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共働き夫婦が離婚する際に決めるべきこととは?子どもやお金はどうなる?

共働き夫婦が離婚する際に決めるべきこととは?子どもやお金はどうなる?

夫婦関係が険悪になり、離婚を考えている共働き夫婦の方もいるのではないでしょうか。
共働き夫婦は、家事や育児の分担で揉めたり、すれ違いの生活によるコミュニケーション不足などの理由で離婚しやすいと言われています。

もし共働き夫婦が離婚をする場合は、以下の5つをあらかじめ決めておくことでのちのトラブル回避にもつながります。

  1. 財産分与
  2. 年金分割
  3. 養育費
  4. 婚姻費用
  5. 親権問題

協議離婚ができれば双方の負担が少なく済みますが、話がまとまらない場合は調停や裁判に移行することになるでしょう。

できる限り円満離婚を目指したい方は、離婚の流れや手続きについて弁護士に相談するのがおすすめです。

本記事では、共働き夫婦の離婚原因と、離婚時のお金や子どもの問題などについて解説します。

共働き夫婦が離婚する際に決めておくべきこと

共働き夫婦が離婚する場合、以下5つの事項についてあらかじめ決めておきましょう。

  1. 財産分与
  2. 年金分割
  3. 養育費
  4. 婚姻費用
  5. 親権問題

順を追って解説していきます。

1.財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を離婚時に分け合う制度のことです。分ける資産を把握したうえで、割合や支払い方法を決めておかなければなりません。もしも話し合いで決まらなければ、調停・審判に移行することになります。

以下で、財産分与の対象となる資産や一般的な割合などについて詳しく解説します。

財産分与の割合

財産分与の割合は、共働きか専業主婦(主夫)かに関係なく、基本的には2分の1ずつとなります。多くの収入を得られているのは配偶者の協力(家事や育児)があってこそであるという考えから、収入の多さは財産分与の割合には影響しません。

ただし、共働きで収入が同等であるにもかかわらず夫婦の一方が家事・育児のほとんどを担っていた場合は、財産形成への貢献度を考慮され2分の1以上を受け取れる可能性もあります。

財産分与の対象となる資産

財産分与の対象となるのは、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産です。結婚前から持っていた財産や、贈与や相続によって得た財産は分与の対象とはなりません。

具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 現金
  • 預貯金
  • 不動産
  • 株式
  • 積立式保険
  • 骨董品や絵画
  • 貴金属
  • 家具家財
  • 退職金

また、夫婦での生活のために負った借金や住宅ローンなどのマイナスな財産も、財産分与の対象になります。公平に分与を行うため、資産額から負債額を差し引いて清算します。

住宅ローンがある場合は、不動産の現在の査定額から住宅ローンを差し引き、残った額を財産分与対象とするのが基本です。

財産分与の決め方

財産分与を決めるときは、お互いの預貯金通帳を確認するなどして対象となる財産をすべて明確にしておくことが大切です。財産をすべて把握できたら、財産分与の割合について夫婦で話し合います。

あわせて、支払方法についても決めておく必要があります。お金で支払うのか、現物を渡すのかなど具体的な支払方法についても協議しましょう。

もしも話がまとまらなければ財産分与請求調停に移行し、調停員を間に入れて話し合うことになります。それでも決まらなければ自動的に審判の手続きに移り、裁判官に判決を下してもらうという流れです。

ただし審判で決まることはまれで、調停で決まらなければ、取り下げない限りはほぼ裁判に移行します。

夫婦が別会計だった場合の財産分与の考え方

共働きだと、お互いが自分の収入を自分で管理しているケースもあります。しかし財布を別にしていたとしても、それぞれの収入は共有財産として扱われるため、財産分与の割合は原則として2分の1ずつです。

ただし、自分名義の財産さえ引き継げればよいと考える場合は、お互いに納得していれば必ずしも2分の1にする必要はありません。相手に財産分与を請求しない場合は、のちのトラブルを避けるためにも離婚協議書に清算条項を記載しておくのがよいでしょう。

※清算条項とは、協議書に記載したもの以外の請求は行わないという約束の条項のことです。

2.年金分割

年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金を離婚時に分割する制度のことで、収入の少ない方が多い方に請求できます。合意分割と3号分割の2種類があり、共働きの場合は合意分割になります。

