家賃滞納の裁判を無視するリスクと差押を避ける方法について

実は家賃を滞納してしまっているのですが、管理会社からの電話や督促が来ていて…。どうすれば良いでしょうか。


管理会社からの連絡には必ず対応し、支払えない理由をきちんと話しましょう。支払う意思を見せれば、分割支払いなどにも対応してもらえるケースが多いです。ちなみに、3ヶ月が経過すると裁判など法的措置を取られる可能性が高くなります。
そうなんですね…!裁判を起こされるとどうなってしまうのでしょうか。


裁判で判決が出れば契約の解除が認められ、立ち退きが必要になります。また未払いの家賃と遅延損害金、裁判にかかった費用を全て支払わなくてはならないケースもあります。
そうなんですか…!でも本当にお金が無くて…。


管理会社と交渉をしても支払いのめどが立たなければ、一時的に家族から借り入れをしたり、住宅確保給付金制度を利用すると良いでしょう。もしそれでも払えないようなら、債務整理で支払額を減らすことも可能です。
なるほど…それなら裁判を起こされる前に早くできることから試してみます!

家賃を支払えないことにお困りですね。しかし、支払いが難しい状況でも大家や管理会社からの督促を無視して滞納を続けるのは危険です。
滞納して間もなくは契約者自らが交渉することで、支払期限や支払い方法を融通してもらえることが多くあります。しかし、督促を無視し続けると裁判を起こされ、退去や延滞分の料金、遅延損害金などの支払いを命じられる可能性があるのです。
大家や管理会社が裁判を検討するのは、3か月間の家賃滞納が発生した時期が一般的です。つまり、裁判を起こされる前に、自ら管理会社と交渉して支払い予定を立てる必要があります。
もし、それでも支払いが難しければ、債務整理という方法も検討しましょう。
家賃の滞納は長期化すればするほど状況が悪化するものです。早い段階で管理会社と交渉し、無理なく支払えるよう対応しましょう。
いきなり法律事務所へ相談するのが心配なら、まずは借金減額診断チェッカーを利用してください。簡単な質問に答えるだけで、債務整理でどれくらい借金が減るのか無料で診断できます。

