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個人再生手続きの流れは?申立てから認可決定までの流れについて

個人再生 流れ
監修者
伊藤 俊太郎(弁護士)
弁護士法人アクロピース

個人再生手続きは複雑だって聞きますが、実際はどんな流れでおこなわれるのでしょうか?

個人再生の流れは大きく「個人再生申立~開始決定」と「開始決定~認可まで」に分かれ、大まかにいうと、申立準備→裁判所に申立→開始決定→認可の流れで進みます。

なるほど。申立準備とは、具体的にどのようなことをするのですか?

まずは弁護士へ相談・依頼をし、その後収支や財産の調査をします。そして、申立に必要な書類をそろえていきます。個人再生は必要書類が多いため、ここで時間がかかってしまうケースも多いのです。

個人再生は裁判所に借金を全額返済することが難しいことを認めてもらい、借金を大幅に減額したうえで残りを返済していく債務整理手続きです。

個人再生は法的手続きであり、裁判所を通じた手続きのため、手続きは多く長期間に及びます。

また自宅を残しながら借金が減額できることや手続き後に返済が続くことから、手続き後の返済ができるかどうかも厳しくみられるため、手続きは複雑で準備する書類も多くなっています。

個人での手続きは難しいため、弁護士・司法書士へまずは相談することをおすすめします。

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この記事でわかること
  • 個人再生手続きは小規模個人再生と給与所得者等再生で大きな違いはなく、大きく「個人再生申立~開始決定」と「開始決定~認可」の2つに分けられる。
  • 個人再生申立~認可では申立に必要な書類の準備、債権や収入、資産の調査、申立書類の作成が行われる。
  • 開始決定~認可では債権の確定、再生計画案の作成提出、決議・認可の順で進む。
  • 再生計画通りに弁済ができなくなると再生計画の認可が取り消され、借金は手続き前の状態に戻ってしまう。

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個人再生手続きの流れ(個人再生申立~開始決定まで)

個人再生手続きには「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの手続きがありますが、基本的な手続きは同じです。

個人再生手続きは大きく分けると「個人再生申立~開始決定」「開始決定~認可」の2つに分けられます。それぞれの手続きの内容について詳しく解説していきます。

個人再生手続きを開始する場合、まずは個人再生の申立に向けた準備、申立を以下の流れで行います。申立から開始決定までには一般的に1~2ヶ月程度です。

  1. 弁護士・司法書士に相談する
  2. 弁護士へ正式に依頼し、受任通知を発行。正確な借入状況を把握する
  3. 過払い金がある場合は引き直し計算をする
  4. 収支・家計の調査
  5. 財産・資産の調査
  6. 個人再生申立書の作成

弁護士・司法書士に相談する

個人再生を検討している場合、まずは弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。

個人再生は手続きできる要件や手続きが煩雑なため、債務整理手続きとして個人再生が適切か、個人再生の要件を満たしているかを個人で確認するのは難しいです。そのため、弁護士・司法書士に相談し確認してもらうのが良いでしょう。

相談の際には借入先や借入額、借入の開始時期、月々の返済額、収入額、借金の理由などをヒアリングされるので事前に準備していくとスムーズです。個人再生にかかる費用や疑問点にも丁寧に答えてもらえるので、少しでも返済が難しいと思ったらまずは相談してみましょう。

受任通知が発送され、取り立てが停止する

弁護士・司法書士と委任契約を締結し手続きを開始することが決まれば、すぐに弁護士・司法書士より受任通知(弁護士介入通知)が債権者に発送され、同時に取引履歴の開示請求を行います。

受任通知は債務者(お金を借りた側)が個人再生を行うことを債権者に通知するもので、これを受けた債権者は以後、債務者に対して再請求や督促を行えないため、返済に追われることなく落ち着いて債務整理手続きを進められます。

取引履歴については、開示請求にて債権者から開示してもらうため、手元に借入情報がすべて残っていなくても手続きを進めることができます。

過払い金がある場合は引き直し計算をする

取引履歴が債権者より開示されたら、これまでの履歴を元に引き直し計算を行います。

引き直し計算とは、過去にグレーゾーン金利で支払っていた利息を法定金利に直して再計算し、実際の借金総額を確定する手続きです。引き直し計算により過払い金が発生している場合はこのタイミングで過払い金請求を行います。

収支・家計の調査

個人再生の場合は引き直し計算などによる債権の調査と並行して、収入や支出、家計状況の調査を行います。

個人再生の場合は利用の要件が「反復・継続した収入があること」や「再生計画に基づいて弁済を行えること」であることから、これらの調査により個人再生手続きの利用ができるかどうかの確認が必要です。

