債務整理したらどうなる?得られる効果と生活上の制限
債務整理は利息や元金をカットや減額したり、一括請求を長期の分割払いに変更できるなど、借金の負担を大幅に軽減できる手続きです。
一方で、信用情報への事故情報掲載をはじめ、手続き後の生活にさまざまな制約がかかるため、なかなか債務整理に踏み切れない人は少なくありません。
そこで、この項目では「債務整理をした場合に得られる効果と生活上の制限」について詳しく解説します。
「借金の返済が苦しく、債務整理をするべきか迷っている」という人は、ぜひ参考にしてください。
債務整理で得られる効果
まずは、債務整理をすることで得られる効果について解説していきます。
具体的には、以下のような効果が期待できます。
次の項目から、それぞれの効果について詳しくみていきましょう。
1.借金が減額・免除される
債務整理の代表的なメリットは、借金が減額・免除されることでしょう。
また、債務整理には主に以下3つの種類があり、どの手続きを選択するかによって「借金がどれくらい減額されるか」が異なります。
任意整理 |
将来利息をカットや減額し、月々の返済額を約1/2、人によっては1/3以下に減額できる手続き。 |
手続きの詳細はコチラ |
自己破産 |
どんなに高額な借金もゼロになる手続き。代わりに20万円以上価値のある財産を手放す必要がある。 |
手続きの詳細はコチラ |
個人再生 |
借金を約1/5、人によっては1/10に減額できる手続き。自己破産と違い、財産や住宅ローンのある家も手元に残せる。 |
手続きの詳細はコチラ |
次の項目から、各債務整理手続きの特徴やメリット・デメリットなどについて詳しく見ていきましょう。
任意整理の場合は将来利息がカットや減額される
任意整理は、弁護士や司法書士が金融機関との間に入り、将来利息の全部または一部をカットしてもらうよう交渉する手続きです。
交渉の結果、将来利息がカットされれば月々の返済額を約1/2程度に減らすことが可能で、個々の状況によっては月々の返済額が1/3以下になる場合もあります。
ただし、任意整理をすると信用情報に事故情報が登録されます。事故情報は借金完済から5年で削除されるのが一般的ですが、事故情報が登録されている間は新規の借入やクレジットカードの作成・利用などができなくなる点に注意してください。
任意整理は、債務整理の中でも費用が安く手続きにかかる手間も少ない、最も手軽にできる手続きです。元金のみであれば返済を続けられそうなら、借金問題を解決する有効な手段となります。
※以下の借金減額診断チェッカーを利用すれば、簡単な質問に答えるだけで「任意整理で借金がいくら減るのか」無料で診断することが可能です。自分の場合どれくらい借金が減るのか、詳しく知りたい人はぜひ利用してみてください。
自己破産の場合は借金全額の返済義務が免除される
自己破産は、今後の借金返済が難しいと裁判所に認めてもらい、借金を全額帳消しにする手続きです。
自己破産が認められれば、どれだけ高額な借金があっても、手続き後に返済しなければならない金額は0円です。そのため、債務整理の中で最も借金の減額率が高い手続きといえます。
ただし、自己破産は大きなメリットと引き換えに、一点で20万円以上価値のある財産を原則手放さなければなりません。
また、任意整理と同様、信用情報に事故情報が登録されます。事故情報の登録期間は、手続き後5〜10年間であることが一般的です。
デメリットを理解したうえで許容できるようであれば、自己破産をすることで生活を一気に立て直すことも夢ではありません。なお、自己破産をすると得られる効果や生活上の制限について、さらに詳しく知りたい場合は以下の記事も参考にしてください。
個人再生の場合は借金を1/5〜1/10程度に減額される
個人再生は、裁判所を介して借金を1/5〜1/10程度に減額してもらえる手続きです。
自己破産のように財産を手放す必要がなく、住宅ローン特則という制度を利用すれば、住宅ローンの残っている自宅があっても失うことなく借金を減額できます。
また、自己破産と違って資格制限もないため、自己破産のデメリットが許容できない場合、選択肢の一つとして検討する人が多いです。
