間が終わった後、帰ってこない期間がどれくらい長くなると「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するかは、夫婦ごとの個別の事情を見て判断されます。裁判所の判決を見ると、別居期間3~5年程度なら長期間の別居として離婚を認めるケースが一般的です。
逆に言えば、どれだけ単身赴任が長引いても民法上の離婚原因にはなりません。夫婦関係がすでに悪化した状態のまま単身赴任になっても、裁判離婚するには単身赴任による別居以外の原因を根拠にする必要があります。なお、協議離婚や調停離婚で双方が合意の上なら、長期化した単身赴任を理由に離婚できます。
アンケートから見えた単身赴任中の浮気・離婚の実態
株式会社Clamppyが実施した単身赴任と浮気の関係に関するアンケートでは、単身赴任中の浮気や離婚の実態が見えてきました。ここからは弊社が1,000人に実施したアンケート結果を基に、単身赴任中の浮気・離婚の実態について考察します。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
回答者数 | 472 | 528 |
自分が単身赴任した、している | 440 | 31 |
配偶者が単身赴任した、している | 27 | 485 |
自分も配偶者も単身赴任した、している | 2 | 12 |
男性 | 女性 | |
---|---|---|
20代 | 50 | 95 |
30代 | 174 | 212 |
40代 | 138 | 159 |
50代 | 81 | 53 |
60代 | 23 | 8 |
70歳以上 | 6 | 1 |
単身赴任中の浮気の実態:単身赴任中の浮気発生率は26%
単身赴任中に自分または配偶者が浮気をしたと回答したのは、1,000人中259人でした。25%以上の人が、夫婦のどちらかが単身赴任中に浮気をしているという結果が出ています。
今回のアンケートでは、単身赴任中の男性が浮気をするケースが多く見られました。男性のほうが単身赴任になる仕事が多い、単身赴任をしている側は子どもとも離れて1人で暮らしているなどが要因として挙げられます。
単身赴任をきっかけに夫婦仲が悪くなったのは13%
夫婦どちらかの単身赴任がきっかけで、夫婦仲が悪くなったと感じている人は1,000人中129人と約13%となっていました。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
良くなった | 46 | 70 |
とくに変わらない | 367 | 362 |
良くなったと回答した人は全体の14%、悪かったと回答した人とほぼ同じ割合です。単身赴任のせいで夫婦仲に大きな影響が出るケースは、今回のアンケートではあまり見られませんでした。
これは単身赴任で夫婦の距離感が変わることで、良い方向に転ぶ人と悪い方向に転ぶ人がいるからだと考えられます。
単身赴任には「お互いに自由な時間が増えた」「新鮮な気持ちになれた」といったメリット、「妻と子どもに会えなくて寂しい」「トラブルや相談があったときに頼れない」といったデメリットの両方が存在します。単身赴任をメリットと捉えるかデメリットと捉えるかで、夫婦仲も大きく左右されそうです。
単身赴任で浮気に気づいた・気づかれたとき
今回のアンケートでは、単身赴任期間中に相手の浮気に気づいた人、浮気が相手に気づかれた人に関する調査もおこないました。
単身赴任中に相手に浮気がバレた理由
単身赴任中に浮気をして、相手に浮気がバレた理由は次の通りです。
単身赴任中に浮気がバレた理由 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
携帯電話のなかを見られた | 23 | 6 |
自分のお金の使い方が荒くなり気づかれた | 23 | 3 |
配偶者が単身赴任先にきてバレた | 21 | 2 |
連絡の頻度が減ったことで怪しまれた | 13 | 6 |
帰宅頻度が減ったことで怪しまれた | 10 | 4 |
浮気相手に送るはずのLINEやメッセージを間違って配偶者に送った | 12 | 1 |
職場の人から配偶者に伝わった | 8 | 2 |
SNSの投稿から配偶者にバレた | 6 | 2 |
相手が探偵を使った | 1 | 1 |
そのほか | 36 | 20 |
スマートフォン関連で浮気がバレることが多いことに加え、「お金の使い方が粗くなった」「帰宅頻度が減った」「単身赴任先にきてバレた」など、単身赴任中だからこそ起こる怪しい行動で発覚するケースが見られました。
