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2024年11月現在

嫁の不妊で離婚したい!離婚条件や注意点、検討すべきことを解説

嫁の不妊で離婚したい!離婚条件や注意点、検討すべきことを解説

「嫁の不妊は離婚の理由になる?」「嫁の不妊よる離婚の仕方は?」

嫁の不妊が分かり、離婚したいと思っている人の中にはこのように悩んでいる人もいるでしょう。

不妊とは、法律上の定義ではありませんが、一般的には、妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交しているにもかかわらず、1年以上妊娠しないことです。

結論からいうと、嫁の不妊が理由でも、夫婦の合意があれば離婚は可能です。

一方、お互いの合意が得られず離婚裁判を提起する場合は、法定離婚事由の存在を立証しなければなりません。

法定離婚事由とは、民法770条1項に定められている離婚の訴訟を提起できる理由で、以下の5つが該当します。

法定離婚事由 内容
不貞行為 配偶者以外の人と肉体関係を結ぶこと
悪意の遺棄 夫婦間の義務である「同居」「協力」「扶助」を正当な理由なく履行しない行為
3年以上の生死不明 配偶者の行方が分からず、連絡がとれない状態が3年以上続いているとき
強度の精神病で回復する見込みがない 統合失調症や躁うつ病に罹患しており、共同生活が困難なほど症状が重く、回復する見込みがないとき
その他婚姻を継続し難い重大な事由がある モラハラやDV、過度の浪費や勝手に借金を作るなどの金銭問題・セックスレス・配偶者の親族との不和・犯罪行為による服役など

嫁の不妊は法定離婚事由に当てはまらないため、離婚したい理由が嫁の不妊のみであれば、離婚できない可能性が高いです。

ただし嫁の不妊を発端に、婚姻関係が破綻したときは「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚できる場合もあります。

慰謝料を請求する際も、嫁の不妊のみでは基本的に認められません。

不妊によってモラハラやDVなどの不法行為があった場合や、嫁が不妊の事実を告げずに結婚していたとき、長期のセックスレスになってしまったケースなどは請求が可能です。

本記事では、嫁の不妊を理由に離婚は可能なのか、慰謝料の請求はできるのか、話し合うときの注意点や検討すべきことを解説します。

嫁の不妊が発覚したため、離婚を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

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南陽輔 弁護士
監修
南 陽輔(弁護士)

嫁の不妊が理由で離婚することは可能?

結論からいうと、嫁の不妊が理由でも夫婦の合意があれば離婚できます。

一方、離婚裁判の場合は、不妊だけが理由では離婚できません。

ここでは、嫁の不妊を理由に離婚可能なケースとできないケースを解説します。

協議や調停であれば夫婦の合意のもとに離婚できる

協議離婚の場合は、双方が離婚に合意し、離婚届を市町村役場に提出すれば離婚は成立します。

協議離婚とは、裁判所を利用せずに夫婦間の話し合いにより取り決めをする離婚のことです。

日本でもっとも一般的な離婚方法で、9割以上の夫婦が協議離婚を選んでいます。

離婚の理由は問われないため、不妊が理由でも離婚は可能です。

一方、夫婦のみで解決できない場合は、離婚調停での話し合いを行います

離婚調停とは、離婚に関するさまざまな問題を家庭裁判所で話し合うことです。

夫婦双方の合意があれば、離婚調停の場合でも離婚できます。

離婚調停は相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意して決めた家庭裁判所に申し立てます。

申立てに必要な書類と費用は、以下のとおりです。

申立てに必要な書類 ・調停申立書及びその写し1通
・夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)1通(3ヵ月以内に発行されたもの)
・事情説明書1通
・子についての事情説明書(未成年の子どもがいる場合)1通
・連絡先の届出書1通
・進行に関する照会回答書1通
・年金分割のための情報通知書(年金分割調停を申し立てる場合)原本1通・コピー2通
・陳述書
・証拠・資料
申し立てに必要な費用 ・1,200円分の収入印紙
・連絡用の郵便切手(家庭裁判所により異なるので、確認が必要)

