借金100万円はやばいのか、それとも大したことないのか?
100万円の借金は決して少ない金額ではありません。完済するまでには何年もの月日を要する場合がほとんどです。
しかし、借金100万円がやばいかどうかは、その人の収入や借入の状況によります。
ここからは、
- 借金100万円は抱えすぎと考えられる人の特徴
- 借金の平均額から見て、100万円の借入は多いのか?
- 返済が難しくなる借金の種類
について見ていきます。ご自身の借入状況がやばいのかどうかを判断する参考にしてください。
借金100万円は抱えすぎと考えられる人の特徴5つ
借金100万円が抱えすぎと考えられるのは、収入に見合った以上の借入を行なっている場合や、複数社から借入を行なっている場合です。
さらに具体的に言うと、以下のケースが当てはまります。
- 年収が300万円以下の人
- 月々の返済額が収入の1/3を超えている人
- 完済まで概ね8年以上かかる見込みのある人
- 複数社から借り入れをしている人
- 借金することが常習化し、気づけば到達してしまった人
①年収が300万円以下の人
借金100万円の負担を重く感じるかどうかは、その方の収入にも寄るでしょう。同じ金額でも、年収250万円のフリーランスと年収1,000万円のサラリーマンでは感じる負担も当然変わります。
あなたが現在年収300万円程度の場合、借金100万円は厳しい負担だといえます。年収300万円だと、収入の3分の1が借金になるからです。
貸金業法では「総量規制」が定められており、貸金業者が年収の3分の1を超える金額を貸し付けることが禁止されています。これは1社ごとではなく、その方の借り入れの合計額です。
年収が300万円で借金が100万円だと、これ以上の借り入れができません。返済が厳しい月があっても、他社からの追加借り入れができず、返済が滞る可能性があります。
ワンポイント解説
「総量規制」とは
総量規制とは、年収の3分の1を超える金額を貸し付けることを貸金業者に禁止する法律です。(貸金業法第13条の2)
2010年に施行された改正貸金業法により実施された、消費者を過剰貸し付けから守るための貸金業者に対する規制の一つです。
ただし、住宅ローンや自動車ローンは総量規制の対象外です。
②月々の返済額が収入の1/3を超えている人
月々の返済額が、収入の3分の1を超えている場合、収入と返済額のバランスが崩れているため、今後返済が厳しくなる可能性があります。
特に一人暮らしで家賃や光熱水費を自分で負担している方は、毎月の固定費だけで3分の1を超えるでしょう。
手取り月収の額にもよりますが、このような場合、既に返済に窮している可能性もあります。無理な返済計画は長期的な目線で見ると破綻する可能性がありますから、必要に応じて返済計画の立て直しが必要であると考えられます。
③完済まで概ね8年以上かかる人
住宅ローン以外で、完済までおおむね8年程度以上かかる方は、毎月返済していても利息の割合が高いため、元金にあまり充当されていない可能性があります。
元金が減るペースよりも利息が増えるペースが早いと、借金はなかなか減らず、かえって増えていきます。
以下は安易に長期的な返済計画を立てる危険性を表す表です。健全と思われる返済計画に比べ、明らかに利息が高くなっているのを示しています。
【借金100万円】返済期間別の支払い総額の違い
返済期間 |
3年計画の返済額
(元金分/利息分) |
10年計画の返済額
(元金分/利息分) |
返済総額 |
1,247,940円
(1,000,000円/247,940円) |
1,935,960円
(1,000,000円/935,960円) |
もし、長期的な返済計画しか立てられない場合は、収入と借入額のバランスが崩れている可能性が高い上、最終的には高額な利息を支払うことになるため、合理的とは言い難い借入となっています。
今後も返済金額をアップできる見通しがなく、かつ自力返済が難しいと感じている場合は、早めに任意整理を行い、元本のみの返済に切り替える選択肢もあります。
任意整理のデメリットとしては信用情報にキズがつく点がありますが、今後滞納しても同じように信用情報にキズがつきます。現時点で滞納するリスクが高いと思っている場合は、任意整理は有効な手段となり得ますので、そろそろ手続きすることを考えたほうがいいでしょう。
④複数社から借り入れをしている人