そのほかの意見のなかには、「職場で浮気の噂が広まって妻に伝わった」と、会社経由でバレた事例もあります。
単身赴任中に相手の浮気に気づいた理由
相手が単身赴任中に浮気をしたときに、浮気に気づけた理由は次の通りです。
単身赴任中の浮気に気づいた理由 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
連絡の頻度が減った | 8 | 24 |
携帯電話のなかを見た | 5 | 23 |
相手のお金の使い方が荒くなり気付いた | 1 | 18 |
帰宅の頻度が減った | 13 | 6 |
単身赴任先に行って気づいた | 4 | 12 |
配偶者や知人のSNSに浮気を匂わせる投稿があった | 4 | 11 |
配偶者が浮気相手に送るはずのLINEやメッセージが間違ってこちらに届いた | 5 | 9 |
職場の人から聞いた | 2 | 10 |
怪しかったので探偵を使った | 0 | 3 |
そのほか | 26 | 14 |
浮気がバレた理由と同じく、スマートフォンのなかを見たりお金の使い方を怪しんだりしたことで、浮気を見つけたケースが見られます。1位が「連絡の頻度が減った」であることから、少しの違和感から浮気を突き止める人も珍しくないようです。
友人に相談したところ、SNSの投稿のコメントや友人を追っていき気づきました。(女性)
単身赴任中の浮気がバレたときの浮気期間
単身赴任中の浮気がバレたとき、浮気をしてからどれくらいの期間だったのかについてもアンケートをおこないました。
浮気がバレたときの浮気期間 | 男女合計 |
---|---|
3~6か月 | 40 |
1週間以内 | 35 |
6か月~1年以内 | 33 |
1~3か月 | 29 |
1週間~1か月 | 14 |
1~3年 | 14 |
3年超 | 3 |
バレていない | 64 |
全体の65%が1年以内に単身赴任中の浮気がバレているとの結果になりました。一方で、浮気がバレていない人は全体の28%も存在します。約3割のケースで、単身赴任中の浮気を継続していると回答しています。
また、単身赴任中に浮気をした人に対し、単身赴任が始まってからどれくらいの期間で浮気をしたのかも調査しました。
約9割の人が、単身赴任を始めてから1年以内に浮気を始めているという結果が出ています。
単身赴任中の浮気がバレて離婚したのは178人中61人で約34%
単身赴任中の浮気がバレた後、離婚したのは178人中61人と約34%でした。
10人中3~4人が離婚にまで発展している一方で、浮気相手とは別れて夫婦関係を継続しているのが全体の約44%と一番多いという結果になっています。
浮気したからといって必ず離婚するわけではなく、子育て、周囲からの評判、生活状況などを総合的に判断し、離婚をしない選択肢を取る人も多数いるようです。
単身赴任をした結果として離婚したのは1,000人中111人
浮気したかどうかに関係なく、単身赴任の結果として離婚に至ったのは1,000人中111人でした。
たとえ単身赴任中に浮気がなくても、離れて暮らすことによる寂しさや苦労、離れたことで変わった気持ちなどが要因で離婚する夫婦もいます。
単身赴任が離婚の原因だと考えているのは約47%
単身赴任があった後に離婚した人148人のうち、単身赴任中の浮気が離婚の原因だと考えているのは47%と約半数でした。
単身赴任中の浮気が離婚の原因かどうか | 男性 | 女性 |
---|---|---|
はい | 43 | 26 |
いいえ | 40 | 39 |
単身赴任をした結果として離婚したのは1,000人中111人の内容と同じように、単身赴任による離婚の原因は、必ずしも浮気には限らないことがわかります。
単身赴任の前に浮気をしていた・されていたケース
今回のアンケートでは、実は単身赴任の前に浮気をしていた、されていたケースについても調査しました。595人中100人が単身赴任する前に、浮気の事実があったと回答しています。
単身赴任をする前に浮気したこと、されたことがある | 男性 | 女性 |
---|---|---|
単身赴任をする前に浮気したことがある | 61 | 10 |
単身赴任をする前に浮気したことはない | 211 | 39 |
単身赴任をする前に浮気されたことがある | 10 | 19 |
単身赴任をする前に浮気されたことはない | 68 | 177 |
単身赴任中の浮気が初めてだったのは約53%
単身赴任中の浮気が人生で初めての浮気だったと回答したのは、全体の53%と約半数となっていました。
単身赴任がなかったら今後も浮気もしないかどうかは不明瞭ではあるものの、少なくとも単身赴任が浮気のきっかけの1つであると言えるでしょう。
