債務整理をするとどんな郵便物がどこに届くのか?
債務整理を家族に内緒で進めたい場合、手続きに関する郵便物がどこに届くのか気になる方も多いと思います。
まずはその点について詳しく見ていきましょう。
1.弁護士や司法書士への依頼後は郵便物が自宅に届くことはほとんどない
結論から言うと、弁護士や司法書士に債務整理を依頼すれば、専門家が債権者とやり取りをしてくれるので自宅に郵便物が届くことはありません。
これは弁護士や司法書士が債権者対応の窓口になるからです。
債務整理を弁護士や司法書士に依頼すると、すぐに受任通知(介入通知)という書類を債権者宛てに送付してくれます。
この受任通知には、弁護士や司法書士が債務者の代理人として債務整理手続きを始める旨や、借金の取引履歴の開示を求める文言が記載されています。
さらに、受任通知には債権者が債務者と直接やり取りすることができなくなるという効力もあります。
これは弁護士や司法書士からの単なるお願いという程度のものではなく、受任通知を受け取った債権者は債務者に返済請求をしてはならないと貸金業法できちんと定められているのです。
これに違反した債権者には、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられるため、弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると債権者から自宅に郵便物が届くことはおろか、電話やメールなども一切来なくなるのが通常です。
債務整理手続き開始後は、債権者からの郵便や連絡はすべて担当の弁護士や司法書士にいくようになります。
2.弁護士や司法書士事務所からの郵便物は郵便局留めや事務所受取も可能
弁護士や司法書士と委任契約を交わした後は借金の借入先からの郵便物が自宅に届くことはありませんが、弁護士や司法書士からの書類が自宅に届くことはあります。
たとえば、委任契約書や任意整理手続きの和解書、着手金や報酬の領収書などが挙げられます。
しかし、担当の弁護士や司法書士に家族に内緒であることを告げておけば、事務所名が記載されていない封筒で郵送してくれる、郵便局留めにしてくれる、事務所受け取りにしてくれるなどきちんと配慮してもらえるので安心です。
家族に知られずに債務整理したいという人は多いですから、事務所側も嫌な顔をせずに協力してくれます。
3.債務整理中でも裁判を起こされれば自宅に郵便物が届く
債務整理の手続きを弁護士や司法書士に依頼した後でも、債権者から訴訟を起こされると自宅に裁判所から特別送達という郵便物が届いてしまいます。
実は、受任通知送付後でも債権者が裁判を起こすことまでは禁止されていないのです。
そのため、裁判所を介さず債権者と和解交渉をしていく任意整理という手続きを選択した場合には、弁護士や司法書士へ依頼した後でも訴訟される可能性はあります。
しかし、任意整理後に訴訟に発展するのは手続き開始後2~3ヵ月経過しても和解交渉がまとまらないケースがほとんどなので、任意整理をしてすぐに訴訟を起こされることはほぼありません。
もちろん弁護士や司法書士も債権者から訴訟を起こされないよう、スピーディーに和解できるよう努めてくれるので安心してください。
万が一裁判を起こされても和解は可能なので、裁判を起こされることに不安を感じて任意整理を躊躇する必要はありません。
4.債務整理後の返済が滞っても自宅に郵便物が届く可能性は低い
債務整理のうち、自己破産は借金が全額免除されるので返済の必要はありませんが、任意整理や個人再生は債務整理後に残った借金を原則3年かけて支払っていく必要があります。
そのため、返済再開後もし支払が遅れたらこれまでのように債権者から連絡が来るのではと不安に思うかもしれませんが、債務整理後に支払が遅れても弁護士や司法書士へ連絡がいくので自宅に郵便物が届く可能性は低いです。
ただし、弁護士や司法書士と結んだ委任契約の内容によっては完済するまでの間に委任関係が終了する場合もあり、滞納時に委任関係が継続していなければ連絡はすべて債務者本人に行くことになります。
特に、債務整理後の支払を弁護士や司法書士に代行してもらわずに、自身で振込する場合は債務整理手続き完了をもって委任契約も終了となる場合がほとんどなので気を付けましょう。
また、完済時には完済証明書が送付されるので、自宅に届くと最後の最後で家族にバレてしまうこともあり得ます。
そういった事態を防ぐためには、手続き開始から完済するまでの間ずっと委任関係を継続してくれる弁護士や司法書士に依頼するのが安心です。
郵便物以外で債務整理をしたことが家族にバレる危険はあるので要注意
専門家に依頼すると郵便物によって家族に借金や債務整理の事実が知られる心配はありませんが、郵便物以外で家族にバレることもあるので注意してください。
