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2024年10月現在

離婚したいと思ったらやるべき10のこと|流れや離婚のメリット・デメリットを解説

離婚したいと思ったらやるべき10のこと|流れや離婚のメリット・デメリットを解説

「離婚したいけど、何から手をつけていいかわからない」
「離婚したいけど、これ以上こちらがダメージを受けるのはいや」
「離婚したいけど、賢く離婚するにはどうすればいい?」

このようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
感情のままに離婚を急ぐと、すぐに生活に行き詰まったり、本当は請求できるはずだったお金をみすみす請求し損ねてしまったりすることも少なくありません。

離婚で失敗しないためにも、離婚したいと思った場合のやるべきことを確認しておきましょう。

離婚したいと思ったらやるべきこととは、ずばり次の10点です。

  • 経済的にも精神的にも自立しておく
  • 利用できる手当を確認しておく
  • 慰謝料請求の準備をする
  • 財産分与で損しないために、保有する財産を把握しておく
  • 親権獲得のため用意する
  • 別居を検討する
  • 離婚後に住む家を確保する
  • 離婚後の戸籍をどうするか決めておく
  • 修復の可能性について再度考えてみる
  • 離婚問題に特化した弁護士に相談する

離婚したいと思った場合には、上記10のことを把握して、周到に準備を進めましょう。離婚の手続きの流れも併せて紹介しますので、準備の参考にしてください。

また、離婚のメリットやデメリットを確認して、冷静に離婚をするのがいいのかどうか、今一度検討してみることもおすすめです。

離婚のメリット・デメリット
メリット ・配偶者に関する悩みがなくなり、精神的に楽になる

・冷め切った結婚生活から抜け出せる

・配偶者の束縛や抑圧から逃れられる

・お金を自由に使える

・自由な時間が増える

・別の相手と恋愛や再婚ができる

・自分のしたいことができる

・離婚が子どものためになることもある
デメリット ・経済的に安定しにくい

・人によっては自由な時間が減る

・孤独を感じる人もいる

・世間体がよくない

・身近に頼れる人がいなくなる

・子どもが寂しい思いをする可能性がある

・親権が取れなければ、子どもにも会いにくくなる

・慰謝料・養育費・財産分与など支払いを求められる可能性がある

また、離婚時に配偶者に請求できるお金や離婚したいことを切り出す適切なタイミングや離婚を伝える時の注意点などについても解説します。できるだけ有利な状態で離婚ができるようにぜひ最後まで目を通してみてください。

離婚したいと思ったらやるべき10のこと

冒頭でもお伝えした通り、離婚したいと思って、特に何の対策も取らずに離婚を急いでしまうと、離婚後「こんなはずではなかった」とたちまち困ってしまうことも少なくありません。

そのため、離婚したいと思ったら次の10のことをするようにしましょう。

  • 経済的にも精神的にも自立しておく
  • 利用できる手当を確認しておく
  • 慰謝料請求の準備をする
  • 財産分与で損しないために、保有する財産を把握しておく
  • 親権獲得のための準備をする
  • 別居を検討する
  • 離婚後に住む家を確保する
  • 離婚後の戸籍をどうするか決めておく
  • 修復の可能性について再度考えてみる
  • 離婚問題に特化した弁護士に相談する

詳しい内容は次の通りです。

経済的にも精神的にも自立しておく

離婚を考える場合には、今の配偶者に頼らなくても生活をしていけるように経済的に自立しておくことが大切です。

離婚した場合、まず困る可能性があるのが、これまで通りの収入が得られず生活が立ち行かなくなることです。特に専業主婦の方などは収入の確保に気を配った方がよいでしょう。

離婚する際に財産分与や慰謝料、養育費などを請求できる場合でも、今後の生活が維持できる水準の金額が手に入るとは限りません。支払いが遅れることもあります。離婚するまでに、今後も続けられる仕事を確保し、ある程度の蓄えを用意しておくようにしましょう。

また、離婚に向けては、離婚条件について交渉するストレスや新たな自分の生活を立て直していくストレスなど心労が重なります。離婚する際の心労は結婚する際の心労の何十倍にもなりかねません。相談できる人がなかなかいない場合や、いたとしても全てのことを相談できるわけではない場合もあります。

離婚交渉においては、自分で重要な決断をしなければないことや、自分で行動しなければならないことも増えます。困難な状況を乗り切るためにも精神的に自立する必要があるといえるでしょう。

そのため、離婚問題に精通した弁護士などの専門家に相談することも大切です。弁護士への相談については下記の関連記事も参考にして下さい。

利用できる手当を確認しておく

離婚する際には、離婚後の生活を少しでも楽にするために、利用できる手当や助成金を確認しておくことが大切です。

利用できる手当には例えば次のものがあります。

離婚後に利用できる手当
児童手当 中学生までの子どもを養う家庭に支給される手当金。ひとり親家庭かどうかは問わない。住民票のある市区町村の窓口で申請可能。
児童扶養手当 18歳までの子どもを養うひとり親家庭に支給される手当金。住民票のある市区町村の窓口で申請可能。
児童育成手当 18歳までの子どもを扶養するひとり親家庭に支給される手当金。市区町村によって受給の制限が異なる。住民票のある市区町村の窓口で確認・申請可能。
特別児童扶養手当 20歳未満の子どもで精神または身体に障害があるなど一定の条件を満たす家庭に支給される手当金。住民票のある市区町村の窓口で申請可能。
障害児福祉手当 20歳未満の重度の障害のある子どもを養育している家庭に支給される手当金。住民票のある市区町村の窓口で申請可能。
ひとり親家庭の住宅手当 ひとり親家庭で20歳未満の子どもを養育しており、月額1万円を越える家賃を払っている親に支給される手当金。市区町村によっては実施されていないこともある。実施している場合は、住民票のある市区町村の窓口で申請可能。
ひとり親家庭の医療費助成制度 ひとり親家庭で親や子どもが病院で診察を受けた際の健康保険自己負担分を自治体が助成する制度。助成内容は市区町村によって異なる。住民票のある市区町村の窓口で確認・申請可能。
生活保護 世帯収入が国が定める最低生活費に満たない場合に、不足額が支給されるもの。別居中でも働けない場合や収入が著しく少ない場合に受給できる。住民票のある自治体の窓口で申請可能。

