銀行口座を売るのは犯罪行為
闇金だけでなく、誰に対してであっても口座を売る行為は犯罪にあたります。実際に全国銀行協会は下記のように公表しています。
銀行口座の売買は買う側、売る側ともに罪に問われます。また、売買された口座は振り込め詐欺(投資勧誘詐欺や還付金等詐欺など)、資金洗浄(ヤミ金融業者、マネーロンダリング)、ネットショッピング詐欺など、さまざまな犯罪で悪用される危険があります。
引用元 全国銀行協会「銀行口座の売買」
闇金への口座買取りが発覚した場合、刑罰として1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金もしくはその両方が課せられます。これは「口座を売った本人が闇金とは知らなかった」という場合であっても同様です。
口座や通帳、キャッシュカードを他人に売却または貸した事実が発覚すれば、罰則の対象になるのです。極端な例でいえば闇金から口座をだまし取られた場合でも、口座の名義人が犯罪者と見なされる場合もあります。
たとえ無償であっても口座を譲渡するのも犯罪行為にあたる
たとえお金を受け取らず、口座を無償で譲渡したとしても、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」という法律を違反するため、刑罰として1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金もしくはその両方が課せられる可能性があります。
また、新たに開設した口座を闇金に譲渡すれば詐欺罪(刑法246条第1項)にあたり、1ヶ月以上10年以下の有期懲役に処される可能性があります。
元からある口座を闇金に譲渡すれば、預金口座等の不正利用防止法違反にあたり、50万円以下の罰金刑の対象にもなるのです。
このように、相手が闇金であるかどうかや、お金を受け取ったかどうかに関わらず、口座の受け渡しをした場合は罰則の対象になってしまいます。いくら高い金額で買い取るといわれても、犯罪になるため闇金の誘いには絶対乗らないようにしましょう。
闇金に口座を悪用されると口座は凍結され新たに口座を作成できなくなる
口座が闇金に悪用されたことが発覚すれば、金融機関から口座が凍結されます。口座が凍結されれば預金が引き出せなくなるほか、あらゆる料金の引き落としやクレジットカードも利用できなくなるのです。
さらに、自分名義の口座が犯罪行為に利用された場合、その口座が凍結されるだけでなくその銀行で新たな口座も作れなくなります。口座凍結名義人リストに載ると、7年間は新たな銀行口座が作れません。
もし凍結された口座以外に銀行口座を持っていなければ、7年間は振り込みや口座引き落としなどが一切使えないということです。
闇金が悪用したことで口座が凍結された場合は自分で凍結を解除してもらうのは難しいため、弁護士や司法書士に相談するようにしましょう。
よくある闇金の口座買取手口
闇金は当然、「口座を悪用する」とは言わず、あらゆる誘い文句で口座買取りを迫ってきます。
しかし、どんな誘い文句を言われようと、口座を他人に渡すことは犯罪にあたるため決して応じてはいけません。
ここからは、闇金がよく取る口座買取手口を解説していきます。
手口①「簡単なアルバイト」として口座を買い取ろうとする
闇金はあたかも正当な仕事のようなキャッチフレーズで、口座買取りを促す場合があります。たとえば、「1つ口座を作るだけで5万円の高収入!」などが考えられます。
このような誘い文句だと、まさか口座を犯罪に使われて自分も犯罪者になるとは思わず、ビジネスと認識して口座を売ってしまう人もいるのです。
手口②「口座を一時的に借りる」として口座情報を提供させようとする
闇金は「月1万円の口座レンタル」といった触れ込みで口座を悪用しようとする場合もあります。
しかし、闇金が口座を一定期間レンタルして、その後親切に返却することはありません。一度口座情報を渡してしまったら、犯罪行為として使われる可能性が高く、それが発覚すれば銀行から口座を凍結されるのがオチです。
闇金から口座を返してもらえる可能性は極めて低いといえるでしょう。
そもそも、三井住友銀行が公表しているように、譲渡や売却に限らず、銀行口座の貸し借りも違法です。
口座を売買・譲渡したり、第三者に利用させたりすることは犯罪(*)です。売り渡した側が、口座が犯罪に利用されることを知らなくとも、処罰される場合があります。
引用元 三井住友銀行「銀行口座買い取りの勧誘にご注意ください」
「少し貸すだけなら」と思う人がいるかもしれませんが、売却と同様に犯罪行為にあたるので絶対にやめましょう。
手口③ 新規の銀行口座を作成したうえでの譲渡を提案してくる
