知らない会社から「代位弁済通知書」が届いたんですけど、これは何ですか?
代位弁済通知書とは「肩代わりした借金を一括返済してください」という保証会社からの通達です。払えないからと言って滞納が続けば給与や財産を差押えされるリスクもあります。
そんな急に一括返済なんて無理です・・・何か有効な対処法はないのででしょうか?
現実的には債務整理を行うことが有効な手段となるでしょう。一括返済を分割返済に戻せるうえ、差し押さえを止めることもできます。また、借金そのものを減額することも可能です。一度弁護士に相談し、どのような手続きをとるのが適切か相談してみることをお勧めします。
代位弁済通知書とは、あなたがこれまで滞納してきた借金と、残りの残債を保証会社が肩代わりしたことを通達する書類です。
通常、保証会社からは滞納分と残債の一括請求が行われますが、払えないからといって滞納を続けると、遅延損害金が膨らみ続けるだけでなく、財産や給与の差押えが行われる可能性もあります。
また、代位弁済による一括請求は、原則分割払いへの変更はできません。
唯一、債務整理手続きを行えば分割払いに戻せる可能性は残されており、また、差し押さえを止めることもできます。
どうしても一括返済できない場合は債務整理が現実的な対処法になりますので、速やかに手続きに取り掛かることをお勧めします。
なお、債務整理には借金そのものを減額する効果もあります。どの程度減額できるかは「借金減額チェッカー」で簡単に調べることが可能です。希望があればそのまま弁護士と相談することも可能ですので、月々の返済額がどの程度まで減らせるのか気になる方は一度お気軽にご利用ください。
- 代位弁済通知書は、保証会社が借金を肩代わりしたことを表す書類。
- 代位弁済通知書が届くと、借金全額を一括返済しなければならない。
- 一括返済せずに無視すると、遅延損害金が発生するうえ、自宅や銀行口座などを差押えられるリスクもある。
- どうしても一括返済できない場合は弁護士に依頼すれば、債務整理で借金を減らして差押えを回避できる。
代位弁済通知書は保証会社が借金を肩代わりすると届く書類
そもそも代位弁済通知書は、あなたが滞納した借金、そして残りの借金全てを、保証会社が肩代わりしたことを知らせる書類です。
保証会社が肩代わりしたのは滞納した数ヶ月分だけと思われるかもしれませんが、代位弁済したのは、将来にわたる利息を含めた借金全額です。
これまで2〜3ヶ月以上滞納が続いた状況かと思いますが、本来債権者だった貸主は、いつ返済するかわからない債務者ではなく、保証人である保証会社から残りの借金を全額回収したのです。
そして、保証会社が代位弁済した借金は帳消しされず、次は保証会社から債務者へ請求されます。
代位弁済通知書の中に「求償権」という言葉が使われている方もいらっしゃるかと思いますが、これは肩代わりした分を本来の債務者に請求できる権利のことです。
よって、今後の返済は金融機関やカード会社ではなく保証会社にしなければなりません。
代位弁済が行われたことで、債務者(あなた)・債権者(貸主)・保証会社の関係は以下のようになりました。
代位弁済通知書が届いたことで今起きていること2つ
代位弁済通知書が届いたことで起きているのは、「借金の返済先が保証会社に変わっただけ」ではありません。
既に2〜3ヶ月以上借金を滞納してしまっているかと思いますが、これにより以下のようなペナルティが既に発生しています。
- 残債の一括返済義務の発生(分割払いの権利を失った)
- 信用情報機関にキズがついた(ブラックリストに載った)
①残債の一括返済義務の発生
滞納が長期間に及んだことで「期限の利益」を喪失し、今後は残債を含めた借金全額を一括返済しなければならない状況に陥っています。
期限の利益とは、簡単にいうと「借金を分割で支払うことができる権利」のことです。
普段何気なく「分割払い」という言葉を使っていると思いますが、これは法律的に言えば「返済日が来るまで支払いはしなくていい」という権利の一種です。
本来であれば今すぐ返済しなければならないものを、債権者と債務者で結んだ契約によって、返済日まで返済を待ってもらえる状態にしているため、これを債務者の利益と捉えて「期限の利益」と呼ばれています。