利用対象となっているものがあれば、お住まいの自治体で確認してみましょう。

慰謝料請求の準備をする

離婚において慰謝料の請求を考えている場合は、慰謝料請求の準備をすることも大切です。

離婚における慰謝料とは、配偶者の不貞行為など民法上の不法行為のため離婚する場合に請求できるお金で、精神的苦痛に対して支払われるものです。

しかし、慰謝料を請求するためには相手の不法行為の証拠が必要となります。証拠がなければ、配偶者との話し合いで不法行為を否定されればそれまでですし、仮に裁判を起こしたとしても配偶者の不法行為が立証できずに慰謝料の支払いに応じてもらうことができません。

慰謝料請求に必要な証拠には、例えば下記のようなものがあります。

離婚事由 有効な証拠の例
不貞行為(浮気・不倫) ・肉体関係があったと推測できる写真や動画

・肉体関係があったと推測できる内容のメールや音声

・配偶者と不倫相手がホテルに入る前後の写真や動画

・配偶者と不倫相手が利用したと推測できるラブホテルの領収書
DV・モラハラ ・暴力や暴言の動画や音声

・暴力を受けたケガの診断書

・警察への相談記録

・第三者の証言

・暴力や暴言を受けた日時や内容を記録した日記
悪意の遺棄(夫婦の同居の義務や協力義務や扶助義務を果たさないこと) ・一方的に家を出たとわかるメールなどのやり取り

・配偶者が生活費を渡していないと推測できるメールのやり取り、銀行の入出金記録

・悪意の遺棄について記録した日記
その他婚姻を継続しがたい重大な事由(セックスレスなど) ・本来性交渉できる状態であるのに応じていないことがわかる話し合いの記録や性交渉の記録

慰謝料を請求できる場合には、離婚前にこれらの証拠を集めるようにしましょう。離婚時に請求できる慰謝料について詳しくは下記の記事も参考にしてください。

財産分与で損しないために、保有する財産を把握しておく

離婚の際の財産分与で損をしないために、あらかじめ配偶者が保有する財産について把握しておくことが大切です。

財産分与とは、夫婦が結婚している間に築いた共有財産を、離婚時に2分の1ずつに分けることです。例えば、結婚中に貯めた預貯金や投資した株や投資信託、夫婦で購入した車や不動産などを半分に分けることになります。またプラスの資産だけでなく、住宅ローン、教育ローンなどの負債も分け合うことになります。

離婚前の方が、財産隠しや財産の見落としがないように共有財産の確認しやすいため、確認しておくようにしましょう。なお、財産分与の詳細については後の章で解説します。

親権獲得のための準備をする

離婚に際しては、子どもの親権者を定めなければならないことが民法で定められています。この親権を確実に獲得したい場合は、あらかじめ周到な準備をしておいた方がよいでしょう。

話し合いで決着がつかない場合は調停や裁判で裁判所が親権者を決定します。裁判所は、子どもの利益のために、下記のような点を考慮し総合的に親権者を判断します。

  • 子どもの監護の実績(離婚前にどちらが子どもの面倒をよく見ていたか)
  • 離婚後の経済状況(子どもを養うのに十分な経済力があるかどうか)
  • 監護補助者の協力(親権者が忙しい時に代わりに面倒を見てくれる人がいるかどうか)
  • 親権者の年齢や健康状態(親権者が問題なく子どもの面倒を見られる年齢や健康状態にあるか)
  • 住宅や学校などの生活環境の変化(現在の環境と大きく変わらないかどうか、大きな変化はないか)
  • 子どもの年齢や発育状況などへの影響(母性の存在が重要な乳幼児の場合、母親が親権者に選ばれやすい)
  • 子ども本人の意思(子ども本人の意思はどうか)

親権を取るためにも、上記の点を意識して下記のような対策を取っておくことが必要といえるでしょう。

  • 子どもの面倒をよく見るといった監護実績を積み上げておく
  • 離婚後も、子どもの養育に問題がないように育児と両立のしやすい仕事を確保しておく
  • 離婚後、子どもの生活環境や生活水準が大きく変わらないような住環境を確保しておく
  • 養育に支障のないよう、病気や健康管理に気を付ける
  • 育児に協力してもらえる人手を確保する

別居を検討する

性格の不一致で離婚したい場合で、相手が応じてくれない場合には、別居を検討するのも離婚に向けた1つの手段といえます。

離婚をしたいと思っても、相手が同意してくれなければ、離婚はできません。特に配偶者に不貞行為やDV、モラハラなどの法定離婚事由に当てはまるものがない中で離婚したい場合には、裁判で離婚を認めてもらうことは難しくなります。

性格の不一致だけで離婚しようとしても、それだけでは婚姻を継続しがたいほどの重大な事由としては認められないため、裁判でも離婚が認められにくいといえるでしょう。しかし、性格の不一致でも、長期間に渡る別居状態にあるとそれが「婚姻を継続し難い重大な事由」という法定離婚事由とみなされて、裁判で離婚が認めてもらえる場合があります。

ただし、注意したい点は、性格の不一致による別居で離婚に持ち込みたい場合は、配偶者に無断で別居することのないようにしましょう。無断で別居をすると、一方的に夫婦の同居義務を放棄したとみなされ、離婚原因を作った当事者(有責配偶者)と見なされて不利に働くことがあります。別居前に配偶者と必ず相談した上で別居するようにしましょう。なお、一般的に、離婚が認められる別居期間の目安は約3年~5年です。