複数社、特に2社以上から借り入れをしている方も要注意です。
複数社から借り入れをしていると、以下のようなデメリットが発生します。
- 返済額を把握しにくくなる
- 返済のための借り入れになりやすくなる
- 審査に通りにくくなる
多重債務に陥っている状態は、「債務整理を検討すべきである」と指摘する専門家もいるほど、無視できない状況です。
返済に全く問題ないのであればいいですが、少しでも今後返済していくことに不安を感じるようであれば早めに弁護士・司法書士に相談し、債務整理を行ったほうがいいかアドバイスをもらうと安心です。
⑤借金することが常習化し、気づけば到達してしまった人
なかには、返済資金や生活費が足りなくなると、すぐに空いた借入枠から少額の借入をして補填するなど、借金をすることが常習化している人もいるでしょう。
このように借金をすることが常習化しており、気づけば借金が100万円に到達してしまった人にも、自力で借金200万円の完済を目指すことはおすすめできません。
返済のための借入や、返済のために足りなくなった生活費を補うための借入をしている場合、借りて返しての自転車操業に陥っている可能性が高いです。
借りて返してを繰り返していると、利息の分だけ借りた金額より返さなければならない金額のほうが増えていき、次第に借金総額が増えて返済がより厳しくなってしまいます。
自転車操業は借金が雪だるま式に増える原因となるため、早急にやめるためにも無理に自力で解決しようとせず、弁護士や司法書士など専門家の力を借りることが大切です。
借金100万円の返済年数
借金100万円がやばいといわれる理由の一つとして、支払う利息総額が高額となることが挙げられます。
借金は返済期間が長くなればなるほど、支払う利息総額も高くなることが一般的です。前述したように、100万円もの借金となると完済までに何年もかかるのが通常ですから、利息総額は相当な金額になると予想されます。
この項目では、月々の返済額別に、完済までにかかる年数や支払う利息総額などについて、シミュレーションした結果を紹介します。(金利は年率15%で計算しています)
借金100万円を自力で返済しようか迷っている人は「本当に自力返済が可能なのか?」判断する際の参考にしてください。
月々2万円返済する場合・・・およそ6年半
まずは、月々の返済額が2万円程度の場合で計算します。月々2万円であれば、家計への負担も少なく、無理なく返済していけるという人も多いでしょう。
借金100万円を、年率15%で月々約2万円(20,144円)ずつ返済した場合のシミュレーション結果は、以下のとおりです。
完済までにかかる年数 |
利息総額 |
総返済額 |
6年6ヶ月 |
571,232円 |
1,571,232円 |
月々約2万円ずつの返済だと、完済するためには6年以上も返済を続けなければならないことがわかりました。
また、完済までに支払う利息総額は57万円以上と、元金100万円の半額よりも高い利息を支払わなければなりません。
月々約2万円ずつ返済する場合、毎月の返済負担は抑えられますが、相当に長い期間をかけて借りた金額の1.5倍以上の金額を返済することを覚悟しなければならないのです。
月々3万円返済する場合・・・およそ3年半
続いて、月々の返済額が3万円程度の場合で計算します。月々3万円は決して少ない金額ではありませんが、この金額なら何とか返済していけるという人も多いでしょう。
借金100万円を、年率15%で月々約3万円(30,204円)ずつ返済した場合のシミュレーション結果は、以下のとおりです。
完済までにかかる年数 |
利息総額 |
総返済額 |
3年7ヶ月 |
298,772円 |
1,298,772円 |
月々約3万円ずつの返済だと、完済するためにかかる年数はおよそ3年半であることがわかりました。月々約2万円ずつ返済する場合に比べると、返済期間は3年程度短縮できるようです。
また、完済までに支払う利息総額は約30万円で、月々約2万円ずつ返済する場合に比べればかなり少なくなりますが、それでも元金の1/3程度の金額を利息として支払わなければなりません。
月々約3万円ずつ返済する場合も、毎月の返済負担は抑えられますが、何十万円もの利息込みでの返済に、長い期間耐えなければならないのです。
月々5万円返済する場合・・・およそ2年
さらに、月々の返済額が5万円程度の場合も計算します。月々5万円の返済となると、家計にかなりの負担がかかるケースも多く、返済を続けるには綿密な家計管理が不可欠となるでしょう。
