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うつ病を理由に離婚したい!離婚事由となる条件や離婚の流れを解説

うつ病 離婚
南陽輔 弁護士
監修者
南 陽輔
大阪市出身。大阪大学法学部、関西大学法科大学院卒業。2008年に弁護士登録(大阪弁護士会所属)。大阪市の法律事務所に勤務し、離婚問題や債務整理などの一般民事事件のほか、刑事事件など幅広い法律業務を担当。2021年に一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成の支援、起業時の法的なアドバイスなどの予防法務を中心に業務提供をしております。皆さんが利用しやすく、かつ自由で発展的なビジネスが可能となるサービスを提供いたします。

結婚生活を続けていると、元気だった配偶者がうつ病になってしまうことがあります。

今まで通りの生活ができなくなったり、配偶者のサポートを続ける日々に疲弊したりしたことで、離婚を考えている方もいるのではないでしょうか。

結論から述べると、うつ病だけを理由に離婚するのは難しいとされています。

夫婦には協力・扶助の義務があり、配偶者がうつ病になったときはサポートをしなければならないためです。また、裁判で離婚を成立させるためには法定離婚事由に該当する必要があるのですが、うつ病は法定離婚事由には当てはまりません。

ただし、配偶者が「回復見込みのない強度の精神病」に陥っていたり、うつ病がきっかけで別居していたりする場合、法定離婚事由に該当する可能性があります。

本記事では、配偶者のうつ病で離婚するための条件や、離婚に際して注意するポイントなどを解説します。

なお、うつ病の配偶者のサポートや言動などで悩んでいるときは、医師や心理カウンセラーに相談の上で治療を進めていきましょう。

治療を行っても回復する見込みがなく耐えきれない場合、弁護士に相談して離婚の話し合いを進める方法がおすすめです。離婚の話し合いを行う際には、離婚の可否だけでなく、親権や養育費、財産分与など決めるべき離婚条件が数多くあるからです。

弁護士に相談すれば裁判に発展したときのことも見据えられるため、ぜひ検討してみてください。

うつ病を理由に離婚するのは原則難しい

夫婦の話し合いでお互いが離婚に合意すれば、うつ病を理由に離婚できます。話し合いによって離婚を決める場合、離婚理由は問われないからです。

ただし、相手が離婚を拒否して裁判に発展した場合、うつ病だけを理由に離婚するのは原則として難しいと考えておきましょう。

夫婦には同居・協力・扶助の義務があり、配偶者がうつ病になったときは回復するようにサポートしなければならないためです。

自分と配偶者のどちらがうつ病になっていたとしても、うつ病のみを理由とした離婚は「法定離婚事由」には当てはまらないため、基本的に裁判では認められません。

法定離婚事由は、民法第770条で定められている離婚原因のことです。法定離婚事由は以下の5つがあります。

法定離婚事由 概要
不貞行為 自由意思に基づき、配偶者以外の人物と肉体関係を持った
悪意の遺棄 正当な理由なく同居・協力・扶助の義務を果たさなかった
3年以上の生死不明 3年以上配偶者の生死不明の状態が続いている
回復見込みのない強度の精神病 配偶者が回復できないほど強度の精神病に陥っており、夫婦の義務を果たせない
その他婚姻を継続し難い重大な事由 性格の不一致、DV、モラハラ、長期間の別居など

