インターネットなどでは、「リボ払いはやばい」「危険だから安易に利用するべきではない」のような情報もみられます。そのため、「こんなに危険なリボ払いは違法ではないのか」のように考える人もいるかもしれません。
結論から言えば、リボ払いは違法になりません。インターネットなどで言われるように、確かにリボ払いには危険が潜んでいるため、安易に利用するのは避けるべきです。
しかし、法律に違反するようなサービスではないため、リボ払いを利用する場合には、カードの契約者が危険性を十分に把握したうえで上手に利用することが大切です。
当記事では、リボ払いが違法にならない理由や、「危険」「やばい」と言われる原因について解説していきます。また、リボ払いで過払い金請求ができるケースについても解説するため、すでにリボ払いを利用している場合も参考にしてみてください。
リボ払いは違法にならない理由
インターネットなどでは、「リボ払いはやばい」「危険なリボ払いは安易に使うべきではない」のような情報がみられます。
確かにリボ払いには危険性もありますが、法律に違反するようなサービスではありません。リボ払いが違法にならないのは下記の理由が挙げられます。
- 金利は高めだが違法ではない
- 知らぬ間にリボ払いに設定されていても違法にはならない
なお、違法にはならないといっても、安易にリボ払いを利用するのは危険です。知識がないまま利用すれば、生活が圧迫されてしまう可能性もあります。
そのため、リボ払いについては、「違法ではないが危険性があるサービス」と認識したうえで、仮に利用するのであれば事前に知識をつけておくようにしましょう。
金利は高めだが違法ではない
リボ払いを利用すると、利用者は「自分が商品の購入などで利用した金額」に加えて「リボ払いという支払方法を利用する手数料」を毎月一定金額でクレジットカード会社へ返済します。
このリボ払いを利用する手数料は「リボ払いを利用した金額の残高に対して年利●%」という形でかかりますが、このリボ払い手数料の金利を高いと感じる人もいることでしょう。
しかし、実際のところリボ払いの金利は法律で定められた上限を超えないように設定されており、合法である場合がほとんどです。
クレジットカード会社が設定できるリボ払い手数料の金利には、利息制限法という法律で明確に上限が設けられています。
第一条 金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
一 元本の額が十万円未満の場合 年二割
二 元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
三 元本の額が百万円以上の場合 年一割五分
これによると、リボ払い手数料の金利の上限はリボ払いの利用残高に応じて変動しますが、最大でも年15.0%と定められています。
そして、リボ払い手数料の金利は、年15.0%程度であるのが一般的です。年利15%は利息制限法の上限金利を超えていないため、基本的にリボ払いの金利は合法といえるのです。
とはいえ、年利15%は高金利とも言えるため、一度リボ払いを利用してしまうと高額な金利の返済に苦しめられる可能性があることも事実です。
終わりの見えないリボ払いの返済に苦しめられることがないよう、リボ払いの仕組みについてしっかりと理解し、節度のある使い方を心がけましょう。
知らぬ間にリボ払いに設定されていても違法にはならない
「後で利用明細を確認したら心当たりのないリボ払い手数料を請求されていた」というケースは珍しくありません。これは、「リボ専用カードを利用していた」「自動リボ設定になっていた」といったことが原因であると考えられます。
このように、知らぬ間にリボ払いに設定されてしまったケースであっても、「説明を理解せず申込んだ利用者側に非がある」とみなされてしまい違法であるとは言えません。
金利手数料で大きな収入を得られるリボ払いは、クレジットカード会社にとって儲かる仕組みです。ゆえに、ほぼ騙しに近いようなやり方でリボ払いへ誘導されるケースもあり、世間から規制を望む声が高まっているのも事実です。
しかし、今のところクレジットカード会社によるリボ払いへの勧誘方法について、厳しく規制するような法律はありません。そのため、利用者が知らぬ間にリボ払いに設定されていたとしても、説明を理解せず申込んだ利用者側に非があるとみなされてしまうのです。
リボ払いが「危険」「やばい」といわれる原因
