借金を抱えている場合、「なかなか借金が減らない」「完済の見込みが立たないほど借金が多い」といった悩みがある人もいるかもしれません。その場合、借金を減らしたいと考える
ことでしょう。
前提として、「借りたお金を返す」という契約のうえで借入をしているため、基本的に借金自体を減らすことはできません。とはいえ、弁護士や司法書士に「債務整理」を依頼することで、法的な観点から借金を減額するための手続きを行えます。
債務整理には今後の人生に影響を与えうるデメリットもありますが、借金返済が苦しいときの最終手段として利用できます。そのため、返済が苦しいために「借金を減らしたい」と考えている場合には、債務整理することを検討してみてもよいでしょう。
なお、借金を効率よく返済することで、現状よりも借金が減ることに期待できます。債務整理せずとも借金問題を解決できるケースも大いにあるため、債務整理をせずに借金返済ができる場合にはコツを実践してみてください。
当記事では、「借金を減らしたい」と考える人に向けて、借金減額方法である「債務整理」や効率よく返済するコツについて解説していきます。
債務整理なら借金負担を大幅に減額できる
借金減額の方法としては、「債務整理」という方法が挙げられます。
債務整理とは、借金問題を解決するための手続きのことです。近年インターネットの広告などでは、「国が認めた借金救済制度」「借金減額措置」などと呼ばれることもあります。
債務整理は弁護士や司法書士に依頼をするのが一般的で、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の手続きがあります。
手続き | 概要 |
---|---|
任意整理 | 返済条件を見直してもらうために債権者と交渉をする手続き |
個人再生 | 借金自体を1/5〜1/10程度に減額するための手続き |
自己破産 | 借金を帳消しにするための手続き |
債務整理のいずれの手続きも、借金の返済が苦しい状況を改善を見込める手続きです。そのため、借金の負担が大きいために「借金を減らしたい」と考えているのであれば、債務整理することを視野に入れてみてください。
ここからは、債務整理の各手続きについて、概要やメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
◯債務整理は怪しい方法ではない
インターネットなどでは、簡単に借金を減額できるような内容の広告もみられます。そのため、「債務整理は怪しい方法ではないのか」のように考える人もいるかもしれません。
しかし、債務整理は弁護士や司法書士、場合によっては裁判所を介した手続きであるため、借金問題を解決するための正当な方法です。決して怪しい方法ではないため、債務整理で借金を減らしたい場合、まずは弁護士や司法書士に相談することを検討してみてください。
任意整理なら利息をカットしたうえで元本のみの返済になるのが一般的
任意整理とは、返済条件を見直してもらえるように債権者と直接交渉をする手続きのことです。返済条件がどのように変更されるかは交渉次第ですが、将来利息や遅延損害金をカットしたうえで、3年〜5年で元金を完済するように見直されるのが一般的です。
借金自体が減ることは基本的にありませんが、利息のカットが認められれば返済総額を減らせます。たとえば、下記の条件で任意整理をした場合、返済総額は下記のようになります。
◯返済シミュレーションの条件
- 借入額:100万円
- 毎月の返済額:5万円
- 適用されている金利:年15.0%
任意整理後 | 任意整理前 | |
---|---|---|
完済までの年数 | 20か月 | 24か月 |
総額 | 100万円 | 1,157,936円 |
このように将来利息をカットしつつ元本のみを返済していくのが一般的であるため、任意整理は「借金の元本だけなら返済できる」という場合に向いていると言えます。
なお、任意整理にはほかにもメリットがあるうえに、さまざまなデメリットもあります。ここからは、任意整理のメリットとデメリットを解説していくため、利用を検討している場合には参考にしてみてください。
任意整理のメリット
任意整理のメリットには、下記などが挙げられます。
- 元本のみの返済に見直されるのが一般的
- 利息がカットされれば毎月の支払額を抑えられる
- 返済期間を再調整してもらえる