なお、他の債務整理と同様、信用情報に事故情報が登録される点には注意してください。事故情報の登録期間は、手続き後5〜10年間であることが一般的です。
個人再生は自己破産と違い手続き後も返済が残りますが、大幅に借金の減額が可能です。減額した借金の返済ができるようであれば、借金問題を解決する有効な手段となります。
※「自分にはどの債務整理手続きが合っているのか?」より詳しく知りたい場合は、以下のボタンから弁護士・司法書士の無料相談を利用して、専門家から直接アドバイスをもらうとよいでしょう。
2.債権者からの督促が止まる
債務整理を依頼すると、弁護士や司法書士が債権者へ受任通知を送付し、受任通知が債権者のもとへ到着すると、以降は債権者からの督促が止まります。
これは、受任通知を受け取った後に債務者に対して直接取り立て行為をおこなうことが、貸金業法第21条によって禁止されているからです。
また、債務整理の手続きが完了するまでは、債権者への支払いも一時的にストップできます。
参照:e-Govポータル「貸金業法第21条」
債務整理に伴う生活上の制限とデメリット
続いて、債務整理に伴う生活上の制限とデメリットについて解説していきます。
具体的には、以下のような制限がかかったり、デメリットがあると考えられます。
- 信用情報に事故情報が載る(全手続き共通)
- 原則として財産を処分される(自己破産の場合)
- 資格制限を受ける(自己破産の場合)
- 官報に掲載される(自己破産・個人再生の場合)
次の項目から、それぞれの制限やデメリットについて詳しくみていきましょう。
1.信用情報に事故情報が載る(全手続き共通)
債務整理をすると、その情報が事故情報として信用情報に掲載されます。いわゆる「ブラックリストに載った状態」です。
信用情報に事故情報が掲載されると、以下のようにさまざまなデメリットがあります。
- クレジットカードが利用できなくなる
- キャッシングやローンで新たな借入ができなくなる
- 携帯電話を分割で購入できなくなる
- 賃貸物件の契約ができない恐れがある
- 子供の奨学金などの保証人になれない
なお、信用情報に掲載された事故情報は一生残るわけではなく、債務整理後5〜10年で削除されるのが一般的です。
次の項目から、それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
クレジットカードが利用できなくなる
信用情報に事故情報が掲載されると、既に持っているクレジットカードが利用停止となり使えなくなります。
債務整理の対象にしたクレジットカードはもちろんですが、債務整理の対象から外したクレジットカードも、更新などのタイミングでクレジットカード会社が信用情報をチェックし、事故情報が掲載されているとわかった時点で使えなくなる可能性が高いです。
また、信用情報に事故情報が掲載されていると、クレジットカード会社の入会審査に通りづらくなるため、新たにクレジットカードを発行することも難しくなります。
ローンやキャッシングで新たな借入ができなくなる
信用情報に事故情報が掲載されると、銀行や消費者金融から借入をすることもできなくなります。
また、以下のようなローンを組むこともできないので注意してください。
- 住宅ローン
- 車のローン
- 教育ローン
- 学資ローン
- 事業性ローン
なお、新規で銀行や消費者金融から借入することはもちろんですが、既に利用している銀行や消費者金融から追加で融資を受けることもできません。
さらに、クレジットカードのキャッシング枠でお金を借りることもできなくなります。
携帯電話を分割で購入できなくなる
債務整理をすると、信用情報に事故情報が掲載されている期間は携帯を分割で購入できなくなります。
携帯電話の分割購入はローンに該当するため、審査が必要です。審査では、信用情報の照会がおこなわれ、事故情報が掲載されていると分割払いを利用できません。
携帯電話の買い替えを予定している人は、十分注意してください。もちろん、一括払いであれば携帯電話も問題なく購入できます。
賃貸物件の契約ができない恐れがある
信用情報に事故情報が掲載されると、賃貸物件の契約ができないこともあります。
