任意整理するとETCカードは使えなくなる
任意整理を利用すると債務者の日常生活にいろいろな影響が生じますが、ETCカードもその例外ではありません。
現在使用しているETCカードがクレジットカード機能付きのものならば、任意整理を利用してから約5年は使えない状態に陥ってしまいます。
なぜならクレジット機能付きのETCカードは与信審査に通ることが前提で使用できるカードである以上、任意整理を利用してブラックリストに登録された債務者名義で発行しているETCカードは使用不可になるからです。
つまり、これを言い換えれば、任意整理を利用してもブラックリストの登録が抹消されたら再度ETCカードを使えるようになるということになります。
そこで、以下3項目に沿って、任意整理でETCカードが使えなくなる理由と使用不可の期間について解説します。
- ETCカードとは与信前提のカード
- ETCカードは任意整理を利用すると使えなくなる
- ETCカードは任意整理から5年が過ぎれば使えるようになる
それでは、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
なお、債務者が所有するETCカードが具体的にいつから使えなくなるかなどについては、任意整理の手続きを進める弁護士が状況を把握しているので、ご相談ください。
ETCカードとは与信前提のカード
ETCカードとは、有料道路のETC専用レーンを利用して有料道路の使用料金を自動で支払うためのカードです。
車内に設置したETC車載器にETCカードを挿入すれば有料道路の出入りが可能になり、使用料金は後日カード決済される仕組みになります。
ETCカードは、一体型ETCカードとETC専用カードの2種類に区別できますが、どちらもクレジットカードの付帯サービスとして利用できるものです。
つまり、ETCカードは有料道路用のクレジットカードとも言えるので、ETCカードを使うためには与信審査に通ることが前提になります。
したがって、任意整理を利用してブラックリストに登録されるとカード会社の与信審査に通らないので、ETCカードは使用不可になってしまいます。
ブラックリスト登録と同時にETCカードは利用不可になる
ETCカードが使えなくなるのはブラックリストに登録されるからです。
つまり、任意整理を利用する以上、信用情報機関に金融事故情報が登録されることは避けられないので、ETCカードを発行しているクレジットカードを任意整理の対象にするか否かにかかわらず使用できなくなります。
任意整理でETCカードが使えなくなるタイミングは次の通りです。
|
ETCカードが使えなくなるタイミング |
クレカを任意整理の対象にした場合 |
任意整理を開始した時点(弁護士が受任通知を送付した時点)でブラックリストに登録されてカードが強制解約される |
クレカを任意整理の対象外にした場合 |
カード会社が利用者の与信審査でブラックリスト情報を知った時点で強制解約される |
このように、任意整理を利用するとブラックリスト情報が登録されるので、どこかのタイミングでETCカードは使えなくなってしまいます。
ただし、クレジットカードのメインカードとは異なり、ETCカードがいきなり使えなくなると有料道路で事故が起こるリスクがあるので、メインカードが使えなくなった後もETCカードは一定期間使える場合があります。
この場合には、将来的にETCカードが使えなくなる場面を想定して、出来るだけ早期に代替手段を検討しましょう。
なお、任意整理でETCカードが使えなくなったことが原因で事故が発生したとしてもカード会社には賠償請求等の法的措置はとれないのでご注意ください。
このように、借金問題を解決する際には、常に派生的な法的問題が生じうるので、法律の専門家である弁護士のサポートを受けながら手続きを進められると安心できるでしょう。
任意整理後、完済から5年が過ぎれば使えるようになる
ETCカードが使えないのはブラックリストに登録されている間だけなので、ブラックリストの登録情報が抹消されたタイミングでETCカードを使えるようになります。
任意整理をした場合のブラックリスト登録期間は約5年です。
このように、任意整理を利用してから約5年が経過すればブラックリスト情報が抹消されるのですが、任意整理後に再びETCカードの利用申し込みをする際には、信用情報機関に対して事前に開示請求を行って金融事故情報が抹消されているかを確認するのがおすすめです。
なぜなら、信用情報機関はブラックリスト情報を抹消しても通知をしてくれないので、債務者自身で情報開示をしなければブラックリスト登録期間中にカードの発行を申し込んで審査に落ちるリスクがあるからです。
そもそも、ブラックリストに登録されるタイミングも業者によって異なるので、あくまで約5年は目安の1つでしかありません。また、任意整理後の返済中の滞納情報も事故情報として登録されます。
したがって、確実にブラックリスト情報が抹消されたホワイトな状態でETCカードの新規発行を申し込むためにも、カードの入会申し込みの前に開示請求を欠かさないようにしてください。
