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2024年11月現在

借金があるけど会社を辞めたい時の対処マニュアル!対応方法から注意点まで解説

退職を検討している人のなかには、会社からの借金がある人もいるかもしれません。その場合、「借金があるけど会社を辞められるのか」のように考えることでしょう。

日本国憲法では職業選択の自由が認められています。そのため、会社からの借金があっても法律上退職は可能です。

借金を理由に在職を強要することは、労働基準法の違法行為となるため、そのような状況にいるのであれば弁護士に相談をして退職手続きを進めることを検討してみてください。

ただし、会社を辞めたからといって返済義務がなくなるわけではないため、退職後も返済をしなければなりません。返済をしない場合、会社から強制執行の手続きを取られる可能性があり、その際には給与や持ち家といった財産が差し押さえの対象になります。

借金がある状態で会社を辞めるのであれば、退職後も問題なく支払いを行えるように会社の人と返済条件を話し合って決めておくようにしましょう。

当記事では、借金があるけど会社を辞めたい時の対処マニュアルをテーマに、退職のための対応方法や注意点を解説していきます。「借金があるけど会社を辞めたい」という場合には参考にしてみてください。

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監修
ゆら総合法律事務所
阿部 由羅(弁護士)

借金があっても会社を辞めるのは法律で認められている

会社からお金を借りている状況であっても退職はできます。

これには、日本国憲法第22条によって定められている「職業選択の自由」によって守られている労働者の権利が関わります。

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
引用元 e-Gov「日本国憲法」

また、民法第627条「期間の定めのある雇用の解除」では「雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」とも定められています。労働基準法第5条「強制労働の禁止」に抵触

会社から借金を抱えていると少し後ろめたさを感じたり、借金がある間は退職ができないと勝手に思ったりしている方もいるかもしれません。しかし、日本の法律ではいかなる理由があろうとも強制労働(在職強要)は認めていません。

ワンポイント解説
借入先が会社か個人かは関係ない

借金の債権者が会社(法人)か個人(個人事業主や社長個人)に関係なく、退職は自由にできます。しつこい在職強要を受けている方は、弁護士や労働基準監督署への相談をしてください。

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借金を理由に在職を強要されているなら弁護士へ相談をする

借金を理由に在職を強要されているなら、弁護士に相談することを検討してみてください。

会社に借金があっても会社は辞められること、在職強要は違法であることは前述の通りです。それでもなお、退職させてもらえずに困っているなら迷わず弁護士へ相談するべきでしょう。

「会社を辞めたい」と感じているにもかかわらず、無理をして在職し続けると体調を崩してしまうことになりかねません。自分で伝えるのに不安があるのであれば弁護士へ相談するのが得策でしょう。

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ワンポイント解説
労働基準監督署への相談でも良い

在職強要の相談は弁護士ではなく、会社がある所在地を管轄する労働基準監督署も相談先になります。しかし、労働基準監督署は労働者の代理人ではないため、労働者のために直接的な行動をとってくれるわけではないことが難点です。ご自身の代理人としてサポートしてもらいたい場合には、弁護士に相談しましょう。

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借金を抱えたまま会社を辞めるべきかを検討するべき基準

借金を抱えていても会社を辞める権利があるのは前述の通りですが、「本当に会社を辞めるべきか」「借金を返済してから辞めた方がいいのでは」のように悩みこともあるでしょう。

確かに、必ずしも退職をするべきとはいえません。場合によっては「会社を辞めないほうがよかった」となる可能性もあるかもしれません。

そのような場合、下記の基準をもとに借金を抱えたまま会社を辞めるべきかを検討してみてください。

  • 体調が崩れるほどつらい場合
  • パワハラやセクハラなどの被害に遭っている場
  • 残業が多すぎて生活に支障が出ている

ここからは、借金を抱えたまま会社を辞めるべきかを検討するべき基準を解説していきます。

体調が崩れるほどつらい場合

会社を辞めたいと思いながらも借金を抱えている以上、「なかなか辞められない」と感じるかもしれません。この場合、相当なストレスを感じていることでしょう。

自分の思いに相反した行動をとっているため、自分の体に相当な負担をかけていることが予測されます。

この状態が続くと、最終的には自律神経の乱れからくる精神疾患等の病気を患ってしまう恐れがあります。とくに、会社内で発生しているストレスと借金を返済しなければいけないと感じているプレッシャーは相当なものでしょう。

万が一、病気になって働けなくなってしまえば借金の返済はより困難になると考えられます。一方で、病気になる前に会社を辞められれば、新たな職場に就職することもできるようになるでしょう。