単身赴任中に浮気相手に自分が既婚者だと伝えていたのは74%
単身赴任中に浮気していた人で、浮気相手に自分が既婚者だと伝えていたのが74%と高い割合になっていました。
つまり浮気相手も、相手が既婚者だと知りながら浮気をしているケースが多いとの結果が出ました。
離婚や浮気に対する慰謝料請求において、浮気相手が配偶者を既婚者だと知っているか否かは重要な論点です。万が一、浮気相手が浮気だと認識できず、浮気だと知ることが困難だと判断されたときは、浮気相手への慰謝料請求が認められない可能性があります。
アンケートからわかった単身赴任をきっかけに離婚する原因
今回実施したアンケートの傾向や回答者からの意見から、単身赴任をきっかけに離婚する原因が見えてきました。単身赴任を経て、以下の理由で離婚をするケースが多い傾向にあります。
- 出会いが増えて浮気(不倫)しやすい環境になった
- 1人の生活のほうが気楽だと心変わりしてしまう
- 結婚している意味が薄れた
- セックスレスになって性欲を消化する術が減った
以下では、アンケート結果を踏まえて、単身赴任中に浮気する原因について解説します。
出会いが増えて浮気(不倫)しやすい環境になった
単身赴任によって配偶者と離れると配偶者の目が届かなくなり、異性との出会いや交流が増えてもバレにくい環境になります。親交がある近所の住民や職場の人間からも離れるため、仮に浮気をしても見つからないだろうと安直に思い込むケースがあります。
この「浮気してもバレない」という余裕から異性との出会いを増やして浮気してしまうのが、単身赴任を経て離婚をする原因の1つです。
アンケート結果では、「単身赴任をきっかけに出会いが増えた」「浮気してもバレないと思った」と回答した人は、408人中118人と約29%を占めました。
単身赴任中に浮気した理由 | 男性(303人) | 女性(105人) |
---|---|---|
単身赴任をきっかけに出会いが増えた | 59 | 10 |
浮気してもバレないと思った | 36 | 13 |
1人の生活のほうが気楽だと心変わりしてしまう
単身赴任をすると1人の生活となって自由時間が増えるという特徴があります。外出の自由、食事や就寝時間の自由、交流の自由、お金の使い方の自由などから、独身時代を思い出す人も少なくありません。
久しぶりに1人で生活することで、「1人の生活の方が楽」「配偶者や子供と暮らしたくない」と感じてしまう可能性も考えられます。エスカレートすると、「赴任先でギャンブルをしすぎて貯金を使われていた」などのトラブルも考えられるでしょう。
さらに、独身気分で食生活や生活リズムが乱れてしまい、体がだらしなくなって魅力がなくなるリスクも存在します。
こうした積み重ねが原因で夫婦仲が悪くなったり、家族に対する気持ちが薄れたりして結果的に離婚につながってしまいます。
アンケート結果では、「独身に戻ったような気になった」「外出しやすくなった」「食生活が乱れて魅力がなくなった」と回答した人は、408人中150人と約37%を占めました。
単身赴任中に浮気した理由 | 男性(303人) | 女性(105人) |
---|---|---|
独身に戻ったような気になった | 67 | 20 |
外出しやすくなった | 48 | 14 |
食生活が乱れて魅力がなくなった | 0 | 1 |
結婚している意味が薄れた
単身赴任中だと、赴任者と残っている人のいずれも、「結婚している意味が薄れる」と感じる場面が多く存在します。
たとえば赴任者側は、独身時代と同じように仕事をしながら手続き関係、食事のメニュー決め、家事全般に対応しなければなりません。家族に会えないなかで配偶者へ生活費を送ったとしても、実際に家族と会うには時間をかけて帰省する必要が出てきます。
一方で残った側は、子育てがワンオペになる、マイホームの維持管理を自分で対応する必要があるなど、こちらもパートナーと協力できる部分を自分で対応せざる得なくなります。
そもそも離れ離れになるとうまくコミュニケーションが取れず、寂しさや煩わしさを感じることが双方ともにあるでしょう。
このような不満やストレスが要因となり、「結婚している意味がない」と判断して、離婚につながるケースがあります。
アンケート結果では、「1人の生活が寂しかった」「配偶者とのコミュニケーションが減った」と回答した人は、408人中67人と約16%でした。
単身赴任中に浮気した理由 | 男性(303人) | 女性(105人) |
---|---|---|
1人の生活が寂しかった | 33 | 16 |
配偶者とのコミュニケーションが減った | 10 | 8 |
