市役所・区役所の無料離婚相談を利用するメリット
市役所・区役所の離婚相談は、原則として市民・区民であれば誰でも利用できます。市役所・区役所の無料離婚相談を利用するメリットとしては、主に下記の3つが挙げられます。
- 離婚について無料で相談できる
- 弁護士事務所に出向くよりも気軽に相談できる
- 離婚後の生活などの法的な面以外についても相談できる
ここからは、上記のメリットについてそれぞれ詳しく解説していきます。
離婚について無料で相談できる
市役所・区役所の法律相談は基本的に無料なので、費用を気にせず離婚の相談が可能です。離婚相談に関しては弁護士や家事問題カウンセラーなどの専門家が対応してくれます。
通常、専門家に相談すると高額な相談費用がかかってしまうので、無料で専門家に離婚の相談に乗ってもらえるのは大きなメリットの1つだといえるでしょう。
弁護士事務所に出向くよりも気軽に相談できる
市役所・区役所なら、弁護士事務所に出向くよりも気軽に相談できます。弁護士事務所は多くの人にとって普段関わることがない場所なので、離婚について直接相談しに行くのはハードルが高いと感じている方も多いでしょう。
しかし、市役所・区役所なら誰でも何度か出向いたことのある身近な施設なので、弁護士事務所だとハードルが高いという方は、市役所・区役所の無料相談を利用してみるのがおすすめです。
離婚後の生活などの法的な面以外についても相談できる
市役所・区役所では、離婚後の生活など法律に関する内容以外についても相談できます。弁護士事務所だと、依頼に繋がらないような相談は離婚に関する内容であっても対応してもらえない可能性が高いです。
一方、市役所・区役所は公的な機関なので、公営住宅やひとり親家庭の支援制度など離婚後の生活に関する相談にも対応してくれます。離婚後の生活が不安で離婚になかなか踏み切れないという方にとっては大きなメリットになるでしょう。
市役所・区役所の無料離婚相談のデメリット
市役所・区役所では無料で気軽に離婚相談ができるのがメリットですが、その一方でデメリットもいくつかあります。市役所・区役所の無料離婚相談のデメリットとしては、主に下記の5つが挙げられます。
- 相談時間が20〜30分程度しかない
- 相談可能時間が平日の日中であることがほとんど
- 相談できる回数が決まっている
- その場で直接弁護士に依頼することができない
- 弁護士を自分で選ぶことができない
ここからは、上記のデメリットについてそれぞれ詳しく解説していきます。
相談時間が20〜30分程度しかない
市役所・区役所の無料離婚相談は人気があり、毎回多くの相談者が訪れるため相談時間が1回あたり20~30分程度しかありません。
短時間で相談したい内容を話さなければならないので、満足のいく回答が得られるまでに相談時間が終わってしまう可能性があります。そのため、市役所・区役所で離婚相談に乗ってもらう場合は、限られた時間の中でスムーズに相談ができるよう、あらかじめ相談内容をメモにまとめておきましょう。
相談可能時間が平日の日中であることがほとんど
市役所・区役所の無料相談は、市役所・区役所が開庁している時間帯で行われるため、平日の日中しか対応してもらえないケースがほとんどです。そのため、土日休みで平日働いている方だと、市役所・区役所の無料相談を利用するのは難しいです。
しかし、なかには土日祝日や夜間も無料相談を行っている市役所・区役所もあります。相談可能時間については、お住いの市役所・区役所の公式ホームページで確認してください。
相談できる回数が決まっている
市役所・区役所の無料相談は相談できる回数が決まっているので、何度も無料で相談できるわけではありません。
相談できる回数は市役所・区役所によって異なりますが、同じ案件では1回しか無料相談できなかったり、年に1~2回しか相談できなかったりするケースがほとんどです。一度の相談で問題が解決しなかったとしても再度相談はできないため、その点もデメリットの1つとして挙げられます。
その場で直接弁護士に依頼することができない
市役所・区役所の無料相談では、原則としてその場で担当の弁護士に直接依頼することはできません。そのため無料相談に対応してくれた弁護士に依頼したい場合は、その弁護士が在籍している弁護士事務所を探して、直接相談予約を取る必要があります。
弁護士を自分で選ぶことができない
市役所・区役所の無料相談では、担当の弁護士を自分で選べません。そのため、離婚分野が得意ではない弁護士が担当になる可能性もあります。法律分野は離婚や相続、金銭、労働問題、ネットなど多岐に渡るため、弁護士にもそれぞれ得意分野があります。
