市役所・区役所の無料離婚相談を利用するメリット
一般的に、市民・区民であれば誰でも利用できますが、自治体によっては在勤・在学者も対象に含まれる場合があります。市役所・区役所の無料離婚相談を利用するメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- 離婚について無料で相談できる
- 弁護士事務所に出向くよりも気軽に相談できる
- 離婚後の生活などの法的な面以外についても相談できる
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
離婚について無料で相談できる
市役所・区役所の法律相談は基本的に無料なので、費用を気にせず離婚の相談が可能です。離婚相談に関しては弁護士や司法書士、行政書士、家事問題カウンセラーなどの専門家が対応してくれます。
通常、専門家に相談する場合、1時間あたり5,000~10,000 円程度の相談費用がかかるケースもあるため、費用をかけずに利用できるのはメリットといえるでしょう。
弁護士事務所に出向くよりも気軽に相談できる
市役所・区役所なら、弁護士事務所に出向くよりも気軽に相談できます。
弁護士事務所は多くの人にとって普段関わることがない場所です。そのため、離婚について直接相談しに行くのはハードルが高いと感じる方も多いでしょう。
その点、市役所・区役所は誰でも利用したことのある身近な公共施設です。弁護士事務所に行くことに抵抗がある場合は、市区町村が行っている無料の法律相談を活用するとよいでしょう。
離婚後の生活などの法的な面以外についても相談できる
市役所・区役所では、離婚後の生活など法律に関する内容以外についても相談が可能です。
弁護士事務所では、法的手続きに直結しない相談には対応できない場合や、有料になるケースもあります。
一方、市役所・区役所は公的な機関なので、公営住宅の入居条件、ひとり親家庭への支援制度、生活保護の申請方法など、生活に関わる幅広い内容にも対応してくれます。
離婚後の生活が不安で離婚になかなか踏み切れないという人にとってはメリットといえるでしょう。
市役所・区役所の無料離婚相談のデメリット
市役所・区役所では無料で気軽に離婚相談ができるのがメリットですが、その一方でデメリットもいくつかあります。
市役所・区役所の無料離婚相談のデメリットとしては、主に以下の5つが挙げられます。
- 相談時間が20〜30分程度しかない
- 相談可能時間が平日の日中であることが多い
- 相談できる回数が決まっている
- その場で直接弁護士に依頼することができない
- 弁護士を自分で選ぶことができない
ここからは、それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
相談時間が20〜30分程度しかない
市役所・区役所の無料離婚相談は人気があり、毎回多くの相談者が利用するため、相談時間は1回あたり20〜30分程度に限られています。
短時間で相談したい内容を話さなければならないので、満足のいく回答が得られるまでに相談時間が終わってしまう可能性があります。
そのため、市役所・区役所で離婚相談にのってもらう場合は、スムーズに相談ができるよう、あらかじめ相談内容をメモにまとめておくことが大切です。
なお、相談時間の長さは、自治体によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
相談可能時間が平日の日中であることが多い
市役所・区役所の無料相談は、市役所・区役所が開庁している時間帯に実施されることが多いため、平日の日中のみ対応している場合がほとんどです。
そのため、土日休みで平日働いている人だと、市役所・区役所の無料相談を利用するのは難しい場合があります。
しかし、なかには土日祝日や夜間も無料相談を実施している市役所・区役所もあります。
相談可能時間については自治体によって異なるため、お住いの市役所・区役所の公式ホームページで確認してください。
相談できる回数が決まっている
市役所・区役所の無料相談は相談できる回数に上限を設けている場合がほとんどです。
相談できる回数は自治体によって異なりますが、同じ案件では1回しか無料相談できなかったり、年に1〜2回しか相談できなかったりするケースが多くみられます。
一度の相談で問題が解決しなかったとしても再度相談はできない場合もあるため、どのような内容を聞きたいか、優先順位を考えておくとよいでしょう。
その場で直接弁護士に依頼することができない
市役所・区役所の無料相談では、原則としてその場で担当した弁護士に直接依頼することはできません。
そのため、無料相談を対応した弁護士に依頼したい場合は、その弁護士が在籍している弁護士事務所を自分で調べ、改めて相談の予約を取る必要があります。
弁護士を自分で選ぶことができない
市役所・区役所の無料相談では、担当する弁護士を自分で選ぶことはできません。
そのため、離婚分野を専門としていない弁護士が担当になる可能性もあります。