調停では男女各1名ずつの調停委員が、夫婦それぞれの話しを聞き、離婚や離婚条件の話し合いを進め合意を目指します。

ただし離婚を求めていた場合でも、話し合いの結果、もう一度やり直したいと思えば円満調整の方向で調整を進められます

円満調整とは、正式には「夫婦関係調整調停(円満)」といい、円満な夫婦関係を回復するために、家庭裁判所の調停委員会を間に入れて話し合うことです。

また申立人は調停での話し合いの結果、調停を続ける必要がなくなれば、申立ての取下げが可能です。

なお、相手が調停に出席しない場合や合意できなかった場合は「不調」になり終了します

離婚調停が不調になっても離婚を希望する場合は、離婚訴訟の申立てを行い裁判所に判決を下してもらいます。

逆に、調停により離婚が成立した場合は、10日以内に市町村役場へ離婚届の提出が必要です。

不妊だけでは法定離婚事由に該当せず裁判では離婚できない

離婚調停でも離婚に合意されなかった場合は、裁判離婚を提起します。

裁判離婚とは、家庭裁判所に離婚訴訟を提起して、判決で強制的に離婚を成立させる手続きです。

離婚裁判によって離婚成立の判決を受けるためには、法定離婚事由の存在を立証しなければなりません

法定離婚事由とは、民法770条1項に定められている離婚の訴訟を提起できる原因で、次の5つが該当します。

法定離婚事由 内容
不貞行為 ・配偶者以外の人と肉体関係を結ぶこと
・浮気や不倫が該当
悪意の遺棄 夫婦間の義務である「同居」「協力」「扶助」を正当な理由なく履行しない行為
・生活費を渡さない
・勝手に別居する
・配偶者が病気でも面倒をみないなど
3年以上の生死不明 配偶者の行方が分からず、連絡がとれない状態が3年以上続いているとき
強度の精神病で回復する見込みがない 統合失調症や躁うつ病に罹患しており、共同生活が困難なほど症状が重く、回復する見込みがない場合
その他婚姻を継続し難い重大な事由がある ・モラハラ
・DV
・過度の浪費や勝手に借金を作るなどの金銭問題
・セックスレス
・配偶者の親族との不和
・犯罪行為による服役など

離婚する理由が不妊のみの場合、条件を満たしていないと判断され、離婚が認められない可能性があります

なぜなら、嫁の不妊は法廷離婚事由に直ちに該当するわけではありませんし、現実に子どもがいなくても幸せに暮らしている夫婦はたくさんいるからです。

また、今は不妊の問題で仲たがいしていても、いずれ回復する可能性も否定できません。

とくに夫婦のどちらかが離婚を拒否している場合は、不妊のみを理由に裁判を起こしても離婚は認められないでしょう。

ただし、不妊が原因で婚姻関係が破綻した場合は「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚が認められるケースもあります

たとえば不妊が原因でDVやモラハラを受けるようになったり、不妊治療をめぐって喧嘩が増え夫婦の仲が修復不可能なほど険悪になったり、離婚を前提とした別居が3年~5年程度続いた場合などが該当します。