離婚問題についてはほとんど取り扱ったことがない弁護士も数多くいるので、そのような弁護士が担当になると離婚について相談しても的確なアドバイスが受けられない可能性が高いです。また、弁護士を選べないことによって、熱意が感じられない弁護士や相性が悪い弁護士が担当になる可能性もあります。
市役所・区役所の法律相談では相談費用が発生しませんし、その場での勧誘も禁じられているケースが多いため、弁護士の立場からするとほとんどメリットはありません。そのためか、市役所・区役所の無料相談ではやる気のない弁護士もおり、適当に対応されてしまうケースも多くあります。
離婚問題を得意としている弁護士や熱意のある弁護士に相談したいということであれば、市役所・区役所の無料相談ではなく、自分で弁護士事務所を探して直接相談に乗ってもらうのがおすすめです。
市役所・区役所の無料離婚相談は事前予約が必要なことがほとんど
市役所・区役所の無料離婚相談は、事前予約が必要な場合がほとんどです。離婚について相談するために突然市役所・区役所に行っても対応してくれないので注意しましょう。
離婚相談の予約は電話や窓口で取れますが、一部の市区町村ではオンライン予約にも対応しています。予約方法は市区町村によって異なるので、市区町村の公式ホームページで確認してください。
市役所・区役所の無料離婚相談を活用するために必要な準備
市役所・区役所の無料相談は20~30分程度しかありません。短時間で離婚相談をスムーズに進め、弁護士から的確なアドバイスを得るためにも事前に下記の準備を整えてから相談しに行きましょう。
- 離婚に関して自分の希望・目的をまとめておく
- 離婚を考えた理由・原因についての客観的事実を時系列順にまとめておく
- 離婚について質問したいことの優先度を決めておく
ここからは、上記の準備についてそれぞれ詳しく解説していきます。
離婚に関して自分の希望・目的をまとめておく
まずは、最終的にどういった結果を求めているのか、自分の希望や目的をまとめておきましょう。
<具体例>
- 配偶者や不倫相手に慰謝料を請求したい
- 子供の親権や養育費が欲しい
- お金はいらないから、できるだけ早く離婚したい
自分の希望や目的を明確にしておけば、それを達成するために今何をすべきなのか、どういった準備が必要なのか弁護士から的確なアドバイスを受けやすくなります。
離婚を考えた理由・原因についての客観的事実を時系列順にまとめておく
次に、離婚を考えた理由や原因について、客観的な事実を時系列順にまとめておきましょう。
<具体例>
- 〇年〇月〇日:結婚
- 〇年〇月〇日:長男誕生
- 〇年〇月頃:夫の帰宅が遅くなることが増えた
- 〇年〇月頃:土日に外出することも多くなった
- 〇年〇月〇日:不審に思って夫のスマホを見たところ、同僚の女性との親密なやり取りを発見
- 〇年〇月〇日:探偵事務所に調査を依頼
- 〇年〇月〇日:同僚の女性と一緒にラブホテルに入る写真を入手
結婚してから離婚を考えるまでの時系列をまとめずに相談すると、頭が混乱して時系列がバラバラになってしまったり、正確に伝えられなかったりする可能性が高いです。
あらかじめ客観的な事実を時系列順にメモしてまとめておけば、離婚を考えるまでの経緯を正確に分かりやすく伝えられ、弁護士も正確な回答や的確なアドバイスを出しやすくなります。
離婚について質問したいことの優先度を決めておく
市役所・区役所の無料相談は20~30分程度しかないので、弁護士に質問したいことが多数思い浮かんでも、限られた時間の中ですべての疑問を解決するのは難しいです。そのため、弁護士に質問したいことをリストアップしたら、その中でも特に聞いておきたいことから順に優先順位を決めていきましょう。
市役所・区役所の無料離婚相談がおすすめなのはこんな人
市役所・区役所の無料離婚相談は、下記に当てはまる人におすすめです。
- 離婚するために何をすれば良いのか分からない人
- 離婚が成立するまでの全体的な流れを知りたい人
- 離婚を検討しているものの、まだ具体的な解決までは望んでいない人
- 慰謝料や弁護士費用の相場を知りたい人
- 離婚協議書の書き方をアドバイスしてもらいたい人
- 弁護士事務所に直接相談するのはハードルが高いと感じている人
離婚までの流れや手続きの方法、費用の相場など一般的な事柄について質問したい人や、ちょっとしたアドバイスをもらいたい人であれば、弁護士事務所に直接行かなくても市役所・区役所の無料離婚相談で疑問点や悩みを解決できる可能性は十分あります。
弁護士事務所に直接離婚について相談するのがおすすめなのはこんな人