また、別居期間中は、夫婦のうち収入が少ない方が多い方に対して婚姻費用という名目で生活費を請求することも可能です。婚姻費用について詳しくは後の章で解説します。

離婚前の別居については、下記の記事も参考にしてください。

離婚後に住む家を確保する

離婚を考えている場合には、離婚後に住む家を確保しておくことも大切です。

離婚後の生活を考えて、暮らしやすい場所を選ぶことがおすすめです。財産分与で離婚前の住居を譲ってもらえてそのまま住めるケースもあれば、自分で賃貸物件を借りなければならないケースもあります。賃貸の場合は、離婚後の収入や通勤のしやすさ、子どもの学校への通いやすさを考えて確保するようにしましょう。

親権を取りたい女性の場合などで実家に戻れる場合には、実家もよいでしょう。実家であれば家賃などの経済的な負担を軽減できるほか、子育ての補助者として両親の手を借りることもできます。

親権を取って子どもと住むことを考えている場合には、子どもの生活や気持ちへの影響も考えて、子どもにも事前に住む先のことを話したり相談したりするのがよいといえます。

離婚後の戸籍をどうするか決めておく

離婚届を出す際には、離婚後の戸籍をどうするかを問われるため、あらかじめどうするか決めておくことが大切です。

離婚後の姓や戸籍の扱いは基本的に以下の3通りです。

  • 現在の姓を継続して使い、自身が筆頭者となる新しい戸籍を作る
  • 結婚前の姓に戻り、自身が筆頭者となる新しい戸籍を作る
  • 結婚前の姓と戸籍に戻る

それぞれ詳しくは次の通りです。

現在の姓を継続して使い、自身が筆頭者となる新しい戸籍を作る

1つは、婚姻中の姓を離婚後も継続して使い、自分が筆頭者となる新しい戸籍を作ることです。

この場合の手続きとしては、本籍地の市区町村の窓口で「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出すればOKです。この書類は離婚届を出す際に同時に出すか、あるいは離婚後3ヶ月以内に出せばよいとされています。

離婚前の姓を使い続けたいにもかかわらず届出を期限内に提出しないと、家庭裁判所に氏の変更許可の申立てをする必要が出てきます。そのため、必ず期限内に提出するようにしましょう。

なお、親権者であれば、子どもをこの新しい戸籍に入れることができますが、別途手続きが必要な点に注意しましょう。

子どもを新しい戸籍に入れるためには、新戸籍ができてから、家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立て」の手続きを行う必要があります。さらに、その手続き後、市区町村で改めて新戸籍への入籍届の手続きを行う必要があります。

なお、離婚後に姓を変えないメリット・デメリットなど詳細については下記記事も参考にして下さい。

結婚前の姓に戻り、自身が筆頭者となる新しい戸籍を作る

結婚前の姓に戻り、自分が筆頭者となる新しい戸籍を作るパターンもあります。

この場合の手続きは、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄の「新しい戸籍をつくる」にチェックマークを入れ、新しい戸籍の住所を記入するだけでOKです。

なお、この新しい戸籍にも、自身が親権者であれば、子どもを入籍させることができます。手続きは、前項と同様に、家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立て」の手続きを行い、その後、市区町村で改めて新戸籍への入籍届の手続きを行います。

結婚前の姓と戸籍に戻る

もう1つの選択肢は結婚前の姓と戸籍に戻ることです。

この場合の手続きは、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄の「もとの戸籍にもどる」にチェックマークを入れ、もとの戸籍の住所を記入すればOKです。

この戸籍には、自分の子どもを入れることはできないため注意しましょう。子どもの親権者で、自分と子どもを同じ戸籍に入れたい場合には、分籍の手続きをする必要があります。分籍とは、在籍している戸籍から抜けて単独の戸籍を作ることです。

自分と子供を同じ戸籍に入れたい場合には、改めて分籍の手続をし、自分を筆頭者とする戸籍を作ります。分籍届は、本籍地や新本籍地、届け出人の住所のいずれかの市区町村で手続き可能です。分籍後の新しい戸籍ができたら、前項と同様に、家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立て」の手続きを行い、その後、市区町村で改めて新戸籍への入籍届の手続きを行えばOKです。

再構築の可能性について考えてみる

離婚したい理由が性格の不一致という場合には、離婚準備ができてから、改めて再構築の可能性について考えてみるのもよいでしょう。

離婚の準備を進めてみて改めて、離婚の大変さ、あるいは現状の良さに気付くこともあるかもしれません。DVやモラハラなどがある場合を除けば、話し合いで改善できる可能性もあるといえます。

話し合いが決裂すれば離婚になっても仕方がないとの覚悟で話をすると、相手も真剣に対応してくれる可能性も高いでしょう。結果として好転すればよいですし、話し合いがうまくいかなければ、準備通りに離婚に向かって対処することがおすすめです。

離婚問題に特化した弁護士に相談する

離婚を考えている場合には、離婚問題に特化した弁護士に相談しておくこともおすすめです。

離婚において自分の希望条件が通りやすいのか通りにくいのかなどは、専門家でないと判断できないことが多いといえます。例えば、別居で離婚するにはどの程度の期間が必要か、親権はどうすれば取れるかといったことは、個々のケースで異なります。離婚に詳しい弁護士の場合はあらゆるケースに対応しているため、個々のケースや希望に応じたアドバイスをしてくれるでしょう。