この調査のため、債務者は給与明細や源泉徴収票などの収入証明を準備する必要があります。

財産・資産の調査

収支・家計の調査とほぼ同時に財産・資産の調査も必要です。

個人再生の場合、最低弁済額(最低限返済しなければならない金額)を決定する際の考え方に「清算価値保障原則」というものがあります。これは自己破産した場合に資産を処分して債権者に配当される額(清算価値)以上を最低弁済額としなければならないという考え方です。

個人再生手続きの元となっている民事再生法では借金の額によって最低弁済額が規定されており、この「民事再生法上の最低弁済額」と「清算価値」のどちらか高い方が最低弁済額に設定されます。このような規定があるため、この時点で財産・資産の状況を確認する必要があるのです。

この調査のため債務者は通帳や保険証券、不動産登記簿謄本及び査定書などの資産の状況を確認する書類を準備する必要があります。

個人再生申立書の作成

債権や収入、資産の調査が完了したら、小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらかを選択し、個人再生申立書を作成します。住宅ローンの残る自宅を維持する場合には住宅資金特別条項の利用も同時に検討します。

申立書には、申立人の氏名・住所、申立の趣旨、再生手続開始の原因となった理由などを記載します。弁護士・司法書士に依頼した場合は、申立書は作成してもらえるため、弁護士・司法書士からの質問等には正直に答えるようにしましょう。

また申立書には債権者一覧表や住民票の写し、財産目録や収入を証明するための直近2ヶ月分の給与明細や課税証明書などの添付が必要です。申立準備の段階で弁護士・司法書士より書類の準備を指示されるので、確実に用意しておくようにしてください。

個人再生手続き申立

申立書の作成や添付する書類の準備ができたら、管轄の地方裁判所へ個人再生の申立を行い、申立の際には手数料として収入印紙を、郵券として郵便切手を添付します。

また、申立が無事受理されたあとは、官報公告費を納める必要があります。官報公告費は、個人再生手続きの開始決定や認可時にその事実を官報に掲載する際に必要な費用でこの段階で納めておきます。

個人再生委員の選任

申立が受理されると、個人再生委員の選任が必要な事案の場合は個人再生委員が選任されます。

個人再生委員の選任が必要かどうかは管轄の裁判所によって異なりますので、依頼する弁護士・司法書士に確認するといいでしょう。なお、弁護士・司法書士に依頼しない場合は必ず個人再生委員が選任されることになります。また、東京地方裁判所では、全件個人再生委員が選任されるという運用になっています。

個人再生委員との打ち合わせ

個人再生委員が選任されるとすぐに個人再生委員との打ち合わせが行われます。打ち合わせは申し立ての内容や債務、資産、収支の状況などについての確認が主な目的です。

個人再生委員との打ち合わせの有無は裁判所にもよりますが、弁護士に依頼している場合は行われない場合もあります。

履行テストの開始

個人再生委員が選任されると履行テストが開始され、個人再生委員が指定する口座に弁済予定額を毎月振り込みます。履行テストは一般的に認可決定が出るまで約6ヶ月間行われ、振り込んだお金は個人再生委員の予納金などに充てられ、余ったお金は返却されます。

履行テストの第1回目の振込は申立後1週間以内に振り込むことが多く、個人再生委員との打ち合わせ前に振込が開始となるケースもあるので、準備しておきましょう。

個人再生手続きは手続き後にも弁済が3~5年継続するため、履行テストは債務者が認可後も弁済を履行できることを確認する目的で行われます。

履行テストは個人再生手続きにおいて重要な位置づけにあり、これが履行されないと手続きをストップしたり、最悪の場合認可されないケースもあるため、必ず遅滞なく実行するようにしましょう。

個人再生手続き開始決定

個人再生委員との打ち合わせ、第1回目の予納金の納付が完了すると、個人再生委員から個人再生手続開始に関する意見書が裁判所へ提出され、個人再生手続きの開始決定が裁判所より出されるとともに、その事実が官報に公告されます。

この開始決定は裁判手続であり、「債務者は原則的に債権者への弁済を禁止される」「債権者は強制執行ができなくなる」などさまざまな法律上の効力が発生します。住宅ローンについても原則的に返済禁止となりますが、住宅資金特別条項を利用する場合には裁判所からの許可を得ることで返済を継続することができます。

個人再生手続きの流れ(開始決定~認可まで)

