法テラスで自己破産をする場合の費用目安と利用条件について

多額の借金があり自己破産を検討しているのですが、法テラスを利用するとよいと聞きました。法テラスとは何ですか?


法テラスとは、国によって設立された法的トラブルを解決するための総合案内所です。法テラスが提供するサービスの1つである「民事法律扶助」を利用すれば、経済的に困窮している人でも、自己破産をおこなえるように支援が受けられます。
なるほど。法テラスに行けば、安く自己破産ができるということですね?


法テラスの民事法律扶助を利用すれば費用立て替え制度を利用できるため、弁護士事務所へ直接依頼する場合より金銭的負担を軽くして自己破産ができる可能性があります。ただし、利用するにはいくつか条件をクリアしなければならないので注意してください。詳しくは無料相談を受け付けている弁護士事務所へ相談して、民事法律扶助の利用条件を満たしているか確認するとよいでしょう。
「自己破産について弁護士に相談したいけど、費用が高くて躊躇している」「生活保護を受給中なので、自己破産手続きをできるか不安」といった悩みを抱えている人は多いでしょう。
そのような場合、法テラスの民事扶助を利用することで、高額な費用を法テラスに立て替えてもらえるだけでなく、月5,000円程度の分割払いで無理なく返済させてもらえます。
ただし、法テラスの民事法律扶助を利用する場合「審査に時間がかかる」「担当弁護士を選べない」などのデメリットもあるため注意が必要です。
「すぐにでも自己破産手続きを開始したい」「自己破産の実績豊富な弁護士に依頼したい」といった場合は、弁護士事務所へ直接相談することをおすすめします。
なお、当サイトでは自己破産の実績豊富な弁護士事務所を多数紹介しているので、ぜひ気軽に無料相談を利用してください。

- 法テラスが提供するサービスの1つである「民事法律扶助業務」を利用すれば、経済的に困窮している人でも、自己破産をおこなえるように支援が受けられる
- 民事法律扶助は法テラス対応の弁護士に直接依頼する場合も利用できる
- 生活保護受給者は民事法律扶助を利用することで予納金が免除される場合もある
法テラスは自己破産費用の立て替えをしてくれるって本当?
自己破産を行うときは、裁判所の手続き費用や弁護士への報酬として、数十万円ほど必要になります。
「借金でお金がないのに自己破産の費用なんで払えない」と思う人もいるかもしれませんが、法テラスで相談することで、費用を立て替えてもらうことが可能です。
具体的にどのような制度で立て替えてもらえるのか、仕組みを詳しく解説します。
そもそも法テラスとは?
法テラスとは、正式名称を日本司法支援センターといい、2006年4月10日に国によって設立された法的トラブルを解決するための総合案内所です。
「法律相談の窓口を一本化しよう」という意図で設立されたため、借金や相続、離婚など、さまざまな法的トラブルに対応しており、自己破産についても対応可能です。
なお、法テラスが提供するサービスには、以下のようなものがあります。
情報提供業務 | 利用者からの問い合わせに対して、法律相談に乗ったり、相談機関・団体などに関する情報提供を無料でおこなう |
---|---|
民事法律扶助業務 | 経済的に困窮している状態で法的トラブルに遭った場合、無料で法律相談を受け付けたり、場合によっては弁護士費用などを立て替えてくれる |
犯罪被害者支援業務 | 犯罪の被害に遭った人が最善の支援を受けられるよう、刑事手続きをおこなったり、損害や苦痛の回復や軽減をするための法制度に関する情報提供などをおこなう |
国選弁護等関連業務 | 国選弁護人との契約や国選弁護人候補の指名、国選弁護人への報酬や費用の支払いなどをおこなう |
司法過疎対策業務 | 身近に法律の専門家がいない、または法律サービスへのアクセスが簡単にできない司法過疎地域に、法テラスの地域事務所を設置する |
自己破産をする場合も民事法律扶助制度が利用可能
法テラスが提供するサービスの中でも「民事法律扶助業務」を利用すれば、経済的に困窮している人でも、自己破産をおこなえるように支援が受けられます。
民事法律扶助業務の内容をさらに詳しく説明すると、以下のとおりです。
