返済ができなくて、自宅に督促状が届くようになってしまいました。もし引っ越しをして新しい住所を金融機関に届出しなかった場合はどうなるんですか?
引っ越しをするときは住民票を移しますよね。住民票は督促などの目的があれば第三者でも請求ができますので、住民票から引っ越し先を突き止められて新しい住所に督促状が送られるようになります。かといって、もし住民票を移さないで引っ越しをすると、公的補助が一切受けられなくなりますし、健康保険にも加入できません。借金に追われるより辛い生活になるかもしれません。
そうなんですね。長く延滞をしたせいでクレジットカードが作れなくて困っているんですが、夜逃げをして新しくカードを作ることはできないんですか?結婚や養子縁組で名前が変われば、別人扱いされて審査に通りそうな気がします。
姓の変更は珍しいことではありませんので、金融機関はすぐに分かります。戸籍法に基づいて金融機関は債務者の戸籍を確認できますから、名前を変えてもクレジットカードの審査には通りません。借金から逃げている間は信用情報機関にはずっと延滞や貸倒の記録が残り続けますから、借金を解決しない限りはカードが作れません。クレジットカードを作りたいのであれば借金問題とちゃんと向き合いましょう。
借金の返済ができずカードが使えない状況になっている場合「夜逃げすれば、またカードを作れるようになるのでは」と考える方もいるかもしれません。
しかし、実際には借金を踏み倒してもクレジットカードが作れるようになることはありません。
夜逃げによって借金の督促からは一時的に解放されるかもしれませんが、不自由な生活を送ることになりかえって生活が苦しくなったという方も少なくないのです。
再びクレジットカードを作れるようになるには、借金問題から逃げずに債務整理などで一刻も早く解決することが大切です。
なお、債務整理をおこなうと最長で5年、破産をした場合は最長10年はカードが作れない生活が続きますが、債務整理をしたという記録が信用情報機関から消えれば再びカードを作れるようになります。
債務整理にはいくつか種類があり「自分の場合どの方法で解決すればよいのか」詳しく知りたい場合は、当サイトで紹介しているような弁護士・司法書士事務所の無料相談を利用しましょう。
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この記事でわかること
- 借金の踏み倒しは極めて難しく、時効成立も困難
- 夜逃げをすることはデメリットが多く、生活に大きな支障をきたす
- 踏み倒しをしている間は個人信用情報がブラックのままなのでクレジットカードは作れない
- 債務整理を行うと信用情報に異動情報が記録されるが年数が経てば記録は消え、ローンやクレジットカードの契約ができるようになる
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そもそも借金の踏み倒しはできる?
借金を返さずに金融機関からの督促をずっと無視し続けていると、裁判所から「支払督促」「訴状」の通知が届くことがあります。それも放置し続けると最終的には給与や財産を差し押されられます。つまり住所が変わらないうちは踏み倒しはできません。
踏み倒しをするには金融機関に知られないように住所を変え、借金を無効にする「時効」に持ち込む必要がありますが、実際には時効を成立させることはほぼ不可能です。
借金を時効にすることは極めて難しい
借金には消滅時効がありますので、それを成立させれば借金がなくなります。しかし時効にするには膨大な日数がかかる上に例外もあるため、時効による借金の踏み倒しはお勧めできません。
時効までの年数は、2020年に民法が改正された影響で、借入をしたのが2020年4月以降かそれ以前かで異なります。2020年3月31日より前に借入をした場合は以下の年数が適用されます。
借入先 |
返済期限の翌日からの期間 |
消費者金融
クレジットカード
銀行 |
5年 |
信用組合・信用金庫
農業協同組合・労働金庫 |
10年※ |
個人同士 |
10年※ |
住宅金融支援機構 |
10年 |
※事業資金に使用した場合は5年
2020年4月以降に借入を行った場合は、以下の早いほうが適用されます。
- 債権者が権利を行使できる時から10年が経過したとき
- 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年
「債権者が権利を行使できる時」とは時効の起算点を指し、ここでは最終返済日の翌日のことです。ローンの種類に関係なく返済期限の翌日から5年と考えましょう。
5年なら短いと考える方もいるかもしれませんが、消滅時効には条件がある上に延ばすこともできますので、実際に時効成立までのハードルは極めて高いです。