嫁の不妊を発端に夫婦仲が悪くなり、夫が浮気や不倫などをした場合も、離婚が可能です。

離婚訴訟で離婚する場合は、離婚事由を立証する客観的証拠が必要なため、離婚を切り出す前に集めておきましょう。

なお、裁判離婚が認められる場合、夫婦お互いの合意は必要ありません。

夫婦どちらか一方が離婚を拒んでいても、法律上の離婚原因があれば離婚は認められます

嫁の不妊に関連し慰謝料請求できるケース

嫁の不妊が原因で離婚する場合、不妊だけでは慰謝料請求できませんが、場合によっては離婚が可能なこともあります

慰謝料とは、不法行為によって生じた精神的苦痛に対して請求できるお金です。

離婚で慰謝料を請求できるのは、配偶者の有責行為により、離婚しなければならなくなった場合です。

有責行為とは、婚姻関係を破綻させる行為で、不貞行為やDV・モラハラ、セックスレスなどがあげられます。

夫(妻)の有責行為が原因で離婚する場合、妻(夫)は離婚をしなければならなくなったことによる精神的苦痛を被ります。

そして、夫(妻)の有責行為は、故意に妻(夫)の配偶者としての地位などの権利利益を侵害する不法行為に該当するため、慰謝料の請求ができるのです。

なお、離婚理由が嫁の不妊のみだと、慰謝料が認められることは基本的にありません

不妊は身体的な症状で、自分が望んでなったわけではないためです。

したがって、不妊治療中に不妊の原因が嫁にあったと分かっても、嫁本人に責任は問えません。

ただし、次のような場合は、慰謝料を請求できます。

  • 不妊を原因に明らかな不法行為があった場合
  • 嫁が不妊の事実を隠して結婚していた場合
  • 長期のセックスレスに陥った場合

それぞれ解説します。

不妊を原因に明らかな不法行為があった場合

1つ目のケースは、不妊を原因に明らかな不法行為があった場合です。

不妊によってモラハラやDVなどの不法行為があった場合は、慰謝料の請求ができます

不妊が分かった後で嫁が不倫をした場合なども、慰謝料請求が可能です。

不法行為による慰謝料の相場は、50~300万円程度です。

不倫期間が長い・何度も繰り返す、後遺症が残るようなDVを受けたなど、不法行為の悪質性が高い場合は、慰謝料が高額になる傾向があります。

ただし、慰謝料を請求するには、慰謝料の原因となった事実の立証が必要です。

配偶者が慰謝料の支払いを拒否した場合は、客観的に有責行為の事実を立証しないと慰謝料を支払ってもらえないため、証拠を集めておきましょう

証拠として有効なものは、次のとおりです。

  • 不貞行為の場合:性交渉の写真や動画、配偶者や不倫相手が不貞行為を認める発言
  • DVやモラハラの場合:暴力によりできた傷の写真や、診療内科の診断書
  • 悪意の遺棄の場合:生活費が振り込まれなくなったことが分かる通帳の入金記録や、相手が別のところに居住していることが分かる資料

その他、自分が回復の見込みがないほど重いうつ病を患った場合も慰謝料請求が可能です。

なお、慰謝料は以下の期間が経過すると請求できなくなるため、早めに請求しましょう。

  • 損害及び加害者を知ったときから3年間(身体に対する不法行為の場合は5年間)
  • 不法行為のときから20年間

嫁が不妊の事実を隠して結婚していた場合

2つ目のケースは、嫁が不妊の事実を隠して結婚していた場合です。

結婚後に不妊が判明した場合は、不法行為の概念である「故意または過失によって相手に損害を発生させること」には当てはまりません

ただし、不妊の事実を隠して結婚していた場合は、慰謝料を請求できる可能性があります

実際に、夫が性交不能なことを隠したまま結婚し、結婚後も性交渉がなく婚姻関係が破綻した事例では、妻が精神的苦痛を負ったとして、200万円の慰謝料請求が認められました(京都地方裁判所 昭和62年5月12日判決)

この裁判例では、自分に不利な事情を伝えたくない気持ちは理解できる。しかし、性交不能を告知すると結婚自体がなくなる可能性がある事実を事前に知らせないことは、信義則違反とみなされると判示されました。

そのうえで性交不能は、子どもをもうけられないという重要な結果に直結するため、結婚する際に相手に自分が不妊だと告知しないのは不法行為に該当すると判断しました。

不妊の事実を隠して結婚することは「故意」と認められる可能性が高いため、慰謝料を請求できる場合もあるでしょう。

長期間のセックスレスに陥った場合

3つ目のケースは、長期間のセックスレスに陥った場合です。

セックスレスとは、夫婦やカップルが特段の事情がないにもかかわらず、性行為やセクシュアルコンタクトが1ヵ月以上ない状態のことです。

不妊治療のストレスなどでセックスレスになった場合「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとして、慰謝料請求が認められる可能性があります