- 家賃の督促を無視し続けるのは危険
- 裁判を起こされたら踏み倒しはできない
- 強制執行では自分の意志に関わらず家を明け渡す必要がある
- 家賃を滞納してしまったら少しでも早く管理会社と交渉する
- 支払いが全くできない状態なら、債務整理もオススメ
家賃の滞納が3ヶ月を過ぎると法的措置を取られる可能性がある
家賃の滞納に対する督促を無視する期間が長いほど、契約者にとって状況は悪くなります。特に滞納から3ヶ月程度が経過すると、大家側から法的措置をとられる可能性が高くなります。
法的措置とは、契約解除や家賃未払い分を請求するための裁判や、明け渡し訴訟と呼ばれる強制退去と財産処分を必要とする手続きです。最終的に現在の家を出ていかなければならなくなる可能性が高いので、支払いが難しい場合は早めに管理会社に相談しておきましょう。
はじめから立ち退きを強制されるわけではない
家賃を滞納してすぐに立ち退きを要請されるわけではありません。単純に支払いを忘れているという可能性も考えられるため、手紙または電話で、未払いの家賃があるという通知が来ます。
これが滞納して1ヶ月近くのことです。この時点ですぐに管理会社へ支払いが難しいことを伝えれば、分割払いや支払いの猶予をくれる場合も少なくありません。
督促や連絡を無視すると連帯保証人に迷惑がかかる
契約者本人への連絡を無視すると、連帯保証人へ連絡が届きます。この場合も法的な措置ではなく、家賃の滞納があることを知らせる連絡と請求です。
とはいえ、突然督促を受けた連帯保証人は驚くでしょう。無断で家賃を延滞すると、連帯保証人に迷惑がかかることも把握しておきましょう。なお、連帯保証人は契約者本人と同等の支払い義務を負うので、請求を拒否できません。
つまり連帯保証人も、契約者本人と同じ督促を受けることになるのです。
3ヶ月以上滞納を続けると内容証明郵便が届く
2~3ヶ月以上家賃を滞納しており、督促に対する返事もない場合、内容証明郵便が送られてきます。内容証明郵便が送られてきたら、裁判を起こされる日が近いと考えましょう。
内容証明郵便とは郵便局が文書の内容や送達を証明してくれる郵便のこと。法的手続きを取る前の最後通告として送られることが多くあります。内容証明郵便を送ったという証拠、および契約者が何のアクションも起こさなかったという事実は、法的措置を取る際に重要な証拠となります。
そのため内容証明郵便は、裁判を起こす前の証拠作りや最終警告として送られてくることがしばしば。一般的に滞納分家賃の支払いを求める文言と支払い期日、支払いがなければ契約を解除する旨が記載されています。
なおこの段階でも、交渉次第では裁判や強制退去を避けられます。支払えないからといって通達を無視するのではなく、「お金を工面している」または「引っ越し先を探している」など、現在の事情を素直に話して交渉を試みましょう。
裁判を起こされてからでは和解は難しい
大家側は契約解除と遅延損害金の請求をするため、滞納から3か月以上経過した時点で、裁判を起こすのが一般的です。裁判の種類は以下の2種類。
- 少額訴訟
- 民事訴訟
少額訴訟は60万円以下の金銭を請求するものです。一方、民事訴訟は訴額に制限がなく、金銭の請求と共に契約の解除を求めることもできます
いずれの場合も訴訟を起こされてから支払いを交渉し、和解するのは難しいでしょう。しかし大家にとってもできるだけすぐに任意退去してほしいという意図があるため、裁判を起こされた段階でも和解を試みる価値はあります。
なお裁判で敗訴した場合、滞納した家賃全額だけでなく、遅延損害金や裁判費用などの支払いも必要となります。契約者が敗訴した判決書の送達を受けたときから、2週間以内に控訴しなければ、敗訴判決が確定します。
遅延損害金とは本来支払われるべき期日までに支払いがなかったときに生じる損害金のこと。遅延損害金の利率は民法上14.6%以下とされています。ただでさえ家賃の支払いが難しいにも関わらず、遅延損害金まで払えないという人が多いでしょう。このように不利な状況に陥らないためにも、裁判前の交渉は重要なのです。
また契約の解除が認められてから、強制執行で強制退去させられる場合もあります。
強制執行とは債権者の請求権を法的に強制行使する手続き。強制執行された場合、家にある財産を未納家賃の支払いにあて、自分は退去する必要があります。裁判で出た判決やあらゆる督促を無視し続けると、最終的には強制執行という形で退去せざるを得ない状況になります。強制執行後は財産も家も失うこととなるため、大家側が法的手段に出る前に、契約解除を条件に任意退去の交渉をすると良いでしょう。
家賃滞納による強制退去の履歴があると部屋を借りにくくなる
家賃の滞納により過去に強制退去させられたり、明け渡し訴訟をした経緯があると、新たに賃貸借契約を結びにくく可能性があります。つまり新たに家が借りにくくなるということです。
これは管理会社が顧客情報を共有していることがあるためです。家賃の支払いが難しくなったら、最終的には引っ越しも検討すべきでしょう。このとき自分に不利益にならないよう、裁判を起こされる前に交渉しておくことが大切です。
家賃の滞納に対する督促には裁判を起こされる前に対応が必要
裁判を起こされるまでは、大家や管理会社との交渉の余地があります。そのため、家賃滞納への督促は無視し続けるのではなく、早い段階で適切な対応を取ることが大切です。
多くの大家や管理会社も、お金や時間をかけてまで裁判をしたいとは思っていません。できれば任意交渉で済ませたいものです。また、早めの対応をすれば自分のメリットになるうえ、連帯保証人にも迷惑をかけずに済みます。
支払いが難しくなったらすぐに家賃の支払いスケジュールを交渉する
家賃の支払いが難しいと感じたら、すぐにでも自ら大家や管理会社に連絡を入れましょう。このとき、素直に自分の状況を伝えて誠意を持って交渉することが重要です。
また、書面での督促は無視せず、きちんと対応することが重要です。支払いの意志があることをアピールするだけでも、大家側の態度が軟化するかもしれません。
住宅確保給付金制度を利用
失業が原因で家賃を滞納している場合、住宅確保給付金制度を活用できます。