セックスレスになって性欲を消化する術が減った
単身赴任をすると一緒に過ごす機会が少なくなるため、セックスレスになることも考えられます。そして、セックスレスによってお互いの気持ちが離れていき、夫婦仲が悪くなることによって、最終的に離婚につながることもあります。
また、単身赴任によってセックスレスになると「相手に不倫相手ができたのでは?」と疑心暗鬼になってしまい、関係が悪くなることもあるでしょう。
なお、セックスレスは「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性があります。ケースバイケースではあるものの、特に「子供が欲しいのにセックスできない」などの重大な理由があれば裁判でも離婚を認めてもらえる可能性は高くなるでしょう。
アンケート結果では、「性欲を消化する術が減った」と回答した人は、408人中42人で、そのうち男性は33人でした。
単身赴任中に浮気した理由 | 男性(303人) | 女性(105人) |
---|---|---|
性欲を消化する術が減った | 33 | 9 |
アンケートからわかった単身赴任中の浮気や離婚を防ぐ方法
今回実施したアンケートでは、単身赴任中の浮気や離婚を防ぐ方法についても調査しました。アンケート結果は次の通りです(複数回答可)。
意外と多かったのは、「とくにしていない」という意見でした。「そもそも浮気の心配をしていない」という人から、「別にバレても問題がない」と開き直る声まであります。
以下では、アンケート結果を踏まえた単身赴任中の浮気の予防策について解説します。
毎日連絡を取り週末や休日は自宅に帰る約束をする
単身赴任中でも頻繁に連絡を取ることは非常に大事です。もちろん人によって異なりますが、頻繁に連絡を取ることで、コミュニケーションが生まれ良好な夫婦仲を維持できるでしょう。
頻繁に連絡を取り、さらに週末や休日に会うことができれば、配偶者に対して「浮気をされていない」という安心感を与えることにもつながります。
「浮気をされているかも」と不安に感じさせてしまうと、結果として「浮気をされるぐらいなら自分も浮気をする」という思考が生まれてしまう可能性も考えられます。
そのため、連絡を取ったり会ったりして、できるだけコミュニケーションを取るようにしましょう。とくに連絡を頻繁に取る予防策は、アンケート結果でも全体の38%を占めるほど圧倒的に多い手段でした。
1人でも怠惰な生活をしない
1人でも怠惰な生活をしないというのも非常に重要です。単身赴任によって一人の生活が続くと、夫も妻も生活が乱れてしまうことは少なくありません。
たとえば、単身赴任中に帰省したときに「家が汚くなっていた」と夫から幻滅してしまうことも考えられます。もちろんこれは逆も言えることで「単身赴任をしてから夫の体型が変わっている」と妻から幻滅されてしまうこともあるでしょう。
そのため、帰省したときや単身赴任後に幻滅されないように、夫・妻ともに自分磨きはしておきましょう。
自分の気持ちや不満点をしっかりと伝える
単身赴任中は双方のコミュニケーションが少なくなるうえに、家のなかでの行動、態度、表情、声などの要素で自分の気持ちを伝えたり相手の機嫌を伺ったりすることが難しくなります。そのため、メールや電話でもよいので、単身赴任前よりも自分の気持ちや不満点をしっかりと伝えることを意識しましょう。
具体例は次の通りです。
- 感謝の気持ちを伝える
- 日常の体験を共有する
- 浮気されたら悲しい、許さないなど釘を刺す
ただし不自然な持ち上げや過剰な感謝だと、「いつもと違って怪しい」とむしろ浮気を疑われる可能性があります。
単身赴任先の家に家族の痕跡を残しておく
単身赴任中の浮気予防策として、単身赴任先の家に家族の痕跡を残しておくのも有効です。浮気相手への牽制になるだけでなく、配偶者に浮気を思い直してもらうきっかけになります。
たとえば自分や子どもの写真、ペアの食器、家族の記念日を書き込んだカレンダーなどが挙げられます。
納得した上で生活費の配分をする
単身赴任中は同居しているときよりも生活費がかかります。家賃や光熱費、通信費などが2重でかかってくるだけでなく、食費の合計額も高くなってしまうのが一般的です。食品は少量ずつ購入すると割高になるためです。
そのため、生活費はどのように配分するのかを入念に相談したうえで決めましょう。一方が納得しないまま生活を続けてしまうと、夫婦関係が悪化してしまいます。
また、単身赴任前に想定していた生活費と、実際に単身赴任をしてから判明する実際の生活費には隔たりがあることも少なくありません。そのため、単身赴任を始めてからも生活費についてはお互いが相談でき、意見を出し合えるような環境を作っておくと良いでしょう。