消滅時効が成立する条件とは
- 最終返済日から所定の年月が経過している
- 時効援用の手続きを行っている
- 時効の更新が起こっていない
年月が経っただけでは消滅時効は成立しません。金融機関に時効援用する旨を記載した「時効援用通知書」を内容証明郵便で送り、それを受け取ってもらうことで時効が成立します。
自分では時効が成立するだけの年月が経過したと思っていても、実際には成立していないということがあります。信用情報や督促状に記載されている最新支払日を確認し、時効が成立しているかどうかを確認しなくてはいけません。
もし時効が成立していないにも関わらず時効援用通知書を送付すると、今まで忘れられていた督促が再開したり、債権回収のために法的手続きが行われたりする可能性があります。
「時効の更新」がされていると時効は成立しない
最新支払日から換算して所定の日数が経過していたとしても、状況によっては時効が更新されていることがあります。時効が更新されると年数がリセットされますので、時効援用をしようとしても適用されません。時効が更新される条件は以下の3つが該当します。
- 借金の存在を認めたとき
- 債権者が裁判など法的手続きで督促や請求をしたとき
- 差し押さえや仮差押えをするとき
「借金の存在を認めたとき」とは、具体的には次のような例です。
・一部でも支払いを行ったとき
・減額の交渉を行ったとき
・督促に対して猶予を求めたとき
金融機関からの連絡に対して「返済を待ってほしい」と伝えるだけで借金を認めているとみなされます。些細なやりとりがきっかけで時効がリセットされるのです。また裁判を起こされたときや財産の差し押さえ、仮差押をされた時も時効は更新されます。
借金を踏み倒して夜逃げはできる?
住所を知らせず引っ越しをする、いわゆる「夜逃げ」をすれば借金を踏み倒せるのでは?と考える方もいるのではないでしょうか。
夜逃げは簡単にできるように思えますが実際はそうではありません。役所で転出・転入手続きを行えば住民票を辿って居所が分かりますし、住民票を移さなくても督促のための訴訟は可能ですので、完全に借金から逃げるのは極めて困難です。
夜逃げはデメリットしかないので、国が認めている借金を減額する債務整理をするほうが、よっぽど現実的と言えます。
弁護士や司法書士に相談すれば対処してくれるので、まずは相談することをおすすめします。
住民票を移すと引っ越し先がバレる
引っ越しのために役場で転出届を提出すると、住んでいた市区町村の住民票から抜けることになります。その代わりに住民票から抜けたということを証明する「除票」が残り、除票に転出先の住所が記載されます。
住民票は債権回収など正当な利用目的があれば第三者でも請求ができます。住民票の除票は住民基本台帳法施行令に基づいて5年間保存されますので、時効成立よりも先に引っ越し先を突き止められます。
そのため夜逃げをする場合は住民票を移さないまま引っ越しをしなくてはいけません。後で解説を行いますが住民票を移さないと様々なデメリットがありますのでお勧めはできません。
住所が分からなくても訴訟を起こすことができる
金融機関が債権回収のために法的手続きをとると裁判所から自宅に「支払督促」もしくは「訴状」が届きます。それなら住民票を移さず引っ越せば訴訟はされない、と思うかもしれませんがそれは間違いです。
裁判には住所が分からなくても訴訟を起こせる「公示送達」という手続きがあります。相手の居所が分からない時に利用するもので、裁判所の掲示板に2週間呼出状を提示することで相手に送達をしたとみなします。
先述の通り、法的手続きで督促や請求をしたときは時効を更新できます。金融機関は居所不明の債務者に対して公示送達をすることで時効を更新することが多いため、夜逃げをしても時効は成立できないのです。
結婚や養子縁組で苗字を変えても同一人物だとバレる
住所だけでなく結婚や養子縁組などで苗字を変えてしまえば別人とみなされ、新しい人物としてクレジットカードを作れるのでは、と思うかもしれません。
しかし日本では結婚で夫婦いずれかの戸籍上の苗字が必ず変わるため、苗字が変わる程度のことは金融機関も想定します。申込をしてきた顧客の信用情報を参照して情報が何も出てこない場合、名前や生年月日、電話番号などで情報を照会し、同一人物と考えられる人を特定します。
また改名をするとその旨が戸籍に記載されますが、債権者は戸籍法第10条に基づいて債務者の戸籍を確認することができます。苗字を変えた程度ではクレジットカードは作れません。
夜逃げはデメリットがあまりに多い
住民票を移してから引っ越しをすると住んでいる場所が知られるため、借金を踏み倒すには住民票をそのままにすることが前提です。