対象となるのは厚生年金と旧共済年金のみで、どちらも離婚から2年以内に請求しなければなりません。以下で、年金分割について詳しく解説していきます。

年金分割は収入の少ないほうが多いほうに請求できる

年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金を離婚時に分割する制度のことです。共働きでも、収入が少ない方が多い方に年金分割を請求することが可能です。

婚姻期間中に納めた年金額を分け合うという仕組みであり、将来受け取れる年金額を分割するわけではない点に留意しておきましょう。

また年金分割には、以下の2種類があります。

合意分割 双方の合意もしくは裁判により按分割合を決めて分割する
3号分割 婚姻期間中の第3号被保険者期間の厚生年金記録を2分の1ずつ分割する

3号分割は配偶者の扶養に入っていた第3号被保険者のみが請求できるものなので、婚姻期間中ずっと共働きだった場合は合意分割になるでしょう。なお、3号分割であれば相手の同意は不要ですが、合意分割はその名前のとおり、お互いの合意がなければ適用されません。

年金分割の対象は厚生年金・旧共済年金のみ

年金分割の対象となるのは、厚生年金と旧共済年金のみです。国民年金や国民年金基金、確定給付企業年金などは対象ではありません。つまり共働きだったとしても、勤務先に厚生年金制度がない場合や自営業者の場合は、年金分割は行えないということになります。

年金分割を請求する際の注意点

年金分割の請求権には期限があり、離婚した日の翌日から2年以内に請求しなければ時効となります。つまり合意分割を行いたいなら、離婚後2年以内に配偶者の合意を得なければなりません。

ただし、以下のようなケースでは期限が変動します。

請求期限が変動するケース 請求期限
離婚後に相手が死亡した場合 死亡日から1ヶ月以内
年金分割調停・審判を申し立てた場合 結果が出た日の翌日から6ヶ月以内(本来の期限である2年を過ぎても可)

とくに離婚後に相手が死亡したケースでは、請求期限が1ヶ月と短いため早急に対応する必要があります。

また、合意分割の場合は相手が拒否すれば成立しません。あくまでも双方の合意が必須であるため、相手とまともに話し合いができないような場合は、弁護士に相談してサポートをしてもらったうえで手続きを進めるのがおすすめです。

3.養育費

子どもがいる場合、親権を持った側は相手に養育費を請求できます。養育費の相場は養育費算定表をもとに算出するのが一般的ですが、必ずしも算定表どおりの金額にしなければならないわけではありません。夫婦で話し合い、金額だけでなく支払い条件についても決めておきましょう。

以下で養育費について詳しく解説していきます。

親権者は相手に養育費を請求できる

子どもの親権を持った側は、自身が仕事をしているかしていないかに関係なく、相手に養育費を請求することができます。養育費とは、子どもが成人するまでに必要となる生活費や教育費、医療費などの費用のことです。

民法で、子どもを養育しない親も養育費を負担することと定められています。

(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第七百六十六条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
引用元:参照:民法の一部を改正する法律案新旧対照条文

養育費は「月額○万円」のような形で、毎月一定額を請求するのが一般的です。

年収で異なる養育費の相場

「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、養育費の相場は、母子家庭の場合で月額約5万円、父子家庭の場合は月額約2万6,000円です。

養育費は、裁判所が公表している養育費算定表を用いて、子供の人数や年齢、健康状態や親の年収などを加味して金額を算出するのが一般的です。子どもの数が多いほど、また子どもの年齢が高いほど養育費は高額になる傾向があります。

ただし、算定表で算出した額が絶対というわけではありません。以下のように、特殊な事情がある場合は養育費が調整される可能性があります。反対に、相手の不倫やDVで離婚した場合や実家から金銭的援助を受けている場合などは、養育費には反映されません。

養育費に反映される可能性があるケース
  • 子どもに高額な教育費がかかる
  • 子どもに障害や病気があり、高額な治療費がかかる
  • 支払う側が生活保護を受給している
養育費に反映されないケース
  • 離婚原因が相手の不倫やDV
  • 一方が実家から金銭的援助を受けている
  • 受け取り側が児童手当を受給している
  • 再婚相手との間に子どもがいない