下記に当てはまる人は、市役所・区役所の無料離婚相談ではなく、弁護士事務所に直接相談するのがおすすめです。
- トラブルの具体的な解決を望んでいる人
- 弁護士への依頼まで考えている人
- 平日に休みを取るのが難しい人
市役所・区役所は、離婚に関する一般的な事柄について質問したい人や、ちょっとしたアドバイスをもらう人にとっては最適な相談窓口です。しかし、相談時間は20~30分程度と短いほか、必ずしも離婚に強い弁護士が担当になるとは限らないため、トラブルの具体的な解決方法や複雑な問題については対応が難しいケースもあります。
弁護士の得意分野は、親権や慰謝料問題などそれぞれ大きく異なります。事前にホームページなどで調べ、直接弁護士事務所に出向いて相談した方が悩みを具体的に解決に導いてくれる弁護士に出会いやすいためおすすめです。
また、平日の日中しか相談を受け付けていない市役所・区役所が多いので、土日休みで平日に働いている方だと空いている時間で気軽に利用はできません。そのため、平日の日中に休みを取るのが難しい場合も、離婚問題に精通している弁護士事務所に直接出向いて相談すると良いでしょう。
市役所・区役所の無料相談以外に離婚について無料で相談できる窓口
市役所・区役所の無料相談以外にも、下記の窓口を利用すれば無料で離婚相談ができます。
- 法テラス
- 法律相談センターの電話無料相談
- 法律事務所の無料相談
ここからは、上記の無料相談窓口についてそれぞれ詳しく解説していきます。
法テラス
法テラス(日本司法支援センター)とは、国が設立した法的なトラブルを解決するための総合案内所です。法テラスでは1回30分程度、1つの案件につき3回まで弁護士に無料で離婚相談ができるので、弁護士費用に不安がある人にもおすすめです。事務所での直接面談のほか、電話やメールでも無料相談を受け付けていますが、無料で離婚相談できるのは下記の要件を満たしている方のみです。
- 収入や資産が一定額以下であること
- 民事法律扶助の趣旨に適すること(報復や嫌がらせ、宣伝目的の訴訟を行おうとしている場合は対象外)
収入や資産の基準は、世帯の人数に応じて異なります。離婚問題で配偶者が相手方になる場合、配偶者の収入や資産は合算しません。
世帯人数 |
手取り月収合計額の基準 |
家賃または住宅ローンを負担している場合に月収の基準額に加算できる限度額 |
1人 |
182,000円以下
(200,200円以下) |
41,000円以下
(53,000円以下) |
2人 |
251,000円以下
(276,100円以下) |
53,000円以下
(68,000円以下) |
3人 |
272,000円以下
(299,200円以下) |
66,000円以下
(85,000円以下) |
4人 |
299,200円以下
(328,900円以下) |
71,000円以下
(92,000円以下) |
※()内の金額は東京や大阪などの生活保護一級地に住んでいる場合の金額
世帯人数 |
資産合計額の基準 |
1人 |
180万円以下 |
2人 |
250万円以下 |
3人 |
270万円以下 |
4人 |
300万円以下 |
上記の要件を満たしていない場合、法テラスの無料相談は利用できません。また、法テラスも市役所・区役所と同様に担当の弁護士は自分で選べません。必ずしも離婚問題に精通している弁護士が対応してくれるとは限らないのでご注意ください。
法律相談センターの電話無料相談
東京弁護士会の法律相談センターでは、平日の10~16時の間に15分間だけ無料で弁護士に電話相談ができます。ただし、電話は東京都内からでないと繋がりません(IP電話・PHSも不可)。相談費用は無料ですが、通話料は相談者が負担する必要があります。
相談時間 |
月~金10時~16時(祝日は除く) |
電話番号 |
0570-200-050 |
法律事務所の無料相談
法律事務所での相談は基本的に有料ですが、なかには無料で法律相談を受け付けている法律事務所もあります。法律事務所の無料相談なら自分で弁護士を選べるので、離婚問題の知識や実績のある弁護士に相談に乗ってもらえます。
また、土日祝日や夜間も対応してもらいやすいため、平日働いている方でも相談しに行きやすい点もメリットです。ただし、法律事務所の無料相談は初回のみで、30分程度しか相談できないケースがほとんどです。無料相談が終わった後も引き続き相談に乗ってもらいたい場合は、30分につき5,000円程度の相談費用がかかる点に注意してください。
離婚に関するトラブルを具体的に解決したい人は弁護士事務所に相談するのがおすすめ
