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面会交流を拒否されたら損害賠償できる?条件や高額になるケースを解説

面会交流を拒否されたら損害賠償できる?条件や高額になるケースを解説

面会交流は、子どもを監護していない親が、その子どもと面会その他の方法で交流をもつことをいい、民法第766条1項にも規定されているものです。

別居や離婚後に子どもとの面会交流を拒否された場合、同居する親に対して損害賠償請求(慰謝料請求)が認められる場合があります。

もっとも、損害賠償請求が認められるためには、次のような条件を満たすことが必要です。

  • 面会交流について具体的な取り決めがある
  • 面会交流を拒否する理由が正当ではない
  • 面会交流を拒否されたことを証明できる

口頭で子どもに会わせるという約束だけをした場合、あるいは過去に子どもに対する虐待や暴言があるなど面会交流を拒否する正当な理由がある場合は、損害賠償請求は難しくなります。

面会交流の拒否に対する損害賠償請求金額は、数十万円から100万円が相場です。

ただし、同居する親が面会交流に関する協議に一切応じないケースや拒否する期間が長期間に及ぶケースでは、損害賠償額が高額になることもあります。

のちほど紹介しますが、過去の判例では500万円の損害賠償請求が認められたものもあります。

また、損害賠償請求だけでは面会交流に応じてもらえない場合、次のような方法を取ることも可能です。

方法 内容
面会交流調停の申し立て (当事者間だけで面会交流の合意がされている場合)家庭裁判所の調停委員が、当事者双方の間に入り、紛争事項の解決を図る手続き
履行勧告の申し立て 裁判所が、調停や審判で決まった内容を守らない人に対して、義務を果たすように説得や勧告を行う手続き。ただし、法的な強制力はなし。
間接強制の申し立て 調停や審判手続きで定められた義務を果たさない人に対して、その義務とは別に間接強制金を課すことで自発的な履行を促す手続き(強制執行手続きの一種)。
面会交流調停の再度申し立て すでに面会交流について調停で合意、あるいは審判で判断がされている場合に、再度調停を申し立て、面会交流の合意内容の変更などを話し合うこと。

この記事では、面会交流が拒否された場合に、損害賠償請求が認められるための条件から金額の相場、損害賠償額が高額になりやすいケースまで、過去の裁判例を含めて解説します。

また、損害賠償請求だけでは根本的な解決に至らないケースもあり、損害賠償請求以外に取りうる手段についても紹介します。

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面会交流の拒否に対して損害賠償請求ができる条件に

面会交流とは、子どもが離れて暮らす父母の一方と会って話をしたり、一緒に遊んだり、あるいは電話や手紙などで交流することです。

子どもには、離れて暮らす親と面会交流する権利があり、原則として同居する親は拒否できません。

子どもと同居する親が面会交流を拒否した場合に損害賠償請求するには、民法第709条の不法行為に該当し、面会交流を拒否されたことによる精神的苦痛を受けたことを証明できなければなりません。

ここでは、面会交流の拒否に対して損害賠償が認められるための3つの条件について解説します。

  • 条件1. 調停や裁判で面会交流について具体的な取り決めをした
  • 条件2. 拒否の理由が正当ではない
  • 条件3. 面会交流を拒否されたことを証明できる

条件1. 調停や裁判で面会交流について具体的な取り決めをした

1つめの条件は、面会交流について具体的な取り決めをしていることです。

単に口頭で「子どもに会わせる」といった約束をしただけでは、拒否された場合でも損害賠償請求は困難となります。

例えば、次のような事項を決めている場合、具体的な取り決めがあるといえます。

・面会交流の頻度(月1回、2時間など)
・面会交流の場所
・面会交流の方法
・普段の連絡の可否
・やむを得ない事由がある場合の調整方法

双方がこのような条件のもと合意したにもかかわらず面会拒否があった場合に、違法な権利侵害があったと認定されやすくなります。

これらの取り決めは、離婚協議書における面会交流の条件などで両親の間で合意していれば、裁判所での調停を経ていなくても構いません。

なお、調停や審判(裁判)を通じて、面会交流の条件を決めている場合は、当事者には、具体的に面会交流の詳細な条件を協議すべき注意義務(誠実協議義務)が課せられていると考えられます。