しかし住民票を移さないでいると生活において様々なデメリットが生じます。夜逃げによって督促はなくなりますがそれよりもデメリットが大きいため、夜逃げ先でも苦しい日々を送ることになります。
公的補助が一切受けられない
住所を変更したにも関わらず住民票をそのままにしていると、いずれ居住実態がないことを理由に住民票を削除されます。すると公的な補助や手続きが一切受けられなくなります。
生活保護や公的貸付の申込はできませんし、年金の受け取りも一切できません。国民健康保険も一切使えないため、医療費は全て自費で支払うことになります。子どもがいる場合は義務教育を受けさせることができません。
本人確認書類の住所が変更できない
住民票がないと本人確認書類の住所変更ができなくなります。クレジットカードやローンの申込だけでなく、本人確認が必要な様々なシーンで支障をきたします。
プリペイドカードや一部ローンの申込では本人確認書類と現在の住所が違っていても、公共料金の領収書があれば手続きを進めることができます。しかし窓口で郵便物を受け取る時や本人限定郵便の受け取り時は現住所が記載されている本人確認書類が必要です。
いつ捕まるか分からない日々を過ごすことになる
夜逃げをすると督促は止みます。しかし些細なことがきっかけで新しい住所が金融機関に知られる可能性があります。
年月が経過してクレジットカードを作ろうとすると信用情報を通して同一人物とバレますし、苗字が違っていてもすぐに特定ができます。
借金の時効は公示送達によって延長が可能なため、成立することは困難です。公示送達で訴訟されているということはいつ法的に差し押さえに遭ってもおかしくないということです。いつ督促が再開するか、差し押さえをされるかに怯えながら毎日を過ごすことになります。
信用情報機関に記録がされ続けるためずっとカードを作れない
借金の踏み倒しをしてもいずれ記録が消えてクレジットカードを作れるようになる、という考えは大きな間違いです。個人信用情報の異動情報は最長で5年(自己破産は10年)の間記録されますが、これはあくまでも一回記録されてからの年数です。
金融機関は定期的に信用情報の記録をしています。借金の踏み倒しをしていれば、「貸倒」という情報が記録され続けますので、踏み倒しをして5年経っただけではカードは作れません。クレジットカードを作るには借金踏み倒しの状況を解決しなくてはいけません。
クレジットカードを作れる条件とは
借金を踏み倒しているとクレジットカードは作れません。それではクレジットカードを作れるようになるには何が必要なのでしょうか。カードの審査基準について確認をしていきましょう。
クレジットカードの審査は様々な情報で総合的に判断をして行われますが、その中でも特に重要視されるのは以下の項目です。
- 年収や勤務先など申込時の情報
- 個人信用情報
- 過去の取引
年収や勤務先などが審査に影響する
クレジットカードは使った金額を後で支払う事を前提にして発行されるものです。そのため年収や勤務先など、収入に関する情報は審査に影響します。本人に収入がなくても、配偶者や同居家族に安定した収入がある場合はカードが発行できることが多いです。
年収の金額は高ければいいという訳ではありません。勤務している会社の規模や勤続年数、雇用形態など、いかに収入が安定しているかが重要視されます。勤続年数が短いと退職のリスクがあり、収入が安定していないとみなされ審査に通りにくくなります。
また住んでいる家が賃貸でなく持家であるほうが審査に通りやすいです。持家であれば借金の踏み倒しのリスクが低いためです。
個人信用情報に事故情報があると審査落ちする
クレジットカードの審査では必ず個人信用情報を参照します。日本の個人信用情報機関は3つあり、それぞれがCRINというネットワークで提携を行っています。
個人信用情報機関 |
日本信用情報機構 |
株式会社シー・アイ・シー |
全国銀行個人信用センター |
略称 |
JICC |
CIC |
KSC |
主な加入会社 |
貸金業者
クレジットカード会社 |
クレジットカード会社 |
銀行 |
長期延滞や貸倒、債務整理などの情報は信用情報機関に一定期間登録され、金融機関同士で共有されます。金融機関にとって延滞や踏み倒しは大きな損失となるため、信用情報に問題があれば、年収や勤続年数などに問題がなくても必ず審査落ちします。
返済履歴や過去の取引(クレジットヒストリー)が重要視される
信用情報には金融機関での返済記録も記載されています。クレジットカードの返済記録は「クレジットヒストリー(クレヒス)」と呼ばれ、審査において重要視される情報の一つです。
他の会社で延滞をしていなければ新しくカードを作っても延滞はしないだろう、とみなされて審査に通りやすくなります。