うつ病を理由に離婚する場合は、法定離婚事由である「回復見込みのない強度の精神病」に該当するかどうかがポイントになります。

また、うつ病をきっかけにDVや長期間の別居など、別の問題が生じている場合にも離婚が認められる可能性があります。

うつ病だけで離婚するのは原則として難しいため、法定離婚事由に該当する部分がないかどうかを確認してみてください。

うつ病を理由とした離婚率は低い

うつ病を理由に離婚した夫婦の割合について、公的なデータは公開されていません。

しかし、裁判所が公開している司法統計によると、「病気」を理由に離婚した夫婦の割合は全体の10%未満でした。

病気の中には精神病のほかに身体的な病気も含まれているため、うつ病を理由とした離婚率はさらに低いことが想定されます。

上記のようなデータからも、うつ病だけを理由に離婚することは難しいことがわかります。

参照:第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別申立人別|司法統計

うつ病が離婚事由となる際の条件

うつ病を理由に離婚を成立させるためには、配偶者が夫婦の義務を果たせないほど「強度の精神病」に陥っていることを立証する必要があります。

また、配偶者が軽度のうつ病だったとしても、うつ病をきっかけに別の問題が発生している場合には、離婚が認められます。

次の項目から、うつ病が離婚事由となる際の条件について詳しく見ていきましょう。

「強度の精神病」に該当している

配偶者が軽度のうつ病であれば回復の見込みがあるとみなされ、法定離婚事由にはなりません。

うつ病を理由に離婚したい場合は、法定離婚事由である「強度の精神病にかかり、回復の見込みがない」に該当するかどうかが争点になります。

強度の精神病と判断される基準として、夫婦の同居・協力・扶助の義務を果たせないほどの精神病に陥っているかどうかがポイントです。

精神病によって仕事もできず、意思疎通もできないような状態である場合、強度の精神病と判断される可能性があります。たとえば統合失調症や躁うつ病(双極性感情障害)、偏執病などが該当します。

なお、素人では強度の精神病であるかどうかの判断はできないため、精神科医や心療内科医などの専門家にも相談しなければなりません。

病院で強度の精神病に該当する病気であると判断されれば、離婚が成立する可能性が高くなります。

また、離婚するかしないかにかかわらず、うつ病になっているのであれば通院は必要なので、まずは病院で相談するところから始めてみましょう。

うつ病をきっかけとした別居やDVが発生している

配偶者が強度の精神病でなかったとしても、法定離婚事由の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する状況であれば、離婚が認められるケースがあります。

たとえば、うつ病をきっかけに配偶者が暴力を振るうようになったり、無断で長期間の別居をしたりした場合などです。

反対に、配偶者のDVやモラハラなどが原因で自分がうつ病になってしまった場合でも、離婚が認められる可能性があります。

その他婚姻を継続し難い重大な事由に該当することを証明するためには、客観的な証拠を提示しなければなりません。

DVを受けている場合であれば、傷跡や破壊された物の写真、配偶者が暴れている動画、病院の受診歴や診断書などが証拠になります。

うつ病をきっかけに別の問題が生じているときは、適切な証拠を集めたうえで離婚を切り出すことが重要です。

うつ病を理由に離婚する際のポイント

うつ病を理由に離婚する場合、裁判においては以下の2つのポイントが考慮されます。

  • 配偶者のサポートを十分に行ってきたことが重要視される
  • 離婚後パートナーの生活が成り立つことが求められる

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

配偶者のサポートを十分に行ってきたことが重要視される

配偶者がうつ病になった後、十分なサポートを行ったにもかかわらず回復しなかった場合、離婚が認められる可能性があります。

反対に、配偶者のサポートを一切せずに離婚を望んだとしても、基本的には認められません。

民法752条では以下のように夫婦の同居・協力・扶助が義務付けられているからです。

第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
引用元:民法|e-Gov法令検索

うつ病がきっかけで配偶者が働けなくなったり、家事ができなくなったりした場合でも、夫婦で協力して問題を乗り越えていく必要があります。

離婚が認められるためには「うつ病の配偶者を長期間サポートしてきたが、回復する見込みがなく耐えられなくなった」という主張ができるかどうかがポイントになります。

たとえば長年にわたって献身的な看護を続けながら仕事と家事をこなし、生活費や療養費も負担してきた場合、配偶者を十分にサポートしてきたといえるでしょう。

上記のケースの場合、看護日記や家計簿、病院の受診歴、診断書などが配偶者をサポートしてきた証拠になります。

うつ病を理由に離婚するためには、まず配偶者が回復するように努めなければならないという点を念頭に置いてください。

離婚後パートナーの生活が成り立つことが求められる

離婚によってパートナーの生活が困窮することが予測される場合、離婚の成立は難しくなります。離婚を認めることにより、パートナーの命がおびやかされる危険性があるためです。