養育費は支払い条件も事前に決めることが大切

養育費について決める場合、金額だけでなく支払い条件も事前に決めておくことが大切です。毎月何日に支払うのかや、どのような方法で支払うかなども決めておきましょう。

支払い方法は、主に銀行振込か手渡しのどちらかになります。手渡しだと履歴が残らないためトラブルになりやすいことから、銀行振込の方が無難です。

金額と詳細な支払い条件が決まったら、強制執行認諾文言付き公正証書を作成しておくことで、必要があれば強制執行も行えるようになります。養育費が支払われなくなって調停を申し立てることになったとき、スムーズに手続きを進めるためにも、支払い条件をあらかじめ決めておくのが望ましいです。

4.婚姻費用

婚姻費用は夫婦が社会生活を維持するために必要な費用のことで、共働きの場合も、別居中でも分担義務が発生します。金額は協議で決めるのが望ましいですが、話がまとまらなければ婚姻費用分担請求調停や審判に移行することになります。

以下で詳しく解説していきます。

婚姻費用の分担義務は共働きでも発生する

婚姻費用とは、夫婦が通常の社会生活を維持するために必要な費用のことです。具体的には、衣食住の費用や子どもの教育費、医療費などが含まれます。

民法上、夫婦には婚姻費用を分担する義務があり、共働きの場合も例外ではありません。収入の少ない方が多い方に対して生活費を請求できるため、離婚時には婚姻費用の取り決めも忘れずに行いましょう。

また、別居中も婚姻費用の請求は可能です。なお婚姻費用は、基本的には婚姻費用算定表をもとに算出されます。婚姻費用も養育費と同様、お互いの収入や子どもの人数などによって相場が決められています。

婚姻費用の請求方法

婚姻費用を請求する際は、まず夫婦で話し合って金額を決めることが望ましいです。金額が決まったら、いざというときに強制執行もできるよう公正証書に内容をまとめておくことをおすすめします。もし相手が話し合いに応じない場合は、内容証明郵便を送りましょう。

内容証明郵便とは、差出人や送付先、日付や記載内容を郵便局が証明してくれるサービスのことです。

内容証明を受け取った時点で、相手には婚姻費用の支払い義務が生じます。それでも話がまとまらない場合は、婚姻費用分担請求調停を行いましょう。調停でも合意が得られなければ自動的に審判に移行し、裁判官がさまざまな事情を考慮して適切な婚姻費用額を決めてくれます。

5.親権問題

子どもがいる場合は、親権者を夫婦のどちらかに決める必要があります。親権を持つ条件にはこれまでの監護実績や離婚後の生活環境、子ども自身の意思などが挙げられます。「母性優先の原則」により親権を持つのは圧倒的に母親が有利なのが現状ですが、状況によっては父親が親権を得ることも可能です。

親権問題について、以下で詳しく解説していきます。

親権者になる条件

未成年の子どもがいて離婚する場合は、夫婦のどちらかが親権者となります。親権を持つ条件には、以下のようなものが挙げられます。

  • これまでの監護実績
  • 子どもの年齢や意思
  • 親の健康状態
  • 離婚後の生活環境や経済状況

共働きであれば、離婚後の経済状況についてはお互いクリアできている場合も多く、ほかの要素で親権を争うことになるでしょう。婚姻期間中に子どもの養育を主に担っていたのであれば、確かな監護実績があるとして有利になりやすいです。

離婚後に仕事が忙しくなったとしても、監護をサポートしてくれる人がいれば適切な監護ができる環境であると判断される可能性が高いでしょう。また、子どもが10歳以上などある程度分別のつく年齢なら、本人の意向も重要視されます。

共働きでも育児を担うことが多いので母親が有利

日本では現状、親権者となるのは圧倒的に母親が多いです。理由としては、共働きでも主に育児を担っているのは母親であるケースが多いことと、「母性優先の原則」により母親が子どもを養育した方がよいという考えがいまだ強いことが挙げられます。

父親が親権者となることは少なく、父親にとっては親権争いは難しい戦いであると言えます。ただし、父親が親権を獲得したケースも確かに存在します。父親が親権者になるためのポイントについて、以下で詳しく解説します。

父親が親権を獲得するには「継続性の原則」が重要

父親が親権を獲得するために重要となるのが、「継続性の原則」です。日頃から積極的に育児に関与し監護を行うことで、親権を獲得できる可能性はあります。

反対に言えば、母親には「母性優先の原則」があるため、父親が普段ほとんど育児をしていないような場合は、親権争いにおいては非常に不利です。将来的に離婚を検討しており親権も得たいと考えているなら、監護実績を確実に積み上げていくことをおすすめします。