- 無料の法律相談(法律相談援助)
- 弁護士へ支払う費用などの立て替え(代理援助、書類作成援助)
なお、立て替えてもらった費用は、後に法テラスへ月々分割払いで返済することになります。分割払いの金額は、月5,000円〜10,000円程度です。
民事法律扶助は法テラス対応の弁護士に直接依頼する場合も利用できる
じつは、法テラスに依頼していなくても、法テラスの提供する民事法律扶助を利用できる場合があります。
自分で弁護士をWeb上などで検索し「法テラス対応可能」や「法テラス利用可能」などと、公式サイトに記載されている事務所へ直接依頼するケースです。
また、公式サイトにそうした記載がない場合も、依頼したい弁護士事務所があれば、電話やメールなどで法テラスの民事法律扶助を利用できるか確認してみるとよいでしょう。
法テラス対応の事務所なら、相談の際に民事法律扶助を利用したい旨を伝えれば、正式な依頼となった場合に弁護士から法テラスへ援助申請をおこなってくれます。
法テラスを利用した自己破産の費用目安
法テラスの民事法律扶助を利用した自己破産の費用目安は、以下のとおりです。
債権者数 | 実費 | 着手金 | 総額 |
---|---|---|---|
1社~10社 | 2万3,000円 | 13万2,000円 | 15万5,000円 |
11社~20社 | 2万3,000円 | 15万4,000円 | 17万7,000円 |
21社以上 | 2万3,000円 | 18万7,000円 | 21万円 |
過払い金がある場合は、上記の費用に加えて別途報酬金がかかるので注意してください。また、印紙代や交通費、鑑定費用などの追加費用がかかる場合もあります。
なお、法テラスの民事法律扶助を利用して自己破産した場合と、法テラスの民事法律扶助を利用せず直接弁護士に依頼して自己破産した場合の費用相場を比べると、以下のようになります。
法テラスを利用した場合 | 直接弁護士に依頼した場合 | 差額 | |
---|---|---|---|
同時廃止事件 | 15万5,000円 | 21~44万円 | 5万5,000~28万5,000円 |
少額管財事件 | 17万7,000円 | 50万円~ | 32万3,000円~ |
通常管財(特定管財)事件 | 21万円 | 100万円~ | 79万円~ |
つまり、法テラスの民事法律扶助を利用することで、費用が5万5,000円以上は安くなる計算になり、手続きの内容によっては79万円以上の節約になる可能性もあるのです。
生活保護受給者は予納金が免除される場合もある
前述したように、法テラスを利用することで自己破産の費用は格段に安くなります。
しかし、なかには「生活保護を受給するほど生活に困っており、法テラスの民事法律扶助を利用しても自己破産の費用が払えない」という人もいるでしょう。
生活保護を受給中の場合、立て替えてもらった自己破産の費用について、返済が免除される可能性があります。
なお、返済を免除してもらえる可能性がある費用は、以下のとおりです。
- 弁護士への報酬
- 裁判所へ支払う20万円以上の予納金
ただし、場合によっては免除ではなく、支払いが猶予される場合もあるので注意してください。
ちなみに、生活保護受給中で費用の免除および猶予をしてもらいたい場合は、以下の2点が必要です。
- 償還免除および猶予申請書
- 発行日または申請日から3ヶ月以内に発行された生活保護受給証明書
法テラスの費用立て替え制度を利用するための条件
法テラスの民事法律扶助には利用条件があり、誰でも利用できるわけではありません。
利用するには、以下3つの条件を満たす必要があります。
- 収入などが一定額以下である
- 勝訴の見込みがないとはいえない
- 民事法律扶助の趣旨に適する
次の項目から、それぞれの条件について詳しく解説します。
①収入などが一定額以下である
民事法律扶助は、もともと「弁護士に依頼したいけどお金がない」という人のために設けられた制度です。そのため、収入と資産が一定の金額以下であることが利用条件の1つとなっています。
また、配偶者に収入または資産がある場合は、原則加算された金額で判断される点にも注意が必要です。