市役所・区役所の法律相談は無料で気軽に利用できるのがメリットですが、相談に乗ってくれる弁護士は自分で選べないため、必ずしも離婚問題に精通している弁護士に出会えるとは限りません。相談費用は抑えられるものの、的確なアドバイスが得られず、根本的な解決につながらないことも多々あります。
そのため、離婚についての具体的なアドバイスを求めていたり、離婚の成立を目指していたりする場合は、市役所・区役所の無料相談ではなく弁護士事務所に直接出向いて相談するのがおすすめです。自分で離婚に強い弁護士を探して相談すれば、自分にとって有利な内容で離婚の成立を目指せる可能性が高くなります。
離婚について相談する弁護士の選び方
自分で相談する弁護士を選びたい方や具体的なトラブルの解決を望んでいる方は、弁護士事務所で直接相談するのがおすすめです。離婚について相談する弁護士を選ぶ際には、下記の3つのポイントをおさえておきましょう。
- 離婚に精通もしくは離婚問題の解決実績が多い
- 無料相談時に心情的にも寄り添った対応をしてくれる
- 依頼する際の費用や支払いタイミングについて明確に説明してくれる
ここからは、上記のポイントについてそれぞれ詳しく解説していきます。
離婚に精通もしくは離婚問題の解決実績が多い
離婚について弁護士に相談するのであれば、離婚に精通しているもしくは離婚問題の解決実績が多い弁護士を選ぶのがおすすめです。弁護士によって得意分野は異なるため、離婚問題をほとんど取り扱ったことがない弁護士も数多くいます。相続や労働問題など離婚問題以外をメインに取り扱っている弁護士に相談しても、相談者にとって最適なアドバイスが得られない可能性が高いです。
離婚に精通している、もしくは離婚問題の解決実績が多い弁護士なら、離婚問題に関する専門知識や経験が豊富で、過去の離婚問題の判例や離婚を有利に進めるためのノウハウも熟知しています。豊富な知識や経験を活かし、相談者1人ひとりに合った的確なアドバイスや解決方法を提案できるため、離婚を有利に進められる可能性が高いでしょう。
無料相談時に心情的にも寄り添った対応をしてくれる
相談後に弁護士への依頼も考えている場合は、得意分野や解決実績だけでなく、無料相談時でも心情的に寄り添った対応をしてくれるかどうかもチェックしておきましょう。弁護士も人間なので、相談者の気持ちに寄り添って親身に相談に乗ってくれる弁護士もいれば、態度が冷たく相談者の話をしっかりと聴いてくれない弁護士もいます。
離婚を考えているときは、ただでさえ精神的に辛い状況にあります。そんななかで自分の気持ちに寄り添ってくれない弁護士に対応されると、精神的な負担がさらに増してしまう可能性が高いです。初めての相談なら費用がかからない弁護士事務所も多数あるので、複数の弁護士事務所で無料相談にのってもらい、その中で一番対応が良かった弁護士に引き続き相談・依頼すると良いでしょう。
依頼する際の費用や支払いタイミングについて明確に説明してくれる
離婚について相談する弁護士を選ぶ際は、依頼する際の費用や支払いタイミングについて明確に説明してくれる弁護士であるかもチェックしておきましょう。弁護士へトラブル解決を依頼するとなると、着手金や成功報酬、実費など高額な弁護士費用がかかります。
弁護士費用は原則自己負担なので、依頼前にきちんと費用や支払いタイミングについて説明を受けておかないと想定外の弁護士費用がかかってしまい、その支払いが大きな負担になってしまう恐れがあります。そのため、相談時に依頼する際の費用や支払いタイミングについて教えてもらい、きちんと納得したうえで依頼しましょう。
まとめ
市役所・区役所の無料相談は、無料で手軽に離婚相談ができるのが最大のメリットです。離婚するのに何をすればいいのか分からない方や、弁護士事務所に相談しに行くのはハードルが高いと感じている方は、市役所・区役所の無料相談を活用してみましょう。
ただ、市役所・区役所の無料相談は平日の日中のみで相談時間も20~30分程度しかなかったり、自分で弁護士を選べず気に入った弁護士がいてもその場で依頼できなかったりなどさまざまなデメリットもあります。相談費用は抑えられるものの、トラブルの根本的な解決までには至らないケースも少なくありません。そのため、根本的な解決を望んでいる方や弁護士の依頼を検討している方は、離婚問題の知識や解決実績が豊富な弁護士を自分で探し、弁護士事務所で直接相談することをおすすめします。
無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに弁護士にご相談を
- 北海道・東北
-
- 関東
-
- 東海
-
- 関西
-
- 北陸・甲信越
-
- 中国・四国
-
- 九州・沖縄
-