多額の借金返済のためにやるべきこと5つ
多額の借金を確実に返済していくためには、家計を最適化することと、返済を最小化することが大切です。
家計を最適化するには、「収入を増やして支出を減らすこと」、返済を最小化するためには、「支払い利息を最小限にすること」を意識してみましょう。
①家計を見直す
収入を増やし、支出を減らすことで家計を最適化しましょう。
支出を減らすコツは、固定費から見直すことです。最初は面倒でも、固定費を見直せば毎月確実に支出を減らすことができ、小さな節約でストレスをためることもなくなるでしょう。
見直すべき固定費は以下の5点です
- 携帯電話を格安プランに変更する
- 家賃の安いところに引っ越しする
- 電力会社の見直す
- 不必要な保険を解約する
- 利用頻度の低いサブスクを解約する
携帯電話などの通信費の見直しや、利用頻度の低いサブスクリプションサービスの解約は、手を付けやすいでしょう。
菅政権の政策により、2021年4月から日本では携帯電話料金の大幅値下げが実施されました。株式会社第一生命経済研究所の報告では、携帯電話通信料は消費者物価ベースで4割近く引き下げられています。
『Economic Trends 菅政権の成果』
引用元:第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部
ただし、自分で契約変更の手続きをしなければ、料金引き下げの恩恵を受けることはできません。まだ手続きをしていないなら、一度通信料のプランを見直してみましょう。
電力会社は2016年4月から自由化が始まっています。独占販売だった電力が自由市場となったため、各社しのぎを削って価格やサービスに差を付けようとしていますので、一度比較してみるといいでしょう。
また、預金額が少ないうちは万が一に備えて多くの保険に入りがちになります。しかし、各保険会社で重複して保障されている部分がないか、必要以上に備えすぎていないか、今一度見直してみる必要があるでしょう。
固定費の見直しは、今まで手つかずだったサービスを比較検討しなければならないため、最初は手間がかかります。
しかし、一度見直してしまえば、小さな節約に気を付けなくても、毎月一定の金額が自動的に節約できるようになります。
また、収入を増やす手段としては、副業をすることや、転職を検討することなどがあります。こちらは少々ハードルが高いかもしれませんが、固定費の削減と併せて実施できれば、家計のバランスは大きく黒字に転じていくでしょう。
②返済額を増やす
家計を見直すことで浮いた金額を返済に回し、毎月の返済額を増やしましょう。家計の収支バランスが黒字転換できれば、返済計画を見直すことができます。
ただし、返済計画はあくまで余裕をもって立てるようにしましょう。
③余裕がある月は繰り上げ返済をする
ボーナスが出た場合や、転職をして前の会社から退職金が出た場合など、一時的に余裕ができたら繰り上げ返済をしましょう。
大きな出費でなくても、月々の予算で余裕が出たらその都度返済にまわすとそれだけ完済までの期間が早くなり、支払うべきだった利息分をカットできます。
ただし、ボーナスはあくまでも臨時収入で、常に出るとは限りません。返済計画には臨時収入は組み込まないようにしましょう。
④利息が高い借金から先に完済する
返済は、特に利息を下げることを意識し、利息の高い債権者から先に返済しましょう。
貸金業者などを金利が高い順に並べると、以下のようになります。
消費者金融業者 ≧ リボ払い >銀行の無担保ローン ≧ 車ローン > 住宅ローン
一般的に無担保ローンは利息が高く、車や住宅など担保があるローンは利息が低いという傾向があります。
消費者金融業者からの借金を1年払い続けるのと、住宅ローンを1年払い続けるのでは、支払う利息に大きな差が出てしまいます。
そのため、利息の高い消費者金融やリボ払いを先に返済するようにしましょう。
⑤おまとめローンを利用する
おまとめローンとは、複数の債権者に対する借金を、新しい債権者からの借り入れで返済し、以後新しい債権者へ返済していくことです。
おまとめローンの目的は、支払いを一本化することと、利息を引き下げることです。
今ある債権者の利息が高ければ、おまとめローンにして利息を下げることができます。
ただし、おまとめローンは通常のローン審査より厳しくなるというデメリットがあります。
また、返済方法の設定によっては返済期間が長くなり、その分利息が付いて返済総額が上がってしまう可能性もあるため、返済プランを立てる際には注意が必要です。
おまとめローンメリット |
おまとめローンデメリット |
・毎月の返済回数が1度で済む
・利息を低く抑えることができる
・毎月の支払額を低く抑えることも可能 |
・審査が厳しい
・返済方法によっては返済期間が長期化して利息が高くなる可能性もある
・利息が下がらない場合もある |
※ その他、一般的な借金返済のコツについては以下の記事をご覧ください。
借金返済中にやってはいけないこと4つ
返済中にやってはいけないことは、支払いを先延ばしにすることで利息を増やしてしまう行為や、一発逆転を狙うことなどです。