借金100万円を、年率15%で月々約5万円(50,296円)ずつ返済した場合のシミュレーション結果は、以下のとおりです。
完済までにかかる年数 |
利息総額 |
総返済額 |
1年11ヶ月 |
156,808円 |
1,156,808円 |
月々約5万円ずつの返済だと、完済するためにかかる年数はおよそ2年であることがわかりました。月々約2万円ずつ返済する場合に比べると、返済期間は1/3以下に短縮できるようです。
また、完済までに支払う利息総額は約15万円で、やはり十万円以上の金額は利息として支払わなければなりません。
月々約5万円ずつ返済する場合、家計への負担が大きいうえに、十万円以上もの利息を元金に上乗せして支払わなければならないのです。
月々10万円返済する場合・・・・およそ10ヶ月
最後に、月々の返済額が10万円程度の場合で計算します。月々10万円の返済となると、家計への負担は相当なものであり、返済を続けるには綿密な家計管理に加えて十分な収入が不可欠となるでしょう。
借金100万円を、年率15%で月々約10万円(107,003円)ずつ返済した場合のシミュレーション結果は、以下のとおりです。
完済までにかかる年数 |
利息総額 |
総返済額 |
10ヶ月 |
70,030円 |
1,070,030円 |
月々約10万円ずつの返済だと、完済するためにかかる年数はおよそ10ヶ月であることがわかりました。月々約2万円ずつ返済する場合に比べると、返済期間は1/8程度に短縮できるようです。
また、完済までに支払う利息総額は約7万円で、元金に対する割合はかなり少なくなることがわかりました。
月々約10万円ずつ返済する場合、支払う利息総額はかなり抑えられますが、代わりに家計への負担が相当大きくなってしまうのです。
借金をしている人の中で100万円以上借入がある人の割合
借金100万円がやばい金額なのか気にしている人の中には「借金をしている人の中で100万円以上借入がある人はどれくらいいるのか?」気になっている人も多いのではないでしょうか?
そこで、この項目では一般社団法人 全国銀行協会がおこなった「銀行カードローンに関する消費者意識調査」の結果をもとに、銀行カードローンや貸金業者の利用者について借入総額別の割合を見てみましょう。
2020年1月におこなわれたこの調査では、銀行カードローンや貸金業者を利用している20歳から69歳の男女2,339人を対象に、現在の借入総額を調べました。その結果は以下のとおりです。
現在の借入総額 |
銀行&貸金業 |
銀行のみ |
貸金業のみ |
1~10万円 |
11.9% |
21.9% |
27.8% |
11~30万円 |
15.4% |
19.0% |
21.4% |
31~50万円 |
16.2% |
12.7% |
15.3% |
51~100万円 |
17.6% |
13.2% |
17.6% |
101~200万円 |
16.5% |
13.6% |
9.3% |
201~300万円 |
8.3% |
6.2% |
2.8% |
301~400万円 |
4.0% |
3.8% |
2.5% |
401~500万円 |
2.9% |
0.7% |
0.8% |
501~600万円 |
2.0% |
0.5% |
0.2% |
601~800万円 |
1.9% |
0.2% |
0.4% |
801~1000万円 |
1.0% |
0.4% |
0.6% |
1000万円超 |
2.5% |
7.8% |
1.1% |
平均借入総額 |
156.2万円 |
165.5万円 |
80.2万円 |
※銀行&貸金業・・・銀行カードローンも貸金業者も利用している人
※銀行のみ・・・銀行カードローンのみ利用している人
※貸金業のみ・・・貸金業者のみ利用している人
上表をもとに、100万円以上借入がある人の割合を計算すると、以下のとおりです。
銀行&貸金業 |
銀行のみ |
貸金業のみ |
39.1% |
33.2% |
17.7% |
貸金業者のみ利用している人の中で、100万円以上借入がある人は全体の20%未満だったのに対し、銀行カードローンのみまたは銀行カードローンも貸金業者も利用している人の中で、100万円以上借入がある人は全体の30%以上を占めていました。