反対に、当事者間の協議で具体的に合意されていなければ、誠実協議義務は認められないことが一般的であり、損害賠償請求は難しくなります。

条件2. 拒否の理由が正当ではない

2つめの条件は、面会交流を拒否する理由が正当ではないことです。

つまり、面会交流を拒否する理由が悪質であり、違法性がある場合に損害賠償請求が認められやすくなります。

例えば、次のようなケースです。

  • 同居する親が非同居親を単に気に入らないだけ
  • 同居する親が再婚相手との関係を壊したくない
  • 緊急性のない理由を付けて、長期間面会交流を拒否し続ける状態が続いている

反対に、面会交流を拒否する正当な理由が認められる場合、違法に相手の権利を侵害したとはいえず、損害賠償請求は認められなくなります。

例えば、次のようなケースです。

  • 過去の面会交流で、非同居親が子どもに対して暴言を浴びせることが続いた
  • 子どもが面会交流を明確に拒否している
  • 子どもが体調不良である
  • 非同居親が子どもを連れ去ってしまう可能性がある
  • 非同居親が子どもや同居親に暴力を振るう可能性がある
  • 高額な旅費の負担を求めるなど無理な条件を押し付ける など

面会交流は、子どもの健やかな成長のために行われるものです。子どもに対して精神的・身体的な虐待のおそれがある場合などは、面会交流を拒否する正当な理由として認められ、損害賠償請求は難しくなります。

なお、子どもが面会交流を拒否していることを理由に拒否する場合、単に子どもが拒否しているだけで当然に面会交流の拒否が認められるわけではありません。

子どもが面会交流を拒否する十分な事情があり、子供の真意であると認められることが必要です。

この点については、子どもの年齢も関係してきます。

子どもの年齢が15歳以上であれば、自律的な意思を形成させていると考えやすくなります。

そのため、面会交流に関する調停や審判手続においては、子の意思を把握するように努め、審判にあたり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければなりません。

また、子どもが15歳未満の場合でも、10歳から12歳以上であれば自分の意思を表明できるとして、家庭裁判所の調査官が子供の意思を直接確認することがあります。

条件3. 面会交流を拒否されたことを証明できる

3つめの条件として、面会交流を拒否されたことを証明できることが必要です。

面会交流を拒否したことに対して損害賠償請求しても、相手が支払いを拒否することも十分に考えられます。

このような場合、最終的には裁判で争うことになり、主張を裏付ける証拠が必要となります。

面会交流の拒否に対する損害賠償請求で必要な証拠として、次の2つがあります。

①面会交流の条件を証明するための証拠
②面会交流を拒否されたことを証明するための証拠

①の面会交流の条件を証明する証拠として、次のものが考えられます。

  • 離婚協議書または面会交流に関する合意書
  • 離婚または面会交流に関する調停調書・審判書
  • 離婚訴訟における和解調書(面会交流の取り決めが記載されているもの)

協議で具体的な条件を取り決めたものの書面に残していない場合には、メールなどでのメッセージのやりとりの記録などを複数証拠として提出するなどが考えられますが、立証は難しくなります。

②の面会交流を拒否されたことを証明する証拠として、次のものが考えられます。

  • 面会交流の日時調整の記録
  • 面会交流拒否の理由に関するやり取り
  • 面会交流の内容に関するメモ
  • 子どもの意向に関する記録(メッセージ、電話など) など