具体的には以下のようなことをすると、支払いが難しくなってしまうでしょう。
①返済のための借り入れをする
債権者数が増えるほど、利息は高くなる傾向があります。そして、利息が増えれば返済までの道のりが遠のいてしまうでしょう。
金融機関は貸し付けする際に信用情報機関に照会を行い、顧客が何社からいくら借り入れているのかを確認しています。
顧客がすでに多重債務者である場合は、貸し倒れリスクに備えるために利息を上げたり、保証会社をつけたりします。
債権者が増えるほど利息が高くなり、高い利息で借り入れをするため返済が難しくなってしまうのです。
②クレジットカードを多用する
クレジットカードを多用することは、支払いの先送りになります。
支払いは、商品の購入と支払いの期間が長くなるほど利息や手数料が上乗せされ、支払総額が上がる仕組みになっています。
クレジットカードでの分割払いは、3回から手数料が発生します。
支払いは長くても2回までにとどめ、カードを多用して支払うことは控えるようにしましょう。
③リボ払いで支払いをする
リボ払いとは、いくら使っても毎月の返済額を一定額にする支払い方法です。
リボ払いを利用すると、毎月の返済額が一定になるため、固定費化して家計管理がしやすいというメリットもあります。
ただし、リボ払いの利息は15%程度と、消費者金融並みに高く設定されています。
リボ払いを繰り返して残高が増えると、利息部分の返済額は多くなりますが毎月の返済額は変わらないため、元本が減りづらくなります。
また、毎月滞りなく決まった額を返済し続けるので、残高が減っていないことに気づきにくいというデメリットもあります。
一度利用を始めたらなかなか抜け出せない仕組みを揶揄して「リボ地獄」と呼ばれることもあるほど、完済が難しい支払方法です。
なるべく早く借金を返済したいのであれば、リボ払いで支払いをすることは避けましょう。
④ギャンブルや危険な投資で一発逆転を狙う
返済に困ったとき、なんとかしようと焦るあまりに一発逆転を狙ってしまう方もいます。
パチンコなどのギャンブルは、手持ちのお金を減らす危険もあるうえ依存症の危険性もあります。
ギャンブルで勝つ経験をすると、ドーパミンという神経物質が放出されます。
ドーパミンはまるで薬物のように脳内に快感を与え、同時に理性的に衝動を抑える神経物質であるセロトニンの働きを抑制します。そのため、行動抑制が効きづらくなり、やめられなくなってしまうのです。
また、FXや株の信用投資など、レバレッジを効かせた投資でも、パチンコと同じしくみで依存症になる可能性があります。
華やかで夢があるため手をだしたくなりますが、これらの投資はお金を失うだけでなく、さらに多額の借金を生み出すことになりかねません。
借金300万円の具体的返済ルート
多額の借金を返済するには、毎月どの位返済し、何年くらいかかるのでしょうか。
以下で、300万円を返済する場合を例に、具体的な返済額、返済期間を紹介します。
年率3%の銀行系カードローンの場合
銀行系カードローンの場合、比較的利息は低く設定されています。仮に利息を3%として計算すると、以下のようになります。なお、返済方式は元利均等方式とします。
返済期間(回数) |
毎月の返済額 |
返済総額 |
(うち利息分) |
3年(36ヶ月) |
87,243円 |
3,140,748円 |
(140,748円) |
5年(60ヶ月) |
53,906円 |
3,234,360円 |
(234,360円) |
300万円を利息3%で返済する場合、3年で完済するには毎月約8万7,000円、5年で完済するには毎月約5万4,000円を支払うことになります。
3年間で利息分の支払いは約14万円、5年間だと約23万円を利息で支払うことになります。
年率15%のリボ払いの場合
次に、債務が年利15%のリボ払いの場合は以下のようになります。
返済期間(回数) |
毎月の返済額 |
返済総額 |
(うち利息分) |
3年(36ヶ月) |
103,995 円 |
3,743,820 円 |
(743,820 円) |
5年(60ヶ月) |
71,369 円 |
4,282,140円 |
(1,282,140円) |
利息が3%から15%になると、毎月の返済額は3年で約10万円、5年で約7万円にもなります。
また、支払総額のうち利息が占める金額は、3年で約74万4,000円、支払いが5年間に及ぶと、約130万円を利息として余計に支払わなければならなくなるのです。
借金を返済できないと思ったら債務整理を検討しよう
以上のように、借金を返済するには利息の支払いをなるべく減らすことを意識して返済していくことが大切です。
しかし、借金の返済をシミュレーションしてみて返済に不安を感じたら、債務整理を検討し、弁護士や司法書士に相談しましょう。
債務整理の種類とその効果
弁護士や司法書士に債務整理を相談することで、支払い総額を減額したり、免除してもらったりすることができます。