また、離婚後の養育環境を整えておくことも大切です。仕事が忙しくても、両親や親戚などの協力を得られる環境であれば親権争いではプラスに働きます。

さらに、母親の子育てにおける問題を立証できるかどうかもポイントです。たとえば母親が以下のようなケースに該当する場合、親権者として適任ではないと判断される可能性があります。

  • 子どもに虐待・DVをしている
  • ネグレクト(育児放棄)をしている
  • 子どもに関する必要な手続き(医療や学校関係等)をしていない

親権獲得を目指すなら、弁護士に相談して今後の対応についてアドバイスをもらうのもおすすめです。

共働き夫婦が離婚しやすいといわれる理由

共働き夫婦が離婚しやすいと言われているのには、主に以下のような理由があります。

  • 家事・育児の分担で揉めてしまう
  • すれ違いの生活でコミュニケーション不足になってしまう
  • 互いに経済的に自立している
  • 互いに出会いが多い
  • 家で仕事のストレスを発散させてしまう

それぞれ詳しく解説していきます。

家事・育児の分担で揉めてしまう

共働きであれば、毎日の暮らしをスムーズに回すには夫婦で家事・育児を分担することが望ましいでしょう。しかし実際には、どちらか一方に偏ってしまっているケースが多いです。

たとえば、妻は仕事に加えて家事も育児もこなしているにもかかわらず、夫は仕事しかしていないような場合、決して公平とは言えません。

話し合いで家事・育児の分担割合を見直すのが最善ですが、相談しても納得してくれなかったり、そもそも聞き入れる気がなかったりする場合は状況が改善することはなく、むしろ夫婦関係がどんどん悪化してしまうことが考えられます。

また、分担について話し合う中で根本的な価値観の違いが露呈した場合、共同生活を続けていくことは難しいとして離婚に至るケースもあります。

すれ違いの生活でコミュニケーション不足になってしまう

共働きの場合、お互いの生活がすれ違いやすいのが大きなデメリットと言えます。起床時間や出社時間、帰宅時間をはじめ、予定が合わなかったり休日がずれてしまったりとすれ違うことが多くなりがちです。

すると必然的に夫婦でコミュニケーションをとる時間も減ってしまうため、夫婦や子どもに関する大事な話し合いができなかったり、些細な喧嘩が増えたりしてしまうケースもあります。

夫婦の考え方に多少のズレがあっても、話し合いができれば気持ちのすり合わせができますが、その時間がとれなければ不満を解消することもできません。このような状態を経て生活だけでなく心までもがすれ違ってしまうと、離婚につながる可能性があります。

互いに経済的に自立している

共働きならお互いに経済的に自立しているため、配偶者がいなくなっても生活できることから離婚へのハードルが低い傾向にあります。

専業主婦(主夫)の場合、離婚を考えていたとしても金銭面がネックになり離婚を踏みとどまるケースがあります。とくに子どもがいれば、職探しから始めて子どもを養える程度の稼ぎを得ることは決して簡単ではありません。

その点、すでに仕事をしていて離婚後にも十分に生計を立てられるほどの収入があれば、離婚にも踏み切りやすいでしょう。また共働きだと、夫婦で財布を分けてお互いの収支や貯蓄を把握していないケースもあります。

自分の想定よりも相手の貯金が少なかった、もしくは多かったということがあれば、後々トラブルにつながり離婚に至ることも考えられます。

互いに出会いが多い

仕事をしていると、社内の同僚や上司をはじめ、取引先の人やお客さんなど、さまざまな人と接することになります。専業主婦(主夫)に比べ、異性と出会う機会も圧倒的に多いと言えるでしょう。そな中、一方が夫婦の現状に不満を持っている場合、外で出会った異性との不倫につながる可能性もあります。

業界によっては長時間残業が当たり前だったり、毎週のように飲み会があったりすることもあるでしょう。夫婦で良好なコミュニケーションがとれていないと、共働きによる出会いの多さは離婚要因になる可能性も0ではありません。