賃貸保証会社が以下のような信販系の会社だった場合、入居審査の際に信用情報をチェックするため、事故情報が掲載されていると審査に落ちてしまう恐れがあるのです。
- オリエントコーポレーション
- セゾン
- エポスカード
- ジャックス
- アプラス
ただし、信販系以外の賃貸保証会社を利用するか、賃貸保証会社を使わずに連帯保証人を設定すれば、信用情報に事故情報が掲載された状態でも賃貸物件の契約ができる可能性は高いです。
子供の奨学金などの保証人になれない
信用情報に事故情報が掲載されると、子供の奨学金などの保証人になれなくなります。借金の契約をする際は、保証人の信用情報も審査の対象となるためです。
子供が奨学金を借りる際は、配偶者や両親、親戚など別の人にお願いする必要があるでしょう。
また、機関保証制度といって保証機関が保証人の代わりになってくれる制度もあるため、利用を検討してみるとよいでしょう。
2.原則として財産を処分される(自己破産の場合)
債務整理の中でも自己破産を選択した場合、一点で20万円以上価値のある財産は裁判所に選任された破産管財人によって換価処分されるのが原則です。
具体的には、以下のような財産について価値が20万円を超える場合、換価処分の対象となる可能性が高いです。
- 不動産(自宅を含む)
- 自動車
- バイク
- 生命保険の解約返戻金(数口ある場合は合計額が20万円を超える場合)
- 預貯金(複数ある場合は合計額が20万円を超える場合)
- 有価証券
- 宝石
- 貴金属
- 現金(99万円を超える場合)
- 退職金
一方で、価値が20万円に満たない財産や、一点で20万円以上の価値があっても裁判所が「生活に必要不可欠」と判断した財産は、換価処分されず手元に残せる場合もあります。
このような財産は「自由財産」と呼ばれ、具体的には以下のようなものが自由財産とみなされる場合が多いです。
- 自己破産手続き開始後に取得した財産
- 99万円以下の現金
- 生活に欠かせない家具道具
- 1ヶ月の生活に必要な食料
- 実印
- 仏像
- 敷金
どのような財産が自由財産として扱われるのかについては、裁判所によって運用が異なるため、あらかじめ弁護士の無料相談を利用して確認しておくとよいでしょう。
3.資格制限を受ける(自己破産の場合)
債務整理の中でも自己破産を選択すると、手続き中は資格制限がかかり、特定の資格を利用した仕事ができなくなります。
具体的には、以下のような仕事ができなくなると考えておきましょう。
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公認会計士
- 弁理士
- 宅地建物取引士
- 不動産鑑定士
- 土地家屋調査士
- 証券会社外交員
- 質屋
- 古物商
- 生命保険募集人
- 警備員
ただし、資格制限がかかるのは復権を得るまでであり、多くの場合は免責許可決定が確定した時点で復権となります。万が一、免責不許可となった場合は、自己破産から10年が経過すると復権となるのが一般的です。
4.官報に掲載される(自己破産・個人再生の場合)
債務整理の中でも自己破産や個人再生を選択すると、自己破産の場合は2回、個人再生の場合は3回、官報に氏名や住所が掲載されます。
官報とは国が発行する新聞のようなもので、誰でも見ることが可能です。
ただし、実際に官報を読んでいるのは以下のようなごく一部の人に限られます。
- 税務署
- 市区町村役場の税金担当者
- 信用情報機関
- 金融機関の担当者
- 動産関係の担当者
- 警備会社の担当者
- 保険会社の担当者
- ヤミ金融業者
一般の人は存在すら知らない場合がほとんどであり、官報に掲載されたせいで勤務先や近所の人など周囲に自己破産した事実が知られる心配はほぼないでしょう。
ただし、闇金業者が官報をチェックし「債務整理していてもお金を借りられる」という内容のダイレクトメールを送ってくることがあるので、手続き後の郵便物には注意してください。
債務整理したら信用情報に載った事故情報は何年で消える?
債務整理をしようか迷っている人の中には「債務整理によって掲載された事故情報はどれくらいで消えるのか」が気になって、なかなか手続きに踏み切れないという人も多いのではないでしょうか?