- 任意整理する借金を自分で好きに選べる
- 他の債務整理手続きよりも家族や会社などに知られるリスクが少ない
前述したように、任意整理をすれば、元本のみの返済に見直されるのが一般的です。その場合、利息を抑えたことで返済総額も減るため、結果的に月々の返済額を減らせるメリットもあります。
また、「複数社のうち最も金利が高い借入先のみ任意整理をしたい」のように、対象とする借金を自分で好きに選べるのも任意整理のメリットです。
なお、ほかの債務整理手続きは裁判所を通す必要があるため、家族や勤務先に借金問題を知られてしまうリスクがあります。一方、任意整理は裁判所を介さない手続きであるため、この点では周囲の人に借金問題を知られるリスクが低いといえます。
任意整理のデメリット
任意整理にはメリットだけでなく、下記のようなデメリットもあります。
- 任意整理をすれば完済できる状況になければ手続きできない
- 必ず和解できるとは限らない
そもそもですが、任意整理をしても元本がなくなることはありません。そのため、「安定した収入がある」など、任意整理をすれば完済できる状況になければ手続きができません。
また、任意整理は債権者と交渉をする手続きであるため、交渉が成立しなければ返済条件が見直されることはありません。必ず和解できるわけではないことも任意整理のデメリットの1つといえます。
個人再生なら借金自体を1/5〜1/10程度に減らせる
個人再生とは、裁判所を介して手続きを行い、借金自体を1/5〜1/10程度に減額するための手続きのことです。任意整理とは異なり、個人再生は借金を減らすことが可能です。
たとえば、借金が100万円ある場合に個人再生をすると、基本的には20万円〜40万円程度まで減額できます。
なお、個人再生にはほかにもメリットがあるうえに、さまざまなデメリットもあります。ここからは、個人再生のメリットとデメリットを解説していくため、利用を検討している場合には参考にしてみてください。
個人再生のメリット
個人再生のメリットには、下記などが挙げられます。
- 借金自体を減らせる
- 借金の理由に制限がない
- 住宅ローン特則が認められれば住宅を残せる
個人再生のメリットには、前述したように借金自体を1/5〜1/10程度に減らせることが挙げられます。
また、自己破産の場合、借金の原因が「免責不許可事由」に該当すると返済の免除が認められません。一方、個人再生であれば借金の理由に関わらず、原則手続きを行えるメリットがあります。
なお、個人再生をする場合、住宅ローン特則が適用されれば抵当権がついている住居を手放すことなく手続き可能です。
個人再生のデメリット
個人再生にはメリットだけでなく、下記のようなデメリットもあります。
- 個人再生をした後も借金を返済しなければならない
- 裁判所を介した手続きであるため手間や時間がかかりやすい
- 官報に自分の情報が掲載される
- 連帯保証人を立てている場合はその人に返済義務が生じる
個人再生は借金を減額するための手続きです。借金がすべてなくなるわけではないため、個人再生をした後も借金返済をしなければなりません。また、任意整理と同様に、連帯保証人を立てている場合には、その人に返済義務が生じます。
さらに、任意整理とは異なり、個人再生は裁判所を介した手続きであるため、手間や時間がかかりやすいデメリットもあります。
自己破産なら借金を帳消しにできる
自己破産とは、抱えている借金を帳消しにできる手続きのことです。金融機関だけでなく、個人間での借金や奨学金も自己破産の対象になります。
借金が帳消しになるため、自己破産をすれば今後返済の必要はありません。返済負担をなくせるため、「借金が減ったとしても返せる見込みがない」という場合には検討する方法と言えるでしょう。
なお、自己破産にはほかにもメリットがあるうえに、さまざまなデメリットもあります。ここからは、自己破産のメリットとデメリットを解説していくため、利用を検討している場合には参考にしてみてください。
自己破産のメリット
任意整理のメリットには、下記などが挙げられます。
- 借金の返済が原則なくなる
- 任意整理や個人再生ができない場合でも手続きできる
自己破産の最大のメリットは、借金が帳消しになることです。手続きをすれば、原則借金の返済をする必要がありません。