闇金は、新たに作成した銀行口座の譲渡を提案してくることもあります。「悪用することはありません」「譲渡の代わりに返済遅れを免除します」などと近づいてくるため、「自分が普段利用していない口座なら」と考えて口座を譲渡してしまうケースもあることでしょう。
しかし、前述の通り、口座の売買や譲渡は犯罪行為です。そのため、普段利用していない銀行口座であったとしても、売買や譲渡をすると罰則の対象になります。
手口④ 闇金であることを隠して口座情報を提供させようと近づいてくる
インターネットでは、個人間でお金の貸し借りをする「個人間融資」という方法も行われています。個人間融資を行う業者のなかには闇金も潜んでおり、それに気づかず闇金と関わりを持ってしまうケースもあります。
その場合、闇金であることを隠して相手に接近し、口座情報を提供させてくる可能性もあるのです。「融資のために簡単な審査をする」などと接近してくる可能性がありますが、怪しい業者に銀行口座の情報を提供するのは避けましょう。
闇金は口座を悪用するために買い取る
闇金は貸金業法の定める上限を無視した金利でお金を貸し付け、法外な高い利息で収入を得る違法な業者です。
犯罪行為にも手を出している組織なので、警察から足が付かないように営業する必要があります。そのための手段として、他人の口座を使うのです。
闇金は自分たちで特定の口座を持たず、闇金の利用者や口座買取りで手に入れた口座を利用してお金のやり取りを行ないます。これにより、お金の振り込み元などから警察に検挙されないよう対策しているのです。
つまり、闇金に口座を売ると、犯罪に使われるリスクが非常に高いです。
>>【相談無料&全国対応】闇金被害救済の専門家はこちら!
闇金から口座買取を持ちかけられたときの対応策
では、実際に闇金から口座買取の話を持ち掛けられた場合はどうすれば良いのでしょうか。
口座買取りを持ちかけられた時点から、段階別に対処法をご紹介します。
すでに闇金の口座買取りに応じてしまった方も、ぜひご覧ください。
>>【相談無料&全国対応】闇金被害救済の専門家はこちら!
まずは口座買取を拒否して借り入れもしない
闇金から口座買取りの誘いを受けたら、きっぱりと断りましょう。闇金とは関係を作らないことが第一なので、しつこい連絡もすべて無視することを心がけてください。
闇金を一度でも利用したり、利用に迷うそぶりを見せたりすると良いカモとして認識されてしまい、口座買取りに限らず貸し付けやさまざまな営業をしつこくしてくる可能性が高まります。
また、闇金はお金に困っている人の心理に付け込んでくるため、もし本当にお金がない状態でも「お金に困っている」とは言わず毅然とした態度で断るのがおすすめです。
SNSなどで連絡してきた場合はブロック、電話してきた場合は着信拒否をすると良いでしょう。
口座買取に応じてしまった場合はすぐに解約する
闇金の口座買取りに応じてしまった場合、早急に銀行へ連絡して口座を解約しましょう。
悪用されて口座を凍結される前に口座を解約してしまえば、ほかの口座が使えなくなって不便な思いをするリスクを抑えられます。また、自分が罪に問われるリスクも避けられるため、買取りで渡してしまった口座の銀行に連絡するようにしてみてください。
すでに口座が凍結されている場合は弁護士・司法書士や法テラスに相談する
口座の悪用が発覚し、銀行から口座が凍結されてしまった場合は凍結解除に向けて動く必要があります。
銀行口座が凍結されると銀行側からは「警察の許可が必要」と言われます。
本来は警察に通帳と印鑑を持っていけば凍結解除の許可が下りるのですが、闇金に悪用された口座となると、口座の名義人も共犯者ではないかと疑われる可能性があります。
そして捜査が終わるまでは、警察から口座凍結解除の許可をもらえないことが大半です。
そんなときは弁護士・司法書士や法テラスに相談しましょう。
弁護士や司法書士を代理人に付ければ「口座凍結解除要請書」を提出し、闇金との無関係を主張した上で警察を説得してくれます。弁護士や司法書士の主張によって、捜査の終了を待たず口座凍結を解除できる場合もあるのです。
闇金対応に強いおすすめの弁護士について知りたい方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
闇金への口座買取を検討するほどの借金問題があるなら債務整理を検討する
「金融機関への返済が苦しい」「他から借入するのが難しい」などの理由から、闇金からの借入を考えることもあるかもしれません。しかし、違法業者の闇金と関われば、口座買取りによる犯罪加担のリスクだけでなく、悪質な取り立て被害などにも遭う可能性があります。
そのため、借金問題で困っているのであれば、闇金から借入することではなく、債務整理を視野に入れてみてください。