実際に債権者と交わした契約書にも「返済期限を守れない場合、分割払いではなく一括返済を請求する」という内容が規定されているはずです。
よって、長期間の滞納によって契約書の内容が履行された、ということになります。
一括返済から分割返済への変更は原則認められない
「一括返済は不可能なので、分割払いを認めてもらえないのか」と考える人もいるかもしれませんが、原則分割払いは認められません。
なぜなら、長期間の滞納によりあなたへの信用は著しく低下しているからです。
ただし、弁護士を通して「任意整理」をすれば、分割払いに応じてもらえる可能性は残されています。
任意整理とは、将来利息をカットした上で、3〜5年での返済計画に立て直す債務整理手続きです。
あくまで交渉であるため、必ずしも分割払いに応じてもらえるわけではありませんが、「一括返済は無理でも、元金のみの分割払いでなら回収できそう」と保証会社が認めれば、分割払いに変更してもらえます。
一括返済ができない時点で現実的な対処法としては債務整理が妥当な解決策です。このまま滞納が続けば差し押さえによる回収が行われる可能性もありますので、至急弁護士に相談し、債務整理手続きにとりかかることをお勧めします。
②信用情報にキズが発生
代位弁済通知書が届いた場合、信用情報機関に事故情報が登録されている可能性は極めて高いです。
キャッシングやローンなど借金全般を滞納すると、信用情報機関に「事故情報」が登録されます。
よくいう「ブラックリストに載る」や「クレジットヒストリーに傷がつく」という状態です。
現在は信用情報期間に事故情報が登録されている状況かと思いますの、以下のような影響が発生しているはずです。
- 新規借入できない・ローンが組めなくなる
- クレジットカードの利用停止、更新や新規作成できなくなる
- 賃貸契約時の審査が厳しくなる
特に、最近はキャッシュレス化が進んでおり、クレジットカードを日常的に使っている方も多いと思います。そのような場面において少なからず影響を受けることになるでしょう。
信用情報にキズがつくことで発生するデメリットについては、以下の記事で詳しくまとめていますので、より深く知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
一括返済ができず滞納を続けることで生じるペナルティ3つ
代位弁済通知書の一括請求に対し、一括返済できない方もいらっしゃると思いますが、返済できないからといって滞納を続けると深刻なペナルティが発生します。
具体的には以下の通りです。
- 遅延損害金が加算され続ける
- 裁判所手続き(支払督促や訴訟)が行われる
- 財産や給与を差押えられて競売で処分される
①遅延損害金が加算され続ける
まず1つ目のリスクが、遅延損害金という罰金を課されるため、借金完済が難しくなることです。
代位弁済通知書が届いた以降も借金を滞納すると、遅延損害金が返済額に加算され続けます。
遅延損害金の上限年率は年率20%ですので、通常の借金返済より経済的負担が大きいです。
自分が請求されている遅延損害金の金額を知りたい場合、以下の計算式で算出できます。
- 遅延損害金=借入額×年率×滞納日数÷365日
もし500万円の借金を30日間滞納した場合、遅延損害金の金額は、「500万円×0.2(20%)×30日÷365日=82,192円」です。
一括返済が遅れるほど遅延損害金の金額が増えるため、経済的負担も多くなります。
②裁判所手続き(支払督促や訴訟)が行われる
一括請求に対しても支払いが行われない場合、裁判所手続きが行われる可能性があります。
具体的には、裁判所から支払い督促の通知が届くようになったり、訴訟を起こされる可能性も否定できません。
これにより、借金の滞納問題が深刻なレベルであることが同居の家族に知られる可能性も出てきます。
③財産や給与を差押えられる
一括請求後の再三の督促にも応じない場合、最終的には給与や財産を差押えられる可能性があります。
代位弁済通知書が届いた後も借金滞納を続けると、保証会社は以下のように裁判所手続きを進める可能性が高いです。
滞納期間 | 起こる内容 |
---|---|
滞納3ヶ月~ | 代位弁済通知書が届く(一括請求) |