法テラスが定めている収入と資産、それぞれの基準をみていきましょう。
収入要件
収入要件は、以下のとおりです。
家族の人数 | 手取り月収 | 家賃または住宅ローンを負担している場合に加算できる限度額 |
---|---|---|
単身 | 182,000円以下
(200,200円以下)※1 |
41,000円以下
(53,000円以下)※2 |
2人 | 251,000円以下
(276,100円以下) |
53,000円以下
(68,000円以下) |
3人 | 272,000円以下
(299,200円以下) |
66,000円以下
(85,000円以下) |
4人 | 299,000円以下
(328,900円以下) |
71,000円以下
(92,000円以下) |
※1:居住地が東京・神奈川・埼玉・大阪などの生活保護一級地に該当する場合、()内の基準が適用されます。
※2:居住地が東京都特別区の場合、()内の基準が適用されます。
なお、同居家族が1人増えるたびに基準額に30,000円、生活保護一級地なら33,000円が加算されていきます。
資産要件
利用者または配偶者が自宅や係争物件を除外した不動産・有価証券などを保有しているなら、資産要件が考慮されます。
保有している資産の時価と現金・預貯金の合計額が、家族人数に応じた基準以下であることが条件です。
家族の人数 | 資産合計額の基準 |
---|---|
単身 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人以上 | 300万円以下 |
なお、将来負担する必要がある医療費や教育費などの出費がある場合、相当額が控除されるのでその点も覚えておきましょう。
②勝訴の見込みがないとはいえない
勝訴の見込みが一定程度ある(勝訴の見込みがないとはいえない)ことも、利用条件の1つです。
具体的には、自己破産の場合「弁護士や司法書士の関与により、免責を得られる見込みがある」といったケースが当てはまります。
③民事法律扶助の趣旨に適する
民事法律扶助は、経済的に余裕のない人が法的トラブルにあった際に利用できる制度です。
そのため、報復的感情を満たすためや宣伝といった目的でこの制度を利用しようとしている場合、民事法律扶助の趣旨に反していると判断され、援助を受けられない恐れがあります。
法テラスを利用して自己破産するメリット・デメリット
法テラスの民事法律扶助を利用した自己破産には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
また、法テラスの民事法律扶助を利用した自己破産にデメリットはあるのでしょうか?
次の項目から、詳しく解説します。
法テラスを利用して自己破産するメリット
法テラスの民事法律扶助を利用して自己破産するメリットは、以下のとおりです。
- 法律相談が3回まで無料
- 家の近くにある事務所で相談できる
- 月5,000円から弁護士費用の分割払いが可能
- 生活保護受給者には費用の返済免除がある
次の項目から、それぞれのメリットについて詳しくみていきましょう。
法律相談が3回まで無料
法テラスでは、同じ案件について3回まで無料で法律相談ができます。1回の相談時間は約30分で、対応してくれるのは法テラスと契約している弁護士です。
ただし、無料の法律相談を利用するには、以下の条件を満たしていなければなりません。
- 収入などが一定額以下である
- 民事法律扶助の趣旨に適している
上記は前述した「法テラスの費用立て替え制度を利用するための条件」の①および③と同一です。
なお、無料法律相談の場合、資産の基準は「不動産や有価証券などを含まない現金と預貯金の合計額のみ」で判断されるため、注意してください。
家の近くにある事務所で相談できる
法テラスは、全国の約23,000人の弁護士と提携しています。
そして、提携先の事務所では、法テラスの民事法律扶助を利用して法律相談ができるよう契約しています。
そのため、居住地の近くに法テラスがない場合でも、要望に合った事務所を紹介してもらうことで、家の近所で法律相談を受けられる可能性が高いです。
月5,000円から弁護士費用の分割払いが可能
