価値観とは物事に対する考え方の違い
価値観とは、物事に対する考え方の違いのことを表します。人が何にどんな価値を感じ、見出すかの基準ともいえます。
価値観は、生まれ持った性格やこれまでの環境・経験に左右されます。価値観は人それぞれ異なるため、夫婦間にも価値観の違いは存在します。夫婦として生活を送っていると、さまざまな価値観の違いに向き合わなくてはなりません。
具体的には、暮らしの中で以下のような価値観の違いを感じることがあるでしょう。
- 性に関する価値観
- 金銭的な価値観
- 宗教的な価値観
- 家族観・人生設計に関する価値観
- 男女観や夫婦関係に関する価値観
- 衛生的な価値観
人と暮らす以上、価値観の違いを認めて受け入れる努力が必要です。夫婦はお互いを尊重したり譲り合ったりして、関係が二人にとってより良いものになるようすり合わせていきます。
しかし、実は「性格の不一致」による離婚は多く、2022年の司法統計によると、離婚の申立て理由は男女ともに「性格が合わない」が1位となっています。
令和4年 司法統計年報(家事編)|最高裁判所
基本的には、価値観の違いがあっても円満な夫婦生活を送ることができるよう話し合ったり、許し合ったりして解決します。いきなり離婚まで発展するケースは稀でしょう。
しかし、価値観は今までの人生で築かれたもののため、急に相手に合わせたり、変えたりするのが困難であるのも事実です。
どうしても受け入れ難い、理解できない価値観の違いを見つけたとき、解決せずに抱え込んでしまうと夫婦の間にわだかまりが生まれます。
わだかまりを見ないふりをして放っておいてしまうと、夫婦間の信頼が失われ、関係の悪化を招きます。そして、最終的には離婚に発展してしまうこともあるのです。
価値観の違いで離婚するには?
協議離婚や離婚調停で双方が合意すれば、価値観の違いで離婚することが可能です。
しかし、話し合いが成立せず裁判離婚を目指すときは、価値観の違いだけでは「法定離婚事由」と呼ばれる離婚に相当する理由として認められない可能性があります。
それぞれの詳細を解説していきます。
協議や調停で双方が合意すれば「価値観の違い」で離婚できる
「価値観の違い」での離婚は、協議離婚や離婚調停で双方が合意すれば可能です。
協議離婚や離婚調停の場合、双方の合意さえ得られれば、価値観の違いだけでなくどんな理由でも離婚ができます。
離婚裁判の解説で紹介している「法定離婚事由」も協議離婚や離婚調停には不要です。
協議離婚とは、夫婦で話し合って行う離婚のことを言います。
一般的には「離婚したい」と思ったら、まずは協議離婚を目指します。
「相手が話し合いに応じない」「感情的になってしまって話し合いが進められない」などの理由から、協議離婚が難しい場合、離婚調停を行います。
離婚調停とは、家庭裁判所の調停手続きを利用して行う離婚のことを言います。
裁判所といっても、相手を訴えるわけではありません。
調停委員と呼ばれる第三者を間に立てて、離婚の合意を取ったり財産分与をはじめとする離婚の条件を決めたりします。
調停委員が中心になって進めてくれますが、あくまで目的は話し合いによる離婚です。
裁判の場合は法定離婚事由として認められる必要がある
話し合いによる離婚が難しい場合、訴訟を起こして裁判所の判決による離婚を目指します。裁判の前に離婚調停をしなければ離婚裁判のステップには進めません。これを「調停前置主義」と言います。
離婚の判決を下すためには、離婚するための客観的な理由が必要です。
離婚に相当する理由は「法定離婚事由」と呼ばれ、民法第770条では、以下の5つが法定離婚事由として定められています。
法定離婚事由 |
解説 |
配偶者に不貞行為があった |
不貞行為とは配偶者以外の人と性的な関係を持ったことが判明した |
配偶者から悪意で遺棄された |
「正当な理由がないのに配偶者が同居・協力・扶助の義務を果たしてくれない」「妻が専業主婦にも関わらず生活費を渡さない」「理由なく何度も家出する」など、夫婦における相互扶助義務を果たしていないと考えられる行為 |