この調査結果を見る限りでは、銀行から高額融資を受けている人が多い傾向にあるようです。
また、借入先にかかわらず、全体の60%以上の人は借入総額が100万円以下でした。もし、あなたが100万円以上の借金を抱えているのなら「他の人に比べて借金を抱えすぎている」という危機感を持ったほうがよいかもしれません。
参照:「銀行カードローンに関する消費者意識調査」の調査結果について | 2020年 | 一般社団法人 全国銀行協会
同じ借金100万円でも返済が苦しくなりやすい借入の特徴
同じ借金100万円でも、以下のような借金の種類は返済不能に陥るリスクが高いので注意が必要です。
- 利息が高い借金(消費者金融・リボ払いなど)
- 無担保のカードローン
- 目的のわからない少額ずつの借金
①利息が高い借金(消費者金融・リボ払いなど)
利息が高い借金は、当然ながら返済が難しい借金です。これには、債権者側の理由と、債務者側の理由があります。
- 債権者側の理由:利息を上げることで、返済不能リスクに備えている
- 債務者側の理由:収入や債務状態からリスクが高いとみなされ、低金利の審査に通らない
そもそも返済困難になりやすい債務者を受け入れているため、債権者側は利息を上げることでリスクに備えるしかありません。
これにより、返済不能に陥りやすい債務者ほど、利息によって返済負担が重くなります。
消費者金融は18%程度、リボ払いは15%程度の利息を取られます。リボ払いで100万円を3年間で返済すると、利息だけで24万7,940 円も付加されることになるのです。
②無担保のカードローン
基本的に担保のないカードローンの利息は高くなります。返済不能を担保するものがないからです。
マイカーローンの利息は1~2%、ディーラーローンでも4~8%です。それに対して無担保ローンは15%以上になります。
借入先のほとんどが無担保ローンだと返済負担は大きくなるでしょう。
③目的のわからない少額ずつの借金
車を買うため、冷蔵庫を買うためなど、はっきり目的があって借金したのではなく、日常生活に必要なものを買うためにちょこちょこ小さな借金を重ねるのは危険です。
既に「足りない分を借金で補う」という借金体質ができあがっているかもしれません。
このような方は、返済できない分を他の債権者から追加借り入れして補おう、という自転車操業に陥りやすくなります。
どこからが自分の収入で、どこからが借り入れたものかの区別ができなくなり、家計は破綻してしまうでしょう。
100万円の借金は、何がやばいのか?
借金の金額が100万円かどうかにかかわらず「借金を抱えすぎている状態は良くないこと」ということは全員がわかっていることと思いますが、冷静に何がやばいのか、正確にわかっている方は一部だと思います。
100万円の借金が抱えすぎだった場合は、以下のようなリスクやデメリットを内包しています。
- 滞納リスクと隣り合わせになっている
- 返済期間が長期化し、高額な利息の支払いをする羽目になる
- 返済のために新しい借金を考えるようになる
- 借金が癖になっており、なかなか抜け出せなくなる
滞納リスクと隣り合わせになっている
借金の金額が100万円かどうかに関わらず、自分の収入に対して借金を抱えすぎである場合、それはいつ滞納してもおかしくない状態です。
ご存じのように、借金を滞納することには遅延損害金をはじめとしたペナルティが設けられており、滞納期間が長期化するほど、ペナルティもより厳しいものになっていきます。
滞納が続いた場合の一般的な流れを紹介すると、以下のとおりです。
滞納期間の目安 |
生じるペナルティ |
返済日の翌日~完済まで |
延滞金(遅延損害金)が発生する |
3日~1ヶ月 |
電話・メール・郵便での督促が繰り返される |
2ヶ月~3ヶ月 |
信用情報にキズがつく |
2ヶ月~3ヶ月 |
残債を一括請求される |
3ヶ月~半年以降 |
裁判を起こされ、給料や財産を差し押さえられる |
次の項目から、上表で紹介したリスクを時系列に沿って詳しく解説します。
延滞金(遅延損害金)が発生する
借金100万円の返済が遅れると、返済日の翌日から延滞金(遅延損害金)が発生します。滞納分を返済する際には、100万円の借金に対する通常の利息とは別に遅延損害金を支払わなければなりません。
遅延損害金の金額は、次の式で求められます。
遅延損害金=元金×遅延損害金利率÷365(日)×滞納日数