ETCカードの代替となるカード4つ
任意整理の利用後のブラックリスト登録期間中はクレジットカードの付帯サービスとして発行されているETCカードは使えません。
ただし「ETCカードが使えない以上、現金払いでなければ高速道路を使えない」というわけではなく、以下の4項目の代替手段を活用すればETCカード利用時と同じように有料道路を通ることができます。
- 【ETCカードの代替手段1】ETCパーソナルカード
- 【ETCカードの代替手段2】家族カード付帯のETCカード
- 【ETCカードの代替手段3】ETCコーポレートカード
- 【ETCカードの代替手段4】法人ETCカード
それでは、任意整理後に利用できるETCカードの代替手段について、それぞれ見ていきましょう。
1.ETCパーソナルカード
ETCパーソナルカードとは、事前にデポジット(保証金)を支払うことを条件に、有料道路の支払いにだけ使えるETCカードのことです。
クレジット機能が付いていないので、任意整理を利用してブラックリストに登録されている債務者も発行することができます。
あくまでも、事前に支払うデポジットは保証金の意味で預託するものでありプリペイドカードのような前払金ではないので、有料道路の使用料金は別途金融機関の口座から引き落としが行われます。
また、有料道路の利用料金がデポジット額の80%を超えるとETCパーソナルカードの利用が一時的に停止するので、余裕のあるデポジット額を設定する必要があります。
なお、年会費1,257円(税込み)が発生するなどの利用時の注意点が多いので、詳細についてはETCパーソナルカード公式HPをご参照ください。
2.家族カード付帯のETCカード
債務者の家族名義で発行しているクレジットカードの家族カード付帯サービスとして発行できるETCカードを使えば、任意整理後にブラックリストに登録されている債務者も従来通りに有料道路を利用できます。
任意整理を利用して事故情報が登録されるのは債務者だけで、債務者の家族について何かしらの信用情報が登録されることはありません。
したがって、家族名義で発行しているクレジットカードは有効なままなので、家族名義で発行しているクレジットカードのサービスも利用できます。
ただし、カード会社によっては家族カードのETCカードが発行できない場合や枚数制限が規定されている場合があるので、カード利用規約等をご確認ください。
3.ETCコーポレートカード
ETCコーポレートカードとは、高速情報協同組合に加入する中小企業事業者が発行できる有料道路利用料金後払いのカードです。
東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社が発行する後払いカードで、首都高速道路・阪神高速道路の料金割引制度(1ヶ月あたりの利用額に応じて10%~20%の割引率)が用意されているという特徴があります。
締め日は毎月月末で、翌月20日に請求書が発送され、翌々月8日に口座振替が行われるので、口座残高に余裕をもって引き落としができる状態にしておきましょう。
また、ETCコーポレートカード1枚につき1台の車両番号しか登録できないこと、高速情報協同組合への加入費10,000円(組合脱退時に返金)、カード発行手数料629円、年会費629円が必要であることなど、ETCコーポレートカード利用時の注意点は少なくないので、詳細については高速情報協同組合の公式HPをご参照ください。
4.法人ETCカード
法人ETCカードとは、ETCコーポレートカードと同じように、高速情報協同組合に加入する法人、事業主が発行できる高速道路専用の料金後払いのカードです。
ETCコーポレートカードとは異なり、発行名義や登録車両にかかわらず貸し借りができるので、複数名で高速道路を利用するという人にとって便利なカードになっています。
5万円分走行すると5,000円の還元を受けられたり、ETCマイレージサービスの基準を充たせば無料通行券と交換できたりするといったサービスが豊富なので、普段から有料道路を利用する債務者にはおすすめです。
なお、法人ETCカードを発行するには、高速情報協同組合への加入費10,000円、カード発行手数料550円、年会費550円が必要であるなど注意点が少なくないので、詳細については高速情報協同組合の公式HPもあわせて参考にしてください。
任意整理によりETCカードが使えなくなるなどの不安は弁護士に相談を
任意整理を利用すると、ETCカードが使えなくなるといったように、債務者の生活にいろいろな影響が生じます。
債務者自身で任意整理をすることは可能ですが、任意整理のデメリットや任意整理後に生じるおそれがある問題について充分に理解しておかなければ、「こんなデメリットが生じるなら任意整理をしなければよかった」「任意整理をする前に対策をとっておけばリスクを回避できたのに…」と後悔することになりかねません。
そこで、これから任意整理の利用を検討している債務者におすすめなのが、事前に債務整理に強い弁護士に相談することです。