法テラスの民事法律扶助を利用すると、一般的な弁護士事務所よりも細かい分割払いに対応しています。
一度にたくさん支払えないという場合は、毎月約5,000円〜10,000円ずつ支払うことが可能です。
生活保護受給者には費用の返済免除がある
生活保護を受給中に法テラスの民事法律扶助を利用した場合、返済を免除してもらえる可能性があります。
自己破産後も生活の立て直しが難しい場合、立て替えてもらった費用を強制的に徴収される心配はありません。
法テラスを利用して自己破産するデメリット
法テラスの民事法律扶助を利用して自己破産するデメリットは、以下のとおりです。
- 審査に時間がかかる
- 審査期間中に債権者から督促を受ける恐れがある
- 立て替え制度の対象外となる手続き費用もある
- 担当弁護士を自分で選べない
次の項目から、それぞれのデメリットについて詳しくみていきましょう。
審査に時間がかかる
法テラスを介して弁護士に依頼する場合、弁護士事務所に直接依頼する場合より多くのステップを踏まなければならず、時間がかかる可能性があります。
法テラスを利用して自己破産をする場合、弁護士と契約するまでの流れは以下のとおりです。
- 法律相談を予約
- 無料相談
- 民事法律扶助の審査
- 弁護士の選定
- 弁護士と契約
法テラスの民事法律扶助を利用して、無料で法律相談を受けたり費用を立て替えてもらうには、審査を通過しなければなりません。
審査を受けてから結果が通知されるまでに、2週間〜1ヶ月かかる場合もあります。また、審査の際に必要書類の提出を求められるため、その書類を揃えるために時間を要する可能性もあるでしょう。
そのため、急いで自己破産の手続きを進めたいと考えている場合は、無料の法律相談が可能な弁護士事務所を自分で探してみることをおすすめします。
審査に落ちてしまうこともある
先述の通り民事法律扶助には一定の条件があるため、人によっては審査に落ちてしまう場合もあります。
また、解説した条件に該当しないのに審査に落ちる場合は、書類の誤りが原因かもしれません。
事前に収入要件や資産要件を確認し、正確な書類を用意したうえで審査に臨みましょう。
審査期間中に債権者から督促を受ける恐れがある
弁護士事務所へ直接依頼して自己破産をする場合、依頼後すぐに弁護士が債権者へ受任通知を送付することが一般的です。そして、債権者が受任通知を受け取った時点で、借金の督促や取り立てはストップします。
一方で、法テラスを介して弁護士へ依頼する場合は、前述した審査がある分、弁護士が債権者へ受任通知を送付するまでに時間がかかります。基本的に、審査結果を待っている間は、債権者から督促を受け続けることになるのです。
もし、法テラスに相談する前から借金を滞納しており、債権者から督促を受けている場合は注意してください。
立て替え制度の対象外となる手続き費用もある
民事法律扶助の審査に通過すると、自己破産手続きにかかる費用は法テラスが立て替えてくれます。
ただし、自己破産手続きにかかるすべての費用が、費用立て替え制度の対象になるわけではないので注意してください。
自己破産をする際は、弁護士への報酬とは別に、各裁判所へ定められた金額を納付しなければなりません。これを予納金といい、費用立て替え制度の対象外となります。
予納金の金額は各裁判所や自己破産の種類によっても異なりますが、おおまかな目安は以下のとおりです。
自己破産の種類 | 予納金の金額 |
---|---|
同時廃止事件 | 1~4万円 |
少額管財事件 | 約20万円 |
通常管財(特定管財)事件 | 50万円~ |
担当弁護士を自分で選べない
法テラスを介して弁護士を紹介してもらう場合「有名な弁護士の○○さんを紹介してほしい」などと、特定の弁護士を指定することはできません。
法テラス側が相談内容や居住地域などの条件に合わせて、弁護士を選んで紹介します。
場合によっては、紹介された弁護士の債務整理の実績が少なかったり、話しにくい(相性が悪い)弁護士を紹介されてしまうケースもあります。
法テラス対応の弁護士に直接依頼すれば担当弁護士を選べる
前述したように、民事法律扶助は法テラス対応の弁護士に直接依頼する場合も利用できます。