また、任意整理や個人再生は手続き後も返済が必要なため、無職のように安定した収入がなければ手続きできないケースがあります。一方、今後返済が免除される自己破産であれば、収入にかかわらず手続きが可能です。
自己破産のデメリット
自己破産にはメリットだけでなく、下記のようなデメリットもあります。
- 自動車や持ち家などの財産を処分しなければならない
- 士業の場合は一時的に資格が制限される
- 保証人を立てている場合はその人に返済義務が生じる
- 官報に自分の情報が掲載される
- 裁判所を介した手続きであるため手間や時間がかかりやすい
自己破産のデメリットには、財産が差し押さえられることが挙げられます。具体的には、「価値がある不動産や動産」「20万円以上の資産」「99万円を超える現金」などの財産が対象になります。
持ち家や自動車なども差し押さえ対象になるため、手続き後は自分だけでなく家族にも影響が生じる方法ともいえるのです。
また、自己破産後は、内閣府発行の「官報」に自身の名前や住所といった情報が掲載されます。一般の人が官報を確認しているケースは稀ですが、確認された場合には自己破産をしたことを知られてしまうのもデメリットの1つです。
このように債務整理のうち、自己破産は最もデメリットが多い手続きといえます。そのため、自己破産をする際には、より慎重な判断が必要です。
債務整理をするといわゆる「ブラックリスト入り」になる
ここまでで解説したように、債務整理の各手続きには、さまざまなデメリットがあります。さらに、債務整理の各手続きに共通するデメリットとして、いわゆる「ブラックリスト入り」になる点についても覚えておいてください。
前提として、クレジットカードやローンを扱う会社では、申込者の返済能力を調査する目的で信用情報を確認しています。
信用情報とは、クレジットカードやローンなどの利用履歴のことです。クレジットカードやローンを扱う会社は、信用情報に登録されている情報などから返済能力の有無を判断しています。
そして、債務整理をすると、その履歴が信用情報として登録されます。債務整理の履歴が残っている間はいわゆる「ブラックリスト入り」となり、返済能力を疑われやすくなりクレジットカードやローンなどの審査に通りづらくなってしまうのです。
ブラックリスト入りの状態になると、下記のようなリスクがあります。
- クレジットカードやローンの審査に通りづらくなる
- 携帯電話本体などの分割払いができない可能性がある
- 保証会社を通した賃貸契約の審査に通らない可能性がある
債務整理の履歴は最長5年〜7年の間信用情報として残ります。時間経過以外に履歴を抹消する方法は原則ないため、「借金を減らしたい」と考えて債務整理をすると、最長5年〜7年の間はブラックリスト入りの状態になるのです。
借金を減らす方法として債務整理を検討している場合、ブラックリスト入りのリスクを把握したうえで、手続きをするべきかを慎重に検討してみてください。
実際に債務整理をして借金を減らせた人の体験談
当サイトでは、「借金を減らしたい」のように考えて実際に債務整理をした人にインターネットでアンケートを実施しました。ここでは、当サイトが独自に取ったアンケートから、債務整理によって借金を減らした人の体験談を紹介していきます。
※調査方法…インターネットアンケート
※調査期間…2024年9月
任意整理で350万円の借金を減らせた人の体験談
- 借金総額:350万円
- 借入件数:2社
- 月々の返済額:10万円(任意整理前)→4万円(任意整理後)
- 借金完済にかかった期間:7年8か月
任意整理で350万円の借金を減らせた人に体験談を伺いました。
元々はお金遣いは荒いほうではなかったようですが、知人から夜のお店に誘われた際、それまで我慢してきた欲求が爆発してしまい、お金がかかる遊びにのめり込んでしまったことが原因で350万円ほどの借金を抱えてしまったようです。
任意整理をして「楽になったこと」と「つらかったこと」をお聞きしたところ、下記のような回答が得られました。
返しても返済しても全く減らない借入残高。なくなったら借り、お金が入ったら返すの繰り返しで、先の見えない借金地獄。
もう、本当に生きた心地がしませんでした。ですが任意整理をしたおかげでこれからの人生の道標がハッキリとして、それだけでも長い暗闇のトンネルに光が射したような感じがして楽になりました。
