自己破産で免責不許可になったらどうする?その他の解決策について

自己破産を検討しているのですが、免責許可されなかったケースもあると聞いて不安に思っています。免責許可されないケースは実際どれくらいあるのですか?


自己破産において免責許可されないケースは、2~3%程度でそれほど多くありません。自己破産には免責不許可事由というものがあり、該当すると免責が許可されないといわれていますが、実際には裁判所の裁量で免責が許可されるケースがほとんどなのです。
なるほど、少し安心しました。とはいえ、やはり免責許可されなかった時のことを考えると不安になってしまいます。免責許可されなかった場合は、具体的にどうなるのですか?


免責許可されなかった場合、原則として借金全額の返済義務が残るので、そのまま放置すると債権者から裁判を起こされ財産を差押えられる恐れもあります。弁護士・司法書士事務所へ相談して即時抗告をしたり、任意整理や個人再生へ方針を変更することも検討しましょう。
自己破産は一定以上の価値ある財産を手放す代わりに、借金を帳消しにできる手続きです。
ただし、免責不許可事由があると免責が許可されず借金が残るケースもあります。
免責が許可されなかった場合、残った借金を返済せず放置すると、裁判を起こされ財産を差押えられる恐れもあります。
そのようなリスクを避けるため、免責が許可されなかった場合は、すぐに即時抗告によって異議を申立てたり、任意整理や個人再生へ方針を変更して借金の負担を減らすことを検討しましょう。
即時抗告や任意整理・個人再生は個人でおこなうのは難しく、専門家である弁護士・司法書士事務所へ依頼するのが一般的です。
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- 自己破産で免責許可されない割合は実質2~3%。
- 自己破産で免責許可されなかった場合、1週間以内に即時抗告をおこなうとよい。
- 即時抗告や任意整理・個人再生への方針変更は、自力でおこなうのは困難なので弁護士・司法書士事務所へ依頼するとよい。
自己破産で免責許可されない割合はどれくらい?
自己破産すれば誰でも借金が帳消しになるわけではなく、免責不許可事由免責許可されない原因となる事由。があると免責が許可されず借金が残ることもあります。
ただし、免責不許可事由がある場合でも、その内容や程度によっては裁量免責免責不許可事由がある場合でも、裁判所の裁量で免責を許可できる制度。により免責が許可されることもあるのです。
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
では、実際のところ自己破産で免責が許可されない割合はどのくらいなのでしょうか。
次の項目から、詳しくお伝えします。
免責許可されない割合は実質2~3%
自己破産において免責の申立てをした場合、最終的には以下のいずれかの結果が出ます。
- 免責許可の決定が出る。
- 免責不許可の決定が出る。
- 申立てが却下・棄却される。
- 申立て者が自ら申立てを取り下げる。
このうち、②の免責不許可の決定が出る確率は、実はそれほど高くありません。
日本弁護士連合会は3年に1度、破産事件を対象にした記録調査をおこない、その結果を公表しています。
2020年の調査記録によると、近年の破産事件における結果の割合は、以下のようになっています。
免責申立の結果 | 2020年 | 2017年 | 2014年 | 2011年 |
---|---|---|---|---|
許可 | 96.85% | 96.77% | 96.44% | 96.67% |
不許可 | 0.00% | 0.57% | 0.00% | 0.08% |
申立却下・棄却 | 0.16% | 0.08% | 0.24% | 0.24% |
取り下げ | 1.37% | 2.34% | 2.75% | 2.11% |
死亡終了 | 0.32% | 0.08% | 0.32% | 0.24% |
不明(記入漏れ含む) | 1.29% | 0.16% | 0.24% | 0.65% |
参照:日本弁護士連合会:消費者問題(消費者問題対策委員会)
役立つ資料>2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【報告編】>第2 破産記録調査結果分析>2 破産事件処理の実態>(6)免責申立の結果
上の表から分かるとおり、免責不許可の決定が出る割合は平均0.2%未満です。
2020年の調査では、2014年の調査に引き続き免責許可されなかった件数は0件でした。
一方で、破産者が自ら申立てを取り下げた割合は、2011年~2017年の調査においては2%を超える値で推移しており、昔に比べて増加しています。
免責不許可事由があり、かつ裁量免責となる見込みもない事案では、裁判所が破産者に申立ての取り下げをすすめたり、個人再生に方針を変更するよう指示するケースも多いです。
そのため、取り下げとなった事案の中には実質的な免責不許可に該当する人も含まれていると考えられます。
よって、免責不許可だけでなく申立却下・棄却や取り下げなどの結果になった場合も含めると、免責許可されない割合は実質2~3%と考えられます。
「実際にどのようなケースで免責許可されないのか」については、個々の状況によるため一概にはいえず、借入や収支の状況を細かく伝えて専門家に判断してもらう必要があるでしょう。
今現在、自己破産を検討中で免責許可されないのではと心配な人は、無料相談などを利用して弁護士・司法書士事務所へ一度相談してみることをおすすめします。
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自己破産で免責許可されなかった場合の対処法
自己破産で免責が許可されなかった場合、借金の返済義務は免除されません。
よって、破産者は借金全額を債権者へ返済しなければならないのが原則です。