仮に、100万円の借金を30日間滞納した場合、遅延損害金がいくらになるのか計算すると、以下のとおりです。(遅延損害金利率は20%とします)
100万×0.2÷365×30(日)=約16,438(円)
上記の式からわかるとおり、遅延損害金の金額は滞納期間が長くなるほど大きくなります。しかも、遅延損害金の利率は通常の利息より高く設定されている場合がほとんどなので、早いスピードで借金が増えていくことが予想できるでしょう。
厳しい督促を受ける
借金100万円の返済期日から数日が経過すると、債権者から電話やメールで連絡が来ます。連絡が来るのは通常、本人の携帯電話のみで、その内容は滞納状況の共有や返済可能日の確認など、事務的な連絡である場合がほとんどです。
債権者からの電話やメールを無視してしまうと、次に郵便で督促状が送られてきます。督促状は、最初「入金をお忘れではありませんか?」と優しく返済を促す内容から始まり、2通目、3通目と回数が増えるごとに文面が厳しくなっていくことが一般的です。
督促状も無視し続けていると、今度は自宅の固定電話や実家、勤務先にも督促の連絡が来る可能性があります。債務者以外が電話口に出た際、債権者が社名や借金について口にすることはありませんが、何度も身元や要件が曖昧な電話がかかって来たら、家族や同僚に怪しまれる恐れはあるでしょう。
電話やメール、郵便での督促をすべて無視し続けると、貸金業者の担当者が自宅を訪問することがあります。担当者が訪問した際、同居している家族が対応した場合は、家族に100万円の借金があるという事実を知られてしまう恐れがあるため注意が必要です。
信用情報にキズがつく
借金100万円の滞納期間が2ヶ月を超えると、滞納の事実が信用情報に事故情報として登録されます。
信用情報に事故情報が登録されてしまうと、以下のようにさまざまな影響が生じます。
- 新規借入やキャッシングの利用、ローンを組むことができなくなる
- クレジットカードの新規発行やすでにあるカードの使用ができなくなる
- スマホや携帯電話の分割払いができなくなる
- 奨学金などの保証人になれなくなる
- 賃貸物件の審査に通らない場合がある
事故情報は一生残るわけではなく、債務整理や100万円の借金を完済すると一定期間が経過した後に削除されることが一般的です。
ただし、100万円の借金を返済できないまま放置してしまうと、いつまでも滞納が解消されず事故情報が残ってしまうので注意してください。
残債を一括請求される
借金100万円の滞納期間が2〜3ヶ月に及ぶと、債権者から内容証明郵便で一括請求の通知が届くこともあります。
なお、一括請求されるのは滞納している分の元金100万円や利息、遅延損害金だけでなく、借金残高の全額であることが一般的です。
これは、一括請求の通知が届く時点で、債務者が期限の利益を喪失していることが原因です。
期限の利益とは債務者が持つ借金を分割で返済する権利のことで、期限の利益を喪失すると、債権者は債務者に対して借金全額を一括請求できるようになります。
そして、借入時に記入する契約書には、期限の利益を喪失する条件として「分割払いの返済が遅れてしまったとき」などの内容が定められている場合がほとんどなのです。
裁判を起こされ、給料や財産を差し押さえられる
借金100万円の一括請求通知も無視すると、債権者から訴訟を提起され裁判所から通知が届くこともあります。
裁判所から届く通知は、主に「支払督促」と「訴状」の2種類で、どちらも放置してしまうと債権者に有利な形で判決が下り、債権者は債務者の財産を100万円分差し押さえる権利を得ます。
債権者が差し押さえる財産には、主に以下のようなものがあります。
- 給料
- 銀行口座
- 生命保険の解約返戻金
- 不動産(自宅を含む)
- 車
優先的に差押えられるのは、給料と銀行口座内の預貯金です。とくに給料は、一度差し押さえると借金100万円を回収し終わるまで、手取り額の1/4※を毎月回収できるため、多くの債権者が最優先で差し押さえようとします。
※手取り額が44万円を超える場合は、33万円を超えた金額すべてが差押えの対象
もし、給料の差押えを受けてしまったら、勤務先にも裁判所から通知が届き、勤務先に100万円の借金がある事実を知られるだけでなく迷惑をかけることにもなってしまうでしょう。
返済期間が長期化し、高額な利息を支払う羽目になる
自分の収入に対し、100万円の借金が抱えすぎな場合、月々の返済額はどうしても少額になりがちです。