滞納3ヶ月~4ヶ月 | 裁判所から一括請求(支払督促) |
滞納3ヶ月~6ヶ月 | 強制執行による差し押さえ |
裁判で保証会社の訴えが認められると、裁判所命令の強制執行で債務者の財産や給与が差押えられます。
裁判所命令の強制執行で差押えを受ける内容は、以下のとおりです。
- 預金口座にある残高
- 給与のうち1/4の金額
- 自宅や車などの財産
給与を差押えられると、借金滞納の事実が勤務先へ知られてしまいますし、自宅を差押えられると、住む場所も失ってしまいます。
一括返済ができず滞納が続くと以上のような深刻なペナルティが発生しますが、債務整理手続きにより裁判所手続きや強制執行への発展は止めることができます。
一括返済できない場合は、債務整理が現実的な対処法となりますので、早めに弁護士に依頼し、手続きにとりかかることをお勧めします。
代位弁済通知書が届いた後に差押えを避ける方法2つ
代位弁済通知書が届いた場合、借金滞納のケースでも緊急性が高い状況です。
滞納が続けば差し押さえまで発展することは決して珍しいことではないので、至急対処を行わなければなりません。
差し押さえを止める方法としては、具体的に以下の2つの方法があります。
- 資金がある場合は至急一括返済を行う
- 一括返済できない場合は債務整理を行う
①一括返済できる場合は速やかに返済する
一括返済できる資金を確保できる場合は、返済すればこの後のペナルティは避けられます。
多くの場合、代位弁済通知書に返済期限が記載されており、その期限内に一括返済しないと裁判所手続きへ発展する可能性は高いです。
一括返済できる場合、代位弁済通知書に書かれている期限内に一括返済しましょう。
家族や友人からお金を一時的に借りて返済するのもひとつ
もし自力での一括返済が難しい場合、家族や友人から返済資金を借りるという選択肢もあります。
このまま放置すると差し押さえまで発展する緊急時ですので、相談できる方がいる場合は相談してみることをお勧めします。
ただし、お金は人間関係のトラブルにも発展しやすいですので、借用書を作るなど相手側への配慮を忘れず誠意を持って相談する、そして今後立て替えてもらった分の返済は必ず行える自信がある場合のみに限ることをお勧めします。
借金返済のために新しく貸金業者から借金をするのは危険!
一括返済の資金捻出のために、貸金業者(または見知らぬ個人から)新しく借金をすることだけは絶対に避けてください。
そもそも代位弁済通知書が届いた時点で信用情報にキズがついている可能性は極めて高く、健全な貸金業者であれば融資をしてくれないはずです。
このような場合に借りられるところは「闇金」などの違法貸付をおこなっている業者の可能性が高いです。
さらなる借金トラブルを引き起こす可能性がありますので、返済資金捻出のために新たな借金をすることだけは避けてください。
②一括返済ができない場合は債務整理を行う
どうしても一括返済が難しい場合は、債務整理が現実的な対処法になります。
債務整理を行うことで強制執行を止めることができますし、弁護士へ依頼すると「債務者には返済意思がある」と保証会社が認識するため、交渉に応じてもらえる可能性が高いです。
債務整理の3つの種類とその効果
債務整理には、任意整理、自己破産、個人再生の3つの種類があり、それぞれ効果がことなります。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
任意整理 | 利息のみを減額・解消できる | 減額できる金額は少ない |
自己破産 | 借金全額を解消できる | 高額な財産を差押えられる |
個人再生 | 借金を1/5まで減額できる | 債権者に認めてもらえる可能性が低い |
それぞれの債務整理に向いているケースは以下のとおりです。
- 3〜5年間で分割払いできる場合=「任意整理」
- 返済能力がなく今後も返済できない場合=「自己破産」
- 借金を減らしたいが自宅は残したい場合=「個人再生」
3〜5年間で分割払いできる場合は「任意整理」を
どの債務整理手続きを行うべきかを考える場合、通常は任意整理の可能性から探るのが一般的です。なぜなら、債務整理手続きの中でも最もデメリットの少ない手続きだからです。
