遅延損害金は免除してもらうことはできるのか?

借金を滞納したら遅延損害金がついてしまいました。利息より利率が高いので、これが続けばどんどん借金が増えてしまいそう・・・。
遅延損害金を免除してもらうことはできませんか?


残念ながら、自力で債権者と交渉して遅延損害金を免除してもらうことは難しいでしょう。遅延損害金は滞納に対するペナルティであり、債権者はそれを請求する権利があるからです。
遅延損害金を免除してもらいたいなら、弁護士や司法書士に任意整理を依頼しましょう。
任意整理なら、確実に遅延損害金を免除してもらえるのでしょうか?


多くの債権者は、弁護士が任意整理を受任すると、遅延損害金だけでなく、今後の分割払いで発生する将来利息の免除にも前向きに応じてくれます。
債権者がその条件をのむ義務はありませんが、応じなければ債務者が自己破産して全額回収できなくなるリスクがあるため、交渉には応じざるをえないでしょう。
既に滞納し、遅延損害金が発生しているなら、今が任意整理のタイミングだといえるでしょう。
「借金滞納で発生した遅延損害金は免除してもらえる?」
債務の滞納に対するペナルティの意味をもつ遅延損害金は、利息より高い利率が適用されるため、滞納が始まるとどんどん債務は増えてしまうでしょう。
弁護士などに任意整理を依頼することで、債権者に遅延損害金を免除してもらえる可能性があります。任意整理なら、遅延損害金だけでなく、今後分割払いで返済していく際の将来利息カットも期待できます。
この記事では、遅延損害金の免除を受けるためにとるべき「任意整理」という方法や、滞納を続けた場合のリスクについて解説します。
また、遅延損害金の具体的な計算方法もお伝えしますので、実際に自分の債務が数か月後にはいくらになってしまうのかがリアルにわかるでしょう。
当サイトでは任意整理の交渉に長けた弁護士・司法書士を紹介しております。遅延損害金がつき始めたら、そろそろ本格的に債務整理を検討してみましょう。

- 遅延損害金を免除してもらうなら任意整理が最も有効な方法
- 任意整理では遅延損害金だけでなく将来利息もカットできる可能性がある
- 遅延損害金の発生は本格的に借金を整理するタイミング
- 遅延損害金を無視すると、債務が増え、最終的には財産の差し押さえを受ける可能性もある
遅延損害金を免除してもらうなら「任意整理」が有効
借金を滞納することで発生してしまう遅延損害金は、自力で債権者と交渉して免除してもらうことは難しいでしょう。
遅延損害金を免除してもらうなら、弁護士や司法書士に「任意整理」を依頼するのが最も有効な方法です。
任意整理とは、遅延損害金や将来利息をカットする手続き
任意整理とは、弁護士などが債権者と直接交渉し、遅延損害金や将来利息をカットした内容で和解を目指す手続きです。
任意整理も債務整理手続きの一つですが、他の手続きと違い、裁判所が関与せず弁護士が任意に債権者と交渉します。そのため周囲に借金を整理していることがバレにくく、また交渉で自由に和解内容を決められるということも特徴の一つでしょう。
借金滞納時に任意整理を利用するメリット
任意整理には、以下のようなメリットがあります。
①他の債務整理手続きと比べ、最もデメリットが少なく借金減額が可能
任意整理は、自己破産や個人再生手続きと比べ、債務整理のデメリットが少なく済みます。
債務整理のデメリットで思いつく最も大きなものは、「信用情報にキズがつくこと」でしょう。債務整理を開始すると、その通知が「金融事故」として信用情報機関に記録され、その後5年から10年程度は新たな借り入れやクレジットカードの利用ができなくなります。これを「ブラックリストに載る」といいます。
自己破産をすると、場合によっては10年間金融事故が記録され続けることもありますが、任意整理では5年程度で記録が消え、借り入れやカード決済もできるようになります。
また、自己破産では、自分の財産を債務の弁済に充てるために提供しなければなりません。そのため、預貯金や車、家などの財産を手放す必要があります。
対して、任意整理は、財産を手放さずに借金の整理ができるのです。また、手続きをする債権者を選べるので、「車を残したいので車のローンは任意整理から外す」という選択も可能です。
②遅延損害金の他、将来利息もカットできる
任意整理をすることで、遅延損害金の他、将来利息をカットすることも可能です。
将来利息とは、和解後、債権者に対して分割払いを継続していく際に発生する利息のことです。
弁護士が債権者と交渉することで、遅延損害金のほか将来利息までカットしてもらうことに成功した場合、和解後に返済していく金額は、元金に近い金額になります。
③月々の返済額がおおよそ2分の1程度まで減る可能性も
弁護士が債権者と交渉し、遅延損害金や将来利息の全面的なカットに成功すれば、月々の返済負担を2分の1程度まで減額させることも可能です。
遅延損害金が既に高額になっている方や、消費者金融業者など、高い利率の貸金業者と取引をしている方の場合は特に、任意整理で遅延損害金や利息をカットするメリットは大きくなります。
もう一度無理のない返済計画を立て直すことで、債務の完済が現実的になるでしょう。
④一時的に返済や督促をストップできる効果も
弁護士などが債務者に代理人として任意整理を開始したことを通知すると、債権者は代理人弁護士を通さなければあなたに連絡を取ることができなくなります(貸金業法21条1項、債権管理回収業に関する特別措置法18条8項)。
そのため、弁護士などが介入すると、債権者からの取り立てがストップします。今まで度重なる取り立てに疲れていた方にとっては、それだけで精神的に楽になるでしょう。
また、任意整理の方法が決まるまでは、債権者への返済を一時的に停止できます。
この間に家計を整理し、毎月いくらまでなら返済に充てていけるかを弁護士と相談することになります。
任意整理の交渉基準となる「東京三会基準」について
弁護士が債権者と任意整理の交渉をする際には、「東京三会基準」を統一基準として臨みます。東京三会基準とは、債務整理手続きの処理方法を全国で統一するために設けられた基準です。
<東京三会基準>
- 初回から全ての取引内容を開示するよう請求する
- 利息制限法に基づき引き直し計算をしたうえで債務額を確定する
- 和解案の提示の際には、遅延損害金や将来利息は付さない
そのため、弁護士が任意整理で債権者と交渉する際は、全国どこの弁護士でも、今までの滞納によって発生した遅延損害金や、今後の分割弁済の際に発生する将来利息を付さない、元金のみの分割弁済和解を提案します。
ただし、東京三会基準はあくまでも弁護士会で決めた任意の基準であり、法的な拘束力はありません。