ブラックリストに載ってしまうことを恐れて債務整理をためらう方もいますが、滞納が続けば債務整理をしなくてもブラックリストに載ってしまいます。
ブラックリストに載ると、5年から10年程度はカードの作成やローンが組めなくなるため不便に思うかもしれません。しかしそれは、手元にあるお金だけで暮らしていくためのリハビリ期間でもあるのです。
任意整理
弁護士もしくは司法書士が任意で債権者と交渉し、債務の減額をめざす方法です。
減額できる債務は今までの遅延損害金や弁護士介入後和解できるまでの利息(経過利息)、和解後完済までの将来利息です。一括で返済できる場合を除き、元本部分の減額交渉は難しいでしょう。
任意整理で債務を整理するには、3年(最長5年)の分割弁済をするための継続的で安定した収入が必要です。
任意整理は財産を失うこともなく、誰かに知られることも少ない反面、大幅に債務を減らすことができないという欠点もあります。
自己破産
自己破産とは、自分の財産を代償とすることで、支払いきれない借金の返済を免除してもらう手続きで、裁判所への申立てが必要です。
どれだけ多額の借金があっても免除してもらうことができますが、税金や保険料、養育費や慰謝料などは免除されません。
自宅や車、保険などの大きな財産は失ってしまいますが、生活再建のために99万円までの財産を手元に残すことができます。
自己破産に対して強い拒否感を持つ方もいますが、破産は債務を返済できないことへのペナルティではなく、債務者が生活を再建するための制度なのです。
個人再生
個人再生とは、裁判所に申し立てることで債務を5分の1程度に減額する許可を得るための手続きです。
一番の特長は「住宅ローン特則」を使って住宅ローンを債務整理の対象から外せることでしょう。住宅ローンだけは今までどおり返済しつつ、そのほかの債務のみ減額大幅に減額することができます。
ただし、個人再生には、申立人本人に長期継続して安定した収入があることの証明が必要です。また、債務整理手続きの中でも特に複雑な手続きなので、弁護士の関与が必須になります。
まとめ
多額の借金を返済するには、収入を最大化して支出を最小化することで返済額をアップさせることが大切です。
ポイントは、家計の見直しは固定費を中心に見直すことと、利息を減らすことを意識して返済することです。
返済が難しければ弁護士や司法書士に債務整理を依頼することを検討しましょう。
債務整理は借金を返済できなかったことに対するペナルティではなく、借金を清算して生活を再建するための手続きです。
なるべく早く借金生活から抜け出すためにも、一度弁護士や司法書士に相談してみましょう。
多額の借金返済方法についてのQ&A
借金を返済するにはまずどこから始めたらいいでしょうか?
まずは家計を見直し、節約できたお金を返済に充てるところから始めましょう。家計を見直すときには、固定費から見直すとストレスなく効果的に節約ができます。
また、ボーナスなど一時的にお金が入ったら、積極的に返済に充てて返済期間を短縮することで支払う利息を減らすことも大切です。
ただし、返済計画は無理なく実現可能なものにしましょう。
200万円のカードローンがあります。銀行系のカードローンなので年利は5%ですが、返済するのにどのくらいかかりますか?
3年で返済すると毎月6万円程度、5年で返済すると毎月4万円程度の支払いが必要です。
どちらも元利均等方式による返済で計算した金額です。
日本銀行情報サービス局が運営するサイト内の返済シミュレーションを参考に、自分の返済計画をチェックしてみましょう。
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/sikin/menu/s_kariire.html
弁護士や司法書士に相談するタイミングはいつがいいでしょうか?
借金返済に不安を感じたら、なるべく早く専門家に相談しましょう。早ければ早いほどとるべき選択肢が多くなります。
具体的には、返済シミュレーションをしてみて、毎月の返済額が厳しいと感じたら相談するタイミングです。相談のみなら無料で受け付けている法律事務所もあります。
相談することにデメリットはありませんので、ぜひ検討してみてください。
返済に困っていることを家族や会社に知られたくありません。誰にも知られずに債務整理をすることはできますか?
任意整理であれば、誰にも知られずに債務整理をすることができます。
個人再生や破産は裁判所に申し立てる手続きなので、「官報」という国の発行する新聞に名前が載ってしまいます。
ただし、官報を日常的に読む職業の人は限られているため、それが理由でバレる可能性は低いでしょう。
自己破産では自宅の処分が必要になることがあるため、同居の親族に隠しとおすことは難しいでしょう。
しかし、債務整理をためらっているうちに債権者に訴訟提起され、給料差し押さえをされたら会社にバレてしまうこともあります。
債務整理をしなければ周囲に多重債務がバレないというわけではありません。
最短即日取立STOP!
一人で悩まずに士業にご相談を
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