弁護士事務所では、初回無料で離婚相談できる事務所も多いため、まずは一度、専門家に相談してみることがおすすめです。

離婚手続きの流れ

離婚をする場合の手続きについて気になっている方も少なくないでしょう。

離婚手続きは下記の流れで進められます。

  • 協議離婚
  • 離婚調停
  • 審判離婚
  • 離婚裁判

以下で詳しく解説します。

協議離婚

離婚をするという時には、まず夫婦間で離婚について話し合います。この夫婦間の話し合いで、離婚に合意できれば協議離婚となります。

協議離婚とは、夫婦がお互いに話し合って離婚することで合意し、離婚届を市区町村の窓口に出して成立させる離婚のことです。
財産分与や親権、養育費、慰謝料などについての離婚条件の話合いも夫婦間で行います。

他の離婚方法と異なり、夫婦の話し合いに家庭裁判所が関わらないことが特徴です。離婚の約9割がこの協議離婚で離婚しています。(出典:厚生労働省「令和4年度離婚に関する統計」)

協議離婚について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。

離婚調停

離婚調停とは、夫婦の話し合いだけでは離婚の合意に至らない、あるいは、夫婦の間でそもそも離婚に向けた話し合いができないなど、協議離婚ができなかった場合に取られる離婚の手続きです。

調停離婚ともいい、協議離婚ができない場合に、家庭裁判所の調停手続きを利用して、離婚に至る方法です。

家庭裁判所で夫婦関係調整調停を申し立てると、家庭裁判所で調停委員の立ち合いのもと、夫婦間での話し合いが進められます。調停委員が夫婦双方の主張を聞き、離婚そのものと、財産分与や親権、養育費、慰謝料などの離婚条件などをまとめていきます。

調停の結果、合意に至れば、離婚成立(調停成立)です。調停でも合意に至らない場合には、調停不成立となり、次の手続きへと進みます。

なお、離婚調停について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。

審判離婚

審判離婚とは、調停において細かな部分の合意ができないために調停不成立となりそうな場合に、家庭裁判所の裁判官が必要な決定を下して、調停を成立させ、離婚に至る方法です。審判離婚は、調停を前提とした手続きで調停の流れの延長で行われることがある離婚手続きです。

審判離婚となるのは、夫婦間で離婚や離婚条件などの大部分について合意ができているものの、わずかな相違のために調停が不成立となりそうな場合です。家庭裁判所が離婚を成立させた方が良いと判断した場合に審判に至ります。

例えば、離婚の合意はできており、相違点が離婚条件のほんのわずかな部分である場合や、離婚は合意できているものの当事者の一方が病気などのやむをえない理由で調停に出席出来ない場合などに審判離婚に至ることがあります。

審判離婚は、審判が下されても、当事者は異議申立てをして審判結果を無効とすることができます。そのためか、実際には裁判所が審判を行うことは少ないといわれています。

離婚裁判

離婚裁判は、調停が不成立となった場合や、審判離婚に異議申し立てをした場合に、訴訟によって離婚を求める手続きです。離婚裁判では、離婚そのもののほか、財産分与や親権、養育費、慰謝料などの離婚条件についても決めるよう求めることができます。

離婚裁判を起こすには、離婚調停を経ていることが原則です。また、夫婦の一方が離婚の訴えを起こすには、民法で定める法定離婚事由のいずれかが必要とされています。

【民法に定められた離婚事由】

  • 配偶者に不貞な行為があった時
  • 配偶者から悪意で遺棄された時
  • 配偶者の生死が三年以上明らかでない時
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない時
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由がある時

出典:e-Gov法令検索「民法第770条1項

なお、上記の法定離婚事由を満たしていたとしても、必ずしも離婚できるとは限りません。裁判の結果、裁判官により婚姻の継続が相当と判断されれば、離婚できないこともあります。

離婚裁判について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。

離婚の原因トップ10

実際に離婚しているケースについて、どのような原因で離婚しているかを見てみると下記の通りです。

件数(夫) 件数(妻)
1位 性格が合わない 9,240 性格が合わない 16,304
2位 その他 3,173 生活費を渡さない 13,235
3位 精神的に虐待する 3,159 精神的に虐待する 10,948
4位 異性関係 2,132 暴力を振るう 8,576
5位 家族親族と折り合いが悪い 1,964 異性関係 6,505
6位 浪費する 1,883 その他 4,714
7位 性的不調和 1,749 浪費する 4,020
8位 暴力を振るう 1,454 家庭を捨てて省みない 3,013
9位 同居に応じない 1,359 性的不調和 2,808
10位 家庭を捨てて省みない 764 家族関係と折り合いが悪い 2,647

出典:裁判所「司法統計情報 家事令和2年度 第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別申立人別

「性格が合わない」という理由が男女ともに1位となっています。2位は、男性は「その他」、女性は悪意の遺棄ともいえる「生活費を渡さない」です。3位は男女ともに「精神的に虐待する」といういわばモラハラといっていいでしょう。

どのような離婚理由でも、直接の話し合いで双方が離婚に同意すれば、協議離婚が成立します。
しかし、直接の話し合いで協議離婚に至らなかった場合は、家庭裁判所での調停、審判を経てさらに、最終的には裁判で離婚が認められるかどうかが決められます。

裁判で離婚が認められやすいのは、離婚裁判の解説でもお伝えした通り、配偶者の不貞行為、配偶者の悪意の遺棄、その他婚姻を継続しがたい重大な事由などです。

そのため、「異性関係」は不貞行為として、「精神的に虐待する」「暴力を振るう」はDV・モラハラとして、「家庭を捨てて顧みない」「生活費を渡さない」などは悪意の遺棄として法定離婚事由に当たり、離婚しやすいといえるでしょう。