そもそも任意整理とは、借金の利息のみを減額して、3〜5年かけて分割返済していく手続きです。
安定した収入があり、3〜5年間の分割払いで完済できる見込みがある場合は、任意整理を行うことが一般的でしょう。
また、任意整理を行うと、月々の返済額はこれまでの1/2程度の金額まで減額できるケースが多いです。
任意整理は、自己破産のように財産を処分する必要がありませんし、個人再生のように高額な費用もかかりません。弁護士に依頼すれば、1社あたり約4万円程度で手続きにあたってくれるでしょう。
ただし、今後も借金返済を続ける前提なので、返済能力がないと認めれず、あくまでも債権者との交渉となるため、必ず応じてもらえるとは限らない点は留意しておきましょう。
任意整理のメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
返済能力がなく今後も返済できない場合は「自己破産」を
「自己破産」とは、裁判所を通して借金を免責つまりゼロにしてもらう手続きです。
すでに支払い能力がない場合、もっとも借金を減らせる自己破産を検討するのが一般的です。
ただし、自宅などの高額な財産を差押えられたり、職業制限されるというデメリットもあります。
自己破産する場合、差押えられる財産は以下のとおりです。
差押えられるもの | ・家や土地 ・20万円未満の預金 ・20万円以上の価値がある財産(車など) |
---|---|
差押えられないもの | ・生活必需品(家具・衣類・家電・寝具など) ・99万円以下の現金 ・仕事に必要な道具 |
また、ギャンブルや浪費による借金の場合は免責不許可事由にあたるため、自己破産できないケースもあります。
しかしながら、借金をゼロにすることで、自己破産後は返済義務がなくなるので、生活再建効果が大きいです。
デメリットが多いと思われがちですが、最低限の生活はできるので、借金と無縁の生活を立て直せるメリットは大きいです。
自己破産のメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
自己破産のデメリットを許容できない場合は「個人再生」を
借金自体を減らしたいが、自己破産のように自宅を失いたくない場合、または免責不許可に該当する恐れがあり自己破産そのものができないようなケースは「個人再生」がよいでしょう。
「個人再生」とは、借金総額を約1/5まで減額できる債務整理手続きです。
また、住宅ローン特則という制度を利用すれば、ローン返済中の自宅を残しながら債務整理を進められます。
自己破産のように借金をゼロにはできませんが、任意整理よりは減額できる金額が多いため、自己破産のデメリットを許容できない場合は個人再生がおすすめです。
ただし、1/5程度まで減額した借金を今後も返済していくことが前提条件なので、支払い能力がない場合は保証会社が認めないケースも多いです。
個人再生のメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
債務整理は弁護士に依頼を!相談するメリット2つ
債務整理は弁護士や司法書士などの専門家に依頼して進めることが一般的です。
弁護士に依頼する場合のメリットは、以下の2つです。
- 受任通知を送付すれば、督促や返済を一時停止できる
- 債権者への対応や手続きを一任できる
A.受任通知により督促や返済を一時停止してもらえる
まず弁護士へ保証会社との交渉を依頼した時点で、督促や支払いを一時的にストップできます。
依頼を受けた弁護士は、債権者となった保証会社へ「受任通知」と呼ばれる通知を送付します。
この受任通知は「今後は弁護士がすべて対応するので、◯◯さんには一切連絡しないでください」という通知です。
貸金業法第21条でも「弁護士や司法書士が受任した場合、債権者は債務者へ直接連絡できない」とする法律根拠があるので、ご安心ください。
貸金業法第21条の9
債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
つまり、法的根拠に基づいて、債権者からの督促をストップできるわけです。
また、弁護士が保証会社と交渉している間、今後の方針が決まるまでは借金の返済をしなくて済みます。