もし、特定の弁護士へ自己破産を依頼したい場合は、法テラスを介さずその弁護士が所属する事務所へ直接問い合わせて、民事法律扶助を利用できるか確認するとよいでしょう。
また、民事法律扶助を利用できる弁護士かどうかは、事務所の公式サイト内に「法テラス利用可」などの記載があるかどうかでも確認できます。
自己破産を法テラスを使って行うのがおすすめな人
自己破産は弁護士・司法書士に直接相談したほうがスムーズですが、法テラスを使ったほうが良い状況もあります。
特に、下記にあてはまる人は法テラスを利用するのがおすすめです。
- 収入が著しく少ない人・収入がない人
- 生活保護受給者
収入が著しく少ない人・収入がない人
一定の条件を満たす場合、立て替えてもらった費用の償還(返済)を免除してもらえます。
具体的には、以下のような条件です。
収入要件(クリックで表示)
本人および配偶者(内縁関係含む)の収入の合計額が、下記表に示された金額以下であること。
人数 | 収入基準(注1) | 家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額 |
---|---|---|
1人 | 127,400円以下 | 41,000円以下 |
2人 | 175,700円以下 | 53,000円以下 |
3人 | 190,400円以下 | 66,000円以下 |
4人 | 209,300円以下 | 71,000円以下 |
注1:以下、1名増加することに基準額に21,000円を加算 |
人数 | 収入基準(注2) | 家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額(注3) |
---|---|---|
1人 | 140,140円以下 | 41,000円以下 (53,000円以下) |
2人 | 193,270円以下 | 53,000円以下 (68,000円以下) |
3人 | 209,440円以下 | 66,000円以下 (85,000円以下) |
4人 | 230,230円以下 | 71,000円以下 (92,000円以下) |
注2:以下、1名増加するごとに基準額に23,100円を加算 注3:居住地が東京都特別区の場合、( )内の基準を提供 |
資産要件(クリックで表示)
本人および配偶者(内縁関係含む)の資産について、下記すべての要件にあてはまること。
- (1)現金、預貯金、保険(生命保険、学資保険、個人年金等)の解約返戻金、有価証券の時価等の合計額が66万円以下であること
- (2)自宅の他に不動産を保有していないこと
- (3)車を保有している場合は、世帯あたり1台のみであること
資力回復困難要件(クリックで表示)
下記いずれかの要件に該当すること。
- (1)65歳以上の高齢者
- (2)重度または中度の障害のある者で、一定の要件(障害基礎年金の受給者など)にあてはまる
- 上記(2)の障害のある者を扶養している者
- 病気により長期の療養が必要で、現に収入を得ておらず、かつ、今後1年程度の間に収入を得るために働くことが見込めない者
- 上記(1)から(4)に準ずる理由により、今後1年ないし2年で、現在よりも生計が改善される見込みに乏しい者
これらの条件にあてはまる人は、立て替え費用の返済を免除されるので、自己破産の手続き後に申請を行いましょう。ただし、事件の相手方等から金銭等を得た場合などは、原則としてその25%以上を返済にあてられます(自己破産で金銭を得ることはないので、基本的には考慮しなくて大丈夫です)。
また、上記の償還免除が使えないとしても、法テラスを通した弁護士・司法書士費用は低めに設定されています。これらのことから、収入が著しく少ない人・収入がない人こそ、法テラスは利用すべきと言えます。
生活保護受給者
生活保護受給者も、申請すれば返還免除を受けられます。複雑な要件はなく、生活保護を受給してれば原則として免除審査に通過可能です。
法テラスを利用したい方によくある疑問・質問
法テラスは金銭的にも負担を抑えられるので便利ですが、いざ利用するとなったら不安に思う人も多いでしょう。
ここでは、法テラスを利用するときによくある疑問や質問について回答します。
法テラスへの返済はいつから始まるのか?