もちろん、完済までの期間も長期化しますので、その分多くの利息を支払うことになります。
以下、借金100万円を3年で完済したパターンと、10年かけて完済したパターンの利息額の比較です。
【借金100万円の期間別返済シミュレーション】
返済期間 |
10年計画の返済額
(元金分/利息分) |
3年計画の返済額
(元金分/利息分) |
返済総額 |
1,935,960円
(1,000,000円/935,960円) |
1,247,940円
(1,000,000円/247,940円) |
10年返済のパターンは元金100万円とほぼ同額の利息を返済することなることがわかります。
ここからも、収入に対し高額な借金をしていることは利息支払面ではかなり不利な状況であると考えられます。
返済のために新しい借金を考えるようになる
100万円の借金が抱え過ぎな場合、毎月の返済資金が用意できず、新しい借入で返済資金を用意することを考えるようになります。
これを自転車操業と言いますが、自転車操業をしてしまう人は、月収から月々の生活費と返済額を引いたときマイナスになってしまうため、足りない分を新たな借金で補っています。そして、新たに借りた借金もまた月々分割で返済していくため、月々の借金返済に充てる金額は次第に増えていき「雪だるま式」に借金が増えていくのです。
もし、返済のために借入を繰り返し、借金額が増えていっているなら、早めに弁護士や司法書士へ相談して債務整理などをおこなう必要があるでしょう。
借金が癖になっており、なかなか抜け出せなくなる
借金額が100万円に達する頃には、徐々に借金をすることへの心理的ハードルが下がっていき、借金癖がついているケースもあります。
借金癖がついてしまうと「お金が足りなくなったら借りればいい」と考えるようになり、事あるごとに借入をして借金が膨れ上がる恐れがあります。
これ以上借金が増える前に、弁護士や司法書士へ相談して借金問題の解決に向けて動くとよいでしょう。
100万円の借金を早期完済するための4つのコツ
借金を早期に完済するには、以下のことに注意して生活を見直す必要があります。
以下で具体的に説明します。
①細かい節約はせず、固定費をカットする
節約は細かいところではなく、固定費をカットすることを考えましょう。固定費を見直すことで、継続的に大きな金額を節約できます。
<見直し可能な固定費の例>
✔家賃
✔電気代
✔ガス代
✔通信費
✔サブスクリプションサービス
電気代は自由化されて数年たちますが、未だに面倒で見直していないという方が多くいます。電気代は各社基本料金や単価が違うので、実は見直せば必ず安くなる固定費です。
また、近年では都市ガスの自由化も始まりましたし、通信費もネットから手続きできれば格安になります。
サブスクリプションサービスは家族で一本化できるものはないか、動画配信サービスを一本化できないかなど、見直してみてもいいでしょう。
固定費の見直しは面倒ですが、一度しっかり比較して見直せば、次の月から一定額が自動的に節約できます
反対に暑いのに節約のために冷房を我慢する、こまめに電気を消すなどの細かい節約は、効果が少ないうえにストレスがたまるため、おすすめできません。
<そのほか効果的な節約>
✔フリマアプリやディスカウントストアに不用品を売る
✔外食を減らして自炊する
✔家賃を減らす(実家に住む)
✔生命保険などを見直す
②利息を計算して毎月の返済額を決める
毎月の返済額は、各社の利息を計算してから決めましょう。利息が高いと、毎月の返済額がほとんど利息分に充当されるため、元金が一向に減らないという事態になります。
毎月の返済額のうちいくら利息に充当されるのかは、以下のように計算できます。
利息=元本×利率÷12ヵ月
たとえば、A社から50万円を18%の利率で借りている場合、
50万円×18%÷12ヵ月=7,500円 で7,500円分が利息に当てられます。元金を着実に減らしていくためには、A社には毎月7,500円以上を返済しなければなりません。
このように一社ずつ計算していくと、その合計額が毎月の合計返済額になります。
③無理のない返済計画を立てる
家計の収支と利息の金額から、毎月の返済計画を立てましょう。節約後の収入からいくら返済に回せるか、元本を減らすために毎月いくら以上返済しなければならないかを検討のうえ、無理のない額で計画を立てます。