このように弁護士に依頼すれば、返済や督促が止まるため、精神的ストレスからも解放される方が多いです。
返済が一時停止している間に弁護士費用を用意できる
「弁護士費用が払えない」と弁護士への依頼を躊躇される方もいますが、費用に関しては心配いりません。
先述したとおり、弁護士に依頼した時点で返済が一時的に止まるので、その間に浮いた返済資金は弁護士費用に充てられます。
また弁護士費用の後払いや分割払いに対応している事務所も多いため、手元にまとまった金額がなくても弁護士へ依頼できます。
弁護士費用に関しては、債務整理の方法によって異なりますが、一般的に以下のとおりです。
種類 | 費用 |
---|---|
任意整理 | 約5万円 |
自己破産 | 約20万円 |
個人再生 | 約20万円 |
しかし、それ以上に減額できる借金の方が大きいので、弁護士費用をかけてでも依頼する価値は十分あるでしょう。
B.債権者への対応や手続きを一任できる
債務整理を弁護士に依頼することで、債権者への対応や手続きは全て弁護士に一任できます。
煩わしい手続きは全て弁護士に任せられますので、精神的な負担はほとんどかからず手続きを進めることができるでしょう。
弁護士に相談することで債務整理手続きをスムーズに進められ、強制執行を止めることができます。
また、実は相談だけであれば無料で行っている事務所も多いです。一括返済できない場合はほぼほぼ債務整理を行う必要があると考えられますので、できる限りお早めに弁護士に相談することをお勧めします。
住宅ローン滞納により代位弁済通知書が届いた場合の対処法
借金に限らず、住宅ローンを滞納した場合も「代位弁済通知書」が届きます。
住宅ローンの場合、滞納回数が合計6回を超えると、一括返済を請求されるケースもあるため注意が必要です。
住宅ローンを滞納して代位弁済通知書が届いた後、以下の流れで住宅が競売にかけられてしまいます。
- 保証会社が住宅ローンを代位弁済すると「代位弁済通知書」が届く
- 住宅が競売に賭けられると、裁判所から「競売開始決定通知書」が届く
- 落札者が決定すると、住宅からの立退きを請求される
保証会社は代位弁済した住宅ローン残債について、債務者への求債権や担保権などを行使できます。
担保権の行使により、競売にかけられて落札されると、債務者は住宅から立退きしなければなりません。
住宅ローン滞納した場合、家を競売にかけられるデメリットは以下のとおりです。
- 売却価格が相場の50~60%程度まで下がる
- 競売について官報で公示されてしまう
- 債務者の意思に関係なく立退きしなければならない
- 競売後の住宅ローン残債は一括払いで返済しなければならない
- 団体信用生命保険を契約解除されてしまう
競売の売却価格が住宅ローン残債より少ない場合、競売後も残債を返済しなければなりません。
家を失った上に債務も残るという最悪のケースもあるため、差押えや競売は回避しましょう。
住宅ローン滞納により代位弁済通知書が届いた場合、対処法は以下の2つです。
- 「任意売却」して家の売却価格をローン返済にあてる
- 「個人再生」で住宅ローン以外の借金を減額する
それぞれの対処法をくわしく見ていきましょう。
「任意売却」して家の売却価格をローン返済にあてる
競売で家を手放すのであれば「任意売却」で自主的に売るほうが良いでしょう。
「任意売却」とは、債権者から許可を得て、家を売却する手続きのことです。
本来であれば、住宅ローン返済中の自宅を売却する場合、債権者による抵当権の抹消が必要ですが、債権者から許可を得て任意売却すれば、住宅ローン返済中でも自宅を売却できます。
家を競売にかけられる場合と任意売却する場合、それぞれの違いは以下のとおりです。
競売 | 任意売却 | |
---|---|---|
売却価格 | 市場価格の50~60%程度 | 市場価格に近い金額 |
債務が残る場合 | 一括返済 | 分割払いも可能 |
引越し時期 | 立退き請求されたタイミング | 引越し時期を交渉できる |
個人情報 | 官報で公告される | 周囲へ知られずに売却可能 |
引越し代 | 債務者の負担 | 交渉できる |
