督促を着信拒否・無視することで発生する4つのリスク
貸金業者からの電話や返済を求める内容証明郵便を無視はしないようにしてください。
なぜなら、返済意思がないとみなされるだけでなく、債務者の滞納状況に対して、債権者である貸金業者が法的措置を執る可能性が高まるからです。
しかも、着信拒否をしたり郵便物の内容をチェックせずに捨ててしまったりすると、どの段階まで事態が深刻になっているかを知る術さえ失われてしまいます。
このまま借金の支払い督促を無視し続けると生じるリスクは以下の通りです。
- 自宅や職場にまで督促が及ぶ可能性がある
- 債権回収会社や弁護士などから返済督促をされる可能性がある
- ブラックリストに登録される(事故情報が登録される)可能性がある
- 訴訟を提起される可能性がある
①自宅や職場にまで督促が及ぶ可能性がある
まずは、自宅や職場に督促の連絡がくる可能性が考えられます。
これにより、借金をしていた(滞納していた)事実を周囲に知られてしまうこともあるでしょう。
法律のルールとしては、貸金業者の取立て・督促行為には厳しい法律規制が課されています。
- 正当な理由がないのに、職場など、債務者の自宅以外に督促電話をかけたり訪問したりすること。
- 正当な理由がないのに、午前8時~午後9時以外の時間帯に督促電話をかけたり自宅などに訪問したりすること。
- 債務者の家族などにお金の支払いを要求すること。
- 弁護士や司法書士などの専門家が債務整理を受任したにもかかわらず債務者本人に督促をおこなうこと。
多くの貸金業者がこのルールを遵守しながら督促をおこなっているものの、中には貸金業法の規定を守らずに、債務者に対して厳しい取立て行為をおこなう業者がいることも事実です。
ただし、違法な督促行為がされたからと言って、借りていたお金を返済しなくてよくなるわけではありません。
場合によっては、違法な取立て行為によって受けた損害について賠償請求をすれば一定額の賠償金と相殺できることもあるでしょう。
しかし、これはかなり例外的な場面です。一般的には、違法な取立て行為がおこなわれたときには、貸金業者に対して行政処分や刑事罰が科されるだけで、借金の減免とは無関係です。
ワンポイント解説
違法な取立て行為はすぐに警察などに相談を
万が一違法な取立て行為を受けた場合には、警察や弁護士、消費生活センターや法テラスなどに相談してください。
債務者の仕事や私生活の妨げになるような形での督促がおこなわれた場合には、警察や弁護士に相談すれば違法な取立てを止めさせられます。
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督促を無視・着信拒否し続けるとさらなる厳しい督促を引き起こすことも
さらに注意をしなければいけないのは、貸金業法のルールを守った取立て督促行為を無視してしまうと、債権者の督促行為が許される範囲が広がってしまうという点です。
例えば、債務者の勤務先に電話問い合わせをすることは、本来であれば違法な督促行為として扱われるものです。
しかし、債務者自身が自宅や携帯電話への督促電話を無視している状況の中にあっては、債権者は勤務先への問い合わせをしなければ、債務者とコンタクトを取ることができないのは明らかです。
したがって、債務者が着拒や無視をしてしまったために、会社への督促行為が合法化されてしまいます。
これを避けるためにも、債権者からの電話督促などを理不尽に無視するのは避けるべきと言えるでしょう。
②債権回収会社や弁護士などから返済督促をされる可能性がある
借金の返済督促を無視し続けると、債権者が依頼した債権回収会社や弁護士などからより踏み込んだ形で返済督促をされる可能性があります。
まだ貸金業者から直接電話で督促がおこなわれる段階なら、無視や着信拒否をせずに誠実に対応すれば、返済期限の相談や返済スケジュールの組み直しを期待できます。
しかし、貸金業者が債権回収会社や弁護士などの外部機関に依頼したとなると、貸したお金を本気で回収するステージに進んだと考えられます。
債権回収会社からは一括請求されるのが一般的
債権回収会社とは、法務大臣の認可のもと、債権の回収を専門に取扱う業者です。
貸金業者から回収業務だけを請け負うこともありますが、貸金業者から債権を譲渡されたうえで債務者に対して一括請求をおこなうのが一般的です。
債権回収会社からの内容証明郵便などによる支払督促に応じなければ、裁判所を活用した形で強制的に債権の回収が行われるでしょう。
ただし、債権回収会社からの返済督促に真摯に対応して返済意思があることを伝えれば、分割払いなどの条件を交渉できる可能性があります。