立て替えた費用については、援助開始の翌月以降からスタートします。口座引き落としで、月額5,000円~1万円程度を返済していきます。
引き落としにかかる手数料が別途発生し、ゆうちょ銀行の場合は33円、それ以外の銀行は40円かかるので注意しましょう。
なお、返済が困難な状況なら猶予してもらえることもあるため、困ったときは滞納せず法テラスに相談しましょう。
立て替え費用を滞納してしまったらどうなるのか?
立て替え費用を滞納してしまった場合、法テラスからの督促が行われます。状況によって督促の方法は異なり、以下のような方法が取られます。
- 手紙、コンビニ支払い用紙の送付
- 電話
- 法的措置(裁判所での支払督促調停など)
法的措置になった場合、せっかく自己破産で借金問題を解決したのに、再び裁判所での手続きになってしまいます。
先に解説した通り、返済困難な状況なら猶予される制度もあるため、黙って滞納せず法テラスに相談するようにしましょう。
法テラスを利用して自己破産する場合の流れ
この項目では、法テラスの民事法律扶助を利用して自己破産する場合の一般的な流れについて解説します。
また、自己破産手続きに必要な期間や書類についても具体的に解説しますので、ぜひ参考にしてください。
法テラスを利用して自己破産する場合の流れ
まずは、法テラスの民事法律扶助を利用して自己破産する場合の一般的な流れについて解説します。
法テラスの民事法律扶助を利用して自己破産する方法には、以下の2つがあります。
- 法テラスを介して弁護士に依頼する方法
- 法テラス対応の弁護士を自力で探して依頼する方法
次の項目から、それぞれの方法について詳しくみていきましょう。
法テラスを介して弁護士に依頼する場合
知り合いの弁護士がいる場合や依頼したい弁護士が決まっている場合以外は、法テラスを介して弁護士に依頼する人が多いでしょう。
法テラスを介して弁護士に依頼する流れは、以下のとおりです。
- 近くの法テラスに電話する
- 無料相談の日時を予約する
- 弁護士に依頼内容を伝える
- 必要書類を提出する
- 法テラスによる審査
- 法テラスによる援助開始
まずは近くの法テラス地方事務所または法テラスサポートダイヤルに電話しましょう。
そして、無料相談をおこなう日時を決め、予約してください。なお、予約の際には以下のような点について質問されるので、事前に準備しておくとよいでしょう。
- 相談の内容
- 収入・家族構成・家賃または住宅ローンの金額
- 保有資産(現金・預貯金のみ)
予約した日には、弁護士に依頼内容を伝え法律相談を受けます。相談の結果、依頼することを決めた場合は、法テラスによる民事法律扶助の審査を受けることになるのです。
後述する必要書類を提出し、法テラスによる2週間〜1ヶ月程度の審査を経て、援助がおこなわれるかどうかが決まります。
法テラスからの援助開始が決定されると、実費や着手金・報酬金などの弁護士費用は、法テラスが立て替えてくれます。手続きが完了するまでの間は、立替分の支払いを待ってもらえるので、返済する必要はありません。
実費・着手金・報酬金といった法テラスの立替分は、手続き終了後に毎月分割で法テラスへ返済することになります。
法テラス対応の弁護士を自力で探して依頼する場合
法テラスを介して弁護士に依頼する以外にも、法テラス対応の弁護士を自力で探して依頼する方法もあります。
法テラス対応の弁護士を自力で探して依頼する流れは、以下のとおりです。
- 弁護士事務所の公式サイトを見て「法テラス対応可」などの文言があるか確認する
- 電話やメールで民事法律扶助を利用したい旨を伝える
- 弁護士事務所と直接相談する
- 正式な依頼をする
法テラスの民事法律扶助を利用できるのは、法テラスと提携している弁護士に依頼した場合のみです。そのため、まずは法テラス対応の弁護士かどうかを確認しましょう。