以下のように、弁護士に相談・依頼すれば、任意整理によって生じるデメリットやその対応策を教えてくれるだけではなく、多くのメリットが生じるからです。
- 弁護士に相談すれば不安を解消してくれる
- 弁護士に任意整理を依頼すれば借金の返済督促が止まる
- 弁護士に相談すれば生活面への影響を考慮して最適な債務整理を選択してくれる
- 任意整理の相談料・弁護士費用の支払い不安にも応じてくれる
それでは、任意整理を弁護士に相談するメリットについて、それぞれ見ていきましょう。
弁護士に相談すれば不安を解消してくれる
弁護士に相談すれば、任意整理を利用するとETCカードにどのような影響が生じるのか、ETCカードの代わりにどのようなカードが使えるのかなど、債務者が抱える現実的な不安も解消してくれます。
任意整理を希望する債務者ごとに抱えている事情は異なるので、例えば、普段から通勤時にETCカードを活用している場合や、営んでいる事業のために有料道路を頻繁に使うという場合には、ETCカードに生じる影響や代替手段に関する情報を弁護士から得られるのはメリットが大きいと考えられるでしょう。
また、任意整理を利用してブラックリストに登録されると、ETCカード以外にも以下のような日常への影響が生じます。
- ①クレジットカードは強制解約
- ②新規借入れ不可、新規ローンも組めない
- ③賃貸物件の契約審査に通りにくい
- ④携帯電話・スマホの分割払いができない
- ⑤奨学金の保証人になれない
例えば、①について、任意整理によってETCカードが使えなくなるということは、債務者名義で発行していたクレジットカードも当然使用不可になります。
ただし、ETCカードにETCパーソナルカードなどの代替手段が用意されていたように、クレジットカードにもデビットカード・プリペイドカード・家族カードといった代替手段が用意されているので、任意整理後もキャッシュレス決済を続けることができます。
また、③について、任意整理をすると賃貸物件の入居審査に通りにくくなる場合があるので、任意整理の前後で引越しを検討している債務者にとっては避けたいデメリットの1つです。
ただし、任意整理を利用したからと言って賃貸物件を退去させられることはないので、任意整理を利用する前のブラックリスト未登録の段階で賃貸物件を契約してしまえば問題なく入居できますし、入居審査で信用情報がチェックされないような物件を選べばブラックリスト登録情報がある債務者でも入居は可能です。
以上のように、弁護士に相談すれば、任意整理を利用する前の段階で今後生じるデメリットと対応策について丁寧に教えてくれるので、心構えができた状態で任意整理後の生活をスタートできます。
債務者ごとの事情に応じた有効なアドバイスを得るためにも、どうぞお気軽にご相談ください。
弁護士に任意整理を依頼すれば借金の返済督促が止まる
弁護士に任意整理を依頼すると、任意整理を依頼した段階で速やかに債権者からの返済督促が止まるというメリットが生じます。
なぜなら、債務者からの依頼を受けた弁護士はすぐに債権者に対して受任通知を送付し、弁護士から受任通知の送付を受けた債権者は債務者に対する返済督促が禁止されるからです。
もし弁護士に依頼をせずに任意整理を利用すると、債務者自身が債権者と直接交渉を続けなければいけないので、いつまでも「滞納している」というプレッシャーを受け続けながら交渉を進める必要があります。
これに対して、弁護士に任意整理を依頼すれば弁護士がすべての交渉窓口になってくれるので、債務者自身はストレスがない状態で任意整理手続きを進められます。
したがって、任意整理後の生活再建の準備をスムーズに進めるためにも、任意整理を行う際には弁護士への依頼がおすすめです。
弁護士に相談すれば生活面への影響を考慮して最適な債務整理を選択してくれる
弁護士に相談すれば、任意整理以外の債務整理手続きも検討したうえで、債務者にとって適切な方法を選択してくれるというメリットが生じます。
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産の3種類の手続きが用意されていますが、各手続きにメリット・デメリットがあるので、どの手続きが債務者にとって適切かを判断する必要があります。
なぜなら、債務者にとって相性が悪い債務整理手続きを選択してしまうと、各債務整理手続きがもつ借金改善効果を最大限発揮できないからです。
任意整理・個人再生・自己破産の各メリット・デメリットは以下の通りです。
|
任意整理 |
個人再生 |
自己破産 |
メリット |
・利息、遅延損害金をカット、返済期日を延長
・債権者と自由に交渉できる
・裁判所を利用しないので手続きが楽 |
・借金減額効果が大きい
・ローン返済中の自宅を手元に残せる |
・借金返済義務が免除
・無職でも利用できる |
デメリット |
・借金減額効果が弱い
・完済まで返済を続ける必要がある
・原則一定の収入が必要
・債権者の同意が必要 |
・裁判所の手続きが複雑
・ある程度収入がなければ利用できない