子どもの意思ではなく、同居する親の意向によって面会交流が拒否されていることを証明する必要があります。

面会交流の拒否で請求できる損害賠償額の相場|数十万円〜100万円

面会交流の拒否で請求できる損害賠償額の相場は、数十万円~100万円です。

一般的には、それほど高額な慰謝料請求は認められず、具体的な金額は、拒否された期間や頻度、理由などから非同居親が受けた精神的苦痛の程度を考慮して決められます。

次の章で、損害賠償請求額が高額になりやすいケースについて解説します。

面会交流の拒否による損害賠償請求額が高額になりやすいケース

ここでは面会交流による損害賠償請求額が高額になりやすい3つのケースについて解説します。

  • 同居親が協議・調停に全く応じない
  • 拒否が長期間に及ぶ・一度も面会できていない
  • 拒否の理由に虚偽がある

同居親が協議・調停に全く応じない

面会交流の条件の協議にまったく応じない場合には、子どもに会わせる気がないと判断され高額になるケースがあります。

面会交流は、子どもの利益を優先しながらも、親と子が別居する場合に親子が面会する権利として法律上認められているものです。

【民法第766条第1項】
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

法律上認められた権利について、一切協議に応じないケースでは、権利侵害の程度が大きいと判断され損害賠償額が高額になる可能性があります。

拒否が長期間に及ぶ・一度も面会できていない

面会拒否の期間が長期に及ぶ、あるいは別居後一度も面会できていないケースでは、損害賠償額が高額になる可能性があります。

子どもの成長を見ることができない期間が長いほど、非同居親が受ける精神的苦痛は大きくなると判断されるためです。

これは、別居後一度も面会できていない場合も同様です。

特に、子どもが幼い場合、成長も早く、年単位で拒否されれば慰謝料増額の要因になります。

なお、厚生労働省の調査によると、面会交流の実施頻度は、母子世帯、父子世帯とも月1回以上2回未満が最も多くなっています(母子世帯では全体の24.2%、父子世帯では全体の27.7%)。

参照:厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告」

拒否の理由に虚偽がある

面会交流拒否の理由に虚偽がある場合も、悪質であると判断され損害賠償額が増額される場合があります。

例えば、「子どもに熱がある」「急用ができた」など、虚偽の理由で面会を拒否し続ける場合などです。

虚偽であることの証拠がつかめれば、慰謝料の増額を請求できる可能性があります。また、虚偽だけでなく、拒否する理由が悪質、身勝手と判断される場合も同様です。

面会交流の拒否によって損害賠償が認められた判例

では、実際にどのようなケースで面会交流の拒否による損害賠償請求が認められているのでしょうか。

ここでは、過去に損害賠償請求が認められた裁判例を3つ紹介します。

  • 500万円の損害賠償金が認められた判例
  • 前妻とその再婚相手へ、合計100万円の損害賠償請求が認められた判例
  • 70万円の損害賠償金が認められた判例

500万円の損害賠償金が認められた判例

面会交流の拒否に対する損害賠償としては、高額といえる500万円の請求が認められた判例です。

【静岡地方裁判所平成11年12月21日】

前夫が前妻に対して慰謝料請求した事案です。

前夫と前妻の離婚調停のなかで、2カ月に1回、2時間程度の面会交流をさせる旨の合意がされていました。

ところが前妻は合意内容を無視して面会交流を拒否し続けたため、裁判所が前妻に対して面会交流の履行勧告を行いました。

前妻はこれにも応じなかったため、前夫が前妻に対して慰謝料請求したというものです。

裁判所は次の事実を理由に、前妻に500万円の慰謝料の支払いを命じています。

・面会交流を制限する特段の事情がない点
・面会交流を拒否した期間が長かった点(約4年間)
・前妻の行為は、子の監護養育を考えないわがままなものである点

前妻とその再婚相手へ、合計100万円の損害賠償請求が認められた判例

【熊本地裁平成28年11月27日】

前夫が前妻とその再婚相手に対して慰謝料請求をした事案です。

前夫と前妻の調停のなかで、再婚相手が面会交流の連絡役となることで合意していました。

ところが、前妻とその再婚相手とも、合意した内容を守ることなく、面会交流を拒否していました。

裁判所は、前妻に対して70万円、再婚相手に前妻と連帯して30万円の損害賠償の支払いを命じています。

70万円の損害賠償金が認められた判例

【横浜地方裁判所平21年7月8日】

前夫が前妻に対して慰謝料請求した事案です。

前妻と前夫は、面会交流調停で成立した合意内容に従って面会交流を続けていました。

ところが、別居する前夫が無断で学校行事に参加、また、面会交流の合意内容の変更を求めてきたことから、前妻が面会交流を拒否した事案です。

裁判所は、前夫の行為が面会交流の合意内容に反するものとまではいえない点、子が面会交流に消極的移行を有していなかった点などを理由に、前妻に70万円の慰謝料の支払いを命じました。