私的には任意整理中はキツイかったというよりは、今後の道標が見えたような感じになったのでポジティブに捉えることができました。
ただ、やはり、全ては自分の責任なんで自責の念に駆られますし、なによりとっても後ろめたい気持ちにもなりました。
現在は任意整理によって借金を完済しており、「背中に背負った重い十字架から解放された感じで、日常がとっても穏やかになりました」とのコメントをいただきました。
この方の場合、任意整理をしたことで月々の返済額を10万円から4万円に減らせたようです。毎月の返済負担を減らしつつ完済を目指せるようになるため、「月々の返済額が多い」という場合には任意整理を検討してみてもよいでしょう。
個人再生で380万円の借金を減らせた人の体験談
- 借金総額:380万円
- 借入件数:2社
- 月々の返済額:20万円(個人再生前)→5.3万円(個人再生後)
- 借金完済にかかった期間:現在返済中
個人再生で380万円の借金を減らせた人に個人再生をした体験談を伺いました。
この方は、プロのバレエダンサーを目指していた方で、レッスン代として月に最低でも5万円~10万円、発表会の出演に毎年20万~40万がかかるなか、アルバイトの給料だけでは限界があったために借入をして、数年で300万円まで膨れ上がってしまったとのことです。
プロのバレエダンサーになれて独り立ちしてからも借金返済が苦しい状態が続いていたため、個人再生をしようと思ったとのことです。
「個人再生中、楽になったことや厳しかったことは何ですか?」という問いについては、下記のように語ってくれています。
毎月の支払いが減り、家計管理がきちんとできるようになったことです。
以前までは、支払いにいっぱいいっぱいだったので、ちゃんと家計管理ができていることが凄く嬉しいです。将来的なことも考えられるようになったのは凄くでかいです。
カード類が使えないことです。どうしても「今月出費が多い…」や「給料前までちょっとお金が厳しい」など、いろいろあると思います。
家計管理をしてから、デビットカードの支出管理などもできるようになったので、クレジットカード類を使っても借金になることはありませんが、やはり使えないのはこういう時に不便です。
この方の場合、個人再生をしたことで月々の返済額を20万円から5.3万円に減らせたようです。
借金自体を減らせる手続きであるため、個人再生をすれば月々の返済額が大幅に減額されることにも期待できます。任意整理をしても借金返済が苦しい場合には、個人再生を検討してみてください。
自己破産で250万円の借金を減らせた人の体験談
- 借金総額:250万円
- 借入件数:5社
- 月々の返済額:6.8万円(自己破産前)→0円(自己破産後)
- 借金完済にかかった期間:約10か月
自己破産をした40代男性の会社員の方に体験談を伺いました。
離婚による養育費や毎月の生活費の出費が苦しく、カードローンを利用して借金を抱えたようです。当初は必要最低限で収めていたようですが、「気楽に借入できる」と感じたことで歯止めが効かなくなり、最終的には250万円の借金を抱えてしまったとのことです。
自己破産をして「楽になったこと」と「厳しかったこと」をお聞きしたところ、下記のような回答が得られました。
それまでは借金問題を一人で抱え込んでいて、精神的にとても辛かったです。
ただ、弁護士に依頼したことで、大きな味方を得た気分になりました。日常生活の中でも安心感を覚えるようになり、平穏な時間を過ごせるようになりました。
弁護士がついているとはいえ、必ず自己破産できるとは限りません。安心感はありましたが、少しだけ不安もありました。
周囲には自己破産のことは、内緒にしていました。ただ、自分の中でバレているんじゃないかという気持ちがあって、落ち着かないこともありました。
現在は自己破産によって借金問題を解消でき、「それまでの閉塞感に包まれた生活から、解放された感覚でした。精神的に余裕ができて、すべてにおいて前向きになれました。」とのコメントももらえています。
自己破産をすれば、抱えている借金の返済が原則免除になります。その代わりに、ほかの債務整理手続きよりもデメリットが大きいため、自己破産をするべきかは慎重に判断することが大切です。
まずは弁護士や司法書士に相談したうえで自己破産をするべきかを検討するようにしてみてください。
過払い金が発生していれば借金を減額できるケースがある