精神病によって仕事ができないのであれば生活保護を受けられる可能性もありますが、絶対に受給できるという確証はありません。

そのため、うつ病の配偶者と離婚する際には、家族から生活のサポートを受けられるかどうかが重要なポイントになります。

一例として、配偶者が精神病にかかり、離婚請求が認められた判例を紹介します。

生活が苦しい中で妻の療養費を8年にわたって支払い続け、看護を続けてきた夫による離婚請求。妻の実家は十分な資産があり、療養費の支払いも可能であることから、離婚が認められた。
参照:裁判例結果詳細|裁判所

上記のケースでは、離婚しても妻の面倒は実家で十分に見てもらえることから、離婚請求が認められました。

離婚後もパートナーの生活が保障されることを証明できれば、裁判で離婚が認められる可能性はあるといえます。

うつ病を理由とした離婚の流れ

うつ病を理由に離婚する場合の主な流れは以下のとおりです。

  1. うつ病が原因で離婚することを証明する証拠を集める
  2. 協議離婚を行う
  3. 協議離婚で決着がつかなければ調停を行う
  4. 調停でも結論が出なければ裁判離婚を行う

それぞれの流れについて詳しく解説します。

1.うつ病が原因で離婚することを証明する証拠を集める

まずは、配偶者のうつ病が原因で離婚に追い込まれたことを証明するための証拠を集めましょう。

もしも配偶者と離婚の話し合いがまとまらず、調停や裁判になった場合、証拠を提示しなければ離婚が成立しないためです。

うつ病で離婚する際に集めておいた方が良い証拠は以下のとおりです。

  • うつ病の診断書
  • 病院の通院歴・治療履歴
  • うつ病の治療費の明細書
  • 罹患前後の収入の違いを立証する資料
  • うつ病の看護日記

うつ病を証明するための診断書や明細書のほか、罹患によって収入が下がっている場合は給与明細書や源泉徴収票なども証拠として用意しておきましょう。

なお、うつ病をきっかけに暴力や暴言など別の問題が発生しているときは、その他の証拠集めも必要です。

たとえば配偶者が暴言を吐いている録音や、暴れている動画などは有力な証拠になります。状況に応じて適切な証拠を集めてください。

2.協議離婚を行う

配偶者との離婚を進めるときには、まず夫婦間の話し合いでお互いの意思を確認し、協議離婚を目指します。

協議離婚は、裁判所を通さずに夫婦の合意によって離婚する手続きのことです。

うつ病の配偶者に離婚を切り出すのは難しい場合もありますが、早期に結論を出せる可能性があり、双方の負担が最も少なく済みます。

配偶者と離婚の話し合いを行い、同意してもらえれば親権や財産分与など離婚条件を取りまとめ、離婚届を提出しましょう。

ただし、うつ病の症状によっては話し合いが難航するケースもあるため、注意が必要です。

たとえばうつ病によって配偶者が暴力的になっているのであれば、離婚を切り出すことによって危険な目にあう恐れがあります。

また、相手が離婚後の生活を不安視し、頑なに離婚に応じないというケースも少なくありません。

相手との話し合いが難しいときは、弁護士などの第三者を介して協議離婚を行うことも検討してみてください。

3.協議離婚で決着がつかなければ調停を行う

協議離婚は、あくまでもお互いの合意の上で離婚する方法であるため、弁護士を入れたとしても解決するとは限りません。

そのため、話し合いがまとまらなければ、裁判所に調停を申し立てて行う「調停離婚」を検討する必要があります。

調停離婚は、家庭裁判所の調停室で調停委員を介して話し合いを行い、夫婦の合意によって離婚を目指す方法です。

離婚調停では相手と顔を合わせずに話し合いが進められるため、夫婦2人よりも冷静な話し合いが可能です。

調停期日は1ヶ月に1回程度のペースで、基本的には平日に実施されます。相手が離婚を拒否していると調停が長引くケースもあるため、離婚条件などで妥協できるポイントをあらかじめ決めておきましょう。