法律分野は離婚や相続、金銭、労働問題、インターネット関連など多岐にわたるため、弁護士にもそれぞれ得意分野があります。
もし離婚問題の取り扱い経験が少ない弁護士が担当した場合、具体的なアドバイスが得られないこともあるでしょう。
また、弁護士を選べないことによって、相性が合わないと感じるケースや、相談に対して熱意があまり感じられないといった印象をもつ可能性もあります。
市役所・区役所の法律相談では相談費用が発生せず、その場での勧誘も禁じられている場合が多いです。弁護士側にも一定の制約があり、相談の質にはばらつきがあるのが実情です。
「離婚問題に強い弁護士に相談したい」「相性の良い弁護士に継続して相談したい」と考える場合は、市役所・区役所の無料相談ではなく、自分で弁護士を選んで事務所に直接相談することをおすすめします。
市役所・区役所の無料離婚相談は事前予約が必要なことがほとんど
市役所・区役所の無料離婚相談は、予約が必要な場合がほとんどです。
予約なしで訪れても相談を受けられないケースが多いため、事前に手続きを済ませておきましょう。
離婚相談の予約は電話や窓口で受け付けているのが一般的ですが、一部の市区町村ではオンライン予約にも対応しています。
また、予約開始日が決まっていたり、すぐに枠が埋まってしまったりする自治体もあるため、早めに確認することが大切です。
予約方法や受付期間は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の公式ホームページで最新情報を確認してください。
市役所・区役所の無料離婚相談を活用するために必要な準備
市役所・区役所の無料相談は、1回あたりの相談時間が限られています。短時間で離婚相談をスムーズに進め、弁護士から的確なアドバイスを受けるためにも事前に以下の準備を整えてから相談に臨むことが大切です。
- 離婚に関して自分の希望・目的をまとめておく
- 離婚を考えた理由・原因についての客観的事実を時系列順にまとめておく
- 離婚について質問したいことの優先度を決めておく
- 必要に応じて書類や証拠資料も持参する
ここでは、それぞれの準備について詳しく解説していきます。
離婚に関して自分の希望・目的をまとめておく
まずは、最終的にどのような結果を望んでいるのか、自分の希望や目的をまとめておきましょう。
<具体例>
- 配偶者や不倫相手に慰謝料を請求したい
- 子どもの親権や養育費を獲得したい
- お金はいらないので、できるだけ早く離婚したい
自分の希望や目的を明確にしておけば、弁護士から状況に応じた的確なアドバイスを受けやすくなります。
離婚を考えた理由・原因についての客観的事実を時系列順にまとめておく
次に、離婚を考えた理由や経緯について、客観的な事実を時系列順に整理しておきましょう。
<具体例>
- 〇年〇月〇日:結婚
- 〇年〇月〇日:長男誕生
- 〇年〇月頃:夫の帰宅が遅くなることが増えた
- 〇年〇月頃:土日に外出することも多くなった
- 〇年〇月〇日:不審に思って夫のスマホを見たところ、同僚の女性との親密なやり取りを発見
- 〇年〇月〇日:探偵事務所に調査を依頼
- 〇年〇月〇日:同僚の女性と一緒にラブホテルに入る写真を入手
このような経緯を整理せずに相談すると、時系列がバラバラになってしまったり、要点を正確に伝えられなかったりする可能性があります。
あらかじめ時系列に沿ってメモをまとめておけば、離婚を決意するまでの流れを弁護士に的確に伝えられ、より具体的なアドバイスを受けやすくなります。
離婚について質問したいことの優先度を決めておく
市役所・区役所の無料相談は20〜30分程度と限られているため、弁護士に聞きたいことが多くあっても、その場ですべての疑問を解決するのは難しいのが実情です。
そこで、事前に質問したい内容をリストアップし、特に優先して聞きたいことから順に並べておくことが大切です。
重要な質問から順に確認できれば、限られた時間内でも充実した相談につながるでしょう。
必要に応じて書類や証拠資料も持参する
相談内容に関係する書類や証拠資料があれば、必要に応じて相談時に持参することをおすすめします。
以下のような資料があると、弁護士に状況を正確に伝えやすくなります。
- 戸籍謄本や婚姻届受理証明書
- LINEやメールなどのやりとりの記録
- 不貞行為を示す写真や探偵の調査報告書
- 養育費や財産分与に関係する家計簿や給与明細
- DVの診断書や被害記録
なお、市役所・区役所の無料相談では、これらの資料は必ずしも必要ではありませんが、限られた相談時間を有効に使うための「補助資料」として持参しておくとよいでしょう。
離婚についてまず話を聞いてみたい人は市役所・区役所の無料離婚相談がおすすめ
市役所・区役所の無料離婚相談は、離婚に関する悩みを抱え始めたばかりの人や、弁護士事務所に行く前に全体像を把握したい人に向いています。
以下のような人は、市役所・区役所の無料相談を活用するとよいでしょう。
- 離婚するために何をすればよいのかわからない人
- 離婚が成立するまでの全体的な流れを知りたい人