必ずしも無理をすることが正解ではないため、体調が崩れるほどつらいと感じる場合には借金があっても会社を辞めることを検討するのも大切です。

ワンポイント解説
仕事が原因で体調を崩したときは「労災」、仕事以外は「傷病手当」の対象になり得る

仕事のストレスが原因で発生した病気はすべて労働災害として補償を受けられる可能性があります。これは、心の病気であっても例外ではありません。また、会社からの借金が原因で病気を患ってしまったときは、健康保険の傷病手当の対象にもなり得ます。万が一、借金があって会社を辞められずに病気になってしまった方は、各種手当金等の請求を検討してください。

パワハラやセクハラなどの被害に遭っている場合

パワハラやセクハラといった被害に遭っている場合、借金があっても会社を辞める原因になることでしょう。パワハラやセクハラは人格権侵害の不法行為であるため、本来は自身が会社を辞めずして、相手方がしかるべき処罰を受けるべきです。

とはいえ、パワハラやセクハラがあった会社でその後も働き続けるのは精神的にも負担がかかると考えられます。そのため、パワハラやセクハラなどの被害に遭っている場合、会社内などの窓口に相談をしたうえで、退職をすることを検討してみるのも一つの手といえます。

残業が多すぎて生活に支障が出ている

残業が多すぎて生活に支障が出ている場合も、借金があっても会社を辞める原因になります。具体的には、「夜遅くまでの残業で不眠状態が続いている」「精神的な余裕がなくなっていることを自覚している」といったケースが挙げられます。

残業が多すぎると、身体的にも精神的にも負担がかかる可能性があります。病気を患う可能性も否定できないため、残業が多い場合には借金があっても会社を辞めることを検討してみてもよいでしょう。

借金があるまま会社を辞める際には返済に関する話し合いが必須

前述したように、会社からお金を借りていても退職は可能です。とはいえ、会社を辞めたからといって借金がなくなるわけではないため、退職後も返済を続けていかなければいけません。

「退職した会社とはできるだけ関わりたくない」のように考えるかもしれませんが、トラブルを防止するため、返済に関する話し合いは必ずしておきましょう。

なお、借金の返済に関する話し合いがまとまったときは、書面で作成・確認をして、お互いに保管しておくのが大切です。書面を残しておかなければ後にトラブルが起きる可能性があるため、会社の人と話しながら書面作成を進めていきましょう。

給与や退職金で借金を相殺することは法律上認められていない

会社からの借金を抱えたまま退職するときは、「退職すると借りていたお金を退職金(給与)から相殺されるのか」のように考えるかもしれません。しかし、労働基準法第17条で定められているように、給与や退職金で借金を相殺することは認められていません。

使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
引用元 e-Gov「労働基準法」

法律に違反する行為であるため、仮に「給与や退職金で相殺する」と言われているのであれば、それを拒否したうえで退職の手続きを進めても法的に問題ありません。

なお、「退職するなら借金を一括で返済してもらう」などと無理難題を押し付け、在職を強要するのも違法です。

退職後に会社へ返済をしなければ強制執行に発展する可能性がある

会社から借金をしたまま退職する場合、その後も返済は必要です。借金の返済義務は退職後も残るため、会社への返済は滞りなく行うようにしましょう。

万が一、返済をしなかった場合、会社から強制執行の手続きを取られる可能性もあります。強制執行になってしまえば、給料や退職金、持ち家、自動車といった財産が差し押さえの対象となります。

なお、強制執行になれば、債権者が消費者金融や銀行などの場合は信用情報として履歴が残り、いわゆる「ブラックリスト入り」となってしまいます。しかし、会社が信用情報機関の会員でなければ、信用情報として履歴は残らないためブラックリストにも載りません。

会社から借りたお金を含めた借金問題は債務整理でも解決できる

借金問題を解決する方法として、債務整理が挙げられます。

債務整理とは、借金返済が苦しい場合にとれる救済措置のことです。インターネットなどでは、「国が認めた借金減額措置」などと呼ばれることもあり、会社からの借金も減額の対象になります。

債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の手続きがあり、いずれも下記のように減額効果が異なります。

概要
任意整理 債権者と直接交渉をして返済条件を見直すための手続き。元金のみを3年〜5年かけて完済を目指せるような返済条件に変更されるのが一般的。
個人再生 裁判所に借金の返済が不能であることを申し立てて、元金も含めて1/5〜1/10程度に借金自体を減額するための手続き。
自己破産 借金の返済が不可能であることを裁判所に申し立てて、いまあるすべての借金を0にしてもらう手続き。