単身赴任中の浮気を見破る方法
これまで紹介したように、単身赴任によってさまざまなトラブルが発生しても、浮気などの法定離婚事由に該当しなければ、裁判で離婚は成立しません。
反対に、単身赴任中の浮気・不貞行為を見破り、証拠として残せば、たとえ相手が離婚を拒否していても裁判にて離婚を成立できます。
そこで、ここからは単身赴任中の浮気を見破る、以下4つの方法を紹介します。
- 急に会いに行く
- 配偶者のSNSを確認する
- 配偶者の居場所を確認する
- 探偵事務所などの調査機関を利用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
急に会いに行く
単身赴任中に急に会いに行くことで、浮気が判明することもあります。ただし、決定的な証拠を得るには、浮気相手と一緒にいるところに遭遇しなければいけません。
たとえば、突然会いに行って「嗅いだことのない香水の匂いがする」「配偶者とは違う髪の毛が落ちている」などと問い詰めても、知らぬ存ぜぬを決め込まれてしまっては意味がありません。
また、一度でも急に会いに行ってしまうと「いきなり来る可能性があるから自宅では浮気相手と会わないようにしよう」と警戒されてしまい、今後証拠を掴みづらくなってしまう可能性も考えられます。
そのため、急に会いに行く場合は、浮気相手と一緒にいることが確信できるシチュエーションであることが望ましいです。
家の近くで待ち伏せをし「浮気相手と思われる人が家の中に入ってから会いに行く」「もし浮気相手が確認できない場合は会わずに帰る」というのも一つの手です。
配偶者のSNSを確認する
配偶者のSNSを確認するのも一つの手です。SNSに浮気の証拠が残っている可能性があります。
ただし、一般的に鍵アカウントでない限りはSNSに決定的な証拠を残すことはありません。
「自宅で撮った写真に配偶者以外の人がいる」などと突き付けても「職場の人といた」「気のせい」だとはぐらかされてしまう可能性もあるでしょう。また、その後は警戒されてしまいさらに証拠を見つけるのは困難になってしまいます。
そのため、SNSのチェックは慎重に行い、1つの証拠だけでなく複数の証拠を確保し、言い訳ができない状況を作ってから突き付けるようにしましょう。
配偶者の居場所を確認する
配偶者の居場所を確認することで浮気を見破れることもあります。急に会いに行くのと併用すると、より見破りやすくなります。
たとえば配偶者が家にいないことを確認したうえで「今なにしているの?」「今日の予定は?」と連絡をし「家にいる」と返信が来た場合は、浮気をしている可能性が高いです。
たとえ浮気相手と一緒にいるところを確認できなくても、嘘をついていることが分かれば、その後スマートフォンなどをチェックさせてもらえる口実が作れます。また、問いただすことで白状してもらえることもあるでしょう。
探偵事務所などの調査機関を利用する
「子供がいて自力で浮気の証拠を見つけるのが難しい」「証拠は見つけられなかったけど浮気してそう」という場合は、探偵事務所などの調査機関を利用してみましょう。
探偵事務所に依頼して浮気をしていることが判明すれば、裁判の際に有利になる証拠ももらえます。
なお、探偵事務所の依頼費用は10万円以内で済む場合もあれば、100万円以上かかる場合もあり状況によってさまざまです。一般的に調査している時間が長いほど費用は高くなるため、浮気をしている確信があるときの利用がおすすめです。結局浮気をしていなかった場合は、調査費用を支払うだけになってしまうことは留意しておきましょう。
浮気調査の費用は高額になる場合はあるものの、浮気が原因で離婚をすることになったら、多くの場合で100万円以上の慰謝料を受け取れます。また、探偵事務所への依頼費用を損害賠償として配偶者に請求できる場合もあります。そのため、自力で証拠を見つけるのが難しい場合は、探偵事務所に頼ってみましょう。
単身赴任中に離婚する際の注意点
単身赴任中に離婚をする場合、通常の離婚とは異なり以下のような注意点があります。
- 離れているので話し合いや手続きで苦労しやすい
- 離婚すると単身赴任手当がもらえなくなる
- 財産分与の基準時が立証が困難な場合もある
- 浮気の証拠集めが大変になる
それぞれの注意点を確認し、スムーズにトラブルなく離婚を進めましょう。
離れているので話し合いや手続きで苦労しやすい
単身赴任中の離婚で苦労したことでほとんどを占めていた意見は、「住んでいる場所が離れて大変だった」というものです。「話し合いや手続きのために往復するのが面倒」「そもそも話し合う場を設けるのが大変」といった意見が見られました。