一方、「性格が合わない」「家族関係と折り合いが悪い」といった理由だけでは、離婚がなかなか成立しない可能性もあると考えておいた方がよいといえます。

【離婚したいと思ったら知るべき】離婚のメリット・デメリット

離婚したいと思ったら、離婚のメリット・デメリットも把握しておきましょう。離婚で失敗しないためにも、離婚を急がずにメリット・デメリットを踏まえて本当に離婚した方がよいのかどうか、検討することがおすすめです。

離婚のメリット・デメリット
メリット ・配偶者に関する悩みがなくなり、精神的に楽になる

・冷め切った結婚生活から抜け出せる

・配偶者の束縛や抑圧から逃れられる

・お金を自由に使える

・自由な時間が増える

・別の相手と恋愛や再婚ができる

・自分のしたいことができる

・離婚が子どものためになることもある
デメリット ・経済的に安定しにくい

・人によっては自由な時間が減る

・孤独を感じる人もいる

・世間体がよくない

・身近に頼れる人がいなくなる

・子どもが寂しい思いをする可能性がある

・親権が取れなければ、子どもにも会いにくくなる

・慰謝料・養育費・財産分与など支払いを求められる可能性がある

詳しくは次の通りです。

離婚のメリット

離婚するメリットを解説します。

配偶者に関する悩みがなくなり、精神的に楽になる

離婚のメリットは、配偶者についての悩みがなくなり、精神的に楽になることです。

例えば、離婚の原因が、配偶者の不倫やDV、モラハラでそうした相手の行為から精神的・身体的に大きなダメージを受けていた場合、離婚して訣別することで、そうした悩みから解放されるでしょう。

離婚をして、配偶者と赤の他人となって距離を置くことで、配偶者から受けていたストレスから解放される点が利点です。

冷め切った結婚生活から抜け出せる

冷めきった結婚生活から抜け出せることも離婚のメリットです。

離婚前には、夫婦で一緒にいても会話がなかったり、一緒に同じ空間にいることもイヤになったりというように夫婦関係が冷え切っているケースも少なくありません。そうした関係からなかなか前に進めないことがストレスだったり、会社や近所の知り合いの前では取り繕わなければならないことが苦痛だったりすることもあるでしょう。

離婚によりそうした生活から抜け出し自分のペースで暮らせることも利点といえます。

配偶者の束縛や抑圧から逃れられる

配偶者から束縛や抑圧を受けていた場合は、離婚によりそうしたことから逃れられる点がメリットです。

例えば、DVやモラハラを受けているケースなどが典型的な例といえるでしょう。配偶者からDVやモラハラを受けている人は、自分自身が被害者ということに気づかずに、横暴な振る舞いをする相手に対して、自分が支えないといけないと思い込んでいることも少なくありません。そのままその関係性に依存して身体的・精神的に病んでしまうこともあるでしょう。

離婚によりそうした関係から解放されて、新たな生活への一歩を踏み出すことができます。

お金を自由に使える

離婚後は、自分のために自由にお金を使えることもメリットの1つです。

婚姻期間中は、配偶者など家族の生活も支えなければならないため、自分の給与であってもお金を自由に使えないことも多かったのではないでしょうか。離婚後も養育費などの支払いは必要であるものの、養う家族が減った分、自分のために使える範囲が広がることが利点といえます。

自由な時間が増える

離婚後は自由な時間が増えることもメリットです。

婚姻中は配偶者や家族の都合に合わせて予定を組んでいたり、配偶者のための食事や洗濯など多くの家事を抱えていたりしていたことも少なくないでしょう。離婚後はそうしたことがなくなり、自由に時間を使うことができる点が利点です。

別の相手と恋愛や再婚ができる

離婚後は、これまでの配偶者とは別の相手と恋愛や再婚ができることもメリットです。

離婚しているので、誰にとがめられることもなく、正々堂々と恋愛をすることができます。再婚をする場合にも、離婚を一度経験したからこそ、次の結婚生活をより大切にしていけるでしょう。新たなパートナーと新しく家族を作るチャンスや可能性が広がることも離婚の大きな利点です。

自分のしたいことができる

離婚後は、自分のしたいことができる点もメリットです。

結婚を機に辞めてしまった仕事や、諦めてしまった夢などもあるのではないでしょうか。離婚後は配偶者や家族に縛られることなく使える時間やお金が増えるため、諦めていた夢や資格取得、住みたい場所に住む希望をかなえるなどあらゆるチャレンジが可能です。

離婚を機に以前より活き活きと活躍する人も少なくありません。自分のやりたいように行動できるようになる点も離婚後の大きなメリットといえます。

離婚が子どものためになることもある

離婚が子どものためになることもある点がメリットといえます。

例えば、配偶者がDVや虐待をしていた場合などは、離婚して配偶者と訣別することが、子どものためになることもあるでしょう。配偶者が子どもを傷つけていたり、子どもの生活に悪影響を及ぼす場合には、離婚をすることでそうした状況から子どもを救い出すことができます。

離婚のデメリット

離婚にはデメリットもあるため、以下で解説します。

経済的に安定しにくい

離婚をすると経済的に安定しにくくなることがデメリットの1つです。

婚姻中に配偶者の収入に頼って生活をしていた場合、特に専業主婦だった場合などは、自分で生活費を稼ぐために安定した仕事を得ることや、高い収入を得ることが難しく感じることもあるでしょう。蓄えが充分であったり、自分自身で充分な収入が得られたりしないと経済的に不安定な状態に陥りやすいのが、離婚のデメリットです。

人によっては自由な時間が減る

離婚によって人によっては自由な時間が減ることもデメリットです。

例えば、専業主婦だった方が離婚すると、これまでも行っていた家事に加えて、生活費を稼ぐための仕事、さらに子どもがいる場合は育児も負担しなければなりません。そのため自分のために割ける自由な時間が少なくなります。