配偶者の生死が3年以上明らかでない |
3年以上生死が不明な状態が続いており、夫婦として実体がない |
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない |
夫婦の相互扶助の義務を果たした上で、回復の見込みがない |
その他婚姻を継続し難い重大な事由がある |
他の4つに当てはまらない理由から、夫婦関係が回復不能なほど破綻している |
不貞行為・悪意の遺棄・3年以上の生死不明・強度の精神病といった法定離婚事由に該当する条件の4つがなく、価値観の違いから離婚したいときは、5つ目の「その他婚姻を継続し難い重大な理由」に該当すると判断されるほど事態が深刻かどうかが争点になります。
例として、以下のような状態が「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当します。
- DVやモラハラがある
- 単身赴任などの理由なく3-5年以上の長期間の別居をしている
- 義両親との不和が原因で夫婦関係が悪化している
- 過度な宗教活動が原因でほとんど家にいないなど家庭を蔑ろにしている
- 浪費やギャンブルを継続的に行い経済的に困窮する家庭を蔑ろにしている
- 性行為を無理強いする
- 正当な理由なく一方的に性行為を拒み続ける
- 家事や育児を行わず夫婦仲が破綻している
- 犯罪行為を繰り返したり服役が長期に及んでいる
つまり不法行為があったり、夫婦関係が破綻している状態になっていることがポイントです。そのため「趣味や食べ物の好みが合わない」「子供の教育方針でずれがある」といった、単純な価値観の違いでは法定離婚事由として認められない可能性が高いです。当事者の努力では解決が難しく、夫婦関係が回復不可能なほど破綻していると客観的に判断されれば、離婚が可能です。
価値観の違いが離婚事由として認められやすいケース
以下のような価値観の違いや状況にある場合、民法第770条に定められている「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当すると判断され、離婚が認められる可能性があります。
- 性に関する価値観の違い
- 金銭的な価値観の違い
- 宗教的な価値観の違い
- 複数の価値観の違いで精神的苦痛が生じている
- 価値観の違いにより長期間の別居につながっている
それぞれの価値観において、離婚が認められやすい詳細な条件を紹介します。
性に関する価値観の違いが生じている
性に関する価値観の違いが生じている場合、離婚事由として認められる可能性があります。
例えば、以下のようなケースは「婚姻関係を継続するのが難しい」と判断され、離婚事由になり得ます。
- 一方または両方が子どもを望んでいるが、拒否されるもしくは不能のため長期間性交渉が行われていない
- 合理的な理由がない性交渉の拒否により、深刻な精神的なダメージを一方が受けている
「長期間性交渉が行われていないこと」や「合理的な理由がない性交渉の拒否」というのがポイントです。夫婦の関係性が悪化したタイミングで性交渉が行われなくなっても、期間が極端に短ければ離婚事由として認めるのは難しいでしょう。
「深刻な精神的なダメージ」は、本人の主張だけでは証明ができないため、実際にうつ病になったことを示す診断書などが必要です。
また、加齢や病気により性交渉に積極的でなくなったり性的能力が減退したりしたため、性交渉を拒否されている場合、すぐに「離婚事由に該当する」という判断は得られない可能性が高いです。
金銭的な価値観の違いが生じている
極端な浪費癖やギャンブル依存症など、金銭的な価値観の違いが生じている場合も離婚事由として認められる場合があります。
相手の浪費やギャンブルによって生活費が逼迫したり、育児・家事への協力が一切なくなったりしたときは婚姻を続けるのは困難だと判断される可能性があるからです。
また、先に挙げた「悪意の遺棄」にあたるケースも存在します。