【東京三会基準とは】
東京にある3つの弁護士会(東京第一、第二、第三弁護士会)が設けた、クレジット・サラ金処理の全国統一基準で、全国の弁護士はこの基準を元に債権者と交渉します。
3つの基準のうち①の取引履歴開示、②の引き直し計算には法的根拠がありますが、③には法的根拠はありません。
しかし、通常任意整理をおこなう債務者は利息を付した返済が不可能な状態であるため、貸金業者も今では多くこの条件での和解に合意してくれます。
ただし、一部の貸金業者や、債務者側の返済態度が著しく不誠実だった場合には、この内容の和解に応じてもらえない可能性も十分にあり得るでしょう。
滞納した借金や遅延損害金を支払わないことで起こる3つのデメリット
借金を滞納したまま遅延損害金が蓄積していくことのデメリットは、債務額が増えるだけではありません。滞納に対応せずにいると、そのうち信用情報にキズがつき、最終的には財産を差し押さえられることもあります。
以下で、借金を滞納し、遅延損害金がつくことで起こるデメリットについて解説します。
①債務がどんどん増える
一つ目のデメリットは、遅延損害金が付加されることで債務が増えやすくなることです。
遅延損害金は滞納に対するペナルティの意味をもつため、利息より高利に設定することが利息制限法により許されています。
利息制限法第4条1項では、通常の利息の1.46倍を上限に遅延損害金を設定することが許されています。ただし、消費者金融業者からの借り入れは除外されます。消費者金融の遅延損害金は、20%が上限です。
そして遅延損害金は滞納日数分かかるので、滞納を続けるほど多くなります。
遅延損害金の計算方法は以下のとおりです。
この場合の債務額は、「支払期限の到来した分」の債務額で、残債務ではありません。
たとえば、遅延損害金20%で、60万円を毎月5万円ずつ返済する場合、約3ヵ月(120日)遅れると、遅延損害金は以下のように算出できます。
=2,958円
※小数点以下切り捨て、便宜上1ヵ月を30日とした場合
滞納が1ヵ月、2ヵ月と続くにつれて返済期限の到来した債務額も大きくなるため、それにつれて遅延損害金も大きくなるでしょう。
②信用情報にキズがつく
およそ2ヵ月以上滞納が続くと、債権者である貸金業者から、加盟する信用情報機構へ滞納の事実が報告されてしまいます。
金融事故が自分のクレジットヒストリーに記載される、つまり、「ブラックリストに載る」ということです。
貸金業者は信用情報機構の記録を見て貸し付けを行うかどうかの審査をします。そのため、信用情報にキズがつくと、「返済能力が低い顧客」とみなされるため、新たな借り入れや追加借り入れができなくなってしまいます。クレジットカードも使えません。
一旦金融事故が記録されてしまうと、滞納が解消しても一定期間記録は残り続けてしまいます。
③裁判を起こされ、給料などの財産を差し押さえられる
債権者からの度重なる督促にも応じずに滞納を続けると、貸金業者から訴訟や支払督促を申立てられる可能性があります。
裁判になれば、支払いが滞っているのは事実なので、反論はできません。相手の主張どおり、遅延損害金を付した全額を支払うよう命じる判決や命令が出るでしょう。
判決が確定すると、債権者は債務者の財産を差し押さえて、そこから債権を回収する権利を取得します。消費者金融業者やカード会社からの債務なら、多くの場合、契約時に記載した勤務先から給料を差し押さえられてしまうでしょう。
借金滞納は本格的に借金の整理を検討すべきタイミング
以上のように、借金滞納が始まると、たくさんのペナルティが科せられます。そして、滞納が長くなればなるほど、完済は遠のくでしょう。
しかし、既に滞納が長引き、遅延損害金が負担になっている方でも、遅くはありません。