債務整理と同様に、弁護士や司法書士に依頼する借金減額方法として、過払い金返還請求が挙げられます。
過払い金返還請求とは、消費者金融やクレジットカード会社に払い過ぎている利息を返還してもらうための手続きのことです。
前提として、消費者金融などの貸金業者が提供するローンの金利には、「出資法」「利息制限法」という法律によって上限が定められています。
現在はどちらの法律でも上限が年20.0%と定められていますが、2010年6月に法律が改正される前までは、これらの法律の上限に差がありました。
法律 | 法改正前 | 法改正後 |
---|---|---|
利息制限法 | 年20.0% | 年20.0% |
出資法 | 年29.2% | 年20.0% |
法改正前までは出資法では年29.2%、利息制限法では年20.0%と上限金利に差があり、この金利帯のことを一般的に「グレーゾーン金利」といいます。
このグレーゾーン金利が適用されていた場合、簡単に言えば「本来払わなくてもよい利息を払っていた」となり、過払い金返還請求によってその金額を取り戻せるのです。
払い過ぎていた利息が返還されれば、その金額を借金の返済に充てることで、結果的に借金減額が可能です。
グレーゾーン金利が撤廃された2010年6月よりも以前に貸金業者からの借入がある場合、過払金が発生している可能性があるため、手続きすることを検討してみてください。
借金を減らしたい時に相談できる窓口
借金問題は1人で抱え込みやすいものです。また、債務整理にはデメリットがあることから、「手続きをするべきかがわからない」のように悩むこともあるでしょう。
このように借金を減らしたくても悩みがある場合、第三者に相談することも重要です。相談することで悩みを解消できる可能性があるうえに、借金問題の改善にも期待できます。
- 債務整理をしたい場合:弁護士や司法書士
- 借金問題全般について相談したい場合:役所や自治体
ここからは、借金を減らしたい時に相談できる窓口について、それぞれ解説していきます。
債務整理を依頼するなら弁護士や司法書士
実際に債務整理を依頼する場合、依頼先は弁護士や司法書士になるのが一般的です。そのため、債務整理をするのであれば、弁護士や司法書士に相談してみてください。
なお、債務整理を弁護士や司法書士に依頼する場合、それぞれに異なるメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
弁護士 | 債務整理手続きのすべてを依頼できる | 司法書士よりも費用が高額になりやすい |
司法書士 | 弁護士よりも費用を抑えられるのが一般的 | 1社140万円までの借金のみ対応可能と制限がある |
弁護士の場合、司法書士よりも費用は高くなりやすいですが、債務整理手続きすべてを依頼できます。一方、司法書士は弁護士よりも費用が安くなりやすい代わりに、1社につき140万円までのみ対応が可能です。
無料で借金問題解決のアドバイスを受けるなら役所や自治体
市区町村によっては実施されていないこともありますが、役所や自治体でも借金問題の相談が可能です。
役所や自治体に借金相談をするメリットには、下記が挙げられます。
- 比較的には相談するハードルが低い
- 無料で借金問題を相談できる
- 利用できる公的制度を紹介してもらえるケースがある
借金で悩んでいる人の中には、借入だけではなく税金や生活基盤における資金で困っている人も数多くいます。債務整理では対応できない税金の問題も合わせて相談できるのが、大きなメリットです。
ただし、役所の借金相談は公的なサービスに部類されるので、「弁護士を選べない」「相談可能な時間や回数が限られる」などのデメリットもあります。
債務整理をせずに借金を減らしたい場合は効率よく返済するコツを実践する
債務整理にはデメリットがあるため、「ほかの方法で借金を減らすことはできないか」のように考えている人もいることでしょう。
債務整理をしない場合、基本的には自力返済をすることになります。借金自体を簡単に減らす方法はありませんが、効率よく返済を進めることで借金を現状のペースよりも早く減らせます。
そのため、債務整理をせずに借金を減らしたい場合には、効率よく返済するコツを実践することを検討してみてください。
- おまとめローンで複数社からの借入を1社にまとめる
- 低金利なローンに借り換えをする
- お金に余裕があるときだけでも繰上返済をする