「使い込んでしまって生活費を渡してくれない」「ギャンブルばかりして仕事に就かない」などは、相互扶助義務を果たしていないと判断される可能性が高いです。
生活費を渡していたとしても「異常に細かく家計を管理されている」「自由に使えるお金が一切ない」という状況が続いているときは、モラハラに該当すると判断され、離婚できるかもしれません。
宗教的な価値観の違いが生じている
宗教的な価値観の違いも離婚事由になり得ます。
例えば、以下のような状況です。
- 一方が宗教活動にのめり込んだ結果、仕事や家事を一切やらなくなった
- 宗教活動に多額の資金を費やしたり借金したりして、生活に影響を与えている
- 一方が反対しているにも関わらず、子どもに入信を強要している
ポイントは「信仰によって婚姻を続けるのが困難な状況になっている」といえるかどうかです。
宗教を信仰するかどうか、どんな宗教を信仰するかなどは憲法で「信教の自由」として保障されています。
単に特定の宗教を信じているだけでは、離婚事由になるとは考えにくいです。
複数の価値観の違いで精神的苦痛が生じている
複数の価値観の違いでいずれか一方に精神的苦痛が生じているときも、離婚事由に該当する可能性があります。
1つの価値観の違いだけでは離婚事由として認められなくても、複数の価値観が異なることで夫婦間で深刻な問題になっていることもあるでしょう。
今まで紹介した価値観の違いと同様に「婚姻を続けるのが難しい」ほどだと判断されれば、離婚できる可能性があります。
価値観の違いにより長期間の別居につながっている
価値観の違いが長期間の別居につながっているときも、離婚が認められる可能性があります。
別居が長期間続いて、夫婦関係が破綻していると判断されれば、理由に関わらず「婚姻を続けるのが困難」と判断される可能性が高まります。
不貞行為やDVなどの明らかな法定離婚事由がなくても、別居が3〜5年間程度続いていると離婚が成立しやすいです。
ちなみに、別居期間が短くても離婚や認められやすいケースが3つあります。
- 配偶者から法定離婚事由にあたる行為があった
- そもそも婚姻期間が短い
- 夫婦関係が破綻しており回復の見込みがない
法定離婚事由にあたる行為を行なった、離婚の原因になった配偶者を「有責配偶者」と呼びます。有責配偶者へ離婚を請求する場合、別居期間に関わらず離婚が認められやすいです。
また、裁判で離婚を判断するときは婚姻期間に対して別居期間が十分かどうかを見ます。そもそも「婚姻してまだ1年」など、婚姻期間が短い場合は「別居期間は数ヶ月でも十分長い」と判断されることがあるのです。
他にも、明らかに夫婦関係が破綻しており、離婚の意思が固かったり関係回復の見込みがなかったりする場合は離婚が認められやすいです。
ただし、相手の同意を得ず自分から勝手に別居する際には有責配偶者となってしまう可能性があります。有責配偶者から離婚を請求するときは離婚が長引きやすくなってしまいます。なぜなら「婚姻関係を破綻させた本人が離婚を請求するのは信義に反する」という考え方があるからです。
離婚を考えるきっかけになりやすい価値観の違い
結婚生活で訪れる、離婚を考えるきっかけになりやすい価値観の違いとしては以下が挙げられます。
- 家族観や人生設計に関する価値観
- 男女観や夫婦関係に関する価値観の違い
- 衛生面に対する価値観の違い
それぞれ、具体例を交えて解説していきます。
家族観や人生設計に関する価値観の違い
家族観や人生設計に関する価値観の違いが離婚を考えるきっかけになることがあります。
例えば「一方は子どもが欲しくて、一方は子どもが欲しくない」「子どもが欲しいと二人とも考えているが、出産を望むタイミングが異なる」など、結婚してから相手の子どもに対する価値観を知ってすれ違ってしまう夫婦もいます。
他にも、出産後の働き方や教育方針の違い、お互いの家族との関わり方などが原因で夫婦関係が悪くなることもあります。
家族や人生設計にまつわる価値観は、特に大切にしていたり譲れなかったりすることが多く、不和が相手への不信感や不満、違和感につながる可能性が高いです。