無視し続けず、できるだけ早めに債権者に連絡を返すようにしてください。
③ブラックリスト入りになるリスク
貸金業者などからの返済督促を無視し続けると、信用情報機関に金融事故情報が登録され、以後ブラックリストとしてのデメリットを被ることになります。
ブラックリストに登録されると生活に支障が出ることも
借金の滞納が原因でブラックリストに登録されると、元本に加えて、利息や遅延損害金も含めた請求額をすべて支払ってから約5年間、以下のデメリットが生じます。
- クレジットカードの利用停止、新規発行不可
- 新規のローン、借入れ不可
- 奨学金などの保証人になれない
- 賃貸物件の入居審査に通りにくくなる
- 携帯電話の本体代金の分割払いができなくなる
※信用情報期間に事故情報が掲載される(ブラックリストに登録される)デメリットについては、「債務整理と信用情報機関の関係は?ブラックリストに載った場合のデメリットと対処法を解説」で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
④訴訟を提起される可能性がある
借金の返済督促を無視してしまうと、やがては訴訟の提起など、法的措置を執られるリスクがあります。
裁判所から特別送達郵便が郵送されたのなら、この段階に進んだとお考えください。
なお、裁判所からの特定送達郵便は郵便ポストに入れられるのではなく、受取人に直接手渡されるものです。
したがって、この段階に至るまでの督促の郵便物のように無視をすることはできないのでご注意ください。
裁判所を巻き込んだ形の手続きには、以下の2つが挙げられます。
民事訴訟が提起されれば財産や給料が差し押さえられる可能性がある
借金の滞納が続いた状態で無視をし続けると、民事訴訟が提起されます。
お金を返していない以上、民事訴訟手続きがそのまま進行すると最終的には債権者勝訴の判決が出されてしまいます。
そうなると、所有している財産や会社からの給料などが差し押さえられ、強制執行がおこなわれます。
民事訴訟を提起された場合、自宅に訴状が届くので、裁判期日に出廷しなければいけません。
これさえも無視してしまうと、異議を申し立てるつもりがないと判断され、債権者側の主張通りの請求額が確定してしまいます。
民事訴訟が提起されてからでも、訴訟の場で答弁書を提出するなり、債権者側と和解交渉することは可能です。
したがって、消費者金融などの債権者側の主張が全面的に採用されると、債務者にとっては圧倒的に不利な判決内容になってしまうので、弁護士などへ相談して裁判手続きなどを進めてもらいましょう。
支払督促手続きがおこなわれると差し押さえの一歩手前
債権者側が、裁判所の支払督促手続きを利用してお金の返済を求める場合があります。
お金の貸し借りのような典型的な紛争については、債権者がわざわざ民事訴訟を提起しなくても、支払督促手続きという簡便な方法で債務者にお金の返済を請求できる制度が設けられています。
裁判所から特別送達郵便が郵送されて支払督促手続きの開始を知ったら、2週間以内に異議を申し立てなければ請求が確定し、強制執行がおこなわれる状態になってしまいます。
したがって、債権者側との交渉の余地を残したいのであれば、速やかに異議申し立てを提出し、弁護士などの専門家にご相談ください。
返済督促を今すぐストップできる3つの方法
電話やメールなどによる返済の督促が繰り返されるとストレスが溜まるのは仕方ありませんが、だからと言って無視や着信拒否をすると以上のようなペナルティが科されるので、本来であれば債権者側からの連絡には真摯に対応すべきです。
ただ、滞納状況が続いている中では、督促の連絡に応じにくいのもまた事実でしょう。
そこで、以下では繰り返される執拗な返済督促をやめさせる方法を紹介します。
具体的には、以下の3点です。
- 借金を返済する
- 弁護士に債務整理依頼する、受任通知を発送してもらう
- 時効援用を活用する
①借金を返済すれば督促もストップする
どれだけ滞納状況が継続していたとしても、滞納している元本や利息、遅延損害金を含めて、現在請求されている金額をすべて支払うことができれば、返済の督促は停止します。
そもそも、借金の滞納が続いている人にとってまず大切なことは、督促を停止させることではなく、借金滞納に陥ってしまった原因を探ることです。
例えば、無駄な浪費やギャンブルなどが原因であるのなら、健全な家計管理のために反省して今後の生活を改善するようにしましょう。
このような形で家計収支を見直せば滞納している借金を返済できそうなら、督促のストップには効果的です。