単身赴任中に離婚をする場合は、当然赴任者は自宅にいないため、会って話し合いをするのが難しくなります。
離婚をする際は口約束でのトラブルを避けるために、離婚協議書や公正証書に離婚の条件を記載するのが望ましいです。帰省するタイミングや、電話・テレビ通話などで話し合いをして書類に条件を記載することは可能ではありますが、話し合いができる機会が少なかったり、実際に対面できなかったりして、入念なコミュニケーションが取りづらくなります。
そのため、離婚が成立するまでに時間がかかることは覚悟しておきましょう。
現在ではテレビ電話やオンライン会議システムなどを用いることで、遠方同士でも話し合いが進めやすくなりました。しかし、マイホームの私物の移動・処分、各種手続きなどは、単身赴任中の離婚だと今でも時間や労力がかかります。
単身赴任によって会って話すのが難しいなら、弁護士への依頼も検討してみてください。
離婚すると単身赴任手当がもらえなくなる
離婚をすると単身赴任手当がもらえなくなります。単身赴任手当がもらえないと、単に収入が少なくなるだけでなく、養育費の額にも影響が出てきます。
養育費は、双方の年収を加味したうえで決まります。親は子供に対して、自分の生活と同程度の生活を保持する義務があるため、年収が高ければ必要な養育費もそれだけ高くなるのが一般的です。
年収は一般的に源泉徴収票に記載されているものから算出されますが、源泉徴収票に記載の年収には単身赴任手当も含まれています。つまり、源泉徴収票に記載の年収のまま養育費を算出しようとすると、離婚後の収入に対して高い養育費を支払うことになってしまいます。
たとえば、夫の年収が500万円、妻が専業主婦で、子どもが1人なら「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」を参考に養育費を算出すると、月6万円~8万円になります。しかし、単身赴任手当がなくなって夫の年収が400万円になったとすると、算出される額は月4万円~6万円です。
単身赴任手当込みの年収で養育費を算出すると夫側の負担が大きくなるため、単身赴任手当を抜いた年収で養育費を算出しましょう。
財産分与の基準時が立証が困難な場合もある
単身赴任中の離婚では、財産分与の基準時が立証しづらくなる点にも注意しなければいけません。
前提として、離婚をする際は、財産分与といって夫婦の財産を2人で分けることになります。これはどちらが働いていたかどうかは関係なく、2人で築いた財産は一般的には2分の1にして分けます。ただし、夫婦関係が破綻していた場合は、夫婦関係が破綻した日(主に別居日)を基準時として、それ以降に得た収入による貯金、財産は財産分与されません。
単身赴任中の離婚で問題になるのが、夫婦関係が破綻した日である、基準時の立証が難しいという点です。一緒に住んでいた場合は、わかりやすく別居日を基準時とすることはできるものの、単身赴任をしている場合は、最初から別居をしている状態といえるため、基準時について夫婦で意見が食い違う可能性もあるでしょう。
お互いで話し合いがまとまらない場合は、過去に行った夫婦間のやり取り・メッセージなどから基準時を立証することもあります。
浮気の証拠集めが大変になる
単身赴任中に相手の浮気を証明しようとしても、遠方の相手が浮気している証拠を集めるのは至難の業です。浮気の証拠集めが大変だったとの声は、アンケートにていくつか見られました。
遠方にいる配偶者の浮気の証拠を集めるときは、単身赴任中の浮気を見破る方法で解説した内容に加え、探偵に依頼することも視野に入れてみてください。
単身赴任中に離婚する手順
単身赴任中に離婚を考えたら、離婚時に有利になるような証拠を集めましょう。DVや浮気などの証拠を集めておけば、裁判で有利になったり慰謝料を請求できたりします。
証拠集めの準備が終わったら、配偶者と離婚の可否や条件について話し合いを進めていきます。この夫婦間で話し合いをして離婚することを「協議離婚」といいます。
「協議離婚」で話がまとまらない場合は「離婚調停」をし、それでも話がまとまらない場合は「離婚裁判」をするというのが一般的な流れです。
離婚方法 | 内容 |
---|---|
協議離婚 | 夫婦で話し合いをして双方合意の条件のもと離婚ができるように進める |
離婚調停 | 双方の話し合いで解決できない場合に行われる 調停委員という人が仲介に入ったうえで話し合いをし、双方合意の条件のもと離婚ができるように進める |
離婚裁判 | 離婚調停でも解決しない場合に行われる 離婚するかどうか、親権や養育費の内容などを裁判所が判決する |
証拠集めから離婚をするまでの手順を詳しく見ていきましょう。