一般的に、債務整理によって掲載された事故情報が消えるのは、債務整理から5〜10年後といわれています。しかし、実際には債務整理の種類や信用情報を管理している信用情報機関によって、事故情報が消えるまでの期間は異なります。
信用情報機関・・・信用情報を管理しているJICC・CIC・KSC(全銀協)の3つの機関のこと。JICCとCICは主にクレジットカードや消費者金融からの借入に関する情報を、KSCは主に銀行からの借入に関する情報を管理している。
債務整理の種類 |
事故情報が消えるまでの期間 |
任意整理 |
完済してから5年間 |
自己破産 |
手続き開始時点から5~10年間 |
個人再生 |
手続き開始時点から5~10年間 |
この項目では「債務整理によって信用情報に載った事故情報は何年で消えるのか?」について詳しく見ていきましょう。
任意整理の場合は「完済してから5年」
任意整理の場合、和解後に債権者へ返済している期間と、完済してから5年間は信用情報に事故情報が残ります。
なお、任意整理に関しては、信用情報機関によって事故情報の掲載期間に違いはありません。
つまり、任意整理によって掲載された事故情報が消えるのは「完済してから5年後」ということになります。
自己破産・個人再生の場合は「手続き開始時点から5~10年」
自己破産や個人再生の場合は、信用情報機関によって事故情報の掲載期間が異なります。
JICCは自己破産や個人再生の「申立てがあった日から5年」で、KSC(全銀協)は自己破産や個人再生の「手続き開始決定の日から10年」です。
また、CICは「自己破産の場合は免責が下りてから5年」「個人再生の場合は完済してから5年」となります。
よって、自己破産や個人再生によって掲載された事故情報が消えるのは「手続き開始時点から5〜10年後」と考えておきましょう。
債務整理したらローンの残っている家や車はどうなる?
債務整理をしようか迷っている人の中には「債務整理したらローンの残っている家や車はどうなるのか」が気になって、なかなか手続きに踏み切れないという人も多いでしょう。
ローンが残っている家や車への影響は、選択する債務整理の種類によって以下のように異なります。
- 任意整理の場合は家や車のローンを対象から外せば影響しない
- 個人再生の場合は住宅ローン特則の利用で家を残せる
- 自己破産の場合は原則として家や車を没収される
次の項目から、それぞれについて詳しく解説します。
任意整理の場合は家や車のローンを対象から外せば影響しない
任意整理では、1社ごとに整理の対象とする債権者を選べます。
そのため、 住宅ローンや車のローンを任意整理の対象から外せば、家や車に影響が及ぶことはありません。
ただし、前述したとおり任意整理後は信用情報に事故情報が掲載されるため、完済から5年間は住宅ローンや車のローンを新規で契約することは難しいでしょう。
個人再生の場合は住宅ローン特則の利用で家を残せる
個人再生は任意整理と異なり、特定の債務者を整理の対象から外すことはできません。
そのため、車のローンが残っており、かつローン契約に「所有権留保特約」が付いている場合は、車を引き上げられてしまいます。(所有権留保特約が付いているかどうかは、ローン契約書に所有権留保特約に関する記載があるかどうかで判断できます)
所有権留保・・・売買契約において売主(ローン会社やカーディーラーなど)が売買代金を担保する目的で、代金の完済まで購入物(車など)の所有権を留保すること。
ただし、個人再生では「住宅ローン特則」を利用できるので、住宅ローンをいままでどおり返済していけばローンの残っている家は手放さずに済みます。
住宅ローン特則・・・特例として住宅ローンを整理の対象から外し、住宅ローン以外の借金を個人再生で減額できる制度。住宅ローンはいままでどおり返済し続けることになるため、家を手放さずに借金の大幅な減額が可能。
なお、既にローンを完済している家や車については、個人再生をしても引き上げられる心配はありません。
自己破産の場合は原則として家や車を没収される
自己破産の場合、原則として家や車は没収されてしまうと考えたほうがよいでしょう。
前述したように、債務者が保有する財産の中で自由財産に該当しないものについては、自己破産をすると破産管財人によって換価処分され、債権者に配当されてしまいます。そして、家や車は基本的に自由財産には該当せず、換価処分の対象となるケースが多いです。
ただし、車については価値が20万円に満たない場合、自由財産として手元に残せる可能性があります。
どのような財産が自由財産として扱われるのかについては、管轄する裁判所によって判断が異なります。そのため、あらかじめ弁護士の無料相談を利用して確認しておくとよいでしょう。
債務整理をしたら家族はどうなる?