住宅確保給付金制度とは失業者に対して家賃3ヶ月分を給付する制度のこと。住宅確保給付金制度を利用すれば、原則として、生活保護制度の住宅扶助額3ヶ月分の給付が受けられます(2回まで延長が可能、最大9ヶ月分)。住宅確保給付金制度は返す必要のないお金なので、支払いが難しい場合は積極的に利用しましょう。
住宅確保給付金があれば一旦滞納した家賃を清算し、その後支払いに関する交渉を試みる余地ができるでしょう。また、その間で再就職したり引っ越しを検討する猶予もできます。
詳しい申請方法については以下のリンクをご覧ください。
→厚生労働省|厚生労働省生活支援特設ホームページ | 住居確保給付金:制度概要
連帯保証人に支払ってもらう
家族や頼れる人が連帯保証人になっている場合は、一時的に支払いを代理してもらうことも検討しましょう。また家族や親しい人から一時的にお金を借り、家賃を工面するのも1つの手段です。
ただしこれは根本的な解決にはなっていないため、何らかの理由で一時的に自分が支払えないケースなどに検討すべき方法といえます。
家賃の低い物件へ引っ越す
家賃の支払いが今後も難しい場合は、引っ越しを検討しましょう。収入に合った家賃の家を探すことで、今後家賃を滞納せずに済みます。
場合によっては、期限付きで退去することを約束すれば、滞納分の家賃を支払わなくて良いという交渉ができる可能性も。
ただし、滞納した家賃への滞納については、大家や管理会社の考え方や経営スタイルにゆだねられます。そのため、引っ越すにしても、滞納分の家賃は支払わなくてはいけないというつもりでいた方が良いでしょう。
また引っ越しをするなら裁判を起こされる前がおススメです。裁判後だと契約者情報の信用に傷が付き、新規で契約しにくくなる可能性があります。
なお、夜逃げするのは非常に難しい上、身元が特定された後のリスクが非常に大きいのでオススメできません。
交渉をしても支払いのめどが立たない場合は債務整理を検討
すでに多額の滞納額を請求されており、現在の生活では全く支払えない場合は債務整理を検討しましょう。
債務整理とは支払いが経済的に難しい人に対し、法的な手続きで支払いを減額または免除する方法。主に任意整理・個人再生・自己破産の3つの方法があります。滞納の期間や額によっては、大家と全く交渉ができない場合もあります。多額の請求に対して支払いができない場合、債務整理で自分の支払い額を減らすのが賢明です。
なお、債務整理のうち任意整理なら家賃の支払いのみを任意に減額することができます。連帯保証人にも迷惑がかからず、オススメの方法です。
任意整理とは債務整理の中で唯一裁判所を通さない手続きのこと。将来利息をカットし、返済期間を最大5年間まで延長できる手続きです。弁護士へ相談すれば相手との和解や債務整理も安心
債務整理は自分でもできる手続きです。しかし、債務整理に詳しい弁護士に相談することで確実かつスムーズに手続きができます。
スムーズかつスピーディーに交渉が進めば、早期解決できて契約者の大家側の双方にメリットが生まれるでしょう。
特に任意整理では大家や管理会社と直接的な交渉が必要です。相手との交渉が自分ではうまくいかない場合も、弁護士が間に入れば安心。契約者にとって最もメリットが大きくなるよう、交渉してもらえます。
債務整理をしても新たに物件を契約できる
債務整理をするとブラックリストに載るのが心配な方もいるでしょう。
しかし、ブラックリストはあくまで金融機関の審査などにおいて参照される信用情報に登録された事故情報を意味し、管理会社等による入居審査には一般的に用いられません。
たしかに、債務整理の対象となった賃貸借契約に関わっていた管理会社の今後の利用は難しいかもしれません。
しかしそれ以外の管理会社となら問題なく取引できることが多いので、債務整理をしたからといって家を借りにくくなることを心配する必要はないでしょう。
まとめ
家賃を滞納し続けるリスクや、契約者が取るべき手段について解説しました。家賃滞納を続けて督促状が来ると、ついことを先延ばしにしたくなってしまうものです。しかしそれでは事態が悪化する一方です。
自分が追い込まれないためにも、とにかく早い段階で支払いが難しいことを大家に伝えましょう。そして支払う意思があることを表明し、建設的な交渉を進めることが重要です。今後も支払いが難しければ、引っ越しも検討しましょう。
それでもなお多額の滞納家賃を請求され、支払いが難しい場合は債務整理がおススメです。弁護士に依頼し、一度自分の債務をリセットしましょう。最近では相談無料の法律事務所も多くあるので、ぜひ気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
家賃の滞納についてよくある質問
家賃の督促を無視しても意味はありません。督促や連絡を無視すると法的措置を取られ余計に和解が難しくなったり、連帯保証人に迷惑がかかる恐れもあるので早めに対応する方がよいでしょう。
裁判を起こされた場合、家賃だけでなく遅延損害金を支払うことになるのが一般的です。遅延損害金は利率が高く、短期間の滞納でも高額になることが多いです。請求額が増えるのをできる限り抑えたいなら、早めに法律事務所へ相談して対処してもらうとよいでしょう。
裁判を起こされた場合、最終的に強制執行されることが多いです。強制執行をされると、家を強制的に明け渡す必要があります。
裁判を起こされた後だと和解するのが難しくなります。そのため、裁判を起こされる前に大家に交渉して、滞納分を分割払いなどにしてもらうようお願いすることが重要です。大家が交渉に応じてくれれば、裁判を起こされ家を強制的に追い出される心配もなくなります。
大家と交渉をしても支払いが難しければ、債務整理で返済負担を軽くすることを検討しましょう。債務整理は、利息や元金をカットし返済総額を大幅に減らせる国が認めた借金救済制度です。債務整理には複数の方法があり、自身の債務状況により最適な方法は異なるので、法律事務所へ一度相談することをおすすめします。

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