個人再生開始決定から認可までは以下のような流れで行われ、開始決定から認可までは概ね5か月程度かかります。

  1. 債権調査
  2. 債権認否一覧表の提出
  3. 再生計画案の作成・提出
  4. 再生計画案の決議
  5. 再生計画案の認可・確定・弁済の開始

債権調査

再生計画に基づき弁済する債権を確定させるため、債権調査が行われます

個人再生手続きの開始が決定すると裁判所から債権者に対し債権の届出を求める通知が発行され、債権者はこの通知に基づき期限までに債権を届けなければなりません。

債権認否一覧表の提出

債権者から債権が届出されると、それを受けて債務者はその債権金額を認めるかどうかの認否を債権認否一覧表に記載し提出します。

もし債権に異議を申し立てる場合は、債権認否一覧表に異議申述書を添付し、異議のある債権についてその債権者に異議を申し立てた事実を通知しなければなりません。

再生計画案の作成・提出

債権額が確定したら、次は再生計画案の作成と裁判所への提出です。再生計画案には返済総額や返済方法、住宅資金特別条項の利用の有無などについて記載します。

この再生計画案は提出期限があり、期限までに提出できなかった場合は手続きが廃止されることになるので、必ず期限までに提出するようにしましょう。

再生計画案の決議

再生計画案が提出されると個人再生委員より裁判所に書面決議に付するかどうかの意見書が提出され、それに基づいて裁判所が書面決議に付するかどうかを決定し、債権者へ向けて書面決議に付される旨が通知されます。

ここで債権者の過半数かつ債権額の2分の1以上の不同意があると再生手続きが進められず廃止となる重要な手続きです。

給与所得者等再生の場合は債権者の同意を必要としないため決議は行われず、意見聴取をするだけにとどまります。債権者から不認可事由に該当する事実の申告などがあった場合には不認可になる場合もありますが、弁護士・司法書士に依頼していれば手続きを開始する段階で確認されているためこの段階で問題となることは少ないでしょう。

再生計画案の認可・確定・弁済の開始

再生計画案に対して債権者より一定数以上の不同意がなかった場合、個人再生委員より書面決議の内容を踏まえ再生計画を認可するかどうかの意見書が提出されます。

裁判所は個人再生委員の意見を踏まえ再生計画の認可・不認可を決定し、認可後2週間ほどで再生計画の認可について官報で公告、さらに2週間ほどで認可決定の確定をもって手続きは完了です。

この認可決定確定の翌月から再生計画に基づいた弁済のスタートです。

なお、弁済額の支払いについては債権者より指定された金額を指定された口座に振り込むことになります。債権者毎に振り込む必要があるため、振込先の口座や金額については確認し間違えることのないようにしましょう。

もし弁済ができなくなったら?個人再生の失敗とハードシップ免責について

個人再生が認可されれば再生計画に基づく弁済がスタートしますが、弁済が遅延するなど再生計画を履行できない場合は、再生計画が取り消され個人再生が失敗することになります。

個人再生後に返済できなくなった場合は、個人再生は失敗する

個人再生認可後、返済できなくなった場合個人再生は取り消され失敗する場合があります。

再生計画通りの弁済が行われない場合、債権者は個人再生の取り消しの申立を行い、裁判所はこの申立を受け再生計画取消の決定を行うことがあります。この決定が行われると、再生計画の認可によって免除された債務はすべて復活し、個人再生手続き前の状態に戻ってしまうため、弁済は確実に行うようにしましょう。

再生計画の返済が滞ってしまう状況であれば、元に戻った借金を返済することは事実上難しくなるため、自己破産を選択するしかなくなってしまいます。

再生計画の取り消しはあくまで債権者からの申立が行われてはじめて決定されるため、延滞が何ヶ月続けば取り消されるなどの明確な決まりはありません。ただし、急病やリストラなど債務者の責任とは程遠いところで返済が滞った場合は「ハードシップ免責」が適用されます。

ハードシップ免責とは病気等による長期間の入院やリストラによる失業など、本人の責任に帰するものでない事由で再生計画通りの返済が極めて困難な場合に、残りの借金の支払い義務を免除する制度です。

ただし、ハードシップ免責は認可の要件が再生計画の返済金額の4分の3以上が返済済みであることなど非常に厳しいことや、自宅を失うことになるなどデメリットも多く実際に利用するのはかなり難しい手続きとなっています。

詳しくは別の記事にて解説しています。

まとめ

個人再生手続は手続きが複雑で、準備・作成する書類も多く手続きは長期間に及びます。

認可後に弁済も必要となるため弁済が可能かどうかについても厳しく判断される手続きです。

また、書類や手続きの管理なども複雑となり、裁判所を介した法的手続きのため、法律知識を求められることも多いことも特徴です。

弁護士・司法書士に依頼することでこれらの手続きの多くを委任できるだけでなく、スムーズな認可決定に向けた適切なアドバイスもしてもらえます。

手続きを検討している場合は、まずは弁護士・司法書士に相談してみましょう。

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