なお、離婚調停は個人でも対応できますが、交渉を有利に進めるためには弁護士への依頼がおすすめです。

4.調停でも結論が出なければ裁判離婚を行う

調停で夫婦の一方が離婚を拒否し続けた場合は調停不成立となり、離婚裁判によって決着をつけることになります。

裁判で離婚請求が認められれば強制的に離婚が成立するため、相手の合意を得なくても離婚が可能です。

離婚裁判で離婚を成立させるためには、法定離婚事由に該当していることを証明しなければなりません。

配偶者がうつ病という理由だけでは法定離婚事由にはならないため、訴訟を起こしても離婚が認められる可能性は低いです。

一方、配偶者が回復見込みのない強度の精神病に陥っていたり、うつ病によって他の問題が生じていたりする場合、証拠を提示すれば離婚できる可能性があります。

なお、離婚裁判を起こせば裁判基準で判断してもらうことはできますが、時間と労力がかかる点には注意が必要です。

裁判の口頭弁論は基本的に月に1回のペースで実施され、基本的には複数回にわたる口頭弁論を経て判決が言い渡されます。そのため、離婚裁判が決着するまでには1年〜2年ほどの時間がかかるケースが一般的です。

弁護士の腕によっても時間と労力には差が生じるため、有利な条件で裁判を進めるためにも、離婚問題の実績が豊富な弁護士に依頼しましょう。

うつ病が原因の離婚では慰謝料・親権・養育費はどうなる?

うつ病が原因で離婚する場合、慰謝料・親権・養育費などの問題は以下のように判断されます。

争点 概要
慰謝料 うつ病だけが理由なら慰謝料の請求は不可
親権 子供の環境を最優先に考慮して決定される
養育費 非親権者の経済状況によって決定される

慰謝料・親権・養育費がどのように決まるのかについて、それぞれ詳しく解説します。

うつ病だけが理由なら慰謝料は原則なし

離婚の理由がうつ病だけの場合、原則として慰謝料は請求できません。

うつ病は精神的な病気の一種であり、本人に責任を問うことが難しいとされているからです。

ただし、うつ病がきっかけで暴言や物の破壊など別の問題が生じていれば、慰謝料の請求が認められるケースもあります。

不法行為の内容にもよりますが、うつ病が原因で離婚した場合の慰謝料は数十万円程度で落ち着くことが一般的です。

配偶者がうつ病になると、様々な苦労や多大な治療費の負担などが発生するため、離婚に際して慰謝料を請求したいという人も多いものです。

しかし、うつ病を理由に慰謝料を請求することは難しい上、成功したとしても数十万円程度なので、弁護士費用の方が高くなるというケースもあります。

不貞行為や暴力など他の不法行為が一切なかった場合は、慰謝料請求は諦めた方が良いでしょう。

親権者の決定においては子どもの環境が最優先

親権者を決定する際には、「子供が健やかに成長するための環境」が最優先に考慮されます。

そのため「配偶者がうつ病なので、親権は自分が取りたい」と主張しても、子供を監護できる程度の軽度なうつ病であれば親権者の決定に大きな影響はありません。

一般的に、裁判において考慮されることの多いポイントは以下の4つです。

判断基準 概要
監護の継続性 ・現在の監護状況を継続し、子供の大きな環境変化を避けるための基準
・子供の監護実績が多い方が親権を取りやすい
母親の優先 ・子供が小さい場合は母親による養育が必要と考えられている
・特に乳幼児の場合、授乳など生物学的な観点から母親が優先される
子供の意思の尊重 ・子供が満15歳以上の場合、裁判所でその子の陳述が聴取される
・子供の意見のみで親権者が決まることはない
兄弟姉妹の不分離 ・親の都合で兄弟姉妹は引き離すべきではないと考えられている
・兄弟姉妹が複数いる場合でも、親権は一方の親が全て得るケースが多い