返済計画は、下記のように一覧表にまとめて、返済額と完済日がわかるように工夫しましょう。
返済計画の例
会社名 |
A社 |
B社 |
C社 |
合計 |
返済口座 |
○○銀行A支店
口座番号
123456 |
××銀行B支店
口座番号
234567 |
△△銀行C支店
口座番号
345678 |
|
2022年9月 |
8,000円 |
5,000円 |
7,000円 |
20,000円 |
2022年10月 |
8,000円 |
5,000円 |
7,000円 |
20,000円 |
2022年11月 |
完済 |
5,000円 |
7,000円 |
12,000円 |
2022年12月 |
完済 |
完済 |
7,000円 |
7,000円 |
④利息の高い会社から繰り上げ返済をしていく
ボーナスが入ったなど、一時的に余裕ができたら、積極的に繰り上げ返済をしていきましょう。繰り上げ返済は、利息が高い会社から優先的に返済することが大切です。
利息が高いと、返済期間が長期になればなるほど支払総額は大きくなります。
①50万円を18%、36回払いで返済する場合:返済総額65万0736円(うち利息15万0736円)
②50万円を12%、36回払いで返済する場合:返済総額59万7852 円(うち利息9万7852円)
上記2つの取引があった場合、①を優先して支払うようにしましょう。
また、毎月の返済額も、余裕のある月は可能な限り増やしていけば、より早く完済できます。
返済が苦しいと感じているなら任意整理も検討しよう
返済が苦しいと感じている場合は、任意整理という手段もあります。弁護士や司法書士に依頼し、債権者と交渉してもらって返済額を減らす方法です。
「弁護士を頼るのは最後の手段」とせず、選択肢の一つとして積極的に検討してみましょう。
任意整理を行うメリット
任意整理をおこなうことで最も大きなメリットは、借金返済に対して強い味方を得られることでしょう。
弁護士や司法書士は借金問題のプロフェッショナルです。
返済計画を練ったり、実現可能な金額で債権者と交渉したりして、あなたが借金を完済して再スタートを切れるようサポートしてくれるでしょう。
月々の返済額を1/2程度まで減らせる
任意整理では、弁護士や司法書士が債権者と交渉し、
- 今までの取引で発生した遅延損害金
- 将来利息
- 弁護士受任から和解成立までの経過利息
をカットし、返済可能な分割弁済和解を再度締結することを目指します。
長期で返済が滞っている場合、かなりの遅延損害金が債務に上乗せされます。たとえば、100万円を3ヵ月滞納した場合、遅延損害金は約5万円です。
弁護士に債務整理を依頼することで、この金額をカットするよう債権者と交渉してもらえます。
また、消費者金融業者などと18%の高利息で取引をしていた場合、利息を0%にできれば毎月の返済額や返済総額を大きくカットできるでしょう。
返済計画を立て直す間は支払いを一時的にストップできる
弁護士が依頼を受けてから債権者と和解できるまで、返済を一時的にストップできます。また、弁護士の受任により債権者からの直接取り立ても止まります。
この間に家計を整理して毎月いくら返済できるかを把握し、具体的な返済計画を立てることができます。
特に債権者からの取り立てに苦しんでいる方にとっては、それがなくなるだけでも精神的に落ち着いて計画を立てることができるでしょう。
債権者からの直接連絡の禁止は、弁護士が辞任しない限り、任意整理の分割弁済中も続きます。
滞納によって生じる深刻なペナルティをあらかじめ回避できる
弁護士があなたの代理人になることで、今後発生する可能性のある滞納に対するペナルティをあらかじめ予見し、対策ができます。
任意整理をせずに滞納を続けた場合、以下のような事態が発生します。
- 翌日から遅延損害金が加算され、債権者からの請求が始まる
- 2、3ヵ月後に遅延損害金を加算した金額の一括請求を受ける
- 2、3ヵ月後に信用情報機関に事故情報として登される(ブラックリスト入り)
- 債権者から訴訟提起もしくは支払督促申し立て
- 給料もしくは預貯金口座など、財産の差し押さえ
弁護士は債権者が法的措置を取る前に和解交渉を開始することができます。訴訟や差し押さえなど手間と費用がかかる裁判手続きを経ることなく解決できるため、債権者も交渉に応じてくれるでしょう。
任意整理にかかる費用は1社あたり約4〜5万円