・債権者集会における再生計画の決議が必要 |
・自由財産以外の財産が処分される
・職業制限が生じるケースがある
・移動制限、郵便物の管理制限 |
例えば、「どうしても所有する自宅を手元に残したい」という債務者にとって自己破産は不適切です。
自宅を残したいという希望をもつ債務者には、任意整理・個人再生がおすすめです。
また、「借金減額効果を最優先にしたい」という債務者にとって任意整理は不適切です。
もちろん、任意整理でも利息・遅延損害金をカットできることが多いのですが、個人再生・自己破産を選択した方が大きい減額効果を得られるのでおすすめです。
このように、どの債務整理手続きを選択するかを決定するためには、債務者の状況や希望を専門的な目線から分析するプロセスが欠かせません。
したがって、借金問題に強い弁護士に相談をして、債務者の生活再建に役立つ債務整理手続きを選択してもらいましょう。
任意整理の相談料・弁護士費用の支払い不安にも応じてくれる
借金問題で苦しんでいる債務者の中には、「専門家である弁護士に相談したいが相談料を用意できない…」という不安を抱えている人も少なくないでしょう。
ただ、借金問題について弁護士に相談する際には、費用面に関する不安には柔軟に対応してくれるのでご安心ください。
例えば、借金問題に関する相談は無料の弁護士が多いです。
また、債務整理に必要な弁護士費用は分割払いなどに対応してくれることもあります。
したがって、弁護士への相談料を理由に債務整理を躊躇する必要はないので、どうぞお気軽にご相談ください。
>>【任意整理への不安を解消!】弁護士への無料相談はこちら
まとめ
任意整理を利用すると、クレジットカードの付帯サービスとして発行されているETCカードは使用不可になります。
ただし、ETCカードが使えなくなるのはブラックリストに登録されてから約5年間だけなので、ブラックリストの登録情報が抹消されたタイミングでふたたびETCカードを使えるようになります。
また、ブラックリストに登録されている間も、ETCパーソナルカード・家族カードのETCカードを使えば有料道路を使えるようになりますし、債務者自身が事業を営んでいる場合にはETCコーポレートカードや法人ETCカードを活用すれば割引制度のメリットを受けながらETCレーンで簡単決済が可能です。
以上のように、任意整理を利用してETCカードなどに影響が生じたとしても代替手段は用意されています。
債務整理に関する経験が豊富な弁護士に相談すれば、債務者の生活に生じうるデメリットや対応策を事前に教えてくれるので、任意整理を利用する前の段階で弁護士に不安を解消してもらいましょう。
任意整理のよくある質問
任意整理をすると、ETCカードは使えなくなってしまうのですか?
はい、現在利用しているETCカードは利用停止となり、新規での発行も基本的にはできません。
任意整理後に、ETCカードとして利用できるものはないのでしょうか?
パーソナルETCカードの利用がおすすめです。
パーソナルETCカードは、先に保証金を預け入れることを条件に審査なしで発行できるETCカードです。
ETCカードが利用できなくなるなら、任意整理しないほうがいいと思っているのですが、任意整理しないとどうなりますか?
返済が滞った場合、債権者から給料や財産の差押えを受ける可能性が高いです。
そしてその場合、自己破産でしか解決できないケースも多く、最終的には同棲相手に借金の事実が知られるうえに自己破産をすることになりかねません。
まずは弁護士へ相談して、任意整理のメリットや任意整理すべき状況にあるかを確認してみてはいかがでしょうか。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士を紹介」
任意整理をすると、一生ブラックリストに載ったままなのですか?
いいえ、そのようなことはありません。
任意整理後、完済から約5年でブラックリストからは削除されるので安心してください。
任意整理後、いつからETCカードが作れますか?
一般的に、信用情報から事故情報が抹消されるのは任意整理の場合、完済から5~10年後なので、最短で8年後と考えておくとよいでしょう。
最短即日取立STOP!
一人で悩まずに士業にご相談を
- 北海道・東北
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- 関東
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- 東海
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- 関西
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- 北陸・甲信越
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- 中国・四国
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