そのため、考え方の違いを理解したりお互いが譲り合ったりしてギャップを埋めるのがどうしても難しく、離婚問題に発展するきっかけになりやすいのです。
男女観や夫婦関係に関する価値観の違い
一方が古い男女観や夫婦関係に対する価値観を持っていることがわかり、離婚を考えるきっかけになるケースもあります。
- 女性が家事や育児をすべき
- 男性が働いて家族を養うべき
- 女性は男性を立てなくてはいけない
- 男性は自分を犠牲にして女性を守らなくてはいけない
このような古い考え方から、何かを強いられたり不当な扱いを受けたりしたときは、話し合って平等でお互いを尊重し合う関係づくりを目指したいところです。
しかし、人によっては話し合いがうまくいかずに離婚に発展してしまいます。
衛生面に対する価値観の違い
衛生面に対する価値観の違いは、お互いの心地良い暮らしに直結するため、喧嘩や離婚につながりやすいです。
衛生観念は人によって大きく異なります。
例えば、以下は人によってきれい・汚いの基準がバラバラなので揉めてしまいがちです。
生理的な感覚のため、お互い譲り合うのが難しい価値観でもあります。
- 掃除や洗濯の頻度、やり方
- 歯磨きやお風呂の頻度、タイミング
- トイレ・洗面台・台所・お風呂の使い方
また、夫婦間だけでなく、義理の家族と衛生観念が合わないことがストレスになった結果、トラブルに発展するケースも見られます。
価値観の違いによる離婚で請求できるものは?
価値観の違いによる離婚で請求できるものは以下のとおりです。
慰謝料は、価値観の違いによる離婚の場合発生しません。
また、子どもの親権がどうなるかは離婚の理由に関わらず状況に応じて判断されます。
基本的に価値観の違いだけでは慰謝料は発生しない
基本的に価値観の違いによる離婚は、どちらか一方が悪かったり一方に原因があったりするものではないため、慰謝料は発生しません。
しかし、価値観の違いから夫婦仲がうまくいかなくなった結果、不貞行為や悪意の遺棄があった、DVやモラハラに発展したなど、婚姻を続けられない決定的な原因が相手にあった場合、慰謝料が請求できる可能性があります。
不法行為がある場合50~300万程度の慰謝料が発生する可能性がある
不貞行為や悪意の遺棄は、民法第770条に違反するため慰謝料が発生する可能性があります。
DVやモラハラなども、民法第770条に定められている「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」にあたるため、違法です。
慰謝料の相場は、50〜300万程度。
金額は、状況や相手に受けた肉体的・精神的ダメージなどさまざまな条件を加味して判断されます。
「解決金」として支払われるケースもある
慰謝料ではなく「解決金」としてお金が支払われるケースもあります。
一方が離婚を拒んでいるときに、解決金の支払いを条件に離婚を交渉したり行ったりするのです。
例えば、離婚後の生活を理由に離婚を拒んでいる相手に当面の生活費や引越し代として解決金を渡し、離婚を成立させるなどで離婚の合意がスムーズになることがあります。
しかし、解決金の支払いは法律に定められていないため、支払う決まりや金額の相場などのルールは一切存在しません。
法的な根拠はないため、あくまで支払いには夫婦間での合意が必要です。
財産分与を請求できる
財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を離婚の際に分配することを指します。財産分与は、離婚の原因が価値観の違いであっても請求できます。
財産分与には、大きく3つの種類があります。
財産分与の種類 |
内容 |
清算的財産分与 |
夫婦が婚姻中に築いた財産の清算 |
扶養的財産分与 |
離婚により困窮する配偶者の扶養 |
慰謝料的財産分与 |
相手を傷つけたことに対する慰謝料の意味を含むもの |
扶養的財産分与は、離婚するときに一方が病気で働けなかったり、専業主婦(夫)が長く経済力が乏しかったりする場合、認められることがあります。