家で仕事のストレスを発散させてしまう

共働きの場合、夫婦双方が仕事での何らかのストレスを抱えているはずです。そんな中、どちらかが愚痴の聞き役に徹してしまうような状況は好ましくありません。「私のほうが大変なのに」という思考を持っていると、相手に寄り添い親身になることが難しくなってしまいます。すると結果的に我慢ができなくなり、離婚に至ってしまうケースもあります。

共働き夫婦にとっては、「どちらも大変でどちらも頑張っている」を前提に生活することが大切であると言えるでしょう。

共働き夫婦が離婚するための方法

共働き夫婦が離婚するには、以下3つの方法があります。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 裁判離婚

基本となるのは、夫婦で話し合って離婚する協議離婚です。協議離婚が成立しない場合は調停離婚、それでも話がまとまらない場合は裁判離婚になります。
それぞれ詳しく解説していきます。

協議離婚

協議離婚とは、夫婦がお互いに話し合って離婚に合意したのち、離婚届を役所に提出して離婚する方法です。日本では、離婚した人のおよそ9割以上が協議により離婚しているというデータがあります。

参照:令和4年度「離婚に関する統計」の概況 | 厚生労働省
役所からもらってきた離婚届に必要事項を書き込み、署名と押印をしたうえで役所に提出すれば離婚成立となります。子どもがいれば離婚時に親権を決める必要がありますが、親権さえ決めてしまえば離婚すること自体は可能です。

しかし、養育費や面会交流、財産分与などについて何も決めないまま離婚してしまうと、のちのトラブルにつながる可能性があります。さまざまな取り決めをスムーズに行うには、弁護士などの第三者に仲介してもらうのがおすすめです。

調停離婚

協議離婚を目指して話し合いをしてもまとまらない場合は、どちらかが調停を申し立てて離婚調停を行うことになります。協議を経てから調停に移行することが多いですが、DVがあり直接の話し合いが危険な場合や、そもそも話し合いの場を設けることが難しいなどの場合はいきなり離婚調停をすることも可能です。

離婚調停をするには、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に以下の書類を提出します。

  • 申立書
  • 夫婦の戸籍謄本
  • 事情説明書、子についての事情説明書(未成年の子がいる場合のみ)
  • 連絡先等の届出書
  • 進行に関する照会回答書
  • 年金分割のための情報通知書(相手に年金分割を求める場合のみ)

申し立てが受理されたら、月1回程度のペースで調停が行われます。離婚するかどうかに加えて、親権や養育費、財産分与などの離婚条件についても取り決めをしていきます。なお、調停では夫婦の間に調停委員が入るため、夫婦が顔を合わせて話すことはありません。

調停を経てお互いが離婚に合意したら調停調書が作成されるため、これを離婚届に添付して役所に提出すれば離婚成立となります。

裁判離婚

離婚調停をしても話し合いがまとまらなかった場合は、離婚裁判に移ることになります。離婚訴訟をすると、裁判官が離婚するかしないかや離婚条件についての判決を下してくれます。ただ離婚裁判において離婚するには、法定離婚事由と呼ばれる以下5つの原因のうち、1つ以上に該当していなければなりません。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

また、調停は協議を経なくても行えますが、調停を経ずに訴訟を行うことはできません。日本は「調停前置主義」であり、裁判の前には必ず調停を行わなければならないとされています。
離婚が認められたら、離婚届とともに判決書を役所に提出することで離婚成立となります。

共働きで離婚の話が進まないなら弁護士に相談してみる

共働きで離婚を考えているもののなかなか話が進まない場合は、弁護士に相談してみるのも一つの手段です。弁護士に相談すれば、よい条件で離婚するコツや話をスムーズに進めるポイントなどをアドバイスしてもらえます。

とくに調停や裁判を控えている方は、自分に不利な条件での離婚になってしまわないためにも弁護士の力を借りることをおすすめします。

まとめ

共働き夫婦が離婚しやすいと言われる理由は、以下の5つです。

  • 家事・育児の分担で揉めてしまう
  • すれ違いの生活でコミュニケーション不足になってしまう
  • 互いに経済的に自立している
  • 互いに出会いが多い
  • 家で仕事のストレスを発散させてしまう

離婚する際には、財産分与や年金分割、養育費などをあらかじめ決めておくことで、のちのトラブル回避にもつながります。できる限り円満離婚を目指したい方は、離婚の流れや手続きについて弁護士に相談するのがおすすめです。