「自分が債務整理をしたら、家族に悪影響が及ぶのではないか?」と気にする人は多いです。
実際のところ、債務整理をすることで債務者の家族に何らかの影響が及ぶことはあるのでしょうか?
また、その影響とはどのようなものなのでしょうか?
次の項目から、詳しく解説します。
家族に直接的な影響はない
結論からいうと、債務整理をすることで債務者の家族に直接の影響が生じることは、原則ありません。
たとえば自己破産を選択して財産を処分される場合も、対象となるのは債務者本人名義のものだけですし、本人の代わりに家族が借金の督促を受けることもありません。
また、債務者が債務整理をすることによって債務者の家族もブラックリストに掲載されたり、自己破産による職業制限や移動制限が債務者の家族にまで及ぶこともないのです。
ブラックリスト掲載などにより家族に間接的に不便を生じさせる可能性はある
ただし、債務者本人がブラックリストに載ることで、ローンを組んだり保証人になることができなくなるため、子どもの学資ローンを組んだり奨学金の保証人になることはできなくなります。
また、自己破産を選択した場合、債務者名義の持ち家や車などが没収され引っ越しを余儀なくされたり、移動手段を失って不便な生活を強いられるなどの影響が生じることは考えられます。
さらに、学資保険など積立式の保険を債務者名義で契約していた場合、解約返戻金の合計額が20万円を超えると換価処分されてしまう恐れもあるのです。未就労の子供名義で貯金がある場合は、破産管財人の判断によっては本人の財産として換価処分の対象とされることもあります。
家族が連帯保証人になっている場合は請求がいく点に注意
原則として、債務整理をしても債務者本人の代わりに家族が借金の督促を受けることはありません。
ただし、家族が借金の連帯保証人となっている場合には、債務整理をすると債務者の家族が債権者から督促を受けてしまいます。
家族が連帯保証人となっている場合は、事前に家族とよく話し合い、場合によっては一緒に債務整理をおこなうことも検討するべきといえます。
債務整理をしたら周囲に知られる?
「債務整理をしたら、その事実を家族や勤務先、近所の人など、周囲に知られるのではないか?」と気にする人は多いです。
実際のところ、債務整理をしたら、その事実は周囲に知られてしまうのでしょうか?
次の項目から、詳しく解説します。
原則、債務整理が周囲に知られることはない
結論からいうと、債務整理をした事実が周囲に知られることは、原則ありません。
なお、自己破産や個人再生を選択した場合は、官報に氏名や住所が掲載されます。
官報・・・国が発行する新聞のようなもので、誰でも見ることが可能。
ただし、実際に官報を読んでいるのは以下のようなごく一部の人に限られます。
- 税務署
- 市区町村役場の税金担当者
- 信用情報機関
- 金融機関の担当者
- 動産関係の担当者
- 警備会社の担当者
- 保険会社の担当者
- ヤミ金融業者
一般の人は存在すら知らない場合がほとんどであり、官報に掲載されたせいで勤務先や近所の人など周囲に債務整理をした事実が知られる心配はほぼないでしょう。
同居の家族の場合、自己破産が知られる可能性はある
ただし、自己破産を選択した場合、同居している家族については債務整理をした事実が知られてしまう可能性は高いでしょう。
というのも、自己破産手続きでは同居人の収入証明や家計簿の提出が必要であり、書類作成に家族の協力が不可欠です。裁判所から送られてくる郵便物を見られたことにより、家族に知られてしまうこともあります。
また、自己破産をすると債務者が所有している財産は処分されてしまうため、債務者名義の家や車などを没収された結果、家族に知られてしまうケースもあり得ます。
債務整理は「しないほうがいい」「したら終わり」という噂は本当か?