浮気や経済的DVが理由で離婚する場合は証拠を集める
単身赴任中に、浮気や生活費がもらえないなどの経済的DVが理由で離婚する場合は、証拠を集めておきましょう。これらは法定離婚事由になるため、たとえ相手が離婚を拒否して離婚裁判までもつれ込んでも、証拠さえあれば離婚ができます。また、証拠があれば慰謝料を請求することも可能です。
証拠となり得るものとしては主に以下のとおりです。
離婚原因 | 証拠になり得るもの |
---|---|
浮気 | ラブホテルを出入りする写真・動画 ラブホテルの領収書・クレジットカード明細 不貞行為があったことを裏付ける動画・音声・メッセージ 浮気相手や配偶者が不貞行為があったことを認めている音声 |
経済的DV | 経済的DVをしていることを裏付ける音声・メッセージ 通帳の内容 家計簿の記録 借金の借用書 経済的DVについて記録した日記 |
単身赴任中の浮気の証拠を自力で集めるのは簡単ではないため、探偵に依頼することも検討しましょう。
生活費がもらえないといった経済的DVは、経済的DVをしていることを裏付ける音声・メッセージがあれば証拠となります。ほかにも、通帳の内容や家計簿、経済的DVの内容を綴った日記でも証拠になります。経済的DVによって借金をしてしまっている場合は、その借用書も証拠の一つとなるでしょう。
離婚について協議する
続いて、夫婦で離婚について話し合いましょう。離婚の話し合いの進め方に決まったルールはないものの、単身赴任をしている配偶者に対して離婚を申し出る場合は、自ら離婚届をもって会いに行くことをおすすめします。
離婚の話し合いはストレスになりますし、特に相手が単身赴任中だと、離婚届を郵送して穏便に終わらせたくなる気持ちもあるかもしれません。しかし、配偶者が離婚の意思を持っていなかった場合、郵送した離婚届を放置されてうやむやになってしまうことも考えられます。
また、離婚というのは離婚届けを出せば終わるものではなく、養育費や財産分与、浮気などをしているなら慰謝料などについても話し合わなければいけません。これらの額に決まりはないため、お互い綿密に話し合わないと後からトラブルになってしまいます。
そのため、自ら離婚届をもって会いに行く、もしくは配偶者が自宅に帰った時に話し合いをしましょう。
ここで話し合いができ、双方が条件に合意すれば協議離婚は成立です。
離婚に夫婦間で合意を得られなかった場合は離婚調停
協議離婚が不成立となった場合は離婚調停をすることになります。
離婚調停というのは相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをすることになります。つまり、夫が単身赴任をしており、妻が調停を申し立てする場合は、妻が単身赴任先の住所を管轄している家庭裁判所まで足を運ぶということです。
離婚調停は基本的に月に1回のペースで行われ、おおむね3か月から半年、長いと1年以上かかることもあります。特に単身赴任先が遠くて高額な交通費がかかる場合は、申し立てる側に大きな経済的な負担がかかるということは理解しておきましょう。
離婚調停によって双方合意となった場合は、調停の内容を記載した調停調書を裁判所が作成してくれます。
その後は調停調書と離婚届を役所に提出することで、離婚は成立します。離婚調停をする場合は、証人の署名捺印・夫婦2人の署名捺印は不要です。
なお、離婚調停が成立してから10日以内に離婚届を提出しないと、5万円以下の過料が発生します。そのため、調停が成立したら速やかに離婚の手続きを済ませましょう。
離婚調停が不成立の場合は離婚裁判をする
離婚調停が不成立となった場合は、最終的に離婚裁判を起こすことになります。そもそも離婚裁判は「調停前置主義」に則り、離婚調停を経なければ提起できません。
離婚裁判は最終的な判断を裁判所が下すため、たとえ配偶者が離婚を拒否していても、法定離婚事由に該当していれば離婚を認めてもらえます。
ただし、前述しているように、単身赴任だけが理由なら法定離婚事由には該当しません。不貞行為や悪意の遺棄などの、法定離婚事由がない場合は一般的に離婚は認められないということは理解しておきましょう。
また、たとえ不貞行為や悪意の遺棄が実際にあったとしても、証拠を提示できなければ一般的に離婚は認めてもらえません。
そのため、法定離婚事由がある場合は証拠を集めてから離婚を進める、法定離婚事由がない場合は話し合いで離婚を成立させるようにしましょう。
単身赴任をきっかけとした離婚を検討する際は弁護士への相談がおすすめ