- 離婚を検討しているものの、まだ具体的な解決までは望んでいない人
- 慰謝料や養育費、弁護士費用の相場について概要を知りたい人
- 離婚協議書の書き方について簡単なアドバイスを受けたい人
- 弁護士事務所に直接相談するのはハードルが高いと感じている人
離婚までの流れや費用の相場など一般的な事柄について知りたい場合や、ちょっとしたアドバイスをもらいたい段階であれば、市役所・区役所の無料離婚相談でも十分に対応できる場合があります。
離婚に関する不安を少しずつ整理したい人にとっては、最初の相談窓口として利用しやすい場といえるでしょう。
離婚に関するトラブルを具体的に解決したい人は弁護士事務所への相談がおすすめ
離婚トラブルを具体的に解決したいと考えている場合は、市役所・区役所の無料相談では対応が難しいケースが多いため、弁護士事務所に相談するのがおすすめです。
以下のような状況に当てはまる人は、早めに弁護士事務所への相談を検討しましょう。
- 慰謝料請求や親権をめぐってトラブルが発生している
- すでに相手方と交渉中で、法的アドバイスが必要
- 離婚調停や訴訟を視野に入れている
- 離婚に詳しい弁護士を自分で選んで相談したい
- 平日日中に時間が取れず、市役所の相談枠に合わせづらい
市役所・区役所の相談は無料で利用できますが、1回あたりの相談時間が限られているうえ、弁護士を自分で選べません。
そのため、相談しても十分なアドバイスが得られず、根本的な解決に結びつかないケースもあります。
一方、弁護士事務所であれば、過去の実績や得意分野を確認したうえで、自分に合った弁護士を選ぶことが可能です。
初回相談を無料で実施している事務所も多く、法的な見解や対応策を的確に把握し、離婚成立まで有利に進められる可能性が高まります。
市役所・区役所の無料相談以外に離婚について無料で相談できる窓口
市役所・区役所の無料相談以外にも、以下の窓口を利用すれば無料で離婚相談ができます。
- 法テラス
- 法律相談センターの電話無料相談
- 法律事務所の無料相談
ここからは、それぞれの無料相談窓口の特徴を詳しく紹介します。
法テラス
法テラス(日本司法支援センター)とは、国が設立した法的なトラブルを解決するための総合案内所です。
原則として1案件につき3回まで、1回30分程度の無料相談を受けることができます。事務所での面談のほか、電話やメールでも相談が可能です。
ただし、無料相談を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 収入や資産が一定額以下であること
- 民事法律扶助の趣旨に適すること(報復や嫌がらせ、宣伝目的の訴訟を行おうとしている場合は対象外)
収入や資産の基準は、世帯人数によって異なります。離婚問題で相手が配偶者の場合、その人の収入は合算しません。
世帯人数 |
手取り月収合計額の基準 |
家賃または住宅ローンを負担している場合に月収の基準額に加算できる限度額 |
1人 |
182,000円以下
(200,200円以下) |
41,000円以下
(53,000円以下) |
2人 |
251,000円以下
(276,100円以下) |
53,000円以下
(68,000円以下) |
3人 |
272,000円以下
(299,200円以下) |
66,000円以下
(85,000円以下) |
4人 |
299,200円以下
(328,900円以下) |
71,000円以下
(92,000円以下) |
※()内の金額は東京や大阪などの生活保護一級地に住んでいる場合の金額
世帯人数 |
資産合計額の基準 |
1人 |
180万円以下 |
2人 |
250万円以下 |
3人 |
270万円以下 |
4人 |
300万円以下 |
これらの要件を満たしていない場合は、法テラスの無料相談は利用できません。
また、弁護士を自分で選ぶことができないため、専門分野が合わない場合もある点は念頭にいれておきましょう。
一定の収入・資産要件を満たしていれば、弁護士費用や裁判費用を立て替えてもらえる「民事法律扶助制度」も利用可能です。
詳しくは法テラス公式サイトをご確認ください。
※参考:参考:法テラス
法律相談センターの電話無料相談
東京弁護士会の法律相談センターでは、平日の10~16時の間に15分間の無料電話相談を実施しています。
相談時間 |
月~金10時~16時(祝日は除く) |
電話番号 |
0570-200-050 |
ただし、東京都内からの発信に限られ、IP電話・PHSは利用できません。相談料は無料ですが、通話料は自己負担となります。
ほかの地域でも、各地の弁護士会が独自の無料電話相談を実施している場合があります。お住まいの地域の弁護士会のホームページを確認してみましょう。
法律事務所の無料相談
法律事務所での相談は基本的に有料ですが、なかには無料で法律相談を受け付けている法律事務所もあります。
法律事務所の無料相談なら自分で弁護士を選べるので、離婚問題の知識や実績のある弁護士に相談にのってもらえます。