Web上などで債務整理について調べていると「債務整理はしないほうがいい」「債務整理はしたら終わり」といった言葉を目にすることもあるかもしれません。
実際のところ「債務整理はしないほうがいい」「債務整理はしたら終わり」という噂は本当なのでしょうか?
次の項目から、詳しく解説します。
ブラックリストの制限を不便に感じる方はいる
結論からいうと、人によっては「債務整理はしないほうがいい」「債務整理はしたら終わり」と感じる場合もあるといえます。その理由は、ブラックリスト掲載による生活上の制限を不便に感じる人が一定数いるためです。
債務整理をすると、その情報が事故情報として信用情報に掲載され、いわゆる「ブラックリストに掲載された状態」となります。
ブラックリストに掲載されると、以下のようにさまざまなデメリットがあります。
- クレジットカードが利用できなくなる
- キャッシングやローンで新たな借入ができなくなる
- 携帯電話を分割で購入できなくなる
- 賃貸物件の契約ができない恐れがある
- 子供の奨学金などの保証人になれない
なお、ブラックリストに掲載された情報は一生残るわけではなく、債務整理後5〜10年で削除されるのが一般的です。
メリットがデメリットを上回るなら債務整理したほうがいい
債務整理をする場合、ブラックリストに掲載されるというデメリットを避けることはできません。しかし、そのデメリットを上回るメリットが得られるなら、やはり債務整理はすべきだといえます。
弁護士事務所や司法書士事務所などの公式サイトに掲載されている解決事例を見ても「もっと早く手続きに踏み切ればよかった」という声が非常に多く、実際に債務整理をした人はデメリットよりもメリットを強く感じているようです。
いま現在、借金の返済が苦しい状況なら、債務整理によるデメリットよりもメリットのほうが上回る可能性が高いので、必要以上に心配せずまずは弁護士や司法書士に相談してみることをおすすめします。
次の項目から、債務整理をするメリットがデメリットを上回るケースについて、さらに詳しく解説します。
メリットがデメリットを上回るケース
債務整理をするメリットがデメリットを上回るケースは、主に以下の5つです。
- 借金総額が年収の1/3を超えている場合
- すでに滞納している場合
- 完済まで8年程度以上かかる場合
- 返済のために新たな借入をしている場合
- 3社以上から借入をしている場合
借金総額が年収の1/3を超えている場合
借金総額が年収の1/3を超えている場合、自分の支払能力を超える借金を抱えており、債務整理をするメリットがデメリットを上回る可能性が高いでしょう。
総量規制という法律により、個人が借入できる金額は年収の1/3までと定められています。
総量規制・・・貸金業者から借りられるお金の総額が本人の年収の1/3を超えてはならないとする法律。貸金業法第13条の2第2項が総量規制を定めた条文に該当する。
銀行からの借入やクレジットカードのショッピング枠など、総量規制の対象外となる借入もあるため、実際には年収の1/3を超える金額を借りられることもあります。
ただし、総量規制で定められた借入額の上限は、一般的にその人が返済可能な金額の目安にもなっているため、年収の1/3を超える借金は自分の支払能力を超えていると考えたほうがよいでしょう。
参照:貸金業法第13条の2第2項 | e-Gov法令検索
すでに滞納している場合
借金を滞納していると、滞納1日ごとに遅延損害金と呼ばれる損害賠償金を請求されます。
遅延損害金の利率は、一般的に通常の利息より高く設定されているので、滞納せず借金をしている場合より早いスピードで借金額が増えていく恐れがあるでしょう。
そもそも、借金を滞納している時点で自力では返済できなくなっており、自分の支払能力を超える借金を抱えていると考えられます。
自分の支払能力を超える借金は、完済の目処を立てることが難しく、債務整理をした場合にメリットがデメリットを上回る可能性が高いです。
完済まで8年程度以上かかる場合
住宅ローン以外で、完済まで8年程度以上かかる場合は、毎月返済していても利息の割合が高いため、元金にあまり充当されていない可能性があります。