ここからは、効率よく借金を返済するコツについて、それぞれ詳しく解説していきます。債務整理をせずに借金を減らしたい場合には、参考にしてみてください。
おまとめローンで複数社からの借入を1社にまとめる
おまとめローンとは、複数社からの借入を1社にまとめるためのローン商品のことです。おまとめローンを利用するメリットとしては、基本的に月々の返済額を抑えられることが挙げられます。
複数社からの借入がある場合、毎月すべての借入先に返済が必要です。たとえば、3社から借入があり、毎月3万円ずつ返済している場合、月々の返済総額は9万円です。
おまとめローンを利用して借入先が1社になれば、結果的に月々の返済総額を抑えられるケースが多く、一般的には数千円〜数万円程度を抑えられます。
たとえば、「東京スター銀行」のおまとめローンでは、借入残高に応じて最少返済額が定められおり、金利12.5%で100万円を借りた場合は14,637円と設定されています。
おまとめローンによって月々の返済額が抑えられれば、その分の金額を追加で返済に回せます。この場合、元金の返済に充てられる金額は増やせるため、月々の返済額は変わらずとも返済ペースをさらに上げることが可能です。
債務整理をせずとも借金を減らしやすくなるため、複数社から借入がある場合にはおまとめローンを検討してみてください。
低金利なローンに借り換えをする
借り換えとは、ほかの金融機関から融資を受けて、そのお金で現在利用している金融機関からの借金を清算することです。現在利用しているローンよりも低金利なローンに借り換えをすれば、これから発生する利息を抑えられるメリットがあります。
たとえば、金利15.0%のA社から金利10.0%のB社に借り換えた場合を想定します。下記の条件で完済した場合、借り換え前後の利息総額と完済までの期間は下記のとおりです。
◯返済シミュレーションの条件
- 借入総額:100万円
- 月々の返済額:5万円
借り換えをした場合(年10.0%) | 借り換えをしない場合(年15.0%) | |
---|---|---|
利息総額 | 98,476円 | 157,936円 |
完済までの期間 | 22か月 | 24か月 |
※あくまでシミュレーションであるため、実際の金額や期間とは異なる場合があります。
このシミュレーションにおいては、借り換えで金利が年5.0%下がることで、約6万円の利息を抑えられる結果になりました。
利息を抑えられれば、その金額を借金の返済に回すことで、返済負担が変わらずとも返済ペースをさらに上げることが可能です。
毎月の返済負担を減らしつつ効率よく借金返済を進められるため、債務整理をせずとも借金を減らしたい場合には借り換えも検討してみてください。
お金に余裕があるときだけでも繰上返済をする
債務整理せずに借金を減らしたい場合、お金に余裕があるときだけでも繰上返済することを検討してみてください。
繰上返済とは、好きな金額を任意のタイミングで返済することです。ローンやキャッシングを提供している金融機関であれば、基本的には繰上返済に対応しています。
繰上返済をすることで、最低返済額だけを返済し続けるよりも返済スピードを上げられます。繰上返済をすればするほど元金が減り、借金を完済できるまでの期間を短縮できます。
たとえば、繰上返済をした場合と月々の返済だけを続けた場合、利息総額と完済までの期間は下記のように差が出ます。
◯シミュレーションの条件
- 借入金額:100万円
- 毎月の返済額:3万円
- 繰上返済の金額:月々1万円(返済1回目から支払った場合を想定)
- 適用されている金利:年15%
繰上返済をした場合 | 月々の返済だけの場合 | |
---|---|---|
返済総額 | 206,514円 | 301,674円 |
完済までの期間 | 31か月(2年7か月) | 44か月(3年8か月) |
※あくまでシミュレーションであるため、実際の金額や期間とは異なる場合があります。
今回のシミュレーションにおいては、繰上返済をすることで約10万円の利息を抑えられるうえに、完済までの期間を1年1か月早められる結果となりました。
なお、請求されている金額だけで返済を続けるのは、借金の元金が減りづらくなる行為です。債務整理をせずに借金を減らしたい場合、ボーナスや臨時収入といったタイミングだけでも繰上返済をするように心がけてみてください。