また、平日夜間や土日でも対応可能な事務所が多く、日中に時間が取れない人でも相談しやすいのもメリットです。
ただし、法律事務所の無料相談は初回のみで、相談時間は30分程度に限られているケースがほとんどです。無料相談が終わった後も引き続き相談にのってもらいたい場合は、30分につき5,000円程度の相談費用がかかります。
無料相談を希望する場合は、事務所のホームページや法律相談ポータルサイトで対応しているか確認し、予約を取るようにしましょう。
離婚について相談する弁護士の選び方
離婚に関する悩みを弁護士に相談する際には、後悔のない選択ができるよう、以下の3つのポイントを意識して弁護士を選びましょう。
- 離婚に精通もしくは離婚問題の解決実績が多い
- 無料相談時に心情的にも寄り添った対応をしてくれる
- 依頼する際の費用や支払いタイミングについて明確に説明してくれる
ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
離婚に精通もしくは離婚問題の解決実績が多い
弁護士によって得意分野は異なるため、離婚問題をほとんど取り扱ったことがない弁護士も数多くいます。
相続や労働問題など離婚問題以外をメインに取り扱っている弁護士に相談しても、相談者にとって最適なアドバイスが得られない可能性が高いでしょう。
そのため、離婚に関する専門知識があり、解決実績が豊富な弁護士を選ぶことが重要です。
こうした弁護士であれば、過去の判例や交渉のノウハウも熟知しており、相談者の状況に応じた具体的なアドバイスが期待できます。
弁護士を探す際は、事務所のホームページで「取扱分野」や「解決事例」に離婚問題の記載があるかを確認しておきましょう。法律相談ポータルサイトやGoogleマップ、口コミサイトなどで事前に評判を確認するのも、弁護士選びの参考になります。
無料相談時に心情的にも寄り添った対応をしてくれる
相談後に弁護士への依頼も考えている場合は、得意分野や解決実績だけでなく、無料相談時でも心情的に寄り添った対応をしてくれるかどうかもチェックしておきましょう。
弁護士も人間なので、相談者の気持ちに寄り添って親身に相談にのってくれる弁護士もいれば、態度が冷たく相談者の話をしっかりと聞いてくれない弁護士もいます。
初回無料相談を実施している事務所も多いため、複数の弁護士に相談したうえで、最も信頼できそうな人を選ぶとよいでしょう。
依頼する際の費用や支払いタイミングについて明確に説明してくれる
離婚について相談する弁護士を選ぶ際は、依頼する際の費用や支払いタイミングについて明確に説明してくれる弁護士であるかもチェックしておきましょう。
着手金・報酬金・実費など、どのような費用がどのタイミングで発生するのかを事前に確認しておくことが大切です。
依頼前に費用や支払いタイミングについて説明を受けておかないと、想定外の弁護士費用がかかってしまい、その支払いが大きな負担になってしまう恐れがあります。
相談時に、費用の種類・支払いのタイミング・追加費用の可能性などを丁寧に説明してくれる弁護士であれば、信頼性が高いといえるでしょう。
また、契約前に見積書や契約書の内容を確認し、納得したうえで正式に依頼するようにしてください。
まとめ
市役所・区役所の無料相談は、費用をかけずに離婚の悩みを相談できる、利用しやすい窓口です。
「何から始めればよいかわからない」「いきなり弁護士事務所はハードルが高い」と感じる方は、まず市区町村の無料相談を活用してみましょう。
ただし、相談時間は20〜30分程度に限られ、平日日中のみの実施が多いこと、自分で弁護士を選べないといった制約もあります。
そのため、トラブルの解決を急いでいる場合や、継続的なサポートを求めている場合は、離婚問題に詳しい弁護士を自分で探し、法律事務所で相談することをおすすめします。
市役所で概要を把握し、必要に応じて弁護士へステップアップするなど、状況に応じた使いわけも検討するとよいでしょう。
無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに弁護士にご相談を
- 北海道・東北
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- 関東
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- 東海
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- 関西
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- 北陸・甲信越
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- 中国・四国
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- 九州・沖縄
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