債務整理とは、借金問題を解決するための手続きのことです。インターネット上では、「国が認めた借金救済措置」のように呼ばれることもあります。
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の手続きがあり、いずれも借金や利息の減額・免除をするためのものです。
手続き
|
概要
|
任意整理
|
返済条件の見直しを債権者と交渉するための手続き。和解できれば、利息や遅延損害金のカットとなるのが一般的。
|
個人再生
|
借金自体を1/5〜1/10程度に減額するための手続き。裁判所を介した手続きが必要。
|
自己破産
|
借金を帳消しにする手続き。裁判所を介した手続きが必要かつ、財産を処分する必要もある。
|
※手続きの名称をタップ・クリックすることで、詳しく解説しているページを確認できます。
いずれも返済が苦しい現状を改善するための手続きです。自力で借金問題を解決するのが難しい場合には検討するべき方法の1つといえます。
債務整理を検討するなら弁護士や司法書士への相談が得策
いずれの債務整理手続きも個人で行うことは不可能ではありません。しかし、手続きを進めるうえで専門的な知識が必要なうえ、債権者との交渉や裁判所での手続きなどが必要になるため、基本的には弁護士や司法書士に依頼するのが得策といえます。
たとえば、弁護士に依頼をすれば、自分の代理人としてほとんどの手続きを任せられます。手続きもスムーズに進み、借金の早期解決が望めるでしょう。
また、闇金と関わりがある場合、弁護士や司法書士が窓口になることで、督促を止めるきっかけにもなります。闇金との縁が切れずに困っている方にもおすすめの方法です。
債務整理における弁護士と司法書士の違いについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>【相談無料&全国対応】闇金被害救済の専門家はこちら!
まとめ
闇金から口座買取りを迫られても、絶対に応じてはいけません。相手が闇金ではなくても、口座の売買や譲渡は法律で禁止されている違法行為だからです。
そのため、闇金の口座買取りに応じると、口座を売った側も犯罪者としてみなされて、実刑もしくは罰金刑の対象になり得るのです。
そもそも、闇金は法律を遵守しない違法の業者です。口座買取りだけでなく、借入などで関わってしまうと、自分だけでなく周囲の人も巻き込んでしまう危険性もあります。
仮に借金問題を抱えているために闇金との関わりを検討しているのであれば、債務整理を検討してみてください。闇金と関わることなく借金問題の解決を図れます。
多くの法律事務所は無料相談に対応しているため、債務整理を視野に入れつつ弁護士や司法書士に相談することから始めてみるとよいでしょう。
闇金の借金・口座買取のよくある質問
闇金からお金を借りることは、違法ですか?
お金を借りる側でなく、貸した闇金側が違法です。基本的に闇金との契約は法律にのっとっていないため、すべて無効という扱いになります。そのため借金を返済する必要もなければ、借りた側が罪に問われることもありません。ただし口座買取りに応じるなど、お金を借りる以外に闇金に何らかの形で加担していた場合は罪に問われる可能性もあります。
警察に相談して、闇金を摘発することはできないのですか?
警察には民事不介入という原則があり、個人間のお金の貸し借りなどといった契約には関与しない姿勢を取る場合があります。
もちろん、闇金から脅されたり暴力を振るわれたりなど、事件性がある場合は動いてもらえる場合もあります。しかし基本的には「闇金からの督促電話は無視してください」といった指導が入るだけのケースが多いです。そのため闇金相談は、弁護士や司法書士に相談するのが最も手っ取り早いといえます。
闇金を利用したことがないのに連絡が来るのは何故ですか?
闇金はあらゆる情報を持っています。その1つが、「官報」から得た情報です。以前債務整理をした人などは、ここから個人情報を知られている可能性が高いでしょう。ほかにも特定のサービスに登録したり、迷惑メールのリンクを踏んだり、連絡先が闇金に知られる原因にはさまざまなケースが考えられます。
闇金に口座買取を持ちかけられ、そのことが原因で口座凍結されてしまいました。どうすればよいですか?
口座凍結された場合「凍結要請元と理由の確認」「凍結の解除依頼」を速やかに行う必要があります。これらの手続きは自力でおこなうのは難しく、弁護士や司法書士を通して行うと安心です。
最短即日取立STOP!
一人で悩まずに士業にご相談を
- 北海道・東北
-
- 関東
-
- 東海
-
- 関西
-
- 北陸・甲信越
-
- 中国・四国
-
- 九州・沖縄
-