違法ではないと説明しましたが、リボ払いには危険が潜んでいるのは事実です。そのため、インターネットなどでは、「危険」「やばい」などと言われていると考えられます。
リボ払いが「危険」「やばい」といわれる原因には、下記が挙げられます。
- 勝手にリボ払いになることがある
- 手数料によって支払総額が高額になりやすい
- 支払期間が長期化しやすい
ここからは、リボ払いが「危険」「やばい」といわれる原因について、それぞれ解説していきます。
勝手にリボ払いになることがある
クレジットカードを利用していると、知らないうちにリボ払いになっていたというケースもあります。これは、カード会社が用意している自動リボが関係していると考えられます。
自動リボとは、クレジットカードのショッピング機能で利用した金額が自動的にリボ払いになるサービスのことです。このサービスを知らないまま自動リボが適用されてしまえば、「勝手にリボ払いになっていた」などとやばいと感じる原因になるでしょう。
手数料によって支払総額が高額になりやすい
リボ払いを利用すると手数料が必ず発生します。手数料はクレジットカード会社が設定している利率で決定され、年15.0%程度が一般的です。
リボ払いの手数料を計算式で表すと、「利用金額×金利÷365日×利用日数」となります。
たとえば、リボ払いで30万円を利用して、金利年15.0%のカードを想定します。リボ残高を3年で完済した場合の手数料の総額は「30万円×年15.0%÷365日×1095日=135,000円」となります。
手数料総額がリボ払いで利用した金額の半額ほどになることもあるため、この点もリボ払いが「やばい」「危険」と言われる原因になります。
支払期間が長期化しやすい
リボ払いを利用すると、利用限度額の範囲内であればどれだけ買い物をしたとしても、毎月の支払額は原則一定になります。言い換えれば、リボ払いは毎月の支払負担を減らすことを目的としたサービスともいえます。
商品やサービスなどを購入した金額に対して、支払金額が少なければ少ないほど残高は減りづらく、完済までの期間は長期化します。「毎月支払っているのになかなか完済できない」といったケースにもなるため、リボ払いが「やばい」「危険」といわれることがあるのです。
リボ払いで払った利息を過払金請求で取戻せる?
過払金請求とは、利息制限法の上限金利を超えて支払った「本来払わなくてよいはずの利息=過払金」を後から返還するよう請求する手続きです。過払金が発生しているケースであれば、過払金請求をすることで払い過ぎていた利息を取り戻せます。
次の項目から、リボ払いで払った利息を過払い金請求で取り戻せるケースと、取り戻せないケースについて詳しくお伝えします。
過払金請求で取戻せるケース
過払金が発生している可能性があり、過払金請求で払った利息を取り戻せるケースには、主に以下の3つがあります
- リボ払いをキャッシングで利用した
- 金利が利息制限法の上限を超えていた
- リボ払いを利用し始めたのが2010年6月18日以前
次の項目から、それぞれ詳しくお伝えします。
リボ払いをキャッシングで利用した
リボ払いをキャッシングで利用したことがある場合は、過払金が発生している可能性があります。
キャッシングとは、クレジットカードを利用して現金を借りられるサービスのことです。クレジットカードを利用して商品などを購入する「ショッピング」での利用とは異なるので注意してください。
金利が利息制限法の上限を超えていた
クレジットカードでキャッシングを利用した際、金利が利息制限法の上限を超えていた場合は、過払金が発生しています。
特に、金利が年利20%を超えていた場合は、確実に利息制限法違反なので、過払金請求が可能です。
もし、利用当時の金利を覚えていないという場合は、弁護士・司法書士事務所へ相談してみましょう。着手金無料で過払金が発生しているか調査してくれるところもあるので、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
リボ払いを利用し始めたのが2010年6月18日以前
利用当時の金利を覚えていなくても、リボ払いを利用し始めたのが2010年6月18日以前なら、過払金が発生している可能性があります。
2010年6月18日に法改正がおこなわれるまでは、利息制限法の上限を超える高金利で貸付をおこなう金融機関があったからです。
とはいえ、自分が利用し始めた日付を正確に思い出せないという人も多いでしょう。
その場合、着手金無料で過払金が発生しているか調査してくれる弁護士・司法書士事務所に過払金請求に関して相談してみるのも一つの方法です。