売却までの期間 | 申立後6~8ヶ月 | 最短2ヶ月 |
住み続ける | ほぼ不可能 | 可能性あり |
売却価格の高い任意売却であれば、家を競売にかけられる場合に比べて、より多くの金額を返済資金にあてられます。
そのため「売却価格を返済資金にあてる」と約束すれば、基本的に債権者は任意売却を認めてくれるでしょう。
なぜなら、競売より任意売却の方が多く借金を回収できるため、債権者としても好都合なのです。
場合によっては、引越し代まで債権者が負担してくれるケースも少なくありません。
競売にかけられた場合の売却価格は任意売却の約50~60%
住宅ローンの滞納時、任意売却で家を売却するメリットは以下のとおりです。
- 競売より高値で売却できる可能性が高い
- 任意売却後のローン残債を分割返済できる
- 債務者の希望するタイミングで引越しできる
- 周囲に知られずに家を売却できる
競売にかけられた場合、売却価格は相場の約50~60%になってしまう場合が多いです。
しかし任意売却であれば、相場相応の価格で売却できるので、競売より多く売却価格を取得できます。
また、債務者自身で決めた買主へ売却できることもメリットの1つです。
身内などへ任意売却して、買主から賃貸すれば、任意売却後も家に住み続けられる可能性があります。
ただし競売が開始されると、任意売却できなくなるので注意しましょう。
代位弁済通知書が届いたら、競売にかけられる前に不動産業者や弁護士へ相談しましょう。
「個人再生」を申請して家を残しつつ借金を減額する
住宅ローンを滞納してしまう原因が他社借入にある場合、対処法は「個人再生」がおすすめです。
個人再生は先述した債務整理の1つで、いまある借金を約1/5まで圧縮できます。
住宅ローン滞納時に個人再生する場合、メリットは以下のとおりです。
- 住宅ローン以外の借金を約1/5まで減額できる
- 住宅ローン特例により家を手放さずに債務整理できる
- 連帯保証人へ借金の返済義務が移らない
任意売却は家を手放す必要がありますが、個人再生なら家を手放さずに住宅ローン完済を目指せます。
「住宅ローン特例」により家を手放さずに個人再生できる
自己破産の場合、借金をゼロにする代わりに住宅を手放さなければなりません。
個人再生の場合は「住宅資金特別条項」という特例により、自宅を手放さずに借金を減らせます。(通称:住宅ローン特例)
個人再生で住宅ローン特例が認められる条件は以下のとおりです。
- 住宅購入やリフォームのための借金であること
- 住宅ローン以外の抵当権がついていないこと
- 本人が所有・居住している住宅であること
ただし、個人再生の減額対象は借金のみで、住宅ローン残債は減額できないため注意しましょう。
とはいえ、弁護士が債権者と協議すれば、個人再生後の住宅ローン返済を分割払いに戻したり、返済を待ってもらえるケースは多いです。
競売まで進むと、住宅ローン特例が使えなくなる場合もあるため、個人再生を手続きする際は早めに弁護士へ相談しましょう。
まとめ
代位弁済通知書が届いたら、決して無視をしてはいけません。
一括返済に応じないと、遅延損害金が増えて余計に返済が難しくなりますし、財産や給与が差押えられる恐れもあります。
一括返済できる場合はなるべく早く返済して、できない場合は弁護士へ相談して債務整理を依頼してください。
弁護士に相談すれば、債務整理で借金を減額あるいはゼロにできるうえ、分割返済に応じてもらえる可能性も高いです。
代位弁済通知書に関するよくある質問
代位弁済通知書とは何ですか?
代位弁済通知書を無視するとどうなりますか?
一括返済に応じられないと、給料や財産の差押えに移行することが通常です。
一括請求や差押えを回避する方法はありませんか?
当サイトでは、債務整理に力を入れる弁護士を紹介しています。無料相談可能なのでぜひ問い合わせてみてください。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士を紹介」
どれくらい滞納すると、代位弁済がおこなわれるのですか?
住宅ローンの滞納で代位弁済通知書が届いたのですが、家を残す方法はありませんか?
個人再生の場合は「住宅資金特別条項」という特例により、自宅を手放さずに借金を減らせます。