面会交流を拒否された時にやるべきこと

では、面会交流を拒否された場合、損害賠償請求以外にどのような対処法が考えられるのでしょうか。4つの方法について解説します。

  • 面会交流調停の申し立て
  • 履行勧告を出す
  • 間接強制の申し立て
  • 面会交流調停の再度申し立て

面会交流調停の申し立て

別居あるいは離婚時の面会交流の取り決めが、当事者間の合意だけである場合、裁判所に面会交流調停を申し立てることが考えられます。

調停手続きは、家庭裁判所の調停委員(2名)が、当事者双方の間に入り、紛争事項の解決を図る手続きです

面会交流調停では、面会交流が「子の利益」「子の福祉」につながるかを確認するために、次のような点を確認します。

  • 子どもの生活状況
  • 離婚・別居の原因
  • 同居中、別居後の親子の接触の有無や程度
  • 希望する面会交流の条件(回数・時間・場所・方法)
  • 面会交流を認めるべきではない特段の事情の有無
  • 面会交流に対する子どもの意思

面会交流について父母間で争いがあり、面会交流の実現が困難な場合、家庭裁判所調査官による調査が行われることもあります。

調停委員による聴き取りは、申立人と相手方の入れ替わりで行われ、調停成立時以外は、申立人と相手方が同席することはありません。

調停手続きを経て、面会交流の条件で合意できれば調停は成立します。

とはいえ、調停で相手方が面会交流を拒否する、あるいは調停に欠席するなどで、調停が不成立で終わることもあります。

調停が不成立となった場合、自動的に審判手続きへ移行します。

審判手続きは、調停のような話し合いで合意形成を目指す手続きではありません。裁判官が当事者の主張や提出された書面、証拠、調査官の調査報告書を踏まえ、面会交流の可否や条件を決定(審判)します。

審判から2週間以内に不服申し立てがない場合、審判が確定します。

履行勧告を出す

調停や審判手続きで面会交流の条件で合意したものの、同居する親がそれに従わない場合もあります。

このとき、裁判所に履行勧告を申し立てることができます。

履行勧告とは、裁判所が、調停や審判で決まった内容を守らない人に対して、義務を果たすように説得や勧告を行う手続き

履行勧告には費用はかかりませんが、法的強制力はなく、相手が履行勧告に従わない場合でも強制することはできません。

なお、履行勧告の申し立てには、面会交流について、調停や審判手続きで合意していることが必要です。

そのため、当事者間の協議によって面会交流の合意をしているだけの場合、裁判所に履行勧告を申し立てることはできません。

間接強制の申し立て

子どもと同居する親が面会交流を拒否する場合、裁判所に間接強制の申し立てをすることが考えられます。

間接強制とは、調停や審判手続きで定められた義務を果たさない人に対して、その義務とは別に間接強制金を課すことで自発的な履行を促すものです(強制執行手続きの一種)。

間接強制は、調停・審判手続きを行った家庭裁判所に申し立てます。

申し立てが認められると、同居する親は、面会交流が実現するまでの間、一定期間ごとに非同居の親に対して金銭を支払う義務を負います。

例えば、合意した内容で面会交流を1回行わないごとに5万円を支払うといったものです。金銭の支払いが続くことで、同居する親が間接的に面会交流を認めることを間接的に強制します。

相手が金銭の支払いを自発的に行わない場合は、強制執行の手続きにより相手の財産を換価したり処分することが可能です。

なお、間接強制の申し立てが認められるためには、調停や審判手続きで、面会交流の日時や頻度、1回の交流時間、受け渡しの場所などが具体的に決められていることが必要になります。