正当な理由がないのに性交渉を拒絶する場合や、子どもが欲しいのに性交渉に応じてくれないケースなども該当します。

セックスレスによる慰謝料の相場は50〜200万円程度です。

ただし婚姻期間の長さや夫婦の状況、セックスレスの期間など個々の事情によって異なり、短期間の場合だと慰謝料が認められないケースもあります。

逆に結婚してから1度も性交渉していなかったり、セックスレスの期間が長かったりした場合は、慰謝料が高くなる傾向があります。

セックスレスで慰謝料を請求するためには、有責行為を立証できる証拠がなければなりません。

しかし、セックスレスは夫婦のデリケートな問題のため、第三者がみても納得できる証拠を集めるのは困難です。

複数の証拠を組み合わせれば有力な証拠になる場合もあるので、できるだけ多くの証拠を集めておきましょう

具体的な証拠になるものの例は、以下のとおりです。

  • セックスレスであることが記載されているメールや日記
  • セックスレスになっていることが分かる夫婦間の会話の録音

なお、もともとお互いにセックスに積極的でない場合や、病気などでそもそもセックスができないとわかっている場合なども、慰謝料請求できない可能性があります。

セックスレスになった正当な理由があるかどうかで、慰謝料請求できるかどうかが決まるでしょう。

不妊が原因の離婚について話し合うときの注意点

離婚について話し合うときは、感情的にならず冷静になることが大切です。

離婚を切り出したからには早く決着をつけたい気持ちも分かりますが、離婚を切り出された側にとっては予想だにしない出来事かもしれません。

1度の話し合いで決着をつけようとせず、何度も話し合いを繰り返しましょう

時間をかけて話し合いをすれば、パートナーもだんだんと理解を示してくれる場合もあります。

また、子どもの前で離婚について話し合うのは、子どもの精神衛生上よくないため避けるべきです。

不妊が原因の離婚について話し合うときは、以下の点に注意しましょう。

  • 不妊発覚直後に離婚話をしない
  • パートナーを傷つける言葉を使わない

それぞれ解説します。

不妊発覚直後に離婚話をしない

1つ目の注意点は、不妊発覚直後に離婚話をしないことです。

嫁の不妊が原因で、子どもを授かれないことを知ったときは、嫁も大きな精神的ショックを受けています。

そのような状態のときに嫁の不妊が原因で離婚したいと伝えると、うつ病を患ってしまったり、最悪の場合自殺をしてしまったりする恐れがあります

不妊の診断後は心理的影響が大きいため、離婚について話さないほうがよいでしょう。

お互いの心が整理でき、冷静に話しができるようになってから離婚話を持ちかけるべきです。

なお、離婚話をしたあとは、配偶者と同じ空間で生活するのは心がとてもつらいです。

離婚を伝えた後、配偶者と同じ家にいなくても済むように、事前に別居したり実家や友人宅など身を寄せられる場所を確保したりしておきましょう

パートナーを傷つける言葉を使わない

2つ目の注意点は、パートナーを傷つける言葉を使わないことです。

不妊になる原因はさまざまですが、体質的な理由で不妊になることも多いです。

それにもかかわらず、不妊の原因をしつこく責めるような言動を繰り返すと、妻は精神的ダメージを受けてしまいます。

暴言やモラハラとみなされた場合、慰謝料請求される可能性もあるので、パートナーを傷つける言葉は使わないようにしましょう

面と向かって話すと冷静に話せず、相手を傷つけてしまう可能性があるのなら、LINEやメール、手紙を利用するのも1つの方法です。

ただし、文面によっては自分の意思が伝わりにくい可能性もあるため注意しましょう。

相手の気持ちも尊重し、受け入れやすい文面にすることが大切です。

なお、パートナーから強い反対が予想される場合は、第三者を交えて話し合うのもよい方法です。

第三者は親や友人などでもよいですが、中立的な立場にたつのが難しいようであれば、客観的な立場で判断できる弁護士などに依頼するとよいでしょう。

不妊が原因の離婚で後悔しないために検討すべきこと

不妊が原因の離婚で後悔しないために検討すべきことは、以下のとおりです。

  • 不妊治療を受ける
  • 夫婦2人で生活する
  • 養子縁組で子どもを迎える
  • 里親となり子どもを養育する
  • 離婚する前に別居期間を設ける
  • 弁護士に相談する