孤独を感じる人もいる

離婚により、人によっては孤独を感じがちになることもデメリットの1つといえるでしょう。

離婚後、配偶者と別れて一人暮らしをすることになる人も少なくありません。一緒に暮らす人のいない状況になって初めて孤独感に襲われる人もいます。一人の生活に慣れていないうちは、寂しさや心細さ、孤独感を感じやすくなることもデメリットです。

世間体がよくない

離婚をすると世間体がよくないと捉えられてしまうことがある点がデメリットといえます。

離婚をする人が少なくないにもかかわらず、離婚に対してマイナスのイメージや偏見を持っている人も少なくありません。離婚が「世間体の悪いこと」と捉えて、そのような目で見てくる人もいるでしょう。

実際に嫌味や皮肉をいわれることもあるかもしれません。そうした配慮にかける人に対しては聞き流す、あるいは、距離を置くなどして相手にしないことがおすすめです。

身近に頼れる人がいなくなる

離婚をすると、身近に頼れる人がいなくなるのもデメリットです。

婚姻中は同居している配偶者に、ちょっとした困りごとの相談や力仕事の手伝いなど、困ったことがあれば気軽に頼れていたかもしれません。しかし、離婚後はそうした存在がいなくなるため、些細なことでもそうでないことでも、なんでも一人で対応しなければならない点が難点といえます。

子どもが寂しい思いをする可能性がある

離婚によって子どもが寂しい思いをする可能性があることもデメリットの1つです。

これまで両親と暮らしていた子どもは、離婚によって、親権を持たない方の親と別々に暮らすこととなります。毎日一緒にいるのが当たり前だった親の一人がいなくなることで、寂しい思いをする可能性があるといえるでしょう。子どもを寂しがらせないように、離婚をしても親であることをしっかり伝えるなどするのがよいでしょう。

親権が取れなければ、子どもにも会いにくくなる

離婚によって親権が取れない場合には、子どもに会いにくくなる点も離婚のデメリットです。

離婚では子どもの両親のどちらが親権を持つか決めなければなりません。もし親権が取れなければ、子どもと一緒に暮らすことはできなくなります。面会交流の機会にしか子どもに会えなくなる点が難点といえます。

慰謝料・養育費・財産分与など支払いを求められる可能性がある

離婚によって、慰謝料・養育費・財産分与などの支払いを求められることもデメリットといえるでしょう。

財産分与と養育費の支払いは法律で定められた義務のため、支払いから逃れることはできません。慰謝料は自分が不貞行為やDVを行っていたなどの有責配偶者の場合は支払わなければならない可能性が高いといえます。

詳細は後述しますが、慰謝料・養育費・財産分与などで支払う金額は離婚事由や年収、子どもの人数など個々のケースで異なります。場合によっては多額になるケースも少なくない点が難点といえます。

離婚時に配偶者に請求できるお金

離婚を考える際には、配偶者に請求できるお金についても把握しておくようにしましょう。

請求できる権利があるのに知らないまま請求しないでいると、支払う必要がないと見なされて支払われないこともあるため、しっかりと確認しておくことが大切です。

離婚時に配偶者に請求できるお金としては次の5つがあります。

  • 婚姻費用
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割
  • 養育費

詳しくは次の通りです。

婚姻費用

離婚を前提として別居している場合には、婚姻費用を請求することができます。

婚姻費用とは、夫婦が婚姻生活を維持するために必要な費用のことです。夫婦は互いに協力し扶助し合う法的義務があるため、夫婦は互いに生活に必要な婚姻費用を支払うとされています。

婚姻費用には例えば、夫婦の衣食住にかかる費用、医療費、娯楽費、子どもの養育費、教育費などが含まれます。

離婚前に別居をしている場合も、婚姻関係は続いているため、収入の低い方の配偶者は、収入の高い方の配偶者に婚姻費用を請求することが可能です。婚姻費用の金額は夫婦間で合意すればいくらでも良いとされていますが、話し合いで合意できない場合は、調停や裁判で請求することも可能です。この際の婚姻費用は、裁判所が定める算定表に基づいて決定されます。

参考:裁判所「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

なお、別居した後に、婚姻費用を請求しないと婚姻費用を請求しなくとも生活ができると見なされてしまうケースもあるため、なるべく早めに配偶者に請求することが大切です。

婚姻費用について詳しくは、下記の関連記事も参照してください。

財産分与

財産分与とは、夫婦が共同生活を送る中で築き上げた財産を、離婚時に分配することです。離婚時にこの財産分与を請求できることが民法768条でも定められています。

財産分与の対象となる財産は、結婚してから離婚するまでの間に築き上げた共有財産です。離婚前に別居している場合は、結婚してから別居するまでの間に築き上げた共有財産となります。

ここでいう共有財産は、名義にかかわらず、実質的に共有している物が対象です。財産分与の対象となる具体的な財産として、現金・預貯金、株・投資信託、保険、退職金、年金、子ども名義の預貯金などがあります。お金以外でも、不動産や車、絵画など価値のある物品も対象となります。なお、これらの物品は、購入時の価格ではなく現在価値で評価するのが原則です。

財産分与の分配は、夫婦それぞれ2分の1ずつが基本であるものの、夫婦で合意していればどのような割合でも分配可能です。話し合いで合意に至らない場合は、調停や裁判などで分配を決めることとなります。

慰謝料

離婚の場合の慰謝料とは、離婚の原因を作った配偶者が、もう片方の配偶者に与えた精神的苦痛などに対して支払われる損害賠償です。

全ての離婚において払われるわけではなく、配偶者が不倫、DV、モラハラ、悪意の遺棄を行うなどの婚姻関係を破綻させる重大な原因を作った有責配偶者であることが条件となります。性格の不一致や価値観の違いなどで離婚する場合は、配偶者の一方が離婚の原因を作ったとは見なされにくいため、慰謝料は原則として請求できないといえます。