任意整理にかかる費用は、1社あたり4万円~5万円程度です。事務所によって費用は違いますが、相談だけなら無料で受け付けているところもあります。
弁護士費用に不安がある場合は、法テラスの民事法律扶助制度を利用できないか確認してみましょう。依頼する弁護士や司法書士が法テラスと契約している場合、法律扶助制度を利用して費用を立て替えてもらうこともできます。
ただし、法テラスの法律扶助制度には資力要件があり、収入や資力が一定以下でなければ扶助を受けられません。また、法テラスの扶助はあくまで貸与であるため、分割して返済しなければなりません。
参照:法テラス
まずは無料相談から始めよう
当サイトで紹介している弁護士・司法書士は、借金問題に力を入れている事務所ばかりです。
あなたがまだ債務整理をするかどうか迷っている場合でも、弁護士などに相談することで借金返済の見通しがわかります。手続きに進むべきかどうかのアドバイスももらえるでしょう。
また、任意整理をした場合どのくらい減額できるのかも示してもらえます。
相談をしたからといって、依頼しなければならないわけではありません。
- 自力で返済するとどのくらいかかるのか知りたい
- 各手続きのメリットやデメリットを知りたい
- すぐに依頼する必要はないけど、万が一のために知っておきたい
少しでも債務整理について知っておきたいと思う方は、ぜひお問い合わせください。弁護士や司法書士が、あなたからの相談に無料で対応いたします。
まとめ
借金が100万円あるとやばいのは、以下のような方です。
- 年収が300万円以下の方
- 借り入れが長期にわたっている方
- 利息が高い債権者から借り入れをしている方
- 3社以上の借り入れをしている方
このような方でも、固定費を見直して家計を健全化したり、浮いた分で利息の高い債権者から積極的に繰り上げ返済をしていくことで着実に返済できるでしょう。
ただし、借金は債権者数が多いほど、返済が長期にわたるほど返済が難しくなります。ギリギリの生活をしつつ、何年もコツコツ返済を続けることは簡単ではないでしょう。
借金を完済し、生活を再スタートさせるためには、プロフェッショナルを味方につける必要があります。債務整理のプロである弁護士に依頼することで、借金完済への安全な近道を進むことができるでしょう。
今は滞りなく返済ができていても、いざという時のパートナーを選ぶ気持ちで、一度相談だけでもしてみてください。
100万円の借金に関するQ&A
借金100万円あるとやばい人ってどんな人ですか?
借金100万円があるとやばいとは、返済できなくなる可能性がある人とすると、下記のような方は100万円があるとやばい、といえるでしょう。
✔年収が300万円以下の方
✔複数の会社から借りれをしている方
✔自分の借金の正確な額を把握していない方
返済のために、できるだけ早く返済するためにはどうしたらいいでしょうか?
早期返済に欠かせないのは、収入の最大化と支出の最小化です。
収入を最大化するのはなかなか難しいですが、転職をしたり副業をするなどで少しでも増やすことが考えられます。
支出を最小化するには、まずは固定費の見直しをしましょう。固定費の見直しは面倒ですが、一度見直すと確実に毎月一定額を節約することができます。
逆に細かい節約はストレスを溜めやすくなるうえに効果がそれほど高いとはいえません。
借金100万円を返済するのにやってはいけないことはなんですか?
借金を本気で返済しようとするなら、以下のことは避けましょう。
✔返済のための借り入れ
✔毎月の返済額を低く設定すること
✔督促を放置すること
返済のための借り入れを続けると、どこまでが自分の収入で、どこからが借金なのかわからなくなり、自転車操業に陥ります。借り入れには年収による限度額があるため、自転車操業はいつか追加借り入れができなくなり破綻するでしょう。
また、毎月の返済が厳しいからといって返済額を低く設定すると、返済しても利息分にしか充当されず、元金が一向に減らないという状態に陥ってしまいます。
また、滞納した際、債権者からの督促を放置すると、遅延損害金が加算され、最終的に訴訟提起、財産の差し押さえを受けてしまいます。
借金の返済が辛いときは、早めに弁護士や司法書士に任意整理の相談をしましょう。
最短即日取立STOP!
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