無料相談を受け付けている弁護士事務所を探し、電話やメールで民事法律扶助を利用したい旨を伝えたうえで、直接相談に乗ってもらいます。
借金や収支の状況などを詳しく聞いたうえで、法テラスから援助を受けられる可能性が高いと判断されたら、弁護士に依頼して法テラスへ援助申請をおこなってもらう流れとなります。
法テラスを利用した場合の自己破産手続きにかかる期間
法テラスを利用した場合、自己破産手続きにかかる期間は6〜8ヶ月程度と考えられます。
法テラス対応の弁護士を自力で探して依頼する場合は、6ヶ月程度が目安となります。法テラスを介して弁護士に依頼する場合は、プラスで2週間〜1ヶ月程度を見込んでおきましょう。
なぜなら、法テラスを介して弁護士に依頼する場合は、民事法律扶助の利用が可能かどうかを決定する審査が必要になるからです。
法テラスを利用して自己破産する場合に必要な書類・情報
法テラスの民事法律扶助を利用して自己破産をする場合には、法律相談で回答した収入や資産についてさらに詳しく確認するため、以下の書類が必要になります。
- 資力を証明する書類
- 世帯全員の住民票の写し
- 割賦償還に用いる口座に係る資料
- 事件に関する書類(債務一覧表)
資力を証明する書類とは、具体的に以下のとおりです。
- 直近2ヶ月の給与明細
- 直近の課税証明
- 直近1年分の確定申告書の写し
- 生活保護受給証明書
- 直近の年金証書の写し
- その他これらに準ずる書類(源泉徴収票など)
- 資力申告書(生活保護受給中の方以外)
また、住民票は「本籍・筆頭者および続柄の記載のあるもの」かつ「マイナンバーの記載がないもの」を提出しなければならないので注意してください。
割賦償還に用いる口座に係る書類とは、具体的に以下のとおりです。
- 自動払込利用申込書兼預金口座振替依頼書の写し
- 口座情報が確認できる書類の写し(通帳・Web口座画面・キャッシュカードなど)
まとめ
法テラスが提供するサービスの1つである「民事法律扶助」を利用すれば、経済的に困窮している人でも自己破産をおこなえるように支援が受けられます。
ただし、民事法律扶助を利用するにはいくつか条件をクリアする必要があり、条件を満たしているかどうかを確認する審査に通過しなければならないので注意してください。
自分が民事法律扶助の利用条件を満たしているか気になる場合は、弁護士事務所に直接相談して確認してもらうとよいでしょう。
当サイトでは、自己破産を積極的に扱う弁護士事務所を多数紹介しているので、ぜひ気軽に無料相談を利用してください。
法テラスや自己破産に関するよくある質問
法テラスとは、正式名称を日本司法支援センターといい、2006年4月10日に国によって設立された法的トラブルを解決するための総合案内所です。
法テラスが提供するサービスの1つで、民事法律扶助業務を利用することにより、経済的に困窮している人でも、自己破産をおこなえるように支援が受けられます。
法テラスの民事法律扶助を利用した自己破産の費用目安は、以下のとおりです。
債権者数1社~10社の場合:15万5,000円
債権者数11社~20社の場合:17万7,000円
債権者数21社以上の場合:21万円
法テラスの費用立て替え制度を利用するための条件は、以下の3つです。
・収入などが一定額以下である
・勝訴の見込みがないとはいえない
・民事法律扶助の趣旨に適する
法テラスの民事法律扶助を利用して自己破産するメリットは、以下のとおりです。
・法律相談が3回まで無料
・家の近くにある事務所で相談できる
・月5,000円から弁護士費用の分割払いが可能
・生活保護受給者には費用の返済免除がある

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