慰謝料的財産分与は、先に紹介した不法行為があった場合などの慰謝料を別で支払うのではなく、財産分与に上乗せをすることをいいます。
以上のような特別な事情がない限りは、清算的財産分与の考え方に基づいて、財産は公平に2分の1ずつで分けるのが一般的です。
年金分割も受けられる
財産分与の一部として、将来受け取れる年金も離婚するときに分け合うことができます。
年金分割といって、婚姻中に夫婦が納めた厚生年金の年金保険料を離婚時に分け合う制度です。
年金分割の対象は、結婚から離婚までの婚姻期間に納めた厚生年金の年金保険料です。
また、離婚したら自動的に支払われるわけではなく、離婚した翌日から2年を期限に所定の手続きを済ませる必要があります。
養育費の請求もできる
価値観の違いにより離婚した場合でも、養育費の請求も変わらず可能です
子どもと離れて暮らす方の親は、子どもが経済的に自立するまで養育費を支払う必要があります。
養育費の金額は、子どもの人数や年齢、親の年収に応じて策定された養育費算定基準表に則って算出されます。
養育費算定基準表は、裁判所が公開しているため離婚以前におおよその試算が可能です。
また、離婚理由によって養育費の金額が変わることはありません。
子どもの親権は状況によって変わる
夫婦のどちらが子どもの親権者になるのかは、話し合いによって決めることができます。
話し合いで決められないときは、裁判所がどちらが親権者の適格性があるかを判断します。
特に判断基準は法律で定められていませんが、一般的には以下が考慮されます。
- 監護への意欲と能力
- 健康状態
- 経済状況
- 居住・教育環境
- 子どもへの愛情
- 監護の援助の存在(親族や友人など)
つまり、子どもの親権がどうなるかは状況によって異なります。
基本的には子どもの利益が最優先されるため、離婚の原因が仮に一方の不貞行為だったとしても親権者の適格性の判断には影響がありません。
また、子どもが既に10歳前後である場合、子どもの意思も尊重できるよう裁判所から子どもに意見を聞く機会が設けられることが多いです。
ちなみに、最高裁判所の司法統計によると親権は母親が獲得する割合が約9割と高いです。
決して父親は親権を獲得できないわけではありませんが、離婚を検討するときは事前に把握しておきたい情報です。
離婚して後悔した人は男女合わせて27%
全国イベント総合サイト「e-venz(イベンツ)」の2021年の調査によると、離婚して後悔した人の割合は男女合わせて27%でした。
後悔している点は、人それぞれ異なります。
- 慰謝料を取られた
- 子供に会う頻度が減った
- 収入の面
- 自分が幼かった
- 共通の友人とのつながりがなくなった
離婚を決めたときは想像していなかった状況に陥ったことが後悔につながる傾向にあります。
特に、慰謝料や子どもにまつわることは、事前に自分だけで予想することは難しいでしょう。
離婚が選択肢に上がったら、まずは離婚したときとしなかったときの状況を比較して、自分にとってどちらかより良い選択かを冷静に判断することが大切です。
自分だけで状況を整理したり、条件を比較したりするのが難しいときは、専門家に相談するのがおすすめです。
離婚して後悔している人ってどれくらい!?|PR TIMES
価値観の違いで離婚を考える前にできること
価値観がだれしも違います。価値観の違いで離婚を考える前にできることがないか考えてみましょう。
夫婦関係を続けるためにできることとしては、例えば以下があります。
- 相手の価値観について理解しようとしてみる
- 夫婦で話し合う時間を作る
- 別居してお互いに考える時間を持つ
相手の価値観について理解しようとしてみる
価値観の違いは、だれにでも存在するものです。
だからこそ、自分と異なるからといって頭ごなしに否定するのではなく、理解するよう努めることが大切です。
また、相手の価値観や性格が何によって作られたかを知ることで許容できるようになることもあります。
例えば、相手が倹約家であることに不満を感じていたとしても「幼少期に家庭が貧しかった経験がある」と知ったら理解できるようになるかもしれません。