過払金請求で取戻せないケース
過払金が発生している可能性がないケースには、主に以下の2つがあります
- リボ払いをショッピングのみで利用した
- リボ払いの完済日から10年以上経過している
次の項目から、それぞれ詳しくお伝えします。
リボ払いをショッピングのみで利用した
リボ払いをショッピングのみで利用していた場合は、過払金は発生していません。
ショッピングとは、前述したとおりクレジットカードを利用して商品などを購入することです。
なお、キャッシングとショッピングの両方利用したことがある場合は、過払金が発生する可能性があるので弁護士・司法書士事務所へ相談するとよいでしょう。
リボ払いの完済日から10年以上経過している
過払金には時効があり、時効となったものについては、例え過払金が発生していても後から過払金請求で取り戻すことは不可能です。<
過払金が時効となるのは、リボ払いの完済日から10年です。
そのため、過払金請求はリボ払いの完済日から10年が経過する前におこなう必要があります。
なお、リボ払いの完済日から10年が経過する前に再びクレジットカードを利用した場合は、時効期間がリセットされるので注意してください。
過払金が時効となっているかを自力で判断するのは難しいので、弁護士・司法書士事務所へ相談して専門家に確認してもらうことをおすすめします。
リボ払いを上手に利用するための対策
リボ払いには危険も潜んでいますが、決して悪いサービスではありません。毎月の支払負担を抑えられるメリットがあり、上手に利用すれば便利なサービスといえます。
そのため、リボ払いを利用する場合、上手に活用するための対策を講じておくのが大切です。
- いつまでに完済できるのかを明確にする
- お金に余裕があるときだけでも繰上返済をする
- 完済するまではリボ払いを再利用しない
ここからは、リボ払いを上手に利用するための対策について解説していきます。
いつまでに完済できるのかを明確にする
リボ払いの危険性の1つとして、いつまでに完済できるのかがわかりづらい点が挙げられます。
リボ払いは分割払いのように「利用金額を何回に分けて支払う」という支払方法ではありません。利用した金額の一部を毎月の支払額として固定する方法であるため、返済期間が長期化しやすい仕組みともいえます。
完済までにどれほどの期間がかかるのかが明確にならなければ、「なかなか支払いが終わらない」と感じてしまう原因になります。そのため、いつまでに完済できるのかを明確にすることがリボ払いを上手く使うコツといえるのです。
なお、カード会社の公式サイトやアプリには、リボ払いの返済シミュレーションが用意されているのが一般的です。シミュレーションを利用すれば、簡易的にリボ払いの返済計画を立てられるため、完済までの期間を把握したいときには活用してみてください。
お金に余裕があるときだけでも繰上返済をする
リボ払いの危険性の1つとして、支払期間が長期化しやすいことが挙げられます。支払期間が長期化すれば、手数料がかさんでしまううえに、支払いが困窮する可能性も否定できません。
そのため、お金に余裕があるときだけでも繰上返済をして、積極的にリボ残高を減らすようにしてみてください。
繰上返済とは、月々の返済とは別に追加で返済をすることです。繰上返済をすればリボ残高の支払いに充てられる金額が増えるため、返済ペースを上げられます。
たとえば、繰り上げ返済をした場合と月々の返済だけを続けた場合、リボ払いの手数料総額と完済までの期間は下記のように差が出ます。
◯シミュレーションの条件
- リボ払いの利用残高:50万円
- 毎月の返済額:1万円
- 繰上返済の金額:月々1万円(返済1回目から支払った場合を想定)
繰り上げ返済をした場合 | 月々の返済だけの場合 | |
---|---|---|
手数料総額 | 81,250円 | 159,375円 |
完済までの期間 | 25か月(2年1か月) | 50か月(4年2か月) |
積極的に繰上返済をすることで、リボ残高が減りやすくなり、支払期間が長期化することを防げます。ボーナスや臨時収入があった時だけでも、リボ払いを繰上返済するようにしてみてください。
完済するまではリボ払いを再利用しない
リボ払いを利用すれば、毎月の支払額を抑えられます。このことから、場合によってはリボ払いを使い過ぎてしまい、残高が増えて行く一方になる可能性があります。
そのため、リボ払いを上手く使うのであれば、完済するまでリボ払いを安易に利用しないことが大切です。