単身赴任をきっかけとした離婚を検討する際は、弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士に相談するメリットは次の通りです。
- 単身赴任中の相手の行為が離婚事由に該当するかを正確に判断してくれる
- 浮気の証拠集めに協力してくれる
- 遠方の配偶者との交渉を代理で進めてくれるので、こちらの労力を抑えられるうえに精神的に安定できる
- 財産分与、養育費、面会交流、慰謝料、親権などについても依頼できる
今回実施したアンケートでは、離婚の際に弁護士に依頼した人は全体の18%です。5人に1人は弁護士を使っており、法的手続きが必要のない協議離婚が全体の9割を占めると考えると、調停や裁判に発展するケース・相手が弁護士を立ててきたケースでは弁護士に依頼するのは一般的だと言えるでしょう。
離婚の際に弁護士に依頼したか | 男性 | 女性 |
---|---|---|
はい | 10 | 12 |
いいえ | 63 | 36 |
に夫婦間の愛が消滅した本当の事を説明してわかって貰いました。(男性)
まとめ
離婚は双方合意であればどのような理由でも可能です。しかし、一方が離婚を拒否している場合は、最終的に裁判にて離婚を認めてもらう必要があります。裁判で離婚を認めてもらうには、法定離婚事由に該当する理由が必要ですが、単身赴任は法定離婚事由には該当しません。
そのため、相手が拒否している場合は、単身赴任だけを理由に離婚は基本的にできません。
ただし、単身赴任によって法定離婚事由に該当するケースが出てくる場合は、離婚を認めてもらえる可能性があります。主なケースとしては「単身赴任によって不倫された」「生活費をもらえなくなった」などです。
そのため、単身赴任だけを理由に離婚したい場合は、配偶者と話し合いで離婚を進めてください。法定離婚事由には該当しないものの、話し合いにて離婚成立を目指しましょう。
不倫や経済的DVなど、法定離婚事由に該当する場合は、事前に証拠を集めたうえで離婚の話し合いを進めましょう。なお、不倫や経済的DVをされた場合は、慰謝料を請求できます。よりスムーズに慰謝料の請求をしたい場合は、弁護士に依頼することも検討してください。
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単身赴任中の離婚に関するよくある質問
単身赴任のためセックスレスに陥った場合、離婚できますか?
海外に単身赴任したままの配偶者と離婚することは可能ですか?
単身赴任をした夫に慰謝料請求できますか?
単身赴任をきっかけに離婚することになった場合、夫を単身赴任させた会社に対して慰謝料請求できますか?
単身赴任中の婚姻費用を請求できますか?
単身赴任中でも婚姻費用を支払わないといけないでしょうか?
単身赴任に関するメリット・デメリットは何ですか?
単身赴任のメリット | 男性 | 女性 |
---|---|---|
自由な時間が増えた | 345 | 332 |
家事が楽になった | 46 | 329 |
家族の生活環境を変えずに済んだ | 73 | 136 |
家族と距離を置けた | 88 | 88 |
新しい環境で気持ちを切り替えられた | 127 | 42 |
とくにない | 35 | 35 |
そのほか | 10 | 13 |
男女ともに多かったのが「自由時間が増えた」、女性からの回答が圧倒的に多かったのは「家事が楽になった」、男性からの回答が多かったのは「新しい環境で気持ちを切り替えられた」でした。男性側は1人になったことへの開放感をメリットに感じている反面、浮気がしやすい環境になっている背景とも言えます。
そのほかのメリットについての意見は次の通りです。
続いて、単身赴任に関するデメリットについての意見を見ていきましょう。
単身赴任のデメリット | 男性 | 女性 |
---|---|---|
寂しさを感じる | 272 | 282 |
お金がかかる | 202 | 223 |
家族に会えない | 202 | 174 |
子育てが大変になる | 47 | 205 |
引っ越しが面倒 | 113 | 66 |
家事が大変になった | 105 | 32 |
マイホームが持ちづらい | 58 | 78 |
子どもを作りにくい | 52 | 65 |
生活リズムが崩れる | 65 | 45 |
とくにない | 13 | 29 |
そのほか | 7 | 9 |
男女のいずれでも約25%を占めていたのが、「寂しさを感じる」でした。やはり夫婦の一方が家からいなくなってしまうことを、デメリットと思う人は多いようです。この寂しさが要因となって、単身赴任中の浮気につながるケースも存在します。
そのほかのデメリットについての意見は次の通りです。