監護の継続性は、親権者を決めるに当たって特に重要視されます。

配偶者がうつ病になってから子育てに関わる機会が減っていたのであれば、親権を取れる可能性は高いでしょう。

うつ病の配偶者に親権を渡したくない場合、自分が心身ともに健康であること、子供を養育するに当たって良い環境を用意できることを主張してください。

養育費に関しては非親権者の経済状態次第

養育費は親の義務であるため、非親権者であっても必ず支払わなければなりません。

ただし、非親権者がうつ病で働けない状態になっている場合、養育費の請求が難しくなります。

配偶者が働ける状態であるにもかかわらず無職を選択しているのであれば、潜在的稼働能力に基づいて養育費が算定されます。

潜在的稼働能力は、働いていれば得られるであろう収入を就労歴や健康状態などから算定したものです。

一方、うつ病など病気が原因で働けない場合は「支払い能力がない」とみなされ、養育費の支払いが免除されるケースがあります。

そのため、うつ病が原因で配偶者が失業した場合などは、養育費の請求は難しいと考えておきましょう。

なお、配偶者が養育費を支払えるだけの資産を保有していれば、就労状況にかかわらず養育費を受け取れる可能性があります。

養育費の算定は複雑な部分も多いため、弁護士としっかり話し合いながら方向性を決めていきましょう。

配偶者のうつ病に関して気を付けたいポイント

配偶者がうつ病になってしまったときは、以下の点に気を付けておきましょう。

  • うつ病対策はまず専門家に相談することが大切である
  • 離婚の切り出し方には充分な配慮が必要である
  • 離婚を切り出すタイミングを理解しておく
  • 成年後見人の申し立てが必要なこともある
  • うつ病の相手から離婚を求められたら慎重に判断する

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

うつ病対策はまず専門家に相談することが大切である

配偶者がうつ病になってしまったときは、自分1人だけで解決しようとするのではなく、病院に行って医師と相談しながら治療を進めましょう。

うつ病の治療にあたって家族のサポートは大切ですが、間違った行為によって逆に相手を追い詰めてしまう可能性もあります。

たとえば元気を失っている配偶者を励ましすぎたり、無理やり外に連れ出そうとしたりする行為などです。

そのため、まずは精神科や心療内科などで診察を受け、医師と相談しながら適切な治療を進めていくことが大切です。

本人が病院に行くことを拒否している場合、行政や自治体が展開している無料の電話相談を利用し、どのような対応をすれば良いのかを聞いてみましょう。

自分1人で対応するのが難しいと感じたときは、配偶者の両親に相談し、一緒に対処法を考えてもらう方法もあります。

配偶者のうつ病で悩んでいる場合は、1人で抱え込まず周りに相談してみてください。

離婚の切り出し方には充分な配慮が必要である

うつ病の配偶者に離婚を切り出すときは、相手を傷つけないように配慮しながら話し合いを進める必要があります。

離婚を切り出したことによって配偶者が自殺または自殺未遂をした場合、法的責任に問われる可能性があるためです。

法的責任に関しては、看護の状況や夫婦関係、離婚の切り出し方など、さまざまな観点から慎重に判断されることになります。

仮に法的責任に問われなかったとしても、配偶者を追い込んだり傷つけたりするような言動は避けるようにしてください。感情的になって相手を責めても、状況が悪化するだけです。