借金を減らしたい場合にとるべきではないNG行動
借金を減らしたい場合、下記のような行為には手を出すべきではありません。
- 借金返済のために追加で借入をする
- クレジットカードの現金化をする
- 借金の返済に遅れる
- 闇バイトのような怪しい方法に手を出す
上記の行為に手を出すと、逆に借金が増えてしまったり、犯罪行為に加担してしまったりする可能性があります。
借金を減らしたい場合には上記の方法には手を出さず、債務整理を視野に入れて弁護士・司法書士に相談をする、または返済ペースを上げて自力返済するための対策を講じることを検討しましょう。
借金返済のために追加で借入をする
「借金を減らしたい」と考えていても、経済的な問題から追加借入を検討する場面もあるかもしれません。しかし、追加借入の理由が借金返済のためであれば、手を出すべき方法ではありません。
借金返済のために借金をしている状態は、いわゆる「自転車操業」と呼ばれます。自転車操業に陥ると返済した分の金額を借入するため、借金はなかなか減らないうえに利息がかさんでしまいます。
借金返済のために追加で借入をするのはその場しのぎでしかなく、いずれ返済に追われてしまうことになりかねません。
追加借入を検討するほど借金返済が苦しいのであれば、自転車操業に陥る前に債務整理を視野に入れつつ弁護士や司法書士に相談してみてください。
クレジットカードの現金化をする
借金を減らしたい場合でも、お金に困る時があることでしょう。その際には、クレジットカードの現金化を検討するかもしれません。
しかし、クレジットカードの現金化は、カード会社が定める利用規約に違反する行為であるため手を出すべきではありません。
クレジットカードの現金化とは、クレジットカードのショッピング枠を利用して現金を得る方法のことです。現金化の行為が発覚すれば、カードの利用停止や強制解約となる可能性もあり、その場合には利用残高を一括請求されると考えられます。
なお、インターネットなどでは、クレジットカードの現金化に対して「合法」「安心」などと紹介されていることもありますが、さらに事態を悪化させるリスクがあるため、クレジットカードの現金化を検討するのは避けてください。
借金の返済に遅れる
借金を減らしたい場合、返済には遅れないように注意してください。借金の返済に遅れると、遅延損害金が発生してしまい、その分借金が減りづらくなってしまいます。
遅延損害金は、簡単に言えば返済に遅れた際にペナルティとして支払うお金です。返済に遅れた日から滞納が解消されるまで1日ごとに発生するため、返済に遅れれば遅れるほど支払う遅延損害金も増えてしまいます。
「借金を減らしたくても全然減らない」という状況に陥る可能性もあるため、借金の返済は期日どおりに行うようにしましょう。
闇バイトのような怪しい方法に手を出す
インターネット上では、「簡単に稼げる」などと謳って働き手を募集している広告がみられます。このような広告には、いわゆる「闇バイト」と呼ばれるものも潜んでいるため、安易に手を出すのは注意しましょう。
闇バイトとは、犯罪行為に加担することで報酬を得られるもののことです。警視庁の公式サイトに記載されているように、闇バイトに手を出すと、そのつもりがなくても犯罪行為に加担してしまい、犯罪者になってしまうリスクがあります。
借金を減らしたいときには、「⚪︎万円稼げる」のような文言は魅力的に見えるかもしれませんが、怪しいと感じた場合には絶対に関わるのは避けましょう。
まとめ
借金自体を減らす方法には、債務整理があります。任意整理であれば返済条件を見直すための交渉、個人再生なら借金自体を1/5〜1/10まで減額、自己破産なら返済の免責ができるため、返済が苦しいために借金を減らしたい場合には検討してみてもよいでしょう。
ただし、債務整理にはデメリットがあり、特に「ブラックリスト入り」となる点は今後の生活に悪影響を及ぼしかねないため注意が必要です。
借金を減らしたいと考えて債務整理をするのであれば、弁護士や司法書士に相談したうえで、本当に手続きをするべきかを十分に検討するようにしてみてください。
なお、借金を効率よく返済するコツを実践することで、現状よりも返済ペースを上げられます。返済負担は変えずに借金が減りやすくなるケースもあるため、債務整理をせずに借金を減らしたい際にはコツを実践しながら自力返済することも検討しておきましょう。