実際、家族にバレる危険があるのはどういうシチュエーションなのかをまとめました。
債務整理をすると最低5年はローンやクレジット契約ができなくなり不審がられる
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産という3通りの手続きがありますが、どの手続きでも債務整理後はローンやクレジットの契約ができなくなります。
なぜなら、債務整理をすると個人信用情報機関にて金融事故として記録されるからです。
これはいわゆるブラックリストと呼ばれる状態で、ローンやクレジットカードの申込をしても信用がないと判断され審査に落ちてしまうのです。
そのため、車や家など高額お買い物の際にローンを組めずに疑われる、所有しているクレジットカードが使えなくなるうえ新たにクレジットカードが発行できなくなり疑われることがあるでしょう。
ただし、信用情報機関でブラックリスト状態になるのは、任意整理なら5年間、個人再生または自己破産なら5年〜10年間であるため、一定期間経過すればローンも組めるようになるので安心してください。
また、ブラックリスト入りするのは債務者本人だけなので、家族の名義ならローンやクレジットの契約は可能です。
任意整理は最も家族にバレにくい手続き方法
家族に知られずに債務整理をしたいなら任意整理を検討しましょう。
なぜなら、任意整理は裁判所を介さずに債権者と和解交渉を行いますし、財産や資産も回収されませんので最も家族に知られにくい手続きと言えるからです。
さらに、任意整理の手続き費用は自己破産や個人再生よりも安いことが多いうえ、早ければ3ヵ月で手続きが完了するので、債務者にとって負担が少ないのもメリットです。
ただし、前述したように任意整理でも和解交渉に時間がかかれば裁判を起こされ自宅に郵便物が届くことはありますし、信用情報機関に5年間事故情報が記録されることで家族にバレる可能性があることは理解しておきましょう。
後からバレたら家族からの信頼を大きく失うでしょうから、最もバレにくい任意整理でも前もって家族に打ち明けておくことをおすすめします。
なお、任意整理は利息をカットしてもらう手続きで大幅な借金減額はできませんから、あまりにも借金が多額だと任意整理が不向きとされる場合もあります。
とにかくまずは弁護士や司法書士に相談して、任意整理をするべきかどうか判断を仰ぎましょう。
任意整理のメリットや注意点も知りたい方は、「任意整理とは?メリットや減額効果について徹底解説!」も合わせてご覧ください。
任意整理後でも完済までに3年程かかるので隠し通せないこともある
任意整理は最も家族に知られにくい債務整理の方法ではあるものの、和解がまとまり借金の返済が再開すると通帳を見られて家族にバレる危険はあります。
また、任意整理後に残った借金は原則3年かけて完済していくことになるので、3年間はずっと隠し通さなければなりません。
自分しか開けられない鍵付きの引き出しや金庫などに通帳をしまっておく、もしくはいっそのこと通帳記入をしないでおくのであれば隠し通せる可能性はあります。
完済した後に発行される完済証明書も、家族に見られないようにしてください。
個人再生や自己破産は家族に内緒にするのが難しい手続き方法
債務整理のうち、個人再生と自己破産は裁判所を介して行う方法のうえ、高価な財産や資産を回収されるので家族に知られずに手続きを進めることは難しいです。
しかし、任意整理とは違い大幅に借金を減らせるメリットはあります。
実際、個人再生では借金を5分の1程に減額でき(債務総額によって減額幅は異なります)、自己破産に関しては借金が全額帳消しになります。
そのため、専門家に任意整理では完済が見込めないと判断された場合は、個人再生や自己破産を検討することが一般的です。
家族にバレたくないという気持ちは十分理解できますが、勝手に個人再生や自己破産を進めたせいで家族から見放されてしまう可能性もありますから、事前に借金の事実を告げておきましょう。
また、個人再生や自己破産を躊躇したために、多額の借金返済で生活もままならなくなったり、差し押さえになったりして家族に迷惑をかけてしまうこともあるので、1日も早く行動してください。
裁判所から同居家族の収入証明書類を求められることがある
個人再生や自己破産では裁判所に申立をして、借金の返済が難しいことを認めてもらう必要があります。
その際に、自身の収入証明書のほか、同居する家族の収入を証明する書類の提出を求められる可能性があるのです。
家族で収入を得ているのが自分だけなら問題ないでしょうが、配偶者が働いている場合は給料明細をもらわなければなりません。
また、家計簿(家計表)を提出しなければならない場合もあるので、家計の管理をすべて配偶者任せにしているなら協力してもらう必要があるはずです。