それぞれ解説します。

不妊治療を受ける

不妊治療を受ければ子どもができる可能性があるため、不妊だけが離婚理由なら検討すべきです。

嫁が不妊だと分かっても、近年の不妊治療は発達しているため、子どもを持てる可能性もあるでしょう。

ただし、不妊治療は治療費が高いため、経済的負担も大きくなります

令和4年4月より、治療開始時点での女性の年齢が43歳未満の場合は、人工授精や体外受精、顕微受精などが回数限定で保険適用できるようになりました。

しかし、それでも不妊治療には高額な費用がかかります。

また、不妊治療は費用がかかるだけでなく、治療を受ける側の身体的・精神的な負担も大きいです。

とくに女性は卵管造影検査や筋肉注射、排卵時の採卵など痛みを伴う治療もあり、精神状態に大きな影響を及ぼします。

痛みの感じ方には個人差があるのに、痛みに耐えきれない妻を夫が責め立ててしまい、夫婦仲が悪化してしまうケースもあります。

一方、妻が夫の好み無視で食事を管理したり、アルコールを禁止するなど夫の楽しみを奪ってしまったりしたことが原因で、夫婦仲が険悪になる場合もあるでしょう。

なお、性生活は夫婦の絆を深める行為ですが、子どもが欲しい気持ちが強すぎると義務になってしまうケースも多く、それが原因でセックスレスを引き起こす場合もあります。

治療期間が長期化すると夫婦関係が悪化する懸念もあるため、不妊治療を受けるかどうかは、夫婦で十分話し合って決めるべきです。

夫婦2人で生活する

子どもを授からなくても幸せな家庭を築くことは可能です。

夫婦2人でも、お互いを信頼し幸せに暮らしているカップルはたくさんいます。

そのようなカップルが、どのような関係で人生を歩んできたか分かれば、自分たち夫婦の在り方のヒントになる可能性もあるでしょう。

子どもがいれば幸せなこともありますが、多くの負担や制限もあります。

旅行したり外食したりすることも自由にできないかもしれませんし、教育費の負担も大きいです。

夫婦2人の生活は、時間的・経済的にも余裕ができ、趣味や仕事に没頭できるでしょう。

養子縁組で子どもを迎える

不妊治療ができない場合は、養子縁組で子どもを迎えることを検討するのもよいでしょう。

養子縁組とは、法律上で親子関係を作る制度で、以下の2種類があります

普通養子縁組 特別養子縁組
目的 養親側の家系を保持するため 子どもの利益・福祉の増進を図るため
成立 ・当事者の縁組意思と市町村役場への届出(契約)
・養子となる子が15歳未満の場合は法定代理人の代諾
・養子が未成年の場合は、家庭裁判所の許可が必要
・養親・養子が結婚している場合は、配偶者の同意が必要
・後見人が被後見人を養子にする場合は家庭裁判所の許可が必要
・養親の請求に対し家庭裁判所の決定と実親からの同意が必要
※ただし実親が意思を表示できない場合、または虐待など養子となる子の利益を著しく害する理由がある場合は、同意は不要
・一方の連れ子を養子にする場合は養親となるのはもう一方のみ
法律上の親子関係 実親・養親ともに親子関係がある 実親との親子関係は解消される
監護期間 なし 6ヵ月以上の監護状況も考慮して縁組が成立する
離縁 養親及び養子の同意により可能 原則できない
親の年齢 20歳以上 原則25歳以上で配偶者がいる者(配偶者の一方が25歳以上ならもう一方は20歳以上で可)
子どもの年齢 尊属または養親より年上でない者 原則として15歳未満で、子の利益のために必要があると認めるときに成立
戸籍の表記 養子・養女と記載される 長男・長女と記載される

子どもを持ちたい夫婦が養子縁組をする場合は、特別養子縁組を利用するケースが多いでしょう。

特別養子縁組は、家庭裁判所の審判によって成立します。

家庭裁判所に養子縁組成立の申し立てを行い、許可を得られれば子どもを迎えられます

特別養子縁組が成立すると実親との親子関係はなくなるため、養親子は原則として離縁できません。

なお特別養子縁組を利用するには法的な知識が欠かせないため、早い段階で弁護士に相談するとよいでしょう。

里親となり子どもを養育する

里親となり、子どもを養育するのもよいでしょう。

里親制度とは、家庭の事情で家族と離ればなれになった子どもたちを自分たちの家庭で育てることです。

里親制度には、以下の4種類があります。

里親の種類 概要 里親になれる人 実親との関係
養育里親 養子縁組を目的とせず、要保護児童を預かって養育する里親 各自治体により異なる 親権は実親
専門里親 虐待された児童や非行などの問題のある児童、及び身体障害児や知的障害時児など、一定の専門的ケアを必要とする児童を養育する里親 専門的な研修を受けている、かつ、養育に専念できる環境にいる人 親権は実親
養子縁組里親 保護者のない子どもや、家庭での養育が難しく、実親が親権を放棄する意思が明らかな場合の養子縁組を前提とした里親 【普通養子縁組里親】
20歳以上で養子より年上の人
【特別養子縁組里親】
結婚している一方が25歳以上の夫婦(もう一方は20歳以上)
親権は里親
親族里親 3親等以内の親族の児童の親が死亡・行方不明・拘禁・入院や疾患などで養育できない場合の里親 3親等以内の親族(祖父母・叔父・叔母など) 親権は実親

里親制度を利用すれば、里親として迎えた子どもと特別養子縁組を結ぶこともできます

戸籍上でも「長男」「長女」と正式に記録されるため、実の親子と変わらない関係を築けるでしょう。

なお、里親になるためには、次の要件が定められています。

  • 要保護児童の養育についての理解及び熱意と、児童に対する豊かな愛情を持っていること
  • 経済的に困窮していないこと
  • 都道府県知事が実施する養育里親研修を修了していること
  • 里親本人、またはその同居人が欠格事由に該当していないこと