便利さがゆえに利用したくなる場面もあるかもしれませんが、どうしても必要な時以外にはリボ払いを利用するのは避けるようにしてみてください。
リボ払いの支払いが苦しいときには債務整理を検討する
リボ払いの支払いが苦しい場合、債務整理をすることも検討してみてください。
債務整理とは、借金やクレジットカードの問題を解決するための手続きのことです。インターネットでは、「国が認めた救済措置」などと呼ばれることもあります。
債務整理をすることで、リボ払いの支払いが苦しい状況から抜け出せます。「任意整理」「個人再生」「自己破産」の手続きがあるため、自身の状況にあった手続きを選ぶのが得策です。
- 任意整理:手数料をカットしたうえで元金のみの返済になるのが一般的
- 個人再生:リボ残高を1/5〜1/10程度に減額できる
- 自己破産:リボ残高を含めたすべての負債が帳消しになる
ただし、債務整理をすると、最長5年〜7年間はいわゆる「ブラックリスト入り」の状態になります。クレジットカードやローンなどの審査に通りづらくなるため、今後の生活に支障が出てしまうリスクもあります。
他に方法がない場合の最終手段とも言えるため、債務整理をする場合には弁護士や司法書士に相談しつつ、慎重に判断をするようにしてください。
任意整理なら手数料をカットしたうえで元金のみの返済になるのが一般的
任意整理とは、返済条件を見直してもらうために債権者と交渉をする手続きのことです。一般的には、任意整理をした場合は利息・手数料・遅延損害金をカットしたうえで、3年〜5年程度で完済できるように分割払いとなります。
任意整理によって手数料のカットが認められれば、今後は手数料を支払うことなく、利用した金額だけを返済することになるため、支払総額をこれ以上増やさないようにできるメリットがあります。
たとえば、リボ払いで50万円を利用しており、3年(36回)で返済した場合、任意整理をすることで支払総額を下記のように抑えられます。
毎月の返済額 | 支払総額 | (うち利息分) | |
---|---|---|---|
リボ払い(15%) | 17,332 円 | 623,952 円 | (123,952 円) |
任意整理後 | 13,888 円 | 50万円 | (0円) |
個人再生ならリボ残高が1/5〜1/10程度に減額できる
個人再生は、裁判所を利用して今後の返済計画を見直す制度です。
借金総額を1/5〜1/10程度に減額できるため、任意整理よりも減額効果が大きい点がメリットです。また、自己破産のように職業制限を受けたり、財産が差し押さえられたりしないので、自己破産のデメリットを許容できない場合は個人再生手続きをとる方も多いです。
ただし、裁判所を利用する手続きである以上、手続きに手間や費用がかかるというデメリットが生じます。
自己破産ならリボ残高を含めたすべての負債が帳消しになる
自己破産とは、現在の借金を帳消しにする制度です。クレジットカードのリボ残高だけでなく、金融機関や個人間の借金、奨学金なども免除の対象となります。
自己破産が認められれば、リボ払いを含む借金の返済義務がなくなります。そのため、リボ払いの支払いが苦しい状況であれば、新生活をスタートするきっかけになるでしょう。
ただし、自己破産には借金帳消しという大きなメリットがある反面、持ち家や自動車、給料といった財産が差し押さえられるデメリットがあります。
今後の生活にも支障をきたす可能性があるため、まずは弁護士に相談して、具体的な手続きの見通しを説明してもらうことも検討してみてください。
まとめ
リボ払いには危険が潜んでいるのは事実ですが、違法というわけではありません。「金利が高い」「知らぬ間にリボ払いになっている」といった点は問題視されてはいますが、現状はこれらに対する制限はないのです。
とはいえ、リボ払いは毎月の支払負担を抑えられるメリットもあり、上手に利用すれば便利なサービスともいえます。カード契約者がどのように利用するのかによって、便利なのか危険なのかが変わるサービスであるため、リボ払いを使う場合には危険性を把握したうえで上手に使うコツを実践するのが大切です。
なお、リボ払いの支払いが苦しい状況であれば、債務整理を視野に入れつつ弁護士や司法書士に相談することも検討してみてください。いわゆる「ブラックリスト入り」になるデメリットはありますが、リボ払いの支払いが苦しい状況から抜け出すきっかけになります。
多くの法律事務所では無料相談に対応しているため、債務整理を検討する場合にはまず相談することから始めてみてください。