任意整理をすることで返済負担は軽減し、完済までの道のりが見えてくるでしょう。
遅延損害金は返済不能に陥る前段階
遅延損害金が付されるということは、既に返済計画が狂い始めている状態です。特に他社にも債務がある場合は、一か所でつまずくと他の債権者に対する返済も、いずれ滞ってしまうでしょう。
返済は2ヵ月以上滞ると信用情報にキズが付き、債権者から訴訟や支払督促などを申し立てられる可能性も出てきてしまいます。
滞納放置が長引くほど完済までの道のりは遠くなりますので、遅延損害金が付され始めたら本格的に借金の整理を検討しましょう。
遅延損害金は任意整理でカット可能
前述のとおり、任意整理で弁護士が債権者と交渉すれば、遅延損害金をカットすることが可能です。
いま遅延損害金を負担に感じている方でも、元金部分を36~60回で割った金額を毎月返済に充てられるなら、任意整理できます。
遅延損害金と将来利息をカットし、元金のみの金額で和解ができれば、月々の返済負担を半額程度に抑えることも可能です。
任意整理なら周囲に知られずに借金を整理できる
任意整理は、他の債務整理手続きと違い、裁判所を経由せずに弁護士が直接債権者と交渉する手続きです。そのため、友人や会社の同僚などに知られることなく借金の整理ができます。
また、自己破産のように、財産を手放す必要もありません。
逆に滞納を繰り返せば自宅に督促状が届くことで家族にバレたり、最終的に給料差し押さえを受けて会社に滞納がバレたりする危険性もあるのです。
弁護士に任意整理を依頼すれば、債権者からの督促も止まります。また、誰にも知られずに借金の整理ができるよう配慮してもらうこともできるでしょう。
まとめ
遅延損害金は、自力で債権者と交渉して免除してもらうのは難しいでしょう。免除してもらうには、弁護士などに任意整理を依頼するのが最も有効な方法です。任意整理を依頼すれば、遅延損害金だけでなく、将来利息もカットしてもらえる可能性もあります。
しかし、遅延損害金は延滞の日数に応じて加算されていくため、できるだけ早い段階で対応しなければなりません。
既に返済が遅れ、遅延損害金が発生している状態なら、返済計画の立て直しのためには専門家の助言が必要です。債務整理に力を入れている事務所は、無料法律相談を設けています。借金問題を解決するためにも、一歩踏み出してみましょう。
遅延損害金に対するQ&A
利息が金銭を貸し付けることに対する利益であるのに対し、遅延損害金は、返済が遅れたことに対する損害賠償の意味をもつからです。滞納に対するペナルティなので、通常の利率よりも高く設定されることが法律で許されています。
当事者同士の契約で決めた場合、利息の1.46倍までの利率を遅延損害金とすることが可能ですが、消費者金融業者などからの借り入れは、20%が遅延損害金の上限です。
自分で交渉して免除してもらうことは難しいでしょう。債権者には、滞納のペナルティとして遅延損害金を受領する権利があるからです。
しかし、弁護士などに任意整理を依頼することで遅延損害金をカットした金額で再度分割弁済の和解契約を締結することも可能になります。
任意整理をするということは、債務者はすでに返済不能の状態にあるため、遅延損害金や将来利息カットの和解に応じなければ、自己破産されて全額回収できなくなってしまうからです。
遅延損害金は、無視してもどんどん加算されていきます。債務が増えれば増えるほど、完済が難しくなるでしょう。
また、2ヵ月以上滞納が続くと、信用情報機関に金融事故として報告されてしまいます。そのことで、新しい借り入れやカードの利用もできなくなります。
最終的には裁判手続きになり、財産の差し押さえを受けるリスクがあります。

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