借金を返済できなくなった場合は早めに債務整理手続きを
借金が返済できず踏み倒しを考えている場合、夜逃げをするよりも債務整理を検討することをお勧めします。
踏み倒しは借金問題の根本的解決にはなりません。いつ督促が再開するのかとずっと不安な日々を過ごすことになり、クレジットカードは作れません。住民票を移さないことによる弊害も大きく、督促がなくなるメリット以上のデメリットに見舞われることになります。
債務整理が踏み倒しと大きく違う点は以下の2つです。
- 債務整理後は5年~10年でカードを作れるようになる
- 生活保護や公的貸付に頼れる
債務整理後は5年~10年でカードを作れるようになる
債務整理を行うと信用情報にその旨が記録されるため、クレジットカードは作れなくなります。しかし信用情報に一度記録された情報は年数が経てば消去されますので、その情報が消えるのを待てばブラックではなくなります。
記録される年数の最長期間は以下の通りです。あくまでも最長ですので、実際はこの年数よりも早く記録が消えているケースが多いです。
|
日本信用情報機構 |
株式会社シー・アイ・シー |
全国銀行個人信用センター |
長期延滞 |
5年 |
5年 |
5年 |
債務整理 |
5年 |
5年 |
5年 |
自己破産 |
5年 |
7年 |
10年 |
自分がブラックかどうかは開示請求をすれば分かる
個人信用情報に登録された異動情報は年数が経てば消えます。自分の信用情報がどうなっているかは各信用情報センターに開示請求を行えば確認することができます。
開示の手順や見方については、以下の記事に詳しくまとめられています。
夜逃げをしなければ生活保護や公的貸付に頼れる
夜逃げをしなければ、お住まいの自治体の公的扶助に頼ることができます。生活保護や生活福祉資金貸付制度に申込ができ、年金を受け取ることもできます。
ローンが組めないと一時的に生活は苦しくなるかもしれません。しかし公的扶助に頼ることができ、年月が経過すれば元のようにクレジットカードを作れるようになります。債務整理を行うデメリットは夜逃げをするデメリットよりも遥かに軽いものであると言えます。
まとめ
督促が毎日続くといっそ夜逃げをしたほうがいい、と考える方も多いと思います。しかし借金の踏み倒しはあまりにデメリットが多く、年月が経過しても問題は解決しません。クレジットカードを作ろうとしても信用情報に傷がある限りは契約ができません。
債務整理を行うと一時的に信用情報はブラックになりクレジットカードは作れなくなりますが、年数が経てば異動情報は消えますので、元のようにカードを発行できるようになります。
夜逃げは問題の解決にはなりません。督促は止むかもしれませんがいつ財産を差し押さえされるか分からない状況がずっと続くことになります。債務整理を検討し、生活を立て直すスタートを切ることをお勧めします。
借金の踏み倒しについてよくある質問
借金を踏み倒すことは可能ですか?
借金を踏み倒すことは可能です。しかし、時効成立で借金の返済義務をなくすことは難しく、夜逃げはデメリットのほうが遥かに大きいので、実際にはかなり難しいといえます。
借金を踏み倒せばクレジットカードは作れますか?
借金を踏み倒すクレジットカードは長い間作れなくなります。基本的に、借金を完済するまで再びクレジットカードが作れるようになることはありません。一方、債務整理を行うと最長で5年~10年はカードが作れませんが、記録が消えればカードを作ることができます。
夜逃げすれば、借金を踏み倒せますか?
夜逃げした場合、住民票を移すと債権者に引っ越し先がバレてしまいます。また、住所が分からなくても訴訟を起こすことができるので、財産を差し押さえられるリスクもあります。つまり、夜逃げはデメリットのほうが遥かに大きいので、借金を踏み倒す方法として現実的ではないでしょう。
借金を踏み倒すとどのようなリスクがありますか?
返済する意思がないとして詐欺罪で逮捕されたり、信用情報機関(ブラックリスト)に記載されるため、新規借入やクレジットカードが作れなくなります。また、連帯保証人を設定している場合は連帯保証人に返済義務が発生します。
借金の返済が厳しい時はどうすればよいですか?
返済自体が厳しい状況なら債務整理を視野に入れるとよいでしょう。単なる節約法とは違い、借金自体の負担を軽減でき返済がずっと楽になります。
最短即日取立STOP!
一人で悩まずに士業にご相談を
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- 関西
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