しかし、免責が許可されなかった場合でも、即時抗告をおこなうことで免責不許可の決定が覆る可能性があります。
もしくは、任意整理や個人再生に方針を変更することで、借金の負担を大幅に減らせる場合もあるのです。
次の項目から、自己破産で免責許可されなかった場合の対処法について、さらに詳しくお伝えします。
1週間以内に即時抗告をおこなう
自己破産で免責が許可されなかった場合、破産者は即時抗告裁判所の決定に対して異議を申立てる手続き。による異議申立てが可能です。
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
5 免責許可の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
ただし、即時抗告ができるのは、免責不許可の通知から1週間以内と決められています。
第三百三十二条 即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
また、自己破産は地方裁判所でおこないますが、即時抗告は自己破産を申立てた地方裁判所を管轄する高等裁判所に対して申立てます。
抗告審で破産者の主張が認められれば、免責不許可の決定が覆り、免責が許可されることもあります。
ただし、実務においては免責不許可事由があっても裁量免責となるケースが多く、免責不許可の決定が出ること自体ほとんどありません。
そういった意味で、地方裁判所が一度免責不許可と判断した事案について、即時抗告によりその判断が覆る可能性は低いといえます。
いずれにせよ、即時抗告には期限があるため、自己破産で免責が許可されなかった場合は速やかにその理由を確認し、即時抗告をおこなうのか決定する必要があります。
なお、即時抗告をおこなうかどうかの判断を個人でおこなうことは難しいため、弁護士・司法書士事務所へ相談して専門家からアドバイスをもらうとよいでしょう。
任意整理・個人再生へ方針を変更する
即時抗告をしても免責不許可の決定が覆らなかった場合、任意整理や個人再生へ方針を変更して借金の負担を減らすことも検討しましょう。
- 任意整理・・・将来利息をカットや減額して3~5年で分割返済する。
- 個人再生・・・返済額を負債総額に応じて1/5や1/10に減らし3~5年で分割返済する。
どちらも自己破産と違い、免責不許可事由に該当する場合も利用できる手続きです。
ただし、個人再生を利用したい場合は、借金総額が5000万円を超えないことが条件なので注意してください。
また、「自分の場合どれくらい負担が軽くなるのか?」「自分の状況だとどの方法が最適なのか?」詳しく知りたい場合は弁護士・司法書士事務所へ直接相談するのがおすすめです。
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自己破産で免責許可されなかったらどうなる?
自己破産で免責が許可されなかった場合は、前の項目で紹介したような対処法で早めに対処することが大切です。
なぜなら、免責許可されなかった後に何もせず放置してしまうと、以下のようなリスクがあるからです。
- 借金全額の返済義務が残る。
- 裁判を起こされ財産を差押えられる。
次の項目から、それぞれ詳しくお伝えします。
借金全額の返済義務が残る
前述したとおり、免責が許可されなかった場合、自己破産しても借金は免除されません。
そのため、破産者は自己破産したにもかかわらず、借金全額を債権者へ返済しなければならないのです。
自力で債権者へ返済していくのが厳しい場合は、早めに弁護士・司法書士事務所へ相談して任意整理や個人再生などをおこなうとよいでしょう。
裁判を起こされ財産を差押えられる
免責が許可されなかった場合、破産者は債権者へ借金を返済しなければなりませんが、仮に返済せず放置すると、債権者から裁判を起こされる恐れがあります。
免責が許可されなかった以上、債権者にはまだ未回収の借金を取戻す権利があり、債務者が返済しない場合は代わりに裁判を起こして財産を差押えようと考えるためです。
もし債権者に裁判を起こされ、財産を差押えられることになった場合、差押えの対象となる財産には以下のようなものがあります。
- 給料
- 預貯金口座
- 自宅(持ち家の場合)
- 生命保険の解約返戻金
このような財産が差押えられることを防ぐためには、免責が許可されなかったと分かった時点で、すぐに対処することが大切です。
まとめ
自己破産で免責が許可されなかった場合は、そのまま放置すると裁判を起こされ、給料や預貯金口座などを差押えられる恐れもあります。
そうなる前に、即時抗告や任意整理・個人再生への方針変更などで対処しましょう。
また、上記のような手続きを自力でおこなうのは困難なので、弁護士・司法書士事務所へ依頼するのがおすすめです。
当サイトでは、全国対応&24時間無料相談できる弁護士・司法書士事務所を紹介しているので「ちょっと話を聞いてみる」つもりで気軽に相談してください。
自己破産の免責許可についてよくある質問
あります。自己破産すれば誰もが借金を帳消しにできるわけではありません。
日本弁護士連合会の調査によると、近年の自己破産で免責不許可の決定が出た割合は0.2%程度ですが、申立却下・棄却や取り下げなどとなった事案も含めると、実質2~3程度と考えられます。
借入理由が浪費やギャンブルだったなど、免責不許可事由があったことが主な原因と考えられます。
1週間以内であれば、即時抗告により異議を申し立てられます。しかし、即時抗告をしても免責不許可の決定が覆らない場合もあるため、その場合は任意整理や個人再生へ方針を変更して、借金の負担を減らすことも検討しましょう。
免責許可が降りなかった以上、借金の返済義務は残っています。放置すると裁判を起こされ財産を差押えられる恐れもあるため、早めに法律事務所へ相談して適切なアドバイスをもらい、対処しましょう。

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