相手が子どもの教育方針にうるさくても「自分自身が学力にコンプレックスがある」と聞いたら、受け入れたり話し合ったりする気持ちが芽生えることもあるでしょう。
自分の価値観と相手の価値観が異なるときは「どうしてそう考えるのか?」を尋ね、話すことでお互いを理解できるよう歩み寄りましょう。
夫婦で話し合う時間を作る
お互いの価値観を知ったり、理解したりするには夫婦で話し合う時間が必要不可欠です。
遠慮や喧嘩を避けるあまりに自分の気持ちを押し殺すのは良くありません。
お互いの価値観や感じ方を伝え合った上で、夫婦生活を続けるためには何をどこまで譲ることができるのか相談するようにしましょう。
価値観については、どちらか一方が正しくてどちらか一方が間違っているということはありません。
相手に譲歩や我慢を求めるばかりで、歩み寄りの気持ちを持てない場合、相手がだれであっても夫婦生活を送ることは難しいでしょう。
別居してお互いに考える時間を持つ
一度距離を置いて、夫婦生活について考える機会を持つやり方もあります。
どうしても距離が近いと精神的に甘えてしまったり、反対にいやなところばかりに目がついたりして冷静な話し合いができないときもあるでしょう。
別居してお互いに考える時間を持つことで、各々が冷静にどうしたいか考えても良いでしょう。
結論がうやむやなまま時間だけが過ぎていってしまうという状況にならないよう、別居するなら期間を決めておいて、一定期間が経過した後で話し合う場を設けるのがおすすめです。
価値観の違いによる離婚に関する主な相談先
「離婚したい」と思ったら、カウンセラーや弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。
離婚を迷っているなら、カウンセラー。離婚をする意思が固まっているなら、弁護士に相談するのがおすすめです。
カウンセラー
離婚したいのかどうかわからなくて、まだ迷っているならカウンセラーに相談するのも一つの手です。
価値観の違いはどの夫婦にも付きもの。歩み寄る方法がないか自分の気持ちを明らかにした上で検討してみましょう。
カウンセラーへの相談は、第三者に話すことで頭が整理されるだけでなく、客観的なアドバイスをもらえるメリットがあります。
頭が整理されたりアドバイスをもらったりした結果「あなたはどうしたいのか」「次はどうすべきか」がクリアになるかもしれません。
弁護士
既に離婚の意思が固まっているなら、弁護士に相談すると良いでしょう。
離婚の進め方やあなたが望む離婚条件が整えられるか、整えるためにはどうしたらいいか、具体的なアドバイスを行なってくれます。
特に相手が冷静な話し合いに応じてくれないときは、弁護士を代理人にすることで感情的に言い合ったり直接喧嘩したりせずに協議を進められます。
また、今まで紹介してきた財産分与や養育費、子どもの親権など専門的な知識がないと予想できないことが離婚には付きもの。
離婚に向けた不安材料を解消するのにも、弁護士への相談は有効です。
まとめ
価値観の違いによる離婚は、話し合いで双方が合意できればスムーズです。
しかし、裁判離婚の場合は離婚事由として認められる相応の理由が必要です。
家族観や人生設計、男女観や衛生観念など価値観の違いを感じるシーンは多々ありますが、価値観が完全に一致している夫婦はどこにも存在しません。
離婚を決断する前に「相手の価値観はどうしても理解できないものか」「理解するための話し合いなどは十分にできたか」立ち止まって考えるようにしましょう。
カウンセラーに相談して、状況や自分の気持ちを整理するのもおすすめです。
離婚の意思が固まっている場合、自分にとってより良い条件で離婚するにはどうしたらいいか、弁護士に相談するようにしましょう。
無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに弁護士にご相談を
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