慰謝料の額は、離婚原因となった行為の内容や、婚姻期間の長さや精神的苦痛の程度などをもとに請求されます。慰謝料の相場は、例えば、不貞行為の場合は100万円~500万円、DVやモラハラの場合は50万円~500万円が相場です。

慰謝料について詳しくは下記の記事も参考にしてください。

年金分割

年金分割とは、夫婦が婚姻期間中に保険料を納付していた厚生年金について、分割してそれぞれの自分の年金にできる制度です。

なお、年金分割は厚生年金の分割に限ります。厚生年金は会社員や公務員が加入するもののため、自営業の方が世帯主の場合は対象外となります。

また、年金分割の方法には、合意分割と3号分割との2種類があります。

合意分割は、夫婦二人からの請求により年金を分割する方法で、夫婦の話し合いで分割割合を決められます。ただし、原則として分割割合の上限は50%です。割合が話し合いで決まらない場合は調停や審判で決めることができ、審判では50%ずつの割合となるケースがほとんどです。

3号分割は、会社員や公務員の妻である専業主婦の方など国民年金の第3号被保険者である方からの請求により年金を分割する方法です。分割割合は基本的に50%となります。

参考:法務省「年金分割

養育費

養育費とは、子どもの監護や教育のための費用です。一般的には子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要な費用とされています。子どもの衣食住にかかる費用や教育費が該当します。

養育費の支払いは法律で定められた親の義務で、離婚後、親権者でなくなった親であっても、子どもの親であることには変わりがないため支払い義務は残ります。そのため、子どもを監護する親は、他方の親から養育費を受け取ることが可能です。

参考:法務省「養育費

養育費の金額は、夫婦間の話し合いで決められますが、裁判所の算定表を目安に決められるのが一般的です。

参考:裁判所「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

離婚したいことを伝える時は感情的にならない

離婚をすると決めて相手に伝える時には、伝え方に注意するようにしましょう。伝える時は、決して感情的にはならずに、冷静に相手の気持ちに配慮して伝えることが大切です。

なぜなら、仮に相手の不貞行為が離婚する原因であったとしても、人は自分の非を真っ向から責められると反発したくなる傾向があるからです。場合によっては開き直ったり、怒り出したりすることもあるでしょう。

離婚をスムーズに進めるカギは、相手の同意をいかに円満に得るかにかかっているといえます。そのため、相手を刺激して「絶対に離婚しない」「慰謝料は払わない」などと頑なな態度にさせることは賢明ではありません。

離婚を伝える際には、浮気を責めたり、自分に好きな人ができたことを伝えたり、あなたが嫌いだからというような不快な言葉をぶつけたりしないようにしましょう。離婚を切り出す際には、仮に相手の態度が悪いとしても、相手を責めずに相手の気持ちに配慮しながら、真剣に離婚を考えているということを伝えることが大切です。

伝え方は、直接伝えるほか、メールやLINE、電話、文書といった手段が考えられるでしょう。別居している場合には、送った日時と内容が証明しやすい内容証明郵便が使われることが多いといえます。またすでに話し合いが難しい状況にある場合も内容証明郵便を使うか、弁護士に依頼して、弁護士を通して離婚の意思を伝えることも可能です。

離婚したいことを切り出す適切なタイミング

離婚をスムーズに進めるためには、離婚したいことを切り出すタイミングにも気を配りましょう。

具体的には、離婚を切り出すタイミングとしては、下記が適切といえます。

  • 離婚の準備が整った時
  • 慰謝料を請求したい場合は、証拠が揃った時
  • DVや子どもが虐待されている場合はできるだけ早く
  • 熟年離婚の場合は配偶者が退職する時
  • 子どもがおらず結婚して時間が経っていない時
  • 相手が離婚を受け入れてくれると確信した時

詳しくは次の通りです。

離婚の準備が整った時

まずは、離婚の準備が整った時が、離婚を切り出すのによいタイミングといえるでしょう。

事前の準備を万全にしておけば、より有利な条件で円滑に話し合いを進められる可能性が高いといえます。
例えば、不貞行為やDV、モラハラなど相手の有責行為を離婚の理由とする場合は、証拠を整えるなどの事前準備をしておくと離婚の請求また慰謝料の請求もスムーズに進められます。親権を取りたい場合も、事前に親権を取りやすい子どもの生活環境などを準備しておくことで親権を取りやすくなるといえるでしょう。

事前準備なしで離婚を切り出すと、相手に反論の余地を与えてしまったり、相手に証拠を隠されてしまったりする可能性もあります。不利な条件で離婚をすることになりかねないため、準備を整えてから離婚を切り出しましょう。

慰謝料を請求したい場合は、証拠が揃った時

慰謝料を請求する場合には、慰謝料を請求する対象となる行為の証拠が必要です。

「慰謝料請求の準備をする」の項で解説した通り、慰謝料を請求する際に証拠が十分ないと、請求自体が難しくなります。証拠をそろえる前に、離婚を切り出してしまうと、当事者に証拠を処分されたり、有責行為を隠蔽されたりしかねません。

そのため、相手の有責行為に対して慰謝料を請求する場合は、先に証拠をしっかりと確保するようにしましょう。

DVや子どもが虐待されている場合はできるだけ早く

DVや子どもが虐待されていて身に危険が迫っている場合は、準備が不十分でもできるだけ早く離婚を切り出すことが大切です。まずはあなたや子どもの命や身体、精神を守ることが第一だからです。

頼れる身内や知人のもとに身を寄せるか、市区町村のDV相談窓口に相談するようにしましょう。DV相談窓口がわからない場合は全国共通の電話番号(#8008)から相談機関を案内してくれるDV相談ナビサービスも利用できます。