里親になれる年齢は自治体により異なります

たとえば東京都の場合は、25歳以上と定められており、基本的に上限はありません。

ただし普通養子縁組や特別養子縁組の場合は、子どもが成人する際、養親が65歳以下であることを推奨している自治体が多くなっています

また幼い乳幼児や児童は愛着障害(幼少期の愛着形成に何らかの問題を抱えている状態)が起きている可能性が高いです。

そのため、じっくりと時間をかけて子どもと向き合う余裕が大切です。

世間には里親が必要な子どもがたくさんいるため、里親制度が気になる方は民間の機関や児童相談所に足を運んでみるのもよいでしょう。

離婚する前に別居期間を設ける

離婚する前に別居期間を設けるのも1つの選択肢です。

一旦距離を置くと、今後の生活について冷静に考えられるようになる可能性があります。

また長期間、別居生活が続くと婚姻関係が事実上破綻していると判断され、離婚が認められたケースもあります

結婚は夫婦が同居し、お互いに協力して扶助しなければなりません(民法752条

そのため夫婦が別居している期間が長いほど、婚姻関係を修復するのが困難との客観的な裏付けとなり、婚姻関係は破綻していると判断されやすくなります。

どの程度別居していれば離婚できるという明確な基準はありませんが、3~5年ほど別居していれば、離婚が認められる可能性は高いでしょう。

裁判所が夫婦関係の破綻を判断する際は、別居期間のほかにも結婚期間や別居の原因、金銭の受け渡しの有無などの事情を総合的に考慮します。

したがって、結婚期間が短い・配偶者のほうが有責性が高い・子どもが独立している場合などは、もっと短期間の別居でも離婚が認められるケースもあります。

ただし有責配偶者(一方的に離婚原因を発生させた側)からの離婚請求は、さらに長期間の別居や経済的に自立していない子どもがいないことなどの条件が課せられるため注意しましょう。

なお別居した場合、配偶者の収入のほうが高ければ、婚姻費用(生活費)を請求できます

婚姻費用は、請求時から支払義務が発生するため、別居後はなるべく早く請求するとよいでしょう。

注意点として、別居をする場合は、配偶者の承諾を得るようにしてください。

配偶者に同意なく別居する行為は「悪意の遺棄」という不法行為に該当し、相手から慰謝料を請求されかねません

こちらからの離婚請求が認められにくくなる恐れもあるため、離婚を前提とした別居をしたいと事前に伝えておきましょう。

弁護士に相談する

不妊が原因で離婚を考えた場合は、夫婦問題に詳しい弁護士に相談するのもおすすめです。

不妊はデリケートな問題のため、ほかの原因の離婚問題よりも悩みが深くなりがちです。

離婚問題についての経験が豊富な弁護士は、さまざまな夫婦問題を見ているので、夫婦関係を修復するためのアドバイスがもらえます

また弁護士は離婚問題に関するすべての交渉・手続きができるため、離婚協議書の作成や相手方との交渉、調停や訴訟対応などの問題にも対応可能です

離婚の可否や離婚手続きの進め方、慰謝料請求の仕方についての実務的なアドバイスも受けられます。

なお弁護士には守秘義務があるため、夫婦のプライバシーも守られます。

弁護士に相談すれば、2人にとってベストな解決策を見出してくれるでしょう。

まとめ

嫁の不妊が原因で離婚したい場合は、相手の合意がなければ離婚できません

ただし不妊が原因で夫婦関係が悪化し、婚姻関係が破綻していると判断されれば離婚が可能です。

また、離婚訴訟で法定離婚事由(法的に認められる離婚の原因)があれば離婚は認められます。

慰謝料も離婚理由が嫁の不妊のみの場合は、基本的に認められません

不妊が原因で不法行為があったときや、嫁が不妊の事実を隠して結婚していた場合、長期のセックスレスになってしまったケースなどは慰謝料の請求が可能です。

不妊が原因の離婚で後悔しないためには、夫婦として不妊にどう対応するか話し合いが必要です。

不妊治療を受けたり、養子縁組や里親制度を検討したり、子どもがいない場合の将来設計を考えるのもよいでしょう。

なお嫁の不妊を理由に離婚したい場合、双方とも感情的になってしまい、夫婦のみでは話し合いが進まない可能性もあります。

そのようなときは、弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士であれば、不妊以外の離婚理由がないか検討し、有利な条件で離婚できるよう相手と交渉可能です。

不妊が原因の離婚は非常にデリケートな問題のため、トラブルを避けるためにも弁護士に相談することを検討しましょう。

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