合意内容が明確でない場合、間接強制の申し立てが認められない点に注意が必要です。

面会交流調停の再度申し立て

すでに面会交流について調停で合意、あるいは審判で面会交流実施の判断がなされている場合でも、再度調停を申し立てることで、面会交流の合意内容の変更を話し合うこともできます。

合意した後に同居した親の状況が変わり、面会が実現しにくい場合は、当初の条件を見直すことで面会交流が実現する可能性があります。

ただし、面会交流調停を成立させるためには、相手の同意が必要です。調停で合意できない場合は審判に移行して、裁判所が面会交流の可否や条件を判断します。

まとめ

面会交流が拒否された際に、損害賠償請求が認められる主な条件は次のとおりです。

  • 面会交流について具体的な取り決めがある
  • 面会交流を拒否する理由が正当ではない
  • 面会交流を拒否されたことを証明できる

損害賠償請求額の相場は、数十万円から100万円ですが、面会交流が拒否されている経緯や期間、理由などによっては請求額が上がるケースもあります。

また、損害賠償請求をしただけでは、面会交流に関するトラブルを根本的に解決することが難しい場合、あるいは、そもそも相手と冷静に協議することが難しい場合もあります。

面会交流の実施は、子どもの気持ちや成長を第一に考えて対応することが大切です。

そのため、面会交流が拒否された場合、離婚問題に精通する弁護士に相談することも一つの方法です。

専門家に相談することで、状況に応じた適正な損害賠償請求額やそれ以外に取りうる手段についてもアドバイスを受けることができます。

面会交流の拒否に関するよくある質問

面会交流を拒否された場合、同居親の再婚相手にも損害賠償請求できるって本当ですか?

面会交流が拒否された場合、同居する親の再婚相手にも損害賠償請求が認められる可能性があります。

過去の裁判例(熊本地裁 平成28年12月27日)では、面会交流を拒否した元妻に70万円の支払いを命じたうえで、元妻の再婚相手にも元妻と連帯して30万円を支払うように命じました。

この事案では、離婚後の面会交流調停において、再婚相手を連絡調整役としたうえで、元夫と子どもが月に1回面会交流する旨の調停が成立していました。

ところが、元妻と再婚相手は、面会交流の日時などの連絡を怠り、元夫は約3年5ヶ月にわたって長男と面会交流できませんでした。

熊本地裁は、「長男が7歳から10歳に成長する大切な時期に交流できなかった原告の精神的な苦痛は相当に大きい。」として、元妻及び再婚相手双方に対し、損害賠償責任を認めました。

面会交流の拒否により親権者の変更は可能でしょうか?

面会交流が拒否されている場合に、家庭裁判所に親権者の変更を申し立てることはできます。

調停で双方が合意する、あるいは調停で合意できず審判手続きで親権者の変更が認められる可能性があります。

過去の裁判例のなかに、離婚後、子ども(7歳)と別居した父親が,親権者の母親が面会交流を拒むため,親権者の変更を申し立てた家事審判があります。

家庭裁判所は「父親と長男の関係は良好であった。円滑な面会交流実現のためには親権者変更以外に手段がない」として、親権者を父親に変更する決定を出しました。

ただし、面会交流の拒否だけで親権者の変更が決まるケースはほとんどありません。

面会交流を拒否されたら、養育費の支払いを拒否することはできる?

面会交流を拒否されたとしても、養育費、あるいは婚姻費用などの支払いを拒否することはできません。

なぜなら、面会交流できる権利と養育費の支払い義務(受け取る権利)は、別々の権利であり、その目的も異なるためです。

また、離婚したとしても子どもの親である限り、親は子を扶養する義務(民法第877条第1項)があるため、養育費の支払いは拒否できません。

仮に、養育費の支払いを拒否したとしても、反対に給与や預貯金、その他の財産を差し押さえられる可能性があります。

面会交流が認められるまで養育費を支払わないことを考えるかもしれませんが、面会交流の拒否と養育費の支払いは、まったく別のことと考えるべきでしょう。

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更新日 : 2025年02月12日
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