離婚を切り出すときは慎重に言葉を選びながら、冷静に話し合いを行うようにしましょう。

離婚を切り出すタイミングを理解しておく

うつ病になった配偶者には、なかなか離婚を切り出せないという方も多くいます。

しかし、配偶者との生活に限界を感じたときは、勇気を出して離婚を切り出さなければいけません。

自分の精神状態が不安定になってきたり、子供の様子が明らかにおかしくなったりしたときは、離婚を切り出すタイミングといえるでしょう。

うつ病は周囲にも悪影響を及ぼす可能性があり、特に子供には大きな影響を与えます。

また、配偶者がうつ病になったことによって収入が途絶え、生活が苦しくなったときにも離婚を検討するタイミングです。

たとえば配偶者が仕事、自分が家事育児のように役割分担していた場合、収入が途絶えると自分が働きに出る必要があります。

配偶者がうつ病で仕事も家事育児もしてくれないのであれば、自分だけに大きな負担がかかり、今後の生活が苦しくなることが予想されます。

精神的に耐えられなくなったり、今まで通りの生活を送ることが難しくなったりしたときは、配偶者に離婚を切り出しましょう。

成年後見人の申し立てが必要なこともある

うつ病の進行具合によっては、離婚調停や裁判に向けて成年後見制度の利用が必要になるケースがあります。

成年後見制度は、判断能力が低下した人に成年後見人を選任し、法律行為や財産管理などを代理で行うための制度です。

うつ病によって意思疎通が難しい状態になっており、会話や話し合いができないのであれば、成年後見人を選任した上で離婚の話し合いを進めることになります。

なお、成年後見制度を利用しても良いのかどうか、判断に迷うときはかかりつけの医師に早い段階で相談しておきましょう。

医師に相談すれば、うつ病の進行具合や症状などから、成年後見制度の利用が必要かどうかを判断してもらえます。

また、成年後見制度を申し立てる際には診断書を提出する必要があるので、早めに相談しておけば診断書の作成もスムーズに進みます。

配偶者と意思疎通ができず離婚の話し合いが進まないときは、医師に相談の上で成年後見人の申し立てを検討しましょう。

うつ病の相手から離婚を求められたら慎重に判断する

うつ病の相手から離婚を求められたときは、すぐに合意するのではなく、離婚するかどうか慎重に判断しましょう。

相手が重度のうつ病に陥っている場合、離婚請求が真意かどうかはわからないことが多いためです。

また、うつ病の患者は自責の念が強くなる傾向にあり、「配偶者に迷惑をかけている」という罪悪感から、離婚を切り出している可能性もあります。

相手が正常な状態ではないことを念頭に置きつつ、医師に離婚を切り出されたということを相談しながら、離婚の可否を判断してください。

なお、相手が離婚を強く望んでいる場合は、一時的に別居をして相手の様子を見るのも一つの手です。

別居から数ヶ月ほど経っても配偶者が1人で問題なく生活を続けているのであれば、離婚しても問題はないといえるでしょう。

うつ病を理由に離婚できない場合は別居も検討

うつ病を理由とした離婚が認められなかった場合、別居を検討してみましょう。配偶者と離れて暮らすことにより、気持ちが楽になって冷静な判断ができるようになる可能性があります。

また、3年~5年以上別居をすれば法定離婚事由の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性が高くなり、離婚が成立しやすくなる点もメリットです。

次の項目から、うつ病の配偶者と別居する際のポイントについて詳しく解説します。

配偶者の同意を得ることが重要

別居をする際、配偶者の同意を得ず一方的に家を出ていくと、「悪意の遺棄」とみなされる恐れがあります。

悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の同居・協力・扶助の義務を放棄することです。

悪意の遺棄は法定離婚事由の1つであるため、一方的に別居をすると「離婚原因を作り出した有責配偶者」であると判断されかねません。

有責配偶者と判断されると離婚請求が認められなくなるほか、相手から慰謝料を請求される可能性もあります。

また、別居中であっても夫婦の協力・扶助の義務が消えるわけではないので、うつ病の看護や病院の付き添いなどは続けるようにしましょう。

配偶者の同意を得て別居し、別居後もサポートを続けていれば悪意の遺棄とみなされることはありません。

なお、配偶者が別居に同意してくれない場合は、弁護士に相談しながら対応を決めることをおすすめします。

別居中の婚姻費用は相手に請求可能

自分の収入よりも配偶者の収入の方が多い場合、別居期間中の婚姻費用の請求が可能です。

婚姻費用は、夫婦が生活するにあたって必要な生活費全般のことです。

夫婦には相互扶助の義務があり、婚姻費用は夫婦で分担すべきと義務付けられています。

別居中であっても相互扶助の義務は消えないため、収入の多い方は少ない方に対し、婚姻費用を支払わなくてはなりません。

相手がうつ病になっていたとしても、自分より収入が多ければ婚姻費用を支払ってもらえるため、別居中は請求するようにしましょう。

まとめ

うつ病だけを理由に配偶者と離婚することはできないため、裁判になった場合は法定離婚事由に該当していることを証明しなければなりません。

配偶者が回復見込みのない強度の精神病になっていたり、うつ病をきっかけに不法行為が生じていたりする場合は、離婚が認められる可能性が高いです。

うつ病の配偶者と離婚の話し合いが上手くいかず、悩んでいる方は離婚問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士であれば離婚の可否だけでなく、親権や養育費、慰謝料のことなどについてもまとめて相談できるため、ぜひ検討してみてください。