この場合、早く借金を完済するには、毎月の返済額を増やして元金の返済に充てられる金額を増やすか、金利の低いローンへ借り換えるなどの対処が必要です。
しかし、今後も返済金額をアップできる見通しがなく、金利の低いローンへの借り換えも難しい場合は、早めに任意整理などの債務整理をおこない、元本のみの返済に切り替えるべきだといえます。
なお、任意整理をするとブラックリストに掲載されてしまいますが、これは借金を滞納した場合も同様です。現時点で滞納するリスクが高い状態なら、ほぼデメリットなく任意整理をおこなえるので、有効な解決策として検討するべきだといえます。
返済のために新たな借入をしている場合
返済資金の工面に困ると、新たな借入をして返済資金を用意する人がいます。
たとえば、金融機関Aから借入をしており、毎月5万円ずつ返済しているとします。Aへの返済が苦しくなり、金融機関Bから5万円借りてAへ返済した場合について考えてみましょう。
このとき、Aに5万円を返済しても利息へ充当される部分があるため、実際に減るAの借金は5万円より少ないです。そして、Bから借りた5万円を返済する際には、利息を上乗せして返さなければならないため、実際に返済しなければならない金額は5万円より多くなります。
このように、返済のための借入を繰り返していると利息がかさみ、借金が雪だるま式に増えてしまうのです。もし、返済のために新たな借入をしている状況なら、借金が増えるリスクを考えれば、債務整理をした場合のデメリットよりメリットが上回ると考えられます。
3社以上から借入をしている場合
借入先が複数社ある場合は返済日や返済方法などがバラバラで、うっかり入金を忘れて滞納してしまったり、計画的に返済資金を用意できなくなるリスクが高くなります。とくに、3社以上から借入をしている人は、支払いの管理がしづらくなる傾向にあるので注意が必要です。
くわえて、3社以上の金融機関から借入をしている場合、借入の理由が「返済資金を用意するため」であるケースが多いです。新たな借入をしないと返済資金を工面できないということは、自力での返済が困難になっている証拠であり、支払能力を超える借金を抱えているといえるでしょう。
前述したように、自分の支払能力を超える借金は完済の目処を立てることが難しく、債務整理をした場合にメリットがデメリットを上回る可能性が高いです。
債務整理手続きの一般的な選び方
一口に債務整理と言ってもさまざまな種類があり、どの手続きを選ぶかによってメリット・デメリットや手続きにかかる期間などは異なります。
そのため、自分に最適な債務整理手続きの選び方がわからず、悩んでしまう人も多いでしょう。
そこで、この項目では、債務整理手続きの一般的な選び方について詳しく解説します。
任意整理→自己破産→個人再生の順で検討するのが一般的
一般的に、債務整理手続きを利用する際は、どんなに高額な借金を抱えている人でも、まず任意整理で解決できるかどうか考えていきます。最初から自己破産や個人再生の利用を検討することはありません。
なぜなら、債務整理は「借金の返済ができない人のための救済措置」として作られた制度だからです。返済可能な借金まで減額の対象にしてしまうと、債権者にとってあまりにも不利であり、債権者の権利を侵害することになりかねません。
そのため、あくまでも返済できない分の借金だけを減額の対象とするよう、最も借金の減額率が低い任意整理の利用を最初に検討するのです。
たとえ多額の借金額があっても、高額な収入を得ている人であれば完済することも不可能ではありません。もし、債務者が利息をカットすれば返済できるくらいの返済能力を有しているなら、任意整理をして借りた分の金額はしっかりと返済するという形で解決することになるでしょう。
任意整理での解決が難しい場合、債務者は返済できない借金を抱えていると判断されるため、より借金の減額率が高い自己破産で解決可能か検討します。
しかし、自己破産には財産の没収や資格制限など、さまざまなデメリットがあります。個々の状況によっては自己破産で借金がゼロになっても、自己破産のデメリットによって生活再建が困難となってしまう人もいるでしょう。
そのような人のためにあるのが、個人再生という債務整理手続きです。個人再生は「財産を手元に残せる」「資格制限がない」など、自己破産のデメリットを避けながら任意整理以上に借金の負担を軽減できる手続きです。