このように個人再生や自己破産では家族のサポートが必要不可欠なので、隠し通せるという期待は持たないのが賢明です。
財産を没収される可能性が高いので家族に隠し通せない
利息のカットが可能な任意整理と比べると、個人再生や自己破産は借金を減額できる割合が大きい一方で、高価な資産や財産は債権者に配当するため回収されるというデメリットも持ち合わせています。
個人再生に関しては住宅ローン特則(住宅資金特別条項)が利用できるので持ち家は維持し続けることができますが、ローンが残っている車や貴金属などは没収されてしまいます。
また、自己破産はローンの有無に関わらず、99万円以下の現金などの一部の例外を除いて、すべての財産が換価処分の対象となります。
このように個人再生と自己破産では債務者名義の車などを手放すことになるので、家族にも黙っておくことはできないでしょう。
自宅を回収されるとなれば今後の引っ越し先も考えなければなりませんから、なおさら家族としっかり話し合う必要があります。
弁護士や司法書士とのやり取りでバレる可能性もある
弁護士や司法書士は家族に知られたくないという債務者への郵送物は配慮してくれますが、債務整理を進めるうえで電話やメールでのやり取りは必須です。
そのため、弁護士や司法書士との電話の様子やメールを見られて家族にバレる可能性はあります。
特に日頃からあまり携帯電話を利用しない人だと、何だか不自然だと思われてしまうかもしれません。
家にいる時には携帯をマナーモードにしておく、家族の前ではなるべく弁護士や司法書士とやり取りをしないようにしておくなど気を付ける必要があります。
まとめ
債務整理手続きを弁護士や司法書士に委任した後は、受任通知の発送をもって債権者から債務者へ電話する、郵便物を送るなど直接のやり取りをすることができなくなります。
しかし、債務整理手続きが完了し借金完済までの間に委任契約が終了してしまうと、債務整理後の返済中に支払が遅れた場合は債権者から自宅に督促状が届いたり、完済した場合は完済証明書が自宅に届いたりすることになります。
自宅に郵送物が届くことで家族にバレるのが不安なら、弁護士や司法書士へ債務整理を依頼する際に、完済まで委任契約が継続可能なのかを確認しておくと安心でしょう。
また、債務整理のなかでも任意整理は最も家族に知られにくい手続きなので、弁護士や司法書士に任意整理が自分に適しているか調べてもらうと良いです。
ただし、どの債務整理手続きでも一定期間ローンが組めなくなることで家族に疑われる危険があるので、できれば事前に借金があることを家族に打ち明けておくことをおすすめします。
一人で抱え込むより家族で悩みを共有できる方が精神的にはとても楽になるはずです。
債務整理と郵便物の関係についてよくある質問
債権者からの郵便物を止めたい場合、債務整理は有効ですか?
債務整理を弁護士や司法書士に依頼すれば、それ以降は債権者が債務者へ直接、郵便物などで督促することができなくなります。よって、債務整理をすれば債権者からの郵便物が自宅へ届くのを止められます。
任意整理の場合、手続きを依頼すればそれ以降、自宅へ借金や債務整理関係の郵便物が届くことは一切ありませんか?
任意整理中に交渉が長引くと、訴訟を起こされ裁判所から通知が届くことがあります。弁護士や司法書士からの郵便物は郵便局留めや事務所受取が可能ですが、裁判所はそのような柔軟な対応はしてくれないので、通知は自宅へ直接届いてしまいます。
債務整理を検討していますが、自宅に弁護士や司法書士からの郵便物が届くのが嫌で躊躇しています。
依頼する弁護士・司法書士事務所によっては、弁護士や司法書士からの債務整理手続きに関する書類を、郵便局留めや事務所受取にしてくれます。自宅に弁護士や司法書士からの郵便物が届くのが嫌なら、そのような対応をしてくれるのか事前に確認してから依頼する弁護士・司法書士事務所を決めるとよいでしょう。
自宅に郵便物が届く以外で、債務整理したことが家族にバレる危険はありますか?
郵便物が届く以外でも、ローンが組めなくなる、資産を没収されるなど家族にバレる危険はあります。債務整理による影響を最小限に抑えたいなら、任意整理を選択するのがおすすめです。自分の場合、任意整理で解決は可能なのか、詳しく知りたい場合は弁護士・司法書士事務所へ直接相談するとよいでしょう。
債務整理とはどのようなものですか?
債務整理は、利息や元金をカットし返済総額を大幅に減らせる国が認めた借金救済制度です。債務整理には複数の方法があり、主に「任意整理」「自己破産」「個人再生」を用いて借金問題を解決します。どの方法が適しているかは個人によって異なるので、弁護士・司法書士事務所へ直接相談して確認するとよいでしょう。
最短即日取立STOP!
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