前提として、会社からの借金は自力で返済するのが大切です。しかし、「他の金融機関からの借金もある」「自力では返せないほど会社からの借金がある」といった場合、債務整理を視野に入れるのもよいでしょう。

ただし、債務整理をすると、最長5年〜7年の間はいわゆる「ブラックリスト入り」の状態になります。クレジットカードやローンなどの審査に通りづらくなるため、今後の生活に悪影響が出る可能性は否定できません。

まずは無料相談を活用して弁護士・司法書士に相談をして、債務整理をするべきかを検討してみるのがよいでしょう。

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会社を辞めた後のために利用できる公的制度を把握しておく

借金を抱えたまま会社を辞めることを検討している人のなかには、「退職後の生活が不安」という人もいることでしょう。退職後も返済は必要になるため、生活費と返済額を毎月用意しなければならず、このような不安を感じるのも当然といえます。

退職後の生活資金が不安であれば、会社を辞めた後のために利用できる公的制度を把握しておくことも大切です。

  • 生活福祉資金貸付制度
  • 生活保護の受給

なお、住んでいる地域の役所では、自身の状況で利用できる可能性がある公的支援を紹介してもらえます。上記以外に利用できる公的支援を探すためにも、住んでいる地域の役所に相談することも検討してみてください。

生活福祉資金貸付制度を利用すれば生活に必要な資金を国から借りられる

生活福祉資金貸付制度を利用すれば、会社を辞めたあとの生活費を借りられます。

生活福祉資金貸付制度とは、低所得世帯・障がい者世帯・高齢者世帯を対象として、経済的にサポートをして生活を再建するための公的制度のことです。

貸付資金には、「総合支援資金」「福祉資金」「教育支援資金」「不動産担保型生活資金」の4種類があり、それぞれで貸付の上限額や条件が異なります。全国社会福祉協議会「福祉の資金(貸付制度)」で各貸付資金について詳細を確認できるため参考にしてみてください。

なお、「貸付」であるため原則返済を前提としています。返済方法は柔軟に対応していますし、返済が難しいときは猶予が認められるケースもあります。

生活福祉資金貸付制度の相談先はこちら

病気やケガで退職せざるを得ないときは生活保護の受給を申請する

病気やケガで退職せざるを得なくなってしまった場合、生活保護の受給申請を検討してみてください。生活保護を受給できれば、働けない期間の生活資金を確保できます。

日本国憲法では、国民の最低限度の健康的文化的な生活が保障されています。働けなくなってしまっても、生活保護を受給すれば最低限度の生活を送るための支援を受けられます。

ただし、会社を辞めて借金を抱えたまま生活保護を受給するときは、債務整理などで借金問題を事前に解消しておかなければなりません。生活保護受給中に借金を返済することが認められていないためです。

生活保護の受給を開始したところで借金の返済義務が止まるわけではないため、生活保護の受給申請の前には債務整理を視野に入れて弁護士や司法書士に相談するようにしましょう。

まとめ

日本国憲法では職業選択の自由が認められているため、たとえ会社から借金があったとしても退職することは可能です。仮に退職を希望しているにもかかわらず、借金を理由に退職をさせてもらえない場合、在職強要として労働基準法に違反する行為となるため弁護士に相談することを検討してみてください。

とはいえ、会社を辞めた後も返済義務は残るため、会社と決めた条件で返済を行わなければなりません。退職後のお金の面で不安があるかもしれませんが、その場合には公的制度や債務整理といった方法をとることも視野に入れておくとよいでしょう。

借金があるけど会社を辞めたい場合のFAQ

会社からの借金が転職に影響することはありますか?

原則ありません。借金を抱えていることが理由で資格制限を受けたり、職業制限を受けたりすることはないので安心してください。借金に関することは当然に保護されるべき個人情報であるため、その情報が漏洩することがあってはいけません。

会社の人から個人的にお金を借りています。この場合完済してからでなければ退職できないのでしょうか?

借金が理由で退職できないということはありません。個人的な借金があっても、退職することは法律で認められています。退職した後に個人的に返済を行なって問題解決を図るとよいでしょう。

退職した後は当分働くのが難しい状況です。返済の免除や猶予を認めてもらえるのでしょうか?

会社の人との話し合い次第ですが、基本的に返済が免除になるとは考えづらいです。収入の状況を伝えて、問題なく返済を行えるような条件を立ててもらえるように話し合いを進めてみてください。

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更新日 : 2024年11月18日
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