一方で、個人再生は自己破産と同等の手続き費用がかかるにも関わらず、借金が100万円以上残ってしまう手続きでもあります。ゆえに、自己破産をしてもほとんどデメリットがない場合、個人再生を利用することはまずありません。
以上のような理由から、債務整理手続きの利用を検討する際は、任意整理→自己破産→個人再生の順で検討するのが一般的とされています。
どの手続きが適するかは専門家にアドバイスをもらおう
同じ債務整理手続きを選択したとしても、借金の減額率や生活に与える影響は個々の状況によって大きく変わります。
また、各債務整理手続きには、それぞれ異なる「利用するための条件」があります。
そのため、自分に最適な債務整理手続きを見極めるには、幅広い法律の知識を持って多角的に検討することが必要です。法律の知識を持たない一般の人が自力で判断するのは、極めて難しいでしょう。
もし、返済困難な借金を抱えており債務整理を検討しているなら、無理に自力で判断しようとせず、まずは弁護士や司法書士など法律の専門家へ相談することをおすすめします。
弁護士や司法書士に相談すれば、一人ひとりの状況に合わせて最適な債務整理手続きを教えてもらえます。また、希望どおりの手続きをおこなうにはどのような点に気をつければよいのか、今後の行動についてアドバイスをもらうことも可能です。
なお、当サイトでは債務整理に詳しい弁護士・司法書士を多数紹介しているので、まずは気軽に無料相談を利用してみてください。
まとめ
債務整理をすると「借金が減額・免除される」「債権者からの督促が止まる」などの効果が得られますが「信用情報に事故情報が載る」などの制限やデメリットもあります。
また、債務整理によって掲載された事故情報が消えるまでの期間には、債務整理の種類によって違いがあるなど、選択する手続きによって生活に与える影響は異なることがわかります。
そのため、債務整理に関して正しい知識を身につけ、自分に最適な手続きを慎重に選ぶことが大切です。
この記事を読んで、債務整理を前向きに検討している人も、債務整理を本当にするべきか迷っているという人も、まずは無料相談を利用して弁護士や司法書士に相談してみてください。
個々の状況によって最適な解決策は異なるため、専門家に詳しく話を聞いてもらい、あなたにとって最適なアドバイスをしてもらいましょう。
債務整理後の生活についてよくある質問
債務整理で得られる効果にはどのようなものがありますか?
債務整理で得られる効果には、以下のようなものがあります。
・借金が減額・免除される
・債権者からの督促が止まる
債務整理に伴う生活上の制限とデメリットにはどのようなものがありますか?
債務整理に伴う生活上の制限とデメリットには、以下のようなものがあります。
・信用情報に事故情報が載る(全手続き共通)
・原則として財産を処分される(自己破産の場合)
・資格制限を受ける(自己破産の場合)
・官報に掲載される(自己破産・個人再生の場合)
債務整理したら信用情報に載った事故情報は何年で消えますか?
債務整理によって掲載された事故情報は、債務整理の種類や信用情報を管理している信用情報機関によって、消えるまでの期間が異なります。一般的に、
・任意整理の場合は「完済してから5年」
・自己破産・個人再生の場合は「手続き開始時点から5~10年」
と考えておきましょう。
債務整理したらローンの残っている家や車はどうなりますか?
ローンが残っている家や車への影響は、選択する債務整理の種類によって以下のように異なります。
・任意整理の場合は家や車のローンを対象から外せば影響しない
・個人再生の場合は住宅ローン特則の利用で家を残せる
・自己破産の場合は原則として家や車を没収される
自分に最適な債務整理手続きの選び方がわからず悩んでいるのですが・・・
自分に最適な債務整理手続きを見極めるには、幅広い法律の知識を持って多角的に検討することが必要です。債務整理を検討しているなら、無理に自力で判断しようとせず、まずは弁護士や司法書士など法律の専門家へ相談することをおすすめします。
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