ただし、もし命や身体、精神的な危険を感じる状況であれば、場合によっては、DVの音声や動画などの証拠を入手してから離婚を切り出すのもよいでしょう。離婚時期を早めることに役立つ可能性があります。その場合でもまずは信頼できる人に相談し、身の安全の確保を第一に考えることが大切です。

DVについて詳しくは、下記の記事も参考にして下さい。

熟年離婚の場合は配偶者が退職する時

熟年離婚の場合は、配偶者が退職する時が離婚を切り出すタイミングとしてはよいでしょう。

なぜなら退職金が支給されるため、財産分与に退職金を含められるからです。慰謝料を求める場合でも退職金の収入もベースにして請求することができます。また、実際に、配偶者の退職時期に合わせて、離婚を切り出す熟年離婚も少なくないといえます。

子どもがおらず結婚して時間が経っていない時

結婚後まもない時期で子どもがいない時期も離婚を切り出す時期としてはよいといえます。

子どもがいないため、子どもへの影響を考えたり、親権について話し合ったりする必要がありません。また、若い世代であるなど、離婚後の人生のやり直しがききやすく、離婚のハードルは低いといえるでしょう。

相手が離婚を受け入れてくれると確信した時

「今であれば相手も離婚を受け入れてくれる」と思えれば、その時が離婚を切り出すよいタイミングといえます。

離婚は相手が納得して同意してくれれば成立します。相手が受け入れられるタイミングで伝えることで、話し合いによりスムーズに離婚できる可能性が高まります。相手の状況を見計らって、切り出すことも大切です。

離婚の準備が終わった後にやるべきこと

離婚の話し合いがまとまり離婚に向けた準備が整ったら、やるべきことは次の2つです。

  • 離婚協議書を作成する
  • 離婚届を作成し、提出する

以下で詳しく解説します。

離婚協議書を作成する

離婚の話がまとまって準備が整えば、離婚届を出す前に、まずは離婚協議書を作成しましょう。

離婚協議書とは、離婚条件について夫婦で合意、確認したことをまとめた契約書のことです。話し合ったことを離婚協議書として残しておくことで、後に言った、言わないでもめることがなくなります。

また、万が一合意した内容を反故にされそうになった場合に、協議書をもとに裁判所に訴えるなどして義務を遂行させることができます。

なお、この離婚協議書は公正証書で作成する人も多いといえます。公正証書でも、「支払いが滞った場合には直ちに強制執行を受けてもやむを得ない」という執行受諾文言の付いた公正証書にしておくと、裁判手続を経ることなく強制執行が可能となります。

離婚協議書の書き方について詳しくは下記の記事も参考にして下さい。

離婚届を作成し、提出する

離婚協議書をまとめたら、離婚届を作成し提出しましょう。離婚届に必要事項を記載し、市区町村の戸籍係に提出します。

離婚届の出し方については、下記の記事も参考にして下さい。

離婚したいと思った時、弁護士に相談するメリット

離婚したいと思った時には、弁護士に相談してみることがおすすめです。
費用はかかるものの弁護士に相談すると以下のようなメリットが得られるからです。

  • 離婚するための適切な方法を選択できる
  • 有利な条件で離婚できる可能性が高まる
  • 精神的な負担が軽減される

詳しくは次の通りです。

離婚するための適切な方法を選択できる

離婚したい時に弁護士に相談すると、離婚をするための適切な方法を選択することができます。

離婚手続きの流れでご紹介した通り、離婚方法には協議離婚、離婚調停、審判離婚、離婚裁判とがあります。どの離婚方法で決着しそうかは、離婚の理由や夫婦の関係性や有責配偶者であるかどうかなど、個々のケースによって異なるといえるでしょう。

弁護士に相談することで、個々のケースの事情や希望を踏まえて、法律的な観点から相談者にとって最適な手段を提案してもらえます。

有利な条件で離婚できる可能性が高まる

弁護士に相談することで、有利な条件で離婚できる可能性が高まります。

財産分与や慰謝料、養育費などの離婚条件の希望も個々人でさまざまです。希望していても実現可能な離婚条件かどうかは、法律や過去の判例、実際の運用など専門的な知見で考える必要があります。

弁護士に相談すれば、豊富な専門知識をもとに、相談者が有利な離婚条件を実現できる可能性を探ってくれます。そのため、弁護士に相談しない場合よりも有利な条件で離婚できる可能性が高まります。

精神的な負担が軽減される

弁護士に依頼することで、交渉の矢面に立つ精神的な負担が軽減されます。

相手の不貞行為が許せない、DVでとても話し合いにならないなど、離婚では交渉が難しい場面が少なくありません。そうした場合、交渉のプロでもある弁護士に依頼することで、精神的ストレスを大幅に軽減しながら、話し合いを進めることができます。

また交渉内容も自分でやるよりプロの視点で進められるため、自分にとって有利な形で進められるでしょう。

まとめ

離婚をしたいと思った場合のやるべきことをお伝えしました。

まずやるべきことは次の10つのことです。

  • 経済的にも精神的にも自立しておく
  • 利用できる手当を確認しておく
  • 慰謝料請求の準備をする
  • 財産分与で損しないために、保有する財産を把握しておく
  • 親権獲得のため用意する
  • 別居を検討する
  • 離婚後に住む家を確保する
  • 離婚後の戸籍をどうするか決めておく
  • 修復の可能性について再度考えてみる
  • 離婚問題に特化した弁護士に相談する

離婚を考える場合は離婚のメリットやデメリットも踏まえて考えるようにしましょう。

離婚に失敗しないためにも、事前の準備が必要です。準備をする際には弁護士などのプロの知見を借りるとなおスムーズに進めることができるでしょう。交渉に不安がある場合には、離婚問題や養育費に詳しい弁護士に依頼することがおすすめです。

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更新日 : 2024年10月09日
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