ただし、消費者金融などの指定口座などへ入金してから、金融機関の担当者が入金確認をするまでに数日間のラグが生じるので、その間に督促の電話がかかってくる可能性がある点だけご注意ください。
②弁護士に相談して債務整理すれば督促がストップする
借金の滞納額を返済できないけれども返済督促をストップさせたいのなら、弁護士などの専門家に相談して債務整理の利用を検討しましょう。
弁護士に債務整理手続きを依頼すれば、返済督促は一時的にストップできます。
というのも、弁護士に依頼することで債権者との連絡窓口が弁護士に切り替わるため、債権者が債務者本人に直接連絡をとることが法律によって禁じられるからです。
もちろん、債権者と交渉をしたり、裁判所で手続きをおこなったりすることで借金の減額・免除もできます。
もはや返済が不可能な場合は債務整理手続きをおこない、借金問題を根本から解決することが重要です。弁護士への相談は無料でおこなっている事務所もありますので、できるだけ早めに相談するようにしてください。
③返済しない期間が長い人は消滅時効を援用できる可能性も
実は、債権回収会社からの返済督促に関しては、消滅時効を援用できる可能性について注意を払う必要があります。
借金の返済に関しては、返済期日が到来してから5年間で債務が消滅する、つまり、お金を返す必要がなくなります。
ただし、5年間が経過する前に、①訴訟の提起、②差押え、③債務者側からの債務の承認、がおこなわれてしまうと、消滅時効は成立しなくなります。
例えば、借金の返済督促を無視し続けている間に、債権者側が訴訟の提起などの①②の方法を採らずに5年以上が経過しているとしましょう。
このとき、本来であれば消滅時効が成立するのでお金を返す必要はありません。
しかし、内容証明郵便や訴状が送付されたことによって、つい債権者側に返済意思があることを伝えてしまう(③)と、せっかくの消滅時効の恩恵を受けることができなくなってしまいます。
したがって、消滅時効の援用可否の判断を仰ぐためにも、まずは弁護士や司法書士などの専門家に相談するのがおすすめです。
まとめ
日々繰り返される返済督促は、滞納を続けている債務者にとってはストレスの原因になるものです。
確かに、電話や郵便物を無視したり、着信拒否をしてしまえば、その時だけはストレスから解放されるでしょう。
しかし、無視をし続けても事態はより悪化の一方をたどるだけです。
繰り返される督促によって周囲の人に借金滞納の事実を知られたり、ブラックリストへの登録、ひいては訴訟の提起などをされるリスクさえ生じます。
大切なのは、現在の借金滞納状況を抜本的に解決することです。
家計を見直して滞納状況を改善できるのなら借金を返済する、返済できないのなら債務整理を検討してください。
特に、債務整理を弁護士に依頼すれば、悩みの種である返済督促がストップするだけでなく、今後の生活を再建するきっかけにもなります。
借金を返済できない現状を抜け出すために、まずはお気軽に弁護士や司法書士などの専門家にご相談ください!
借金の督促についてよくある質問
債権者へ連絡してお願いすれば、督促は止めてもらえますか?
ただ債権者へ督促を止めるようお願いしても、聞き入れてもらえないのが通常です。督促を止めるには、債権者の要求に応じて借金を返済するか、難しければ弁護士へ債務整理を依頼するしかありません。
督促を無視や着信拒否するとどんなリスクがありますか?
・自宅や職場にまで督促が及ぶ可能性がある
・債権回収会社や弁護士などから返済督促をされる可能性がある
・ブラックリストになる
・訴訟を提起される可能性がある
などのリスクがあります。
無視や着信拒否する以外に督促を止める方法はありますか?
弁護士へ債務整理を依頼すれば、督促は一時的にストップできます。もちろん、債権者と交渉をしたり、裁判所で手続きをおこなうことで借金の減額・免除もできるので、借金返済が厳しい状況なら一度相談するとよいでしょう。
弁護士へ依頼するとなぜ督促が止まるのですか?
弁護士へ依頼すると、弁護士から債権者へ受任通知が送られます。受任通知を受け取った債権者は、それ以降、債務者へ直接督促してはいけないと法律で定められているので、督促が止まるのです。
債務整理とはどのようなものですか?
債務整理は、利息や元金をカットし返済総額を大幅に減らせる国が認めた借金救済制度です。債務整理には複数の方法があり、主に「任意整理」「自己破産」「個人再生」を用いて借金問題を解決します。どの方法が適しているかは個人によって異なるので、法律事務所へ直接相談して確認するとよいでしょう。
最短即日取立STOP!
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